国会質問

質問日:2023年 4月 19日 第211国会 国土交通委員会

国際クルーズ船再開とダイヤモンドプリンセス号について

クルーズ船感染検証を

高橋氏要求 国交相「まとめる」

(写真)質問する高橋千鶴子議員=19日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は19日の衆院国土交通委員会で、国際クルーズ船の運航再開にあたり、新型コロナウイルスで712人の感染者、14人の死者を出したダイヤモンド・プリンセス号の集団感染を検証すべきだと主張しました。

 国際クルーズは2020年3月以降、日本の港湾での受け入れが停止されていましたが、昨年9月の水際対策緩和措置後に関係団体の感染予防対策ガイドラインが策定されたのを受け、今年3月から運航が再開されています。

 高橋氏は、青森港ではコロナ前よりクルーズ船の入港予定が増えているとして、「5月8日からコロナが感染症法上の5類に移行される。国際クルーズは3月から再開されたばかりなのに、コロナ感染予防対策ガイドラインはもう廃止されるのか」と質問。国交省の堀田治港湾局長は「ガイドライン改定に向けた検討で関係者と協議を進めている」と答えました。

 高橋氏は、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船客らが2月、横浜で開いた追悼行事にふれ、「同じ事態を再び起こさないために何が必要なのか明らかにすること」を求めた主催者宣言を紹介し検証の必要性を主張し、政府も追悼式に参加すべきだと述べました。

 斉藤鉄夫国交相は「検証の最終とりまとめを作成する。追悼行事は他の事例等を踏まえ対応を考える必要がある」と答えました。

(「しんぶん赤旗」2023年4月23日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 五月八日から、新型コロナウイルスが季節性インフルエンザと同様に感染症法上の五類に移行されます。
 資料の一を見てください。これはイメージ図ですが、一つは、真ん中の緑の矢印、五月八日に一遍に元どおりになるわけではないということだと思うんですね。夏と冬の感染拡大を警戒している印であります。また、右下に、医療機関の体制ですけれども、外来が四万二千から最大六万四千に、あるいは、入院約三千から全病院約八千と移行するというふうな印があります。
 むしろ、受入れ先が増えるようにも見えますが、この図の趣旨を簡潔に説明してください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更、これは五月八日を予定しております。この変更に伴いまして、医療提供体制につきましては、先生御指摘のとおり、これまでの限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の体制に段階的に移行していくことを考えております。
 具体的には、外来につきましては、同じ五類感染症であります季節性インフルエンザ、これの診療医療機関数が約六・四万ございます。それを踏まえまして、広く一般的な医療機関による対応を行うこと。また、入院につきましては、全病院数が約八千二百ございます。これによる対応を目指すこととしております。
 移行に当たりましては、外来医療体制につきましては、これまで行っておりましたように、対応する医療機関名、これは引き続き公表する仕組みといたしましたほかに、受け入れる患者をかかりつけの患者様に限定している医療機関もありますので、そういったところは、地域の医師会とも連携して、患者様を限定せずに診療に対応していただくよう促していくこととしております。
 また、入院の医療体制につきましても、位置づけ変更前は病床確保料を取っていた確保病床を有している重点医療機関、これが約三千ございます。ここにつきましては、重症者ですとか中等症の2以上の患者の受入れへと重点化を目指すこととしておりまして、それ以外で、既に受入れ経験がある医療機関が約二千ございます。ここを中心に、新たに軽症などの患者の受入れを積極的に促してまいりたいと考えております。また、これまで受入れ経験がない医療機関についても、受入れをしていただけるように促していくこととしております。
 こういった方向性につきましては、今、各都道府県において、地域の実情に応じて、新たな医療機関における受入れ拡大の具体的な方針や目標などを盛り込んだ九月末までの移行計画、これを策定をいただいているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、こうした医療の体制、維持拡大を促す上で必要な設備整備等の支援のほか、診療報酬上の特例や病床確保料につきましても、一部見直しは行いましたが、当面の間継続することとしておりまして、身近な医療機関で受診ができる体制の構築というものを図っているところでございます。
○高橋(千)委員 コロナは、医師法第十九条第一項、応招義務の例外とされていたものが、今後は例外としない、つまり、拒否する正当な理由にはならないということだと思います。現場では、では実際に五類になったら、もう関係ないでしょう、誰でも受けてくれるんでしょうというふうになったら、どうすればいいのかという指示がないということで心配の声があったので、混乱がないか心配しているところです。
 今のお話は、九月末までの移行計画をきちっと持ってという話でありました。また、五月八日から一斉に元に戻るのではなくて、段階的に移行していく。それは、やはり警戒は必要だということだと思うし、それに合わせてコロナ対応の交付金も一遍に何もなくなるではなくて、一定は維持していくという理解でよろしいですね。イエスかノーでお願いします。
○大坪政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 そこで、資料の二を見ていただきたいと思うんですが、昨年の十一月十五日に国交省の港湾局と海事局が行ったプレスリリースです。「国際クルーズの受入を再開します」とあります。
 これによると、九月二十六日は水際措置が緩和されているんですが、日本国際クルーズ協議会、JICCなどによる感染予防対策ガイドラインが出そろったので、一番下の段を読みますけれども、今後は、各クルーズ船社が、寄港を予定している港の関係者と受入れに関する協議を行い、合意を得た上で、順次運航を再開することになりますとあります。
 今年三月三十一日付内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室長の事務連絡では、五月八日以降は、業種別ガイドライン、今言ったようなものだと思いますが、ガイドラインは廃止するとされております。
 国際クルーズは三月に再開したばかりですが、もうガイドラインを廃止するんでしょうか。
○堀田政府参考人 お答え申し上げます。
 令和五年一月二十七日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定では、オミクロン株とは大きく病原性が異なる異変株が出現するなどの特段の事情が生じない限り、五月八日から新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、五類感染症に位置づけるとされ、最終確認した上で実施することとされております。
 また、令和五年二月十日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定では、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけ変更以降は、業種別ガイドラインは廃止となり、事業者は自主的な感染対策に取り組むこととなる、政府は、感染法上の位置づけ変更後も、自主的な感染対策について必要となる情報提供を行うなど、個人及び事業者の取組を支援していくということとされているところでございます。
 こうした政府全体の方針を踏まえまして、国際クルーズの運航に係る関係業界団体は、五月八日以降のガイドラインの対応について検討を今進めているというふうに承知しております。
 特に、国際クルーズの運航本数の多い外国籍クルーズ船については、業界団体である日本国際クルーズ協議会がガイドラインの改定に向けた検討を進めておりまして、既に厚生労働省等関係省庁とも協議を進めているというふうに承知しております。
 引き続き、業界団体及び関係省庁としっかり連携しながら、安心してクルーズを楽しめる環境づくりを推進し、五月八日以降の対応に万全を期したいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 連休が明ければ、もうすぐに五月八日なわけですよね。もう少し具体の話があるのかなと思いました。
 JICCのガイドラインは第二版ですけれども、業界団体は第八版以上重ねております。それだけ苦労して重ねてきて、またここでどうするのか、全くゼロにしていいのかというのは、やはりみんな悩んでいるところだと思うんですよね。そこでの方向性が少し欲しかったなと正直思いました。
 それで、次に、続けていきますけれども、当面、国際クルーズ船の今年予定されている運航回数、そして港湾は幾つか。
○堀田政府参考人 お答え申し上げます。
 今年予定されている国際クルーズ船につきましては、現時点では、日本籍クルーズ船につきましては、運航本数が五本、日本の港への寄港回数は十四回、港湾数にすると八港であると承知しております。
 また、外国籍クルーズ船につきましては、二〇二三年一月十九日時点の日本国際クルーズ協議会の調べでは、運航本数が二百十二本、日本の港への寄港回数は千百七回、港湾数にすると九十九港であると承知しております。
○高橋(千)委員 ちょっと数え方があれかなと今思って聞いておりましたけれども、資料の三番に、国交省が出している二〇二三年三月以降のクルーズ予定の一覧ということを出しております。ここで分かっているだけでも、定員が三千人以上、つまりダイヤモンド・プリンセス級のクルーズ船が、運航本数が七十一本であるということで、かなりの本数が予定をされております。
 また、資料の四番なんですけれども、これがクルーズ船の寄港する港湾ということで地図に落としたもので、赤印が百回以上ということで、なぜか西日本に集中しているわけでありますが、ただ、コロナ前のピークは二〇一八年で二千九百三十回、うち外国船社が千九百十三回でありました。
 また、我が青森港でいいますと、二〇一九年が二十七回だったものが、今年三月から十二月までの予定で既に三十八回にも増えているということです。ですから、コロナの中でゼロだった記録を残して、一気に今再開をしているということになると思うんです。
 それで、ガイドラインに基づき自治体が担う役割はどんなものがあるのか。これは、ですから、五月八日前の話でお願いします。簡潔に。
○堀田政府参考人 お答え申し上げます。
 日本国際クルーズ協議会のガイドラインに基づき自治体が担う役割の主なものを御紹介いたします。
 感染者の症状等に鑑み、陸上での治療が必要と船医が判断した場合は、寄港地の港湾管理者は、医療機関等の手配や感染者の搬送手段について、あらかじめ水際関係機関及び寄港地の衛生主管部局に確認することとなっております。
 また、最終下船港となる寄港地自治体については、隔離期間が残っている感染者の陸上での隔離のため、必要に応じ、可能な範囲で、宿泊療養施設の確保等に関する検疫所やクルーズ船社への協力を行うということになっております。
○高橋(千)委員 自分なりに読んで、また青森県の取決めなども聞いて、非常に大変だなと率直に思ったので伺いたいと思うんですけれども、まず、受入れに当たっては、クルーズ船内で感染者が確認されたときに、船内隔離ということが基本になっておりますけれども、それでも、条件次第で陸上での隔離が必要となった際、あらかじめ備えておくということで、様々なことを、取決めを事前にしておかなければなりません。
 しかも、感染者が国内由来なのか国外由来なのかによって対応が違う。国内の場合は保健所であり、国外の場合は検疫所であるということがまずありますし、医療機関や公共交通によらない移送手段を用意しなきゃいけない。船社側がお金は後で負担するかもしれないけれども、でも、用意するのは地元自治体に頼る以外にない。
 そういういろいろな準備をして、再開、もう始まっているわけなんですけれども、実際に、そうした対応が困難と判断した場合、受入れを拒否することもあり得る、そういうことになりますよね。まずそこまで。
○堀田政府参考人 お答え申し上げます。
 クルーズの受入れに当たりましては、港湾管理者、衛生主管部局、それから検疫所の、寄港する港の関係者が受入れに関する協議を行いまして、合意を得た上でクルーズ船の寄港を受け入れるように、国土交通省としては港湾管理者の皆さんに対しまして要請をしているわけであります。
 この受入れ協議におきましては、船内で感染者が発生したクルーズ船の受入れに当たりまして、医療機関への搬送等を安全かつ速やかに実施できるように、感染状況に応じた初動体制の構築や運送用動線等につきまして、寄港地自治体、それから検疫所、消防機関等の関係者とあらかじめ調整を行うこととなっておりまして、御指摘の港湾の受入れ体制なんですけれども、これについてはしっかりと構築されているのではないかなというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 私、今、ゼロか一〇〇かを聞いたわけじゃないんですよ。体制が、努力するんだけれども、できない場合もあるよねと聞いただけです。当然、書いていますから。
○堀田政府参考人 お答え申し上げます。
 それは想定でありますので、ちょっとお答えはしにくいと思っております。
○高橋(千)委員 これが答えられないと、では、ガイドラインをどうするかということが答えられないんですよ。だって、基本は、業種別ガイドラインは廃止すると言っているわけでしょう。廃止しても、感染者がゼロにはならないわけですよ。そのときの対応をどうしますかといったら、やはりガイドラインに基づく対応をするしかないじゃないですか。だから聞いています。
 大臣、今の私の質問、おかしく思いますか、当然じゃないでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 どのように各港、港湾、また港湾管理者、地元自治体が受け入れるかということについて、しっかりとした基準が必要だ、このように思います。
○高橋(千)委員 事ほどさように、自治体に丸投げなんですよ、今の状態は。
 ガイドラインを作るときは国が監修していますと言っています。各団体、三つガイドラインがありますけれども、国にちゃんと、指導というんでしょうか、相談をしながら、いろいろな業界団体、知恵も出し合って作ってきたと言っています。だけれども、本当に現場でどうするかといったときに、それは自治体が受入れを準備していると思いますじゃ駄目なんですよ、そのことを言っています。
 そこで、一昨年三月の本委員会で、ダイヤモンド・プリンセス号の集団感染の問題について検証を行うべきではと私は質問しました。実は、今年二月三日に、横浜大黒埠頭で初めてリアルでの追悼行事が開かれて、私も参加しました。
 資料が最後のページにあるんですけれども、これは東京新聞の記事ですけれども、二月三日というのはクルーズ船が横浜港に入港した日なんですね。資料の、この二月四日付の東京新聞、報道陣もたくさんいらっしゃいました。また、主催者自身が、実はコロナの中で、互いにリアルに会うのは初めてだったんです。共同代表などがいらっしゃいますけれども、その人たち自身が会ったことがない、オンラインで会議をしながらやってきたということでありました。
 記事を少し読みますと、乗船していた五十六か国の三千七百人余りのうち、七百十二人がコロナに感染し、十四人が命を落とした。私たちの意図は、誰かに責任を負わせることにあるのではなく、同じ事態を再び起こさないために何が必要なのかを明らかにすることにあると宣言文を読み上げました。
 そして、趣旨に賛同して集まってくれたのは、例えば、東武伊勢崎線竹ノ塚駅の踏切事故の御遺族、二〇一四年の御嶽山の噴火災害の御遺族、また日航ジャンボ墜落事故の御遺族などです。
 まず伺いますが、このダイヤモンド・プリンセス号集団感染事故は、他の航空機事故だとか列車事故などと同じように、重大な犠牲を生んだ事故なのだという認識はあるでしょうか。シンドラー製のエレベーターに挟まれ、十六歳だった長男を亡くした市川正子さんが、命を守るために国が何をし、どう再発防止に動いたかを求めるのは、どの事件や事故でも遺族に湧き出る共通の問いだ、社会が人ごととするのが遺族を最も苦しめるとおっしゃっている。その言葉は大変重いと思います。
 大臣、二・三の追悼式にもし呼ばれたら参加するべきだったなと思うし、呼ばれなくても国として考えるべきだと思います。そのくらい重大な事故だという認識はおありですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 まず、検証をしたのかという前段の御質問でございますが、国土交通省では、二〇二〇年九月に専門家会議が策定したクルーズの安全・安心の確保に係る検討・中間とりまとめにおきまして、ダイヤモンド・プリンセス号事案の検証を実施しております。
 また、昨年六月、内閣官房が設置した新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議において、ダイヤモンド・プリンセス号の事案等を踏まえた検証を行い、入院等の調整時における国の権限の明確化など、広域的な調整が円滑に行われる仕組みづくりが必要である旨の取りまとめがなされ、昨年十二月、感染症法の改正が行われたと承知しております。
 今後、国土交通省では、中間取りまとめを公表した二〇二〇年九月以降の検証結果や、三月に再開した国際クルーズ運航によって得られた知見や経験を踏まえ、最終取りまとめを作成することとしております。
 なお、追悼行事への参加につきましては、他の事例等を踏まえ、その対応について考える必要があると認識しております。
○高橋(千)委員 最終取りまとめを行うという答弁だったと思います。そこはまず確認します。
 そこで、ダイヤモンド・プリンセス号以降、外国におけるクルーズも含めて、集団感染というのは、程度はありますけれども、あったと思いますが、把握している状況を伺います。
○木原委員長 既に持ち時間が経過をしておりますので、では、手短に答弁をお願いします。
○高橋(千)委員 失礼しました。時間を間違えました。では、まとめます。済みません。大変失礼しました。
 実は、この後も、政府がガイドラインを作るときに一番世界で厳しいのを参考にしましたと、オーストラリアの船が、八百人の感染事故が二〇二二年の十一月に起きておりますし、また、三月には石垣で三十一名のクルーズ船の感染があるわけですよね。
 こうしたことがあるからこそ、やはり検証というのが大事なんだと。そして、当事者の視点というのを入れていかないと、当事者にしてみると、情報の在り方だとか、船内隔離といっても、それだけの場所がなかったよとか、様々な意見があります。当事者参加での検証をやっていただきたい、そのことを重ねて申し上げまして、終わります。
 ありがとうございました。

2023年4月19日 国土交通委員会 提出資料

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