国会質問

質問日:2023年 5月 9日 第211国会 東日本大震災復興特別委員会

福島復興再生特措法改正案(特定帰還居住区域、除染費の求償)

新たな区域 新たな分断

高橋氏 帰宅困難区域の除染に

衆院復興特

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=9日、衆院震災復興特委

 衆院復興特別委員会は9日、福島復興再生特措法改定案を、日本共産党を除く賛成多数で可決しました。改定案は、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域内で、帰還希望者の居住地の周辺だけ除染などを行い居住可能とする新たな区域(特定帰還居住区域)を設けます。

 還還困難区域では、長期の避難が継続したことで、避難先に生活基盤を移した住民や、被災後に住居の損壊が進んだ住民がいます。日本共産党の高橋千鶴子議員は「周りの人が帰らなければ自分だけで帰れない」などの声を示し、帰還希望者の居住地周辺だけの除染では「新たな分断を生む」と指摘。被災者生活再建支援金の申請期限延長や、被災直後の半壊家屋の全壊扱いも可能だと政府に確認させました。

 除染特措法では、国直轄の除染区域には帰還困難区域も含まれており、その費用を国が東京電力に求償すると規定していますが、帰還困難区域にある特定復興再生拠点区域や今回の改定案の特定帰還居住区域では、国は東電に求償しません。

 高橋氏は、最もひどく汚染され長く避難を余儀なくされた区域だからこそ、どちらも「東電に求償すべきだ」と主張しました。

(「しんぶん赤旗」2023年5月13日付)


-議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 午前からの議論とダブるところもあるかとは思いますが、流れがありますので、よろしくお願いいたします。
 二〇一七年五月に福島法が改正され、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域内に、避難指示を解除し、居住を可能とする特定復興再生拠点区域を整備する制度が創設されました。富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の六町村の拠点の面積は二十七・五平方キロメートルで、帰還困難区域全体の面積三百三十七平方キロメートルに対しては、まだ約八%にすぎないわけです。とはいえ、今月をもって六町村全てで拠点区域の避難指示が解除されました。
 資料の1に双葉町と、それから2に大熊町の地図、特定復興再生拠点区域の復興再生計画を落としたものを配りました。この地図の中にちっちゃく書いてあるんですけれども、解除後五年を目途に住民が居住できることを目指し、双葉町では五年後の目標として居住人口約二千人、大熊町では約二千六百人を目標に整備を進めてきました。
 現状をどのように見ているのか、大臣に伺います。
○渡辺国務大臣 お答えいたします。
 特定復興再生拠点区域においては、各自治体が作成した特定復興再生拠点区域の復興再生計画に基づきまして除染やインフラ整備等の取組を進め、今月一日までに、先ほどお話がございましたけれども、六町村の特定復興再生拠点区域について避難指示が解除されたところでございます。
 御指摘の居住人口数については、自治体からも、現時点では目標と比較的少ない状況であるとの報告はいただいているところでありますが、避難指示解除はゴールではなくスタートだということで、復興庁としましても、目標の実現に向けて引き続き必要な取組を進めてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 午前からもこの数字の話があって、私は少ないじゃないかと国を責めるという議論をするつもりは一切ないんです。
 会計検査院の今年の二月の報告、「東日本大震災からの復興等に関する事業の実施状況について」の中で、先ほどお話しした拠点計画について、国が、六町村の認定特定復興再生拠点区域復興再生計画に基づき行われた事業等の進捗状況や達成状況を踏まえた上で、帰還困難区域が認定されている市町村の課題などを的確に把握し、支援、助言等の取組を行っていくことが必要と指摘をされているんですね。
 九十五点の拠点を整備する予定ですが、まだ未着手が二十二点ある。なので、遅い、早いとかではなく、ちゃんと把握しているのかという、手のひらに乗っているのか、そのことがまず大事だと思いますので、いかがでしょうか。
○由良政府参考人 特定拠点区域の復興のための計画、取組でございますけれども、福島再生加速化交付金等の予算の執行を通じて、各市町村、それから地元、現場の状況を把握しながら事業を進めてきているところでございます。
 再生加速化交付金につきましては、毎年、予算の、地元のニーズを把握をさせていただきまして、計画に基づく取組を具体的にどういうふうに進めるのか、あるいは新しいニーズとしてどういったことがあるのか、それを予算事業として反映をしていくという取組を通じて、地域のニーズに合った取組を具体化をしてきているところでございます。
 現在進めております取組につきましても、引き続き、予算の執行、それから、それの具体化のための関係者の連携の中で、状況を把握しながら取組を進めてまいりますので、引き続き御指導をいただきながら、国としても、市町村の取組をしっかり、一緒に取り組む形で支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 ここは指摘をしておきたいと思います。しっかりとお願いいたします。
 町の事情、さっきお話があったように、居住している数を何によって数えるかということを町が発表したくない場合もあるわけですよ。その思いと、県が把握していなくて国の数字を使っているとか、様々なところが実際にあります。そういう点では、さっきから大臣は、聞いていると、ずっと、自治体と力を合わせてと、連携してとおっしゃっていますが、現実をやはりちゃんと合わせるということをやっていただきたい、ここは指摘したいと思います。
 前回の改正の審議の際に、拠点は飛び地になってしまうこと、点ではなく面として除染を行うべきだということを提案してきました。これは自治体の首長らの訴えも同じだったと思います。
 それで、今回、拠点外についても、特定帰還居住区域として帰還を促すとしています。この点は、ですから、面になるのかというまず確認と、それから、復興再生拠点とこの帰還居住区域の違いは何か。お願いします。
○由良政府参考人 御質問いただきました二つの区域の違いの方から先に御答弁をさせていただきますと、特定復興再生拠点区域は、新しい町づくりの一環として、帰還される住民に加えて、移住される方の生活や地域経済の再建の拠点となる地域が選定されたものでございます。これに対して、特定帰還居住区域は、帰還意向のある住民の皆様の生活の再建を目指し、日常生活圏を一体的に捉えて区域を設定するものと考えてございます。
 どちらの区域につきましても、帰還あるいは居住のための環境整備に取り組んでまいりますし、除染等の取組を進めていく上では、御指摘いただきましたような、点、飛び地になるといったことに伴う課題が生じないように、しっかりと区域の設定から除染の取組まで進めていきたいというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 私は、これは本当は違いがない方がいいと思います。復興再生拠点が広がっていく、本来はそうあるべきだ、違いを出すべきじゃない、このことを指摘します。
 二〇二一年八月三十一日の原子力災害対策本部決定、特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた避難指示解除に関する考え方、これにおいて、国は、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民が帰還できるように避難指示解除の取組を進めていくとしており、すぐに帰還について判断できない住民にも配慮して、複数回にわたり話合いをしていく、こういうふうに言っているわけです。
 実際に、昨年六月、大熊町で開催された住民説明会においても、一回だけでなく、繰り返し行うことを答えているわけですね。区域外での解除が具体化し、住民の意向を繰り返し聞くという姿勢は評価したいと思います。
 しかし、これでいくと、一番早く帰還を果たすのは何年先になるでしょうか。
○由良政府参考人 特定帰還居住区域の計画につきましては、今後、地元自治体による計画の策定等を通じて、除染を行う範囲やインフラ復旧の見通し等が具体的になってくることになります。
 午前中の質疑でも答弁をさせていただきましたが、大熊町、双葉町で先行的に取り組みます計画の認定と除染につきましては、令和五年度の予算で除染の取組が進められるように、速やかに認定まで進めて、除染の開始を取り組んでいきたいと考えてございます。
 また、その後の計画の推進につきましても、住民の方の早く戻りたいという御意向を踏まえて、しっかりした取組を進めていきたいと考えてございます。
 最終的にどういったスケジュールになるかということについて現時点でお示しをすることはまだちょっと難しゅうございますけれども、計画の具体化を通じて見通しをお示しをしていく努力をするということで、政府としても取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 今はっきり分かるのは、令和五年度内に除染を開始するというだけなんですよ。だから、帰れるのがそれからまた何年先かも分からないし、しかも、それが、誰が帰って、どこの区域を除染するのかは分からないわけでしょう、帰った人に合わせて除染するんですもの。そうすると、町は一体どうやって将来像を描けばいいんですか。そういうことになるんですよ。だから、拠点を延ばしていくべきだということを言っているわけです。
 それで、原子力災害対策本部決定には、拠点区域外の住民の帰還に関する意向を個別に丁寧に把握した上で、帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を行うとあります。この必要な箇所とは何か。
 自分は、家は何ともないし、帰りたい、だけれども、周りのみんなが帰らないから帰れないと訴えた女性がおりました。そういう複雑な気持ちにさせているんですよ。帰還すればその周辺は除染すると言われると、自分だけがと、なかなか決心がつかないんですよ。どのように思いますか。
○由良政府参考人 御指摘いただきました住民の方が迷っておられる状況ということも、あらかじめ住民の御意向をお伺いするアンケート等を通じて把握できる部分もございました。そういったことを念頭に、私どもは、特定復興再生拠点区域外の住民の方に対する意向確認については、昨年の夏以降、各自治体と共同で進めていく際に、各自治体とともに、行政区ごとの住民同士の対話も含めた意見交換あるいは座談会を開催するなど、地域別に住民の方の御疑問、御懸念を丁寧にお伺いするような取組も実施をしてきたところでございます。
 そういった取組を通じて、御帰還の御意向を相互に御相談していただくことも含めて確認、把握をさせていただき、御帰還できるような環境整備をしていくという取組を進めてまいりました。
 今般の意向確認につきましても、複数回実施をさせていただきますので、一回目の状況を見て、さらに、住民の方がそれぞれ相互に意思疎通をされながら取り組める環境づくりにも取り組んでまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 行政区ごとにやると、今私が言ったように、みんなが帰らないと言うと言い出しにくいとか、その逆とか、様々ありますので、行政区ごと、やはりコミュニティーを再生したいという気持ちだと思うんですよ、それと、個々の意見を出しやすい、そしてイメージしやすいということを議論していかなきゃいけないということを指摘したいと思います。
 それで、特定復興再生拠点区域内の解体、除染もまだ残っているわけです。そういう中で、拠点の中と、これからつくる拠点の中で自宅の再建をしていく、そのときに被災者生活再建支援法が使えるはずであり、六町村においては申請期限が来年四月までと延長していますが、今聞いてきたように、来年までだと間に合わないなというのが誰もが分かっていると思うんです。そうすると、やはり更に延長をまず最低でもしなきゃいけない。
 それから、事故直後は住居の損壊というのは余りないということで、半壊だよねということで、基礎支援金さえもらっていないところもいっぱいあると思うんですね。
 二〇二一年四月の二十二日でしたが、朝日の夕刊で、千五百戸、浪江、双葉、大熊、富岡で半壊がそのくらいあるよという調査を記事にしておりました。そういうことからいっても、今は半壊じゃないよね、もう十二年もたっている、長期間戻れなかった状況に鑑み、全壊として対象とするべきだと思いますが、この二点、お願いします。
○五味政府参考人 被災者生活再建支援金の申請期限についてでございますが、できる限り早期に被災者に生活再建を図っていただく観点から設けられているものでございまして、被災地の状況等、地域のやむを得ない事情により期限内の申請をすることができないと都道府県が認める場合には期間延長できることとされております。
 これまでも一年ごとに延長してきておりまして、今後も、福島県において、必要に応じて延長の可否を判断するものと認識しております。内閣府としても丁寧に相談に乗ってまいりたいと存じます。
 また、被災者生活再建支援法におきましては、制度上、自然災害により住宅に半壊被害を受けた世帯であっても、やむを得ない事由により住宅を解体した場合には、全壊と同様の支援金の支給を行うこととされております。
 引き続き、福島県や関係省庁等と連携し、被災者の生活再建等が進むよう、適切に取り組んでまいりたいと存じます。
○高橋(千)委員 二つとも可能だという答弁だったと思います。
 もちろん、三百万でどうにかなるかという問題はあるんです。だけれども、やはり制度を使えるものは使っていただきたいということで確認をさせていただきました。
 それから、解体、除染についても、さっきいろいろ議論があったと思うんですが、帰還したいと思っても、隣の家が全く放置状態では、とても残念なわけです。それから、放置状態になっているその家の持ち主が、今すぐは帰れないけれども、しかし、おうちをそのままにしておきたくないということで、どちらから見ても、やはり解体、除染というのは進める必要があると思うんですが、国費でやるべきだと思いますが、いかがですか。
○由良政府参考人 特定帰還居住区域でございますけれども、区域の設定に当たっては、帰還する住民の皆様が安心、安全に日常生活を営むための範囲で設定をするという考え方でございます。これを具体的に当てはめるに当たりましては、帰還意向のある方の区域を中心にその日常生活圏を設定をしていくということになります。
 したがいまして、例えば、帰還居住区域に設定をされましたエリアの中に残されております帰還意向のない方の家屋、これも、区域、日常生活圏の整備という取組の中で家屋の解体、除染の取組を行うという部分が出てくるというふうに考えてございます。そういった取組も含めまして、必要な解体、除染を進めてまいります。
 その上で、残された土地、家屋も残ってまいります。これは、大臣からもるる御答弁をさせていただいておりますように、引き続き重要な課題として取り組んでいくというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 これは行うと言ったと思います。
 それから、営農についても希望調査をしておりますけれども、帰還は今すぐできないけれども、営農はしたいという方がどのくらいいるのか、支援の対象に入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○由良政府参考人 帰還意向調査における営農再開意向の確認でございますけれども、帰還の御意向があるというふうにお示しをいただいた方について、営農再開についても併せてお伺いをしてまいりました。
 一方で、帰還意向のない方の所有する農地等の残された土地については、帰還意向のない方の家屋と同様に、引き続き重要な課題として検討をしていく必要があるというふうに考えてございます。
 営農だけということで考えますと、まずは、拠点区域で整備をした農地もございますので、そちらを使っていただくことも是非お勧めをしていきたいというふうに考えておりまして、営農の再開については、帰還される方の中でまずは意向を確認をしているというところでございます。
○高橋(千)委員 どうしてそこに別な拠点が出てくるんですかね。今帰らなくても自分の土地で営農したいというのは、次の一歩に必ずつながるんですから、支援したらいいんじゃないですか。
○由良政府参考人 帰還意向の確認をさせていただく際に、まずは御帰還の御意向があるかどうか、その上で営農の再開の御意向についても伺っております。
 二地域居住についてもやり取りを、御質疑をいただきましたように、帰還の在り方については幾つかの柔軟なパターンを考えていかないといけないというふうには考えてございます。
○高橋(千)委員 それはそうですよね。ですから、泊まれないけれども、立入りを認めますよとか、準備宿泊をやりますよと、そうやって順々にやってきたんじゃないですか。それで、自分の土地で営農したいという人たちを支援しませんという、それは絶対まずいですよ。検討していきたいということだったので、これは、是非大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 それで、前回の法案で問題としたのは、復興再生拠点は新しい方針だから国が行うんだ、東電には求償しないと決めたことであります。私は、除染特措法において国直轄で除染を行う除染特別区域には帰還困難区域も含まれていること、だから、国はその後で東電に求償するというふうになっているのに、おかしいじゃないか、帰還困難区域は最もひどく汚染され、住民が最もひどく苦しめられた地域なんだ、なぜ求償しないのかと追及したんです。
 今回、帰還居住区域も同じ扱いをするわけですね。さらに、求償しない、東電に責任を負わせない対象が広がっちゃう、これはすごい矛盾だと思うんですよ。この際、どちらの拠点も東電に求償するということで見直すべきではないでしょうか。
○渡辺国務大臣 お答えいたします。
 帰還困難区域は、将来にわたって居住を制限することを原則とした区域として設定されたものでありますが、放射線量が低下していることや地元からの要望を踏まえ、二〇一六年に、従来の方針から前に踏み出し、住民の居住を目指す復興拠点を整備する方針が示されたところでございます。
 この整備は、復興のステージに応じた新たな町づくりとして実施するものであるため、特定復興再生拠点区域においては、国の負担による除染等の取組が行われてきたところであります。
 今回の特定帰還居住区域における整備は、人口回復などを通じて復興を後押しするために実施するものであるため、特定復興再生拠点区域と同様に国の負担で行うことが適切であると考えております。
 福島の復興は、まさにスタートラインに立ったばかりであります。引き続いて、国が前面に立って取組を進めてまいります。
○高橋(千)委員 復興を後押しするための方針だから、なぜ東電に求償しないんですか。意味が分かりませんが。
○渡辺国務大臣 基本的に、前回の二十九年の改正、国費で負担するということで法律が決められておりまして、その方針に基づいて、基本的に今回も同様な視点で対応したところであります。
 復興を後押しするために実施するものであるということで、今回のものは前回同様ということで、国が負担するということが適切であると考えております。
○高橋(千)委員 大臣も御自分でお気づきになったと思いますが、答えになっていないです、残念ながら。法律で決めちゃったからという話でしかないと思うんですね。
 やはり長く将来にわたって帰らないと言っていたところを、方針を変えたからと。方針を変えたから、国として整備はするけれども、東電がそれを後押しするのは当たり前だ、そこに責任を果たさせるのは当たり前だということで、改めて検討するべきだと思っているんです。
 長く避難させられる地域であって、東電に求償している地域というのは、中間貯蔵区域があります。双葉町と大熊町にまたがっておりますよね。ここは求償するわけです。そういうことからいっても、やはり検討するべきだと思います。
 それで、今日は、中間貯蔵施設についても聞きたいと思っているんです。3が除去土壌の工程表になります。細かいので詳しくはお話しできませんが、今年、今年度が大体の目標がめどがつく年だということが分かります。ただし、一番下の最終処分の場所とかやり方などについては、全くこれからということになります。
 資料の4を見てください。全体面積一千六百ヘクタールのうち、民有地が千二百七十ヘクタールで七九%。土地の登記がある人たちは二千三百六十人いるんですが、連絡先掌握済みの地権者約二千百人の八九%、千八百五十三人については、用地についての契約が済んでいるといいます。どのような契約か、内訳でお答えください。
○土居政府参考人 二〇二三年三月末時点の契約済みの件数でございますが、今委員から御指摘がありました連絡先把握済み二千百人のうち千八百五十三件になっておりますが、このうち、土地の売買契約を行いまして国が所有権を取得したものにつきましては千六百九十六件、地上権設定を行ったものが百五十七件ということになっております。
○高橋(千)委員 三十年後に返しますといっても、実際、地上権設定は百五十七件だということなんです。
 JESCO法において、三十年後の県外処分が定められています。私は、まだ仮設住宅の頃でしたが、大熊町の地権者の皆さんと懇談したことがあります。そのときに、三十年先に返すと言われても、自分がそのときまで待って帰れるとは思えないと口々におっしゃいました。だけれども、先祖代々の墓地だけは残してほしいという声もありました。
 それから、資料の2の大熊町の地図の左下の方についています大川原地区、一番最初に拠点整備をしたところがありますよね。そこに住みたい、そういう声もあったんです。最初、環境省は、家を買ってくれと言っても応じてくれませんでした。今、千六百九十六件が買取りをしたというお話だったんですが、東電からの賠償金が出ているんだからいいじゃないか、こういう言い方をされたんですよ。そういう中で、私は、きちんと頭を下げて、集団移転も検討するべきだと思いました。それがみんなの思いだったんです。それがこうした形で買取りが進んだということは確認できました。墓地は、実は移転も進んでいるということも聞いております。
 それで、質問は、今回の法案である特定帰還居住区域には、この地域は入っておりません。それは承知しています。しかし、この区域の人たちにもきちんと、今紹介したようにいろいろな思いがあるんです、帰還の意向も含め、要望を聞くべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○渡辺国務大臣 お答えいたします。
 中間貯蔵地域の元の地主さん、それぞれの思いがあるというふうに私も思っております。委員は既に御理解をしていただいているんですが、今回は、この区域は、帰還して居住することは当面想定されていない地域であるということの御理解はよろしいわけですね。このようなことは、まず、対象外としてきていることについては御理解を今しているということでありますけれども。
 現時点において、中間貯蔵施設の区域については帰還意向調査を行う予定は現在ありませんが、将来的には帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興再生に責任を持って取り組むとの決意を持っております。
 したがって、この点については、しっかりとその点について対応してまいりたい、そのように思っております。
○高橋(千)委員 現在ありませんがとおっしゃいました。将来って、三十年先に意向調査をされても間に合わないよという話を今したわけです。なので、やはり聞いてほしい、なるべく早く聞いてほしい、これは、是非大臣、お分かりいただけたと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 今日、本当はもう一つ質問する予定でしたが、時間が来ましたので、説明だけします。
 資料の5に、除去土壌の放射能濃度分布というのがあります、八千ベクレルを超えたもの。四分の三あるんですね、それは再生利用をするんだ、濃縮して減容してという話ですけれども、それにしたって、東京ドーム十一杯分の土壌なわけです。
 これに、これから拠点の除染を進めた土壌がもっと入ってくる。それから、家屋の解体などに伴う特定廃棄物が更に入ってくるわけなんです。その中には十万ベクレルを超えるものがある。それをどうするかというのを質問したかったんですが、それは県外処分をすることになっていますと言っていて、土壌とはまた違う処分をしなくちゃいけないわけですね。課題はとてもある。
 そういう中で、三十年先というだけではちょっと見通しは立たないだろう、そのことも含めてしっかりと住民の皆さんと議論するべきだということをまず指摘をして、今日は終わりたいと思います。

2023年5月9日 東日本大震災復興特別委員会 提出資料

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