国会質問

質問日:2022年 4月 20日 第208国会 国土交通委員会

盛土等規制法案及び六会派提出修正案についての賛成討論

○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました盛土等規制法案及び六会派提出修正案について、賛成の立場から討論を行います。
 法案のきっかけは、昨年の死者・行方不明者二十八名もの犠牲を出した熱海の土石流災害でした。崩落した盛土は、県への届出量の三倍にもなる産廃混じりの残土であり、人災です。長年こうした事案を多数認識しながら、放置してきた国の責任も厳しく問われるものです。
 二十一都道府県を始め、独自に土砂条例等を定めている市町村も多くあります。しかし、規制が弱い、あるいは規制がない自治体に残土が運び込まれる事例等が後を絶たず、全国一律の規制と立法化が待たれていました。
 本法案は、盛土や一時的な土石の堆積及び土捨て行為も含め、知事の許可制などとし、管理者責任の明確化、盛土等工事の中間検査の実施、罰則の強化などを定めており、必要なことです。また、許可盛土等の公表を通じて、周辺住民への周知や住民からの通報を促すなどの規定は重要です。なお実効性を上げるために、国による自治体への人的、財政的支援は不可欠です。
 論点の一つは、規制区域の設定についてです。
 政府案は、人家等に被害を及ぼし得るエリアとして、宅地造成等工事規制区域及び隣接する特定盛土等規制区域を指定するとしています。しかし、区域を限れば、区域外に盛土が集中することは避けられません。さらに、区域指定に当たって、自然環境、生態系への影響は考慮されません。有識者会議や参考人からも意見があったとおり、人目のつかない山林などに投棄されてからでは発見も難しく、原状回復は困難になります。区域は限定せず、許可に当たっては、環境アセスや住民等の意見聴取などを行うべきです。
 論点の二つ目は、盛土に使われる土砂の多くが、トンネル掘削工事等で発生する建設残土であることです。
 建設工事で発生する土砂は、工事現場内や工事間利用により発生を抑制することが原則です。それ以外の建設発生土は年間約六千万立方メートルに上りますが、うち、利用先も最終処分地も決まらずに一時仮置場などに堆積される事例が散見されます。また、リニア中央新幹線のトンネル工事では約五千六百八十万立方メートルの膨大な建設残土が排出され、その約三割は最終受入先が決まっておらず、土砂災害警戒区域内の仮置場に堆積されている地域もあります。
 建設残土については、その発生者が最終処分まで責任を持つことを義務づけるべきです。公共工事で実施している指定処分制度を民間工事も対象にすること、産廃のマニフェストのようなトレーサビリティー制度を具体化すべきです。また、大規模な残土を排出する建設工事は、建設残土の最終処分先を確保することなしに工事に着手できないこととするべきと考えます。
 党としても、このような修正案を準備してきました。この度、四会派共同の修正案提出が実現し、質疑も行われたこと、これを踏まえて更に全野党共同による修正案に実ったことは大いに歓迎するものです。
 以上を述べて、賛成の討論とします。(拍手)

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