国会質問

質問日:2013年 11月 8日 第185国会 厚生労働委員会

社会保障制度改革プログラム法案(介護問題)

利用料負担増を招く / 高橋議員 要支援はずし批判

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は8日の厚生労働委員会で、社会保障改革プログラム法案に関連し、約150万人の「要支援者」を介護保険給付の対象からはずして自治体の地域支援事業に移す問題について質問し、事業費抑制によるサービス低下や利用料負担増を招くと批判しました。

 高橋氏は、要支援者の「保険はずし」後の受け皿の実態をただし、受け皿となる「総合事業」を実施している保険者は44、利用者は677人でしかないことを明らかにしました。高橋氏は、保険給付を受けている134万人に対し、この程度の実績で同じサービスができるはずがないと指摘しました。
 田村憲久厚労相は、「新しい事業にそのまま移すのでサービスを担保できる」と強弁。高橋氏は、自治体の事業費に上限を設けて抑制するとしていることをあげ、同じサービスさえできなくなると批判しました。
 高橋氏は、地域支援事業への移行で利用料は自治体が定めるとされているが、介護保険と同じ利用料1割負担を下回ってはならないとされる一方、上限はないと指摘。「介護はずし」そのものだと強調しました。
(しんぶん赤旗 2013年11月10日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 きょうは、介護保険について質問させていただきます。
 介護保険が二〇〇〇年に創立されて以来、現在、第一号被保険者数は二千九百八十六万人、要介護、要支援認定者数五百三十三万人、十三年間で二・四倍に伸びました。サービス利用者は四百十四万人、特に在宅サービスの利用者は、九十七万人から現在三百二十八万人、三・三八倍にもなっております。
 介護が今後の社会保障制度改革の鍵になることは明らかであります。しかし、介護の社会化を叫び、大変な苦労や努力で、関係者たちの力でここまでつくってきた制度を、単なる財政的な視点から伸びを抑制せよと攻撃するのは、余りにも安易であります。老老介護や介護離職、あるいは、新入職者と同じくらい離職者が出ると言われる労働条件など、直面する課題と向き合い、充実、安心の介護へと向かうべきだと思っております。
 そこで、まず大臣に伺いますが、プログラム法案第五条に、「個人の主体的な介護予防等への取組を奨励する」とありますけれども、この「主体的な介護予防等への取組」、この意味はどういうことでしょうか。

○田村国務大臣 介護予防という意味では、高齢者の方々が積極的に社会に参加をいただくということ自体が、介護を予防していくという意味合いがあるというふうな意味を持っておるわけであります。
 市が中心になって、例えば、高齢者の方々を対象に、介護サポーターの養成でありますとか活動拠点の整備、こういうことをやっていく中において、介護予防教室でありますとか、また集いの場、こういうものをつくり出している地域もあるわけでありまして、そういうような形で、高齢者の方々が主体的に参加されていく。
 また、一方で、元気な高齢者が、支えを求められているそういう高齢者をしっかりとお手伝いしていく、そういう中において、今度は、そういう方々を支えている高齢者の方々が、実は介護予防にもなるという意味合いもあるわけであります。
 地域によっては、そのような活動の中で、ポイント等をつけまして介護保険の中で運用されているところもありますし、また、地域通貨などを利用して、そういうようなものに対しての一定の評価等々をやっているところもあります。
 やはり、家にふさぎ込まないといいますか、そうではなくて、社会の中で役割を担っていただきながら参加をいただく、そういうことも、積極的に高齢者の方々が介護予防をやっていただく、主体的な介護予防という意味合いとして、このようなものを念頭に置いております。

○高橋(千)委員 今大臣がおっしゃったように、主体的に個人が社会参加にかかわっていく、あるいは、それを通してみずからが介護を支える側になる、悪いことじゃないと思います。そういう社会は結構だと思います。
 ただ、今問題になっているのは、主体的ではなくて、介護が必要だとして介護の世界で給付を受けていた方たちが外に出されるという問題なわけですから、その主体的という言葉で済ませられる問題じゃないだろうということで、どういうお考えかなというのを聞かせていただきました。
 要するに、別な世界ですよね。主体的な世界と、サービスで、介護の世界で担保されているものが、主体的でしょうという話に移されていくというのが今問題になっているわけですから。具体の話に入りましょう。
 大臣も、介護保険が誕生する前、平成九年四月二日、厚生委員会で小泉厚労大臣に対して質問をしていらっしゃいますよね。保険料を払うと、当然、給付に対する期待は深まるけれども、サービス自体が充実されていないと制度自体が成り立たなくなるということを大臣自身が指摘されていらっしゃる。まさに、私たちがよく、保険あって介護なしと言っていることを懸念されていたのではないか。そういう事態が起こるのではないかということで、質問させていただきます。
 そこで、今回、二〇一五年から三年間で、要支援一、二の被保険者が新総合事業、地域支援事業に移されることになるわけです。
 そこで、現在、介護予防給付を受けている被保険者は何人で、介護予防・日常生活支援総合事業、つまり、今やっている事業を実施している自治体数、そして、それを受けている要支援認定者は幾らでしょうか。

○原(勝)政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成二十四年介護給付費実態調査によりますと、平成二十四年四月から平成二十五年三月までの一年間に、介護予防サービスの給付を受けた要支援一、二の被保険者は約百三十四万二千人でございます。
 また、平成二十四年度から導入いたしました介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村の選択により実施可能としておりますけれども、実施保険者数は、平成二十四年度二十七保険者、平成二十五年度四十四保険者、これは実施予定も含んでおりますけれども、四十四保険者となっております。
 また、介護予防・日常生活支援総合事業の対象となった要支援認定者の数でございますが、平成二十四年十一月末時点の状況を保険者から報告されたものによれば、六百七十七人でございます。

○高橋(千)委員 まさに、自治体が、保険者がこれは選択できる、今説明されたとおりであります。なので、実施しているところは、まだ二十七保険者であったと。今後、四十四とおっしゃったと思うんですけれども、利用されている方は六百七十七人しかいない。
 ですから、これから、介護保険の中の予防給付から外に出る予定の百三十四万二千人の方がいらっしゃるのに対して、受け皿はまだそういう状態だということをまず一つ大きな認識をしなければならないかと思うんですね。
 それで、資料の一枚目に、財政の図を描いておきました。現行が、「介護給付(要介護者)」「予防給付(要支援者)」、そして「地域支援事業」、それぞれの予算と、見直し後はこうなっていくということで、スキームとしては、介護保険から出ていたお金が新しい地域支援事業の中にそのまま移るわけだから、同じだということを言っていたわけですよね。
 でも、この点については、もうこの間の委員会でも議論をされているように、伸び率管理、いわゆる給付費の伸びは五・五から六%程度なのに対して、後期高齢者の伸び、三から四%程度に合わせるんだということで、上限をかけるということが三十日の社保審の介護保険部会に出されて、これは、これまで言ってきたことと全然違うじゃないかという指摘がされております。
 それと、二枚目を見ますと、現行のサービスと見直し後のサービスという比較があるわけですよね。
 現行のサービス、訪問介護、通所介護、訪問看護、訪問リハ、通所リハ云々というのが右に移っていく。ただし、右の方は、多様な担い手による生活支援などもあるということなんですけれども、こう見ると、今もメニューは基本的に同じで、それに多様な人が入るだけなんだというふうに見えるんです。
 ここの、点線から下の、訪問看護、訪問リハ、通所リハ云々、このサービスを今移したとして、現行で既にやっているところはありますか。

○原(勝)政府参考人 御質問でございますけれども、現在の介護予防・日常生活支援総合事業では、市町村の選択によりまして、介護予防給付と同じ種類のサービスを事業で行うことができる、すなわち、議員御指摘の二枚目の資料の下の方の部分も選択可能ということでございます。
 平成二十四年度事業実績報告によれば、一部の保険者は、上の方の訪問介護と通所介護のほかに、要支援者に対して介護予防給付と同様のサービスの一部を事業の中で実施していることが報告されております。

○高橋(千)委員 答え方というのは本当に工夫するものだなと思ったんですけれども、一部の保険者は上の方はやっていますと言ったので、下の方はやっていないという意味なんですね。
 つまり、予防給付の中でやられている大きなメーンのメニューが、現実にやっているところが今ないということなんですよね。そして、そもそも、総合事業をやっている事業者が本当に少ない。保険者がまだ二十七だというお話がありました。そういうところから今出発するんです。
 そういう中で、大臣がこれまで何度も答えている、必要に応じてサービスが受けられるという答弁はどう担保されるのでしょうか、大臣。

○田村国務大臣 今委員がおっしゃられました介護予防・日常生活支援総合事業でありますけれども、平成二十四年度からスタートして、その中で、通所介護でありますとか訪問介護等々を中心にサービスを提供いただく、これは保険者が選択をする仕組みになっているわけですね。
 今般、予防給付から介護予防・日常生活支援総合事業の方に各保険者全て移っていただくということになるわけでありますね、予防給付の部分に関しては。
 そのときに、今ある予防給付のメニュー、これはもうそのまま全て移していただくということでございますから、今あるものは新しい総合事業の方に移るわけでございますので、今サービスを受けている方々はサービスを担保できるわけでありますから、そのような意味では、ちゃんとマネジメント、これはケアマネジメントをやらなきゃいけませんけれども、適切なケアマネジメントにおいてメニューを受けていただくということになろうというふうに考えております。

○高橋(千)委員 そうすると、これはすごい矛盾するんですよ。同じことをやってくれと、それを義務づけるわけでしょう。だけれども、利用料とかは自治体で決めてもいい、しかもキャップはかかるから予算は減っていく。
 そういう中で、やはりそれは自治体だって困るのは当たり前じゃないですか。伸び率は抑えてくれ、しかし同じものをやってくれ、だったら今までの世界でやればよかった、それだけなんですよ。
 三枚目を見ていただきたいと思うんですけれども、移行のイメージというのがあって、これを見ると、サービス量はすごいふえるというイメージになるわけですよね。それで、「段階的な移行」があって、「新しい総合事業」に移ると、サービス量がうんと飛躍的にふえる。
 それで、どういうことがあるかといいますと、利用者が多様なサービスを利便性に合った形で選べる。食器洗い、洗濯物取り入れ、ごみ出しなど、単独では組みづらかったものも利用可能ですよと。あるいは、上の方は、外出支援、寝具類の洗濯乾燥とか、これはわざわざ書いていますが、過去一般財源化された事業も受けられますよなどということを書いている。見守りとか書いているんです。
 これは、いろいろなメニューがあります、確かに選べるのかもしれません。そうすると、これは、一人の利用者に対して、いろいろな事業者が、入れかわり立ちかわり、それぞれの担当です、事業者だったり、ボランティアだったり、そういう形に細切れでサービスがやられるということになるのでしょうか。そして、細切れでいろいろな人が来るということを足し上げていくと、当然、負担がふえることになると思いますけれども、その利用料の考え方はどのようになるんでしょうか。

○原(勝)政府参考人 予防給付の見直しに当たりましては、高齢者の多様なニーズに応えるために、市町村が中心となって、住民自身が運営する体操の集いの地域展開など、地域で多様なサービスが提供されるような地域づくりを推進していきたいと考えております。
 この取り組みにより、利用者が選択できるサービスが多様化するとともに、それらの多様な主体によるサービスの中から、市町村の地域包括支援センターによるケアマネジメントに基づきまして、それぞれの高齢者にふさわしいサービスがきめ細かく提供されることになると考えております。
 また、負担の問題でございますけれども、地域で提供される多様なサービスの内容に応じてサービス単価を設定することが重要であると考えております。例えば、専門職が必要なサービスを行う場合には、専門職の人員配置を前提とした適切な単価を設定することが適当でありますし、国としてもガイドラインの策定などを通じて支援することを検討しております。
 また、生活支援のニーズへの対応においては、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者を支える地域づくりが重要と考えておりまして、専門職によるサービスとともに、住民主体のサービスをふやしていくことで、重層的な生活支援サービスの提供体制を実現できると考えております。
 議員お尋ねの利用者負担の問題でございますけれども、地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた市町村による利用料の設定を可能とする方向で検討していきたいと考えております。
 あわせまして、予防給付の事業者が地域支援事業に移行した場合のサービスの利用料につきましては、介護給付の利用者負担割合、現在一割負担ということでございますけれども、そういったことも勘案しながら、市町村が設定する仕組みを検討していきたいと考えております。

○高橋(千)委員 ちゃんと言ってください。今、一割負担を勘案しながらと言いましたけれども、一割負担より安ければだめなんでしょう。

○原(勝)政府参考人 私どもとしては、要介護度が重い、重度な要介護一から五の方が一割負担ということでございますので、そのバランスを考えますと、やはり、軽度な方については、そうした介護給付における利用者負担割合を下回らないようにすることが必要ではないかと考えております。

○高橋(千)委員 そういうことなんですよ。そこだけ平仄を合わせるということで、一割負担よりも下がってはならない。ただし、上限は、ここでの利用料についての上限はないわけですよ、保険じゃないわけですから。
 だから、多様なサービスを受けられますよ、選べますよ、メニューはいっぱいあるけれども、定率じゃありませんので、これはどれだけになるかわからないということになる、そういうことではないでしょうか。そこは明確にお答えにならなかったけれども、そういう意味だと思います。
 そこで、小さい自治体などでは、やはり新しい地域支援事業の担い手となるNPO、多様な担い手といったって、実際にはなかったりするわけですよね。そうなると、介護保険を今やっている事業者が、同じ人がやることになることもあるわけですよね。
 そうしたら、同じ事業者が担い手なのに、結局、こっちの世界に来ると、利用料を下げてくれ、負担を下げてくれ、要するに人件費を下げてくれ、そういうことになっては大変なことだと思いますが、いかがですか。

○原(勝)政府参考人 予防給付の見直しに当たりましては、繰り返しでございますが、高齢者の多様なニーズに応えるために、市町村が中心となって、地域で多様なサービスが提供されるように取り組みを推進することが大変重要ではないかと考えております。
 したがいまして、今御指摘のように、地域にNPOなどの活動がなくて、既存の介護事業者しかいないような、例えば小規模な市町村、そういう場合には、市町村は既存の介護事業者にお願いをするということにそれはなるのではないかと思いますが、既存の介護事業者であっても、市町村のケアマネジメントに基づき、要支援者の状態像に合った多様なサービスの提供にぜひ努めていただきたい。
 もちろん、中には、そういう専門職がきちんと介入したようなサービスというものを当然提供しなきゃいけないという判断があれば、従来に相当するようなものが提供されても、それはあってもいいと思いますけれども、それはあくまでもそのケアマネジメントに基づいて、状態像に応じたサービスの提供ということが大事じゃないかと考えている次第でございます。
 なお、規模の小さい自治体ではそういった互助の取り組みがないんじゃないかというようなことかもしれませんが、例えば、鹿児島県の人口約一千六百人の離島の村においては、行政と連携をとりながら、住民が主体となった活動による介護予防と生活支援の取り組みを推進しているような事例もございますので、そういった取り組みに対して、私どもとしてもしっかりと支援をしていきたいと考えております。

○高橋(千)委員 それは逆に言うと、無理やりそうやって互助会みたいなものをつくるなんて話になっちゃって、せっかく今まで苦労して支えてきた事業所が潰れかかっているんですよ、そのことによって。こんなおかしな話はないじゃないですか。
 あるヘルパーの方がこう言っています。低賃金の上、交通費は支給されず、トイレは公衆トイレを使い、食事も公園や車の中です、それでも歯を食いしばってやっていたのに、制度改正で、サービスの利用時間が六十分から四十五分へ短縮され、収入も仕事も減り、半分近くがやめてしまった。これが実態ですよ。ヘルパーさん、みんなそういう思いをしているじゃないですか。制度のおかげで、どんどん切り詰められて、細切れにされて、頑張って支えてきた人たちが失われているんですよ。
 今度の要支援外しは、まさに、サービスを必要としている人たちを追い詰めるだけではなくて、支え手まで奪う悪循環になってしまうではありませんか。大臣、いかがですか。

○田村国務大臣 これは、まず、今、要支援者の方々は介護保険の中での事業を受けていただいておられて、それは事業所の方々がやっておられる。そこは全国一定の、画一的なサービスが多いわけですね。そういうものを受け、ほかにもっと求めている方々もおられるわけですね。それは地域性もあるでしょうし、いろいろな状態の方もおられる。そういうものをひとつ提供していくということがあります。
 そうすれば、今の事業者の方々がはじき出されるじゃないかというような今御意見だったというふうに思いますが、このままでいったら、介護保険本体の方でも介護職員が足らなくなってくるんですよ。それはもう御承知のとおりだと思います。全然足らないですよ。
 しかも、要支援のところも、今から団塊の世代が要支援に押し寄せてくるんですよ。これは今の事業者だけじゃ対応できませんよ。ですから、やはり多様なサービス主体というものをつくっていかなきゃならない。介護、パンクしますから。
 そういうこともあって、今回、もちろん、それで質が落ちたりなんかしちゃいけませんから、十分に配慮しなきゃいけませんけれども、こういう提案をさせていただいているんです。
 むしろ、そういう方々、専門職の方々は、いろいろなニーズというのがこれからありますから、そちらの方で、より重い方々のサービス提供をしていただいた方が私はいいのではないかというふうに思います。

○高橋(千)委員 ですから、最初に言ったように、高齢者の社会参加を目指すために、いろいろな取り組み、多様な担い手、それは否定はしません。でも、それで置きかえてはならないんです。
 さっき、ちょっと、介護がこれからどんどんふえるから大変だとお話しされました。それは十分わかっていますよ。だけれども、頑張って支え手になってきた人たちがどんどんやめていく中で、それは支えられないじゃないですか、これからふえていく介護だって。だからこそ、今、頑張っている人たちの正当な報酬というんですか待遇改善ということもセットでやっていかなければ、安上がりの労働力でいいんだという思想ではだめなんだということを言っているわけです。
 それで、ここはちょっと言い切りにしますけれども、北海道の民医連の調査の中で、要支援の方二百六十九人に調査をして、ひとり暮らしが百六十六人とか、老老介護が五十人、そして九九%、ほとんどの方が何らかの疾病を持っていて、療養支援が必要だというんですね。がん末期が八人、認知症が七割です。
 つまり、要支援という言葉は、軽度者、軽い人ではないんです。介護が必要ない人とイメージを植えつけてはならないんですね。特に、知的、精神、内部疾患、そういうものを抱えている高齢の障害者の皆さんが、なかなか、認定では軽く出ちゃう、そういう問題があるわけですよね。
 だから、本当であれば、要支援でないとちゃんとしなければならない、そこも解決しなければならないし、ひとり暮らしの老人や老老介護とか、そういういわゆる社会的弱者、そういう中での要支援という問題が今起きてきているんだということを提起されていらっしゃるんですね。私、ここは本当に受けとめていただきたい。ここは、きょうは問題提起にします、次の質問がどうしてもしたいわけですので、指摘をしたいと思います。
 そこで、障害のある高齢者について、介護保険の優先原則、これが大きな壁になっております。
 総合支援法第七条の優先原則は廃止すべきだと思います。これは、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会でも意見が出されて、骨格提言にも反映されています。また、本当であれば、障害者総合支援法の法案審査の段階でも意見があった、民主党さんに質問したいくらいですけれども、あったわけです。
 そこで、改めて聞きます。
 なぜ六十五歳になったら同じサービスが受けられなくなるのか、なぜ介護の世界になって負担もふえるのか、おかしくないでしょうか。

○蒲原政府参考人 お答え申し上げます。
 障害者総合支援法と介護保険法の適用関係についてでございますけれども、障害者につきましては、他の障害者でない方と同様に、四十歳以上になりますれば介護保険料を支払っていただくということになっております。
 一方で、サービスの利用に当たりましては、現在の社会保障制度の原則であります保険優先原則という考え方のもとで、介護保険のサービスによりまして障害者サービスと同等のサービスを受けられるような場合については、まずは介護保険制度に基づくサービスを利用していただくということになっているわけでございます。
 ただし、介護保険サービスに相当するものがないような、障害福祉サービス固有のサービスと認められるもの、こうしたものにつきましては障害者総合支援法に基づくサービスを受けることができますし、また、市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによっては確保をすることができない場合、こうした場合についても障害者総合支援法に基づくサービスを受けることができる、こういうことになっているわけでございます。
 こうしたことから、六十五歳になるまでに受けていたサービスが受けられなくなるということはなく、市町村において個々の障害者の状況に応じた必要なサービスが提供されるものというふうに考えております。
 また、介護保険法に基づきますサービスに係る利用者負担につきましては、高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費等によりまして所得に応じた負担限度額を設けるなど、低所得者への配慮を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、介護保険優先原則につきましては、障害者とそれ以外の方々との公平性、あるいは給付に係ります財源のあり方等を含めまして、総合的かつ慎重な議論が必要であるというふうに認識をいたしております。

○高橋(千)委員 今いろいろ説明をいただいて、通知を何回か出していて、それで優先原則は変わらないんです。これは変わらない。だけれども、介護にはないサービスなどであれば、それは障害の世界で受けられるよということを言ってきた。だけれども、現実にはいろいろな問題が起こっているわけですね。
 岡山市の肢体障害者である浅田達雄さん、九月十九日に提訴に踏み切ったわけですが、ひとり暮らしで一日八時間の重度訪問介護を受けておりました。これは、身体、家事、見守りなどのセットでいろいろなサービスを受けていて、住民税は非課税なので利用料は無料だったんですね。
 ところが、六十五歳になるに当たって、介護が必要なんだよと言われて、しかし、一割負担だと今受けているサービスをもし受けるとしたら自己負担は十万くらいかかるよと言われて、実際そうなんじゃないですよ、大臣、言われて大変不安になって、とてもこれ以上は負担はできないということで、介護認定を受けなかったんですね。そうしたら、認定を受けないから優先原則を破ったということで、福祉サービスを打ち切られました。
 まず、これが間違いですよね。そもそも、説明をしないでいきなり打ち切られた。そもそも、介護の世界ではないサービスをたくさん受けていたにもかかわらず、とにかく、認定を受けなかったから優先原則を果たせないということで打ち切られたわけであります。今、やむなく介護認定を受けて、月一万五千円の自己負担になっております。
 ただ、この間、この浅田さんが、サービスを数カ月受けられなかったわけなんです。それで、行政に不服審査をしているわけなんですが、その間に、支援の方たちが数十万円カンパを集めたりして、支えてくれたんですね。だって、そうしなかったら生きていけないわけですもの、重度肢体不自由者だったわけですから。
 それをもってですよ、それをもって、これはぜひ聞いていただきたいんです、大臣。岡山市が弁明書を、こんなことを書いています。本件決定は、憲法二十五条に違反しない。審査請求人は、現在、支援者からの援助のほか、献身的なボランティアによって当面の自立生活を送ることはできているところなので、本市は、本件決定時において、支援者から援助がやられているので、生存権を侵害しておらず、憲法二十五条に違反しない、こう言ったんですよ。
 市は何もしていないんですよ。やむにやまれず助けている人たちを見て、いや、別に生存権は侵害していないでしょうと。こういうことはあってはいけませんよね。ボランティアで支えているからと、まるで先取りみたいなことを言っているわけですけれども、それでは違うと思うんです。
 これは個別案件だから答えられませんと言うと思うんですね。だから、私は、岡山市についてどうこう言えとは言っていません。こういう機械的な対応が絶対あってはならないし、まして、ボランティアだからいいんだなんということがあってはならないので、間違いのない対応を絶対していただきたいと思うんですが、大臣に一言お願いします。

○田村国務大臣 今の事例は、私、ちょっとわからないんですけれども、重度で身体障害で、普通でいくと介護で代替できるようなサービスなのかどうなのかというのは、ちょっと私は疑問な点が多いので、またそういうようなことがないように、我々としてはしっかりと周知徹底していかなきゃならぬと思います。
 また、具体的な内容がわかれば、教えていただければ、こちらの方でまた判断させていただきたいと思います。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。ぜひお願いします。
 終わります。

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