精神障害者に運賃割引を / 高橋議員が不公平是正主張
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は11月29日の厚生労働委員会で、精神障害者に対する交通機関の運賃割引制度の導入が遅れている問題を取り上げ、不公平をなくすべきだと主張しました。
高橋氏は、今国会で批准される見通しの国連障害者の権利条約第20条が「障害者の移動の権利」を保障していることにふれ、交通費補助もその一つだと指摘。障害者団体の署名運動などによって実施事業者が広がってきているが、精神障害者の運賃割引制度を導入している交通機関は民営鉄道とバスで2~3割台にとどまっている事実を示し、未実施のJR各社と航空会社に対して「経営力や公益性の大きさからみて、国として強く求めていくべきだ」と主張しました。
田村厚労相は「精神障害者の方がどんどん社会の中で頑張っている現実になってきた。移動手段を使うわけだから、(運賃割引の)意味は大きいと思っている」と答えました。
(しんぶん赤旗 2013年12月3日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
二〇〇六年に国連総会で採択、〇七年に日本も署名した国連障害者の権利条約の批准が、いよいよ今国会で決定される見通しであります。国会ですから、何が起こるかわからないということがあるわけですが、期待をしているわけであります。
昨日の参議院の外交防衛委員会で参考人質疑が行われまして、日本障害フォーラムの藤井克徳さんは、今国会で何としても批准を実現してほしいという訴えとともに、権利条約に恥をかかせないで、こう訴えました。非常に重い言葉ではないかと思います。ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アスのスローガンに象徴されるように、制定過程から参加をしてきた団体の代表としての言葉、本当に受けとめて頑張っていきたいなと思っております。
それで、きょうは外務省の木原政務官においでをいただいております。ありがとうございます。
今国会で批准が決定された場合、その後の公布までのスケジュール感と、それから実効ある促進体制、周知活動なども含めてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
○木原(誠)大臣政務官 お答えを申し上げます。
本条約につきましては、本院におきまして議決をいただいたということでございます。
今後、国会で締結について承認が得られました後には、批准、公布のための閣議にまずかけられます。そして、この閣議決定がなされた後、批准書が国連事務総長へ寄託をされるということになってございます。本条約は、この寄託の後、三十日目の日に我が国について発効をする、こういうことになってございます。
委員を初めとして厚生労働委員会の皆様の御努力によりまして、国内法の整備は十分進んでいる、こういう状況でございますので、できる限り速やかに私どもとしては批准に向けた手続をしていきたい、このように思ってございます。
また、本条約の締結後は、条約につきまして、できる限り積極的に広報を進めてまいりたいというふうに思っております。また、障害者権利委員会に対する国別報告の作成、あるいはまた同委員会からの提案、勧告に対して関係省庁間で密接に連携して対応する、こういった実際の活動を通じて、本条約を効果的に実施してまいりたい、このように考えております。
また、その過程では、引き続き障害者の方々の御意見も賜ってまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
制度や法律をつくるときに、定義とか範囲というものが非常にいつも問題になるわけでありますが、この権利条約というのは本当に幅が広いものだと思っています。
特に、障害の定義については、障害はどういうものをいうのかという明確なものがございません。そのかわりに、前文の中に次のような規定があります。
「障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずる」。
このように書かれていることは非常に重要だと思っていますけれども、改めてその趣旨についてお聞かせください。
○木原(誠)大臣政務官 お答え申し上げます。
高橋委員御指摘のとおり、本条約には必ずしも、障害者を明確に定義する、そういう規定は置かれてございません。
今、前文の(e)のところを御紹介いただいたわけでございますが、もう一条、第一条に次のような規定がございます。
「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得る」者を含む、こういう概念規定が置かれているところでございます。
この前文の(e)、そしてまた第一条の規定の考え方というのは二点あるのかな、このように考えております。
一つは、障害ということについて、固定された概念ではなくて、環境や社会の変化等により今後も発展し、時代によって異なる、そういうさまざまな解釈がされ得るんだということを示しているということ。もう一つは、単に機能障害という面だけにとどまらず、さまざまな周辺の環境、また社会への参加の度合い、こういったものを総合的に判断して考えていくべきである。こういった考え方が反映されているものと承知をしております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
非常に大事なことではないかなと思っているんです。固定的なものではない、また、周りのいろいろな環境や条件が変わることによって、また障害ということの考え方も変わるのではないかということでありました。
木原政務官、どうもありがとうございました。御退席いただいてよろしいです。
そこで、今のところを聞いていただいて、田村大臣に伺いたいと思うわけですが、改めまして、国連障害者の権利条約の意義について、大臣としての認識と、また厚労省として、所管分野も多いわけですから、今後の取り組みの決意を伺いたいと思います。
○田村国務大臣 障害者権利条約は、障害者の方々の権利の実現に向かって、大変重要な条約であるというふうに私は思っておりますし、一層、これによって、障害者の方々が地域で生活をされる中においてより暮らしやすい、そのような環境が整備されていく、そのために、なお一層我々は取り組んでいかなければならないと思っております。
障害者総合支援法の制定もございました。そして、障害者雇用促進法の中において、一つは、差別の禁止ということを明記いたしました。そしてまた、合理的配慮の提供義務、これもこの中に書いてあるわけでありまして、このような形の中で、やはり、障害者の方々がその権利というものを実現する中において、よりよい環境というものを整備していく、それが、我々厚生労働省のみならず、各省庁、協力しながらやっていかなければならないことであろうと思いまして、そのような意味からいたしましても、この条約に加盟するということは大変大きな意義があろうというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ことし六月の障害者雇用促進法の質疑のときにも、権利条約と照らして大臣に認識を伺ったんですが、そのときに、障害者基本法の改正、総合支援法、差別解消法、雇用促進法、これで、国内法の整備によって批准のための環境は整ったというふうにおっしゃったわけですね。
私たちは、もちろん、それぞれ個別の法案に対していろいろな意見があるわけですけれども、さっきちょっと議論を聞いていただいたと思うように、条約というのはやはり懐深いものでありましたので、法律ができた、あるいは批准したということで終わりではなくて、これからがさまざまな面で試されていくということだと思いますので、ぜひ、その立場でまた一つ一つ議論をしていきたいと思いますので、お願いをしたいと思います。
そこで、きょうは、残されている差別の問題で幾つか議論をしていきたいなと思っているんです。
〇八年の六月四日に、私、この委員会で精神障害者の交通運賃の割引問題を質問いたしました。そのときは、障害者自立支援法によって三障害、身体、知的、精神が既に一元化されたんだ、なのに、実際には精神障害者だけが割引制度がおくれているねということを指摘したものであります。
それで、今せっかく権利条約をやりましたので、資料の一枚目につけました。
アンダーラインを引いたところを見ていただきたいと思うんですが、第二十条に、「個人の移動を容易にすること」、このような条文がございます。「締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。」それで、(a)の中に、「自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にする」、こういうふうに書かれているんですね。
ですから、福祉の分野でいいますと、移動のために、同行支援ですとか、あるいは補助犬ですとか、いろいろな仕組みがあるんですよね。だけれども、やはり交通費補助というのもその一つと言えるのではないかと思います。
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、障全協は、七万筆の署名を集めています。全国の当事者の強い要望もあります。
今お話ししてきたように、障害者基本法や権利条約批准など、背景としても整ってきたと思いますが、改めて、国土交通省に、障害者の運賃割引の必要性について、認識と、現状どのようになっているか、伺います。
○奈良平政府参考人 お答え申し上げます。
先生ただいま障害者権利条約の二十条について言及なさいました。
国土交通省といたしましても、障害者等の円滑な移動の確保を図ることが重要であるという認識を持っております。
このため、いわゆるバリアフリー法に基づきまして、公共交通機関におけるバリアフリー化を推進しているところでございます。
一方、障害者に対する運賃割引につきましては、各事業者の自主的な判断に基づき実施されているものでございます。
精神障害者に対する運賃割引につきましては、平成十八年十月の精神障害者保健福祉手帳に本人の写真を貼付するという制度改正の機会などにおきまして、各事業者や事業団体等の関係者に対し、理解と協力を求めてきたところでございます。
精神障害者に対する割引を実施している交通事業者は、全体としては増加傾向にあり、平成二十五年四月現在では、鉄軌道事業者で五十五者、乗り合いバス事業者で六百六十五者、法人タクシーで千九百五十六社、個人タクシーで二万六百九十七者、旅客船事業で三十八者、合計二万三千三百九十三者となっているところでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今お答えいただいた全体の状況を、資料の二枚目につけておきました。
これは、平成十三年が下にありまして、それと比べて、例えば鉄道はどうかといったら二十だったのが五十五、乗り合いバスは八十三だったのが六百六十五、旅客船はゼロだったのが三十八という形で、確かに伸びているというのがわかると思います。私、毎年、このような分厚い資料を、全国の各自治体から国交省が調査をしていただいて、まとめていただいています。その点については本当に感謝をしたいと思います。
全体との関係でどうなのか、要するに、全事業者の中の割合でどうなのかということで、また資料をいただいて、まとめたものが三枚目であります。
そうすると、非常にこれはよくわかるんですね。鉄道は、公営ですと一〇〇%なんですが、民鉄になりますと二六・七%。バスも、公営だと九〇・三%なんですが、民営だと三二・五%ということで、やはりまだかなり低いというのがわかります。
ただ、これは右側のタクシーを見ていただきますと、法人のタクシーは一三・二%にとどまっているんですが、個人タクシーは五〇・九%と、逆に個人タクシーが頑張っているというのが見てとれるかなというふうに思っております。
そこで、この問題に十年来取り組んでいる障全協の北海道の皆さんは、毎年、大通公園で署名に取り組んでいらっしゃって、また、二〇一〇年の六月には北海道議会で意見書が採択をされました。生活保護やわずかな障害年金、高齢な親の庇護のもとで暮らし、通院や通所の交通費にも事欠く全国の精神障害者を救済してほしいと訴えております。ですから、伸びてきたといってもまだまだ差がある。ここに、さらに、何とか飛躍をしたいと思っているわけですね。
そうした中で、やはり運動を反映したと思うんですが、昨年の七月三十一日、一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款の一部改正がされまして、二十四条の運賃の割引について、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者」というふうに明記をされました。これは、資料の四枚目に、その趣旨について国交省が出した通知をつけておきました。
標準約款の性格ということもあると思うんですが、明記をしたことによってさらに広がるということを期待するわけですけれども、その経緯と趣旨についてお願いいたします。
○大庭政府参考人 御指摘のとおり、乗り合いバス事業におきましては、昨年の七月三十一日付で、一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款、これの一部改正を行いまして、運賃割引の対象として、身体障害者及び知的障害者に加え、精神障害者を追加したところでございます。
これは、平成十八年に精神障害者保健福祉手帳の様式が改正されまして、写真が貼付され、本人確認ができるようになったことにより、運賃の割引が可能になったこと、さらには、輸送人員ベースで全体の約七割を占める事業者において精神障害者に対する運賃割引を導入している状況にあったことを踏まえ、実施したものでございます。
私どもといたしましては、精神障害者に対する運賃割引を行う乗り合いバス事業者がさらに増加いたしますよう、引き続き、運賃割引の実施について、乗り合いバス事業者に対して理解と協力を求めていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 二〇一〇年に岩手県盛岡市で、精神保健福祉家族大会、みんなねっと岩手大会というのが開催されて、この交通運賃割引問題が、全国で取り組んでいらっしゃる方たちが集まって、深められたわけなんですけれども、そのときの、岩手県のてんかん協会支部のメッセージを紹介したいなと思うんです。
車社会という言葉が使い古されている時代においても、私たちてんかんを持っている者にとって、運転免許取得は遠い存在のような気がします。そんな私たちの足はバスや列車です。仲間と話したい、年に一回のキャンプに出たい、全国の仲間と話し合いたい、そう願いを抱いても、立ちどまらせます。仲間たちは作業所で安い工賃に甘んじて黙々と働いています。しかし、その給料からはとても足代の出る余裕などありません。
私がなぜこれを紹介したか、よくわかっていただけると思うんですけれども、先般の道交法の改正で、てんかん患者の免許取得というのはさらに厳しくなりました。また、社会の偏見も強まっています。しかし同時に、その足も奪われている。そういう中での訴えだと思います。
また、もう一人、三十代の男性です。
私は、自宅から離れた場所にある作業所にバイクで通っています。冬、寒くなると、親に送ってもらわないと通えません。でも、私はまだ恵まれています。親が元気でどうにか時間をやりくりして送ってもらえるからです。仲間の一人は、作業所の賃金が一日六百円、かかるバス代は二千円以上です。通うほど出費が増します。せめて行動しやすい環境をと願います。
こういう本当に社会に出て頑張りたいという思いが報われないということに対して運動を続けてきた中で、やっとここまで来たと思うんですけれども、もう一息頑張ってほしいと思うんです。
私は、きょう訴えたいのは、こうして当事者が頑張って、今紹介したように、一定の前進はしてきています。だけれども、実は、一番大手のJRあるいは航空会社は、全くやっていません。これは、経営力や公益性の大きさから見ても、国としてちゃんと強く求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○奈良平政府参考人 お答え申し上げます。
この割引制度でございますけれども、その減収を他の利用者の負担で賄うというものでございまして、割引対象にするかどうかということにつきましては、基本的には各事業者の自主的な判断に係る問題であると考えております。
国土交通省といたしましては、これまで、さまざまな機会を捉えまして、各事業者や事業者団体などの関係者に対して理解と協力を求めてきたところでございます。
今後とも、先生御指摘のありますJR、航空会社を含めまして各事業者に対しまして、引き続き、理解と協力を求めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 前回もそういう答弁だったわけですね。事業者が割引をすることによってほかの利用者に影響があるから、民間だから限界があるということをおっしゃった。
だけれども、そういう中でも、今紹介したように、個人のタクシーも含めて頑張っているわけですよね。そうすると、一番力がある、JR三社は今経営が、純増しているということを言われている中、一番力があるところが率先してやるのが本来ではないかと思うんです。
奈良県のJR・大手民鉄の精神障害者運賃割引を実現する会、この皆さんは、国土交通大臣並びにJR各社と大手民鉄、全国に質問状を送って、割引を迫っているんです。
そうすると、答えぶりが同じなんですよ、JRは特に。誰かが見本をつくったかわからないんですけれども、現在の身体障害者割引などいわゆる公共割引は国鉄時代の制度を引き継いだものだ、国鉄のときにやっていたから、今は民間だから違うんだということを言っているんですね。これらは基本的に、本来、国の社会福祉施策で、国の負担でお願いすべきものだと。
もちろん、それは私はお願いしたいと思いますよ、それはそうだけれども、やはり、全体が頑張っているときに、なぜ大手がやれないのか。また、三障害なのに、なぜ精神だけが、後から来たからといって置いてきぼりを食うのか。これは絶対おかしな話なわけですね。
そこで、後ろ二枚、四枚目の資料を見ていただきたいと思います。
これは、総務省の九州管区行政評価局の出したプレスリリースであります。行政苦情救済推進会議のところに、精神障害者もバスの割引が受けられるようにしてほしいという意見がありました。
相談の要旨は書いてありますけれども、簡単に読みますと、娘が精神障害で手帳の二級を保有している、自動車の運転ができないため、外出する際にはバスを利用しているが、身体障害者や知的障害者と異なり、精神障害者には運賃割引が適用されていないという趣旨のものであります。
これに対して、二枚ありますが、行政評価局として、身体と知的は全部、一〇〇%やっているのに精神のところだけ全然おくれているということを調査した上で、あっせんをしているわけですよね。「このような状況を踏まえると、精神障害者のみ割引の対象から除外している現在の状況は、他の障害者との公平性に欠けると考えられる。」と認定して、あっせんを行ったわけであります。
まさか、九州だけの問題にしてはならないと思いますが、これを受けて国交省がどのように取り組んできたか、お願いいたします。
○大庭政府参考人 御指摘の平成二十四年十月十六日の九州管区行政評価局からのあっせんは、身体障害者及び知的障害者を対象として実施しております割引制度の適用につきまして、精神障害者についても適用の対象とすることについて、九州運輸局から管内のバス事業者に対して引き続き理解と協力を求めるべきとする内容となっております。
このあっせんを受けまして、国土交通省の取り組みについてでございますけれども、まず、九州運輸局におきまして、同年の十一月一日に、管内の乗り合いバス事業者六十一社、このうち精神障害者割引を実施しておりません三十一社及び九州バス協会会長宛てに、精神障害者に対する運賃割引の適用拡大の協力要請文書を発出しております。
また、九州以外の各地方運輸局につきましても、管内で精神障害者割引を実施していない乗り合いバス事業者及びバス協会に対して文書による協力要請を直ちに行うよう、国土交通本省自動車局から指示を行い、各地方運輸局から、乗り合いバス事業者及びバス協会に対して文書により協力要請を行っておるところでございます。
○高橋(千)委員 やはり、一般論でなく、具体的に、やっているところとそうじゃないところがあるわけですから、個別に指導してくださったということだったと思います。
それで、ここまでのやりとりを田村大臣にも聞いていただいたわけなんですが、ぜひ認識を伺いたいと思います。
今紹介した行政評価局の文書を見ますと、あっせんをする前提として何を見ているかということです。さっき言ったように、約款の改正ということもあるんですけれども、最初に議論してきましたように、精神障害者の就職件数が増加をしている。まだまだ不十分とはいえ、雇用促進法の中に精神障害者の義務づけも行ったわけでありますね。
そうしたことを踏まえて、「障害者の自立及び社会参加の支援等を目的とする障害者基本法では、精神障害者と身体障害者又は知的障害者との間で位置付けは異なるものとはなっていない。」また、就職件数が伸びていて云々という形で、「社会参加が進んでいる状況がうかがえる。」というふうに書いているんです。
だから、大変だから、もちろん大変なんですよ、大変だから何とかせいというだけの話ではなくて、せっかく権利条約にあるような自立と社会参加が進んでいる環境をやっと整えてきた、だったら、何でここに、精神障害者だけ別なんですか、公平性に欠けるでしょうという指摘は、私はすごく重要だと思うんですね。やはりそういう視点に立って、これは一気に解決をせざるを得ないんじゃないかと思うんです。
ですから、三障害一元化といいながら精神障害者だけがおくれているという現状は、やはり変えなければならないと思うんです。それを、もう一声、乗り越えるために何かの措置が必要だとすれば、例えば零細の事業者に対する税制の減免措置の問題ですとか、あるいは自治体の取り組みが非常に進んでおります、それに対して交付税措置なども必要だと思うんです。
そういう意味では、例えば国交省とか総務省、財務省、いろいろなところと連携して、やはりここはやろうよ、ここに差をつけちゃいけないんだというところではリーダーシップを果たしていただきたいなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○田村国務大臣 委員おっしゃられますとおり、身体障害者手帳、療育手帳等々をお持ちの方は公共交通機関の割引等々をお受けになっておられる、ほとんどそうなっておるわけでありますけれども、精神障害者保健福祉手帳に関しては、まだ、全てというか一部というか、そうじゃないという交通機関が、今も名前を例示して挙げられましたけれども、あられるということでありまして、三障害は同じじゃないかという中において、非常に不公平だという御意見があることは我々も賜っております。
平成十八年十月に、手帳に写真等々をくっつけられるようにして、本人確認ができるようにしたわけでありまして、それも、その意味では、ぜひともこのような公共交通機関で割引をしていただくための、一つ前進するための方策でもあったわけであります。
これは、それぞれ事業者が独自にやっておられるということは、今も国交省から話がございました。ですから、公共交通機関を運営しておられる事業者並びに自治体、こういうところの御理解をいただかなければならないわけでございますので、私どもから、厚生労働省として何か物を要請するよりかは、やはりいろいろな許認可を持っておられる国土交通大臣からしていただいた方が、それはきくのは間違いがないわけでございまして、我々も何度も国土交通大臣には要請をさせていただいてきたわけであります。
しかし、いろいろなところで、それを実現するための環境整備というものがあるのではないかというような、今、委員からの御提案もいただいておるわけでございます。
各省庁といろいろと相談をしながら、何ができるのかということも含めて、おっしゃられるとおり、精神障害者の方々がもう今どんどんと社会の中で、それこそ職について頑張っておられるというような、そんな現実になってまいりました。そのためには、やはり移動するための手段、これを使うわけでありますから、そのような意味合いというのは我々も大変大きいものがあるというふうに思っておりますので、いろいろとこれから検討をしてまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 事業者にはいろいろ言えないと言いつつも、二障害については一〇〇%やっている。そういうことを考えれば、やはり国の決意次第なのではないか。もちろん、国土交通大臣には先頭に立っていただきたいんですが、そのための環境づくりということでは、やはり厚労大臣にイニシアを発揮していただきたいということを強く求めまして、本当は制度の谷間の問題、さまざまありましたが、きょうはここで、要望して終わりたいと思います。
ありがとうございました。
――資料――
【資料2】公共交通機関における精神障害者に対する運賃割引等の実施状況