国会質問

質問日:2023年 4月 5日 第211国会 国土交通委員会

道路法改正案(笹子トンネル天井崩落事故、高速道路の更新・進化事業など)

高速道“新設財源か”

高橋氏、債務返済延長を批判

衆院国交委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=5日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は5日、衆院国土交通委員会で、高速道路の債務返済期限を2115年まで延長する法案について、「更新事業を口実に今後100年近く高速道路建設財源を確保しようとするものだ」と批判しました。

 04年の「道路公団民営化」により、高速道路事業の費用は、市中で調達した借入金を通行料金で返済する仕組みがつくられました。返済期限を延長すれば、約束していた「通行料金無料化」が先送りされ、延長期間内であれば新規の高速道路建設も可能となります。

 政府は12年の笹子トンネル天井崩落事故を受け、老朽化した高速道路の維持・更新事業の費用確保のため、14年に続き今回、返済期限延長法案を提出しました。高橋氏は、14年改定時に対象となった事業と建設費について質問。国交省の丹羽克彦道路局長は、更新事業だけでなく「阪神高速の淀川左岸線延伸部1600億円」など新規建設事業も含まれていることを認めました。

 高橋氏は今回、対象となる「更新」と「進化」事業について質問。丹羽局長は15年までの更新費用として計約8・3兆円を見込み、「進化」事業は「4車線化」等に加え「新規事業もある」と明らかにしました。

 高橋氏は「いま必要なのは大規模修繕・更新であり、費用は、新規を抑制し捻出すべきだ」と主張しました。

(「しんぶん赤旗」2023年4月9日付)

 

-議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 昨年十二月二日、中央自動車道の笹子トンネルで天井板が落下し、走行中の車三台が下敷きになって九人が死亡した事故から十年目の慰霊追悼式が行われました。御遺族が、事故の原因と責任を明らかにしたいという願いさえもいまだ解決できていないと訴え、中日本高速道路の社長に向かって土下座をして懇願するという場面がありました。こんなことがあっていいのかと大変衝撃を受けました。
 二〇一三年に国交省の事故調査報告書は出ておりますが、設計や施工不良、点検体制など複合的な要因があったとの報告にとどまりました。
 また、中日本高速道路と子会社の当時の幹部など十人全員が不起訴となり、捜査は終結しております。
 この事故がその後のインフラ総点検など大きな契機となり、二〇一四年法改正、そして今回の法案提出につながったことは承知をしていますが、いまだ解決できていないと訴える御遺族の気持ちをどう受け止めるのか、大臣に伺います。
○斉藤(鉄)国務大臣 笹子トンネルから十年がたちましたが、改めて、亡くなられた九名の方々の御冥福をお祈りしますとともに、その御家族の皆様方に対してお悔やみを申し上げます。
 笹子トンネル天井板崩落事故の際の責任につきましては、御遺族より損害賠償請求訴訟が提起され、平成二十七年十二月に、中日本高速道路会社などに対し、事故の予見可能性及び工作物責任に基づく損害賠償責任を認める判決がなされたと承知しております。
 私といたしましても、このような痛ましい事故は二度と起きてはならない、また忘れてはならないと考えております。
 国土交通省としては、事故の教訓を生かし、強い決意を持って全国のインフラ老朽化対策に取り組むとともに、今般の改正法案を通じて、高速道路の機能を将来にわたって維持し、将来世代に安全な高速道路を引き継げるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと決意しております。
○高橋(千)委員 平成二十七年の判決のみをお答えになったと思います。その後の民事裁判などでも最高裁で遺族側が敗訴しているということ、やはり全員不起訴であったということを重く受け止めるというか、十年たってもやはり遺族の思いは晴れない、要するに、帰ってこないのを分かっていても、せめて原因をはっきりしてほしいという思いに対して、やはり正面から応えていくべきではないか、このように思っております。
 そういう意味で、この法案がどのように作られてきたのかということを考えていきたい、このように思うんですね。
 二〇一四年四月十四日、国交省の社会資本整備審議会道路分科会は、道路の老朽化対策の本格実施に関する提言を発表、「最後の警告 今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」と呼びかけました。
 提言では、既に、二〇〇二年以降、今後適切な投資を行い修繕を行わなければ、近い将来大きな負担が生じると繰り返し警告してきたと述べています。
 二〇〇五年の道路関係四公団民営化により高速道路の管理費が約三〇%削減され、直轄国道の維持管理費を一〇%から二〇%削減されました。全国に道路橋は約七十万、道路トンネルは約一万本、高度経済成長期以降に集中的に整備した橋梁やトンネルが、今後急速に高齢化し、十年後には建設後五十年経過する橋梁が四割以上になると見込まれるとの提言がされてから、十年既にたっているわけであります。
 静かに危機は進行している、こうした警告がなぜ考慮されなかったのか、考慮されたというのであれば、どのように生かされたのか、伺います。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇〇二年八月の社会資本整備審議会道路分科会の中間答申におきまして、高度成長期に整備された道路構造物の老朽化が今後進むため、適切に更新していくことが必要であるとの意見をいただきました。
 一方、二〇〇五年の民営化当時におきましては、更新の必要性は認識していたものの、構造物の正確な劣化予測は困難であるということに加え、更新が必要な具体の箇所などが明らかになっていなかったことから、更新は計画に見込んでございませんでした。
 その後、高速道路の建設から約五十年が経過いたしまして、更新が必要な具体の箇所が顕在化してきたことを踏まえ、平成二十六年の法改正で料金徴収期間を十五年延長し、更新に着手をしたところでございます。
 引き続き、定期点検を適切に行いまして、個別箇所ごとの損傷状況を踏まえ、更新の必要性を確認してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 二〇一四年四月二十三日、この道路法審議をした、ですから、前のときの本委員会においても、我が党の穀田議員が、同審議会の私が今紹介した提言を紹介して、警告を受けながら、具体の対応策を盛り込まなかったのが問題ではないのかとただしたのに対し、当時の道路局長は、この更新というものの必要性は想定しておりましたと答えています。今も、認識していたものの困難という答弁であったかなと思います。
 この一四年の改正の前、四十五年間の償還期間を決めたときに、もう既に想定していたという答弁をして、けれども十分でなかったというのがあって、それから前回の改正であり、また今回の改正なわけですよ。二回目なんですよね、反省してから。
 それで、当時そうした反省をして、一旦償還計画を延長し、更新費用を盛り込んだはずなのに、また今回、見込んでいませんでしたと、同じような趣旨でなぜ更に延長するのかということが納得いかないんです。
 二一一五年終了ということは、通算百年に及ぶ計画であって、昨日の参考人質疑でも、誰も生きていないよねとか、事実上の永久有料化と言われても仕方ないなどの厳しい意見が出ました。
 なぜ同じことを繰り返すのかということをお答えください。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十六年に、法改正で料金徴収期間を十五年延長しました。その同時期に、構造物につきまして、五年に一回の法定点検を開始をしております。その法定点検を実施する中で、重大ないろいろな損傷が各道路で分かってきた。それをいろいろ分析をすることによりまして、今回の法改正につながっているわけでございます。
○高橋(千)委員 今のお答えは、十五年延長したのが二〇一四年のときであったと。そのときに、もう法定点検をやっていて分かってきたということですから、では、その二〇一四年の時点で、十五年では足りなかった、足りないというのは分かっていた上でやったという理解でよろしいですか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 前回の法改正においては、その時点で甚大な損傷があって、更新をしなければならないと分かっていたところを、前回の法改正のときは、抽出して、これを更新するために十五年延長したということでございます。
 それで、その延長したときと同じ時期に、この点検を、法定点検を、五年に一回のを開始しているということで、そこから、平成二十六年から点検をやっていく中で新たな損傷が分かってきた、そういう経緯でございます。
○高橋(千)委員 だとしたら、やはり当時の説明が、これで終わるかのような説明はやはりおかしかったのではないか、このように指摘したいと思うんですね。
 少しでもやはり経費を少なく見せようとしたのではないかと、当時、穀田議員も指摘をしました。やはり、全体としてコストを下げようとか、せっかく民営化になったんだから料金も安くしようとか、そういう議論がされている中で、やはり修繕の必要な費用を、今分かる部分だけ、あえて分かる部分だけにして小さく見せようとしたんじゃないか、そういうことはどうしても指摘をせざるを得ないと思うんですね。
 二〇一四年以降も数兆円規模で予定されている道路建設を抑制して、その債務部分を回せば、大規模修理、更新の費用を捻出することは可能だと私たちは指摘をして、前回も反対をしました。あのときの指摘のとおりかな、このように思うんです。
 日本共産党は、無料化すればよいとか、無料化が遠のくから問題だという立場ではありません。必要な大規模修繕、更新費用をきちんと説明をして、その範囲で償還計画を見直すこと、その際、未実施の道路事業、新規の事業については聖域としない、もう本当に必要ないんだったら造らない、総量規制を行うべきだと考えます。
 質問は、元々、民営化以降に四十五年償還という考え方は、返還時期が二〇五〇年を超える新規の事業はできないという制約を決めたものになると思いますが、確認します。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 道路関係四公団につきましては、平成十七年の十月に、有利子債務の確実な返済、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない国民負担で建設、民間ノウハウの発揮により、多様で弾力的な料金設定や多様なサービスを提供することを目的として民営化したところでございます。
 この民営化時から、債務の確実な返済や道路建設への歯止めの観点から、料金の徴収期限を二〇五〇年、令和三十二年と規定しております。
 この規定に基づけば、新規事業であるかどうかにかかわらず、債務返済期間が令和三十二年、二〇五〇年を超えるような債務を高速道路機構が引き受けることはできないと認識をいたしております。
○高橋(千)委員 回りくどい言い方でしたが、できないということだったと思います。
 それで、二〇一四年改正は、笹子トンネル事故を受けて更新事業を追加し、十五年間延長したものでありますけれども、この間に、新規の道路事業は、道路建設事業、どんなものが実施されたのか、事業名、建設費でお答えください。また、それができるという根拠はどこから導かれるのか、お答えください。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十六年の法改正によりまして、更新事業の財源を確保するため、高速道路の料金徴収期限を十五年延長いたしました。
 その後、平成二十七年度からの近畿圏の新たな高速道路料金の検討に際しまして、地方自治体、大阪府、兵庫県、大阪市、堺市、神戸市等から、延長した期間における料金収入の一部を、世代間の負担の公平性を考慮し、大阪湾岸道路西伸部、また、淀川左岸線延伸部のネットワーク整備のためにも充当すべきという御提案をいただいたところでございます。
 この提案を踏まえまして、平成二十八年十二月の国土幹線道路部会の基本方針におきまして、受益のある世代間の公平な負担、また追加的な料金負担の軽減の観点から、現行の建設分とは別の新規建設の債務償還のために、料金徴収期限までの追加的な料金負担分を活用することを検討する必要があるとの御意見をいただいております。
 これを踏まえまして、阪神高速道路におきましては、延長した期間における料金収入の一部を、大阪湾岸道路西伸部、淀川左岸線延伸部のネットワーク整備に活用することとし、道路整備特別措置法第三条を根拠に、阪神高速道路会社が有料道路事業としてその整備を実施しているところでございます。
 なお、それぞれの有料道路事業の事業費でございますが、大阪湾岸道路西伸部につきましては約一千六百億円、淀川左岸線延伸部につきましては二千五百億円となっております。
○高橋(千)委員 今のところなんですけれども、本法案の土台となった国土幹線道路部会の中間答申、二〇二一年八月四日にはこういう表現があります。近畿圏においては、新規路線の整備に必要な財源確保についても新たな料金を導入する目的の一つであったことから、こうした整備の進捗状況についても確認していくことが重要であるというふうに書いているんですね。
 これはどういうことかなとずっと追いかけていくと、まさに今局長が答弁なさったことなんですが、二〇一六年の十二月十六日に、近畿圏の高速道路を賢く使うための料金体系ということで、確かに受益のある世代間の公平な負担ということも書いているんですが、追加的な料金負担の軽減の観点から、現行の建設分とは別の新規建設の債務償還のために、料金徴収期限までの追加的な料金負担分を活用することを検討すると。
 つまり、償還期間が延びたので、その期間を利用して、受け取る料金を高くしなくても新規建設の分を生み出すことができると、それが賢く使うためのという、それを意味しているということでよろしいですね。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員がおっしゃられたとおりでございます。
○高橋(千)委員 ということで、この賢く使う料金体系は今後も利用されると。
 今回も、深刻な老朽化が明らかになったということで更新ということが言われているんですけれども、更新、進化という表現がされていますので、これは、規定されている四車線化などのほかに、新規の道路建設そのものも含まれるという理解でよろしいですね。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法改正におきましては、更新事業をまず最優先にしてまいります。それで、その後として、いろいろ取捨選択、優先順位を決めまして、進化事業をやっていくということになりますので、その中で整備が進んでいくものというふうに考えております。
○高橋(千)委員 更新事業を最優先だけれども、取捨選択した後に使われるということをお認めになったと思うんですね。
 その更新事業なんですけれども、二〇一四年の改正時は更新費用を約四兆円と見積もっていました。でも、資材高騰などもあって、今年の一月末には五兆四千億円になっています。
 今回、五十年も延長するのに更新費用は約一兆五千億円しか見積もっていないんです。そうすると、年間管理費が一兆三千億円も既に毎年かかると言っているんですから、それと同水準。それだけが五十年先延ばしにする理由のはずがないと思うんですね。
 だから、今後の増大要因をどこまで見込んでいるのか、そして、それとも、その時点で法案を再改正するということなのか、大臣、お答えください。
○斉藤(鉄)国務大臣 平成二十六年度に着手した更新事業につきましては、労務単価の高騰や事業計画の見直しなどにより事業費が増加しております。
 今般明らかになった更新需要について、現時点において具体的に事業費の増加を見込むことはできませんが、これまでに着手した事業と同様、事業費の増加につながる可能性のある事業内容の見直し等が生じることも想定されます。
 また、事業費が増加する可能性がある場合の対応について、まずは、施工方法の見直しや新技術の活用等により、安全を確保しつつ、コスト縮減を図ることが必要であると考えております。
○高橋(千)委員 いやいや、コスト縮減をしたら、五十年も先延ばしにする理由が一層分からなくなるんですよ。どうなんです。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 事業費がどうなって、規模がどうなるのかというお尋ねだと思います。
 首都高速道路におきましては、新たに更新が必要と判明した箇所が二十二キロで、更新費用が三千億円となっております。
 これと同じ構造、基準のため今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所、これが百キロ程度でございまして、必要な更新費が一兆円程度と試算しております。これらの合計は約百二十キロ、一・三兆円となっております。
 また、阪神高速道路でありますが、新たに更新が必要と判明した箇所は二十二キロ、必要な更新費は約二千億円となっております。
 これと同じ構造、基準のため今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所、これが七十キロ程度、必要な更新費は八千億円程度と試算しておりまして、これらの合計は九十キロ、約一兆円となります。
 また、NEXCOでございますけれども、新たに更新が必要と判明した箇所、これは五百キロで、必要な更新費は一兆円ということでございます。
 これらの箇所につきましては、橋梁、土工、舗装になりますけれども、舗装において劣化に至るメカニズムがまだ完全に学術的に解明されておりませんので、今後更新が必要となる蓋然性の高い箇所がきっちりと絞り込めていない状況であります。
 この舗装を最大限計上した場合には、今後更新が必要となる蓋然性が高い箇所、これが六千キロ程度ということで、必要な更新費は五兆円程度と試算しております。これらの合計は約六千五百キロ、約六兆円となっております。
○高橋(千)委員 初めて六兆円というところまで引き上げたなと思って聞いておりました。これまで説明されていたのは一兆五千億円まででしたからね。
 それにしても、十五年延長したときとはまた違う、五十年延ばしたということの理由にはやはりならないのであって、先ほど来議論をしているように、その中で新規も可能だということはお認めになったわけです。
 そうすると、深刻な急ぐべき老朽化が進んでいて、そのための費用捻出はやむを得ないと思わせて、高速料金を取り続けることで新しく道路が造れる、やはりそういうことになるわけで、そういう仕組みになっているわけですね。そこをどうかということを大臣に聞いています。
○斉藤(鉄)国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますように、まずは更新事業をしっかり優先をしてやっていきたい、このように思っております。
 進化事業についてでございますが、現時点においては、具体的には、安全、安心の確保や強靱性の向上のための四車線化事業、それから、切迫する大規模地震に備えた耐震補強などを進化事業として考えているところです。
 御指摘の新規道路事業につきましては、事業化に当たり、例えば高速自動車国道の場合、国会議員も委員となっていただいている国幹会議の議を経る必要があるなど、その手続の中で必要性や財源の確保策などを十分に検討された後のことになります。
 この結果も踏まえつつ、有料道路事業としての実施について、まずは高速道路会社において検討するものと認識しております。
 いずれにしましても、この更新事業を最優先でやっていくということでございます。
○高橋(千)委員 最優先でやっていくことと実際に新規の話と、やはり隠れちゃうというのはよくないと思うんですね。
 やはり、先ほどの例えば淀川左岸線延伸部についても、住民の反対が非常に大きい問題で、賛否が分かれる問題なわけですよ。そういうことが、まずは更新事業だと言っておきながら、いやいや、賢く使うのよというふうな話になったら、延びたら延びただけ造れる要素が出てくるということでは、やはり違うんじゃないか、国会のチェックも必要だというふうに言いたいと思うんですね。
 それで、進化の中身の問題で、参考人の中からは、自動運転でレベル4の問題も紹介をされておりました。もうそうなったら、四車線化とか言っているけれども、車線必要なくなるよねとか、そんな議論もあったわけですけれども、確かに、百年のスパンでいうと、自動運転も確かに進化しているだろうし、もう全然違ったもの、ライフスタイルそのものが違ったものになっていると。それをこのスキームの中で実施していくのかというのはどうなのかな、それはそれでまた別途議論するべきなんじゃないかと思うんですね。
 それ以外の事業、今言った自動運転のようなものをどのくらい描いているんでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の改正法案による制度の下、更新事業に優先して充当した上で、必要性の高い進化事業を順次実施することとしております。
 進化事業につきましては、暫定二車線区間の四車線化、また耐震化などに加えまして、自動運転への対応など、新たな技術開発などに伴い必要となる施設整備も含まれると考えております。
 例えば、高速道路のサービスエリアなどにおきまして、自動運転車両にドライバーが乗り込むなど、高速道路上で自動運転と手動運転を切り替えるための拠点整備などを想定しているところでございます。
 なお、自動運転以外にも、カーボンニュートラルの実現に向けまして、EV充電器、また水素ステーションなどの設置の促進についても進化事業として取り組む必要があるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 自動運転の議論が前にこの委員会であったときに、私、聞いたと思うんですが、当時はまだGPSだとかそういうものの応用で、町の中の一部のところを実験的に走っているという段階だった。でも、レベル4になって、その後、いずれ高速を走る、そうなったら当然専用レーンだよね、そうしたら莫大な建設費がかかるよねという議論もあったと思うんですね。
 まだそこまではというので、具体的な答弁は得られなかったわけなんですけれども、やはりそれも進化で言っちゃうんでしょうか。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 自動運転の設備がどうなっていくのかというのは、額とか、まだ見込まれないところでございますが、社会資本整備審議会の道路分科会の中では、そういった自動運転につきましても進化事業ではないかということを、有識者の委員から意見をいただいているところでございます。
 それと、申し訳ございません、先ほど、淀川左岸線延伸部の事業費が千六百億円で、大阪湾岸道路西伸部が二千五百億円でございますので、訂正させていただきます。
○高橋(千)委員 今のは、逆に言ったということですよね。分かりました。
 進化ではないかという議論が出て、進化も、どこまで言うのかというのが、このスキームでやるのかということを疑問に思っているということです。
 最後にもう一度大臣に伺いますので、ちょっと待ってください。
 それで、老朽インフラの七割は地方公共団体の整備した道路や橋梁であって、人材不足、財源不足という中、道路のネットワークをどう整備するか、全体として検討すべきだと思っております。
 昨日の参考人質疑でも、無料の道路はあり得ませんと上岡参考人が述べていたことは大変印象的でした。不採算の地域こそ税金で建設して無料となっていることが多いわけですが、先般議論していたローカル鉄道、不採算だからと言われていたことを思うと、何とも割り切れない思いになるわけです。
 それで、今後、地域高規格道路、指定の方向性、どのように考えているのか、伺います。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 宮古盛岡横断道路などの地域高規格道路は、地域の交流や連携を図り、港湾などの拠点を連結することによりまして、地域の活性化、物流の効率化に資する広域道路ネットワークでございます。
 こうした地域高規格道路を含めた高規格道路ネットワークにつきましては、各地域の交通課題また交通ビジョンに対応するため、令和三年の七月までに各ブロックごとに新広域道路交通計画が策定されたところでございます。
 地域高規格道路の今後の指定も含めて、安全で使いやすい広域道路ネットワークの在り方については、この計画を踏まえながら、国土幹線道路部会における有識者の意見も伺いながら検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 検討を進めてまいりたい、方向性がよく分からないなと思って今聞いていましたけれども。
 私たち、道路を全部反対という立場ではもちろんありません。地域で開通されたときに、やはり住民の皆さんが望んでいて、非常に理由があるという点では、そういうところは応援をしてきました。
 例えば、今ちらっと局長おっしゃいましたけれども、復興道路として国交省が取り組んできた三陸道。三陸の沿岸部は、御存じのように、リアス式海岸であるので、横に走るというのはなかなか困難で、くし形とよく言われますが、内陸の都市からでないと行けない。なので、盛岡駅からは宮古市、釜石に行くには花巻市から、気仙沼や陸前高田、大船渡へ行くには一関市からということで、新幹線の駅のある町から車で二時間は確実にかかるというのがこれまでの状況でした。
 震災前、三陸の魚を首都圏に運ぶには余りに道路が不備で、ハンディがあるということを漁協などから聞いていたものでありました。そうした中で、三陸沿岸道三百五十九キロ、宮古盛岡横断道路六十六キロ、東北横断道釜石秋田線八十キロ、東北中央自動車道四十五キロが全面供用されました。地元は大変喜んでいると思います。
 震災前からはもちろんですが、被災地に震災後何度も通った道路ですので、その違いは非常に実感をしています。
 一方、例えば宮古盛岡の道路でいいますと、一般道がまだ途中にあります。複雑に入り組んでいるために速度を落とさなきゃいけないところが、なかなか落ちないまま走ってしまっているとか、一般道なので人が横切るとか、事故の危険をはらんでいる箇所があるわけですね。
 せっかくつなぐ以上は、できるだけ分かりやすく、利用しやすい、そして安全な対策、早く同じスキームになればとは思いますが、そのための次善の策は必要だと思いますが、一言お願いします。
○丹羽政府参考人 お答え申し上げます。
 この宮古盛岡連絡道路でございますけれども、やはり地域の交流、連携を図る、また、あとは、港湾などの拠点を連結する、こういったことはまず大事なことだというふうに思っております。
 また、利用者にとって使いやすいということも非常に大事なことだと思っていますので、今後、この広域道路ネットワークの在り方を検討するに当たっては、十分そういった点も踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 最後に大臣にもう一度伺いたいと思うんですが、今の地域の道路も含めて、先ほどの答弁の中で、高速道路と地域の道路も連携するという話もあったかなと思っているんですけれども、やはりそういうこと自体も国がきちっと描いていく必要があると思うし、それ自体を、では、どう見るかという議論が絶対必要なんじゃないかなと思うんです。
 それで、今回は、やはり百年償還の根拠と具体の中身もまだ明確でないことが確認できたと思っています。
 ですから、民営化時につくったスキームは既に破綻しているのであって、今後追加する更新、進化、この進化がかなり幅広いということが明らかになっておりますので、そういう事業などはその都度国会にきちんと報告して審議すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 今般の改正法案は、明らかになった更新需要などに応じ、債務返済期間を五十年以内とする規定の下、逐次料金徴収期間を延長し、必要な更新事業などを実施するものでございます。
 これまでも、更新事業や四車線化事業を計画に追加する際には、その事業内容について、有識者で構成される国土幹線道路部会の審議を経た上で事業許可を行うとともに、事業許可に関する情報は高速道路会社のホームページで公表するなど、客観性や透明性は確保されていると認識しております。
 引き続き、会社が行う事業内容について、客観性や透明性の確保に努めてまいりたい、このように思います。
○高橋(千)委員 まず、会社が行う事業についてと言っていますけれども、この百年償還のスキームをつくるのは国会ですからね。ここで議論して、賛成が得られなければ決まらないわけですよね。そのときに、ここから先は会社が客観的に透明的にやりますよという話ではやはり違うと思うんです。そこに含まれる要素は最大分かるように議論するべきだと思います。
 しかも、有識者に諮るであろうということは、この間の答弁を聞いていても分かっています。ただ、昨日の参考人の質疑の中でも、その審議会の中にいた方たちが、情報公開が不十分である、当時の資料が、民営化当時はオープンだったのに、今は非公開になっている、こういう議論があったわけですよね。あるいは、事業評価の客観性が不十分じゃないか、こうした議論もされていました。
 ですから、会議をやるんだからいいでしょうということではなくて、そこの前段階として、もっと国会に示すべきものがあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 有料道路事業につきましては、道路整備特別措置法などの法令に基づく制度に基づき実施するものでございます。今般の改正法案のように、制度の見直しを行う場合には国会で御審議いただいております。
 一方、法令に基づく制度の範囲の中で具体的な更新事業や進化事業を実施する際には、道路行政を所管する国土交通大臣が許可する現行制度が、国会と所管官庁との適切な役割分担であるものと認識しております。
 国土交通大臣による事業許可に当たっては、法令に基づく債務返済計画などに関する財務大臣との協議を行うとともに、有識者委員会において事業内容の審議を行っていただくなど、引き続き、客観性や透明性の確保に努めてまいります。
 なお、道路交通を取り巻く環境に大きな変化が見込まれる場合には、必要な制度の見直しを行うため、国会において審議をお願いすることになると考えております。
○高橋(千)委員 災害などの大きな変化もあるだろうし、社会状況が大きく変わるということもあるだろうし、当然予想できる、誰でも予想できるんですね。
 だからこそ、やはり百年というスキームを今回提案されたということは、幾らその都度有識者を開きますよとか、公開しますよといっても、やはりそれはやり過ぎだというふうに、元々私たちは民営化に反対してきたという経過がありますけれども、その一つ一つの改正のときに議論してきたことが、結局、今になって、言ったとおりになったなというふうにつくづく思うんです。
 それを今、百年という形で出されたというのはやはり承服できないなということで、改めて組み直すべきだというふうに指摘をして、終わりたいと思います。

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