国会質問

質問日:2013年 11月 15日 第185国会 厚生労働委員会

社会保障制度改革プログラム法案(年金問題)

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、まず、採決が提案をされておりますけれども、私は、断じてやるべきではない、このように思っております。
 そもそも、昨年の三党合意が間違っているんです。野田元総理が恨み節を言ったことがありましたけれども、民主党に言わせれば、三党協議の約束違反そのものです。しかし、我々に言わせれば、国会を抜きに三党で決めたことが国民会議の議論とその後の法制化を縛る、これは国会の自殺行為であり、絶対に許せるものではありません。
 やるべきは徹底した国会の審議です。そのためにこの法案が廃案になったとしても、中身のないプログラム法案でありますから、それは構いません。徹底した審議を行うべきことを重ねて指摘をしたいと思います。
 きょうは、その中でもまだ全く議論が尽くされていない年金問題、その中で、低年金、無年金問題に絞って質問したいと思います。
 無年金者については、平成十九年の資料で、四十二万人、六十五歳未満で納付期間を満たさない者を合計しますと百十八万人という資料が今手元にありますけれども、それからどうなっているでしょうか。二〇一五年十月からは、受給資格、十年納付ということで、改善されるところがあるかとは思いますけれども、それを分けてお答えいただきたい。

○樽見政府参考人 お答え申し上げます。
 無年金者の推計ということでございますけれども、先生御指摘の、平成十九年に当時の社会保険庁が一定の条件で推計をしたものというのが、直近の数字でございます。その時点で、御指摘のように、六十五歳以上の無年金者数は、四十二万人というふうに推計をされているわけでございます。
 昨年八月に成立いたしました年金機能強化法によりまして、平成二十七年の十月から基礎年金の受給資格期間が十年に短縮されるということになったわけでありますけれども、これが施行されますと、平成十九年に無年金者と推計した四十二万人の中で、約四割の方々が受給資格期間を満たして、無年金ではなくなるものというふうに考えられます。
 以上でございます。

○高橋(千)委員 六年前の数字が直近の数字だ、そのこと自体が問題じゃないでしょうか。全く実態をつかんでいないということではないでしょうか。このことを含めて大臣に答弁いただきたいんです。
 ことし五月十七日に、国連社会権規約委員会の最終見解が出されました。日本の年金に関して、「委員会は、締約国における、特に無年金又は低年金の高齢者の間での貧困の発生に懸念を表明する。」ちょっと飛びますけれども、「委員会は更に、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律により導入された変化によっても多くの高齢者が年金を得られないままとなってしまうことに懸念を表明する。」と指摘をしています。
 ここで指摘をされている無年金、低年金の状況について、六年前の数字しかないということ自体も含めて、大臣の認識と取り組み方について伺います。

○田村国務大臣 今、国連の経済、社会及び文化的権利に関する委員会の最終見解のお話をいただきました。
 そういうこともございますので、我々は何もやってこなかったわけではございませんでして、そもそも、後納制度等々を利用しながら、年金の受給資格期間を二十五年から十年という形に短縮するということを、昨年、三党での合意において法制化をしてきたわけであります。
 納付せずに、最低保障みたいな話ということになりますと、御承知のとおり日本の年金は社会保険制度でありまして、保険料を納めるという意欲を失うわけでございますから、そこはやはり考え方が、ちょっと我々とは違う考え方であるわけであります。
 そうはいいながら、低年金者の方々がおられるとこれは大きな問題でありますから、厚生年金の適用拡大、これも進めてきておるわけであります。一方、昨年の三党合意に基づいて、低年金者の低所得者の方々に対して、福祉的給付という形で、年金の上積みといいますか、所得の上積みというものを図らせてきていただいているわけでありまして、このようなことをしながら、しっかりと低年金対策等々を進めてまいりたい、このように思っております。

○高橋(千)委員 さっきの六年前の数字しかないじゃないかということに関しては、お答えがありませんでしたよね。
 必ずおっしゃるのが、納付せずにというものです。それは去年からずっと議論してきた問題ですね。結局、このプログラム法案に盛り込まれている精神なんですよ。負担がなければ見返りがないというこの精神。
 だけれども、私たちはずっと言っている、それが社会保障じゃないかと。要するに、それがというのは、悪意があって払わない人も含めてという意味ではなくて、本当に支える社会保障というところが欠落しているということをずっと指摘してきたわけなんです。だから、私たちは、国が少なくとも基礎年金に出している国庫負担の分を全ての方たちに保障して、そこから納付実績に応じて積み上げていくべきだということを言っています。
 今、ちょっと制度の話をするつもりはないので、次に行きます。
 貯金を崩して、一円玉をためて暮らしている方がいる、十円玉をためてデイサービスの料金をためている方がいる、あるいはテレビの明かりで、つまり電気を節約して御飯を食べている方がいる、そういうのが今の年金者の実態なわけなんですね。
 それで、ことしの十月から、特例水準の解消ということで、一%引き下げになりました。十万人が不服審査をしようということで、今、全日本年金者組合が立ち上がっているわけですけれども、そういう中で、本当に無年金、低年金の問題に取り組むつもりがあるのかということを改めて聞かなきゃいけないと思うんです。
 さっき言った社会権規約委員会では、ことし一月に、質問事項で、規約の遵守ということをちゃんとやっているのか、確保するための国内法とか、やっているのかという質問をしているんです、そのときに、政府としては、憲法九十八条の第二項で、当然、条約遵守の義務がある、そのことを説明した上で、国内法で担保するということを言っているわけなんです。
 だとすれば、民主党政権のときは、最低保障年金制度を含めて、制度を今、連立政権でやっていきますということを社会権規約委員会に答弁しているんですよ。自民党政権になったからといって、国際公約を撤回するとか下げることはできないわけですよ。その立場は基本的に、最低保障年金制度という言葉を使うかどうかは別として、目指している方向を曲げるわけにはいかない、政権がかわったからといって。それはいいですよね。

○田村国務大臣 今、民主党がお考えになっておられる制度も含めてという話がありましたが、民主党の制度も、未加入者は年金が出ない、最低保障年金が出ないという話でございますから、その部分では同じだということでございますので、やはり、ちゃんと加入していただいておるということが前提。
 もちろん、我々は我々で、低所得者の方々には免除制度がございます。そういうものを使って、しっかり対応してまいるということでございます。

○高橋(千)委員 そうすると、さっき大臣がおっしゃった、さまざまやってきた法律、法律も民主党政権下でやられたわけですよね。昨年十月一日から実施された国民年金確保法案、納付期間を、追納の方ですね、二年から十年に延長しました。それによって年金給付に結びついた人はどのくらいいますか。

○樽見政府参考人 国民年金保険料の後納制度を利用されたことによって、年金の受給資格期間を満たして年金を裁定された方というのは、本年の九月二十六日現在の数字でございますけれども、一万八十四人でございます。

○高橋(千)委員 つまり、何が言いたいかというと、最低でも、まず、納付した人が前提だと言っている、それ自体が一致しないわけですけれども。しかし、その機会をどれだけ頑張っているかという話なんですよ。
 追納については、三年という期限を区切ったじゃないですか。我々は、区切るなと言いましたよね。そのときに、六十五歳未満の方で、本制度によって年金額をふやせる方は、最大一千六百万人とはじいていたわけなんです。これは最大ですからね。もちろんそれは、キャパの話ですから、そう甘くはなかったわけです。
 ただ、八十九万三千七百二十一件申し込みがあったそうです。それで、基礎年金が裁定された者のうち利用している方、つまり年金がふえた方が二万人以上いるんですね。うち受給資格を満たした方は一万人、今お話あった一万八十四人なんです。でも、そのときは、政府が言っていた、六十五歳以上の方で年金を受給できる人は、最大で二千人くらいだろうとはじいていた、それを上回ったんですよ。ただし、六十五歳未満の人は全然届かないんですけれども。
 でも、二千万件のお知らせをした、私はその努力は認めますよ。だったら、それを頑張ってもっと続ければいいじゃないですか。そう思いませんか。三年で終わりにしないで、一万人芽が出た、もっと頑張る、結びつける、チャンスがあれば。どうですか。

○田村国務大臣 今までも何度か、特例納付を含めてやってきておりますが、そういう御議論が実際自民党の中でもあったことも事実であります。
 ただ、問題は、余り延ばすと、そもそも後で払えばいいということで、保険料を納めないという方々が出てこられる、そして結果的に無年金者になってしまうというようなおそれもあるということでございますので、当時、期限を切るというような議論であったというふうに承知いたしております。

○高橋(千)委員 だから、できることを全部やっているのかという議論をしているんです。それは、うんとお金があって後で払えばいいという一部の不心得者がいたとしても、そのためにチャンスを逃す、今はとても苦しくて払えない、そういう人たちをみすみす切り捨てるんですかということを言っている、チャンスを広げればいいじゃないかと言っているんですよ。
 もう一つ、政府がやったやったと言っている、いわゆる福祉給付金ですよね。
 民主党時代は、これは六千円、老齢基礎年金と足すと七万円ということで、民主党の最低保障年金に近くなるということがあって、田村大臣が一番追及をいたしました。逆転現象があるということを言ったので、修正されて五千円になったわけですよね。千円下がっただけで何が違うかというのと、逆転現象を生じさせないための補足的給付金という、言っちゃ悪いが格好悪い、そういう制度になったわけです。
 ただし、これは一応恒久法なわけですよね、福祉給付金というのは。年金のフレームの外でしょう。民主党がこの六千円を提案したときは、今すぐ最低保障年金制度はできないけれども、必ずこの後そういう制度ができていくであろう、その中に、ごめんなさい、民主党の肩を持つわけじゃないけれども、ここはいいところなんですよ、結局、新しい制度の中でその外枠のものが解消されていくであろうというイメージがあったと思うんです。
 だけれども、自民党さんは一切この新しいスキームを出していません。そうですよね、百年安心でいいと思っているわけですから。だったら、外枠の福祉給付金、格好悪いものがいつまでも残るということなんでしょうか。外出ししていくということなんでしょうか。

○田村国務大臣 当時、民主党さんがどういう意図でこういうことを思いつかれたのかはちょっとわかりません。ただ、民主党の最低保障年金とは違っていまして、民主党の最低保障年金は、保険料を掛けているときに、保険料不足の方々、終わられる方々に最低保障年金を支給しようという発想。
 これは、もらい出したときの所得に注目して払うという話でありますから、考え方がちょっと違っておりますので、そこはやはり、今のような形。それは、民主党がもし政権をとられて最低保障年金という話になれば、これは全く消えちゃって、新しい制度に行くんだろうと思いますけれども、ちょっとそれとはまた違った種類のものでございますから、このような形で続けさせていただくということが基本でございます。

○高橋(千)委員 だから、民主党の案がいいと言っているんじゃないんですよ。だけれども、自民党さんの案は百年安心のままなんでしょう。それで、その外出しをずっと続けていくんですかと言っているんです。

○田村国務大臣 そのときの所得に応じて給付をする形でございますので、福祉給付という形でございますから、今の形の中においてこれを続けていくという基本的な考え方でございます。

○高橋(千)委員 ですから、さっきから言っている、本気で低年金を解決していく、あるいは無年金を解決していくという立場に立っていないということなんですよ。国連規約委員会の勧告に真っすぐに応えて、やはり私は、最低保障年金制度をつくるべきだと思っているんです。
 その一歩として、出口はまだ議論をこれからもしていかなくちゃいけないんですけれども、例えば、基礎年金の国庫負担の二分の一を恒久化するということは、プログラム法案に書いているじゃないですか。書いています。だけれども、なぜそのための財源を、二〇一七年になると三兆円を超しますよね、いつまでも外枠なんでしょうか。つまり、恒久化したんだから、全体として年金制度としてなればいいのに、わざわざ外枠にして、その分は消費税で見ますと言っているんですよ、説明している。
 そして、さらに、今言った福祉給付金を、年金制度として上乗せというふうな考え方ではなくて外枠で見ているから、それも消費税で取るわけでしょう、五千六百億円でしょう。足すと三兆五千六百億円を超えるわけですよ。それがいつまでも外枠。
 年金のほかに、社会保障のほかにこれだけのお金が要るんだ、消費税なんだとやって、外枠にしていくから、財政当局の標的にされるんじゃないですか。そうじゃないですか。
 年金というのはこれだけ必要なんだと、最初からきちんと入れてしまえばいいんですよ。そうじゃなくて、基礎年金という、恒久化するものさえも外枠にし、かつ、低所得者対策も外枠にし、そうしたら消費税がもっともっとふえるよねということを、あえて厚労省が言っているわけですよ。ここは最低必要なんだとなぜ言い切れないのかということなんです。

○田村国務大臣 高橋委員の言われている意味が、ちょっと私、理解できないところがあるんですが。
 要は財源が必要ですということで、まあ、もとが、共産党は消費税を上げるという方針ではございませんので、そこが全く、初めの入り口がボタンのかけ違いなんだと思いますけれども、まさに絶対必要だから、だから消費税の中でこれを確保していくということを今般させていただくわけでございまして、絶対必要なものだということでございます。

○高橋(千)委員 書かれているのは二分の一の部分だけなわけですから、そこはとりあえず消費税で見るということは確保されていますよね。幾ら何でも、これを後に戻ることはできません。
 でも、五千六百億円もプラスされるわけですよ。そうすると、そこが標的にされると言っている。つまり、前回の質疑でも言ったじゃないですか。財政等審議会も言われている。結局、社会保障をフリーライダーとしてはならないんだ、そうやって、なぜこれ以上充実するんだ、増税するのに充実するのかということが責められているわけじゃないですか。それに、また、年金を充実させるために、低所得者対策のために、今の制度のほかにこれもこれも要りますというふうなことをあえて厚労省がやるから、標的にされるんです。その分を増税するか削るしかないんだという議論にされるんですよ。
 そうじゃなくて、もともと必要なものだということを言わなければならないということを、重ねて私は指摘したいと思う。大臣、首をかしげているけれども、だって、ずっとそういう議論はされてきたじゃないですか、社会保障に対して。社会保障がふえるから消費税をもっと上げなきゃいけないといって、社会保障だけが悪者にされているんです。それが今回の議論なんですよ。充実させることが悪いことのように言われている。そこが議論なんですよ。
 だから、国際公約だった低年金、無年金対策の最低限のレベルさえも、本当にやるという立場に立てるのかということを何度も何度も聞いているわけです。このプログラム法案の中では、デフレ下でのマクロ経済スライドの導入ですとか、これは基礎年金を割り込むでしょうが。そういうことまでやるわけですよね。
 あるいは、年金支給開始年齢の先送りですよね。これだって、幾ら何でも、六十五歳までは再雇用制度があります。これは単純に、再雇用制度をさらに上げましょう、六十八歳までも、企業の皆さん、義務づけでやってくださいと。国の責任で年金を先送りして、企業に負担を押しつけるのかと、それは企業が言っても当たり前ですよ。
 そうじゃないでしょう。本当に働きたい人がいることと、誰でも六十八歳まで働け、あるいは七十歳まで働け、年金はそれまで出しませんよということは、それは言っちゃいけないですよ。そうじゃないですか。一言。

○田村国務大臣 デフレ下のマクロ経済スライドも、まだ決まったわけではありません。やれと言って怒られ、やるなと言って怒られ、この委員会でもいろいろな御意見があるな、やはり国民の御意見は非常に幅広いなということを感じました。
 ちなみに、支給開始年齢の引き上げの話でありますが、働ける環境がなければ引き上がらないわけでありますし、引き上げるというのも、今言われたみたいに、もらえないという話じゃなくて、選択制という議論もその中には含まれておるわけでございます。国民の皆様方が、やはり年金がもらえなかったら困るというような状況のもとで強制的に引き上げるということは、なかなか理解を得られないことでございますので、議論をしながら、国民の皆様方が御理解いただけるような、そんな年金改革を進めてまいりたいというふうに思います。

○高橋(千)委員 一言だけ言って終わりますから。
 本当に、基礎年金を割るようなことは絶対やってはならないんです。一月の、社会権規約委員会の質問に対して政府答弁は、本当に、年金を受け取る資格がない高齢者とか、年金を受け取っても十分な生活水準を確保できない、そういう方が困窮する場合は、生活保護があると答えているんですよ。これは語るに落ちているでしょう。だって、結局、税金じゃないですか。
 だったら、低年金者対策をちゃんとやることで、減らさないことで、生活保護を受けなくてもいいという人たちがたくさんいるんじゃないですか。いや、暮らせなかったら生活保護がある、それは全然、今まで言ってきた財政健全化とかと、言うことの筋が違いますよ。
 だから、やはりこういうやり方ではだめなんだということを繰り返し指摘して、終わりたいと思います。

質問の映像へのリンク

http://www.youtube.com/watch?v=CEKdXZShnqg&feature=c4-overview-vl&list=PLrB7SAgyEZKKxdYAFtF3dzau-ftYrJhVk

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