○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました細田博之議長不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
憲法第四十一条、国会は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であります。この国会を代表する衆議院議長は、三権の長として特別な職責を担っているのであり、国民から疑念を持たれるようなことが決してあってはなりません。しかし、細田議長の言動には、その自覚のかけらも見られません。
今般、細田議長のセクハラ疑惑について、週刊誌報道がありました。複数の女性記者や自民党本部の女性職員などへの取材、証言に基づくものであり、事実無根の一言で終わらせるわけにはいきません。国民を代表する立場にある議長がセクハラ疑惑を指摘された時点で、議長の資格が鋭く問われているのです。
ところが、議長は、六月三日、立憲民主党、日本共産党などの議員らが説明責任を果たすよう申し入れた際には、国会が終わった後に訴訟で明らかにすると答えるのみでした。自らにかけられたセクハラ疑惑を晴らすことなしにその職にとどまることは、決して許されません。
二〇一九年のILO総会で、ハラスメント禁止条約が採択されました。日本も条約に賛成し、批准に向けた対応が迫られる中、日本共産党はハラスメントの禁止を法律に明記するよう修正案を提案しましたが、禁止規定は盛り込まれず、かつ、日本政府は批准もしていません。
今年五月、IPU、列国議会同盟が提唱する点検手法を用いての議会のジェンダー配慮への評価に関するアンケートが全衆議院議員に対して実施されました。超党派の、政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟の中川正春会長が、二月に細田議長と面会し、実施を要請したものです。その中には、国会には差別や性差別、ハラスメントがない職場を保証する行為規範や方針として明文化されたものがないが必要だと思うか、国会議員を対象としたハラスメント防止方針及びハラスメントや差別の苦情処理の仕組みはないが設ける必要があるかなどの問いが並んでいます。国際基準に照らしても日本の国会が大きく立ち遅れていることを認め、国会も変わるときではないでしょうか。
更に言えば、細田議長は、被害を受けた当事者が名のり出てくることはないとたかをくくっているのではありませんか。まして、記者は取材源を秘匿することが鉄則であり、被害者若しくは事実を知る同僚記者などが名のり出ることは困難であります。
四年前の財務省事務次官のセクハラ問題もありました。取材を通じてのハラスメントから記者たちを守るため、マスコミ各社ができること、やらなければならないことがあるのではないでしょうか。この際、マスコミ各社の皆さんにも心から呼びかけたいと思います。
加えて、細田議長は小選挙区十増十減の見直しを訴えていますが、この法改正の趣旨説明を行い、現行の小選挙区制を温存させた本人が、実施する段になって反対を訴えるとは、余りにも無責任です。中立公正でなければならない議長が、特定の法案について賛否を表明し、立法府が決めたことを尊重しないとは、議長の資質に欠けると言わざるを得ません。
さらには、細田議長の選挙買収疑惑も浮上しています。民主主義の根幹である選挙において、金の力で選挙をねじ曲げることは、決してあってはならないことです。選挙において不正を働いていたと疑われること自体、国会を代表する議長の任にある者として許されません。ましてや、河井夫妻の大規模買収事件が記憶に新しい中、何の反省もなく、同様の疑惑が指摘されたことは看過できません。事実であれば、そもそも議員の資格がないと言えるのではないでしょうか。
終わりに、議長は、慣例として、第一党が推薦した人物を選んできました。細田氏を議長に推薦した自民党が真相究明の立場を投げ捨てていることを厳しく批判し、その責任は免れないことを指摘して、討論を終わります。(拍手)