保険証廃止中止せよ
高橋氏「カード取得は任意」
衆院特別委
(写真)質問する高橋千鶴子議員=8日、衆院地こデジ特委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は8日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、マイナンバーカードと保険証を一体化させる「マイナ保険証」の相次ぐトラブルを指摘し、「準備が間に合わなかったことを率直に認めるべきだ」と来年秋の一体化中止を迫りました。
高橋氏は、マイナ保険証に別人の診療情報がひも付けられる事案などあってはならないと批判。また、そもそもカードの取得は任意で「一方的に(現行の健康保険証)廃止はできないはずだ。準備期間を考えても、来年秋というのはあまりにも早い」と強調しました。
さらに、4月に更新された厚生労働省の医療機関・薬局向け公表資料に「健康保険証でも受診できます」と明記していると指摘し、「来年秋に廃止の想定はもともと厚労省にはなかったのではないか」と追及。河野太郎デジタル相が準備期間の「5年を5カ月で」と前倒しを求め、急ぎすぎたことで「準備が間に合っていない」と訴えました。
伊佐進一厚労副大臣は、昨年の骨太方針では保険者が選択できるとして「原則」廃止としていたことを認めたものの、「(オンライン資格確認の)導入状況の進捗(しんちょく)と一体化のメリットを踏まえた上で、保険証を廃止することにした」と強弁。高橋氏は「いったん立ち止まるべきだ」と重ねて強く主張しました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月10日付)
個人情報侵害の恐れ
地方分権一括法案可決 高橋氏が反対
衆院特別委
7法案を束ねた地方分権一括法案が8日、衆院地域・こども・デジタル特別委員会で可決しました。日本共産党は反対しました。
共産党の高橋千鶴子議員はデジタル化で国と地方の関係はどう変わるかと質問。岡田直樹デジタル田園都市国家構想担当相は「デジタル技術の活用で地方自治体の業務の効率化と負担軽減を図り、地方が創意工夫を発揮できる業務に注力してもらう」と答えました。
高橋氏は、今年度内に稼働する戸籍情報ネットワークシステムで、全国の市町村からどれだけの戸籍情報が法務省に集中するのかと質問。法務省の松井信憲審議官は、2013~20年に全市町村の戸籍副本のデータを保存したと答弁。戸籍情報の更新は現在1日1回で、システムが稼働すれば随時更新するとして、21年度は388万件の届け出があったと答えました。
高橋氏は、戸籍は究極の個人情報で、同システムとマイナンバーはひも付けしないとする一方、コンビニでの誤交付などが起きており、プライバシー侵害への懸念や市町村の負担も大きく、「地方分権にも逆行する」と指摘しました。
災害対策基本法改定案では、災害時に必ず必要な「り災証明書」にかかわる被災住家の認定に、固定資産課税台帳を活用するとしています。高橋氏は、地方税法上の漏らしてはならない秘密に該当するため、これまでは利用できなかったと認めさせた上で、今回の改定で被害認定調査では現地での図面作成作業から始めていた認定業務が軽減されると評価。「もう住めない」という被災者の実感と被害認定が一致するようさらなる支援を求めました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月13日付)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
私は、九九年、最初の地方分権推進法のときに青森県議会におりまして、百本以上の条例案の一つ一つにマル・バツをつけました。本当に大変でしたが、一括法だから、国会で態度は反対だったからといって一律にバツをつけたのではなくて、一つ一つを審査をしたのであります。
巡り巡って、私は今、本委員会で法案を担当しているわけですが、残念ながら、一括法であるため、国民の安全、福祉などにとって問題のある法案が一つでも含まれていれば、反対せざるを得ません。
二〇一四年からは提案募集方式で、地方公共団体から寄せられた提案を基に規制緩和、簡素化などを図ってきましたが、今回は第十三次となって、問題なしと判断できる法案が増えていると感じる一方、デジタル関連が増えていると思います。デジタル田園都市国家構想総合戦略に、「デジタルの力によって地方創生の取組を加速化・深化させていく」と明記されたことによると思います。
そこで、国と地方が対等、平等、できるだけ地方への権限や税源移譲などを進めてきた地方分権の考え方とデジタルがどうリンクするのか、デジタルで国と地方の関係がどうなるという考えか、大臣に伺います。
○岡田国務大臣 お答え申し上げます。
高橋議員御指摘のとおり、地方分権改革については、これまで、国と地方の関係を上下主従から対等協力の関係に変えて、国は国の本来的な任務を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方自治体が担うということを基本として、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めてまいりました。
デジタル技術の活用によって住民の皆様の負担軽減や、また、大変お忙しい地方自治体の業務の効率化、簡素化を図ることは、それは、例えば自治体職員の皆様の負担を軽減するということのほかに、その力をもって地方の創意工夫による仕事に注いでいただくことによって、地方の自主性、自立性を高めることにもなると考えておりますし、地方分権改革においてもデジタル技術の活用は大変重要と考えております。
こうした観点から、平成二十六年に導入した提案募集方式においても、デジタルを昨年の重点募集テーマとして提案を募った結果、地方から五十一件の提案をいただき、デジタルを活用して自治体の負担軽減を行う規制緩和を行ったところであります。
デジタルの活用によって地方の業務を効率化、簡素化できる事案はほかにもあると考えております。地方が創意工夫を発揮できる業務に注力できるように、引き続きデジタルを活用した事務負担の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 言葉どおりであれば、いいことではないかと思っております。
スーパーシティを取り組んでいる自治体の首長さんが、やはりデジタルで業務の効率化、そのことによって自治体職員が本来やるべき仕事に注力できるようにということをおっしゃっていた。そうあるべきではないかと思っておりますが、そうでない場合もあるということで議論を進めていきたいと思います。
それで、法案に関連して、災害対策基本法の改正について質問します。
罹災証明書は、被災者生活再建支援法や災害救助法による住宅の応急修理などに関わる被災住家の認定、また災害義援金の配分などにも参考とされるために、災害からの生活再建の第一歩に必ず必要なものであります。
今回、この被災住家の認定に当たって、固定資産課税台帳を活用するとしています。
被災地を回って感じるのは、この被災住家の認定は、元々固定資産税を扱う部局が行っていることが多いということです。その理由と、固定資産課税台帳が被害認定に役立つのはどの部分なのか。また、固定資産税を担当する部局であっても、それを活用できないで来た理由は何か。お答えください。
○五味政府参考人 罹災証明書の前提となります被害認定調査に関するお尋ねでございますが、平時から課税のための家屋調査を行っている税務部局の職員が、その能力、経験を生かして住家の被害認定調査についても円滑に行うことができると考えられることから、税務部局の職員が、災害時におきましては被害認定調査を担当する部局の職員として調査を行うことが多いと聞いております。
今回の改正によりまして、自治体の被害認定調査を担当する部局の職員が固定資産課税台帳等の情報であります住家の木造や鉄骨造などの構造や図面といった情報を利用することが可能となり、迅速、円滑な調査を行うことが可能となります。
これによりまして、被害認定調査において、あらかじめ住家の構造に応じた調査票の準備が可能となること、現地で実際の寸法を測ることなく住家の図面の作成が可能となるなど、調査の迅速化、効率化を図ることができるものと考えております。
これまで固定資産課税台帳が使えなかったのかということに関してでございますが、住家の構造や図面等の情報は地方税法上の漏らしてはならない秘密に該当するため、本来の目的以外での利用はできなかったものと認識をしております。
引き続き、自治体と連携をいたしまして、被災者支援が円滑に進むように、被害認定調査の迅速化に取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
調査票でまたわざわざ図面に描くところから調査が始まる、その手間を省けるということで、この点は賛成をしたいと思うんですね。
同時に、固定資産課税台帳とは、やはり所在地や建築年などのほかに家屋の床面積と価格などが記載されているために、極めて機微な個人情報に当たると思います。ですから、きちんと守秘義務を課さなきゃならない、厳格な運用が必要だというのは当然だなと思うんですね。なので、あらかじめ、やはり必要な情報のみ、もっと簡単に、要するに図面の部分だけ活用できるようなシステムを工夫するとか、今後検討されたらいかがかなと思っております。
それで、内閣府防災の住家の被害認定基準について、改めてこの機会に読み返しました。
元々地震に合わせた基準ではなかったために、地盤災害に対応できないとか、液状化が評価できないとか、赤紙を張られても半壊にもならない、つまり応急危険度判定とのリンクがされていない、こうしたことを常々求めてきたんですが、それらが大分改善されたこと、また、水害との関係など、やはり規模の大きい災害のたびに見直しを行ってきたということは確認できたと思います。
同時に、固定資産税を計算する部局は、確かにそのことは慣れているし、家屋調査は慣れているんですけれども、やはり建築部局ではないので、損壊具合をどう見るかということには専門ではないということなんです。そのことの苦情もやはり出されているんですよ。なので、二次判定、三次判定と持ち込んでようやく認められたという現場の声があってのことだと思いますので、もう住めないという被災者の実感と被害認定がなるべく一致できるように自治体を更に支援していただきたい、このことは要望していきたいと思います。
次に、戸籍法について伺います。
まず、全国民の戸籍副本が法務省にデータとして蓄積されていますが、この作業をいつから始めて、どのくらいの期間で全国民のデータがそろったのでしょうか。また、戸籍情報の更新が日々市町村ではされているわけですが、どのくらいの頻度で法務省に収集されている、その情報量がどのくらいなのか、伺います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
戸籍情報については、平成二十五年の戸籍法施行規則の改正により、法務省が管理する戸籍副本データ管理システムにおいて、戸籍の副本データの保存が開始されました。令和二年に、東京都御蔵島村の戸籍のコンピューター化の完了をもって、全市町村のコンピューター化された戸籍の副本データを保存することとなった次第です。
また、戸籍副本データは、現在、一日一回の頻度で更新を行っておりますが、本年度末に稼働予定の戸籍情報連携システムにおいては、戸籍の記載に異動があった都度、随時更新が行われる予定です。
なお、令和三年度における全国の戸籍届出事件が約三百八十八万件であることから、戸籍情報連携システムの稼働後は、この程度の事件数に対応した情報の更新が行われる、そういうふうに想定しております。
○高橋(千)委員 七年かかって、全市町村が、データを寄せられたと。年三百八十八万件を処理をしている、しかも随時更新ということでは、タイムラグがあってはならないということなんだと思いますが、これはなかなかの負担だなと思って、伺いました。
二〇一九年の戸籍法改正により、今年度末から戸籍情報連携システムが稼働されます。本籍地以外でも、本人であれば戸籍あるいは除籍の証明書を請求することができるようになりますが、今回の法案は、更にそれに加えて、公用請求でも郵送によらずに当該市町村で請求することが可能になります。
例えば、空き家対策などで、登記には名前があるんだけれども、所有者や相続人を調査するために、年間五百件を超える公用請求を行っているなどという事情から、市町村からの要望が強かったと承知をしています。
そこで、一人の人間に対して、実際は本籍地以外に複数の戸籍情報があるわけですよね、結婚していると本籍を移すわけですから。そういうふうなときに、法務省のシステムは、一回の請求で一人にまつわる複数の戸籍情報が整備されているのかどうか、また、この公用請求においてマイナンバーはどのように使われるのか、伺います。
○松井政府参考人 お答え申し上げます。
戸籍情報連携システムにおいては、戸籍とマイナンバーを直接ひもづけることとはしておりません。
請求者が在籍する現在の戸籍だけでなく、過去の戸籍に遡って謄本等を取得したい場合に、一回の請求で機械的にこれらの謄本等が出力できる仕組みとはなっておりません。
なお、市町村の職員の事務の効率化という観点から、コンピューター化されている戸籍に限って過去の関連する戸籍を検索することができる機能を戸籍情報連携システムに備えることとしておりまして、この機能についてもマイナンバーを利用することは予定していないところでございます。
○高橋(千)委員 戸籍が究極の個人情報であるために慎重な扱いをしていることが読み取れると思うんですね。
ただ、ネットワークといいながら、実際には非常に手間であると。一回では分からない、戸籍の、複数の謄本があるときには分からないというふうなことにもなっております。そういう中で、コンビニ交付で誤交付が現れる、戸籍情報を重要視していることと矛盾しているんじゃないかなと思うんですね。
例えば、本人確認に情報提供用個人識別符号を使うと言っています。そうすると、マイナンバーはひもづいてはいないけれども、結局必要なわけですよ。
そういう意味で、常に情報を法務省に集中するという、地方の更新負担は変わらないということと、分権という趣旨からいってもそれは矛盾するのではないか、このように思います。
党は、前回、これは法務省所管ですので法務委員会で、法改正のときに、この点を反対をいたしました。やはりプライバシーの侵害に関わるということで。やはり、これと切り離して、非常によくなるからというほどの根拠は残念ながら見出せないので、今回、この点は反対したいと思います。
それで、マイナンバーカードの更新時期が近づいていることもあって、新マイナカードの導入をデジタル社会の実現に向けた重点計画の改定案の中に盛り込んだといいます。性別をなくすことなどが前回のマイナンバー法案の審議で附帯決議にもなりましたし、すぐにもこれは必要なことだと思います。
裏面に個人番号を書くのをやめるのかどうか。トラブル続きを受けて、セキュリティー対策を盛り込むというけれども、どのようなものなのか、伺います。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
六月六日に開催された総理出席のデジタル社会推進会議において、次期マイナンバーカードの検討を始めることについて記載をさせていただきました。会議の御了解もいただいております。
一番もっともな目的は、最新の技術動向を踏まえて、特に暗号アルゴリズムを最新のものにすることによって、時代時代、暗号はキャッチアップされてしまいますので、最新の最適な暗号技術に換装するというのが一番大きいものではございますが、加えて偽造防止技術、それから、今御指摘にあった、それに伴い券面をどうするかといったようなことも、まだ結論は出ておりませんが、様々な方の声を聞きながらしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 取りあえず、ここは分かりました。
そこで、厚労省に伺います。
マイナ保険証の他人履歴ひもづけ七千三百件、あってはならないことです。今なら、健康保険証を持参すれば、保険給付が今までどおり受けられます。
今年四月に更新したという厚労省保険局の医療機関、薬局向けオンライン資格確認に関する資料がありますけれども、QアンドAでも、一番最初に、「オンライン資格確認を導入したら、患者はマイナンバーカードがないと受診できないのですか?」とあって、アンサーは、「健康保険証でも受診できます。」とあります。薬剤情報が必要な人はカードが必要です、こういうものなんですね。今年更新したものでも、やはり健康保険証は使えるということと、最小限の入力で可能と書いてある。これは大事なことだと思うんですね。
そこで伺いたいのは、来年秋に廃止という想定は、元々厚労省にはなかったのではないか。マイナカードの取得は任意である以上、一方的に廃止はできないはずです。原則廃止とは言えても、準備期間を考えても、来年秋に廃止というのは余りにも早いのではないでしょうか。
○伊佐副大臣 昨年六月の閣議決定によりまして、本年四月からの保険医療機関等におきます医療保険のオンライン資格確認の導入を原則義務化をさせていただく。そしてまた、この閣議決定の中では、令和五年度中をめどに保険者による保険証発行の選択制の導入を目指す、これは、紙の保険証を併用するか、あるいは廃止するかを選択できるというものでございます。さらに、導入状況等を踏まえて、健康保険証の原則廃止を目指すということが昨年の六月の閣議決定に書かれております。
その後、マイナンバーカードと健康保険証の一体化にはいろいろな、様々なメリットがあることを踏まえまして、この一体化を加速していこうという観点の下で、保険医療機関等においてオンライン資格確認の導入に必要なカードリーダーの申込みが九割を超えたということ、そしてまた、来年春頃からは、訪問看護等の居宅あるいは柔道整復師等の施術所等においてもオンライン資格確認を導入する予定となったということを踏まえまして、昨年の十月、来年の秋に全ての被保険者を対象に発行してきた健康保険証を廃止するということといたしました。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化のメリット、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能となりますので、引き続き周知を進めて、更なる普及に努めてまいりたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 保険者による選択であった、原則廃止であった、そしてオンラインも原則義務化であった、これが昨年六月の骨太だと思うんですね。九割普及したというのは、限りなく一〇〇に近いけれども、やはり原則がついている、この世界だと思うんですよ。それを、いきなり廃止としたということ自体は、イコールじゃないんです。このことをやはり重ねて確認をしたいなと思うんですね。
昨年十月に河野大臣が会見をやったわけですが、その直前、九月二十九日のマイナンバーの普及・利用の推進に関する関係省庁連絡会議で、大臣は、第一に、健康保険証、運転免許証、在留カード、その他カード、資格証など、全部マイナンバーカードに漏れなく一本化、加速をしていきたいと述べました。工程表にとらわれず、更なる前倒しをやっていきたい、最近、一本化は目指すけど、相当な期間を要するという話だ、この相当な期間、例えば五年というのは五か月に単位を読み替えていただきたい、ここまで発言をされているんですね。
このことが最終的には廃止、原則のつかない廃止になってしまったんじゃないかと。そのことが、今になっては、急ぎ過ぎだと。結局、もろもろの準備をしなきゃいけなかったのに間に合わなかったということになるのじゃないか。やはりこのことは率直に認めるべきではないかと思います。
もう一回、伊佐副大臣と村上統括官に、一言お答えください。
○伊佐副大臣 昨年の六月の閣議決定におきましては、今申し上げましたとおり、健康保険証の原則廃止を目指すというのは、これは導入状況等を踏まえという前提がついております。
そういった意味では、こうした様々な導入状況の進捗、そしてまた、このメリットを、一体化する、加速化する観点、こういうものを踏まえた上で保険証を廃止するということにさせていただいたものでございます。
○村上政府参考人 改めまして、これまでのプロセスの中でも、マイナンバーカードに関して様々な国民の皆様への御不安を招くような事態を生み出していることにつきましては深く反省し、しっかりと再発防止に努めてまいりたいと思います。
その上で、政府全体で決めた方針に基づいて、マイナンバーカードの利活用をデジタル社会の基盤として進めていくべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 急ぎ過ぎたということを指摘して、一旦立ち止まるべきだと述べて、終わります。
(討論)
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、第十三次地方分権一括法案に反対の討論を行います。
本法案は、地方自治体等からの提案に基づき、七法案の改正を一括で行うものです。
これまでの地方分権一括法案について、我が党は、住民サービスの利便性の向上や行政手続の適正な遂行につながる改正には賛成するとともに、住民の命や安全、健康を脅かす規制緩和や人権侵害につながる見直しなどには反対してきました。
反対するのは、次の三つの法案です。
まず、住民基本台帳法の一部改正のうち、森林の経営権集約に住基ネットワークを活用する点です。
森林経営管理法は、森林所有者に適時に伐採等を義務づけ、その義務が果たせない森林に市町村が経営管理権を設定、集積するもので、利益の出る森林は規模拡大を目指す経営者に実地権を渡し、それ以外は自治体に責任を負わせるもので、二〇一九年改正時に反対した経緯があるためです。
次に、地方独立行政法人法の改正です。
公立大学の年度計画と評価を廃止し、中期計画中の評価を減らすもので、これ自体は大学法人と設置者である地方自治体の負担軽減になります。しかし、中期計画の目標達成のため、業務効率化のための客観的指標を求めることで、業務のリストラや運営費交付金削減を促すことになりかねないからです。
第三に、戸籍法改正案です。
今年度末稼働予定の戸籍情報連携システムについて、市町村の担当者が同一市町村の戸籍担当部局を通して公用請求を行うことができるようになります。戸籍は、婚姻、親子など、身分関係や出自に関するデータが蓄積されている究極の個人情報です。だからこそ限定的かつ厳格に扱われてきたものであり、我が党は、重大なプライバシー侵害の危険が払拭できないとして反対しました。この戸籍情報連携システムがまだ稼働しておらず、検証もできない下で更なる利用拡大をしようとする本改正案は認められません。
なお、残り四本の法案については、反対するものではありません。
終わりに一言。
本法案は、住基ネットワーク、戸籍情報、固定資産課税台帳など、根幹となる個人情報の活用が中心であります。一方、マイナカードのコンビニ誤交付や他人の公金受取口座のひもづけ、マイナ保険証に他人履歴がひもづくなど、重大なトラブルが起こっています。デジタル化は地方自治体の業務を減らし、人手不足も解消できると言われますが、元々その分野に習熟する人材が不足し、システム改修や維持に対して財政難などを抱えており、そのことがヒューマンエラーを呼び込む要因でもあるのです。デジタル社会の大前提は、国や地方行政に対する住民の信頼あってこそであり、地方自治体が豊かな個性ある行政サービスを執行できるよう、予算の裏づけ、正規雇用と増員へ抜本転換していくべきです。
以上述べて、討論とします。