被災者支援 医療費負担減免を / 高橋氏「国が実情に応じて」
日本共産党の高橋ちづ子議員11月20日、衆院厚生労働委員会で、医療費負担減免制度について国の責任で実情に応じた減免措置を講じるよう求めました。
高橋氏は、今年3月に被災者に対する医療費減免措置を打ち切った宮城県で深刻な受診抑制が進んでいる現状を示し、政府の認識をただしました。田村憲久厚労省は事実だと認めました。
高すぎる医療費と受診抑制の深刻な実態が全国に広がっている問題を取り上げた高橋氏は、一部負担金を支払うことが困難な場合の「減免・猶予措置」を定めた国保法44条の活用状況について質問。厚労省の木倉敬之保険局長は「12年度のデータで501件、額は4800万円」と答えました。高橋氏は「あまりにも少ない」とし、「世帯の総所得が生活保護基準以下で、入院に限るといった国の基準は厳しすぎる」と主張。「自治体が独自の減免制度を持っていても、国の基準でしか財政支援がない」と指摘し、基準を緩和するよう求めました。
(しんぶん赤旗 2013年12月13日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
十二日の参考人質疑で、山梨から宮城県気仙沼市立本吉病院非常勤医師として通ってくださっている古屋聡先生が、ことしの三月で宮城県の被災者に対する医療費の免除が終了し、深刻な受診抑制が進んでいると指摘をされました。医療機関を受診するために、もともと不便な地域ですので、タクシーなどを利用しなきゃいけない、そこだけでも負担がかかるわけですね。それにさらに医療費がかかるということを指摘されました。
また、そうした中で、脳外科のデータでいくと、二〇一三年七月から九月の脳出血の手術例は九例になり、前年が三例、その前の年が四例と比べても非常に伸びが大きいということ、そして、大震災被災者の医療費助成は国に全面的に取り組んでいただきたい、このように発言をされました。地域のコミュニティーの維持、再生などが問われる課題で、被災地はその先端を走ってしまっている、この指摘は大変胸に迫るものがありました。
宮城県では、七月八日に、県議会が一致して医療費窓口一部負担の免除を復活するよう請願を採択しています。八十八人の仮設住宅の自治会長の連名の要望でありました。そして、今は、この自治会長が、四百六仮設住宅があるんですけれども、百八十九名が署名をして、強く復活を求めています。
また、岩手県ではどうか。来年一月以降も、減免の八割は国が出す分ですから、残りの二割を県と市町村で折半する制度、これを継続することを決めました。しかし、市町村にとっては、その一割負担の部分、財政が厳しいから、だからといって簡単に免除をやめるわけにいかないんだと頭を抱えているのが現状であって、国に制度の復活を求める声は、岩手でも同じだと思っています。
そこで、大臣は、こうした被災県の免除復活を求める声を承知していますか。どのように認識していらっしゃるでしょうか。大臣に聞いています。
○後藤委員長 では、先にいいですか。(高橋(千)委員「聞くことはありません。大臣に聞いています。何で。認識でしょう」と呼ぶ)
田村厚生労働大臣。
○田村国務大臣 済みません、ちょっとこちらが通告ミスで、私じゃなかったものでありますから、今、局長が手を挙げさせていただきましたけれども。
そのようなお話があることは受けとめております。
○高橋(千)委員 受けとめておりますの一言でございました。
改めて復活を求めて質問したいと思うんです。
十月二十四日の参議院の予算委員会で、我が党の小池晃議員の、国の補助を全面復活するためにはどのくらい必要かという質問がありました。それに対して、資料の一枚目、配っております。二〇一一年度の予算を参考にするしかないわけですよね。それでいきますと、国保、介護、被用者保険、後期高齢者、四つの分野を合わせると約一千八億円という回答をしています。
もちろん、それと同じくなるとは限らないわけです。しかし、これを、私はきょう国保に限って伺いますが、国保に限って見ると、どのくらい必要でしょうか。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十三年度、この年は岩手、宮城、福島以外も含めましての財政支援、全額をしておったわけですが、今挙げていただきました一千八億に対応した内数として、市町村国保だけで見ますと、約五百三億円の負担であったというところでございます。
○高橋(千)委員 そこで、二枚目をちょっと見ていただきたいんですけれども、今、五百三億円とおっしゃいましたよね。そのうちの被災三県の分をどれだけ国がお金を出しているかというのを出してもらいました。平成二十三年度は十割なわけですよね。二十四年度は、十月から八割になっております。ですから、下の方が低いわけです。こうして見ると、やはり宮城県が、被災の程度が非常に大きいというか範囲が広いものですから、免除額が大きいなということが読み取れるのかなと思っているわけです。
ただ、結局、さっき紹介した自治会長さんたちの要望というのは、窓口負担の部分だけなんですね。もちろん、保険料減免も、両方やってほしいですよ。だけれども、最低でも窓口負担をやってほしい。そう言うと、もっと額は少なくなっていく。これを足し算しただけでも二百三十億、上の方を足し算していくとそのくらいなわけですよね。そうすると、三県だけではないということを考えても、そんな大きな額ではないわけです。これを改めて全額国庫負担に戻すべきではないでしょうか。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
私どもの方にも、宮城県等からのお話も伺っております。その中でも御説明申し上げておるのでございますけれども、この全額の補助、これは前年度の所得の状況を把握していただいて、それに応じた減免をしていただく、そういうことがわかるまでの間ということで特別の措置を続けてきたということでございまして、昨年の九月までということで、その措置を終えて、所得に応じたものでやっていただきたい、それで、減免をなさった場合に、減免額の十分の八を補助しておるということであったわけでございます。
それ以外にも、東日本の特別対策としては、全体で医療費がふえたときには、三%以上ふえたような保険者に対しては八割も補助をするとか、所得が実際に下がっている地域がありますので、そういうところには、所得が下がったものについて調整交付金をより増額を図るとかいう措置も組み合わせて丁寧に応援をしていきたいということでございまして、その減免については、市町村の判断で行われているものに対して、このような措置を丁寧に組み合わせることで対応してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○高橋(千)委員 今、前段でお話しされたことなんですけれども、保険料についてはもう何回も議論したことですよね。結局、当然、所得に応じて保険料が決まっていくからとおっしゃって、それは事実なんですね。それでも高いというのが私たちの言い分ですけれども、だから、それを踏まえて、せめて窓口負担はということを地元は言っているんだ、やはりそこを踏まえていただきたいわけなんですね。
例えば、最初に気仙沼のことを紹介したので、気仙沼の方のお話をしたいと思うんですけれども、気仙沼に住所を残したまま一関市で暮らす七十一歳の男性は、震災後、心不全になり、週一回の通院をされております。それで、四月から月二万五千円の医療費を年金十三万円からというのは非常に大きいわけですね。これは毎日新聞が十月四日付で報道しているんですけれども、実は、同じような境遇の方が三百十人もいらっしゃるんです。つまり、いずれは帰りたい、だけれども、岩手県民になると当面無料なわけですよね。岩手に住んでいる。だけれども、いずれは帰りたいと思っているから気仙沼に残している。そのことによってこんなつらい思いをしている、だったら岩手の人は頑張って無料を継続してくれとおっしゃっているそうです。
だけれども、やはり本当に地続きなんですよね。ここで差をつけるということではなくて、今、必要なこの瞬間、延長していくあるいは復活していくということがあってもいいんじゃないでしょうか。もう一回。
○木倉政府参考人 岩手県との県境の気仙沼の話は私どもも伺っております。岩手県の方も、財政がぎりぎりの中で、県と市町村が応援をして、私どもからの八割の援助にプラス地元の方の負担で何とか工夫をされているというふうに伺っております。
宮城県の方は、先生御指摘のように、範囲が広かった、被災者も多いということで御苦労があるんだと思いますけれども、市町村国保の運営が成り立つような仕組みとしては、私どもも、所得が下がったあるいは医療費がふえたという部分に対します特別調整交付金、調整交付金というものの組み合わせの中で応援もしてまいりたい。
それから、本当に実際に低所得で減免しなきゃいけない、七割、五割、二割という減免措置も組み合わせて、しっかり応援は続けてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○高橋(千)委員 これは引き続き求めていきたいし、後でもう一回お話をしたいと思うんですけれども、ちょっと続けます。
大臣に伺いたいと思うんですが、先日、福島県浪江町の津島区の行政区長さんたちがそろって私の部屋に来てくださいました。津島区というのは、きっと皆さんも記憶があると思うんですけれども、例のSPEEDIの情報が出てこなかったがために、大勢の方が避難して、実際はその避難をした津島区の方がもといた場所よりも放射線量が高かったということがわかった地域であります。非常に悔しい思いをされています。
区長さんたちは、福島市やいわき、二本松など、さまざま、ばらばらに避難生活を送っていらっしゃるんですけれども、月一回くらいは集まって、情報交換ですとか要望活動もしていらっしゃるわけです。
そこで、浪江町全体でいうと、津波など震災で亡くなった方が百八十二人いらっしゃいます。だけれども、その後の震災関連死は何と三百四人もいらっしゃる。介護の要支援が二百人だったものが、震災後は四百人と倍加をしています。これを医療費で比較しますと、一・四倍くらいに、医療、薬剤、訪問看護の分野ではね上がっている明確なデータが出ているんですね。ふえているのは、高齢者、そして妊婦さんです。周産期に発生した病態が増加した。これは津島診療所のデータなんですが、そういう明確なデータがございます。
ですから、無料化すると安易な受診がふえるとかということもよく言われますけれども、逆で、本当に命をつなぐ制度になっているわけですね。それでも関連死がふえているわけですけれども。
そういうことを踏まえてどうなのかということと、今、福島の警戒区域等の免除措置については、概算要求でも前年度と同額をされているはずです。だけれども、予算編成過程、十二月に見直すということが、一文添えられているんですね。避難区域が今いろいろ再編されています。だけれども、今こういう状況で見直す、要するに、現実には帰れないという状態がある中で見直すべきではないと思いますが、お願いいたします。
○田村国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所、この事故に伴う避難指示を受けた地域に関しては、今も委員おっしゃったとおり、二十五年度、介護、医療の窓口負担、これは国が負担をしておるということであります。
二十六年度はどうするんだというお話でございましたが、なかなか十分な、期待するお答えにならないのかもわかりませんけれども、予算編成過程で被災地の状況も踏まえながら検討してまいりたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 そういう返事が来るとは思ったんですが。ただ、昨年度も、概算要求のときには同じ文章が添えられていました。でも、それを乗り越えて同額の予算がついたわけですので、ここは本当に頑張っていただきたいと思うんです。
浪江の区長さんも、富岡の区長さんも、あるいは双葉町から避難されている方も、本当に同じことをおっしゃるんです。月一回だけ帰ることが許されていて、もう帰るたびに家が荒れているわけです。当たり前ですよね、人が手をかけられないですから。私も富岡に入ったことがあるんですけれども、野生動物に荒らされて、たどり着くまでの道のりが雑草だらけ。だから、帰るたびに、ああ、もう帰れないという思いを重ねるわけです。
仮に線量が、今問題になっているけれども、二十ミリシーベルトだというので解除になったとしても、インフラ、全然進んでいない、除染も進んでいない、あるいは、介護の施設とかそういう体制もできていない。だって帰れるわけないだろうということをみんなおっしゃっているわけです。だから、機械的に、解除したからもう対象にならないんですよということは、絶対あってはならないと思うんです。
ここは、同じ答弁しか返ってこないと思いますので、強く要望をしておきたいと思います。
そこで、高過ぎる国保と深刻な実態というのは、全国で進んでおります。本来、国保の減免制度がしっかりと作用していれば、まだ救われるのではないか、こう思っているんです。
国保法四十四条、これは、国保における一部負担金減免についての規定がございます。条例、規定がある自治体数、実績をまず伺います。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
国保につきましてですが、国保法の中で、災害や失業による収入の減少などの特別の理由がある被災者で、一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対して、一部負担金の減免を行うことができるとされておりまして、これに基づきまして、今御指摘の、基準、条例であるとか規則等を定めまして実施をしております市町村数というのは、二十四年四月一日現在でございますが、全体、市町村国保千七百十七保険者があります中の千二百七十二保険者というようなことであります。
免除の実績は、二十三年度で見ますと、六十三万二千件、減免総額が二百六十九億円となっているような状況でございます。
○高橋(千)委員 それについて、今、資料の三枚目に実はついてございます。ありがとうございます。
私は、これにずっとこだわっていて、四十四条を本当に活用せよということ言ってきました。二〇一〇年四月七日にこのことを質問しているわけですが、そのときの数字では、三年前の数字しかなかったんですが、十億円の実績だったんですね。そういう点では、二百六十九億円ということで、減免実績が少し上がったという点では、ちょっとよかったかなと思っているわけです。
私は、これは、保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の減免または徴収猶予の措置をとることができる、こういうふうに条文では書いている、だから、本当にそのままで解釈していただいて、保険者が特別な理由がある人に対して減免してくれればいいなと思うんです。だけれども、ここに書いているように、減免に要する費用は保険者負担なわけですよね。だから、困っているだろうということで減免してあげようというと、それがみんな保険者負担にはね返ってくるということで、それは容易にはできないということであります。
そこで、このときの議論によって二番目の財政支援というのが初めてできたわけなんですけれども、二〇一〇年の九月十三日の国保課長通知によって、財政支援、これは国が示す基準、後で言いますけれども、三つの基準があって、全て該当する場合は国の特別調整交付金で二分の一を交付することとなりました。
まず、これは、この基準を満たしていれば、条例を自治体が持っていなくても、財政支援は受けられることになりますね。一言で。
○木倉政府参考人 今御指摘ありましたもの、一部負担金減免は国保法に基づいて実施できるわけですから、必ずしも条例、規則等の定めがなくてもできるわけでございます。そのときに、国の財政支援の対象といいますのは、国が支援をする基準を定めて、これに該当すれば、その基準等がなくても、国の方からの財政支援の対象としておるところでございます。
○高橋(千)委員 基準がなくてもいいわけなんですね。条例を市町村がわざわざつくらなくてもいいということでありました。
そこで、この三基準を満たして助成措置を受けた件数、額は幾らでしょうか。
○木倉政府参考人 この一部負担金の減免の実績でございますけれども、二十四年度の数字でお答え申し上げますと、減免の実績は五百一件、約九千七百万円でございます。これに対します約二分の一の補助ということなので、国の補助は四千八百万円というような状況でございます。
○高橋(千)委員 きのういただいた数字よりちょっとふえているのは、新しい数字を探してくださったんだと思います。きのうは三千七百万円ということをおっしゃっていましたけれども、きょうは新しい数字で、四千八百万円。
ただ、それにしたって大した額じゃないんですよね。結局、この制度を、財政支援をやろうということになった背景には、我々も何度も言ってきたことはありますけれども、病院の未収金が余りにも多過ぎると病院協なども調査をして訴えをする中で、検討会などもあって、本来ある減免制度を使おうじゃないかということで基準をやったんですけれども、しかし、余りにも少ないと思いませんか、大臣。
これは、基準が厳し過ぎるんですよ。この丸の三つ全て満たすものでしょう。一つ目は、世帯全部の収入の合計が生活扶助基準以下でなければならない。預貯金が三カ月分、これも生活保護基準と同じなわけですね。三つ目は、通院はだめ、入院じゃなきゃだめ。三つを満たしていなければならない。でも、逆に言うと、三つを満たしているというのは生保以下なんだから、生活保護を受ければいいわけですよね。そういうことでしょう。生活保護以下の人を減免で救うんじゃなくて、そういう人はもう生活保護を受けられるんですよ。余りにも厳し過ぎると思いませんか。
○田村国務大臣 生保の場合は資産等々も入ってくるわけでございますから、ここに書かれているような預貯金の合計だけではないんだというふうに思いますけれども、今ある制度がまず十分に周知できていないというところもあるんだと思います。でありますから、まずは現行のこの規定というもの、これにのっとって、国の基準というものにのっとってまずは周知徹底をしていって、今徐々にふえてきておりますから、これを広げていくということがまず第一であるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 生保基準以下だけれども、これを広げるほどの厳しさではないとおっしゃっているんですね。とりあえず一歩かなということなんだと思うんですけれども、確かに生保を受けるときの調査に比べたら緩いとおっしゃるのかもしれませんけれども、基準は同じなわけですよね。所得が生活保護基準以下でしょう。でも、実際には、保護の方は医療費がかからないわけですから、同じ所得だとしてもそれプラス医療費を払わなきゃいけないとか、そういうことを考えたら、当然広げなくちゃいけないわけですよ。だから、自治体は、保護基準の一・三倍とか、そういう基準を設けているんじゃないですか。
このときの、九月の通知のときにQアンドAを出しています。一部負担金の減免基準は、以前より、独自の基準を設けているけれども、今回の通知で示された基準に合わせなければならないのかという自治体からの問いに対して、どう答えるかということで、今言ったように、一・三倍とか、独自の基準を設けている、そういうときに、あくまで技術的助言である、したがって、今回示した基準より狭い場合は、今回示した基準まで対象を拡大していただきたいと考えている、逆に今回示した基準による範囲よりも広い場合は、狭める必要はない、どうぞ自治体で独自の減免制度をやってください、こう言っているわけです。
ただし、減免額の二分の一を特別調整交付金で補填することとしているが、この補填の対象となるのは、今回示した基準に該当するものに限られる。つまり、基準どおりじゃなければ金は出さない。たとえ広げた基準を設けていたとしても、基準どおりのところにしか金は出さないということを厳しく言っているんですよ。
いろいろなことで地方の裁量とか、大臣もよくおっしゃいますけれども、こういうところで国はちゃんとたがをはめているというのが実態なんです。だから、やはりこれは、交付金を支援する範囲をもうちょっと広げるか、あるいは基準を少し緩和するかしなければ大変じゃないですか。どうですか。
○木倉政府参考人 お答え申し上げます。
この減免に対する国の支援措置の経緯、先生から御紹介をいただきましたけれども、やはり、自治体はもともとこの国保法で減免はできる、それに対する支援は国としてはしていなかったんですが、未収金問題、本当に医療機関の方で大変な負担になっておるという中で、何か知恵を出さなきゃいけないということで、検討の場を設けまして、自治体の御意見も聞かせてもらいながら、それから実態も調べさせてもらいながらという中で、当時のものとして、未収金になる原因として、入院が大多数を占めておったというような実態がございましたので、生活保護程度になりながらも、さらに入院になりながらも頑張っていらっしゃるところに対しての何らかの国の支援をということで、ともに考え出していこうということで、まずは、このような対象の方に対して全国の支援制度を始めようということで始めて、二十二年度からスタートを切っておるところでございます。
先生御指摘のような使いやすさについての声も、さらに自治体から聞こえてくるところもありますので、ここら辺は課題としてさらに検討を続けさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。
○高橋(千)委員 今の答弁、入院が大多数だからといって、入院だけに限るというのは、意味が違うじゃないですか。少なくとも、入院の方が救われるというのは大事ですよ。だけれども、通院でも同じくらいかかっている。毎週毎週かかっている。それでも同じくらいかかっているんだったら、それも見てあげればいいじゃないですか。何で、これ、全部満たすというふうな基準なんですか。そういうことを見直してほしいということを言っているんです。
これ、宮城県は、余り御披露するのも恥ずかしい話ですけれども、二〇一一年までは、四十四条の減免というのは何と二件しか実績がありませんでした。ところが、国が八割負担で、二割は自治体でやるならやりなさいというふうなことになった昨年、当然この制度を使わざるを得なかったわけです、そうしたら、何と二十九万九千九百五十八件の実績がありました。これのときは二割を県が持ちましたので、やはりどれだけこの意味が大きいかな。しかし、これがもとに戻っちゃうと、この二十九万、三十万人近い方たちが病院になかなか行かなくなっていくとなると大変だよなということを、やはり本当にイメージしていただきたいなと思っています。
一方、国保の滞納者はふえて、差し押さえもふえています。これは全国的な例です。震災にかかわらず、東北の各市で差し押さえがふえています。聞き取りをいたしました。
青森市、これも私の地元で恥ずかしいですが、全市町村が差し押さえをしている中、断トツの多さで、八百八十四件なんですね。学資保険なども差し押さえをしている。盛岡市は、昨年三百三十件でしたけれども、その前が九十八件だったので、三倍強なんです。仙台市も、百七から二百八十件と倍以上になった。福島市は、六百五十七件から一千七百五件、大変なふえ方なんですね。一関市では、岩手県内で差し押さえ金額トップなんです。その中で、ことし四月には、自宅と店舗が差し押さえられた六十代前半の自営業者が入院中の奥さんを残して自殺に追い込まれる、こういう事件も起こっています。
だから、やはり払いたいとみんな思っているんですよ。少しでも減免制度を生かすことで払えるのに、余りにも高いから払えないでいるうちに、あるいは少しずつ払いたいと言っているうちに、こういう事態が起こっているということなんです。
五月一日の国保新聞によると、差し押さえ額は、全国で千四百八十保険者、七百九十九億円だと。これは、さっき言った一部負担金の免除の実績よりも三倍も多いわけですね。かつ、滞納整理機構を今使っていますから、徴収率は五五・四%。年金の納付率に追いつくくらいの大変な実績です。保険者の収納対策の成果とうたっていますけれども、この成果の陰に広がる深刻な実態をやはりちゃんと見て、払える人は払える、そのために必要な救済制度はちゃんと生かしていく、そういう立場に立つべきだと思いますが、大臣の認識を伺います。
○田村国務大臣 一部負担金の減免制度、これは国の方の基準を緩めよという話でございまして、入院で大体八割未収であるということから、何とかということで、これは基準に入れているわけでありますが、委員からは、そんな入院だけではなくて、通院も入れろというようなお話もあったわけであります。
いずれにいたしましても、この制度がスタートしてまだそんなにたっていないわけでありますので、この一部負担金の減免制度の実施状況というものをしっかりと我々は見ながら、やはり保険者の皆様方の御意見もお聞かせいただかなきゃなりませんので、お聞かせをいただいた上で、検討させていただきたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 一言、要望して終わります。
私、毎回言っているんですけれども、この減免制度というのは、例えば失業とか、所得の急激な減少に対しての制度でございます。だけれども、一旦失業して、減少して、ずっとそれが同じ状態だと対象にはならないんですよね、急激な減少じゃないので。なので、今、それこそ震災で職を失った方たちなどが、もう来年三年目を迎える。これはずっと低所得ということになって、何の対象にもならないということが起こり得るかな、そういうときでもあるんです。
実は、この質問をしたとき、まだ民主党政権でしたけれども、足立政務官が、ぜひそのことは受けとめたいという答弁をしていただいて、本当に検討してほしいということを強く訴えてきたんですけれども、改めて、減免制度がどうしたらうまく働くのかということを検討していただきたい。
そのことを訴えて、終わります。
――資料――
【資料1】東日本大震災における国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の特別措置(窓口負担の免除・保険料の減免)