不登校対策 教員増で
衆院特委 高橋氏が主張
(写真)質問する高橋千鶴子議員=11日、衆院地こデジ特委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は、11日の衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成特別委員会で、政府の「こども・子育て政策の強化について(試案)」と、文部科学省の「誰ひとり取り残されない学びの保障に向けた不登校対策COCOLOプラン」をとりあげました。
厚生労働省の日原知己審議官はこども医療費の窓口無料に対する国保の減額調整措置が「1542自治体で449億円」にのぼると説明。高橋氏は「過剰受診になると一部負担を求める声があるが、問題はお金がなく受診できない子どもをなくすことだ。無料化を国の制度にして自治体格差をなくすべきだ」と強調しました。
高橋氏は「試案」に児童扶養手当の所得制限の見直しが盛り込まれていないと指摘。「ひとり親家庭の2人に1人が貧困だとしながら、自立促進のみ強調している。児童扶養手当の所得制限見直しで生活の安定を急ぐべきだ」と批判しました。
また、不登校対策として1人1台端末(タブレット)を用いて子どもたちの心の健康状態をチェックする方針は、予防という名の実態を見えなくするやり方だと指摘。「教員を増やして先生たちが子どもたちのシグナルを受け止められる環境づくりが大事」と主張しました。
伊藤孝江文部科学政務官は「先生が早く気が付く環境づくりも大事だ。教職員定数改善はとても重要だと考え、基礎定数を含む定数の改善を全力で進める」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2023年4月12日付)
-議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
岸田総理が三月までにまとめるとした、次元の異なる少子化対策の実現に向けて、いわばたたき台が発表されました。率直に言って、異次元という言葉に今更こだわる必要はないと思います。着実に、意味のある施策を重ねていけばよいのではないでしょうか。
そこで、まず、「今後三年間で加速化して取り組むこども・子育て政策」の中に、子供医療費助成についてがあります。おおむね全ての地方自治体において実施されている子供医療費助成について、国保の減額調整措置を高校卒業まで廃止すると明記しました。
減額調整措置、簡単に言えば、我々は制裁措置、ペナルティーだと指摘してきました。イメージ図は資料1にありますけれども、自治体が頑張って窓口負担をなくする、窓口でも無料にすると、無駄に病院に行き過ぎるからなどといって、その分国保に対する国の補助金を減額するということをやってきたわけです。おかしくないかと。自治体が厳しい財政の中から子育て世代の負担軽減のためにと頑張っているものを、国が制裁する。本当におかしいと思うんです。
今回はそれを一気に高校生まで減額しないことを決めたというのは、私は、ずっと取り上げてきた立場からいっても、やっとと思いますけれども、率直に喜びたいと思います。直ちに、すぐやっていただきたい。
そこで、現在、減額調整されている自治体数は幾らかと、その減額されている総額は幾らか、お答えください。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
国民健康保険の減額調整措置、これは、市町村が行う医療費助成により窓口負担が減額される場合に、国保財政に与える影響や限られた財源の公平な配分などの観点から、負担軽減に伴い増加した医療費分の公費負担を減額調整しているものでございますけれども、令和三年度におきまして、この減額調整措置の対象となっている市町村、こちらは全体で千五百四十二市町村ございまして、減額調整措置の規模は四百四十九億円となってございます。
○高橋(千)委員 自治体数が全国千七百四十一あるわけですが、そのうち千五百四十二ということでは、ほぼ九割ということだと思います。今や、中学校卒業まで、あるいはそれ以上無料が市町村で九五%にまで広がっています。
私がこの問題を初めて国会で取り上げたのは二〇〇四年ですが、そのときはまだ、中学校卒業まで通院で無料というのは三七・五%でした。また、ペナルティーの額は二〇〇九年度で七十一億円でした。それが今、四百四十九億円にまで広がるということは、たとえ減額されても窓口無料を行う自治体が広がったことの証左だと思います。ほとんどがやっているのだから、もういわゆる公平性を語る意味がないわけです。
たたき台には、「減額調整措置を廃止」の後に、「あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、」と書いています。この趣旨は何か、なぜこれを書き込んだのか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
先日取りまとめを行いましたこども・子育て政策の強化に関する試案におきましては、今後三年間で加速して取り組む子供、子育て政策として、地方自治体から特に要望の強かった子供医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置の廃止を盛り込んだところでございます。あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、子供にとってよりよい医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。
このような文言が盛り込まれた背景についてお尋ねがございました。
子供の医療費について、窓口での負担を求めず無償化することについては、不適切な抗生物質の利用などの増加が懸念をされること、比較的健康な子供の外来受診を増やすなど様々な課題があるといった実証研究の指摘があると承知をしておりまして、こうした指摘を踏まえて、子供の医療の在り方について丁寧に検討していく必要があるというふうに認識をしております。
いずれにしても、今回の試案を踏まえましてこども未来戦略会議が設置されたところであり、今後、この会議の下で議論を深めて、医療保険制度を所管する厚生労働省とよく連携しながら対応してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 これは厚労委員会や参議院の予算委員会でも議論をされたことですので。
東大の研究テーマ、データにおいて、でも、たった一つの論文なわけですよね。抗生物質を使い過ぎているとか、二百円の自己負担を取れば一〇%医療費が減るけれども、逆に、取らなければ、無料にすれば一〇%分医療費が増える、こうしたデータを何か振りかざすようにして、受診が増えるんだとか、適正じゃないなどということを言っているというのは、非常に残念なことだと思いますね。
だって、もしも薬を使い過ぎているというのであれば、それは医師の問題であって、子供さんがそれを望んでいるわけではないわけですから。忙しい子育て世帯が時間をつくって病院に行くのに、それを不適切だなどと言う必要は全くないと私は言いたいと思うんですね。
それで、大臣に伺いたいのですが、子供医療費無料化を人口減少、少子化対策として位置づけている自治体も多いと思うんですね。そのことをどう思うのかということと、そのことを横並び圧力などと批判をするわけなんですね。逆に、住民の方が、隣の市だったら無料だったのに何でこの町に来たら無料じゃないのかと声が上がる、そこに応えるためなんですよね。
ある首長さんから、市議会で共産党の議員さんが質問をしてくれると。うちもやりたいんだ、だけれども財政力がなくてどうしようもない、だからこれは国の制度としてやってほしいと強く求められたことがありました。逆にここは、自治体に格差を生んではならないと思うんです。
国が医療費を無料化すれば、そこまで自治体が独自に出していた支援策を別の子育て支援に回すことができます。そこに特色を生むことができるわけなんですよね。最近は、例えば、おむつを配りながら育休とか産休中のママへの声かけをして相談窓口につなげる、そういう支援を行っている自治体もあります。そういう特色を出す財源をつくり出すことができるんですよ。
これだけ広がっているということを踏まえて、国として無料化に踏み切るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小倉国務大臣 まず、子供の医療費減額あるいは無償化措置と政策目的についてであります。
それぞれどういうふうな目的で自治体において施策を実施をするかというのは、自治体ないしそこの自治体の首長の御判断だと思いますし、私が口を挟むべきことではないと思いますが、私といたしましては、やはり、子供の医療費については、人口減少というよりも、むしろ、いかに子供にとって、健やかに、成長を促すような、よりよい医療につながっていくかという観点や、あるいは、保護者にとってみれば、子供に何かあったときに安心をして子供が医療にかかれる、そういった安心感をいかに醸成をしていくかといった観点がより重要ではないかというふうに考えております。
施策についての御指摘がございました。
高橋委員に一定の御評価をいただきました国保の減額調整措置につきましてでありますが、これまでの議論は自治体間の公平性の観点でということで、中学まではほぼ全ての自治体で実施をしているわけだから自治体間の公平性の問題はないではないかという御指摘もあったかと思います。今回、仮に高校までこれが延長することができれば、数字でいえば、高校はまだ自治体の実施率は五五%から六〇%まででありますから、仮に高校生までそれを延長、減額調整措置の廃止を含めるとすれば、やはり一歩でも二歩でもこれまでの議論よりも踏み込んだ、次元の異なると言うかどうかは別として、踏み込んだ、そういった施策になるのではないかというふうに思っております。
他方で、国の制度としてどうするかということでございます。
子供の医療費の助成制度を創設することについては、現在の地方自治体による子供医療費の助成の内容が、一部負担の徴収の有無、所得制限の有無など自治体により様々であり、また、医療提供体制や受診行動への影響なども見極める必要があることから、課題が多いものと考えております。
そういった中、いずれにいたしましても、経済的負担の軽減という視点だけではなく、先ほど私が申し上げたような、子供にとってよりよい医療の在り方についても、今後、国と地方の協議の場においても検討していかなければならないというふうに思っております。
厚労省を中心に検討していくことになろうかと思いますが、私どもこども家庭庁も、国と地方との定期協議の場を設けておりますので、そういった場においてこども家庭庁の観点からも議論をしてまいりたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 少なくとも高校生までは減額措置はしないということでお話をいただいたので、それはなるべく早く実現をして、ただ、国の制度としても、あれこれ、適正な動向を見てとか、そういう言葉を入れずに、真っすぐに取り組んでいただきたいと思います。
やはり、あれこれ、もしかして一部には問題があるかもしれません。だけれども、それよりも問題なのは、お金がないから病院に行くのを我慢する、それこそが問題なのであって、そこに応えるということを是非取り組んでいただきたい、このように思います。
それからもう一つ、同じたたき台の中に、児童扶養手当の問題なんですけれども、これも予算委員会で私質問して、所得制限の見直し、すぐやってほしいということを言ったわけですが、それは残念ながら盛り込まれずに、「ひとり親家庭の自立促進」、自立促進という言葉が入りました。これが強調されたのはなぜでしょうか。
○小倉国務大臣 今回取りまとめた試案、この試案における中核となる加速化プランでは、二〇三〇年までの六、七年間で少子化傾向を反転させるため、まずは今後三年間を集中取組期間として、取り組むべきものを整理をしたものであります。
この加速化プランにおきましては、先ほどの答弁とかぶりますけれども、国際比較において相対的に割合が低い現金給付を強化することとしておりますが、その際、まず、一人親家庭も含めて、全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤を強化をすることとし、具体的には児童手当の拡充を行うこととしたところでありますし、高等教育費の負担軽減や住宅支援の強化なども併せて行うことといたしておりまして、これらの施策は一人親家庭の経済的負担の軽減にも大きく資するものではないかというふうに考えております。
他方、児童扶養手当につきましては、これまで、多子加算額の倍増や全部支給の所得制限限度額の引上げ等、累次の改善等を実施してきたところでありまして、児童扶養手当の在り方については、就業支援や子育て・生活支援なども含め、生活全体を総合的に支えていく視点や、児童手当など他制度との関係も含めた慎重な議論が必要です。
また、一人親家庭の自立促進が強調されたのはどういう事情かということでございますが、関係府省会議におきまして、有識者から一人親家庭の支援についていただいた御意見の中で、背景に経済的な貧困があることが多く、世代間で連鎖しており、その連鎖を食い止めるためには強力な就労支援が必要になるとの御指摘もいただいたところでございます。
このようなことから、今回、一人親家庭の自立支援について、児童扶養手当ではなく就業支援を促進、推進する観点から、一人親を雇い入れ、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援や、資格取得を目指す一人親家庭に対する支援の充実を行うことを盛り込んだところでございます。
○高橋(千)委員 次にやりたいテーマがあるのでここは指摘だけにとどめますけれども、今の有識者の話というのは、議論が逆さまなんです。
このたたき台の中には、一割が一人親家庭であり、そのうち二分の一が貧困であるということまで書いているわけ。だから、生活が安定しないからダブル、トリプルのワークをしているわけですよね。スキルアップしたいけれども、その余裕がないんですよ、生活が安定しないから。スキルアップするための訓練に通う時間もない。だったら自立するチャンスがないわけですよ。だから生活を安定させるということが大事なんだということを、やはり議論が逆転していて、安定すれば当然、児童扶養手当だって必要なくなるわけですから、そういうふうに、物事の発想を変えていくというのが大事なんじゃないかということは指摘しておきたいと思います。
今日は、朝からも少し議論が出ているんですけれども、不登校の問題で少し質問したいと思います。
文科省の下に、不登校に関する調査研究協力者会議が開催されています。このほど、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランが発表されました。資料の2に、永岡文科大臣からこの協力者会議のときに報告された「不登校対策の検討にあたっての方向性(目指す姿)」が出されましたので、それをつけました。小中高合わせて約三十万人が不登校になっていると言います。文科省は、全ての子供たちの学びの場を保障するなど四つの柱の方向性を示しています、ここに書いてあるとおり。
例えば、二〇一六年九月十四日の通知では、文科省が、不登校は問題行動ではないというメッセージを出した。これは当時、多くの当事者を励ます力にもなったと思います。今回のCOCOLOプランは何がこれまでと違うのか、簡潔にお願いします。
○伊藤大臣政務官 お答えいたします。
小中高等学校で不登校の児童生徒が約三十万人と過去最高となりましたことを踏まえて、文部科学省としましては、有識者会議を設置し、二月十四日の同会議におきまして、永岡文部科学大臣より、これからの不登校対策の方向性について案をお示しをいたしました。この実現のための具体策として、先ほど御紹介いただきましたけれども、三月三十一日に、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランを取りまとめ、同日付で各都道府県教育委員会等へ通知を行ったところです。
この通知では、これまでの不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方、これは変更するものではないということと併せて、本プランの取組を通じて、不登校対策の一層の充実を図るために、新たにという視点の中で、不登校特例校について、分教室型を含め全国三百校の設置を目指すこと、また、不登校児童生徒の保護者の支援のために相談窓口を設置し、必要な情報を整理し、提供すること、児童生徒の心身の変化に関して、一人一台端末を活用して、早期発見や早期支援を図ること、並びに、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることなどをお示しをしているところです。
今後は、当プランを踏まえ、こども家庭庁とも連携をしつつ、不登校児童生徒への支援を推進をしてまいります。
○高橋(千)委員 今御紹介いただいた中に、例えばオンライン学習もできるよとか、一人一台端末で子供たちの小さな声が可視化されるとあります。
実際に、私、現場の先生方や保護者の皆さんと懇談する機会があって、現場の実態や受け止めは全然違うというのを感じました。まず、不登校の予防という考え方は駄目だと。なぜそうなのかというのを順々に議論していきたいと思うんですが、毎日子供たちは、タブレットを家に持ち帰り、そうじゃない学校もあるんですが、私の地元の学校はそうなんですね、家に持ち帰り、健康観察のチェックをするのだそうです。今回の協力者会議では、このタブレットを活用して、心の健康状態をチェックする先進事例を紹介しています。
まず、質問は、この子供の健康観察、最初は多分コロナの熱を測るというところから始まったんだと思うんですが、今後も毎日行うんでしょうか。その健康観察をやるために、民間会社のアプリはいろいろなものがありますけれども、この契約に際して、現場に任せているのか、その費用も含めてお答えください。
○寺門政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、そもそも不登校につきましては、不登校の態様は様々でございますので、不登校に置かれた児童生徒、保護者、その態様を十分踏まえて対応していくことが必要だろうということは従来からと変わってございません。
その上で、御指摘の点でございますが、まず、学校におきましては、学校保健安全法に基づきまして、児童生徒等の健康状態の日常的な観察によりまして、児童生徒等の心身の状況を把握するとされてございます。その実施に当たりましては、例えば、御紹介をいただきましたように、ICT等を活用し、心や体調の変化を早期発見する取組、これはもう既に実際に行われてございますというふうに承知してございます。
当省におきまして、教育委員会に対しまして今年二月に調査を行いましたところ、学校において、児童生徒の心や体調の変化にいち早く気づくために一人一台の端末のアプリ等を用いている市区町村は四百十一というふうに承知をしてございます。また、民間会社の提供するアプリを活用する際の契約等につきましては、自治体等の適切な御判断の下に行われているものと承知をしてございます。
○高橋(千)委員 自治体の判断、今、最後のところ、予算も聞いたんですけれども、それについてはどうなんですか。
○寺門政府参考人 お答えを申し上げます。
全ての実例について詳細を把握しているわけではございませんけれども、例えば、アプリにつきましても、そもそも無料だというようなアプリを使っている自治体もございます。当然、保護者等への御理解等をいただいて、また、児童生徒等への負担がないようにということでございますので、この点も含めて自治体の適切な御判断の下に行われているものというふうに承知をしてございます。
○高橋(千)委員 そこを任せているというのも問題だと思いますよね。無料なら無料なりにコマーシャルがついてくるわけですから、それを毎年取り替えているという実態もございます。
話を続けますけれども、今御紹介いただいた、学校における取組について、資料の3にあります。さっき市町村の数字をおっしゃってくださったんですけれども、これは都道府県教育委員会のアンケートですが、傾向も同じだと思います。生徒の心や体調の観察などデータに基づく早期発見、早期支援ということで、アプリを用いていると答えたのが二十六教育委員会のうち十五、今後使うことを検討しているというのが九ということで、圧倒的にアプリを使おうとしているということなんですね。
資料の4にありますけれども、メンタルヘルス調査ということで、これはNiCoLiというアプリを紹介しておりますけれども、こうしたことで、調査研究協力者会議の中で、ある委員が具体的に紹介をしています。デイリー健康観察は毎日子供の行動の変化を見ていたものですが、子供の内面が見えると更に効果的であるとして、熊本市や高知県などで、きもちメーターとか心の天気というアプリを使っていると紹介されています。
ですから、心が曇りなのか晴れなのか雨なのかということをずっと取っていって、その子が抑うつ状態にあるとか、不登校の、言ってみれば予備軍というのか、そういう状態を見るということを意味しているんだと思います。
でも、同じ会議で別の委員の方がこう言っています。子供たちは、学校にいても常に何か調べられている、理解されようとされている、家にいても何か調べられているというのでは心が休まらず、調査の趣旨とも異なるので本末転倒であると。このとおりだと私は思います。
子供一人一人のデータの積み上げ、これを追跡していくのでしょうか。それから、横連携、つまり利活用を考えているのですか。お答えください。
○寺門政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の一人一台端末を用いた心と体の健康観察、既に自治体での、実施例等から考えますと、例えば、子供たちが毎日一人一台端末のアプリを用いて気持ちや体調を入力する、また、先生に相談がある場合にはその旨を入力することなどによりまして、教職員が児童生徒の変化にいち早く気づき、不登校に至る前の早期の支援につなぐことが可能だというような効果が期待できると認識してございます。
また、こうした情報を一人一台端末を用いて入力することによりまして、子供一人一人の中長期にわたる健康状態の変化を記録するほか、他の情報と関連づけることで、多角的な分析というものも可能になろうというふうに考えてございます。
先般公表いたしました、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランにおきましては、具体的なデータの活用方法にまでは触れておりませんけれども、それぞれの自治体ですとかの創意工夫によりまして、有効な活用方法が検討、蓄積されていくものというふうに考えてございまして、当省といたしましては、この好事例の展開に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 政務官にもう一度伺います。
オンライン学習や健康観察など、デジタルが不登校の解決や予防の決め手になると考えていらっしゃるのでしょうか。さっきの質問に、方針は変わりませんとおっしゃいましたけれども、私が一番最初に言ったように、不登校は問題行動ではない、それ自体が問題なんじゃないんだ、とにかくなくそうとしているわけじゃないんだということを、やはりちゃんと言わなきゃ駄目だと思うんです。まずそのことを聞きたい。
それから、不登校の子供が家にいてオンライン学習できるというのは、何か、家でネットばかり見ていると思っているんじゃないでしょうか。子供たちは学校との関係を遮断したいのです、だからネットは見ないよと先生方に言われました。御存じでしょうか。
○伊藤大臣政務官 まず、一点目の御質問の、オンライン学習や健康観察などのデジタルの利活用について、不登校対策、予防として考えているかという観点だったかと思います。
この点につきましては、先ほど御紹介をしましたCOCOLOプランにおきましては、不登校により学びにつながることができない子供たちをゼロにすることを目指して、まずは地域や家庭、NPO等とも連携をして取組を進めることもしております。その中で、不登校特例校の設置促進、教育支援センターの機能強化など、全ての児童生徒の学びの場を確保すること、そのことと併せて、自宅や様々な学びの場におけるオンラインを活用した学習、また相談などの対応も含めた実施をしていくことというふうに考えております。
この不登校の児童生徒への対応だけでなく、一人一台端末を用いた健康観察により、先ほど来御紹介ありましたけれども、心や体の変化をいち早く捉え、早期発見、早期支援につなげること、また、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることなども同時に進めていくことが重要であるということを考えております。
オンラインの活用を含め、こうした取組が着実に実施されるよう、文部科学省としても必要な支援等を行ってまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
デジタルの活用を私は全否定しているわけじゃないんです、うまく使いこなせばいいと。だけれども、コロナの中でずっと子供たちは友達に会えなくて、だけれどもデジタル環境もなくて、学校でオンラインを、学ばせられて、それが嫌で通えなくなった子供もいるわけなんですね。デジタル万能にしてはいけない。
やはり、そのことを考えたときに、教員を増やし、子供たちのシグナルをちゃんと受け止められる。学校の風土をわざわざ私は数値化する必要はないと思いますよ、十分雰囲気で分かるわけですから。そうしたことも含めて、先生方が子供たちときちんと向き合える環境づくり、つまり、先生そのものを増やしていかなきゃいけないと思うんですが、一言お願いします。
○伊藤大臣政務官 ありがとうございます。
まず、デジタルだけで解決をしようというふうに考えているわけではなく、デジタルでの早期発見等と併せて、今委員からも御指摘をいただきました、先生が早く気づくこともできる、そういう環境づくりもしっかりと支えていくということも併せて大事だというふうに考えております。
その中で、質の高い教育の実現、また複雑化、困難化する教育課題への対応を図る上で、教職員定数の改善に関してはとても重要だというふうに考えております。
このため、令和五年度予算におきましても、まずは、義務標準法の改正に伴う小学校における三十五人学級の計画的な整備、発達障害など障害のある児童生徒への通級による指導、外国人児童生徒に対する日本語指導教育等の充実に必要な基礎定数の改善を盛り込んでおります。さらに、小学校高学年教科担任制の推進や、生徒指導など様々な課題に対応するための加配定数の改善についても計上をしております。
今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るため、引き続き、基礎定数を含む教職員定数の改善に全力で取組を進めてまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
最後に、大臣に質問します。
協力会議のメンバーで立花高校の齋藤校長先生がペーパーで意見を出しています。学校に登校すべきだという前提、いかにして学校に戻すかという考え方が相当根強いのではないか、学校がもっと柔らかくあるべきだという意見を主張し続けてきた、言葉が過ぎるかもしれませんが、学校が慢性的に持つ同調圧力はもはや日常的な人権侵害に等しいという危機感を持っていますと。最初、不登校特例校を三百に増やしたいという話がありましたけれども、その不登校特例校でやっているような教育が全国標準になればよい、そういうことを先生はおっしゃっていて、全くそのとおりだなと私は思います。
アプリで子供の心を観察しても、正直に書かないんです、誰も。毎日毎日、今日の心は土砂降りですなんて書くわけないんですよ。それを、そこで満足しちゃって、何か、解決、ほとんど問題のある子がいないよみたいになっては駄目だということを言わなきゃいけないと思います。
これまで話してきたことも含め、不登校対策についての大臣の所感と、こども家庭庁がどう頑張るのか、一言お願いします。
○小倉国務大臣 まず、不登校対策に関しましては、先日、永岡大臣、文科大臣とも会談を行いまして、文科省と私どもこども家庭庁が緊密に連携して対策を進めることが確認をされました。文科省が立ち上げる不登校対策推進本部にも私どもこども家庭庁が参画をすることになり、より一層緊密に連携を図っていきたいと思います。
そういった中で、やはり重要なのは、もちろん、学校に戻れる子が学校に戻って学びをしっかり続けてもらうということも重要でしょうけれども、それでも行きづらい子にとって一番の最終的な目標というのは、社会に巣立っていく、自立をしていく、社会に復帰をしていくということなのではないかというふうに思っております。
そういう意味では、私どもこども家庭庁の役割といたしましては、子供たちが、自発的に居心地がいいと思い、いたいと思う居場所づくりをあちこちの場でつくっていき、そこの居場所においてしっかり学びを保障していくことではないかというふうに思っておりますので、不登校の子供を含めた全ての子供の多様な居場所づくりを推進をしてまいりたいと思いますし、前回の答弁でも申し上げたようなそれ以外の様々な施策に関しましても、文科省と連携をしてまいります。
また、最後に、子供や若者の意見を聞くことも重要でございますので、それをしっかりと聞いた上で、この不登校対策についても文科省と連携をしてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。