国会質問

質問日:2023年 11月 20日 第212国会 本会議

2023年度補正予算案について岸田総理に質問しました

消費税減税・賃上げこそ

補正予算案 高橋・岩渕両氏が代表質問

衆参本会議

 2023年度補正予算案が20日に審議入りし、衆院・参院の各本会議で各党が代表質問を行いました。日本共産党の高橋千鶴子衆院議員、岩渕友参院議員が質問に立ち、消費税減税やインボイス中止などを岸田文雄首相に求めました。

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=20日、衆院本会議

 7~9月のGDP(国内総生産)が3四半期ぶりにマイナス成長となったことについて、高橋氏は個人消費の落ち込みが影響したと指摘し「消費税減税こそ緊急かつ最大の物価対策だ」と述べ、消費税減税、免税業者やフリーランスに増税となるインボイス中止を迫りました。

 岸田首相は、消費税が社会保障の重要な財源という従来の主張を繰り返し、消費税減税やインボイス中止を「考えていない」と述べました。

 賃上げの問題で高橋氏は「政治の責任で賃金の底上げを行うべきだ」と主張。大企業の内部留保に課税し、中小企業の賃上げを支援して最低賃金を一律1500円にすべきだと求めました。

 また高橋氏は、介護労働者の処遇改善には400億円弱しか計上しない一方、今回新たに半導体大手への補助など4兆3000億円もの基金を積み増すことを「予算の優先順位が逆だ」と批判しました。

 高橋氏は「まともな経済対策を取れず、度重なる不祥事で国民の支持を失った岸田内閣は退陣する以外にない」と迫りました。

 岩渕氏は非正規公務員の賃上げ問題で質問しました。国や自治体の非正規雇用の75%を女性が占め、その多くが低賃金で男女の賃金格差拡大の要因となっているにもかかわらず、経済対策に「男女の賃金格差の是正」という言葉も入っていないと批判。「政府が率先して、非正規公務員の賃上げに踏み出すべきだ」と求めました。

 岩渕氏は、先進国の中でも極端に低い日本のエネルギー自給率を批判。G7(主要7カ国)で日本だけが石炭火力発電からの撤退期限を示していないことに対し、廃止期限を決めるとともに「再生可能エネルギーの導入を妨げる原発の優先給電をやめるべきだ」と迫りました。

 首相は、日本のエネルギー政策で「原発が過度に優先されることはない」と強弁しました。

(「しんぶん赤旗」2023年11月21日付)

 

ガザ即時停戦を要求

高橋・岩渕氏 国際社会に訴えよ

衆参本会議

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員と岩渕友参院議員は20日の衆参本会議で、ガザの人道的危機が深刻化しているとし、政府はイスラエルによるガザへの大規模攻撃の中止と即時停戦を国際社会によびかけるべきだと求めました。

 高橋氏は、「ガザが『こどもたちの墓場』と化している」「国際人道法の明白な違反だ」と非難するグテレス国連事務総長の言葉を引用し、「ガザのジェノサイドを許してはならない」と強調。「民間人を多数犠牲にする軍事行動を直ちに中止するよう求めるべきだ」と迫りました。

 岩渕氏は、ジェノサイドの重大な危機が目の前で進む中、それでも岸田文雄首相は「現場の状況が確認できていない」とし、イスラエルの国際人道法違反を正面から批判しないのかと強調。共産党が声明「ガザ攻撃中止と即時停戦にむけての各国政府への要請」を発表したことに言及し、「首相もこの立場で即時停戦を求めるべきだ」と訴えました。

 岸田首相は、イスラエル軍の行動に関する事実関係を把握することが困難な中で法的評価は控えるとしたうえで、「人道的休止、国際法に従った対応を要請してきている」としか答えませんでした。

(「しんぶん赤旗」2023年11月21日付)

 

ー議事録ー

○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、二〇二三年度補正予算案について質問します。(拍手)
 国連のグテーレス事務総長は、ガザが子供たちの墓場と化している、国際人道法の明白な違反だと強く非難しています。ハマスの無差別攻撃は国際法違反であり、絶対に許されるものではありませんが、どんな理由があっても、ガザのジェノサイドを許してはなりません。
 政府は、イスラエルの軍事行動を国際法違反と批判し、民間人を多数犠牲にする軍事行動を直ちに中止することを求めるべきではありませんか。
 安保理決議は、ガザ地区全体における十分な日数の緊急かつ拡大された人道的戦闘中断を決議しました。戦闘休止とハマスの人質解放が伝えられていますが、今必要なのは即時停戦です。そのための緊急行動を国際社会に呼びかけるべきではありませんか。総理、お答えください。
 内閣府は、七月から九月のGDPが実質〇・五%減、三四半期ぶりにマイナス成長となったと発表しました。年率換算で二・一%のマイナスですが、GDPの五割強を占める個人消費の落ち込みが影響しています。しかも、その最大のものは食料品の値上げによるものです。
 総理、国民は、日々、食べるものまで切り詰める深刻な状況に追い込まれています。補正予算案は、もう暮らしていけない、そういう国民の声に応えるものになっているでしょうか。
 半年先に一回限りの所得税減税は、各種世論調査でも約六割が評価しないと答えています。毎日の買物で減税効果を実感できる消費税減税こそ、緊急かつ最大の物価対策ではありませんか。免税業者、フリーランスにも増税となるインボイスは中止すべきです。
 政治の責任で賃金の底上げを行うべきです。日本共産党は、大企業の莫大な内部留保に課税し、中小企業の賃上げを応援する財源にして、最低賃金全国一律千五百円を訴えています。中小企業の賃上げ支援は、設備投資などの間接補助ではなく、直接補助を、黒字を条件とせず行うべきです。
 政府は、介護職員の処遇改善に三百六十四億円計上しています。これは、常勤介護職員の数に六千円を掛けたものにすぎません。これでどうして介護で働く全ての職員の賃上げができるでしょうか。そもそも、昨年度の介護労働実態調査においても、介護処遇改善加算を算定した事業所は七五%で、そのうち基本給を引き上げたのは四割にもなりません。全ての介護労働者に届く仕組みにすべきです。
 二百十五万人の介護労働者の処遇改善には四百億円足らずの一方で、政府は、今回新たに半導体大手への補助など、四兆三千億円もの基金を積み増ししています。予算の優先順位が逆ではありませんか。来年のトリプル改定に際し、医療、介護、福祉の報酬を賃上げと労働条件改善に結びつけるべきです。
 二〇二四年問題が叫ばれています。物流、運輸などの分野で担い手が不足している背景には、毎年過労死などがトップという長時間労働と低賃金があります。五年間も残業規制を猶予しながら、政府は何をしてきたのでしょうか。人間らしく働ける条件改善と多重下請構造にメスを入れ、暮らせる賃金が確実に手元に届く仕組みをつくるべきと考えますが、答弁を求めます。
 こどもまんなか社会を語る前に、各自治体に広がっている学校給食の無償化、子供医療費の無料化、国保の子供均等割は無料、これらを国制度にすべきです。
 こども未来戦略方針の加速化プランの財源のため、支援金制度を創設するとしています。広く医療保険料に上乗せするのに、新たな負担を生じさせない、子育て世帯は給付が負担を上回ると説明しているのはなぜでしょうか。子育て世代の最大の要望は教育費の負担軽減です。高等教育の無償化目指し、学費も奨学金返済も半額、入学金ゼロへ踏み出すべきではありませんか。
 気候変動、地球の危機は早まっています。日本が国際社会の中で責務を果たすためには、省エネや産業部門での脱炭素の取組は当然ですが、重要な鍵は、エネルギーと食料の自給率を抜本的に高めることです。日本の食料が輸入頼みなのに対し、諸外国は補助金で自国の農業を守り、飢餓のときには輸出を制限します。生産者と地域、国土を守るために、生産費に見合う支援をするべきです。
 原発事故の反省を忘れたかのような原発推進はあり得ません。原発ゼロを前面に、地域住民が賛成できる再エネでエネルギーの自給率を高めるべきではありませんか。
 マイナ保険証の利用率が四・五%にとどまっているとして、利用促進に八百八十七億円計上しています。国民が求めているのは、保険証を残すことです。デジタル化に対応できないクリニックなどが閉鎖を決断しているのが現実です。やることが本末転倒ではありませんか。
 軍事費に過去最大の八千百三十億円を計上したことは重大です。敵基地攻撃能力のための長射程ミサイルの取得、沖縄県民の意思を踏みにじる辺野古新基地の埋立費用、馬毛島への巨大基地建設、オスプレイの佐賀空港配備など、憲法九条を踏みにじり、住民の反対の声を押し切って基地増強を進めることは断じて許されません。削除を求めます。
 最後に、まともな経済対策を取れず、度重なる不祥事で国民の支持を失った岸田内閣は退陣する以外にないことを指摘し、質問を終わります。(拍手)
 
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 高橋千鶴子議員の御質問にお答えいたします。
 ガザにおけるイスラエル軍の行動についてお尋ねがありました。
 イスラエル軍による個別具体的な行動については、事実関係を十分に把握することが困難である中、その法的評価をすることは控えますが、しかしながら、我が国は、全ての当事者が国際法に従って行動すること、これは一貫して求めてきております。イスラエルに対しても、これまで、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する旨を伝えた上で、人道的休止が必要であること、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきております。
 私自身、先般のAPEC首脳会議の機会を含めて関係国と会談を重ね、ガザ地区の人道状況改善や事態鎮静化に向けた協力を確認しております。
 引き続き、全ての当事者に国際人道法を含む国際法の遵守を求めつつ、関係国、国際機関との間で意思疎通を行い、人道状況の改善と事態の鎮静化等に向けた外交努力を積極的に続けてまいります。
 消費税減税とインボイス制度についてお尋ねがありました。
 物価高対策としては、燃料油、電気・ガス料金の激変緩和措置を延長するとともに、最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々に寄り添った対応を図るために、住民税非課税世帯に対して、既に措置した三万円に加えて、できる限り早く七万円を追加し、一世帯当たり十万円を目安に支援を行います。
 加えて、先週十五日の政労使の意見交換において行った賃上げの協力のお願いや、賃上げ促進税制の強化等の賃上げの取組と、所得税、住民税の定額減税の実施により、官民連携して、来年に向けて賃上げを含めた可処分所得が物価を超えて伸びていくよう取り組んでまいります。
 その上で、消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられており、その税率を引き下げることは考えておりません。
 また、インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを廃止することも考えておりません。
 中小企業に対する賃上げの支援についてお尋ねがありました。
 賃上げは、言うまでもなく、岸田政権の最重要課題です。最低賃金については、最低賃金法で定める労働者の生計費等を考慮しつつ、着実な引上げを行っていくため、引き続き、公労使三者構成の最低賃金審議会で、毎年の賃上げ額についてしっかりと議論をいただく必要があります。そうした積み上げにより、二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均が千五百円となることを目指してまいります。また、労働者の七割が働いている中小企業の賃上げをしっかりと後押しするため、省力化投資などの生産性向上支援や価格転嫁対策を進めてまいります。
 なお、賃金の直接補填については、企業の生産性や稼ぐ力を向上させない限り企業収益の拡大につながらず、長期的な賃上げや事業の継続に結びつかないことから、慎重な検討が必要であると考えております。
 介護職員等の賃上げについてお尋ねがありました。
 介護、医療、福祉分野における賃上げの対応は喫緊かつ重要な課題であると認識をしております。
 このため、今般の経済対策においては、介護等の分野について、人材確保に向けて必要な財政措置を早急に講ずることとし、補正予算案において、そのための措置を盛り込みました。
 その上で、令和六年度の介護報酬、診療報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定において、活用可能な法人における賃上げ税制の活用等も踏まえつつ、必要な処遇改善の水準の検討と併せて、現場の方々の処遇改善に構造的につながる仕組みを構築するべく、検討を深めてまいります。
 物流二〇二四年問題への対応についてお尋ねがありました。
 これまで、トラックドライバーの処遇改善を図る観点から、平成三十年に標準的な運賃を創設し、その周知、浸透を図るとともに、荷主に対する要請等を継続して行ってまいりました。
 こうした取組を加速化するために、本年六月に物流革新に向けた政策パッケージを策定し、このうち、特に緊急的に取り組む対策については、物流革新緊急パッケージとして取りまとめ、今般の総合経済対策に盛り込んだところです。
 その中で、標準的な運賃の引上げ、トラックGメンによる悪質荷主の監視、指導強化等を図るとともに、構造的な対策として、荷主への荷待ち時間削減等の取組の義務づけや、元請事業者への多重下請構造是正に向けた運送体制可視化の義務づけなど、労働時間縮減と賃上げ原資確保を同時に図る措置の法制化にも取り組み、エッセンシャルワーカーとして日本の物流を支えておられるトラックドライバーの処遇改善に全力を尽くしてまいります。
 少子化対策の施策やその財源、教育費の負担軽減についてお尋ねがありました。
 御指摘の学校給食費の無償化については、全国ベースの実態調査を行い、その上で、課題の整理を丁寧に行ってまいります。子供の医療費については、無料化を国の制度にすることによる受診行動への影響なども見極める必要があることなど、課題が多いと考えております。子供の医療費の負担軽減及び国民健康保険における子育て世帯の負担軽減については、基礎となる国の制度と、各地域における様々な実情を踏まえた地方自治体による支援が相まって行われることが適当であると考えております。
 また、少子化対策については、当面の集中的な取組の財源確保に当たっては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、国民に実質的な追加負担が生じないことといたします。
 教育費の負担軽減については、令和六年度から、給付型奨学金等の対象を多子世帯や理工農系の学生等の中間層への拡大を行うとともに、貸与型奨学金の減額返還制度の年収要件を緩和いたします。加えて、多子世帯の学生等に対する授業料等減免について、執行状況や財源等を踏まえつつ、更なる支援拡充を検討し、年末までに具体化を進めてまいります。
 食料とエネルギーの自給率向上等についてお尋ねがありました。
 国民の生活基盤である食料とエネルギーの自給率を高めていくことは、極めて重要な課題です。
 食料自給率については、収入保険制度等により農業者の経営安定を図りつつ、過度に輸入に依存している麦、大豆、飼料作物等の国内生産の拡大を一層進め、需要に対応した農業構造への転換を支援すること等により、その向上に取り組んでまいります。
 また、エネルギー自給率については、将来にわたってエネルギーを安定的に供給する体制を構築するべく、徹底した省エネの推進と、地域と共生した再エネ、安全性の確保を大前提とした原子力など、あらゆる選択肢を確保し、その向上に取り組んでまいります。
 マイナ保険証の利用についてお尋ねがありました。
 マイナ保険証は、我が国の医療DXを進める上で基盤となる仕組みであり、マイナ保険証の利用件数は、九月、十月と再び増加傾向になっています。
 今般の補正予算では、マイナ保険証の利用促進のための医療機関等への支援に必要な予算を計上しており、まずは一度、国民の皆様にマイナ保険証を使っていただき、質の高い医療などメリットを感じていただけるよう、医療機関や保険者とも連携して、利用促進の取組を積極的に行ってまいります。
 また、院内の電子化が進んでおらず、紙レセプトで請求を行っている医療機関については、オンライン資格確認の導入を義務としないなどの措置を講じつつ、適正に導入を進めています。
 なお、現行の健康保険証の廃止は、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提との方針にのっとり、ひもづけ総点検とその後の修正作業の状況も見定めた上で、更なる期間が必要と判断される場合には必要な対応を行ってまいります。
 防衛関係費に係る補正予算についてお尋ねがありました。
 国民の安全、安心を確保することは、経済社会を持続可能なものとするための大前提です。安全保障環境が厳しさを増す中、令和五年度補正予算案では、自衛隊の運用体制の速やかな確保や災害対処能力の強化等のため、八千百三十億円を計上いたしました。
 一層厳しさを増す安全保障環境に的確に対応するため、防衛力の抜本的強化を進めてまいります。(拍手)

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