国会質問

質問日:2023年 2月 21日 第211国会 予算委員会 第7分科会

GX(グリーントランスフォーメーション)と原発、汚染水について

原発 安全より経済か

高橋氏、運転期間延長を批判

衆院予算委分科会

(写真)質問する高橋千鶴子議員=21日、衆院予算委第七分科会

 日本共産党の高橋千鶴子議員は21日の衆院予算委員会分科会で、ALPS処理水(東京電力福島第1原発事故の汚染水)の海洋放出や原発の運転期間60年超の延長などを決めた「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」などについて政府の姿勢をただしました。

 高橋氏は世界の原発の廃炉状況を質問。資源エネルギー庁の松山泰浩電力・ガス事業部長は国際原子力機関(IAEA)調査として、2021年12月時点で「廃炉を決めた原発は199基。平均運転年数は29年」と答えました。高橋氏は「世界では40年もたたずに廃炉にしている」と指摘しました。

 高橋氏は、政府の30年度の総発電量に占める原発比率20~22%という目標達成には「現在の10基から3倍以上の再稼働が必要」になると追及。西村康稔経産相は「30年度目標のみならず、その先を見据えて幅広い選択肢を追求する」と、将来にわたり原発を稼働させると主張しました。高橋氏は「経団連は50年を目指し、原発の延命と規制の柔軟化を求めている。安全性より経済優先だ」と批判しました。

 全国の原発の使用済み核燃料の貯蔵容量は8割に達しています。高橋氏は「すでに美浜原発と浜岡原発は六ケ所村の貯蔵分を加えると管理容量を超えている」と指摘。使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」の撤回を求めました。

(「しんぶん赤旗」2023年2月22日付)

-議事録ー

○高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 西村大臣、今日はよろしくお願いいたします。
 今月十日、政府はGX実現に向けた基本方針を閣議決定しました。三・一一原発事故以来の原発政策転換と各紙が一斉に報じたところです。また、GXと平仄を合わせるように、内閣府の原子力委員会は、五年に一度の原子力利用に関する基本的考え方案を年末に公表しております。その中で、「東電福島第一原発事故によって、我々は制御が利かなくなった原子力の危険性を再認識させられた。十一年超が経過しても避難生活を続けられる方々がいることを踏まえ、福島復興に向けた努力を継続していかなければならない。原子力利用に関係する者は、原子力が人々の生活や人生及び社会に大きな負の影響を及ぼす潜在的な危険性を内包していることを片時も忘れることなく心に留め、」云々と書いています。何度でもかみしめなければなりません。GX基本方針にも「福島復興はエネルギー政策を進める上での原点」とあります。
 そこで、大臣のお言葉で答えていただきたいんです。なぜ福島復興をエネルギー政策の原点と位置づけているのか。安全神話に陥っていたという指摘がありますが、どのように反省、教訓を導こうとしているのか、伺います。

○西村(康)国務大臣 まさに御指摘のように、東京電力福島第一原発の経験、この事故、これは本当に私どもにとってひとときも忘れることなく、その反省と教訓、これに基づいてエネルギー政策を進めていく、もういっときたりとも忘れてはならない、そのことが政府の一貫した方針であるというふうに私自身も認識しております。
 昨年、大臣に就任して以来、私も福島を四度訪問をいたしまして、知事あるいは自治体の首長、また漁業関係者、あるいは中小企業の皆さんなど、様々な方々と意見交換をさせていただいておりますし、時あるごとに、東京に来られたときもお話をさせていただいたり、あるいは、福島の産品の様々なイベントにできる限り私自身も参加をして、福島の復興に向けて全力を尽くして取り組んでいるところであります。
 内堀知事からも、エネルギー政策の原点であるこの福島第一原発の廃炉、そしてALPS処理水の課題も含め、お会いするたびに様々な御意見をいただいております。そうした声、また被災地の皆さんの思いにしっかりと寄り添いながら、いろいろな思いを持っておられると思いますので、そうした声に寄り添いながら、エネルギー政策を進める上で、丁寧に説明をし、理解を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。
 そして、安全性の確保ということにつきましては、規制委員会が独立した立場で、本当に厳しい厳格な規制、これをクリアしないことには原子力発電所は稼働できませんので、そうした大原則をこれからも徹底していくことが重要だというふうに認識をしております。
 安全最優先の考え方、そして、福島第一原発の事故をいっときたりとも忘れることなく、その反省、教訓の上に立って進めていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)分科員 いっときも忘れることなくとお答えをいただきました。それが政策に貫かれているのか、そのことが問われていると思うんです。
 大震災と原発事故から間もなく十二年。この春にも海洋放出がされるといいます。私は、一昨年四月十二日の決算行政監視委員会でこの問題で質問しました。ところが、その翌日に政府は海洋放出の方針を正式決定したのでありました。
 資料のまず二枚目を見ていただきたいんですが、今年一月の関係閣僚会議において、真ん中の今後一年間の取組のところを読みますけれども、農林漁業者等の生産者の皆様に対して説明を尽くす、従来の説明会、意見交換等に加えて、漁業者等を始めとする地元の方々との車座での意見交換等を引き続き実施とあります。私は、率直に言って、こうした取組をなぜ決定する前にできなかったのかと思ったのであります。
 そこで、質問は、一昨年のALPS処理水基本方針決定以降、説明会は約一千回やったと聞いておりますが、今読んだこの車座の対話はどのくらい行ってきたのか、そして、大臣自身はどのように取り組むつもりか、伺います。簡潔にお願いします。

○西村(康)国務大臣 御指摘の説明会、車座でありますけれども、これまで、漁業関係の皆様に約二百回の意見交換会あるいは説明を実施してきております。また、昨年八月末のALPS関係閣僚会議におきまして、漁業者との車座対話を強化する方針をお示しをしておりまして、それ以降、これまでに約二十回実施をしてきております。
 私自身も福島を四度訪れましたけれども、昨年十月には福島県における若手漁業者との車座対話を実施をいたしております。
 また、先般も、先月、ふるさと祭り東京で、福島県、宮城県など東北の被災地の漁連、漁協の方々と一緒に、三陸、常磐もののPRイベント、これは漁業者、漁連の皆様と一緒に行いました。そのときもお話もさせていただきましたし、また、今週末も福島の漁業者と私自身が車座の対話を行うことを予定をしております。
 今後も、こうした車座集会などを行いながら、丁寧に説明を重ねていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)分科員 この点は承知しました。
 実はこれ、去年から何回聞いても、車座対話を何回やったのかと教えていただけないので、大臣がおっしゃったようにお答えいただければよかったのになと思うわけです。
 私自身は、福島では漁業者、森林組合、農協、商工会議所、あるいは宮城では漁協、若手の水産加工業者、岩手、そして青森は大間まで足を運んで漁協などと懇談してきました。海はつながっているということがまず言われることと、やはり被災地でもありますので、復興に水を差す、こうした指摘がございました。
 今月十二日付河北新報では、宮城県官民連携会議の場で村井知事が、宮城で放出に賛成という人は誰もいない、原発事故後の十二年間で東電に不信感を持っている、こういう発言をされたということ、海洋放出以外の方法の検討を求める姿勢に変わりはないと報じられていること、重く受け止めていただきたいと思います。
 それで、資料の三は、処理水を放出するために、約一キロ、海中トンネルを造る、それが今工事中だというところの図面であります。
 それで、次に資料の四なんですけれども、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約、いわゆるロンドン条約が一九七二年に採択をされ、さらに、九六年の議定書では、魚類残渣やしゅんせつ物、下水汚泥など、投棄可能なもののみ条件を満たせば許可をして、残りは禁止となりました。言ってみれば、ネガティブリストからポジティブリストになったということだと思います。
 それで、九六年の議定書第一条四項の「「投棄」とは、」というところの一番目に、「廃棄物その他の物を船舶、航空機又はプラットフォームその他の人工海洋構築物から海洋へ故意に処分すること。」とあります。
 先ほどの、海底トンネルをずっと延ばしてまで放出する、このやり方、人工海洋構築物とはならないのかな、議定書違反ではないのかなというふうに思ったものですから、まず伺います。外務省。

○日下部政府参考人 お答え申し上げます。
 ロンドン条約及びロンドン議定書は、陸上で発生した廃棄物等の船舶、航空機、プラットフォーム、その他人工海洋構築物からの海洋投棄を原則として禁止しているものであり、今般のALPS処理水のような、トンネルを用いた陸からの廃棄物等の海洋への放出は、同条約及び同議定書の投棄には該当せず、規制の対象とはならないところでございます。
 現に、パイプラインやトンネルを用いた原子力施設からの排水が同条約及び同議定書の規制対象となったことはないものと承知しております。

○高橋(千)分科員 納得できないんですね。
 実は、陸上だから対象にならないということは、国会の答弁が何度もあったということは承知をしています。しかし、構造物を出して、わざわざ、海からでは禁止されるから、陸から延ばしていくんだと。でも、同じものじゃないかと思うわけなんですね。そこは納得できないんです。
 原子力委員会が、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないと決定したのは九三年の十一月二日です。第十六回ロンドン条約締約国会議に向けてとありますが、それまでは、低レベル放射性廃棄物は海洋投棄の方針であったはずです。実際に、ドラム缶での低レベル放射性廃棄物の海洋投棄を試験的にやっていたと思います。そのことを確認します。
 また、七二年のロンドン条約の時点で放射性廃棄物は禁止とされていたにもかかわらず、九三年決定まで海洋投棄の方針だったのはなぜでしょうか。

○覺道政府参考人 お答え申し上げます。
 一九七二年に採択されましたロンドン条約では、高レベルの放射性廃棄物その他の高レベルの放射性物質の海洋投棄が禁止されておりましたが、それ以外の放射性廃棄物その他の放射性物質については、一定の条件下では実施は可能となっておりました。
 一九七六年に原子力委員会が決定した「放射性廃棄物対策について」では、低レベル放射性廃棄物の処分方法としては、海洋処分と陸地処分を併せて行うという方針を明記し、御質問いただいたように、関係機関により試験的な海洋投棄の計画を進めることを検討していたものと承知しております。
 しかしながら、一九八五年のロンドン条約締約国協議のモラトリアム決議等を踏まえ、計画は実施されなかったものと認識しております。
 なお、一九九三年には、原子力委員会として、「低レベル放射性廃棄物処分の今後の考え方について」を決定し、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないこととしております。また、その後、ロンドン条約でも、高レベルのものに限らず、放射性廃棄物その他の放射性物質の海洋投棄を禁止しております。

○高橋(千)分科員 一言だけ追加で聞きますので答えていただきたいんですが、確かに、七二年の条約のときは、高レベル放射性廃棄物だけが対象で、低レベルはそうじゃなかったとおっしゃいました。なので、低レベルの投棄を準備をしてきたと。
 だけれども、やはり社会的な問題、当時、決定したとき、九三年のときに、旧ソ連、ロシアの放射性廃棄物の投棄問題があり、また、環境問題に対する世論が高まって、やはり社会的にも判断をせざるを得なかった、そういうことだと思うんですが、よろしいですよね。

○覺道政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、八五年のロンドン条約締約国協議のモラトリアム決議等を踏まえて計画は実施されなかったもの、このように認識してございます。

○高橋(千)分科員 こうした総合的な判断で、私、本当に残念だなと思うんですよ、低レベルだからといって海洋投棄の方針を持っていたということ自体が。だけれども、それをやめると決めた以上は、やはりそこをもっと、そのときの思想を貫くべきだ、このように思うんです。
 資料の五を見てください。一月二十九日付の福島民友の記事ですが、これはイギリスの、皆さんもよく御存じだと思いますが、原子力関連施設の一大集積拠点であるセラフィールドを取材したルポです。
 再処理工場もあった軍需、発電の一大拠点でした。一九五七年、世界初の原子炉重大事故となった火災事故がありました。重大事故を経て、廃炉や研究の長期プロジェクトが進んでおり、今紹介したような、東電福島第一原発と同じように、沖合まで延びるパイプラインを通じて海に処理水を放出しているということです。
 ただし、真ん中の段の、傍線を引いていますように、「私たちが廃炉に立ち向かってきた時間は福島と違う。福島は事故からまだ約十二年だが、ここでは一九五〇年代から続けてきた。」と述べているわけですね。半世紀を超える歴史をたどってきたこと、本当に住民の理解を得るために時間をかけてきたんだということを紹介していると思うんです。
 大臣、こうした経験に学んで、福島においても、更なる話合いの努力と、海洋放出を避ける研究を併せて続けるべきではないでしょうか。

○西村(康)国務大臣 英国のセラフィールドにおける事例の御紹介がございました。一九五七年、もうかなり前でありますが、火災事故が発生し、それ以降、様々な意見交換が行われてきたものというふうに理解をしております。
 このALPS処理水の処分につきましては、まさに福島復興を実現するために、決して先送りすることはできない課題ということで私ども認識をしております。
 その処分方法の決定に当たりましては、専門家が六年以上にわたる検討を行って、海洋放出が現実的な手段であると評価をされたところであります。その上で、繰り返し多くの場で説明や意見交換を実施し、いただいた御意見も踏まえ、二〇二一年四月に、政府として、海洋放出を行う方針を決定したところであります。
 もう多くは繰り返しませんけれども、意見交換も千回以上行ってきておりますし、説明会の場を千回以上行ってきておりますし、また、IAEAも複数回来日し、レビューを行ってくれております。昨年五月には、グロッシーIAEA事務局長は、放出は環境にいかなる害も与えることはないと確信できるとコメントをいただいております。
 本年前半には、その上で、IAEAの海洋放出前のレビューの結論を含む包括報告書が公表される予定でもあります。
 このレビュー以外にも、様々、モニタリングの強化であるとか、そして、風評被害がないよう払拭していくための様々な消費拡大の方策、あるいは漁業者の皆さんに一時買取りのための三百億円の基金、さらに漁業の皆さんの事業継続の支援のための五百億円の基金事業を具体化するなど、これからも安全確保、風評対策に万全を期していきたいと思いますし、繰り返し丁寧に地元の皆様にも説明を重ねていきたいというふうに考えているところであります。

○高橋(千)分科員 ここはもう指摘にとどめますけれども、確かに六年間の議論をしてきた、それは全部追っかけています。ただ、事故の直後に私たちが福島第一原発に行ったときに、海に放出するつもりですと東電はおっしゃいました。やはり方針ありきだったんですよ。放出ありきだった。
 残りの案は、どちらかというと現実不可能なものを議論してきたという経過もあったかと思います。だからこそ、納得いかない、何度も何度も裏切られたという思いを現場の方たちはしていますので、重ねて努力をしていただきたい、このことを訴えたいと思います。
 それで、もう一つ避けては通れない問題として、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の問題です。
 候補地も決まっておらず、文献調査に手挙げしたのは北海道の寿都町と神恵内村の二町村のみです。政府は、最終処分地選定に関する基本方針を八年ぶりに改定すると言います。寿都町の片岡春雄町長は、十日に都内で開かれたシンポジウムで、一日でも早く全国で手が挙がるようにお願いしたいと述べたそうです。
 資料の六にあるように、政府としても、文献調査に参加する自治体を増やすために、国主導で理解促進活動を行うとしています。原発は国策で進めてきたことですから、政府の責任でというのは当たり前なことです。ですが、だからといって、国有地ならいいという意味では絶対ないと思うし、あるいは首長の了解さえ取ればよいとはならないと思う。そこはいかがですか。確認したい。一言でお願いします。

○西村(康)国務大臣 まさに、最終処分地を決める、政府一丸となって、これは政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
 そして、二月十日の最終処分関係閣僚会議でお示しした取組強化策についてでありますが、国有地かどうかにかかわらず、地域の理解を得ながら進めることを大前提に文献調査の実施地域の拡大につなげたいと思いますし、その上で、地域における合意の在り方については、自治体としての判断を尊重することが重要と考えております。
 国としては、地域において丁寧に議論を重ねてまいりたいというふうに考えております。

○高橋(千)分科員 当たり前のことなんだけれども確認をさせていただいたんです。率直に言って、国の焦りも感じます。
 今回、農水省、国交省、厚労省、地方創生担当など、関係省庁を追加していますね。地域活性化の課題や要望に応えるという名目で、候補地と引換えに大きなあめ玉を用意する、こんなことが絶対あってはならない、このことを指摘しておきたいと思います。
 そこで、エネ庁に伺いますが、全国の使用済燃料の管理容量、それに対する貯蔵量、残りはどうなっているか、お答えください。

○松山政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねいただきました全国の原子力発電所等におきます使用済燃料の貯蔵可能量は約二・四万トンでございます。このうち、既に貯蔵されている使用済燃料が約一・九万トンございまして、残りの貯蔵可能容量は約五千トンであると承知しております。

○高橋(千)分科員 かなり端数を切ってお答えをいただいたんですが、そういうことにしておきましょう。
 それで、六ケ所にある使用済燃料貯蔵センターは現在二千九百七十トンあるわけですが、再処理されない、つまり約束が履行されない場合は元の原発に返還することになっています。
 私の手元の資料で申し訳ないんですが、美浜原発は、管理容量が六百二十トンに対して現在四百八十トン、残り百四十トンですが、既に六ケ所村では百六十トン貯蔵しています。つまり、オーバーしているということです。浜岡原発も、千三百トンのキャパに対して千百三十、六ケ所は二百四十六トン貯蔵していますので、ここも完全に超えております。
 各原発でもサイト内に乾式貯蔵の計画などで動いているのは承知していますが、どこかが引き受けてくれる、あるいは、当面は考えなくてもいいやと原発を動かしてきた、まさにトイレなきマンション、この現実を見るべきだと思います。
 福井県の知事は、原発を引き受けるけれども貯蔵は引き受けない、どこか県外に持っていってくれと、もうオーバーしているにもかかわらずこういうことを言っている。本当に虫のいい話だと思います。
 私は、使用済燃料は各サイトで責任を持って処分する、つまりサイクルは断念すべきだ、このように思いますが、いかがですか。

○西村(康)国務大臣 政府といたしましては、高レベル放射性廃棄物の減容化、それから有害度の低減、資源の有効利用の観点から、核燃料サイクルを推進していくことが基本方針であります。
 こうした観点から、六ケ所の再処理工場につきましては、日本原燃が二〇二四年度上期のできるだけ早期の竣工に向けて安全審査等の対応を着実に進めるということにしております。また、使用済燃料の貯蔵能力の拡大につきましても、原子力事業者が使用済燃料対策推進計画に基づき取組を進めているところであります。
 さらに、再処理によって回収されるプルトニウム等を有効に利用するプルサーマルについては、電事連が二〇三〇年までに少なくとも十二基でプルサーマルを実施することを目指しているところであります。
 中間貯蔵、使用済燃料の貯蔵能力の拡大につきましては、約六千トン分の貯蔵能力の拡大に向けて取組を進めております。二〇二〇年九月に四国電力伊方発電所、あるいは二〇二一年四月に九州電力玄海発電所の乾式貯蔵施設が原子力規制委員会の安全審査に合格しておりますし、また、東京電力と日本原電が設立いたしましたリサイクル燃料貯蔵のむつ中間貯蔵施設につきましても、二〇二〇年十一月に原子力規制委員会の安全審査に合格しておりますので、現在、約四千六百トン相当の貯蔵容量拡大に向けて既に具体的な取組が進展しているということでございます。
 いずれにしましても、関係者の理解確保などに国としても前面に立って、乾式貯蔵あるいは中間貯蔵など使用済燃料の貯蔵能力の拡大に主体的に取り組んでいきたいと考えておりますし、国民の皆様の様々な不安にもしっかりとお応えしていきたいというふうに考えております。

○高橋(千)分科員 その中間貯蔵というのがまさに矛盾の、要するに受皿が今ないものだから取りあえず置いておく、それが矛盾を更に拡大させているわけであります。
 私も、一昨年だったと思いますが、寿都町に行って町長さんにもお会いして、そして住民の皆さんの声を伝えたわけですが、確かに、核のごみは絶対に誰かがどこかで処分をしなければならない、引き受けなければならない、だからこそ、これ以上増やすことはやめるべきだ、そうでなければ矛盾が拡大するだけだということを重ねて指摘をしたいと思うんですね。
 こうした中で、既に多くの議員が取り上げておりますが、GX方針で、原発再稼働や六十年超の延命、建て替えという名の新設を決めたことは承服できません。まして、原発事故を契機に原子炉等規制法を改正して、原則四十年と書いたものを削除し、電気事業法に移す、年数については利用の観点だからと分けたことは納得がいきません。
 そこで伺いますが、世界で廃炉になった原発の数と平均稼働年数、同じく国内ではどうか、お伺いします。どんな理由で廃炉を選択しているのか、伺います。簡単にお願いします。

○松山政府参考人 お答え申し上げます。
 IAEAのデータベースでございますパワー・リアクター・インフォメーション・システム等の中での統計によりますと、二〇二一年十二月末時点におきまして、世界で廃止を決定済みの原子炉は百九十九基ございます。その平均の運転した年数について申し上げますと、約二十九年となってございます。
 また、日本国内で廃止を決定済みの原子炉は二十四基ございます。その平均運転年数は約三十七年となってございます。
 なお、お尋ねの、廃止の際の理由でございますけれども、なかなか一概に言うのは難しいところでございます。実は、IAEAの報告書によりますと、四十年を超えた運転の基数も現在で百十六基あるところでございまして、運転の実際の実働の年数自体も結構ばらばら、多様なところがございます。
 廃止の決定というのは、それぞれの発電所を取り巻く多様な事情を踏まえながら各社の経営判断で決められることになりますものですから、一概に理由をお答えするのは困難であると存じます。

○高橋(千)分科員 実際には、六十年どころか、四十年たたずに廃炉しているのが圧倒的だと思います。もちろん、その理由は様々だというお話があったわけですが。
 GXの基本方針案に対するパブコメの中でこのような意見がありました。運転期間を延長するより、期限が来たら、新しい技術による建て替えや新設をする方が安全で、かつ新しい技術の取り入れが進むというもの。真っ当な意見だと思うんですね。経営的に見ても本来そうなんじゃないかと思うんです。だけれども、答弁が、電力の安定供給及び二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現云々ということで、ああ、なるほどなと思ったんです。
 平たく言えば、エネルギー基本計画に基づいて原発二〇%から二二%を達成するには、現在再稼働が十基、これを三倍にしないと達成できません。二〇三〇年までということなら、新設、ましてや革新炉などを整備するというのは全く間に合わないという単純な理由だと思いますが、いかがですか。

○西村(康)国務大臣 まず、原子力比率、二〇三〇年度二〇から二二%、これにつきましては、原子力規制委員会の審査を経て、既存の原発の安全性を確認した上で再稼働していくこと、また、震災前の平均七割の稼働率を、八割程度まで設備利用率を向上させること、また、法令で認められております四十年を超える運転期間延長を行うことによって達成可能な水準と考えております。
 このため、再稼働に向けた関係者の総力を結集していくための具体的な取組、細かくは申し上げませんが、国がしっかりと支援していくこと、また、双方向のコミュニケーション、安全マネジメントの改革、審査対応に向けた産業界全体での連携強化など、GX実現に向けた基本方針を取りまとめたところでありまして、速やかに実行していきたいと思っております。
 なお、運転期間の在り方につきましては、二〇三〇年の原子力比率二〇から二二%の目標に向けてのみならず、更にその先を見据えて、将来の選択肢を狭めることなく、幅広い選択肢を追求していく中で、将来の安定供給に対するリスクへの対応力を高める観点から議論を行っております。
 いずれにしましても、安全性の確保が大前提でありますので、原子力規制委員会では、高経年化に伴う設備の安全性に関して、より厳格な安全規制を導入する方針を定めるものと聞いております。こうした厳格な規制をクリアしない限り、利用政策、事業者側が幾ら長く運転したいと思っても、それは認めることはありませんので、安全性第一ということで取り組んでいきたいというふうに考えております。

○高橋(千)分科員 今、その先というお話がありました。やはり、原発依存を減らしていくというのが与党の方針でもあったはずですけれども、その先を今言っているわけなんですよ。
 つまり、経団連などは、昨年五月のグリーントランスフォーメーションに向けての提言の中で、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目がけて、やはり原発を更に増やしていく、運転期間六十年への円滑化は必要だ、延長もしなさい、そのためには規制を合理化しなさい、こういうふうに言っているわけですよね。規制がやはり時間がかかるから、その分節約しなさい、カウントしないというのもそうした中から出てきたんだと思うんですね。そうすると、幾ら安全を第一にと言っても、その言葉が単なる枕言葉になってしまうわけなんです。
 今日は本当は再エネの話もしたかったんですが、時間の関係で、もう言い切りにしたいと思うんですが、残念ながら、原子力委員会の基本的考え方も、やはり、今再稼働が十基にとどまっている、経団連と同じ書き方になっているのはすごく残念に思います。
 大臣自身が、震災があった二〇一一年の、直後の復興特別委員会で、今のままでは、やはり原発製造を担うのは日本のプラントメーカーですから、輸出ができなくなるじゃないか、再稼働は急がれるという質問をしておりましたね。そういう経済優先がやはり先に出ちゃうんですよ、安全優先といいながら。そのことが問われるんじゃないか、このように思います。
 残念ながら、もう少し質問したかったんですが、ここで時間になったので、引き続き、またお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 

2023年2月21日 衆議院予算委員会第7分科会 提出資料

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