――議事録――
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、一般用医薬品のインターネット販売をほぼ全面解禁するものです。ことし一月の最高裁判決を契機に、事実上ネット販売が野放し状態となっている現状から、早く適切な規制のもとに置くのは必要なことです。しかし、最高裁が下した判決は、国会での審議抜きに一般用医薬品のインターネット販売を薬事法施行規則で規制しようとしたことは行政の権限を越えているというものでした。したがって、施行規則の内容を法制化すれば足りるはずであります。
ところが、六月の日本再興戦略に一般用医薬品のインターネット販売が位置づけられ、とりわけ総理自身が、厚労省の検討会の報告を待たずに全ての医薬品を解禁すると表明したことが、わずか〇・二%のスイッチ直後薬品や劇薬などを例外とし、全面解禁へかじを切ることになったのでありました。
反対の第一の理由は、医薬品の対面での販売という原則を崩すことによって、専門家による情報提供、相談や受診勧奨などが十分行えず、過剰投与や飲み合わせなど、安全性のリスクが高まると考えられるからです。
第二に、インターネットでは、無届けやにせ薬の販売など、悪質な業者を排除する仕組みに限界があるからです。薬事監査の体制を強化、確保することはもちろんのこと、一気に対象品目を広げず現行のままにとどめ、あくまでネットは対面販売の補完的役割に限定すべきです。
第三に、医薬品がインターネットのショッピングモールで他の商品と同列に売られることによる弊害が危惧されるからです。リコメンド機能、口コミも、誇大広告につながるからと、禁止することは当然であります。しかし、モールでは、ポイントアップセールなど、まとめ買いを誘発する仕組みがもともとあること、お得意様番号の利用によって服薬履歴などの個人情報が名寄せされるおそれがあること、モール運営者の責任が曖昧で、問題があったときの管理責任が問われないことなど課題も多く、薬局による単独のサイトに限定すべきだと考えます。
なお、みんなの党提案の修正案は、成長戦略に基づく規制緩和を早めよという趣旨であり、反対であります。
終わりに、厚労省の前庭には、一九九九年に建立された薬害根絶「誓いの碑」があります。「命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する」。
薬事法改正の歴史は、薬害被害者、遺族らの闘いの歴史でもあります。たとえ消費者のニーズがあるからといっても、薬事行政は、利便性や効率性のために安全性をないがしろにしてはならないことを強く指摘し、反対討論といたします。(拍手)