国会質問

質問日:2023年 3月 10日 第211国会 国土交通委員会

ローカル鉄道と地域再生について(ローカル鉄道廃止問題と地域公共交通活性化法)

鉄道網維持 国の責任

高橋氏、代替バス廃止例示

衆院国交委

(写真)質問する高橋千鶴子議員=10日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は10日の衆院国土交通委員会で、全国で切り捨てが進む地方ローカル線の問題を取り上げ、鉄道廃止後に代替バス路線自体が廃止された事例を示し、鉄道網の維持に国が責任を果たすべきだと主張しました。

 高橋氏は、審議入りする地域公共交通活性化法改定案の先取りといえるJR北海道のローカル線廃止の動きに言及。「バス転換で便数が増え、停留所が高校の前まできて便利になった」との声がある一方、バス路線自体の利用者減、運転手不足などの問題が起きていると指摘。2020年4月に廃止された札沼線(新十津川~北海道医療大学)をめぐっては、昨年9月にわずか2年半で代替バス路線が廃止になったことを紹介しました。

 高橋氏は、町営バス運行のため地元の浦臼町はバス購入費など7400万円強の予算が必要になると述べ、「バスに転換すればうまくいくと到底いえないのではないか」と質問。斉藤鉄夫国交相は「実効性のある支援で受け皿である地域公共交通維持に努める」と答えました。

 高橋氏は、運輸総合研究所の宿利正史会長(元国交事務次官)が「鉄道をインフラとして法律で位置付けていないのは日本ぐらい」と指摘していることをあげ、「道路などと同じく鉄道を公共インフラとして国が責任を持つべきだ。国が全体として保有する形での(インフラと運営の)上下分離方式をとるべきだ」と提案しました。

(「しんぶん赤旗」2023年3月14日付)

-議事録ー

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。                    七日の所信表明で大臣は、地域公共交通のリデザインという文脈でお話をされました。今国会、国交委員会としては、ローカル鉄道をどうするかが一番の目玉だと思っておりましたけれども、何かさらりとし過ぎているなという気がいたしました。               昨年七月の検討会報告とJR各社の赤字ローカル線の公表以来、日本共産党として政策提言も発表し、衆参の国会議員団が各地を歩いてきました。私の地元東北では、JR東日本が開示した利用者が少ないローカル線、三十五路線六十六区間のうち六割以上、二十二路線四十四区間を占めております。各地の悲鳴のような声を聞いてきたわけですが、私たちの思いは、提言のタイトル「全国の鉄道網を維持・活性化し、未来に引き継ぐために」この言葉に込められております。                                       提出された法案の説明には、人口減少やマイカーへの転移、都市構造やライフスタイルの変化など、ローカル鉄道を取り巻く環境は大きく変化との認識が示されております。       確かに少子化は、今、十年も進行が早いと言われております。例えば、小学校に通う児童は、平成元年から三十年度までに三百十八万人強、三割減っております。学校は五千二百七十二校も統廃合され、二割減っております。                          一方、高速道路網の整備では、これは資料を二枚目につけておきましたけれども、昭和六十二年度三千九百十キロから令和元年度九千五十キロと二・三倍、高速乗り合いバスは二百四十九本から五千百三十二本と、何と二十倍にもなりました。                  こうした中で、鉄道の利用が減り、赤字が増えたとかいっても、それは、当然のことながら、独り鉄道の責任ではないと思います。そのことをまず確認したいのと、鉄道の問題を通して地域の再生そのものが課題となるべきだと思いますが、認識を伺いたいと思います。

○斉藤鉄夫大臣 高橋委員御指摘のとおり、ローカル鉄道の利用者の大幅な減少については、人口減少や少子化、マイカー利用を前提とした都市構造やライフスタイルへの変化など、鉄道事業者の経営努力のみでは避けられない事情が背景にあると考えております。        そのため、鉄道事業者任せにすることなく、自治体が主体的に関わりながら、どのような地域の将来像を実現していこうとしているのか、その中でどのような地域公共交通が必要なのか、こういうビジョンを持った上で、地域公共交通の機能の回復に共に取り組んでいくことが急務となっていると承知しております。                           今般の制度改正は、そうした事業者と自治体の連携、協働を国として積極的に促していく観点から提案させていただいているものでございます。

○高橋(千)委員 一つだけ、もう一回伺いますが、今、大臣の言葉に国という言葉が出てこなかったと思うんですよね。やはり、自然発生的に道路を造ったわけじゃないし、人が黙って減ったわけじゃないし、東京一極集中ということが進んできた中で、やはり政治そのものも見直しをしなければならないと思っているわけなんです。それに対して、やはり、地域の協働という言葉はいいんですけれども、国の言葉が全然出てこないよねとちょっと今思ったんですが、大臣、どのように考えていらっしゃるんですか。

○斉藤大臣 先ほどいろいろ社会の変化を申し上げました、いろいろな側面から。そういう中には、国の政策ということもその変化の中には入っている、このように思います。

○高橋(千)委員 取りあえず、ここはそれを一つ押さえておきたいと思います。自然発生的に何か廃れていったという話ではないわけですから、そこをしっかりと見たいと思うんですね。                                         まず、JR北海道が、当社単独では維持困難な線区を発表したのは二〇一六年の十一月です。先月北海道に行って、JR北海道や道庁、あるいは廃線になった線区の首長さんらと話をしてきましたが、まさに、この二〇一六年に発表して以来の北海道の取組というのは、今回の法案の先取りとも言えるなと思ったわけです。                        資料の三を見てください。これは当時の資料です。その中で、単独では維持することが困難な線区、いわゆる赤色線区と言われたところだけ取り出しております。輸送密度が二百人未満、札沼線、根室線、留萌線の三つの線区、計百七十九・四キロメートル、これに対して、御利用が極めて少なく、一列車当たりの平均乗客人員が十人前後ですと書いています。       そして、鉄道よりも、右の側の赤い字ですけれども、ほかの交通手段の方が適しておりと、はっきり書いちゃっているんですね。利便性、効率性の向上も期待できると考えられるほか、運営赤字とは別に老朽土木構造物の維持更新費用として今後二十年間で五十八億円程度が必要となりますと明記をし、維持可能な交通体系とするために、バス等への転換について地域の皆様と御相談を開始したいと考えておりますということで、バス転換という言葉も会社の方から出して、御相談をしたい、こういうことをやってきたと。                  資料はつけておりませんが、イエローの線区は二百人以上二千人未満の八線区、既に地域で話合いを始めていたのが、日高線など二つの線区が明示されております。JR北海道が単独で維持可能とされたのは、札幌圏に近い八線区、五百八十五・九キロにすぎません。       国としては、こうしたJR北海道の方針にどのように関わったのか、また、この十三の線区は今どうなったのか、お願いします、簡潔に。

○上原淳政府参考人 お答えいたします。                        平成三十年七月に発出いたしましたJR北海道に対する監督命令におきまして、鉄道よりも他の交通手段が適しており、利便性、効率性の向上も期待できる線区においては、地域の足となる新たなサービスを進めることという形で、JR北海道に対して命令を出しております。   これまでに、輸送密度二百人未満のいわゆる赤線区のうち、石勝線、新夕張―夕張間、札沼線、北海道医療大学―新十津川間、日高線、鵡川―様似間につきましては、地域との合意に基づきまして、バスを中心とした新たな交通体系に移行いたしました。            このうち、例えば、日高線におきましては、新たな交通体系に移行後、これは令和三年四月の移行後のアンケート調査におきまして、通学や通院に実際に利用している方から、その多くからは、運行頻度やアクセスなどについて利便性が向上したとの評価が得られ、九六%の方が今後とも利用していきたいと回答されているところでございます。              留萌線、留萌―深川間につきましても、既に、バスを中心とした新たな交通体系へ転換することをJR北海道と沿線自治体が合意をいたしております。                 また、根室線、富良野―新得間につきましては、令和五年三月六日に関係市町村長会議が開催されまして、JR北海道より新しい交通体系案が提案され、現在、沿線四市町村において検討されているものと承知いたしております。                        一方で、先ほど述べました監督命令におきましては、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区につきましては、地域と一体となって利用促進やコスト削減の取組を行い、持続的な鉄道網の確立に向け、あるべき交通体系について徹底的に検討を行うこととしておりまして、いわゆる黄色線区につきましては、こうした考え方を踏まえた関係者間の取組が行われているところでございます。                          こうした取組に対しまして、国土交通省といたしましては、令和三年三月に本委員会で御審議いただき、可決、成立させていただいた旧国鉄債務等処理法に基づきまして、観光列車の導入などの支援を講じております。また、新たな観光需要の取り込みなどにより、鉄道利用の活性化を現在図っているところでございます。

○高橋(千)委員 今、監督命令の話をされましたけれども、ちょうど出たときに、そのときもJR北海道に行って説明を聞いてきたところでありますけれども、ちょっと改めて今の答弁を聞いていて、問いを少し変えたいなと思いました。                   というのは、今回の法案では、地方公共団体又は事業者が再構築協議会の組織を国に要請することができるとしています。資料の一枚目にそのポンチ絵をつけておりますが、事実上は、今の北海道のように、JR側が具体路線区を指定してきているわけですよね、ここが、ここがと。それに対して、当初の新聞報道は、今回の法案は国が乗り出すんだとか、存廃協議を国主導というような見出しが躍りました。だけれども、条文を見ると、何か、協議のテーブルを用意するだけという気がするわけなんです。                        それで、私は、国がローカル鉄道の廃止を主導することはあってはなりませんというふうに通告をしました。けれども、まあ、やってきましたよということなのかなと、逆に言うと。さっきの監督命令は、これこれはほかの交通手段にした方がよいと国自身が言ってきましたと答弁されたわけですから、そのようにこれからもしていくということなんでしょうか。

○上原政府参考人 お答えいたします。                         先ほど申し上げましたとおり、輸送需要に応じて最も適切な、利便性が高い、あるいは持続可能性の高い交通体系が選ばれることというのは、これは国鉄改革時からも同じ主張をしておりまして、このJR北海道の件につきましても、輸送需要二百人未満の線区につきましては、他に代替の交通機関として利便性が上がるということであれば、地域の合意を経ながら転換を図っていくべきものだというふうに考えておりました。

○高橋(千)委員 利便性が上がるのであればというそれ自体の努力をするべきじゃないか、もう諦めちゃっているんですかということが言いたいんです。               それで、私が回った自治体でも、先ほど報告がありましたように、通学、通院にとても便利になったという声があったと。確かにそうなんですよね。駅とは違って、停留所が高校の前まで来てくれる、便数も増えた、部活を慌てて終わらなくてもいいようになったとか、そういう声をたくさん聞きました。                                しかし、それは、かつて、もっと鉄道だって便数が多くて便利だったんじゃないのと聞くと、そのとおりですと言うわけですよね。どんどん不便になって、便数を減らされて、それで乗換えも、つなぎの時間が悪くてうんと待たなきゃいけない、そういうプロセスがあってここに至ったということなんですよ。なので、だけれども、そこをまず、分かっていると思いますが、指摘をさせていただきたいと思います。                         同時に、既に鉄道が廃止され、バス転換された沿線自治体からは、バス自体が空気を運んでいる、運転手のなり手がいなくて困っているという声が口々に聞かれました。二〇二〇年四月にJR札沼線、新十津川―北海道医療大学間が廃止された浦臼町では、昨年九月、つまりバス転換してから僅か二年半で中央バス滝川浦臼線が廃止になりました。             資料の四枚目を見てください。  そのために、代替の町営バス、これは町の来年度予算案で、バス購入費一千六百万円と運行経費九百四十万円、その他、乗り合いタクシーや路線バスへの運行負担金など、合わせて七千四百二十三万円余を負担しています。それに対して、国の補助というのは、フィーダー系補助金がありますけれども、二百十五万五千円ですから、丸一つ足りないなと思いますよね。                               特交があります、残りは持ち出しですということで、やはり、それプラス、JRから、鉄道廃止に当たって、二十年間分として一億一千万円の渡し切りの支援があったのです、渡し切りです。                                         大臣に率直に伺います。  何かバス転換すればうまくいくなんということは到底言えないのではないかと思うんです。まして、バス会社が撤退する、お金を出されても運転手がいないから無理です、そういう話まで出ています。どこまで認識されておりますか。

○斉藤鉄夫大臣 高橋委員、済みません、その前の質問に対して、私の立場からちょっと一言だけ申し上げさせていただきますと、今回、この再構築協議会、関係者の協議が調うということが前提とされており、地域の了解なく鉄道の廃止の方針が決定されることはありませんということと、いずれにせよ、国としては、廃止ありき、存続ありきという前提を置かずに、沿線自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞いて協議を進めてまいります。そして、関係者の合意形成に向けて、しっかりと取り組んでいきたい。先ほどの質問に対して、私の立場からちょっと補足をさせていただきました。                         その上で、バス転換についてのいろいろな御質問がございました。  協議の場におきまして、バスに転換する選択肢が検討される場合には、その運行ルートや費用負担と並んで、担い手となるバス事業者の経営状況、車両や運転手の確保の見込み等を確認する必要があると考えております。                                       今回の法改正では、バスを中心に、エリア内交通ネットワークの利便性向上と効率化を図るため、複数年にわたる長期安定的な支援を可能とするエリア一括協定運行事業の創設を盛り込んでおります。  また、地域の公共交通を維持、確保するための財政支援に加え、令和五年度予算案では、新たに社会資本整備総合交付金に公共交通に関する基幹事業を追加するなど、実効性ある支援策を講ずることとしています。つまり、国もしっかり支援していくということでございます。                                      国土交通省としては、こうした支援策を通じて、受皿としての地域公共交通の維持、確保に努めてまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 さっき私はお話の中で言ったんですけれども、丸が一つ足りないよという話と、お金を出されてもやれませんと、そのくらい、バス会社が断るくらい深刻な事態なんだということを認識してくださいと言いました。                      それから、前の質問の答弁、補足されたんですが、関係者の協議が調うのが前提だというのは当たり前のことで、存じております。廃止ありきでないということも存じております。もちろん、鉄道事業法が規制緩和になって、廃止は届出制で済むことになっておりますが、それであっても、ちゃんと地域に説明しなさいということは約束されているわけですから、それはJRはやってきているんですよ。ただ、じわじわと、赤字ですよということを自治体に何度も何度も通って迫られたというお話も、ある町長さんから聞きました。              だけれども、そういう背景の中で、さっきの局長の答弁は、やはり、輸送密度が低いところはほかの手段の方がよいと思うと国が言っちゃうから駄目なんですよ。ありきじゃないと幾ら言ったって、国がそう言ったらこの先見込みがないなと思っちゃう、だから問題なんだということを指摘をしています。  そこで、バスの運転手がいないということは検討会の中でも繰り返し指摘をされてきたはずです。全国の一般路線バスの廃止状況は、この十年間で何キロ、乗り合いバス許可キロ数のうちどの程度になるのかお答えください。それから、そのうちJR子会社などはどのくらいあるのか。お願いします。

○堀内丈太郎政府参考人 お答えいたします。                       全国の一般路線バスで廃止されました路線につきましては、平成二十四年度から令和三年度までの十年間で合計一万二千七百七十キロとなっております。これは、全国の乗り合いバス路線の約二%となっております。                              また、JR子会社であるバス事業者の一般路線バスで廃止された路線につきましては、令和元年度から令和三年度までの三年間で合計六十五キロとなっているところでございます。

○高橋(千)委員 資料をつけさせていただきました。今、平成二十四年から一万二千七百七十とお答えいただきました。数字が合っているのでちょっとほっとしましたけれども、最初は三年分しか数字をいただけなかったものですから。ただ、国交省はちゃんとホームページに書いてありますのでね、この数字は。このくらいバスが減っているということは、重く見る必要があるのではないかと思います。                            さっき国交省が示された三年間で見ただけでも、四千五百キロメートルなんですよね、これは下の三年間を足していただければ。分割・民営化のときに、やはり、三千百五十七キロが特定地方交通線と指定をされて、そのうちバス転換したのが千八百四十六キロだったわけ。そのときのバス転換されたキロ数と比べても、いかに全国でバスがなくなっているかということは、非常に深刻な事態ではないか、このように思うんですね。                 そもそもバスの運転手のなり手がいないとさっき紹介しましたけれども、というのは、大型二種免許保有者が、やはりそもそも、もう減ってきているよということがあると思うんですね。  それで、免許保有者とその交付枚数というのがどうなっているのか、これも十年間の比較でお答えください。

○堀内政府参考人 お答え申し上げます。                        警察庁の運転免許統計によりますと、大型二種の免許保有者数は、平成二十四年に約百三万人であったところ、令和四年は約八十万人と、約二十二万人減少しております。        また、大型二種免許の一年間の新規取得者数は、平成二十四年に約一万三千人であったところ、令和四年は約六千人となり、約七千人減少しております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。                        これは比較した年度がうちの部屋で作った資料とちょっとずれていたかもしれませんが、大体、数値としては、資料の六枚目にあるんですけれども、例えば、二種免許の交付枚数が、二〇〇一年、一万七千百九十二から、二〇二一年、六千五百六十二というように、半分くらいに減っているわけですよね。だから、実働数が減っていて、実働数というか動ける人が減っていて、かつ高齢化が進んでいるということは、誰もが分かっていることだと思うんですね。          やはりそうした中で、働き方改革もしなくちゃいけないわけだし、本当に安心の仕事にしていかなきゃいけない。それは、この統計を取っているのは警察庁ですけれども、やはり、なり手をきちっと、安心の環境をつくっていくというのは国交省の仕事でありますので、しっかりとお願いしたいと思います。それを質問にすると次ができなくなるので、要望だけにしたいと思います。                                       それで、次の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは、JR北海道が、「留萌本線 鉄道事業廃止に係る合意内容」というものです。これが一番直近のものですので。    それで、三年後に廃止をする予定というのが書いてあるんですけれども、代替交通支援ということで、鉄道廃止から最大十八年間分、あくまでも、十八年間というのは、毎年支援しますよという意味ではなくて、十八年間分という意味です。それから、まちづくり支援として七千万円というように位置づけているわけです。                        それで、なぜ十八年間ですかと聞いたら、大体、赤ちゃんが高校を卒業するまでの期間という考え方だと言っておりました。ただ、さっき話したように、札沼線の場合は十八年じゃなくて二十年間だったわけなので、だんだん割り引いてくるのかなというのがちょっと心配になったところなんですね。                                  問題は渡し切りで、つまり、お金を出します、あとは自治体にお任せというのは、やはりうまくないと思うんですよね。今回の法案で、事業者と自治体が協議し合って再構築していくとうたっているわけです。圧倒的に自治体の手持ちカードがなさ過ぎます。自治体にしてみると、維持してほしいけれども、それは、上下分離で自治体が全部インフラを持ちなさいよとか、あるいは、うんとお金を出しなさいよということになっちゃう。自治体には有利なカードがないわけです。                                      そういうことをまず認識されているのかということと、何が今回は違いますか、ちゃんと自治体だって有利なところがありますよと、あるんだったら是非お答えいただきたい。

○斉藤大臣 国におきましては、JR北海道に対し、赤線区の廃止に際しては、沿線自治体の御了解を得るべく誠意を持って協議に臨むとともに、廃止後においても、地域の振興に引き続き貢献するよう指導してきているところでございます。                   今般の新制度の運用に当たっても、JR各社には同様の指導をするとともに、必要な場合には、国としても協議に積極的に関与してまいります。さらに、地方自治体が負担してインフラ整備に取り組む場合には、社会資本整備総合交付金による支援の仕組みや地方交付税措置も設けることで、自治体側の対応策の幅も増やすこととしております。

○高橋(千)委員 そこまで言うんだったら、やはり丸一つ足りないんじゃないですか。

○上原淳政府参考人 先ほど大臣が答弁させていただきました社会資本整備総合交付金は、今回の予算で、新たに地域公共交通を基幹事業として新設をしていただくことを今お願いしているものでございます。また、それに伴いまして、地方交付税措置につきましても、これまでの鉄道のいわゆる補助金に対する交付税措置に比べて、この社会資本整備総合交付金の交付税措置が非常に高くなるということで、こちらの方は、予算をお認めいただきまして、更に地方自治体の負担軽減に努めていきたいと考えております。

○高橋(千)委員 ですから、新しい予算組みはつくっても、丸が足りないよと言っております。それから、運賃補助とかそうしたものには使えませんので、やはりまだまだ限界があるし、手持ちのカードができたというふうにはならないと指摘をしておきたいと思います。   それで、交通経済学の宇都宮浄人関西大学教授は、「鉄道は社会資本であり、極めて公益性の高いインフラです。しかし、日本の鉄道は鉄道事業法によって法律上、民間企業が全てを独立採算で賄うのが原則。赤字は事業として失敗で、ときに無駄遣いなどと批判されます。このような考え方をするのは先進国では日本ぐらいです」と指摘しています。アエラの二〇二二年三月二十一日号。                                      だけれども、国交省だって多分それは分かっていると思うんですね。元国交事務次官で運輸総合研究所会長の宿利正史氏は、読売の二〇二二年十月十五日付で、世界中で鉄道をインフラとして法律で位置づけていないのは日本くらいではないかと指摘しています。やはり分かっていると思うんですよね。                                 なので、私たちの提言は、JR北海道などの三島会社はやはり今まで以上に国の支援が必要だということと、やはり本州の三社についてしっかり、黒字であるんだから存続すべきだ、その上で、道路などと同じように公共インフラとして鉄道は国が責任を持つべきだと。      今提案されている再構築の中には上下分離というのもありますけれども、それは自治体にやらせようというものであって、そうではなく、国が全体として保有する形での上下分離を検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○斉藤鉄夫大臣 鉄道の運営の形態につきましては、国によって、人口密度や都市構造、国と地方政府の関係等が異なることから、様々な形態が選択されております。               御指摘の、国が保有する形態につきましては、我が国においても、全国的な高速鉄道ネットワークを形成する整備新幹線は、鉄道運輸機構が建設、保有し、JRが運営を行う上下分離方式が取られております。                                 一方で、地域公共交通を担うローカル鉄道については、上下分離方式を採用する場合、鉄道施設を地方自治体等が保有する形態が一般的でございます。                  この場合においても、国からの安全対策を始めとする補助金について、補助率のかさ上げにより地方負担の軽減を図っておりますが、今般、社会資本整備総合交付金を活用するとともに、地方交付税措置を拡充するなど、地方負担の更なる軽減を図ってまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 時間が来たので、一言で終わります。                今、大臣がおっしゃったように、整備新幹線においては既に、機構ではあるけれども、国が支援する、バックアップする形で上下分離をやっているわけですよ。ローカル鉄道を切り離すではなくて、既に、本当は、そういうスキームになっているわけですから、きちっとそこに向かっていくべきではないか、このように提案をいたしまして、質問を終わります。

2023年3月10日 衆議院国土交通委員会 提出資料

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