国会質問

質問日:2022年 11月 21日 第210国会 本会議

最大の処方箋は賃上げ

第2次補正予算案審議入り 高橋議員迫る

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=21日、衆院本会議

 第2次補正予算案は電気代やガス料金の値上げ対策など、総額約28兆9200億円ですが、物価高騰や異常円安に対応するものになっていません。

 高橋氏は「異常な円安と物価高騰に対する最大の処方箋は賃上げ」と主張。公定価格や報酬で水準を決めている介護、障害、保育などのケア労働者の賃金を、全産業平均まで引き上げることや、国や自治体の非正規労働者の時給を1500円以上に引き上げることを求めました。

 高橋氏は「大事なことは国民の懐をあたため、内需の充実で実体経済を立て直していくことだ」と強調。「最大の決め手は、物価全体を押し下げる消費税減税だ」と岸田首相に迫りました。

 高橋氏は「食料自給率が38%、エネルギー自給率が12・1%と、危機の時にもろいのが今の日本だ」と指摘。食料自給率引き上げの目標を持ち、国産化を進め、当面は高騰部分をカバーし、生産費を償える制度の拡充が必要だと主張しました。

 政府が重点とする電気代、ガス料金の値上げ対策は、供給側への補助によって値下げにつなげようとするものです。高橋氏は、「電力会社が相次いで値上げを発表しているなか、補助の効果も、出口も見えなくなるのではないか」と指摘しました。

 岸田首相は「支援策による値下げの効果を実感できるよう、毎月の請求書や検針票で、値下げの単価等をわかりやすく記載する」と答えました。

高橋氏「総辞職に値」

衆院本会議で各党から批判

 岸田文雄首相が葉梨康弘前法相や寺田稔前総務相らを事実上、更迭させたことをめぐり、日本共産党の高橋千鶴子議員は21日の衆院本会議で首相の任命責任を追及しました。

 高橋氏は、「政治資金と選挙に関し違法行為を行っていた」のが寺田氏であり、葉梨氏は「人権、命の尊厳に関わる法務大臣が死刑を軽々しく話題にした」と指摘。「ひと月で3人もの閣僚が辞任に追い込まれたことは、内閣総辞職に値する」と主張しました。

 各党からは「膨大な審議時間が寺田大臣の疑惑解明に割かれ、葉梨法務相の更迭の判断も遅れた」(立憲民主党)、「総理の任命責任について『丁寧な説明』をまだ聞いていない」(国民民主党)などの批判が相次ぎました。一方、日本維新の会は大臣辞任について全く言及しませんでした。

2022年度第2次補正予算案

高橋議員の質問(要旨)

衆院本会議

 日本共産党の高橋千鶴子議員が21日の衆院本会議で行った、2022年度第2次補正予算案に対する質問(要旨)は以下の通りです。


 異常な円安と物価高騰に対する最大の処方箋は賃上げです。最低賃金全国一律1500円は待ったなしです。

 特に国の決断でできることとして、公定価格や報酬で水準を決めている介護、障害、保育などのケア労働者の賃金を、全産業平均まで引き上げること。さらに国や自治体の非正規労働者の時給を1500円以上に引き上げるべきです。

 公的年金への国の責任を棚上げするのではなく、今こそ物価に応じて年金を上げ、暮らせる安心の年金をめざすべきです。

 大事なことは、国民の懐をあたため、内需の充実で実体経済を立て直していくことです。最大の決め手は物価全体を押し下げる消費税減税です。

 食料自給率が38%、エネルギー自給率は12・1%と、危機の時にもろいのが今の日本です。経済対策では、飼料・肥料・穀物などの国産化の推進を掲げていますが、食料自給率引き上げの目標を示してください。当面は高騰部分をカバーし、生産費を償える制度の拡充が必要です。

 電気代、ガス料金の値上げ対策は、供給側への補助によって値下げにつなげようというものです。電力会社が相次いで値上げを発表し、補助の効果も出口も見えなくなるのではありませんか。

 エネルギー源のほとんどは、輸入による化石燃料に依存しています。100%自給でクリーンな地域発の再エネに思い切ってシフトすべきです。

 総理は、原発の再稼働、延命、新増設を打ち出しました。未来に責任を持てない原発推進路線からきっぱり決別してこそ、気候危機の待ったなしの課題に責任を果たせます。

 補正予算案で、子ども食堂やフードバンクなどNPOに対する支援が拡充されたことは大事ですが、そこにつながる人はごく一部です。むしろ国は、支援団体の相談活動などを通して明らかになった課題に向き合うときです。学校給食無料化、医療費無料化、児童扶養手当の拡充など、抜本的な制度見直しこそ待たれています。

 総理はバイデン大統領に「防衛力の抜本的な強化」「防衛費の相当な増額」を表明しました。国民に痛みだけ押し付ける大軍拡・大増税は、到底認められません。今こそ、対話の平和外交努力で、憲法9条を持つ国、唯一の被爆国としての役割を果たすべきです。

( 「しんぶん赤旗」2022年11月22日付)

 

ー議事録ー

○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、二〇二二年度第二次補正予算案について質問します。(拍手)
 昨夜、岸田総理は、寺田総務大臣を更迭しました。政治資金と選挙に関し違法行為を行っていた人物を、それを所管する大臣に任命するなど、あり得ません。また、人権、命の尊厳に関わる法務大臣が死刑を軽々しく話題にするなど、絶対に許されません。総理の任命責任は重大です。一月で三人もの閣僚が辞任に追い込まれたということは、内閣総辞職に値するのではありませんか。お答えください。
 統一協会の問題も、疑惑は深まるばかりです。集会出席や挨拶だけでなく、選挙に際し政策協定に署名をしていた問題、関連団体が運営するセネガルの学校にODA予算が供与されていたなど、政治と行政に深く関与していたことが判明しています。統一協会と政府・自民党との関係を徹底調査するべきではありませんか。
 異常な円安と物価高騰に対する最大の処方箋が賃上げであることは論をまちません。総理は構造的な賃上げを強調しますが、成長分野への労働移動に重点化するだけです。一方、コロナ禍で雇用維持のために活用された雇用調整助成金は段階的に縮小していくのですから、逆に格差を拡大するのではありませんか。
 最低賃金全国一律千五百円は待ったなしです。賃上げしたくてもできない中小企業等には、社会保険料の減免など、直接支援すべきです。特に国の決断でできることとして、公定価格や報酬で水準を決めている介護、障害、保育などのケア労働者の賃金を全産業平均まで引き上げること、さらに、国や自治体の非正規労働者の時給を千五百円以上に引き上げるべきではありませんか。
 政府は、公的年金を補完する個人版確定拠出年金を拡充し、老後の資金を自己責任の投資へ誘導しようとしています。公的年金への国の責任を棚上げするのではなく、今こそ物価に応じて年金を上げ、暮らせる安心の年金制度を目指すべきではありませんか。
 大事なことは、国民の懐を暖め、内需の充実で実体経済を立て直していくことです。最大の決め手は、物価全体を押し下げる消費税減税です。フリーランスや零細な免税業者まで増税になるインボイス制度もやめるべきです。答弁を求めます。
 食料自給率が三八%、エネルギー自給率は一二・一%と、危機のときにもろいのが今の日本です。経済対策では、飼料、肥料、穀物などの国産化の推進を掲げていますが、食料自給率引上げの目標を示してください。目標を持って国産化を目指しつつ、当面は高騰部分をカバーし、生産費を償える制度の拡充が必要と考えますが、見解を伺います。
 政府が重点とする電気代、ガス料金の値上げ対策は、利用者ではなく供給側への補助によって値下げにつなげようというものです。電力会社が相次いで値上げを発表している中、補助の効果も、出口も見えなくなるのではありませんか。
 エネルギー源のほとんどは、輸入による化石燃料に依存しています。一〇〇%自給でクリーンな地域発の再エネに思い切ってシフトすべきです。
 一方、総理は、原発の再稼働、延命、新増設を打ち出しました。東電福島第一原発事故から十一年、高線量の燃料デブリの処理など、廃炉の最終の姿は決まっていません。高レベル放射性廃棄物の最終処分地も依然として決まっていないのです。未来に責任の持てない原発推進路線からきっぱり決別してこそ、気候危機の待ったなしの課題に責任を果たせるのではないでしょうか。
 今般、原発事故被災者への損害賠償について、中間指針の見直しがようやく始まりました。ふるさとと当たり前の日常、なりわいが一瞬で奪われた被災者の苦しみに心寄せ、同じことを二度と起こさないためには、原発ゼロの決断しかありません。
 子育て支援策が目玉の一つとなっています。
 青森県母子寡婦福祉連合会が母子家庭を対象に行ったコロナ禍の影響調査で、三人に一人は収入が減った、なくなったと答えています。朝四時から深夜零時までトリプルワークで働いている母親もいます。自分がコロナになったらどうするか、不安でたまらないと多くの母親が訴えています。
 補正予算案で子供食堂やフードバンクなどNPOに対する支援が拡充されたことは大事ですが、そこにつながる人はごく一部です。NPO法人全国こども食堂支援センターが行った全国調査でも、利用者は増えていますが、本当に必要な人に支援が届いているのかと悩む声が六割から上がっています。
 むしろ、国は、支援団体の相談活動などを通して明らかになった課題に向き合うときではありませんか。学校給食無料化、医療費無料化、児童扶養手当の拡充など、根本的な制度見直しこそ待たれています。シングルマザーは、仕事と子育てに追われながら、資格を取って安定した仕事に就きたいと強く望んでいます。職業訓練から就職まで切れ目のない支援こそ、しっかりと行うべきです。
 最後に、岸田総理は、バイデン米大統領に、防衛力の抜本的な強化と防衛費の相当な増額を表明しました。防衛費をGDPの二%、五年間で実質倍増とし、文科省などの研究開発予算や、港湾、空港など公共事業予算を軍事に組み込む検討を始めています。有識者会議では、財源に新たな増税が取り沙汰されています。国民に痛みだけ押しつける大軍拡、大増税は、到底認められません。
 国を守るためには全てを我慢せよとされた、かつての戦時体制に戻りつつある気がします。今こそ、対話の平和外交努力で、憲法九条を持つ国、唯一の被爆国としての役割を果たすべきです。
 以上述べて、質問を終わります。(拍手)

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 高橋千鶴子議員の御質問にお答えいたします。
 閣僚の任命責任についてお尋ねがありました。
 先々週、葉梨大臣から、政権として様々な懸案を抱える中、軽率な発言によって今後の補正予算や重要法案の審議に迷惑をかけたくない、身を引きたいと辞任の申出がありました。
 また、昨日、寺田大臣から、補正予算、被害者救済新法など重要課題処理の最終段階を迎えているときに、自らの政治資金に関する質疑が続くことで悪影響を与えたくないと辞任の申出がありました。
 総理大臣として、補正予算審議、被害者救済新法、コロナ対応、当初予算編成等の重要課題に答えを一つ一つ出すことを最優先とし、それぞれの辞任を認めることといたしました。
 国会開会中に大臣が辞任する事態となったことは誠に遺憾であり、私自身、任命責任を強く受け止めております。政策に遅滞が生じないよう、政府一丸となって、国政の運営にしっかりと取り組むことで職責を果たしてまいります。
 旧統一教会との関係の調査についてお尋ねがありました。
 閣僚を含む多くの議員が、社会的に問題がある旧統一教会、その関連団体と接点を有していたことが明らかになり、国民の皆様の政治への信頼を傷つけたことを率直におわびいたします。
 私の内閣における閣僚等については、その任命時において、自ら当該団体との関係を精査し説明責任を果たすこと、そして今後は当該団体との関係を絶つことを指示し、それを前提に職務に当たらせているところです。
 また、自民党においては、各議員それぞれが、旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合は、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底することを方針としています。
 大切なことは、未来に向かって関係を絶つということであります。自民党においては、旧統一教会及び関連団体と一切関係を持たない方針であることを踏まえ、ガバナンスコードを改定し、対応方針について党所属全国会議員及び全国都道府県連に対して通知をしたところであり、これを徹底してまいります。
 構造的な賃上げ等についてお尋ねがありました。
 構造的な賃上げとは、賃上げが高いスキルの人材を引きつけ、企業の生産性を向上させ、更に賃上げを生むという好循環を実現するものであり、国民全体に恩恵が及ぶものであると考えています。
 その実現に向けた環境整備として、人への投資の政策パッケージを五年で一兆円に拡充することといたしました。
 こうした取組に併せて、新型コロナ対策の雇用調整助成金の特例措置については、構造的な賃上げにつながるリスキリングと労働移動の円滑化を実現する観点も踏まえ、業況の厳しい企業には配慮しつつ段階的に縮減することといたしました。
 引き続き、賃上げ、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革により、構造的な賃上げの実現を目指してまいります。
 最低賃金等についてお尋ねがありました。
 最低賃金については、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指し、生産性向上の支援や価格転嫁の実現など、中小企業が賃上げしやすい環境整備に総合的に取り組んでまいります。なお、その際、社会保険料の減免は、被保険者と事業主の支え合いの精神に基づき保険料負担が労使折半とされていることから、これは慎重な検討が必要であると考えております。
 また、介護、障害福祉、保育職員等の処遇改善については、給与を恒久的に三%程度引き上げるための措置を講じたところです。今後も、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、見える化を行いながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進めてまいります。
 国の非常勤職員の給与については、常勤の職員や民間との均衡を考慮し、改善してきたところです。また、地方自治体についても、処遇の適正化に取り組んできたところであり、今後とも適切に対応してまいります。
 公的年金制度についてお尋ねがありました。
 公的年金制度については、前年の物価等の変動に応じて年金額を改定することを基本としながら、将来世代の負担が過重にならないようにしつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保し、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、今後とも、この仕組みの下で、年金を着実に支給してまいります。
 消費税、インボイス制度についてお尋ねがありました。
 消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、これをあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられています。このような消費税は、社会保障制度を支える重要な財源であるため、減税は考えておりません。
 また、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。免税事業者を始めとした事業者の取引について、取引環境の整備に取り組むとともに、今般の総合経済対策においても、IT導入補助金の補助対象の拡大など、インボイス対応のための支援策の充実を盛り込んでおり、引き続き、政府一体で連携して、制度の円滑な移行に向けて万全の対応を図ってまいります。
 食料自給率目標と生産費の高騰への支援についてお尋ねがありました。
 現行の食料・農業・農村基本計画では、令和十二年度に、カロリーベースで四五%、生産額ベースで七五%とする食料自給率目標を掲げており、現下のウクライナ情勢や円安の影響等を踏まえ、海外に依存する農産物や肥料、飼料の国産化を強力に推進し、食料安全保障を確保してまいります。
 また、足下の燃油や肥料、飼料の高騰に対しては、これまで累次の機動的な対応を実施しており、今般の総合経済対策においても、配合飼料価格安定制度の積み増しや、施設園芸等の燃油価格高騰対策の拡充により、生産者への影響を緩和してまいります。
 電気料金支援策、再エネ、原子力についてお尋ねがありました。
 電気料金支援策は、事業者ではなく需要家に対する支援です。来年春以降に見込まれる料金の値上げの中でも、需要家が支援策による値下げの効果を実感いただけるよう、各家庭や事業者へ届く毎月の請求書や検針票において、値下げの単価等を分かりやすく記載することとしております。
 また、この支援措置は、脱炭素の流れに逆行しないよう、来年九月に縮小することを予定しています。それまでに、省エネ対策の抜本強化、さらには、再エネ、原子力の推進などによりGXを加速し、需要側、供給側の双方で燃料価格高騰の影響を緩和できる構造への転換も最大限進めてまいります。
 再エネは重要な国産エネルギー源であり、二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度再エネ比率三六%から三八%という野心的な目標の実現に向け、国民負担の抑制と地域の共生を図りつつ、最大限導入に取り組んでまいります。
 御指摘の原子力発電の問題についても、正面から取り組んでまいります。
 まず、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、福島の復興の大前提であり、政権の最重要課題です。引き続き、国も前面に立って取り組んでまいります。
 また、今後も安定的かつ継続的に原子力発電を利用するために、高レベル放射性廃棄物の最終処分等の課題に対して、責任ある取組を進めてまいります。
 一人親家庭に対する切れ目のない支援についてお尋ねがありました。
 一人親家庭については、経済的基盤が弱く、厳しい状況の御家庭も多い中、新型コロナや物価高の影響を受け、大きな困難が生じている家庭も多いと認識をしております。こうした点を踏まえ、就業支援を基本としつつ、子育て・生活支援、経済的支援など、一人親の自立に向けた切れ目のない支援の充実に取り組んでいます。
 その際、御指摘の学校給食費無料化や医療費無料化、児童扶養手当の拡充など恒久的な制度の見直しには、安定財源の確保等の課題があり、慎重な検討が必要であると考えております。
 防衛費増額に必要とされる財源及び外交努力についてお尋ねがありました。
 これまでるる申し上げているとおり、安全保障環境が急速に厳しさを増す中、世界の平和と繁栄に向けた外交努力を尽くす必要があることは言うまでもありません。同時に、国民を守り、地域の平和と安定を確保するため、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定する中で、防衛力を抜本的に強化してまいります。
 財源の在り方については、政策課題によって様々であり、防衛力強化についても、必要となる防衛力の内容に応じて、財源確保策を考えてまいります。(拍手)

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