国会質問

質問日:2022年 11月 17日 第210国会 地方創生に関する特別委員会

情報取り扱いに懸念

高橋氏がマイナカード批判

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=17日、衆院地方創生特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院地方創生特別委員会で、マイナンバーカードの普及に利便性ばかりを強調する政府に対し、情報の取り扱いで国民に不利益が生じる懸念に応える必要があると批判しました。

 政府は、同カードが安心安全なデジタル社会のパスポートになると掲げています。高橋氏は、政府が来年度に新設する「デジタル田園都市国家構想交付金」の申請条件にカード普及率が全国平均を上回らないといけないものや、交付金採択に普及率を勘案するものがあるとして、普及率向上に自治体同士で競わせていると指摘。100%にいくためには行政がカメラやパソコンを備えた専用の車で個別訪問せざるを得ないという自治体の声を紹介し、「そこまでして取得させようとしているのか」とただしました。

 岡田直樹デジタル田園都市国家構想担当相は、「カードはあくまで国民の申請にもとづき交付されるもの。すすんで申請するようメリットの拡大を進めたい」と述べました。

 高橋氏は、デジタル庁のワーキンググループで有識者から▽本人の望まない形で他の目的に利用しない担保が必要▽知らないうちに行政等に監視・不利益に利用されないことが重要―との意見が出ていると指摘。「本人同意があれば大丈夫」とはいえないと強調しました。

(「しんぶん赤旗」2022年11月24日付)

-議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 先月、一斉に、デジタル田園都市国家構想交付金の申請に際してマイナンバーカードの普及率を条件とするという報道が出ました。全国平均を下回る自治体は申請がそもそもできない交付金があるとも聞きました。
 資料の1を見ていただきたいんですが、十月末現在で、全国の交付枚数は、六千四百三十八万四千八百三十三枚、五一・一%にとどまっております。
 私の地元東北六県とも全て下回っておりますし、下に一覧表をつけておきましたけれども、赤い目印がつけてあるように、単純に見ると、四十七都道府県のうち二十位の鳥取県までしか平均を上回っていないという状況であります。国を挙げて取り組む施策であるならば、極めて筋が悪い、こう思います。
 二枚目に、同交付金の予算について、新設される交付金についての資料をつけてありますので、マイナンバーカードの普及率をデジタル田園都市国家構想交付金申請の条件にしたのはなぜなのか、伺います。

○布施田英生政府参考人 お答えいたします。
 マイナンバーカードの普及促進は、デジタル庁を中心に、政府全体で取組を進めているところでございます。マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会の基盤であり、その普及が進んだ自治体においては、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた取組をより一層強力に展開できると考えられることから、マイナンバーカードの普及促進は、デジタル田園都市国家構想の実現においても重要と考えております。
 このため、現在、デジタル化に関する交付金の事業内容に応じた対応を検討しておりまして、交付金の対象の一部の、全国的なモデルケースとなるようなデジタルを活用した先進的な取組につきましては、現状交付率全国平均以上かつ全住民への交付を目標として掲げていることを申請条件とすることを検討しております。
 一方で、他の地域で既に確立されているデジタル活用の優良モデルを横展開する取組などについては、交付金の採択に当たって、交付率は勘案事項として、交付率にかかわらず申請可能とする、また、デジタル実装のための計画策定、開発、実証などを主内容としない従来の地方創生の取組については、交付率は考慮しないことを検討しております。

○高橋(千)委員 ちょっと今、確認させていただきますね。
 三つのレベルを言ったと思います。従来の地方創生については勘案をしない、普及率は見ないということを、申請できるということだったと思うんですが、問題は、一つ目は、先導的な取組については、全国平均を上回っていなければ申請できないということだったと思う。ただし、それに併せて、全住民への交付という言葉がありました。つまり、普及率は平均以上だけれども、マイナンバーカードが全部に、全住民が持っていなきゃいけないという意味に聞こえますが、どういう意味かと。
 それから、二つ目に、そういう先導的な取組をモデルケースとして我が町でも取り組むというところは、勘案するという表現だったと思うんですね。つまり、申請はできるけれども、限りがあるので、全部、やはり普及率が順位になる、採択の目安になるんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

○布施田政府参考人 お答えいたします。
 まず一点目の、先進的な取組を目指す自治体に関しましては、申請条件として、現状交付率全国平均以上かつ全住民の交付を目標とする、全住民へマイナンバーカードの交付をしていくということを目標として掲げていることを申請条件としてございます。
 二つ目の、ほかの地域で確立している優良モデルを横展開する取組につきましては、交付金の採択に当たりまして、マイナンバーの交付率を勘案事項といたします。普及がより進んでいるところを加点要素として考慮するということでございます。

○高橋(千)委員 いずれにしても、普及率というのが決定的だということになると思います。
 今年六月七日に閣議決定されておりますが、デジタル田園都市国家構想基本方針によれば、デジタルは地方の社会課題を解決するための鍵という表現をされておりますし、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートとも言われているわけですよね。
 そこで、大臣に伺いますが、もうマイナンバーカードなくして地方行政も回らなくなる、そういう認識なんでしょうか。任意と言っているけれども、結局は一〇〇%を目指していく、そういうことなんでしょうか。

○岡田直樹大臣 お答え申し上げます。
 マイナンバーカード自体につきましては私の所管外ではございますが、あえて御答弁を申し上げます。
 政府としては、マイナンバーカードは、対面に加えてオンラインでも確実な本人確認ができる安全、安心なデジタル社会の、先ほどおっしゃいましたパスポートであり、政府全体として、令和四年度末までにほぼ全ての国民に取得いただくという目標を掲げているところであります。
 マイナンバーカードは、あくまで国民の申請に基づき交付されるものであり、国民が進んで申請し、保有いただけるようにメリットの拡大を進めていくことが私は重要であるというふうに考えております。
 また、マイナンバーカードの普及のためには、自治体による出張申請など、自治体の御協力をいただきながら、マイナンバーカードを取得しやすい環境を整えていくことも重要と認識しております。
 政府全体として、令和四年度末までにほぼ全ての国民に取得いただくという目標に向けて、引き続き、御理解をいただきながら、マイナンバーカードの普及に取り組んでいくというのが政府の方針でございます。

○高橋(千)委員 分かりました。
 国民の申請に基づき、あくまでとおっしゃいましたので、あくまでも任意であることは変わりはないと思うんですね。ただ、政府としては目標に掲げている。やはり、メリットばかりを強調しますが、メリットがあるということは必ずデメリットもあるわけであって、メリットだけで必須である、絶対必要だという理屈にはならないということで指摘をしておきたいと思います。
 全国の自治体が競い合って頑張れば、ますますハードルが上がるわけです。
 資料の3を見ていただきたい。これは十月十六日付の岩手日報です。二段目の真ん中ら辺を読みますけれども、「六三・四%と県内で最も取得率が高い葛巻町は休日にも役場で申請を受け付け、きめ細かくPRを続けてきた。約百五十人の町職員もほぼ全員が取得。ただ高齢化も進む中で、さらに高めるのは容易でなく、鈴木重男町長は「国からさらなる支援がなければ交付率一〇〇%の達成は難しい。カメラやパソコンを備えた専用車による戸別訪問などが必要になる」」、このようにおっしゃっています。
 デジタル庁に聞きますが、国はそこまでして一〇〇%の普及を目指すんでしょうか。この専用車という言葉が、びっくりしたんですけれども、ただ、これはデジタル庁の中でも、実際こういう考え方というのはもう既にされているのではないかと。例えば、普及が、やったとしても、スマホを持っていない、いわゆるガラケーしかない人たち、そういう人たちが、じゃ、実際マイナポータルにつながることさえできないじゃないか、そういう議論だってあるわけですよね。伺いたいと思います。

○内山博之政府参考人 お答えいたします。
 先ほど岡田大臣からもお答えしましたとおり、マイナンバーカードは、対面に加えオンラインでも確実な本人確認ができる安全、安心なデジタル社会のパスポートであるということで、この普及に努めてきているところでございます。
 そういう意味では、カードの普及については、先ほど委員から御指摘もありましたように、いろいろなメリットを実感していただけるように、そうした取組も企画しておりますし、さらには、こうしたメリットの拡大等に加えまして、いろいろな自治体の御協力をいただきながら取得しやすい環境を整えているところでございまして、令和四年までにほぼ全ての国民に取得していただくという目標に向けて、引き続きこの普及に取り組んでいきたいと思っております。

○高橋(千)委員 具体的にやり取りしているのに、ちょっと抽象的な答弁だったと思います。
 時間の関係で、ちょっと進みます。
 今の記事の下の段にもあるように、保険証を二年後に廃止という、事実上義務化をするということも、いやが応にもマイナンバーカードを作らざるを得ない状況を生み出そうという考えではないかと思うんですね。
 保険証を二年後に廃止と打ち出しましたが、マイナンバーカードは、さっきから言っているように任意なわけです。これを持たない人の受診する権利はどう守るのか、厚労省に伺います。

○伊佐進一副大臣 高橋委員おっしゃるとおりで、保険料を納めている方が保険診療を受けられるということは当然のことだというふうに思っております。そういう意味では、受診する権利はしっかりと保障したいというふうに思っております。
 その上で、例えば紛失、あるいは何らかの事情で手元にマイナンバーカードがないような方々に対して、いろいろな、様々な例外的なケースが考えられるというふうに思いますので、それぞれに対応してどういった細部の対応をするのかということについては、今、関係省庁で検討会を設置させていただいておりまして、この中で国民の皆さんの声をしっかりと踏まえて丁寧な検討を進めて、令和六年秋に向けて円滑に移行できるように環境整備を行ってまいりたいというふうに思っております。

○高橋(千)委員 結局、まだ検討の段階なわけですよね。ということは、原則廃止を目指すと言っていたことが、廃止とまで言ってしまったのは、やはり早まったのではないかと。まして、この二年で決着をつけるというのは乱暴な議論ではないか、ここはちょっと指摘しておきたいと思うんです。
 これは、突き詰めていけば、マイナ保険証も、将来的には、自ら届出しなくても資格確認や変更ができるようになっていくんじゃないか、このことを少し考えたわけなんですね。
 それで、資料の4を見ていただきたいと思います。マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループの第一回の資料です。これは昨年十月二十二日に開催されております。
 このときに、これまでとこれからが書いてあるんですけれども、住民サービスを受けるためには、先ほど来議論しているように、申請書類と証明書類が必要です。それが、赤字のところになりますが、利用可能なサービスがお知らせされ、意思表示を通じて簡単にサービス利用が可能になると。ポンチ絵にもあるんですけれども、民間アプリやポータルも行政サービス利用手続のフロントエンドとして利用できるようになると。
 つまり、これから先は、スマホでぽちっと通販を申し込んでしまうような気楽さで行政サービスも提供できる、こういうのを描いているということでしょうか。

○山本和徳政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘いただきましたように、このデジタル庁のワーキンググループの資料でもございますように、このような形での行政サービスの御利用が可能となれば、住民の利便性の向上に資するものと認識をしております。このような取組につきましては、例えば、現時点におきましても、自治体内で有している情報を連携することによりまして、子育て支援の給付金事業をプッシュ型に近い形で実現している事例があると承知しております。
 このサービスの利用に当たっても、委員御指摘がありましたとおり、住民の方の利用の意思表示があってサービスを利用するということでございますけれども、この行政サービスについては、さらに、行政手続時の入力を最小限にするため、あらかじめ申請内容を表示する、住所等があらかじめ表示されるような機能でありますとか、関連する手続などを推奨したりするプッシュ機能等を備えた行政サービス、こういったものが提供されることによりまして、住民の皆様にとって利便性の高いデジタルサービス、こういったものを実現を目指してまいりたいと考えてございます。

○高橋(千)委員 残念ながら時間が来てしまって、今日。
 やはり、利便性を強調されますけれども、その裏がどうなのかということはきちんと見ていかなきゃならないと思うんです。
 資料の最後に、第三回ワーキンググループでの御指摘というまとめがありますけれども、本人の望まない形でほかの目的に利用されないことを担保するアーキテクチャーが必要だとか、知らないうちに行政等に監視、不利益に利用されないようにすることが重要と、有識者会議の中でも指摘がされているんですね。そういう仕組み、設計になっているのか。全てはオプトイン、本人同意取れているからいいよ、それでどこまで進んでしまうのかということは、やはり非常に重要な問題だと思います。これはまた次の機会に質問したいと思います。
 ありがとうございました。

2022年11月17日 衆議院地方創生特別委員会 提出資料

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