国会質問

質問日:2013年 11月 12日 第185国会 厚生労働委員会

社会保障制度改革プログラム法案 ―参考人質疑

(写真)参考人に質問する高橋ちづ子議員=12日、衆院厚労委

(写真)参考人に質問する高橋ちづ子議員=12日、衆院厚労委

 衆院厚生労働委員会は12日、社会保障改悪のスケジュールを盛り込んだプログラム法案の参考人質疑を行いました。神戸大学の二宮厚美名誉教授は「将来の社会保障に重大な禍根を残す」として、反対を表明しました。
 二宮氏は、法案の全体像に関わる問題として、「憲法25条に基づく人権としての社会保障という考え方を根本から覆し、『共助』に矮小(わいしょう)化している」と指摘。法案が社会保障制度の改悪内容にまで踏み込んでいることも「あらかじめ将来の審議(の結論)を先取りしており、勇み足だ」と批判しました。
 法案の内容も、社会保障に対する公的責任の限定化、収支のバランスを取るための給付の削減・負担増など「保険主義的な改革方向」が打ち出されていると強調しました。
 一方、介護保険利用者の渡辺いつ子さんは「物価が上がり、年金は下がり、生活は苦しくなる一方。そのうえ命綱である要支援のサービスまでカットされたら何のための消費税増税か分からなくなる」と指摘しました。
 日本共産党の高橋ちづ子議員は「『自助・自立』を基本としたプログラム法案は、社会保障の考え方を変えるものだ」と指摘。
 二宮氏は「基本は『自助』という流れが全体として向いているのが大きな問題。(収支相等という)保険原理が無制約に貫徹され、社会保障全体の屋台骨を揺り動かすことになる」と答えました。 
(しんぶん赤旗 2013年11月13日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、六人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中、御参加をいただき、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。時間の関係で、多分全員には質問できないと思いますけれども、御了解いただきたいと思います。
 最初に、遠藤参考人に伺いたいと思います。
 国民会議の全般について先ほど御報告があったと思うんですが、きょう伺いたいのは、医療提供体制の問題で伺いたいと思います。
 医療機関が担っている医療機能を都道府県に報告する仕組み、病床機能報告制度の創設が盛り込まれました。これは、当然、医療法改正につながると思うんですけれども、報告制度そのものがどのような効果をもたらすのでしょうか。ぜひ伺います。

○遠藤参考人 ありがとうございます。お答えいたします。
 たまたま、私、現在、医療保険部会の部会長とともに、その報告制度の検討会の座長もさせていただいておりますので、その関係もありますので、多少情報を持っておりますので、お話しさせていただきたいと思います。
 基本的には、ある地域の中での医療の需要と供給とのバランスというものをとっていこう、そういう考え方であります。
 これは、要するに、地域完結型医療にしようということになりますと、今までのように一つの医療機関が複数機能をたくさん持つというようなことではなくなるということを意味しておりますので、そうなりますと、地域の中で特定の機能の需要と供給のバランスがとれなければいけないということになるわけであります。それを、病床あるいは病棟の機能ということを都道府県に報告することによって、都道府県はどういう機能がその地域の中にあるのかということがはっきりしてくるわけでありますので、それをベースに、地域医療ビジョンという需給バランスを考えた医療ビジョンを構築していくというような流れになっているわけであります。
 報告制度そのものは、したがって、医療供給の、ある特性を都道府県に報告するという仕組みであるわけでありまして、それ自体では完成した形ではないわけでありまして、それを、情報をもとにしながら、都道府県あるいは二次医療圏の中での医療供給の体制をどう変えていくのかということが次のステップになるわけであります。
 そのためにどういう手法があり得るかということ、基本的には、一つはインセンティブでありまして、これは診療報酬であるとか補助金、もう一つは規制的な手法、これは医療法といったようなことになるかと思いますけれども、これらをどう組み合わせていくのかというのが次のステップの課題になるかと思います。これはようやく議論の緒についた段階であって、こちらの方はこれからの議論だ、こんなふうに考えております。
 目的は、したがいまして、地域の中での需給のバランスを整えていくための非常に重要な情報提供をする、そういうような目的で行っているということでございます。
 以上でございます。

○高橋(千)委員 多分、今の医療計画の中では見えてこないものを明らかにするということなんだと思うんです、遍在ですとか、そういうのをもっと整備してというお話なのではないかと思うんですが、ただ、やはり、地域完結型、それが望ましいとは思うんですが、それだけで果たして解決できるのか。次のステップに向かう上でも、非常に今疑問を持っているところです。
 それで、古屋参考人に先に伺いたいと思うんですが、先ほど医療費助成の復活の問題をお話しされておりました。私も、何度も国会で質問してきておりまして、特に宮城県は県単独の事業がなくなってしまいましたので、仮設住宅の住民の方たち、自治会長が本当に、皆さん署名を集めるなど取り組みをしておりまして、ぜひこれは復活させたいと思っています。
 そこで、今のお話なんですけれども、地域医療の現場にいる先生の立場から、医療提供体制について、都道府県が地域医療ビジョンを示す、そして地域包括ケアとか、さまざまなことが今検討されているわけなんですが、もともと医療資源の少ない地域にとって、例えば偏在対策とか、病床機能の再編とか、そういう中だけでは限界があるんじゃないかなと思っているんですけれども、伺いたいと思います。

○古屋参考人 古屋です。
 私も、医療が比較的少ない地域のことが得意というか、わかっていることが多いですけれども、病床の届け出みたいなことや、県の単位での、あるいはいろいろな単位での機能の把握ができたり再分配するみたいな、その考え方自体は非常にいいとは思います。
 一方では、病床が足りないところでは機能も分化もへったくれもないといいますか、例えば救急と在宅医療を同じところが担わなきゃならないような、大病院と在宅療養の支援診療所で成り立つような医療は困難であって、比較的中小病院が全ての方の医療をやらなければならないことが多いです。
 そういう中では、大きな機能分化をして、そこにお金の配分やら分担をしていくと何でもできるという考え方自体に異論を持っていまして、もっと地域の中小病院が、救急から、在宅から、日常的なゲートウエーの役割から、専門的な病院に患者を振り分けて送れるような機能が十分生かせるように、重点整備をしていただきたいなというふうに思っております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 この後の、報告をして全体像がわかった後で、使えるものといったら、今、地域医療再生基金の充実くらいですので、まだまだちょっとそれでは物足りないなというか、見えてこないなというのが私の問題意識であります。よくまた議論して進めていきたいなと思っております。
 そこで、山崎参考人に伺いたいと思うんですが、三党合意の最大の不一致点が、多分、年金制度改革の必要性についてではなかったのかと思います。国民会議は、支給開始年齢の先送りですとか、デフレ下でのマクロ経済スライドなどが検討ということで、骨格そのものは変えないという中身だったのかなと思っております。
 それで、年金生活者の六割が年金収入のみであるという現実ですとか、基礎年金のみの平均受給額がもう五万円を切るなど、無年金、低年金という問題は本当に深刻になる、なかなか出と入りだけの議論ではできないと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○山崎参考人 そういった低年金・無年金者問題につきましては、今回の改正法では年金生活者支援給付金法という形で、一歩踏み出したことにはなっているのでございますが、それでいいのかどうか、今後どのような本格的な取り組みを進めたらいいのかというのは、検討課題としてそのまま残っているというふうに思っております。

○高橋(千)委員 その一歩がなかなか、消費税で吸収されてしまうのかなということもありますので、これはやはり、単に財政の議論だけではなく、これ以上の低年金を放置しておけないのではないかということで質問させていただきました。
 次に、二宮参考人に伺いたいと思います。
 社会保障は自助自立が基本としたプログラム法案は解釈改憲だということを先生も、そういう御意見などもおっしゃっております。私は、実はそういう意見を委員会で質問したことがありまして、まさに社会保障の考え方そのものを大きく変えるものではないのかなと。
 特に、本人と家族の責任ということを自民党の憲法改正草案の二十四条にも入れ込んでいるわけですが、その精神が既に、これまで通った子ども手当の廃止を決めた児童手当法改正には入っておりますし、また、審議中の生活保護法改正案にもその精神が盛り込まれている、そういうときなのではないかなと思っています。
 そういう中で、社会保険が基本といっても、社会保険は本当は、先生がさっきおっしゃった収支相等の原則である保険、ただの保険とは違うわけですよね。そこのところと、それから、皆保険は維持していると政府は説明するんですが、私は違うものになっているんじゃないかと思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。

○二宮参考人 私の報告では若干割愛したところがあるんですが、改革推進法と国民会議の報告書の中身で、いわゆる自助を共同化したものが共助なんだ、その共助が社会保障の基本なんだ、こういう説明をなさっているんですけれども、同時に、社会保障制度改革推進法では、自助と共助と公助の適切なバランスをとるという言い方をしているんですね。
 これは、一般的には同じことを言っているというふうに理解されがちなんですけれども、厳密に言うと、自助の共同化が共助だという言い方をした場合の共助と、それから、自助、共助、公助というふうに三つ並べた場合の共助というのは、意味が違うので。
 といいますのは、自助の共同化というのが共助というふうに言った場合には、これは自助の集合ですから、あくまでも自助が基本なんですね。だから、共助といっても、原点は自助ですから、自助の共同化としての共助は、結局、最後は自助に引き戻されてしまう、そういう関係があって、その意味で、自助の共同化としての保険というのを基本にした社会保障の考え方は、究極のところ、結局、自助に行ってしまう。
 これを保険でいいましたら、自助の共同化というのは、社会保険のことを指すんじゃなくて、私保険のことなんですね、保険論でいきますと。自助を共同化して出てくるのは、社会保険じゃなくて、民間の保険、生命保険であるとか損害保険である。
 これが出てくるにすぎないから、実はこの一、二年の間に、共助としての社会保障という考え方も随分変化をして、結局、基本のところは自助なんだというところへ全体の流れが向いてしまっている。そこが実は大きな問題で、御質問にあった、共助としての社会保険というのが、結局、自助に還元されてしまう社会保険に行ってしまうものですから、医療保険も介護保険も、基本的には自助の共同化というところへ引き寄せられてしまう。
 ここから、参考意見で申し上げた、保険原理というのがある意味で無制約に貫徹するというところになって、社会保障全体の屋台骨を揺り動かしてしまうということになるのではないか、こういう理解で先ほど御意見申し上げた次第です。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 本当はもう一問聞きたかったんですが、また時間がきっとオーバーすると思うので、あと、それぞれの皆さんに本当は御意見をもっと聞きたかったということで、自分の意見を述べて終わりたいと思います。
 渡邉参考人は、本当に貴重な体験とそこからの提言、本当に感謝申し上げたいと思います。介護予防外しについても本委員会で質問をしておりまして、同じ立場で反対をしていきたいと思います。
 また、小黒参考人は、年金についてぜひ伺いたいと思ったんですけれども、ちょっと時間がなくて、次の機会にしたいと思います。
 いずれの問題も、社会保障四分野、プログラム法案は一応今四分野ということになっているんですけれども、まだ議論は始まったばかりなのかなと。国民会議の中では、遠藤先生、ずっと積み上げてきたものがあるかもしれないんですが、この国会の中ではまだ十分な議論をされていないし、さっきの医療提供体制一つとっても、その先に目指すものはどのようなツールでということをもう少し議論していきたいなということもありますので、ぜひプログラム法案の審議の充実を引き続いて委員長にもお願いしまして、きょうの発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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