○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりましたがん登録等の推進に関する法律案について、一言意見を申し述べます。
がんは、依然として死亡原因の一位を占め、国民の命と健康を守るために、国が総合的ながん対策を進めることが必要です。がん登録を法制化することは、国民や患者に対してデータに基づく適切ながん対策を供し、がん医療の質の向上のために必要であり、賛成であります。
その上で、本法案は、実名のがん罹患情報という極めてセンシティブな情報を集めた巨大なデータベースができるものであり、実施は慎重であるべきです。
〇六年度厚生科学研究、地域がん登録の法的倫理的環境整備に関する研究は、拒否権を認めない全数登録導入のためには、広く国民の間で議論され、その内容とその必要性に関して、国民の認識と理解、支持が得られることが前提として不可欠としています。
本法案は、本人の同意なく患者の情報を都道府県に提供する仕組みであり、患者が拒否することも認めていません。データの精度を高めるための措置でありますが、抵抗感を持つ患者なども多くいることが予想されます。制度の周知と患者に理解を得るための取り組み、システムへの侵入防止を含め、厳格な情報漏えい防止措置が必要であることは言うまでもありません。また、患者本人による情報の開示請求は、諸外国でも認められており、見直しを検討すべきであります。
次に、登録作業が義務づけられる病院等について、ただでさえ厳しい医療現場に、負担のみが課せられることがあってはなりません。事務負担に配慮した財政支援が不可欠です。
最後に、病による苦痛に加え、医療崩壊進行によるがん治療の地域格差、高額な治療費等が患者、家族にのしかかる現状を打開することが急務です。混合診療の拡大で、所得の格差が命の格差を招くことがあってはなりません。
患者、家族の強い思いによって制定されたがん対策基本法の趣旨にのっとり、どこにいても必要な治療、検査を受けられる医療体制の整備、国の責任で、専門医の配置や専門医療機関の設置を進め、所得や地域にかかわらず高度な治療、検査が受けられる体制の確立、未承認抗がん剤の治験の迅速化と速やかな保険適用など、総合的がん対策を推進することを求めて、意見表明といたします。