国会質問

質問日:2023年 3月 14日 第211国会 東日本大震災復興特別委員会

東京電力福島第1原発の廃炉のプロセス、大臣の政治姿勢について(六ケ所再処理工場の電球消灯、原子力緊急事態宣言など)

「原発回帰やめよ」

衆院復興特委 高橋氏 政府を批判

(写真)質問する高橋千鶴子議員=14日、衆院復興特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は14日、衆院東日本大震災復興特別委員会で、政府が東京電力福島第1原発の廃炉の道筋も「原子力緊急事態宣言」の解除も示せない中、原発の利活用に固執することを批判しました。

 核燃料サイクルの中核施設、再処理工場前処理建屋(青森県六ケ所村)で1月28日、国際原子力機関(IAEA)の監視対象区域の照明が全て消え、2時間にわたり監視できない事故がありました。

 高橋氏がこのことをただしたのに対し、原子力規制委員会の山中伸介委員長は「核物質防護の観点から極めて重大だ。当事者の怠慢と言わざるを得ない。再発防止を徹底させたい」と述べました。

 高橋氏は、政府がGX(グリーントランスフォーメーション)方針で、核燃料サイクル推進と最終処分先の選定を政府の責任として位置付けたと指摘。使用済みMOX燃料や、福島第1原発から取り出す使用済み燃料、溶け落ちた核燃料(デブリ)の処分先をただしました。経産省の湯本啓市原子力事故災害対処審議官は「技術的な検討を進める」と述べ、廃炉についても「具体的な姿を示せない」との答弁に終始しました。

 高橋氏は、ひとたび事故が起きれば「長い年月がかかり、事故収束が難しい」と強調。こうした状況で「『原発回帰』の政府方針は認められない」と批判しました。

(「しんぶん赤旗」2023年3月15日付)

-議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 大臣は、昨年の臨時国会閉会後、秋葉前大臣の辞任表明により再登板となりました。会見で大臣は、大臣として、まず清廉で、そして、疑い、疑惑のないような形でしっかりと物事を進めてまいりたい、被災地の皆さんが信頼できる大臣でありたいと述べられました。
 ところが、先週の週刊誌報道、非常に残念に思いました。最初の復興大臣時代に、詐欺と思われる投資話に加担してしまったという疑いであります。
 大臣は十日の会見で、その関与を否定した。警察にも相談をするというお話だったと思いますが、されたんでしょうか。

○渡辺博道復興大臣 委員御指摘の、私は、復興大臣としてまずは信頼を回復することが大変重要であるということで、秋葉大臣の後の大臣として記者会見をしたことはあります。
 今回の報道は、私にとっても大変残念な報道であります。私には全く関与していないことであります。特に、確約書それから名刺等、全く私に関与していない、勝手に書かれた内容であることは間違いございません。
 したがって、この点についても、私自身はもう既に警察に相談をしているところでございます。

○高橋(千)委員 有印私文書偽造という形で大臣がおっしゃったということで、既に警察に出されたということで、そうであれば、それがしっかりと潔白であるということが証明されることを期待したいと思うんですね。
 それで、実は、私は本当は大臣に対してこんな質問をしたくなかったんですけれども、二〇〇六年の十一月に、大臣が経済産業副大臣だったときにも、我が党の佐々木憲昭元衆議院議員が、大臣の親族会社である渡辺交通、二〇〇六年七月に二十四億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請しているにもかかわらず、借金返済として、大臣、今の渡辺大臣に、当時です、六千八百七十万円、亡くなった実父や長女らに約一億円が渡っていた、これは民事再生法に関わる詐欺再生罪に当たるのではないかという疑いが追及されました。
 また、大臣が支部長を務める自民党千葉県第六選挙区支部が渡辺交通から四百二十万円の献金を受けたことも政治資金規正法違反に当たるのではと追及をされています。
 秋葉前大臣が問われたときも、地元事務所と親族とのお金の流れであって、なぜまたこんなことになるのかなと思うのであります。
 このとき、大臣は、民事再生法の中だからということで一切説明をしておりません。政治資金の方は返済をしたということでありました。でも、やはり返済したとしても、当時の答弁は、違反に当たる、負債を抱えているところだと知らなかったという答弁だったわけですよね。でも、それはおかしくて、六五%の筆頭株主であった渡辺大臣が全く知らなかったということ自体がおかしい。
 そういう意味で、最初の会見でお話しされたような、被災者の信頼を裏切ることはないということがやはり本当なのかなと。たとえ法律で罰せられることはないとしても、道義的な責任がないのか、そうしたことも含めて、潔白であるということはしっかりと説明していただきたいと思います。
 もし何か一言あれば。

○渡辺大臣 御指摘の復興大臣のときの報道は存じ上げております、当然のことながら。
 でも、私自身は、あの問題についてはきちんと説明したというふうに思っておりますし、法的にも全く問題ないという認識であります。
 その上で、私が復興大臣に初めて就任した二〇一八年、一九年でありますけれども、このときも、私自身は、被災地との信頼関係が極めて重要であるということで、できるだけ多くの被災地を訪問してまいりました。そういった個々の被災地との信頼関係の醸成はしっかりとつくってきたというふうに私自身は自負をしているところでございます。
 ただ、先ほどの週刊誌の報道のように、いろいろな形で出されることはあると思いますけれども、できるだけそういうものはしっかりと答えていきたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 最後に、しっかりと答えていきたいというお答えがありましたので、私も、大臣は前回のときからよく存じ上げておりますので、注視をしていきたい、このように思っております。
 次に、全然議題が変わりますが、一月二十八日、青森県六ケ所村の再処理工場前処理建屋において電源盤メンテナンスの際に、一部消灯して作業をするはずが、バックアップの照明が切れていたために全部消灯となって、国際原子力機関、IAEAによる監視が約二時間にわたってできなかったという事案がありました。何とその照明は二〇一七年に切れていたことが分かっていたにもかかわらず、しかも、製造が終わって補給もできていないまま放置をされていました。
 なぜ一月二十八日に起こったトラブルが二月二十二日まで公表されなかったのか。IAEAが原子力規制庁及び原燃に対して全消灯の理由を問い合わせたのは二月九日だと聞いています。
 そこで、原子力規制庁に伺います。
 規制庁は、原燃に対して、原因と再発防止策について三月二十二日までの報告を求めていますが、規制庁としてはいつの時点でどこまで把握していたのでしょうか。簡潔にお願いします。

○佐藤暁政府参考人 お答えいたします。
 ただいまお尋ねの、規制庁としていつの時点でどこまで把握していたのかということでございますので、時系列的に御説明させていただきます。
 御指摘のように、原燃は、本年一月二十八日に再処理施設前処理建屋において、電源盤メンテナンスのため、保障措置上の監視対象区域で一部消灯を予定しており、その旨を一月十八日に原子力規制庁、IAEA及び核物質管理センターに事前に連絡してきました。事後においては、当該区域の監視カメラを所有しているIAEAが、一月二十八日の約二時間、一部区域が監視カメラにより監視できない状況になっていたことについて、二月九日に、原子力規制庁及び日本原燃に対し、事実関係の確認依頼をしてきたところであります。その後、IAEAは、二月の二十日に、全消灯により二時間監視ができていなかったことを認定し、原子力規制庁にその旨を連絡してきたところでございます。
 原子力規制庁としては、これらのことを踏まえまして、日本原燃への当面の対応を原子力規制委員会で御決定いただくために、IAEAから連絡のあった翌々日となる二月の二十二日、この日に定例会に付議したところでございます。
 以上です。

○高橋(千)委員 事前の連絡があったわけで、二月九日に、最終的な確認をしたのは二月二十日だったと今おっしゃっておりましたけれども、九日に一旦連絡があったわけですよね。やはり日にち的な問題、五年間ほったらかしていたということが非常に驚く話であって、何かもう少しできなかったのかという思いをするわけです。前回も同じように、報告書を原燃に求めて、期日までに来なかったということがございました。厳粛な対応を求めたいと思うんですね。
 今日は、原子力規制委員会の山中委員長にもおいでいただいています。
 二十二日の記者会見で、IAEAの活動がきちんとできなくなったという極めて重大な事案であるとおっしゃっています。事業者の怠慢だとしか言いようがないともおっしゃっています。私は当然だと思います。
 IAEAが常時監視する対象施設であり、それが一時的にでもできなかったことの意味について、山中委員長の所見を伺います。

○山中伸介政府特別補佐人 お答えいたします。
 我が国は、核兵器の不拡散に関する条約における国際約束の履行担保をいたしますために、日・IAEA保障措置協定に基づき、国際原子力機関、IAEAによる保障措置活動である査察等を受けております。特に、日本原燃の再処理施設はプルトニウムを扱っており、また非核兵器国で唯一の商業用大型再処理施設であることから、保障措置活動が確実に実施されることは重要であると認識しております。
 このような認識の下、一月二十八日に発生いたしました査察機器監視対象区域における全消灯事案は、照明に使う電球の単なる球切れというよりは、これによりIAEAによる監視ができない時間帯があったことが保障措置上極めて重大な事案であると認識しております。
 また、電球が切れていることについて、日本原燃内の部署間の情報共有が適切に実施されておらず、速やかに電球を交換していなかったことは、事業者の怠慢としか言いようがないと思っております。
 今回の全消灯事案の原因究明や再発防止対策は、三月二十二日までの日本原燃の報告を待って明らかにしていきますが、二月二十二日の定例会で受けた報告も踏まえまして、今回の日本原燃の全消灯事案は誠に遺憾であり、原子力規制委員会として、再発防止を徹底させたいと考えております。

○高橋(千)委員 誠に遺憾であるというお答えがあったと思います。やはりプルトニウムを扱う施設であるということで、また、唯一の、核兵器を持たない国として商業炉を持っている、そうした意味での非常に重い意味があったと思います。
 ただ、原燃もそうですが、もちろん東電もそうですが、何か事象が起こるときというのは、本当にヒューマンエラーだったり、そして、そのヒューマンエラーの後の情報発信というんでしょうか、報告が非常に遅れる、そういうことが繰り返されているということがやはり非常に大きな事象を引き起こす端緒になるのではないかと思って、改めて指摘をさせていただきました。ありがとうございます。
 それで、GX実現に向けた基本方針では、核燃サイクルの推進等、高レベル放射性廃棄物の最終処分についても着実に行っていくというようなことが書かれております。仮に最終処分の候補地のめどがついたとしても、一つは、使用済みMOX燃料、これはプルサーマルをやった後に出るわけですけれども、処理処分について、また、東電福島第一原発から取り出す使用済燃料の処理処分について、そして、燃料デブリの取り出し後の処理処分について、それぞれ違うということ、また決まっていないということを確認したいと思います。

○松山泰浩政府参考人 まず、使用済みMOX燃料の処理について御答弁申し上げます。
 政府といたしましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用の観点から核燃料サイクルを推進していることとしておりまして、使用済燃料につきましては、使用済みMOX燃料も含めて再処理することが我が国の基本的な方針でございます。
 その中で、お尋ねがございました使用済みMOX燃料の再処理についてでございますが、現在、その必要な技術の研究開発を行っている段階にございます。例えば、ガラス溶融炉の運転を阻害する原因を抑制する技術ですとか、発熱性の高い元素を除去する技術、こういったものを研究開発を行っているところでございます。
 今後、使用済みMOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き、二〇三〇年代後半の技術確立をめどに研究開発に取り組んでいきつつ、検討を進めていくということにしているところでございます。

○湯本啓市政府参考人 お答え申し上げます。
 東京電力福島第一原発の使用済燃料と燃料デブリにつきまして、現在、国が定めた中長期ロードマップに基づいて取組を進めております。
 使用済燃料につきましては、順次取り出しを進めておりまして、共用プール等において適切に保管するとともに、その燃料の一部を乾式キャスク仮保管設備へ移送し、保管をしてございます。福島第一原発の使用済燃料については、事故によりまして海水や瓦れきによる影響が生じている可能性がございますため、その後の取扱いについては、これらの影響を評価した上で検討する必要があると考えてございます。
 また、燃料デブリにつきましては、二号機での試験的取り出しに向けたロボットアームの開発等を行っているところでございますが、取り出した燃料デブリの処理処分の方法につきましては、燃料デブリの取り出しを開始後に燃料デブリの性状の分析を進めまして、その上で決定することとしております。
 このため、使用済燃料それから燃料デブリの取扱いについては、まずは技術的な検討を進めるということにしてございまして、その上で適切に処理処分がされますよう、国としても最後まで責任を持って対応してまいります。

○高橋(千)委員 最初に質問で言ったように、高レベル放射性廃棄物の処理処分の候補地、最終処分地の候補地すらまだ決まっていない段階ですが、それ以外にも、今、使用済みMOX燃料ですとか、東電福島第一原発から取り出した燃料やデブリの処理の仕方さえも決まっていないということが明らかになったと思います。今、処理の技術を議論しているということだったということを確認したいと思います。
 それから、MOX燃料は、再処理とおっしゃいましたけれども、永遠に再処理できるわけじゃありませんから、いずれにしても、能力が落ちて処分をしなきゃいけないということはちゃんと直視しなきゃいけないと思うんですね。
 そういう中で、廃炉の、ここでいう廃炉というのは東電第一原発の話ですが、最終的な姿をどのように見通しをつけていくのか。今日は、原子力災害対策特措法の緊急事態宣言がどういうものであるかというのと、解除のときについて資料を配っておりますが、どのタイミングで解除をするのかということを聞きたいと思います。
 原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときと書いているわけですから、今言った取り出しの作業やその先がまだ見えない、続く限り、宣言解除にはならないと思うんですが、いかがでしょうか。

○湯本政府参考人 それでは、まず、福島第一原発の廃炉の最終的な姿についてお答えいたします。
 福島第一原発の廃止措置を終了した状態でございますけれども、事故を起こした炉内の状況ですとか廃棄物の性状など、今後明らかにしていかなければならない要素が多々ございますため、現時点では具体的な絵姿を示せる状況ではございません。更なる調査、分析や研究開発を進めながら検討を深めていく必要があると考えてございます。
 また、廃止措置を終了した状態は、地域の将来像に関わることでもありますため、技術的観点に加えまして、地元の皆様の思いもしっかりと受け止めながら検討していく必要があると考えてございます。

○松下整政府参考人 原子力緊急事態宣言の解除につきましては、ただいま委員からも御紹介がありましたが、原子力災害対策特別措置法第十五条第四項において、原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるときに原子力緊急事態解除宣言を行うこととされております。
 具体的には、住民の避難や、福島第一原子力発電所の施設及び設備の応急の復旧等の実施状況を踏まえつつ、総合的な見地から判断することとなりますが、現時点においては、解除の時期について確たることを申し上げることは困難な状況でございます。

○高橋(千)委員 山中委員長にもう一度伺いたいと思います。二問通告していましたが、後の方のだけでお願いします。
 廃炉のあらゆるプロセスで規制委員会の審査が必要になると思います。三月十日、委員長は職員への訓示の中で、数百年から数万年もの期間を考える必要があるものもありますと述べています。本日、行き先も処理方法もこれからだよねと改めて聞いたのも、廃炉は三十年から五十年という短いスパンの話じゃないと思ったからであります。委員長に、この発言の趣旨を伺いたいと思います。

○山中伸介政府特別補佐人 お答えいたします。
 御指摘の私の職員訓示の趣旨は、原子力施設の運転やその廃止措置など、今後数十年先にわたる規制に加えまして、そこから出てまいります放射性廃棄物につきましては、半減期が非常に長い放射性物質も含まれる場合もあることから、数百年から数万年と長いスパンでの視野が必要になるということを職員に訓示として述べたものでございます。
 私ども原子力規制委員会としては、職員に対して、このように長いスパンを持った安全規制を真摯に行うことを求めております。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 こうした時間がかかる問題なんだということを受け止めて、住民にもしっかりと説明をしていただきたいと、これはエネ庁に向かって言っておりますが、思いますことと、そうした、やはり一たび事故を起こしたときの収束というのは大変なことなんだということを改めて指摘をして、原発回帰の今の政府の方針は認められない、このことを訴えて、終わりたいと思います。

2023年3月14日 衆議院東日本大震災復興特別委員会 提出資料

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