国会質問

質問日:2022年 5月 20日 第208国会 国土交通委員会

省エネ目標引き上げよ

新築建造物 高橋氏求める

衆院委で可決

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=20日、衆院国交委

 住宅を含むすべての新築建造物に省エネ基準適合を義務付ける建築物省エネ法案が24日の衆院国土交通委員会で全会一致で可決しました。

 20日の同委での質疑で日本共産党の高橋千鶴子議員は、本法案の成立は2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)という政府目標を実行するためには最低限の条件だと指摘。日本のエネルギー消費の約3割、電力の最終消費の6割以上が住宅・建築物など「業務・家庭部門」で消費されていることを示し、削減目標の引き上げや前倒しを求めました。

 今回義務付ける省エネ基準「断熱等級4」も決して高い水準ではないとして、新築戸建てではすでに8割が満たしていると政府に認めさせるとともに、既存住宅のリフォーム推進、アパートの貸主への思い切った支援が必要だと主張しました。

(「しんぶん赤旗」2022年5月31日付)

-議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今回の建築物省エネ法案を提出するかどうか、政府の温暖化対策への本気度が問われていたと思います。二〇五〇カーボンゼロを確実に実現するためには、二〇三〇をどの水準で迎えるかが決定的であり、本法案の成立は最低限の条件だと思います。
 資料の1を見てください。
 地球温暖化対策計画におけるCO2削減目標は、円グラフの真ん中、これは全体の話です。原油換算で六千二百四十万キロリットルです。そのうち、住宅、建築物の削減目標は八百八十九万キロリットルで、一四・二%。同計画は、全体としては二〇一六年五月十三日閣議決定の目標五千三十万キロリットルからは一千二百十万キロリットル上積みされておりますが、構成比で見ると、住宅・建築分野で見ると、一四・五%であった従前の目標と変わらない。むしろ減っているのはなぜでしょうか。

○淡野博久政府参考人 お答え申し上げます。
 二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の実現に向けまして、昨年十月に改定されましたエネルギー基本計画におきましては、省エネルギーの徹底が必要とされ、御指摘のとおり、我が国全体で二〇三〇年度に約六千二百万キロリットルの省エネルギーを目指すこととされております。これは、改定前のエネルギー基本計画における省エネ量の約五千万キロリットルに対しまして、二割の深掘りに相当いたします。
 建築物分野におきましても、改定前の計画が約七百三十万キロリットルの省エネを目標としておりましたので、今回の計画において約八百八十万キロリットルというのは、こちらも約二割分、目標を強化することに相当してございますので、我が国全体としての省エネルギー量の増加割合とおおむね同じ割合分、目標を強化するという結果になっているものでございます。

○高橋(千)委員 そうおっしゃると思ったんですけれども、住宅、建築物がほぼ全てを占める業務・家庭部門におけるエネルギー消費は、全エネルギーの約三割、先ほど来言われていることです。日本の電力の最終消費の六割以上がこの両部門で消費されていると思います。当然、政府全体の目標を達成するためには、目標の引上げ、前倒しが求められる分野です。
 しかしながら、前回法改正時に適合義務化を見送っただけではなく、今国会は当初は提出を見送る考えでした。政府全体の目標に貢献しないばかりか、足を引っ張っていたのではないでしょうか。

○斉藤鉄夫大臣 そうではございません。
 まず第一点目の、前回、適合義務化を見送ったということでございますが、住宅及び小規模な非住宅建築物については、二〇一九年、前回の法改正時でございますけれども、省エネ基準への適合率が、二〇一六年時点で住宅は約六割、それから小規模な非住宅建築物は約七割にとどまっていたこと、それから、中小事業者を始めとする関連事業者の多くが省エネ技術に関し未習熟な状況にあったことを踏まえ、省エネ基準への適合義務づけではなく、省エネ基準への適合を建築主に促す措置として、建築士による建築主への省エネ基準への適合状況の説明義務制度の導入等の措置を講ずることとしたものです。
 意外と、建築士が建築主に説明すると、じゃ、やろうというような例がここ二、三年非常に増えてきたということで、今回、義務化にさせていただくということでございます。
 次に、この法案の国会の提出のタイミングにつきましては、当初は検討中の法案とした上で、原油価格等の高騰対策が急務となる中、住宅の省エネ化など、経済構造の転換が必要になっていること等も踏まえ、政府全体として検討、調整を進め、本年四月二十二日に本法案を閣議決定いたしたところでございます。
 国土交通省としては、地球温暖化対策に関する政府全体の目標の達成に貢献すべく、本法案を通じた建築物分野の省エネ対策について、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

○高橋(千)委員 そうではございませんと、今日は珍しく、大臣、そこだけははっきりと力強く御答弁をいただいたと思うんですが。
 先ほど来、法案に非常に不備があるんじゃないかという指摘があったと思います。だけれども、それは私もそのとおりだと思うんですが、昨年もずっとあり方検討会は議論をしてきたわけですよね。それで、本当は五回で終わるといったものが、五回で終わらないくらい議論が伯仲した。そういう中で、当然法案を通すんだというつもりで準備をしてきたわけですよ。そのことからいって、それを最初は出さないつもりだった、それも非常に政治的な理由ですよね。やはりそこは真摯に認めるべきではないか、このように思います。
 しかも、市場が未成熟ですとか、六割、七割というお話もありましたけれども、そもそも、今回義務づけようとしている等級の四が、もうかなり世の中的には、世界レベルからいっても遅れているんだ、やっと今そこなのかということが問題になっていると思うんですね。あり方検討会では、二〇三〇年、新築はZEH基準を義務化するべきだという意見も多く出されたと思います。
 資料の2を見てください。
 省エネ性能に係る上位等級の創設ということで、ZEH基準は省エネ等級五に当たるということですが、既に説明があったように、この等級は今年四月の施行で初めて定義づけられて、六と七は十月ということであります。したがって、今回義務づけする断熱等級四は決して高い水準とは言えないわけですよね。今ある戸建てあるいは集合住宅、それぞれでどのくらいあるのか。
 また、これまで届出制だったとはいえ、新築では既に省エネ基準を満たしている住宅が大勢を占めていると思いますが、いかがですか。

○淡野博久政府参考人 お答えを申し上げます。
 住宅ストックのうち、現行の省エネ基準の水準でございます断熱等級四を満たす住宅の割合は、二〇一九年度時点におきまして、一定の条件の下での試算によりますと、約一三%となっております。戸建て住宅については約一二%、共同住宅においては約一五%と推計してございます。

○高橋(千)委員 後ろの方を答えていませんよ。新築も聞きました。

○淡野政府参考人 新築につきましては、全体で約八割となっております。

○高橋(千)委員 何が言いたいかというと、義務化はしていないけれども、既に新築は八割なんですよ。だから、断熱等級四というのはもう当たり前にできていることなの。だから、できていないところにきちんと手当てをしてやれば義務化というのはできたんです。ZEH基準はまだ二五%、集合では二〇%というレベルでありますけれども、ここを引き上げていくのが求められていると思います。
 そこで、省エネリフォームに低利融資が提案されておりますが、五千三百万戸の既存住宅のうち、省エネ基準を満たす住宅をいつまで、どのくらい達成しようと考えているのか。
 その際、等級四以下で新築して、もう住んじゃっているお宅の省エネ水準を引き上げることも目標にあるか、伺います。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、二〇一九年度における住宅ストック約五千三百六十万戸のうち、省エネ基準を満たす住宅の割合は約一三%と推計してございます。
 本法案に基づきます各種の措置あるいは融資、税制等の措置を講じることによって、補助、税制による支援措置と相まって、二〇三〇年度時点における住宅ストックのうち、現行の省エネ基準を満たす住宅の割合として、一定の仮定の下での試算により約三〇%を目指すとしております。

○高橋(千)委員 二〇三〇年で三〇%ですか、かなり低いですよね。
 それで、その際、さっき、また後ろで言った質問、ですから、義務化されていなかったので等級四も十分じゃないよねと、私言いました。三の人も二の人もいるわけですね。そういうところも、新築しちゃったけれども、やはり省エネ水準を引き上げるということもありますか、目標にしますかと聞いています。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの、二〇三〇年度時点の三割という推計値でございますけれども、こちらは新築によって稼ぐというだけではございませんで、現行の省エネ基準を下回るような水準であった住宅の、改修によって性能が引き上げられて満たすようになったものも含めた数値となってございます。

○高橋(千)委員 新築だけではございませんでとおっしゃいましたが、逆。聞いたのは、既存住宅の目標を聞いたんです。その中に、建てたばかりだけれども等級が四以下のところも目標にしますかと聞きました。

○淡野政府参考人 済みません。質問の趣旨がちょっとよく把握できなかったものですから、ちょっとこのお答えで正しいかどうかは分かりませんけれども、新築で基準を満たすものが建築され、かつ、既存についても、今建てられているもので基準が不適合なものが性能が向上するということも含んでおります。
 一九八〇年基準を下回る、いわゆる無断熱レベルのストックの比率がどの程度まで引き下げられるかという点で参考までにお答えを申し上げますと、足下では、一九八〇年基準を下回るストックの戸数が全体に占める比率は二九%でございますけれども、それを約一割に減らしていくということを目指すこととしてございます。ストックについても、質の低いものの比率を引き下げていくということを同時に進めていきたいと考えております。

○高橋(千)委員 そうですよね。
 私が聞いたのは、古い、それこそ無断熱の住宅をまず早く改修しなくちゃいけないよねというお話と、せっかく最近建てたんだけれども、結局、義務化されていなかったがためにまだ四である、あるいはそれ以下であるという住宅もありますよねと、それを分けて聞いたんです。
 今は、無断熱の一九八〇年レベルのやつが二九%のところを、一割に下げるとお答えになりました。ということは、あと、四以下の、既に省エネ基準を満たしているけれども、更にアップするという目標を持っていますかと。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 申し訳ございません、ちょっと理解が悪くて。
 現在、基準が適合義務化されておりませんので、一部、八割以外の、二割の方は基準に適合していない状態でございますので、その方々が今後、二〇三〇年までに改修するということも含めているのかと。
 支援対象として、そういう方々も支援対象にはなってまいりますので、そういう方が性能を引き上げるということも踏まえまして、三〇%にはそういう方々も含むことになります。

○高橋(千)委員 ここを結構はっきりさせないと駄目だと思うんですよ。
 八七%が基準を満たしていないというお話がありましたよね。無断熱の話がありました。それを一割に下げたとしても、でも、その間が、義務化されていない時期に断熱をやったつもりでいる、せっかくお金をかけてやった、けれども、それじゃちょっともう今の水準には合わないのよ、ZEH基準をやるべきよとか、そう思った方たちにもう一度応援するということをしなければ、全体の目標が引き上がらないんだよということを言っているんです。そういうつもりでよろしいですよね。

○淡野政府参考人 引き続き、今建っているものより高い水準を目指していただくことが必要だという、そのとおりでございます。

○高橋(千)委員 これは検討会の中でも言われているわけなんですよ。つまり、義務化が遅れた分だけ、今の水準で、だから、今の水準、これから義務化する四というのは、もうほとんど定着するわけですよ、建てているときには。だけれども、それが義務化じゃない時期が長くなった分だけ、もっと本当は高い水準を望むべきだったのに、そうでないところがいっぱいあるんだ、そこをちゃんと認識しなきゃ駄目だという意味で言わせていただきました。
 それから、アパートの個人経営である大家さん、分譲マンションとかではなくて、普通のアパートの個人経営である大家さんにも支援策、五百万とかの融資ではなく、もう少し大きなものが必要じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 賃貸共同住宅につきましても、従来からのZEH等への支援に加えまして、令和四年度予算におきまして、住宅エコリフォーム推進事業を創設し、住宅の居室等をZEH水準の省エネ性能に改修する場合について、国が直接支援を行うこと、さらに、住宅金融支援機構におきまして、省エネ性能の高い賃貸住宅の新築等に対しまして融資を実施するなどの取組を行ってまいります。
 国土交通省といたしましては、これらの施策を通じまして、賃貸住宅の省エネ性能の向上に努めてまいりたいと存じます。

○高橋(千)委員 ここも周知をお願いします。
 今日、鳥取県の話題で持ち切りだったと思うんですが、あり方検討会のメンバーでもある全国知事会会長の鳥取県知事は、NE―STな家とネーミングをして、ネクストスタンダードということだそうですが、とっとり健康省エネ住宅性能基準を設けて、やはり、UA値〇・三四、国が今回基準として設けるのは〇・八七、要するに、熱を逃がさないということで、低い方が逃がさないわけですよね。国基準は〇・八七、ZEHでも〇・六〇ということですから、更に国よりも二段階以上高いレベルを平均の目標としているわけなんです。検討会でプレゼンも行っておりますが、既に義務化をしている欧米に匹敵する目標だと思います。
 ホームページの中で、冬も暖かく、快適で、コストパフォーマンスがいいという実績を挙げていて、とても分かりやすいコマーシャルをしています。エアコンを切っても室温が下がらず、一階のエアコン一台だけで二階まで暖かい、年中春のように家事ができる、薄手の部屋着で快適なので肩凝りが改善したとか、以前は寒くてなかなか起きられなかったが、すっと起きられる、ばたばたすることなく、いらいらも減ったなど、全部私がいいなと思うやつなんですけれども。
 そういうやはり断熱、省エネ住宅、確かに最初はお金がとてもかかります。でも、それが本当に、いずれ健康という形で返ってくるんだよということを分かりやすくPRする素材を提供する、周知していく工夫が必要だと思いますが、どうでしょうか。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 断熱、省エネ性能の向上によるメリットといたしましては、光熱費の低減による経済的な効果ですとか、あとは、住宅の温熱環境の改善によるヒートショックの防止等の健康面への効果があるものと考えております。
 昨年四月に施行されました小規模建築物に関する説明義務制度の運用に当たりましても、建築士から建築主への省エネ性能に関する説明の際に、断熱性能と健康の相関関係に関する情報も併せて紹介されるよう、国の補助事業によりチラシ等を作成し、提供しているところでございます。
 今後とも、住宅の省エネ性能向上に向けて、関係省庁とも連携しつつ、断熱化に伴うこのようなメリットにつきまして、周知普及を図ってまいりたいと存じます。

○高橋(千)委員 再エネのところで一つだけ聞きたいと思うんですが、再エネ促進区域のイメージを伺いたい。
 どんなのを、要するに、面積というんでしょうか、範囲というんでしょうか、そういうのをどんな区域に設定しようと考えているのかということと、当然、ゾーニングをする以上は、個々のお宅に再エネをということではあるんだけれども、既存住宅も含めて設置していくということが大いに期待されていくと思うんですが、そのための支援策はどんなことを考えていらっしゃいますか。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案におきましては、市町村は、基本方針に基づきまして、建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進を図ることが必要であると認められる区域について、促進計画を作成することができることとしております。
 導入することが効果的な再生可能エネルギーは地域によって異なりますが、例えば、太陽光や太陽熱につきましては年間を通じて日照に恵まれた地域、風力につきましては海岸沿いの地域など一定の風速が得られる地域など、地域の自然的な条件に応じた再生可能エネルギーの利用を促進していくことが考えられます。
 本法案により、促進区域におきましては、建築物の新築や改修に際し、設計段階における建築士から建築主への再生可能エネルギー利用設備の導入効果等の説明義務、再生可能エネルギー利用設備の設置に係る形態規制の特例許可の措置が講じられることにより、建築主による自発的な設備の導入を促進していくこととしておりますが、特に既存住宅につきましては、再生可能エネルギー利用設備の設置につきまして、FIT、固定価格買取り制度による支援に加え、リフォーム税制や本法案により創設する住宅金融支援機構の低利融資などの支援策を講じることにより、再生可能エネルギー利用設備の設置を支援してまいりたいと存じます。

○高橋(千)委員 そうですよね。今回のは、むしろ目的としていいことなんだよということで、それ自体の、促進区域自体の支援策があるわけではないけれども、制度を利用してというお話だったと思うんです。
 ただ、今最後にFITの話をされましたけれども、検討会の中で、やはりFITはもうかなり安くなっていて、それはメリットにならないよ、むしろ自家消費なんだという議論があったと思いますが、その点は視野に入っていないんでしょうか。

○淡野政府参考人 お答え申し上げます。
 買取りもそうですけれども、自家消費を推進していくことは、国土強靱化の観点からも非常に重要だというふうに考えております。

○高橋(千)委員 それでこそ本当のプラマイ・ゼロのエネルギーになっていくと思いますので、これは是非進めていって、それがメリットになるということを構築していただきたいと思います。
 それで、資料の3なんですけれども、先ほど古川委員からも少し御紹介がありましたけれども、これは全建総連の工務店のアンケートです。建設現場は、昨年来のウッドショックに加え、あらゆる資材の高騰や給湯器やトイレなどの納品遅れといった悲鳴が上がっています。上の段がその納品遅れの状況で、例えば、三月に納品された給湯設備はいつ発注したものかというので、納品までの平均日数が六十六・七日、最大日数が二百四十日ということで、工期を待ってもらっているという方が一番多いんですが、一部にキャンセルも出ているという状況です。それから、建材、住宅設備の価格高騰の影響で、かなり上がったが五三・三%ということで、やはり木材が圧倒的に多いということであるんですけれども。
 それで、伺いたいのは、今回は、トップランナー制度で大手住宅建築業者が大いに役割を果たしてもらいたい、そう思うんです。だけれども、こうして資材が不足しているよ、あるいは高くなっているよというときに、やはり大手のバイイングパワーに拍車がかかって中小工務店を圧迫しないような指導を徹底するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○斉藤鉄夫大臣 資材の価格の上昇、それから納入の遅延、これらは本当に注意深く我々としても今注視しているところでございます。
 国土交通省としては、中小工務店を含む住宅事業者に必要な資材、設備等が適切に供給されることが重要と考えております。
 供給側の関係事業者に対しては、これまで取引関係のない事業者からの調達も検討するなど、サプライチェーンの多元化、強靱化を必要に応じて促しておりますけれども、引き続き、関係省庁と連携して対応を検討してまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 やはりここは市場任せというわけにはいかないので、しっかりと連携も取りながらお願いしたいと思います。
 あわせて、省エネ基準を自ら確認できる建築士は五割から六割程度と言われています。取り残される建築士や工務店が出ないように、技術研修や制度の周知への支援、どのように行うのでしょうか。

○淡野博久政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年二月から三月末にかけまして建築士事務所に対して行ったアンケートによりますと、計算又は仕様基準との照合により省エネ基準適合を自ら確認できる割合は五割から六割程度となっており、約三割が、今後、業務の委託や習熟のための講座受講等を予定しているというお答えをいただいてございますので、基準適合義務化に向け、建築士の省エネ基準への習熟度の向上を図ることが急務になっているところでございます。
 このため、建築士の定期講習等を通じて法改正の内容について確実に周知を行った上で、中小工務店等が省エネ関連技術に習熟するための十分な準備期間が確保されるよう、全面適合義務化の施行は二〇二五年度にするとともに、昨年四月より施行されている説明義務制度への対応を通じ、設計者としての習熟度を引き続き高めていただき、省エネ計算によらなくても省エネ基準への適合を確認できる仕様基準の更なる簡素化、合理化を進め、さらに、仕様基準の内容につきましても、従来から取り組んでおります中小工務店向けの講習等を通じて周知普及を図ることにより、中小工務店等が省エネ基準への適合義務化に対応可能な環境の整備を推進してまいりたいと存じます。

○高橋(千)委員 講習についても、是非、参加しやすい体制を取りながら、結局、だから義務化を遅らせたのよという議論ではなくて、本当は両方同時にやっていかなきゃいけないことだと思いますので、しっかりとお願いしたいと思います。
 それで、建築基準法の問題で質問しようと思っていたんですが、木材のことは先ほど山本委員が熱烈に質問しておりましたので、一問飛ばしまして、4の資料を見ていただきたいと思います。
 昨年十二月に、大阪市北区の雑居ビルで放火殺人事件が起きました。容疑者を除き、二十五名が死亡、二名が負傷という大惨事になりました。脱出口となる非常階段が火の手に阻まれ、逃げ場のないフロアで全員が発見されたということです。
 容疑者自身が亡くなってしまったということで、御遺族のやりきれない思いはいかばかりかと思われます。
 資料の4は、二つ以上の直通階段の設置が求められる建築物にはどんなものがあるのかという一覧表であります。こんなにあるんですね。
 それで、赤字で書いているところ、これは、六階以上の建物は、二つ非常階段は必要なんだと。ただし、これは、改正をしたのは昭和四十九年、一九七四年であって、今回のビルは一九七〇年築のために、地上八階建てではありますが、適用外であったということであります。
 ちなみに、三のロからハのところは、キャバレーだとか風俗関係のお店の名前が、名前というか業態が並んでおりますが、これは、二〇〇一年、平成十三年、四十四名が亡くなった新宿歌舞伎町の火災を受けての改正だと承知をしております。
 こうした火災のたびに、今回の船の、連絡船の問題もそうなんですけれども、改正をいろいろしてきたわけですけれども、問題は、その前の、適用外の建築物についてどういう徹底、その趣旨を徹底させていくかということが問われていると思うんです。
 それで、まず消防庁に伺いますが、この火災事件を受けて、消防庁と国交省による大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会が立ち上がっています。消防庁に、その趣旨とスケジュールなどの見通し、また、緊急点検も行っていると思いますが、簡潔にお願いします。

○齋藤秀生政府参考人 お答えを申し上げます。
 昨年十二月に発生した大阪市北区ビル火災では、避難のための階段が一つしかないビルにおいて、多くの方々が避難経路を失い、逃げ遅れたものと考えられ、多数の死傷者が発生したことから、消防庁と国土交通省が共同で、学識経験者や関係行政機関等から成る検討会を設置し、階段が一つしかない、一つしか設けられていないビルにおいて、今後取り組むべき防火、避難対策などについて検討しているところであります。
 本検討会においては、本年二月の設置以降、これまで三回にわたって検討会を開催し、議論を行ってきたところであり、六月中を目途に報告書を取りまとめることとしております。
 また、消防庁では、本火災を受け、今回の火災建物と類似している、階段が一つしか設置されていない雑居ビルに対して、各消防本部による緊急立入検査を実施したところであります。
 今回対象となったのが三万一千九百六十七件であり、このうち、二万九千二百二十九件に対して緊急立入検査を実施し、実施率九一・四%でございました。
 なお、未実施の二千七百三十八件は、各消防本部における年次計画や歳末期の立入検査により調査期間の前に実施されたもの、あるいは新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け実施を延期したものなどであります。
 検査の結果、避難施設や防火戸に係る不備が一定程度ございましたが、そのうち一部は既に改善をされております。
 また、現時点で未改善のものにつきましては、各消防本部において、現在、是正指導が行われているところであります。
 このような不備を是正していくことは、リスクを減らすという観点から非常に重要だと考えております。今回の緊急立入検査の結果については、現在開催している検討会において報告の上、有識者の方々に御議論いただいているところであり、必要な対策についてしっかりと検討を深めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 次に、大臣に伺いますが、国交省も、同じ検討会を消防庁と主催をして、緊急点検も行っています。その結果がどうであったのか。その中に、今言ったように、建築基準法の改正前のものも含めて点検をしたはずだと思いますが、その点をまず確認をしたいと思います。
 それで、先ほど私がお話ししたように、建築基準法を改正しても、それ以前の建物に効力が及ばず事件につながるようなことはなくしたいと思うんですね。国交省として何らかの制度改正あるいは対応を検討しているのか、伺います。

○斉藤鉄夫大臣 令和三年十二月十七日に大阪市北区のビルで火災が発生し、これまでに二十六名の方が被害に遭われ、お亡くなりになりました。被害に遭われた方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 事件を踏まえ、消防庁と連携を図りつつ、全国の地方公共団体において、今回の火災建物と同様に階段が一つしか設置されていない雑居ビル等を対象として、緊急立入検査を実施しております。
 地方公共団体においては、対象建築物約一万六千件のうち、これまでに約一万件について緊急立入検査を実施し、このうち約二千件において、階段部分の防火、防煙措置等に関する建築基準法令違反や不十分な維持管理状態が確認されたところでございます。
 建築基準法令違反や不十分な維持管理状態が確認された建築物につきましては、地方公共団体に対して是正指導の徹底を要請しております。
 また、今後の対策につきましては、消防庁と共同で、先ほど御説明がございました、本年二月に設置いたしました大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会において、緊急立入検査の結果等も踏まえつつ、階段が一つしか設置されていない既存建築物等における防火、避難対策等について、現在検討を行っているところでございます。
 今後、本年六月を予定しております検討会の取りまとめを踏まえ、必要な安全確保対策を講じていきたいと思っております。
 済みません。先ほど、対象建築物約、何と申し上げたのか分かりませんが、間違っていたようで、約一万三千件のうち、これまで約一万件において立入検査をやったということでございます。対象建築物約一万三千件でございます。失礼しました。

○高橋(千)委員 実は、緊急立入点検をするときの要綱というんでしょうか、何を検査しますかという中に、私が言った基準法改正の前のものも含まれていたんですが、内訳が分からないんです。要するに、まだそこまで詳細なものがなくて、それをきちんと出していただきたいと思うのと、やはり、事件や災害が起きるたびに規制を強化してきました。でも、その逆もあるんですね。
 それで、やはり強化しても、結局、それ以前のものに対してその趣旨を浸透していくという何らかの手だてをしなければ、いやいや、別に違反していないよという話になってしまって、取り返しのつかないことになるわけですよね。
 そのことを是非、今すぐ全国に階段を二つつけろということはさすがに無理だと思うんですよ、だけれども、それに代わる対策をきちんとやっていくということを、やはり知恵を出さなければ絶対いけないと思うし、もちろん、消防庁とも連携をしながらやっていただきたい。
 そのことを重ねて指摘をして、次の機会にまた伺いたいと思いますが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

2022年5月20日 衆議院国土交通委員会 提出資料

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