国会質問

質問日:2023年 5月 11日 第211国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

旧優生保護法問題について

強制不妊 国は解決を

衆院特委で高橋氏 旧優生保護法ただす

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=11日、衆院地こデジ特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は11日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、旧優生保護法下の強制不妊手術問題の全面解決に取り組むよう国に求めました。

 旧優生保護法に基づく強制不妊手術をめぐっては、違憲性と国の損害賠償責任を認める判決が4高裁、3地裁で出ています。

 高橋氏は、被害者の憲法上の権利を侵害する立法を行った政府が、損害を受けて20年後に請求権がなくなる「除斥期間」の適用で賠償責任を逃れるのは「日本国憲法が容認していない」と断じた3月の大阪高裁判決に言及。一連の裁判で違憲性が指摘され、非人道的、差別的行為だと指弾されており、反省を表明しながら違憲性を認めない政府に、除斥期間問題も乗り越えるべきだと求めました。

 高橋氏は、2019年に議員立法で制定した被害者への一時金支給法で、被害者への国と国会の反省を表明したと強調。小倉将信こども政策担当相は、判決で決まった金額が一時金額を上回ったことを「重く受け止め」るとし「今後の対応の在り方は国会に相談している」と述べました。

 高橋氏は、2万5000件もの優生手術と比べても、支給認定数1047件は「あまりにも少ない」と指摘し、申請期限が来年4月に迫っており「期間延長を含め、法改正を検討すべきだ」と要求。原告が謝罪と検証、優生思想の根絶など再発防止を求めているとして、首相との面会をとりもつよう求めました。

(「しんぶん赤旗」2023年5月12日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 二〇一九年四月二十四日に成立、公布された旧優生保護法一時金支給法には、旧優生保護法の下、多くの方々が、生殖を不能にする手術、放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたことに対して、「我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする。」と書いてあります。
 第二十一条には、調査等、国は前文で述べたような事態を二度と繰り返すことのないよう、共生社会の実現に資する観点から、旧優生保護法に基づく優生手術等に関する調査その他の措置を実施するとあります。
 私は、超党派の議員連盟の法案作成PTの一員としてこの法案作成に関わってまいりましたが、この二十一条は、本当は、検証にしてほしいと主張しました。検証という字句では折り合いがつかなかったものの、調査という条文にその思いをにじませております。
 実際に、この二十一条を根拠に、二〇二〇年六月十七日、衆参の厚労委員長から調査命令が出されました。
 本日は、衆議院の厚労調査室長に代表していただいて、この間どのような調査活動をされてきたのか、また、まとめの時期や公表はどうなるのか、伺いたいと思います。
○若本専門員 お答えいたします。
 旧優生保護法一時金支給法第二十一条に基づく調査につきましては、今先生がおっしゃっていただきましたように、令和二年六月十七日、衆議院及び参議院厚生労働委員長より、衆議院厚生労働調査室及び参議院厚生労働委員会調査室に対しまして調査命令が、また、国立国会図書館に対して調査への協力要請がございました。
 衆参の厚生労働委員会理事会で合意された文書には、調査項目として、旧優生保護法の立法過程、優生手術の実施状況等、その他として、諸外国における施策等が示されております。
 調査期間はおおむね三年とされておりまして、これまで、衆議院、参議院、国会図書館の調査室で分担し、橋本岳委員長が厚生労働委員長であった期間も含めまして、調査を行ってまいりました。
 具体的には、国内外の文献調査や有識者からのヒアリングのほか、厚生労働省を始めとした関係府省、地方自治体、医療機関、福祉施設、障害者関連団体、優生手術を受けた当事者、旧優生保護法一時金支給請求書等の調査を行ってまいりました。
 現在、報告書原案の取りまとめに向けた作業を行っているところでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 調査命令からおおむね三年ということで、まさに近々報告書が出されるのではないか、このように思います。本当に御苦労さまでございます。
 そこで、今年四月から、こども家庭庁に厚労省の子ども家庭局が移り、旧優生保護法の問題も小倉大臣の担当となりました。
 旧優生保護法は一九四八年に制定され、一九九六年まで存在しました。第一条で、「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」と明記されており、戦後も長くこの条文が残り、優生手術が実施されていたことは、憲政史上の汚点だと思います。日本共産党がその中にあって異を唱えてこなかったことは、返す返すも悔やまれるものです。
 前述した前文において、「我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする。」という条文は、当時、なぜ国じゃないのか、我々なのかという御批判も寄せられました。だけれども、これは、国と国会議員が、立法府が、両方責任を持っているという意味で込められたものでありました。
 そこで、旧優生保護法担当大臣としての小倉大臣の認識と決意を伺いたいと思います。
○小倉国務大臣 高橋委員御紹介をいただきましたように、こども家庭庁の発足とともに、厚生労働省から旧優生保護法の対応がこども家庭庁に移ってまいりました。
 担当大臣といたしまして、旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省し、心から深くおわびを申し上げる次第であります。
 こうした方々に対しては、平成三十一年に超党派の議員連盟において法律案が取りまとめられ、国会において全会一致により、一時金を支給するための法律が定められました。
 そうした中で、昨年二月の大阪高裁判決、三月の東京高裁判決以降の判決において、一時金の金額を超える認容額が示されたことを重く受け止め、一時金支給法が全会一致で制定された経緯も踏まえ、今後の対応の在り方については、国会に御相談をしているところであります。
 政府といたしましては、引き続き、国会での御議論の進展に向けて最大限協力をさせていただきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 昨年二月の大阪高裁判決以降、一時金の範囲を超える認容がされたということを、大臣が指摘を、指摘というか、触れていただいたことは重要なことかと思います。
 また、除斥期間の問題についても、これを適用しないということが、この間、七つの判決、四つの高裁、三つの地裁ですが、認められているということも重要だと思っております。
 この間の判決を見ても、優生保護法の立法目的が、それ自体、非人道的で差別的であると断じた昨年二月の大阪高裁、差別的思想に基づく正当性のないもの、目的達成の手段も非人道的、その違憲性は明白と断じた昨年三月十一日の東京高裁、優生保護法の目的は、およそ許容し難い、極めて非人道的なものであり、その手段は差別的取扱いと断じた今年三月の札幌高裁などなど、また、請求棄却となった判決であっても、優生保護法の非人道的、差別的、憲法違反という認定は争いがないことと思いますが、いかがでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 旧優生保護法に基づき、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省をし、心から深くおわびを申し上げる、このことは、こども家庭庁に業務が移管をされて、現在、我々こども家庭庁として担当しておりますけれども、その部分については変わることのない姿勢でございます。
 その上ででございますけれども、旧優生保護法の国家賠償請求訴訟におけるこれまでの判決、ただいま委員からの御紹介をいただきましたように、旧優生保護法の一部の規定が憲法に違反するというふうに判断をされた判決があるということは承知をしておりますけれども、この旧優生保護法の違憲性につきましては、係属中の訴訟に関する事項でございまして、見解を述べるということについては差し控えさせていただきたいと思います。
○高橋(千)委員 まだ、そこの部分が認められて、認めようとしていないということが、改めて今の答弁で分かったと、憲法違反であることが。
 実は、今日、資料をちょっと忘れちゃったんですけれども、全ての判決において、この部分に触れているわけですよね。それは、ちょっとずつの違い、例えば除斥期間の起点の問題ですとか、そういう違いがあったとしても、トータルとしてこの立場に立っているということをお認めになるべきだと思うんです。今年三月の兵庫訴訟、大阪高裁判決は、そうした、このことを認めない国のことを厳しく批判をしているわけですね。
 それで、今言ったように、憲法上の権利等を違法に侵害する、こうした立法を行った被控訴人、この被控訴人というのは国と立法府である我々のことも言っているわけですが、私人間を規律する民法の除斥期間の適用により賠償責任を免れることは、そもそも、司法、法規、正義と公平の概念ですが、これを支配する、個人の尊厳を基本原則とする日本国憲法が容認していないことは明らかである、こう断じたことは決定的だと思います。今、これまでの、非人道的、差別的な不法行為であったことの評価がされている、その立場に立って国会が乗り越えるべきではないか、このように指摘をしたいと思います。
 それで、一時金支給法が、おわびの気持ちで足りているというふうにはならないということがこの間の判決でも示されたということ、我々が取り組まなければいけないことがあるのではないかということで指摘をしたいと思うんですが、資料の一枚目は、この旧優生保護法一時金支給法の啓発ポスターであります。周知を図るべきということが法律の二十二条に書かれているわけです。
 それで、本来支給対象となり得る方がどのくらいで、そのうち現在までの支給件数が幾らか、簡潔にお答えください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 令和五年三月末現在の、旧優生保護法一時金に係る請求件数は千二百二十四件、認定件数は千四十七件となっております。
 全体の支給対象者数についてでございますけれども、現時点の生存率などが不明でありますので、正確な人数の算定は難しいところではありますけれども、旧優生保護法に基づき実施をされた優生手術の件数としては約二万五千件というふうに把握をしてございます。
○高橋(千)委員 本来、二万五千件の数字自体が本当は争点であって、もっとあるじゃないかということはあったんです。だけれども、そこから見ても、一千四十七件というのは余りにも少ないと思います。もっと早く立法ができていれば、限りなくここの数字に近づいていたのではないか、あるいは、幾つかの県で実施しているように、分かっているならこちらから通知するなど、できることはもっとあるはずだということを重ねて指摘をしたいと思うんですね。
 それで、私たちは、そうしたことも勘案して、申請期限が五年では短過ぎるという意見も当時ありました。ただ、速やかに支給できるように五年で一旦区切るけれども、状況を見て延長したり、その機会に見直しをする、そういう思いを込めて、あらかじめ、附則の二条に、「請求の期限については、この法律の施行後における請求の状況を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるもの」と規定をいたしました。
 ポスターにはっきり書いてあるんですが、申請期限は、実は来年の四月なんですね。迫っております。期限延長を含め、法改正を検討すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 旧優生保護法一時金につきましては、令和四年の六月十四日に、高橋委員も副会長として御参加されている、超党派の優生保護法下における強制不妊手術について考える議員連盟が開催され、政府から一時金の支給状況等について報告を行いますとともに、今後の対応の在り方について検討をお願いをしているところであります。
 政府といたしましては、引き続き、国会での議論の進展に向けて最大限協力をさせていただくとともに、御議論の結果を踏まえて対応を検討してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 橋本委員長も議連のメンバーでありますので、一緒に頑張りたいと思うんですが、だけれども、議員立法であっても、法律に書いているわけなんです、分かりますか、今の言った見直し規定というのは。これは政府としてもちゃんと受け止めて、いたずらに期限が来てしまったということがないようにお願いしたいと思うんです。
 そのことを含めてもう一度質問しますが、原告らが求めているのは謝罪と検証、それから、優生思想の根絶など、再発防止であります。大臣が総理との面会を取り持って実現させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 先ほども申し上げたように、旧優生保護法に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省をし、心から深くおわびを申し上げる次第であります。
 こうした方々につきましては、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する、先ほどから話があります、一時金の支給等に関する法律が成立をした平成三十一年四月二十四日に、内閣総理大臣及び厚生労働大臣から、それぞれ、真摯な反省と心からのおわびを表明するとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて努力を尽くす決意を総理が表明しており、政府のこうした立場は今も変わってございません。
 訴訟は係属中でありますが、これまでも、旧優生保護法に基づき優生手術を受けた方々や弁護団とは担当部局が個別に面会等をさせていただいているところであり、今後とも丁寧に対応させていただきたいと思っております。
○高橋(千)委員 担当部局がと。ちょっとそこは残念ですよね。
 ここまで、おわびの気持ちは変わらないとおっしゃってくださるのであれば、総理と直接面会をして、その声を聞いてくださるということが、なぜできないのでしょうか。努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○小倉国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国会での議論、議連での検討状況を踏まえまして、政府といたしましては、最大限、この案件については協力をさせていただきたいと思っております。
 その上で、面会の件でありますけれども、これまで担当部局で個別に面会等をさせていただいており、また、今裁判中でもありますことから、引き続き担当部局で丁寧に対応させていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 では、大臣はどうですか。
○小倉国務大臣 繰り返しになりますけれども、担当部局で丁寧に対応させていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 とても残念な答弁だなと思います。
 これまでも、私、たくさんの、ハンセンですとか肝炎ですとか中国残留孤児ですとか、いろいろな立法に、それこそ超党派の議員連盟の皆様と一緒に関わってまいりましたけれども、やはり、どこかで政治判断が必要なんですよね。
 もう既に、今回、先ほど紹介した兵庫訴訟大阪高裁判決でも、判決を待たずに亡くなった方がお二人いらっしゃいました。次から次と判決を重ねて、それに対して国が控訴あるいは上告していくんだということであれば、まさに命の残り時間を削るようなことになるわけです。だから、きちっと、いろいろ違いはあっても、もう一致点は見えてきているんだ、十分協議の中で解決できる、そこまで弁護団は言っているんですね。その話を聞くべきじゃないですか。
○小倉国務大臣 当事者の皆様方とは議連の先生方もお会いされて意見交換をされているものと承知をしておりますし、当然、担当部局の者がそういった方々にお会いされて、どういうやり取りがあったかということについては、しっかりと担当大臣として把握をした上で、先ほど申し上げたように、国会等での議論も踏まえながら、政府として最大限協力をできるような、そういう体制を責任を持ってつくってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 大臣、こども担当大臣として、こどもまんなか社会を目指していくと。今日のたくさんの委員の発言の中でも、子供の未来の問題なんだとお話をして、皆さんが質問されて、大臣も真摯に答えてくださったと思います。そして、直接子供の中に入ってお話を聞く、その努力をしてきた、それと同じことをするべきだと思うんです。
 というのは、子供の未来のためには、過去に蓋をしてはならないんです。なぜなら、過去に蓋をすれば、また同じ形で、優生手術はしないかもしれないけれども、優生思想というのが繰り返される、だから未来のための課題なんだ、そういう立場でやはり大臣は向き合うべきだ、このように思います。いかがですか。
○小倉国務大臣 繰り返しになりますけれども、当然、このようなことが再度あってはならないというふうに思っておりますし、だからこそ、真摯に政府としてもおわびを表明をした上で、国会で御議論をいただいた給付法を基に、可能な限り丁寧に、速やかに対応させていただいたところでございます。
 今後、まさに議連等で更なる検討をしていただければ、それに応じて、しっかりと政府としても協力をさせていただきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 議連が決めたら応えるという意味でしょうか、今のは。
○小倉国務大臣 もちろん議連もございますでしょうし、国会等での議論もありますでしょうし、そういった様々な議論を踏まえて、そういった議論の状況に応じて、私どもとしては最大限協力をさせていただくということでございます。
○高橋(千)委員 今日は大臣がその答弁を用意できてこなかった事情がおありでしょうから、次に続けて、またお願いをしたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。

2023年5月11日 地域・こども・デジタル特委 提出資料

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