規制緩和の狙い批判
高橋議員 ライドシェア問題で
衆院特別委
(写真)質問する高橋千鶴子議員=14日、衆院地こデジ特委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は14日、衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、一般ドライバーが自家用車で有償送迎するライドシェアについてただしました。
政府はデジタル行財政改革会議や規制改革推進会議でライドシェアについて規制緩和の議論を進めています。
高橋氏は、河野太郎デジタル行財政改革担当相が「守るべきは規制ではなく、移動の自由」と述べているとして目指す姿は何かと質問。河野担当相は「自動運転やタクシーの規制緩和、俗にいうライドシェアの導入拡大で移動の自由を保障したい。ライドシェアに定義はなく、諸外国ではいろいろ行われており、ざっくりそういうもの」と答弁しました。
高橋氏は、10月に開催されたデジタル行財政改革課題発掘対話で、金丸恭文アドバイザリーボード構成員が「河野大臣によって、ライドシェアという言葉を政府の会議で使えることになったことは大きな進展」と発言したことを紹介。金丸氏が参加していた2019年の政府の未来投資会議でメンバーの竹中平蔵氏が「日本がライドシェアで出遅れ1兆円逃した」と発言したことをあげ、大胆な規制緩和で営利型のライドシェア導入を考えているのかと追及しました。河野担当相は「移動の自由が保障されれば買い物の回数も増え、余計に買おうかとなり経済効果はある」と答えるのみでした。
高橋氏は、河野担当相が繰り返す通学、通院などの足を守るためだけの話なら、国交省の話であり河野担当相の出番ではないと指摘し「この答弁も議事録に残る」とくぎをさしました。
(「しんぶん赤旗」2023年11月18日付)
国民に負担押しつけ
高橋氏 子ども「支援金制度」ただす
衆院特別委
(写真)質問する高橋千鶴子議員=14日、衆院地こデジ特委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は14日、衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、政府が6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」の「こども・子育て支援加速化プラン」の財源として創設する「支援金制度」についてただしました。
高橋氏は、経団連が消費税増税は有力な選択肢だとする提言を出したが、「広く負担を国民に押しつけるという意味では、消費税も支援金も同じではないのか」と質問。加藤鮎子こども政策担当相は、財源について「追加的な国民負担が生じないことを目指し、年末にかけて具体的な設計を行う」と答弁しました。
高橋氏が「消費税は国民の拒否感が強いから支援金という制度にしたのではないか」と追及すると、加藤氏は「(支援金制度は)公平な立場で広く負担していく新たな枠組みだ。社会保険料の徴収ルートを活用する」と答弁しました。
同制度の財源は2028年度までに歳出改革などで賄うとされています。高橋氏が「社会保障の削減や抑制がされれば実質負担増ではないか」「給付が拠出を大きく上回る根拠を示すべきだ」と迫ると、こども家庭庁の熊木正人支援金制度等準備室長は「賃上げ、歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせる。年末の予算編成過程をへて決定される」と答弁。高橋氏は「経済が成長すれば賃上げにもなり、負担軽減になるというのは単なる希望的観測だ」と批判しました。
(「しんぶん赤旗」2023年11月15日付)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
まず、河野大臣に質問をいたします。
大臣は、デジタル行財政改革会議課題発掘対話、また、昨日は規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキング・グループがあったわけですが、いずれの機会においても、守るべきは規制ではなく、移動の自由と述べております。
道路運送法七十八条は、白タク行為の禁止の例外として、自家用有償旅客運送を認めております。しかし、あえてライドシェアの課題と岸田総理が述べているわけでありますので、河野大臣が目指すライドシェアの姿とはどのようなものなのか、伺いたいと思います。
○河野国務大臣 今、我が国は、人口減少と都市への人口の集中で多くの地域で過疎化が進み、公共の交通機関がなかなか住民の移動のサービスを提供できないという地域が増えているという状況にある中で、やはり、移動の自由というのは非常に大事なことでございます。
そのために、一つは自動運転、これを早期に導入をする、二つ目として、タクシーの規制緩和あるいはタクシーを運転するための二種免許の規制緩和、これをやっていく、三つ目に、俗に言われるライドシェアの導入拡大ということを通して、日本のそれぞれの地域での移動の自由というものをしっかりと保障していきたいというふうに考えております。
ライドシェアという言葉にはなかなか定義がなくて、諸外国を見てもいろいろなことが行われておりますので、ざっくりそういうものをどう拡大していくかということを考えていく必要があるかなというふうに思っております。
○高橋(千)委員 俗に言われるライドシェアと。それで、ざっくりとおっしゃいましたが、そこが大きな争点になっていると思うんですね。なぜなら、やはり、国交省ではなく、なぜ河野大臣か、そこが何を狙っているのかということになると思うんですね。
十月十六日のデジタル行財政改革課題発掘対話において、アドバイザリーボードの委員である金丸恭文氏は、未来投資会議では、今日のようなテーマで、ライドシェアという言葉がなかなか当時の政治情勢では言えなかったんです、今回、河野大臣になられて、ライドシェアという言葉がこうやって政府の会議で使えることになったのは大きな進展、こういうふうにお話をされているんですね。
では、当時、未来投資会議、どんなことを議論していたのかと思って見ますと、二〇一九年五月十五日の未来投資会議で、竹中平蔵氏が、アメリカ、中国、シンガポール、インドネシア、それぞれで成功事例がある、ライドシェア市場は間もなく十兆円と言われる、日本が早い時期に出ていて、一割のシェアを取っていたならば一兆円だ、重要なものを逃していたと発言されています。つまり、もっと早く導入していれば一兆円云々の利益があったんだと。それを今度は逃がさないための河野大臣なのではないのか。
大胆な規制緩和で営利型ライドシェアの導入を考えているのか、新経済連盟などは三兆八千億円という経済効果の試算もしておりますが、いかがお考えでしょうか。
○河野国務大臣 今、地域によっては、買物に行きたくても、そこまでの足がないというようなところもございます。移動の自由というものがきちんと保障されれば、買物の回数も増えて、あるいは、歩いて帰らなきゃいけないから手に持てるだけにしようというものも、もう少し余計に買おうかということになる。そういう意味での経済効果はあるのかもしれません。
買物だけでなく、高校生などの登校にもやはり公共交通機関は必要でございますし、病院へ行くということにも必要です。また、特に目的もなく動くことができないということでは、これはなかなか豊かな暮らしというわけにはいきませんので、地域の移動の自由を保障するというのは、これは非常に大事な政治課題というふうに思っております。
○高橋(千)委員 意外に、河野大臣にしては慎重な答弁であったかなと思います。
買物で足があればもっといっぱい買えるので経済効果と、本当にそれだけであれば、やはり地域公共交通をどうしていくかという課題なんですね。やはりタクシーというのは地域公共交通の大事な担い手の一つである、これは、国交大臣、お認めになっております。
だからこそ、まあ、タクシーの規制緩和というのも話題に上っているのは存じ上げておりますが、そうしたことをやはりもっと突き詰めていってタクシーを地域でもっと活用することができるはずだ、そのために地域交通に位置づけてということは議論しているんですよ。だけれども、規制改革の文脈で河野大臣が登場するというのはそこだけですか、それだったら別に河野さんの出番はないんじゃないですかと思うから聞いております。
○河野国務大臣 ちょっと今のが質問だったかどうかよく分かりませんが、私はもう慎重居士として有名でございます。
○高橋(千)委員 この答弁も議事録に残るわけですから、しっかりとその後の対応を、全然言っていたこととやっていたことが違うじゃないかということにならないようにお願いをしたいと思います。
やはり今、OECD加盟国三十八のうち三十か国で禁止をされております。これはもう既に確認をされていることでありますが、決して世界がライドシェアに突き進んでいるというわけではないので、そのために河野大臣に期待している方がいらっしゃると思いますが、今のお言葉、地域を大事にするということだけを引き受けたいと思います。
では次に、加藤大臣に伺います。
九日に支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会が開催されて、こども未来戦略方針に盛り込まれた加速化プランの財源の在り方について検討が開始されました。
資料はその抜粋でありますが、まず三枚目を見ていただきたいと思います。最初の1の四行目、「消費税などこども・子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わない。」と書いてあります。経団連が、九月に、少子化対策へ消費税増税は有力な選択肢とする提言を行いました。これまでも社会保障四分野に消費税は使われておりますし、子育てもその一つとして使われてきたと思います。
今回創設しようとする支援金制度も、広く国民に負担増になることに変わりはないと思いますが、消費税ではなく支援金にした違いは何でしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
こども未来戦略方針に掲げられた加速化プランを実施していく上では、二〇三〇年代に入るまでが少子化傾向を反転できるラストチャンスであり、我が国にとって待ったなしの課題であること、また、企業も含めた社会経済の参加者全員が子育て世帯を支え、応援していくという視点が重要であることを国民の皆様に広く御理解をいただくことが重要であると考えております。
その上で、政府におきましては、本年六月に策定したこども未来戦略方針の加速化プランを支える財源について、消費税など子供、子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わないこととしております。
支援金制度につきましては、現在、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で広く負担していく新たな枠組み、すなわち、新しい分かち合い、連帯の仕組みとして検討を進めており、租税とはその性格が異なるものであると考えております。
また、少子化対策の財源につきましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより追加的な国民負担が生じないことを目指しており、引き続き、年末に向けて具体的な設計を行ってまいります。
○高橋(千)委員 消費税はやはり国民の拒否感が強いから、こうした支援金という制度にしたんじゃないでしょうかね。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
支援金制度は、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯をし、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みでありまして、税以外の形式のものとして検討をしております。具体的には社会保険の賦課徴収ルートを活用することとされており、関係省庁と連携しつつ、具体的な制度設計を速やかに進めてまいります。
○高橋(千)委員 企業を含め全員が参加をするということをお答えになりました。しかし、広く国民に支援金負担を求めるということが、確かに企業は参加しております。でも、どういう説明をしているかといいますと、財政制度審議会の分科会の資料の中に出てくるわけですが、子供、子育て支援強化の財源として、広く国民に支援金負担を求める以上、現行の事業主拠出金について、最大限の活用を図ることも必要不可欠であり、加速化プランが完了する二〇二八年まで現行の料率を維持することを前提に支援の拡充を検討すべき、つまり、事業主の拠出金については増やさない、その上で広く皆さんに負担を上乗せするとおっしゃっている。違いますか。
○加藤国務大臣 いずれにしましても、具体的には社会保険の賦課徴収ルートを活用されることとされておりまして、関係省庁と連携しつつ、具体的な制度設計を速やかに年末に向けて進めてまいります。
○高橋(千)委員 ですから、今、結局お答えができなかったと思うんです。経団連が、自分たちの法人税などは減らしながら、消費税を増税しろと言っている。それには応えないけれども、結局、負担は増やさない形で、国民に社会保険料を求めると言っているんですよ。これは同じ立場なんだということを指摘したいと思います。
支援金制度の具体的設計に関する大臣懇話会で示された位置づけについて、資料の1の三つ目の丸を見てください。支援金が創設されても、全体として実質的な追加的な国民負担を生じさせないことを目指すとあります。この根拠を説明してください。
○熊木政府参考人 お答えさせていただきます。
少子化対策の財源につきましては、「二〇二八年度までに徹底した歳出改革等を行い、それらによって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す。」これが本年六月に閣議決定されましたこども未来戦略方針に記されていることでございます。
現在、政府全体、そして、こども家庭庁におきまして、この方針に沿って具体的な設計を行っているということでございます。これを根拠といたしまして、具体的な設計を行っているということでございます。
○高橋(千)委員 歳出削減の効果が、それが国民負担の軽減と言い切れるのか。それは何を削減するかをちゃんと示していただきたいと思うんですね。歳出改革については特に指定されていないんです。かつて小泉構造改革のときのように、毎年、自然増だということで、二千二百億円削減するということが大変な改悪、痛みだったことは皆さんもよく御存じだと思います。
社会保障サービスの削減や抑制が歳出改革という名でされるというのであれば、実質、国民負担増と言えるのではないでしょうか。
○熊木政府参考人 お答えをいたします。
歳出改革の中身につきましては、これはまた政府全体として現在検討しているところでございます。
サービス提供側の質の向上ですとか効率化、それから例えば、医療提供体制の効率化、介護分野におけるITの活用、そういった幅広い取組を視野に入れてございます。
年末までに策定する具体的な改革工程の中でお示しをし、現在も毎年実施していますように、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程を通じて着実に実施してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 例えば、介護の利用料の負担増ですとか、あるいは利用が抑制されるですとか、そうした意味の実質負担増、私が言っている、そういうことはないとおっしゃっているんですか、確認します。
○熊木政府参考人 お答えいたします。
こども家庭庁のみならず、政府全体で検討してまいる事柄ではございますけれども、現在、社会保障につきましては、全世代型の社会保障を構築する、そういう観点から幅広い検討を行っていることでございます。これは引き続き続けていく必要がございます。
その内容につきましては、先ほど申し上げたものを例示させていただきました。具体的には、改革工程というものをつくる中で、そして、毎年度、それぞれの改革についてしっかりと議論する中で実現してまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 これも具体的にはお認めできなかったと思うんですね。実質負担増とはしないということを言い切っていただきたかったなと思います。
それで、資料の2の四つ目の丸のところで、「子育て世帯にとっては、給付が拠出を大きく上回る」、こう書いております。これも根拠は何でしょうか。
○熊木政府参考人 まず、こども未来戦略方針におきまして、支援金制度、先ほど大臣から御答弁させていただいたとおり、企業を含め社会経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく枠組みとされております。
なお、支援金制度につきましては、賃上げと歳出改革によって実質的な国民負担の軽減効果を生じさせて、その範囲内で構築するということとしてございます。
その上で更に申し上げますならば、支援金制度というのは、今申し上げましたように、企業、そして全世代、さらには歳出改革の努力によって生み出された公費、こういったものを合わせて、それらを全て子育て世帯を支えるということで仕組みとするものでございます。
そうした枠組みでございますので、加速化プランに基づく給付の拡充の対象となる子育て世帯にとりましては、給付が拠出を大きく上回る、そういう枠組みになると考えてございます。
その支援金制度の規模等々につきましては、年末にかけての予算編成過程を経て決定されることとなりますので、現時点で結論を出しているものではございませんが、引き続き、政府全体として検討を進めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 どれも確信はないし、どちらかというと希望的観測みたいな答弁だと思うんですね。
総理の賃上げの答弁を聞いていても、景気が上向いて、デフレ脱却して、結果として賃上げになる、こういうような答弁をされるわけですね。今のおっしゃっていることも結局そうなんですよね。歳出改革をやって、徹底して見直していって、賃上げが進んで、そうしたら拠出よりも給付が上回るというふうな答弁にすぎないと思うんです。
だったら、これは給付が拠出を上回るということは絶対原則なんだ、それから、新たな負担はもう絶対ないんだ、そのためにどうやったら制度設計ができるのかということを、やはり説得力を持ってやっていく必要があるのではないか。そういう意味では、私たちは賃上げの問題も含めて改革プランを出しておりますけれども、そこは曖昧にしないで議論していただきたいと思います。
あと、最後に一言。加速化プランというのは、もう時間が来たので、じゃ、言い切りにします。三年間の集中的な取組という理解でありました。
ただ、三年間は、もう歳出改革とかいろいろやっていって、その先に支援金制度。でも、支援金制度というのは、多分恒常的なものだと思うんですよね。じゃ、三年間のこの加速化プランがここでとどまってしまったら、こども未来戦略方針としても、異次元のという言葉はもう使っていないようですけれども、非常にちっちゃなものに終わってしまうなと。もっともっと議論すべきことがあったなということを指摘をしたいんです。
その点では今日もう一つお話しするつもりでしたが、時間が来ましたので、次の機会を是非いただきたいと思います。
ありがとうございました。