国会質問

質問日:2023年 12月 11日 第212国会 東日本大震災復興特別委員会

被災者支援事業(被災者支援総合交付金、生活支援相談員)、被災中小企業対策(グループ補助金、ゼロゼロ融資)について

被災者支援継続ぜひ

高橋氏要求 調査の必要認める

衆院復興特委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=11日、衆院復興特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は11日の衆院震災復興特別委員会で、被災者支援、被災中小企業対策についてただしました。

 東日本大震災から12年、復興公営住宅などでの被災者の孤独死や、老老介護の末に手遅れになるケース、自死が後を絶ちません。

 高橋氏は、被災者支援総合交付金の今年度実績は33自治体、73億3839万円あまりで、額・自治体数ともに減少したと指摘。社会福祉協議会等による生活支援相談員の配置数もピーク時の790人(17年3月)から296人(23年3月)に減少したとし、「公営住宅の自治会の自主的取り組みに委ねるだけでなく、生活支援相談員の継続、拡充など行政の関与が必要でないか」と訴えました。土屋品子復興相は「被災者見守り・相談支援事業を引き続き継続したい自治体もあるので、それは継続する。打ち切るところに関しては現状を調べる必要がある」と答弁しました。

 中小企業庁の須藤治長官は、中小企業グループ補助金が被災3県で1万1878件活用され、雇用、経済の復興に寄与したと答弁しました。高橋氏は、宮城県内で倒産した事業所85件中42件が同補助金の返還を迫られており、「市場が変化する中で魚種の変更や機械の導入などの経営努力が目的外使用とされる」と訴え、財産処分の要件緩和を要求。須藤氏は「柔軟な対応を求める要望が届いている」と認め、「国庫納付の負担軽減」などきめ細かい対応をしていくと表明しました。

(「しんぶん赤旗」2023年12月12日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今年十月に宮城県で、介護が必要な八十六歳の母親を公園に放置し、死亡させたとして、五十七歳の息子が逮捕されたというショッキングなニュースがありました。二年前に父親を亡くし、一人で介護をしていたこと、災害公営住宅であり、男性がたった一人で家事も介護も全てをしょい込み、相談する人もいなかったんだろうかと考えさせられました。
 実は、この市の六月市議会では、我が党の議員が、市内に四つある市営住宅は高齢化が進み、最近でも亡くなってから発見された方が二人いた、こうした中で、被災者の戸別訪問をする生活支援相談員の配置事業が二〇二一年度から廃止され、自治会中心になっているとして、もっと行政が関わるべきではないかと指摘をしていました。その議員さんは今期で勇退をされましたので、最後の質問でありました。今回の事件を、後ろからがつんと殴られた気がした、おせっかいおばさんが周りにいっぱいいるのにと悔しがっておられました。
 この件は警察事案になっておりますので、このこと自体に触れる必要はございません。しかし、被災者が復興公営住宅などで独り暮らしで気づかれないまま亡くなる孤独死や、老老介護などの末に手遅れ、あるいは自死、これが後を絶たないんです。
 大臣、孤独死が後を絶たないといった被災者の置かれた状態をどう受け止めていらっしゃいますか。
○土屋国務大臣 仮設住宅や災害公営住宅での孤独死というのは、本当に心が痛む死であります。やはり家族が亡くなって、本当に一人になってしまって、何とか自力で暮らしている方が大変多いと思います。そういう方にどう寄り添ったらいいかというのは、これは重要な課題だと思います。
 例えば、普通に暮らしていても、じゃ、あしたねといって、ベッドで亡くなったりしている方もいると思うんですけれども、でも、その前日どうだったの、その直前どうだったの、声をかけてくれる人がいた、前日にも何かお話しできる人がいたとなれば、大分環境が違うのかなと思っております。
 これらの施策は重要だと思いますので、やはりできる限りの防止のためには、自治体としっかりと意見交換しながら、今の現状等もしっかり聞きながら、またしっかり支援していきたいと思っております。
○高橋(千)委員 あの阪神・淡路のときも、本当にマンションのような公営住宅に入ってから、その一人一人に声かけができる関係をつくるまでに十年以上かかった、そういう話を聞いたことがありました。防ぐことができる、そうした立場で何としても頑張っていただきたいと思うんですね。
 当該の市長さんは、自治会運営が安定し、住民同士がお互いに気にかけ合うなど、ふだんからの近所づき合いを基盤として徐々に住民独自の見守り活動が行われるようになってきたことから、当時の被災者支援事業は一般施策事業へソフトランディングしていますと答えているんですね。一般へソフトランディング、要するに、打ち切ったということなんです。だけれども、その自治会からも、自分たちだけでは限界だと悲鳴が上がっているんです。打切りになったのは二〇二一年度。これは、十年間の復興・創生期間の終了時なんですね。
 被災者支援総合交付金は、二〇二〇年度は三十九自治体、百九億三千五百七十四万余の交付実績がありますが、今年度は三十三自治体、七十三億三千八百三十九万余と、額も自治体数も減少しています。
 社会福祉協議会等による生活支援相談員の配置数は、ピーク時は二〇一七年三月で七百九十人から、今年三月で二百九十六人まで減っているんです。
 大臣、公営住宅の自治会の自主的取組に委ねるだけではなくて、もちろんそれも大事ですが、生活支援相談員の継続、拡充など、行政の関与が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
○土屋国務大臣 各自治体で、以前ほど必要なくなったというところもあれば、いやいや、まだまだというところもあって、まだらなような気がします。
 見守り、相談支援を引き続き継続したい自治体もありますので、それは継続していきますけれども、今おっしゃったように、打ち切るところに関しましては、何かしらやはり復興庁としても現状を少し調べる必要があるのかなと今のお話を伺って感じました。
 いずれにしましても、引き続き被災者や被災自治体の状況を丁寧に伺いながら、被災者に寄り添った取組をしっかりしてまいりたいなという思いでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。大事な答弁をいただいたと思います。ただ自治体が決めたというだけではなくて、やはり現状を調べて、また相談相手にもなっていただきたいと思うんですね。
 やはり自治体にしてみてもすごく大変なことで、これは相談件数が減ったということは、相談の窓口が減ったということと比例しているだけなんですよね。だから、担い手がいないですとか、非常に大変な事情があってのことでありますから、そこを本当によく聞いていただいて支援を続けていただきたい、こうした事件が続かないようにお願いしたいと思います。
 次に、被災中小企業の支援について伺います。
 東日本大震災で創設されたグループ補助金は、民間事業者に対して、これまで、私有財産の形成に当たり、税金での直接補助はできないというルールがある中で、事業者への直接支援を通して、地域経済、社会の復旧、ひいては復興の促進につながるという意義の下で乗り越えてきた画期的な制度であり、現場からも歓迎されていると思います。この認識は共有できるでしょうか。
 グループ補助金の意義、成果について、東日本大震災での活用件数なども含めて紹介されたいと思います。
○須藤政府参考人 お答えをいたします。
 グループ補助金は、大規模な災害により被災した事業者がグループを形成して被災施設等の復旧を行う際に、その費用を補助するものでございまして、その目的は甚大な災害からの復旧復興であると認識しております。
 東日本大震災に係るグループ補助金の実績ですが、これまでに一万一千八百七十八件、国費で三千五百六十一億円、県費と合わせますと五千三百四十二億円の交付決定を行っており、被災地において幅広い事業者の方々に御活用いただいております。
 例えば、グループ補助金を活用して、被災した飲食店や小売店が入居する共同店舗をオープンして、地元商業復活のための先導施設として活躍をされているということで、この制度は被災地域の経済、雇用等の回復に寄与していると考えております。
 以上でございます。
○高橋(千)委員 経済、雇用等に寄与しているということをおっしゃっていただきました。
 河北新報の十月十三日付に、グループ補助返還命令六億四千万という見出しの記事が載りました。宮城県内のグループ補助金を使った事業所の倒産件数が今年三月末で八十五に上り、うち四十二の事業者に計六億四千万の返還命令が下ったというものです。補助金適正化法によるものだとは分かるものの、返還金がネックとなって廃業も事業承継もできずにいるとの事業者の窮状を伝えています。鉄筋コンクリートの建物は五十年の耐用年数があるため、残存期間掛ける七五%の補助率、これで返還を求められるという仕組みになっているんですが、長いなと正直思うんですね。
 宮城県のQアンドAによれば、財産処分をしようとするときは知事の承認が必要です。沿岸部は、先ほど来もお話があるように、水産加工が多いです。市場が変化する中で、魚種の変更や、それに対応する新たな機械の導入など、本当に努力をされてきたことが目的外使用ということにされてしまうんでしょうか。
 せっかく多くの被災事業所の再建を支えた事業です。事業の継続のために、事業所の継続のために緩和ができないか、沿岸部の商工会議所などからも要望が出ていると思いますが、どうでしょうか。
○須藤政府参考人 お答えをいたします。
 財産処分に関しましては、被災自治体あるいは商工関係団体から、柔軟な運用を求める旨の御要望をいただいているのは事実でございます。
 グループ補助金に関しましても、ほかの補助金と同様に、関係法令にのっとった運用を行うという点については御理解をいただければというように思います。
 原則といたしましては、残存簿価相当額に補助率を乗じて得た額、目的外使用の場合にはこういうことになっているわけでございますけれども、国庫納付については、一定の要件の下で、残存簿価相当額ではなく譲渡額に補助率を乗じて得た額とするなど、国庫納付の負担を軽減する措置も併せて工夫をしております。
 被災地の状況、被災事業者の状況は様々であるかというように思いますので、個別の状況に応じたきめ細かい対応を心がけてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 柔軟な対応を求める声があるということを承知しているとおっしゃいました。やはり無理なことを言っているわけではないんですよね。つまり、五十年をチャラにしてくれ、そういうふうな表現ではないんです。
 やはり、さっきのALPS処理水の話もありましたけれども、どうしたって現状に対応してやっていかなきゃいけないわけですよね。そのときに、結局、その機械が処分できないから野ざらしになっている、これはどう考えてもおかしいじゃないかという指摘なわけですから、ここを本当によく話し合って、できる対応をもう一歩踏み込んでいただきたい。ここは要望にしたいと思います。
 二〇一六年の熊本地震では、東北のグループ補助金に学びながら、原状復旧だけではなく、復興事業計画の実施に不可欠な範囲で施設及び設備を新たに整備することを認めました。熊本県工業会が二〇一九年にまとめた報告の中で、東北地方と比しても速いペースでの復興が進みつつあることは明らかだ、グループ補助金には被災した中小企業の事業継続を後押しするアナウンスメント効果があり、新たな債務発生による二重ローン問題を解消し、震災倒産を防いできたとの評価があります。こうして進化しているわけですから、新たな緩和策へ知恵を絞っていくべきだと思います。
 さて、被災事業者は、その後もコロナ、物価高騰、地震などに見舞われてきました。そうした中で、コロナ対応のゼロゼロ融資の返済、インボイス制度など、更に追い打ちをかけられております。
 そこで、ゼロゼロ融資に対する政府の借換え保証も活用されておりますが、問題は、返済期間が十年間、最大五年据置きだけれども、据え置いても返済期間が変わらないわけです。二年、三年という据置期間の分だけその返済期間を延ばせないかという要望がありますが、いかがでしょうか。
○須藤政府参考人 お答えをいたします。
 民間ゼロゼロ融資の返済本格化を迎え、既に一割ほどの事業者が完済、五割以上の事業者が現在返済中でございますけれども、必要な事業者向けには、御指摘ございましたように、本年一月からコロナ借換え保証制度を開始しております。これによりまして、返済期間を実質的に長期化することで、返済負担の軽減を図っているところでございます。
 この借換え保証制度は、保証料を〇・八五から〇・二%まで引き下げるなどの補助を措置しております。また、各自治体による低利融資を活用することで事業者の借換えに伴う負担を軽減しておりますので、こうしたものも引き続き御活用いただきながら取り組んでいただければというふうに思っております。
○高橋(千)委員 今、借換え保証がそういう趣旨であるんだよということの紹介がありまして、それはありがたいと思うんです。ただ、同時に、岩手県などが独自の融資、最大八千万円、あと伴走支援が一億円とか、そういうのをつけていたり、自治体独自で、じゃ、利子の分を何とか支援しようか、そういう取組もありますので、ここに本当に寄り添って対応していただきたい、このように思います。
 同時に、少しでも息をつきながら、かつ、その間に経営を盛り返したい、そのために、金融機関による伴走支援も今回の借換え保証には義務づけられているわけです。
 時間が来たので、もうこれは要望にします。商工会の役割も大きいと思うんですね。金融機関の大丈夫か大丈夫かというチェックではなくて、商工会は、インボイスへの対応や補助金の申請の仕方など、相談事業で本当に小規模な事業者を支えています。その点では、商工会の役割を本当に認めて、職員の、今、そうはいっても行革がこの分野でも始まっておりますので、維持、増員へ支援していただきたい、これは質問したかったんですが時間になりましたので、要望して、終わります。
 ありがとうございます。

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