国会質問

質問日:2023年 3月 14日 第211国会 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会

子ども政策について(保育士の配置基準や処遇改善、子どもの貧困など)

保育士配置改善迫る

高橋氏 「予算の捻出できる

衆院特別委

(写真)質問する高橋千鶴子議員=14日、衆院地域こどもデジタル特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は14日の衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成特別委員会で、政府の少子化対策についてただしました。

 政府は「経済的支援」「幼児教育や保育の量・質の強化等」「働き方改革等」を柱に、こども政策の強化にむけた「たたき台」を3月末までにまとめます。

 小倉将信こども政策担当相は「子育て当事者や子どもを持ちたいと考える若者が直面する障害を取り除き、当事者が子どもと向き合う喜びを感じてもらえる社会をつくる」べく、「あらゆる課題を一気に前に進めるもの」と説明しました。

 高橋氏は、税と社会保障の一体改革で保育の質向上に充てるとした3000億円のうち、1歳児と4、5歳児の保育士配置の改善に必要な額を質問。内閣府の吉住啓作子ども・子育て本部統括官は「17年の試算で、国と地方の負担は、4、5歳児の職員で591億円、1歳児の職員で670億円」と答えました。

 高橋氏は、3000億円の半分で可能で、捻出できないはずはないと主張。小倉担当相は「保育の質・量両面からの強化は柱の一つ、総理から指示をいただいている」と答えました。

 高橋氏は、子育て世代の保育士の“産休に入るのもためらった”“この給与では進学させられない”などの声を紹介。子育てと仕事の両立をあきらめて離職させることがないように、配置改善を強く迫りました。

(「しんぶん赤旗」2023年3月17日付)

-議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、主に小倉大臣に質問をさせていただきます。
 昨年の出生数が八十万人を割り、一九八二年の出生数が百五十一万二千人だった頃から四十年間で半減という衝撃が走りました。
 岸田総理は、二月二十日、第三回こども政策強化に関する関係府省会議で、年齢、性別を問わず、皆が参加する、次元が異なる子供、子育て政策を進め、日本の少子化トレンドを何とか反転させたいと述べました。当初は、総理が異次元の少子化対策と述べたことですから、今国会も何度も議題に上ったわけですが、代表質問のときは、次元が異なるという表現に変わって、意味は同じだという答弁でありました。しかし、皆が参加することが異次元だというのであれば、それは異次元どころか当たり前のことができていなかっただけだと言わなければなりません。
 結局、予算を倍増すると言うけれども、何を倍増するのかすらはっきりしません。ひたすら、三月中に小倉大臣の下で、そのメニューというのでしょうか、まとめを出すという答えに終始してきたと思います。
 そこで、率直に、大臣はこの子供政策で何を目指しているのか。こどもまんなか社会ということを大臣は打ち出していらっしゃって、子供との対話など力を入れていらっしゃる、大事なことだと思います。でも、少子化対策といえば、将来の子育て世代も視野に、社会全体の課題だと思いますので、是非お聞かせください。

○小倉將信こども政策担当大臣 委員御指摘のとおり、昨年の出生数は八十万人を割り込みまして、非常に危機的な状況だと思います。私も、かねてから申し上げていたように、静かなる我が国の有事として、重要課題として位置づけて、本気で取り組まなければいけないと思っております。
 他方で、子育て当事者や子供を持ちたいという希望を持つ若者に対しては安心感を与えなければいけないというふうに思っております、やはり、結婚から妊娠、出産、育児、様々な障害がございます。その障害につきまして一つ一つ取り除いて、子育て当事者の皆様におかれましては、子供と向き合う喜び、これを感じてもらえるような、そういう社会をつくっていかなければいけないというふうに思っております。
 だからこそ、今回のたたき台におきましては、先ほど来申し上げておりますように、児童手当を中心とした経済的な支援、あるいは、幼児教育、保育といったサービスの充実、さらには全ての子育て家庭を対象とした伴走型支援や産後ケア等の充実、三本目の柱といたしましては、働き方改革を通じた仕事と子育ての両立、それに加えまして、教育費の負担軽減でありましたりとか住宅支援、こういったものも含まれます。
 今課題とされているあらゆるものについて、これまでのような漸進的な歩みではなくて、課題を一挙に前に進めるような、そういう少子化対策であらねばならないというふうに思っておりますし、総理も、何も社会意識を変えることだけを強調されているわけではなくて、今申し上げたような個々の政策の中身や規模はもとより、それに加えまして、やはり社会全体で子育て世帯を支えるような温かい社会をつくっていかなければいけない、そのためにこそ社会意識を変える必要があるということは申し上げているとおりだと思いますので、それも含めてしっかりと議論を進めてまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 子供と向き合う喜びをという表現など、なかなかよかったかなと思います。
 そこで、令和三年十一月二十九日に、こども政策の推進に係る有識者会議報告書が出されています。非常に示唆に富んだ中身だと思って読みました。報告書には、「全ての国民に基本的人権を保障する日本国憲法の下、児童の権利に関する条約に則り、」「全てのこどもが生命・生存・発達を保障されること」「こどもに関することは、常に、こどもの最善の利益が第一に考慮されること」、これを強調しています。
 この立場は変わらないか、確認させてください。

○小倉大臣 おととし出していただいたこの報告書を土台として、昨年、こども基本法、そしてこども家庭庁の設置法をお通しをいただきました。その法律がまさに四月に施行され、来月こども家庭庁が発足するわけでありますので、端的に申し上げれば、立場は変わらないということでございます。
 こども基本法では、児童の権利に関する条約を踏まえて、全ての子供について、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されることなどの権利がひとしく保障されることや、全ての子供について、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることなどが基本理念として規定されております。
 また、先ほど申し上げたこども家庭庁の設置法では、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とすることなどが、こども家庭庁の任務として規定されております。
 このこども基本法及びこども家庭庁設置法に基づき、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を図るための司令塔となるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

○高橋(千)委員 はい、確認をしました。
 では、同じ報告書で、もう一つ大事な指摘があります。子供を持つ世代について、「結婚や出産を当然と考えている社会の価値観などから自らが望む選択がしづらいと感じる若者もいる。結婚や出産をするかしないかは個人が選ぶ権利があることが大前提であるとの認識の下で、結婚や出産の希望を叶えることができる環境整備を進めることが求められる。」このように書いてあります。
 また、昨年の少子化対策大綱の推進に関する検討会中間評価の中にも、国や社会の都合で若い世代に特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えたりしてはならないという指摘があります。ここが大事だと思うんですね。
 つまり、少子化だからとにかく結婚せよ、結婚してくれれば何とかなるという議論とか、子供を産んでくれみたいな、そうではなくて、やはり一人一人の多様性を認める、今国会で焦点になっている同性婚の問題なども、生産性がないなどと言った政治家がいましたが、そういう目線で、受け入れられない社会になってはいけないんだと。
 大臣、価値観を押しつけてはならない、その立場も共有できるでしょうか。お願いします。

○小倉大臣 先ほど私は、我々はこの少子化は危機として捉まえなければいけませんが、当事者の皆様方にとっては、大いなる安心感、これを感じていただかなければいけないというふうに思っております。プレッシャーはもちろん駄目でございます。
 政府は従来より、結婚、妊娠、出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えたりするものではないことに十分留意する必要があるとの認識に立っております。その上に立って、国民の皆さんが結婚、妊娠、出産、子育てに希望を見出せるとともに、男女が互いの生き方を尊重しつつ、主体的な選択により結婚や子育ての希望をかなえられる、そんな社会をつくっていくため、経済的支援やそれ以外の支援も含め、様々な施策を講じていくことにより、必要な環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 大体理念については確認ができましたので、では、具体の話で進めていきたいと思います。
 関係府省会議における有識者ヒアリングの中で、政府の別の会議において、有識者から、若い世代の残業は雇用の安定につながるし所得のプラスになるという話があった、残業を一律に規制することは子育て世帯の目線からも違うのではないかという驚くべき発言がありました。
 資料の一枚目を見てください。出生率を低迷させている主な要因として、未婚化を進める要因、経済的な問題や雇用の形態の在り方、これが左に書いてあります。右は、夫婦なんですが、子育てや教育にかかる経済的負担の重さというのが書いてあるんです。その中の五番のところ、夫の労働時間が短いこと、それが長いほど第一子出生ハザード率が高い、通説と逆だ、こういう表現をしているんです、中京大学の松田先生ですけれども。
 多分、この趣旨は、前後から見ても、経済的に大変な若い皆さんが一定の所得の安定をするために残業するというのはやむを得ない、そういうことを言っているのではないか。良心的に考えるとそうなんですけれども、しかし、そもそもそれが問題なのであって、やはり最低賃金を引き上げていくことや雇用の安定を図って、残業しなければまともに暮らせないし子供を産みたいと思えない、そういうことがやはりあってはいけないわけです。
 今、政府は、働き方改革を三つ目の課題にしているわけですが、賃上げをしていくということも言っているわけですよね。ですから、残業規制をしない方が子育て世帯のためによいなどということは政府の目指す方向ではない、ここを確認させてください。

○小倉大臣 委員が御指摘されました有識者の発言、この発言は、関係府省会議、様々有識者を呼んでございます、それぞれ自由な討議をする中で御自身の見解を示されたものと承知をしております。
 内閣府といたしましては、長時間労働は我が国において仕事と子育ての両立を困難にしている一つの要因であると認識しておりまして、長時間労働の是正を含め、男女共に仕事と子育てを両立できるようにするための環境整備は少子化対策の観点から極めて重要であると考えております。また、長時間労働によらずとも収入を確保できるような構造的な賃上げを含め、若い世帯の所得を向上させていくことや、子育てや教育にかかる経済負担を軽減していくことも同様に重要であると考えております。
 こうした様々な政策を組み合わせることによって、子供を産み育てることを希望する全ての方が安心して子育てできる環境の整備を進めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 三つ目の課題がしっかり進むようにお願いしたい。世界でも韓国に次いで二番目に長時間労働の国でありますので、お願いしたいと思います。
 そこで、資料の二枚目です。「保育士の配置基準 延々たなざらし」という、東京新聞二月二十一日付の記事ですね。四、五歳児に対して保育士一人というのが、この基準が七十五年間放置されていると。記事では、イギリスの十三人に一人やニュージーランドの十人に一人に比べても大きいと指摘をして、保育士をもう一人増やしてという運動も広がっていること、今国会でも大きな注目になっていると思います。
 厚労省に伺います。具体の検討はされてきたのでしょうか。

○野村知司政府参考人 お答え申し上げます。
 保育士の配置基準の改善でございますけれども、これは重要な課題であると考えておりまして、まず、平成二十七年度には、三歳児でございますけれども、ここの保育士の配置を二十対一から十五対一に改善した保育所に対して公定価格上の加算というのを設けて改善を図ったところでございます。
 一方で、消費税以外の部分で財源を確保することとされております、いわゆる〇・三兆円超、三千億円超の質の向上事項に含まれております、一歳児、あるいは今し方御指摘がございました四、五歳児に対する保育士の配置改善につきましては未実施となってございます。こちらにつきましても、引き続き安定的な財源の確保と併せて検討してまいりたいというふうに考えております。
 令和五年度予算の中におきましては、こうした中で、チーム保育推進加算という事業がございまして、この中で、定員百二十一人以上の保育所につきまして保育士二人までの加配を可能にするでございますとか、あるいは、保育体制の強化事業の中で、多くの人の目が必要な時間帯に支援員の配置の充実を図るなどの改善を図っておりますけれども、先ほど御指摘のあった四、五歳児の保育士の配置改善については未実施となっておりまして、今後とも引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋(千)委員 重要だと言いながら、七十五年間放置していたというのはやはり許されないと思うんですね。
 保育の問題は、子ども・子育て新システムの前から私自身もよく取り上げてまいりましたが、先日、福祉保育労、北海道、東北の、福祉職場で働くみんなの要求アンケートをいただきました。五百四十四人分読みました。本当に切実です。休みが自由に取れずに、帰宅しても仕事のことを考えることがほとんどで、気持ち的な休みが無に近く、心が壊れてしまうことが多々ある、周りの友達はみんな辞めている、もう保育士に戻りたくないと口をそろえて言います、今のままでは保育士がいなくなります、業務と給料が全く見合っていないです、子供たちを守ることが今のままではできませんなどなど訴えられているんですね。子供から目を離せないために日中休憩が全く取れず、そのために、休憩をちょっとでも取るために残業するしかない、要するに、夜仕事をして、日中少しでも休むしかない、こういう訴えもありました。
 さっき、百二十一人以上の施設の加算をやりますということを言っているんですが、今言ったように、ちょっとも休む暇もないわけですよ。それに対して加算だとかというのは、全部その実務を増やしていくことになるので、そうではなくて、元々の基準を増やしていくべきだと言わなければなりません。
 そこで、資料の3を見てください。今、厚労省のお答えにもありましたし記事にもあったんですが、社会保障と税の一体改革のときに、〇・三兆円、右の下です、こうした処遇改善、職員配置の改善に使うはずだったという資料であります。よく見ると、この赤い字は実施済みの項目と書いているんです。一応、職員給与の改善、プラス二%改善されたということになっているんですが、だけれども、配置基準そのものはまだ残っている。四、五歳児の職員配置、三十対一を二十五対一にする、こうしたものが残っているわけですね。
 そうすると、三千億円といっても一部はもうやっている、ということは、ここの部分、職員配置を改善する部分は幾らあれば足りるのか。それぞれお答えください。

○吉住啓作政府参考人 お答えいたします。
 平成二十五年に実施した試算に基づきますと、四、五歳児の職員配置について、現行の三十対一から二十五対一に改善するための所要額は、国と地方を合わせた公費合計で五百九十一億円程度、一歳児の職員配置について、現行の六対一から五対一に改善するための所要額は、同じく公費合計で六百七十億円程度となっております。

○高橋(千)委員 足しても千三百億いかないと思うんです。私たち、ずっと三千億と言ってきて、実はその半分でできるんだということ。そのくらい捻出できないはずがないじゃありませんか。いかがですか。

○小倉將信こども政策担当大臣 それでは答弁させてもらいます。
 先ほど来申し上げておりますように、三歳児の職員の配置改善を行いました。チーム保育推進加算ですとか、人目を必要とするような、支援員の配置、これも来年度予算に入れさせていただいております。また、保育士の処遇改善、二%だけではなくて、累次の処遇改善に取り組んでおりまして、累計一八%の給与改善にも努めてきたところであります。
 ただ、他方で、委員御指摘のような、保育の現場、非常に業務が多忙だというような声も伺っております。総理からは、保育の量、質両面からの強化を柱の一つとして、子供、子育て政策として充実する内容の具体化という指示をいただいております。
 まだこのたたき台を作っている最中でございますので、個別の施策の是非を申し上げる段階にはないというふうに思っておりますが、引き続き、様々な意見に耳を傾けながら、まさにこの指示を踏まえて、子供、子育て政策として充実する内容を具体化をしていきたい、このように思っております。

○高橋(千)委員 大臣が立ってくれたということは、進むのかなと思っております。
 次の質問を大臣に聞くつもりだったんですが、それであれば、時間の関係で、要望にしたいと思います。
 保育士自身が子育て世代であって、仕事と家庭の両立に悩んでいるということ自体をやはり自覚していただきたいと思うんです。保育所は、親の実態がそのまま反映される、社会の鏡みたいな場所なんですよね。不規則な働き方、長時間労働、不安定雇用、月々で仕事が変わる派遣など、そうした親の事情を全部引き受けているのが保育所なんです。
 しかし、その保育士たちも一人親だったりします。子供が熱を出したら途方に暮れる親であり、この給料では進学させられない、産休に入るけれども職場に迷惑をかける、こういう悩みを抱えているんです。
 アンケートの中に、辞めたい、周りは辞めているというのが多いんですけれども、資料の4に、保育士さんが今従事者六十六万人くらい登録しているんだけれども、資格は持っているけれども福祉施設で働いていないという方が百万人を超えているわけなんですよ。ここを本当に、子育てを応援する保育士さんが自らの子育てと仕事の両立を諦めて離職する、こんな状況は絶対変えなければならない。このことを重ねてお願いをしたい、このように思います。
 それで、児童手当の所得制限を取り払うことが、自民党の幹事長から発言が飛び出したことで注目されています。子供を社会が育てるの理念を具体化する上で大変重要だと思いますし、もちろん賛成です。しかし、生活が苦しい、そこに声が上がっているのは、十八歳まで支給してほしいということなんですね。
 資料の5。ちょっと急ぎます。セーブ・ザ・チルドレンの資料ですが、五千世帯のうち八割以上が、物価が上昇して苦しいと答えています。
 次の資料なんですが、上の段を見ると、児童手当を十八歳までという声が集中しているんです。今までと比べようのないくらいお金がかかり、毎日お金の計算ばかりしていますとか、児童手当、何で中学生までなのか、高校生は給食ないし、食べる量も増えますと。もっともな御意見なわけですよね。
 だから、今見直しをするというのであれば、本当にここに切り込んでいかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

○吉住啓作政府参考人 お答えいたします。
 平成二十四年に児童手当が現在の制度となってから十年が経過し、さらに、少子化が進展するなど、社会経済情勢は大きく変わるとともに、これまで取り組んできた政策強化の方向性から、今後重点的、抜本的に取り組むべき子育て支援政策の内容も変化しております。
 児童手当については、令和三年の改正法附則において、児童の数等に応じた効果的な支給、その財源の在り方、支給要件の在り方について、子供、子育て支援に関する施策の実施状況等を踏まえ、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を加えることとされたところであり、こうした中、所得制限の撤廃、多子世帯への加算、それから先生御指摘の対象年齢の拡大など、様々な御意見があると承知しております。
 現在、子供、子育て政策の強化について、小倉大臣の下、関係府省会議において議論を進めているところであり、様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途に、子供、子育て政策として充実する内容をパッケージとして具体化してまいります。

○高橋(千)委員 もう三月、半分になっちゃいましたからね。これまで本当に、三月中にまとめます、まとめますと言って、今答えられないというのは非常にまずいと思うんですよね。やはり、これだけ意見があるというのは分かっている、状況が変わっているというのは分かっている、だったら踏み込まなきゃいけない、このように思います。
 それで、資料の7も見ていただきたいんですが、これはしんぐるまざあず・ふぉーらむの調査です。上の段は、子供への影響、我慢の体験。これはたくさんあるんですが、紹介できません。下の方、クリスマスと年末年始もしてあげられない。真ん中を見てください、どちらもできないというのが六八・三%です。自由に、子供にクリスマスプレゼントが買えない、十二月だけれども手当がないから買えないということ、お正月らしいことは何もしてあげられない、お餅くらいは食べさせてあげたい、こうした声が切々と訴えられているんです。
 ですから、少子化対策と言うのであれば、まず本当に、子供の貧困、ここから優先的にやっていく必要があるんじゃないかと訴えられているんです。
 予算委員会でも質問しておりますが、一人親家庭への児童扶養手当の所得制限の見直し、そして、多子世帯、二人目、三人目といったら、減っていくのではなくて見直しをしていく、これは急がれると思いますが、いかがでしょう。厚労省に伺います。

○野村知司政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の児童扶養手当でございますけれども、子育てと生計の維持を一人で担い、経済的、社会的に様々な困難を抱えている一人親家庭などの生活の安定と自立の促進に寄与するということ、さらには、その一人親家庭に暮らす児童の福祉の増進を図るといったことを目的とするものでございます。
 そうした児童扶養手当につきまして、これまで、多子加算額の倍増、これは平成二十八年の八月支給分からでございますけれども、あと、全部支給の所得制限限度額の引上げ、これは平成三十年からとか、あとは、支払い回数の、年三回から年六回の細分化への見直しであるとか、そういった累次の改善などを実施をしてきたところではございます。
 更なる見直しを、何かを行うという場合には、一人親世帯などの家庭の生活の安定、それと自立の促進という制度の目的なども十分踏まえて考えていく必要があるかなというふうに考えてございます。
 また、一人親世帯などへの支援に際しましては、この児童扶養手当による経済的支援に加えまして、就業への支援であるとか、あるいは、子育て・生活支援なども含めた、一人親世帯の生活全体を総合的に支えていくという視点もこれまた重要であるというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、先ほどから都度話題になっております、三月末を目途に具体化をしていくたたき台などの議論も行われているところでございます。厚労省としても、必要な連携協力をしてまいりたいと考えてございます。

○高橋(千)委員 今答弁にあったこれまでの見直ししてきた過程は、全部、当然、一緒にやっていたので分かっております。問題は、就業支援もやっている、それはそうだ、でも、そこで本当に自立していけば、おのずと手当ては要らなくなるわけですから。だけれども、そうじゃないから、今、そもそも研修に行きたいんだけれども、仕事との関係でできないだとか、子供との関係でできないだとか悩んでいるわけです。だから、まず生活の安定が当然だというのは分かっていただきたいと思うんですね。
 まず、メニューに入るのかどうか、検討に入るのかどうか、そこだけお答えください。内閣府。

○野村政府参考人 失礼いたします。
 子供政策の強化全般ということで、先般の総理指示を踏まえまして、三つの基本的方向等を踏まえつつ、今、こども政策の強化に関する関係府省会議で具体的な検討、議論が進められているところでございます。
 そうした中で、今話題になっている、この児童扶養手当を始めとする個別の政策課題が検討対象となっているかどうかにつきましては、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますので、御容赦いただければと思います。

○高橋(千)委員 かなりそこら辺が、ずっとそうやって、検討します、まとめをやるまではお答えできませんといって、テレビ討論でも、自民党の萩生田さんが、まとめを今やっていますからとおっしゃった。だけれども、資料の中には、そもそも有識者ヒアリングの中の資料にも全く出てこないんですよ。だったら入るわけがないじゃないですか。その認識をまず持っていただきたいと重ねて指摘をしたい。入ってから、うまく改善できるかどうかさえ分からないんですから、メニューに入らなかったら議論が進まないでしょう。このことを言いたいと思うんです。
 もう一つ、文科省に来ていただいているので。子供の中に家庭の経済的事情による格差を持ち込んではならないと思うんですね。学校給食の無償化、義務教育の完全無償化、高校授業料の無償化に公私間格差をつけないこと、これがポイントだと思います。
 資料の8の左側を見ていただきたいんですが、高校等、私立の授業料支援の仕組みが違います。私立の授業料が高いからというのもあるんですけれども、高いからというのは、所得が高いこととイコールではないわけなんです。それなのに、所得制限が、公立高校は九百十万円なのに、私立高校は五百九十万円ということで、階段になっているんですね。どうしてこうやってちょっとずつ差をつけるのか。本当に、子供たちに格差を持ち込んではならないと思うんですね。ここを見直していくべきだと思いますが、文科省に伺います。

○寺門成真政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘の義務教育段階におきましては、学校給食費、学用品等につきましては、経済状況が厳しい保護者に対して、生活保護による教育扶助ですとか就学援助を通じて支援をしているところでございます。
 また、御指摘の高等学校の就学支援金につきましては、委員御案内のとおりでございますけれども、令和二年度に五百九十万円未満の私立校に通う生徒への就学支援金の加算を拡充してございます。
 教育機会の均等という点は大変重要だと認識してございますので、引き続き、安定的な財源の確保を図りながら、教育の機会均等の取組に充実をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○高橋(千)委員 最後に大臣に、いろいろとメニューを握っている大臣の決意を伺いたいということと、最も子供の成長に深く長く関わる学校教育をしっかりと位置づけるべきだと思いますが、一言お願いします。

○小倉將信こども政策担当大臣 少子化対策という意味では、少子化対策の観点で教育施策を捉えた場合、少子化の主な要因として子育てや教育にかかる費用負担の重さが指摘されているところでありまして、教育費の負担軽減は、これは重要な論点であると考えております。
 繰り返しになって恐縮ですが、今たたき台を取りまとめている最中でございますので、個別の施策の是非は述べる段階にないと思っておりますが、引き続き、様々な意見に耳を傾けながら、取りまとめに向けて議論を加速をしてまいりたいというふうに考えております。

○高橋(千)委員 もう半月しかないのにそういうことを言うんだなとちょっと思ったんですが、委員長、是非、この取りまとめができたら、この委員会でまた議論させていただきたいと思います。お願いします。

○橋本岳委員長 ただいまの件につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

○高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました

2023年3月14日 衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会 提出資料

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