助成の線引きを批判 / 衆院委 難病患者医療費見直し
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は13日の厚生労働委員会で、厚労省が進める難病の医療費助成制度の見直し案について、助成を必要とする患者を振り落とすものだと批判しました。
高橋氏は、見直し案で無料だった重症者が最大53万円の負担となるなど大幅な負担増となると指摘。負担が激増するのは、所得を本人のみでなく、より多額になる世帯単位で把握するからであり、そうしたことはやめるべきだとのべました。
厚労省の佐藤敏信健康局長は、「障害者自立支援医療を参考にした」と答えました。
高橋氏は、所得の把握は障害者自立支援医療にならう一方で、負担上限は「実態に合わない」と多くの患者から批判されている高齢者医療にならうと説明されてきたことを指摘し、「都合のいいところをとっている」と批判。「負担上限はせめて障害者自立支援医療並みにすべきだ」と主張しました。
(しんぶん赤旗 2013年11月21日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
先ほど来随分紹介をされておりますが、私も、九日、難病・慢性疾患全国フォーラムに参加をいたしました。初めての難病の法制化ということもあってか、大変な盛況ぶりというか、四百名の参加、立ち見も出るほどの成功でございました。
患者、家族などの発言はもちろんですけれども、難病対策委員会の金澤一郎委員長を初め、厚労省からもそれぞれの担当課長らが発言をいたしましたし、また、本委員会のメンバーであります桝屋さん、長妻さん、上野さんも参加をいたしまして、各党がそろって参加をされたわけです。ですから、これほど党派を超えてフォーラムを成功させるのであれば、本当に喜んでもらえる制度がつくれないはずがないのに、こういうふうに思ったわけであります。
また、特定疾患研究事業の対象拡大をさせ、法制化をしてほしいと運動してきた患者団体の悲願でもあると思っております。
そこで、団体の皆さんが、口々に、これは歓迎すると言っていることは、改革の理念のことであります。
ことし一月二十五日に、難病対策の改革について提言が出されましたけれども、その中で、「おわりに」の中に含まれている言葉でありますけれども、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症し得る可能性がある、難病は生物としての多様性を持つ人類にとっての必然であり、科学、医療の進歩を希求する社会のあり方として、難病に罹患した患者、家族を包含し、支援していくことが求められている。大変格調高い言葉が盛り込まれているわけであります。
新法においても、この理念がしっかりと書き込まれるべきだと思いますが、大臣の認識を伺います。
○田村国務大臣 ことし一月、難病対策委員会において、今言われましたとおり、提言が出されたわけでありまして、「おわりに」というところで、基本理念というか基本認識として、今委員がおっしゃられました、その確率は低いものの、国民の誰にでも発症し得る可能性があるから、難病に罹患した患者、家族を社会で包含し、支援していくことが求められる、このような記載が盛り込まれたところであります。
一方で、同時に、提言の中で、基本理念といたしまして、難病の克服を目指すとともに、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すことということが記載されているわけでございます。
難病対策委員会においても改革の具体的な内容を今詰めていただいておりますが、委員会でのいろいろな御議論を踏まえた上で、基本理念というもの、これをしっかりと新法の中にも盛り込んでまいりたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 この質問を参議院の厚生労働委員会でもみんなの党の川田さんがされまして、同じような答弁をされているんですけれども、さっきから疑問に思っているのは、なぜ、一方でとおっしゃるんでしょうか。
これは、改革の理念のところは、本当は、中間取りまとめのときは基本理念の中に書かれていたものですよね。それが「はじめに」の中にあるんだけれども、一方でと言うと、何か、地域で尊厳を持って共生するということが、負担を求めてそれなりにということを意味しているのか。なぜその言葉を使うのかが、よくわからないんですよね。大臣、その心は。
○田村国務大臣 失礼いたしました。
同時にでございます。失礼いたしました。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
実は、その参議院の議事録を読んでみますと、ちょっと人ごとのように答えていらっしゃるんですよね。これからの検討だということで、大臣の言葉として、この理念をちゃんと盛り込むということを言ってほしかったので、先ほど、同時にであるということと、盛り込んでいきたいということを答弁されましたので、確認をさせていただきます。ありがとうございます。
そこで、医療費助成対象疾患が今回区切られるということになるんですが、千人以下、五万人以下、五万人を上回り人口の〇・一%以下という一つの基準と、かつ、診断基準がある、あるいはそれに準ずるものがあるというくくりをすると、およそ三百疾患になるということが言われています。
先ほど来、それがどのくらいなのかということが随分聞かれているわけですが、三百という数字がひとり歩きをしている。そこで、決してそうなるとは限らない、つまり、もっとふえるかもしれないけれども、もっと減るかもしれない。
それから、現在、特定疾患として対象になっている方、七十八万人くらいいらっしゃって、五十六疾患ですよね。この方たちも、もう既得権益ではないというか、外れることもあり得る。そういうことなんですよね。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
きょうも何度かお答えをいたしましたが、難病の新たな医療費助成のあり方、対象疾患の考え方につきましては、現在、厚生科学審議会疾病対策部会の難病対策委員会で御議論いただいているところでございまして、この委員会の御議論の中では、今先生からの御指摘にもありましたように、医療費助成の対象とする疾患には、希少性や原因不明など、四要素を満たしているもの、そして、客観的な診断基準が確立している疾患ということで御検討いただいております。
そして、その具体的な疾患をどうするか、選定に当たりましては、医療の専門家等によって構成される第三者的な委員会を別途設置いたしまして、ここで医学的、客観的な観点から選定をお願いするということで考えております。
さらに申し上げておきますと、難病対策のスタート、起源とでも言えるスモンなどは、原因が明らかになった疾患でもありますので、先ほど申し上げましたような疾患の基準からは外れますので、こうした現行の対象疾患のうちでも、要件を満たさないものについては、今般の制度改正の中で、新たな医療費助成とは別な方法で何か対応を検討するのではないかということで、議論が行われております。
○高橋(千)委員 スモンについては新たなということで、今の水準が極端に変わるという意味ではないということでよろしいんでしょうか。
それで、具体的に述べているのはスモンだけなんですけれども、結局、その五十六疾患ももっと変わることもあり得るのかということで、さっき質問したわけなんですけれども、どうですか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
五十六疾患、スモン以外についても、この疾患の基準と申しますか、疾患選定の基準に当てはめたときにどうなるかというのは、改めて御検討いただくんだろうと思います。
○高橋(千)委員 まず、そのことから出発しなければいけないと思うんですね。三百がひとり歩きしているんですけれども、何度も皆さんが目にした疾患のくくりも、やはり、約七十、約八十、十というふうに切れのいい数字ですから、切れのいい数字になるはずがないということで、三百なわけがないということなんですよね。
そうなったときに、自分がどこになるのかというのは全くわからない状況であるし、今、特定疾患に入っているところもどうなるかもわからない。そういう中で、患者の皆さんが、新しい基準がどうなるのかという大変不安の目を向けているわけです。これがまず第一のハードルという感じがいたします。
第二のハードルが、重症度分類というものが導入されることになります。疾患ごとに認定基準を決めるとなると、今、五十六疾患のうち、重症度分類というのがあるのが十二疾患だと聞いています。そういうやり方を、もしかして、三百くらいと言っている疾患ごとに決めるとなると、大変な作業だと思うんですけれども、どのようなものなのかということと、それを、どこで線を引くかによって、本当にふえるかどうかということもわからないことになるんですけれども、どのようになるでしょうか。
○田村国務大臣 言われますとおり、今現行で、十二疾患に関して重症度基準があるわけでありますが、今般の見直しで、日常生活、社会生活に支障を来すというような方々に対して医療費助成をやっていこうということでございますので、やはり重症度基準というものを取り入れてまいるということになろうと思います。
今、厚生科学研究班において整理を行っているところでありますが、これは、厚生科学審議会の中に第三者委員会をつくって、その中で、いろいろと、重症度等々の基準等々を医学的、客観的な観点から検討されているというような状況でございます。
やはり、何らかの基準をちゃんと明確につくらないと、今言った、日常生活、社会生活に支障を来すということが明らかにわからないわけでございますから、そのようなことがわかるような基準をつくってまいるということになろうと思います。
○高橋(千)委員 もうちょっと局長に説明していただきたいんですけれども、重症度分類といったときに、いわゆる介護度みたいな、五段階、六段階、そういうイメージをするわけですよね。それも疾患によって全然違うよねと。それを日常生活または社会生活ということで見ていくときに、それだけの作業を、来年、法律を通して一年以内に施行するというのは間に合うんですかと言ったときに、もっとパターン化していくという説明が一つありました。そして、実際は、対象になる、ならないという単純な仕分けだというふうに聞きました。実際、どうなんですか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
先ほどの御質問の中にもありましたように、大変な作業なんじゃないかということでは、大変な作業だということが言えると思います。
ただ、この難病対策は、先生御承知のように、単に医療費助成をしていたわけではなくて、長い時間をかけまして、診断基準をつくり、必要に応じて重症度の基準もつくるということを四十年以上かけてやってきておりますから、少なくとも、現行にあります疾病につきましては、診断基準はきちっとできている、診断基準のあるものもある、こういうことになります。
そういう意味で、厚生科学研究班でやっている成果、この成果を生かすとともに、その研究班の先生方に、少し、もう一馬力、一踏ん張りしていただいて、この重症度の基準のようなものをつくっていただくということになるんだろうと思います。
それで、その際には、これは御質問、御指摘の中にもありましたように、疾患によっては、疾患概念が極めてはっきりしていて、重症度基準も、これという感じではっきりつくれるものもあるでしょうし、余りにも数が少な過ぎて、果たしてきちっとつくれるのかということがある場合には、類似の疾患で疾患の群みたいなものをつくって、そこで決めていくということもありましょうし、それでもなかなか難しい場合には、これも御質問、御指摘の中にもありましたように、呼吸器系だとか、そういった日常生活の不便さみたいなものに着目をするようなグループ化みたいなことも必要になってくるかもしれません。
いずれにしても、いろいろな方法でもって重症度というものを、三百になるか、それをもう少し超えるかもしれませんが、そういった疾患について重症度ができるように、これは馬力を出してまとめていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 今、少し詳細に説明をいただいたんですけれども、結局、私は、これは第二のハードルだと思うんですよ。自分の疾患は対象になったと思ったら、分類で切られるかもしれないということは、やはりかなり大変ですよ。ですから、本当に、患者の皆さんは、今、いろいろな複雑な思いでこれを見ています。
だけれども、やはり難病対策を、このプログラム法を見ても、医療、社会保障でやると書いているじゃないですか。そして、対象をふやすと書いているわけですよね。絞るなんて一言も書いていないんですよ。
だから、基準をやることによって、私は、よほど必要のない方というのがいるのかどうか。総理がちゃんと高額な薬剤でも使えた、そういうパターンが何人かはいるかもしれない。だけれども、基本的には、本当にこの難病の医療の助成に期待をしている方たちがはじかれるようなことがない、本当の意味でのふやしていくんだという立場に立っていただきたいと思うんですが、もう一言、大臣、どうですか。大臣に聞いています。
○田村国務大臣 今回の難病対策の制度の改正に合わせて、やはりそこは、今言われたように、必要な方にという言い方がいいのかどうかわかりませんが、生活をする上において支障が来される方に優先的にサービスを提供していこうということでございますので、そういう意味では、この医療費助成というものの事の性格上を考えてまいりますと、そういう方々に優先的にということを御理解いただきたいということでございます。
多分、委員は御納得をいただけないんだろうというふうには思いますが、今、そのような方向性のもとで、対策委員会の中で御議論をいただいておるということでございます。
○高橋(千)委員 やはり、必要な方をどこで切るかによって、本当に天国と地獄の違いがあるわけなんですね。
この認定基準が出されるに当たって、JPAが意見交換会に出していますけれども、やはり医学的重症度と日常生活及び社会生活上の支障とは、必ずしも一致しないわけですよね。医学的には重症でも自覚症状がほとんどない場合もあるし、その逆に、医学的にはそれほど重くなくても、痛みやしびれがひどくて働けない、外出もできない、そういう方たちがたくさんいらっしゃるわけで、でもそれを、なかなか、痛みがひどいんだ、疲れがひどいんだと訴えても理解されない。そういう苦しみの中で患者の皆さんは訴えてきたということがあるわけですから、そこが救われないような、ふるい落とされるような基準であってはならない。そもそも基準を設けること自体が私は問題だと思うわけですけれども、そういうことを指摘したいと思います。
それで、第三のハードルが例の自己負担の問題なわけですね。この間、随分議論をされてきましたので重ねて言いませんけれども、この間の議論の中で、一定緩和をされました。患者団体の意見も反映されたと思うんです。それでもやはり、これまで無料だった重症の方が、八万人もいらっしゃるんですよね、その方たちに負担が発生して、最大で年五十三万にもなる。これは余りにもひどい。
何でそうなるかというと、例えば、ほとんど寝たきりかもしれない重症の人がそんな最大ランクになるかといったときに、世帯で見ているということがあるわけですよね、世帯の所得で見ているから。しかし、それというのは、障害者の世界ではもう乗り越えた問題ですよね。まだ配偶者という、私たちは配偶者も取ってくれと言っているんですが、しかし、それ以外は全部乗り越えた問題なんです。だったら、ここは一緒にするべきではないでしょうか、世帯は、分離するべきだ。どうですか。
○佐藤政府参考人 お答えをいたします。
難病の医療費助成につきましては、種々、どういう疾患が対象になるか、あるいは重症度をどうするかというような検討があるんですが、あわせて自己負担をどうするかということも大変重要なテーマだというふうに認識をしております。
この難病対策委員会についても御議論いただいているんですが、そこでは、所得区分を決定して、それぞれに応じて医療費の自己負担の上限額を決めていくという御検討をお願いしております。
その際に何を参考にしたかということですけれども、他の制度、具体的には自立支援医療を参考にして、その自立支援医療との均衡を踏まえるということにしたわけでございます。では、その自立支援医療がどういうふうにしているかというと、医療保険と同様に世帯単位で把握しているので、それに倣うこととしたということでございます。
医療保険と同様に世帯単位で把握の意味ですけれども、医療保険制度は、これは申し上げるまでもありませんけれども、被保険者とその被扶養者の世帯を単位として設定をされていて、したがいまして、自立支援医療が負担額を決める際にも、この医療保険制度の場合と同じように、世帯の所得で決定することにしているということでしたので、それに倣い、均衡も見たということでございます。
いずれにしましても、具体的な内容、とりわけ、今お話がありましたように、重症の方で負担額が多大になるというようなことも含めまして御議論いただいている最中でございますので、新たな医療費助成、そして、その上限の額等についてもさらに御検討いただくこととしております。
○高橋(千)委員 今の局長の答弁、驚きましたよ。これまでは、高齢者医療に合わせたといつも答弁しているじゃないですか。なぜですか。
○佐藤政府参考人 この制度を考えるときに、難病の医療がどの制度に一番似ているか、あるいは上限額を決めるときにどの制度に準ずるのがいいかという意味で、いろいろお答えをする中で、自己負担額の上限額の設定においては、ないしは難病全体の医療のありようがどれに似ているかというときには、それは確かに高齢者の医療を参考にしたんですけれども、所得区分を決定する際には、そこは自立支援医療を参考にさせていただいたということであります。
必ずしも全部が高齢者医療に似ているわけではないということはこの国会でも指摘をされておりますので、諸制度を参考にしながらということだろうと思います。
○高橋(千)委員 悪いけれども、支離滅裂ですね。だって、これまで何度も、せめて参考にするなら自立支援医療じゃないかと言われてきたわけですよね。何で高齢者を参考にするんですかと、これはもう何回も対策委員会の中でも言われてきたし、国会でも質問されてきました。だったら、考え方を改めたとちゃんと認めてくださいよ。
本当に改めるのであれば、この自立支援医療の重度かつ継続に合わせるべきだ、そうじゃないですか。
○佐藤政府参考人 二つの話があると思うんですけれども、まず一つは、上限額をどう考えるか、ないしは御負担いただく額全体をどう考えるかという話が一つと、それから、その際の所得区分を決定する際の話とあると思います。
御指摘のように、難病の医療費助成を考えるときに、全体としては確かに高齢者医療の方を考えました。けれども、所得区分というものを考えるときに、世帯単位で把握している制度があるかないかといって、こうやって探してみますと、医療保険制度自体が世帯単位でやっておりますし、また自立支援医療もそうであるということで、そこは自立支援医療を引用した部分があるということです。
いずれにしましても、自己負担額、そしてその上限額の設定等についても、難病対策委員会でも御議論いただいておりますし、この国会においても、あるいは患者さんのお声からもいろいろな意見は承っておりますから、そのお答えを難病対策委員会にもお伝えをして御議論いただくということで考えております。
○高橋(千)委員 探したところと今おっしゃいましたよね。結局、いろいろ指摘をされた中で、都合のいいところをとったという話になるんじゃないかと思うんですね。
だから、そうじゃなくて、やはり一番ふさわしいものは何かという立場に立っていただきたいんですよ。さっき答弁の中にあったように、自立支援医療が似ていると言ったじゃないですか。一番似ているといったら、そっちが一番似ているに決まっているんですよ。そういう立場に立たなきゃいけない。
障害者の、支援法の、私たちが自立支援法廃止を求めたあの闘いの中で、最初は全部世帯でしたよね。それを取り払う闘いをしたわけですけれども、その中で、難病患者の皆さんも、本当にまだまだそこには追いつかないけれども、一緒になって求めてきた、そういう中でできた到達なわけですから、そこに平仄を合わせていくというのが、やはりとるべき態度ではないかなと思うんですね。せめて自立支援医療並みにとか、あるいは、せめて上限は今言った重症かつ継続に合わせてくれということを、つまり、せめてということを患者の皆さんはしょっちゅうおっしゃるんですね。
やはり、皆さんも、全部ゼロにしてくれとは誰も言っていないんですよ。だけれども、やはり納得がいける、自分でも頑張れる、そのことを言ってほしいという気持ちなわけですよね。例えば、通院費とか付き添いですとか、あるいは、ALSの患者さんなどは、これまでも言われてきたわけですけれども、たくさんの機械や備品が必要で、重い負担というのは医療費だけではないわけです。
記者会見をしたときに、筋無力症の恒川礼子さんは、ふえるなら負担増はやむを得ないと考えていた、こうおっしゃっているんですね。だけれども、ここまで上がるとは思わなかったと。今月中旬、体調が悪化して十日間入院したら、差額ベッド代だけで六万円にもなったと。
だから、医療費だけじゃないんだ、本当はもっとかかるんだけれども、せめてこれだけはとおっしゃっている。その気持ちをやはり酌んでいただきたいと思うんですが、大臣、どうですか。
○赤石大臣政務官 高橋委員にお答えいたします。
難病の方が私の近くに住んでおりますし、本当に苦労しておりまして、小学校の時代から、今二十ぐらいになりますが、ずっと寝たきりの状態でいます。
確かに、先ほど先生おっしゃられていたように、要するに、疾病の重症度と生活の重症度、先ほどすごくいい言葉を聞いたなと私も思いまして、やはり両面を考えなきゃいけないというふうに思っております。
ということで、この医療費助成については、難病対策委員会で負担の急増や負担の長期化の可能性も踏まえて今検討中であります。
参考までに、十月十八日に新たな医療費助成の制度案を提示したところ、委員の方から低所得者への配慮をすべき等の意見があったため、十月二十九日に所得区分を細分化した修正案を今提示しているところでございます。
これから難病対策委員会の結果を待って適切に対応していきたい、このように思っております。
○高橋(千)委員 今のは、さらに引き下げることを考えているということではないんですか。あら残念だな、そういう意味だとよろしいんですけれども。
やはり、せめての意味を本当によく酌み取っていただいて、非課税世帯からも負担を取るとか、本当に重症な方に負担を求めるということはやめるとか、そういうことにやはり踏み込んでいただきたい。重ねて指摘をしたいと思います。
あわせて、きょうも多くの皆さんから議論があった小児慢性疾患についてなんですけれども、十一分類五百十四疾患、十一万一千三百七十四人の方がこの対象となっているんです。
この小児慢性疾患は、法律が違いますけれども、児童福祉法の世界ですが、ただ、負担については成人の半分という計算になっているわけなんです。
それで、今回は、言われる前に言いますけれども、見直しによって負担が軽くなる人もいますよね、入院と外来が一緒だから。それはわかっています。だけれども、ふえる人がいないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○赤石大臣政務官 再び答えさせていただきます。
今、小児慢性特定疾患の新たな自己負担のあり方については、社会保障審議会の専門委員会で御議論をいただいているところであります。
専門委員会では、制度の持続可能性という観点から、負担能力に応じた利用者負担としていく必要があること、他制度における給付水準との均衡に留意しつつ、見直しを検討する必要があることなどの議論をしておるところであります。
厚生労働省としては、こうした専門委員会の御議論や結果を踏まえ、さらに検討を進めていきたいと思っております。
さらに、食事の問題についても、今後、食事療養費について助成対象とすべきかどうか検討を進めていきたいと考えております。
以上です。
○高橋(千)委員 この負担能力に応じたというのが、結局、丸々、家族の負担になるわけですよね。
だけれども、厚労省だって、本当にわずかな二億何がしのお金ですけれども、地域支援事業という形でサービスを今やろうとしているわけですね。例えば、ちっちゃい子供さんが病気のときに、兄弟がいるからその兄弟を支えてやろうとか、そういうことを一生懸命考えているわけですよね。だけれども、そういうことを考えれば、小児慢性疾患にかかわる負担というのは、単に医療費だけではないことなんですよ。そういうことをやはりちゃんと見なければならない。
もっと言えば、小児の場合は、自治体で乳幼児医療費無料化の制度が広がっていますよね、格差はいろいろあるんですけれども。面倒な手続をするくらいだったらそっちでいいとなって、そっちを受けている。そうすると、研究データが積み上がっていかないわけですよ。研究データが積み上がっていかないと、いつまでも、いわゆる診断基準の発見ですとか新たな治療法ですとか、そこに結びついていかないわけじゃないですか。そういう意味でもやはりすごく大事だということで、重ねて指摘をしたいと思います。
それで、トランジションの問題もきょう出されているわけで、非常に大きな課題になっているわけなんですけれども、資料の一枚目に、厚生労働科学研究の二十三年度の調査の結果を出しておきました。二十になった途端に、普通の保険、医療の世界、もしくは、さっき言った三段跳び、三つのハードルを乗り越えて難病に指定されるか、どちらかの道しかないわけですね。だけれども、見ていただければわかるように、ちっちゃい子供のころからなっているので、障害年金などを受給していない方がもう七割だし、医療費助成制度にも結びついていない、そういうことが当然あるわけですね。
ですから、やはり子供のころからずっと闘病してきた方が、なかなか、社会に出てぴんしゃんと何事もないということには当然ならないわけですし、まして、働く、自立するということが困難だということはもう当然わかるわけですよね。特別な対策が必要だと思いますが、大臣、お願いいたします。
○田村国務大臣 この小児慢性特定疾患の患者の方々でありますけれども、今、先ほど来お話がありました医療費助成でありますとか相談支援の事業等々をやっておるわけでありますが、今般の難病対策の見直しの中でどこまで広がるかというような話の中で、切れ目のないという部分に関していろいろな議論も今いただいておる最中でございます。
しかし一方、自立支援医療のような形で、言うなれば対応ができる部分もあるわけでありまして、現在あるような医療費助成の中で対応する部分もあろうというふうに思います。
重ねて、自立するために、二十六年度予算、先ほど副大臣からも話がありましたが、この中において、地方自治体と医療関係者、学校関係者、さらにはNPOやボランティア、家族会、こういう方々が協力しながら、自立支援でありますとか相談支援、また、学校生活支援でありますとかピアサポート等々、いろいろな相談に乗れるような支援ができるような、そういうような予算を今概算要求で盛り込んでおるわけでございます。
そのようなものを含めまして、自立支援に向かってのしっかりとしたサポート体制を組んでまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 これはまだまだ研究の段階というふうなことになるのかと思うんですが、医療で救われるのがまず目標ですけれども、しかし、さっき自分自身も言ったように、生活の支援とか家族の支援、さまざまなものがあります。そういう総合的なものを含めて、やはりきちっと移行ができるかどうかということが問われていると思うので、引き続き、これはよくお願いをしたいし、見ていきたいなと思っているんです。
それで、きょうは、少し提案を含めて質問したいと思うんですが、ことしの四月から障害者総合支援法が施行されました。そのときに、難病百三十疾患が支援法の対象になったわけであります。これが実際どのくらい使われているでしょうか。
○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
ことしの四月以降、対象となりました難病の方々の障害福祉サービスの利用者数でございますけれども、これは月別にとっておりまして、四月の段階では百五十六名でございましたけれども、直近では、ことしの七月現在の数字でございますけれども、三百四十七人ということで、利用者数は増加しているという状況にございます。
○高橋(千)委員 二枚目に資料をつけておきました。三百四十七で、居宅介護などのサービスを受けている方が、合計で三百六十。これは、数が合わないのはダブりがあるからということなんですね。
桁が違うんですよね。これしかないんですよ、実際は。百三十疾患と言われた時点でがっかりした方がたくさんいらっしゃるわけですけれども、そもそも、支援法になるときに、難病も入るんだと言ったじゃないですか。だけれども、実際はこれが実態なんですよ。これを本当に見なくちゃいけないわけです。結局、手帳を持っている方、もともと難病だけれども、手帳を持っていた方は今までどおりで、それを広げる道というのは、ほとんどまだ開かれていないというのが実態なわけです。
それで、私は、昨年四月に質問しているんですが、難病患者の大体二割が手帳を持っています。そうではない方たちも使える事業として、難病患者等居宅生活支援事業というものがございました。それも、たった三百十五名なんですね。全然知られていないじゃないかということで、そのときに政務官が、「認定調査の際に十分に留意するなど、運用を工夫することで対応していきたい」と答えています。こちらで、少しは広がったものでしょうか。いかがでしょうか。
時間がないので、次の質問も一緒に聞きます。
百三十の疾患が見直しになるのか、あわせてお答えください。
○蒲原政府参考人 まず一点目でございますけれども、先生お話しの、昨年の質問のときには三百十五名という話がございましたけれども、これは直近でいくと、ことしの四月の移行直前が、平成二十四年度で三百二十八名ございます。
これの移行状況を調査いたしましたところ、障害福祉サービスなどに、各種のサービスに移行した数が二百七十一名。何らかの理由によって移行していない方が五十七名おられますけれども、五十七名の中を見ると、例えば症状が改善した等の理由から、御本人の判断で申請しなかったという方々が三十三名入っている、こんな状況にあります。
移行の関係でございますが、我々も、ことしの四月のこの施行に際しましては、例えば難病患者等に対する障害区分認定マニュアルというのも配付いたしまして、自治体に対して幾つかの事項を依頼しているところでございます。
例えば、衛生部局と福祉部局の連携を図って、きちっと引き継ぎをすること。あるいは、対象となる難病患者の方々がちゃんとサービスが受けられるということを把握できるように、周知を徹底すること。さらには、認定に当たって、きちっとマニュアルに従って、難病の特性に応じた認定調査等を行うようなこと。こうしたことを依頼しているところでございます。
いずれにしても、今後とも、こうしたことも含めまして、必要なサービスを難病の方々が受けられるように、きちっとやっていきたいというふうに思います。
もう一点、先ほど話がございました、今後の見直しの関係でございます。
当面の措置として百三十疾患を対象にしているということでございますけれども、先ほど話がございました、現在、新たな難病対策における医療費助成の対象疾患の範囲につきましては、さまざまな検討がされているという状況でございます。そうした検討を踏まえまして、この百三十疾患につきましても見直しを行っていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 百三十も見直しをするわけですね。
ですから、骨格提言のときに、本当に、難病や慢性疾患の患者などにおいても、その心身の機能の障害があるものとして、手帳がなくても入り口で排除しない、いろいろな、専門的な知識を有する者とか医師の診断書とかを使って採用していくんだということを言っているんです。だけれども、結局、結果はこれなんですよ。資料もつけていくんですけれども。
ですから、選ばれた人だけがどんどん選ばれていくではなくて、せっかくここに期待した人たちがいます。まだ病名をもらえない人たちを救わなきゃいけない。そういう意味では、福祉が救うべきなんですよ。
だから、疾患名で固定しない。この支援法で救われる人たちと、今難病で仕切る人たちをリンクさせない、別の世界で考える。一言だけ答えてください、これで終わりますから。
○蒲原政府参考人 障害者総合支援法における難病等の範囲につきましては、やはり利用者間の公平性の観点だとか、あるいは、確実にきちっと支給対象を明確にしていくという必要性がございますので、まずは客観的な診断基準というものが一つ大事であろうというふうに考えております。
いずれにいたしましても、新たな難病対策におけます医療費助成の適用対象の範囲に関しての検討を踏まえまして、きちっと今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 また続きをやらせてください。
終わります。
――資料――