国会質問

質問日:2022年 5月 12日 第208国会 地方創生に関する特別委員会

重い自治体負担問う

高橋氏 分権一括法めぐり

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=12日、衆院地方創生特委

 第12次分権一括法が13日の衆院本会議で全会一致で可決・成立しました。一括法はオンラインによる届け出手続き簡素化など12本の法律を一括改正するもの。政府の地方分権改革推進委員会は2009年に法律に基づく計画策定を見直す勧告を行ったものの、実際にはこの10年間で約1・5倍に増えました。一括法のうち3本は計画を簡素化するもの。

 日本共産党の高橋千鶴子議員は12日の衆院地方創生特別委員会で、「掛け持ちが多くて大変」との自治体職員の訴えや、計画策定で37・6%の市町村が「支障がある」と答えた全国知事会調査を示し認識を質問。野田聖子地方創生担当相は「小規模な市町村では、国が求める数多くの計画策定等の事務負担が重くのしかかり、必要な施策実施がおろそかになる状況が生じかねない」として、今年度も重点課題として意見募集と改善を行うと答えました。

 また高橋氏は、指定を取り消された事業者から未回収の自立支援給付金を、国が補助金適正化法に基づき事業所がある宮城県内10市町に返還させた事例を示し、「許認可、監督権は県なのに市町村に代弁させるのはあまりに理不尽だ」と批判。厚労省は都道府県の指定権限を市町村に移譲できる特例で「措置済み」だと答えたが、逆に負担となっているとして、救済策の再検討を求めました。

(「しんぶん赤旗」2022年5月20日付)

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 少し重なる部分がありますが、整理の都合上、始めたいと思います。
 二〇二一年の地方分権改革の提案募集は、計画策定などを重点募集テーマとして設定したところ、地方から二十九件の提案があったといいます。
 計画などの策定及びその手続に関する義務づけ、枠づけについて見直しすべきとした第三次勧告から十年間で、その計画等の策定が義務又は努力義務、できる規定などの条項が約一・五倍にもなりました。私自身も議員立法に数多く参加してきたし、確かにどれも大事なんですけれども、自治体にとっては本当に負担だなと、正直思っておりました。
 先日も、懇談したとある市の幹部職員が、自分の担当課はこれこれこれこれと、六つの担当を兼ねているんだ、とても大変だと訴えられました。国の縦割り行政も問題ですけれども、地方のかけ持ちというのは非常に大変だと思うんですね。
 それで、資料の一枚目の逆三角形の図を見ていただきたい。これは内閣府が作ってくれた資料ですけれども、例えば、国が十一の計画を策定するとすれば、内閣府、厚労省、農水省、三つのところで分け合うことができる。それに対して、県であれば、健康福祉部、担当者十三人くらい。市であれば、福祉部五人、市民保健部三人、この時点で既にかけ持ちをしていることになるわけですよね。それが、町になれば、五人で十一の計画策定に関わるということで、もうかけ持ちがすごいことになります。
 資料の二を見ていただきたい。全国知事会の調査ですが、都道府県が策定主体の計画について、調査対象二百九十六のうち百七、三六・一%の計画、市町村が策定の場合は、二百二十一のうち八十三、三七・六%が何らかの支障や課題があると答え、その中身として最も多かったのが、多大な人役や予算を要するというものでありました。
 資料にはないんですが、二次調査で示されたのは、一本の計画策定に一人が丸一日集中しても約五十三日間かかるという平均のデータですとか、都道府県の港湾計画策定に要したコストは平均で一億九千二百六十九万円という驚きの数字でありました。
 そこで、大臣に基本的認識を伺いたいと思います。
 計画策定は地方自治体の人的、財政的負担にもなっていること、できる規定、一番増えたのがそこなんですが、などといっても、実質はやってくださいと指示されているようなものなど、課題があると思いますが、認識を伺います。

○野田聖子大臣 お答えいたします。
 計画策定等については、策定に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加しており、法律により地方公共団体に策定を義務づけている計画等の数は、地域限定など策定の条件があるものも含めると二百以上あると承知しています。
 様々な行政課題に対応した施策を計画的に進めることは重要でありますが、特に小規模な市町村の現場では、限られた人員体制の中で国が求める数多くの計画策定等に関する事務負担が重くのしかかり、必要な施策実施そのものがおろそかになるといった状況も生じかねないと懸念しています。
 こうした状況を踏まえ、令和四年の地方分権改革における提案募集においても、計画策定等を重点募集テーマと設定した上で、具体的な検討の視点もお示しし、三月一日から提案の募集を開始するとともに、各府省にも見直しを要請したところです。
 今後、地方からの提案等をしっかり受け止め、関係府省との調整を丁寧に行い、計画策定等に関し、地方の自主性及び自立性を高めるための改革を更に進めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 地方にとって大変負担であるということは共通認識になったかなと思います。
 そこで、お答えの中にかなり含まれてはいたと思うんですけれども、今回の法案の中にも計画策定の改善が含まれていると思います。こうした点の紹介を含めて、取り組んできたことと、今後の取組について御説明ください。

○寺崎秀俊政府参考人 お答え申し上げます。
 重ねてになりますが、令和三年の提案募集に関しましては、地方から二十九件の提案が寄せられ、二十八件は提案の趣旨を踏まえ対応、一件は現行規定で対応可能となったところでございますが、御指摘のとおり、ただいま御審議賜っております一括法の中に、まず、土地改良法に規定される応急工事計画の手続の簡素化、二つ目が、農村地域への産業の導入の促進等に関する法律に規定される農村地域産業等導入基本計画の内容の簡素化、さらには、下水道法に規定される流域別下水道整備総合計画の手続の簡素化、この三件につきまして法案の中に盛り込ませていただいたところでございます。
 先ほど大臣からもございましたように、令和四年の提案募集におきましても重点募集テーマとして設定いたしまして提案の募集を行っているところでございまして、今後とも、計画策定等に関しまして検討を更に進めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 総務省にも伺います。
 四月五日に、複数の市町村による共同策定が可能な法定計画についてという事務連絡を出しています。これはどういった趣旨でしょうか。

○阿部知明政府参考人 お答えいたします。
 市町村が策定主体とされております法定計画の中には、市町村の行政区域にとらわれず一定の圏域で策定することが効果的なものや、単独の市町村による策定が困難なものが含まれてございます。また、複数の市町村で共同して計画を策定することによりまして、計画策定や当該計画の進捗管理に係る負担の軽減につながることも期待されると考えてございます。
 一方で、市町村が策定主体とされてございます法定計画のうち、どの計画が共同で策定できるかについては、これまで必ずしも明らかになってございませんでした。
 そこで、今般、関係府省との協力の下で、市町村が策定主体とされている法定計画について、次のような三つの計画例を整理しました。一つ目としまして、複数の市町村による共同策定が可能であることが法令上明確にされている計画。二つ目としまして、運用上、複数の市町村による共同策定が可能な計画。三つ目に、計画の目的や内容に鑑みまして、複数の市町村が共同で策定することが効果的であると考えられる計画。この三つの例を整理しまして、これらについて、委員御指摘の四月五日付の事務連絡で地方公共団体に対して広く周知を行ったところでございます。
 今回整理した情報につきましては、各市町村が、計画の目的やその内容、地域の実情等に応じまして、複数の市町村で共同して策定することを検討する際に御活用いただけるものと考えてございます。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 共同でやった方が合理的だという場合があるという例示を示していただいたと思います。ただ、それだけでは、やはり計画がこれだけ増えてきたよねということで、地方の負担を根本的に変えるというものではないと思います。
 それで、やはり、計画だけではなくて通達行政そのものを見直していくことや、最初に言った、かけ持ちが大変だということの根っこにあるのは人員そのものですので、そこについてやはり思いを致して、改善をしていただきたい、これは要望にしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それで、今日は、国と地方の関係で、具体の問題で質問したいと思います。
 青森県の八戸市が、下水道工事について、新井田地区二十二工区と二十三工区をそれぞれ別の会社に四千万円前後で発注しました。昨年四月から十一月までを工期としていたんですけれども、この二十三区の工区の延長三百二十四メートルの全区間が国道四十五号線の地下を通るということで、市の下水道部が昨年五月に、国交省青森河川国道事務所に占用許可を申請しました。しかし、許可が出たのは五か月後の十月十四日。何と二十五回もの修正を求められて、とうとう市は工期に間に合わなくなったために、一部の契約を解除、合わせて二千二百五十三万円の違約金を払うことを余儀なくされました。
 これは、市の側にも手続上の不備があったのは間違いないと思うんですが、しかし、二十五回は行き過ぎではないか。要件や書類の作成の仕方など、出せば次、出せばまた次、また次というふうな形で、次々とやり直しをさせていく。そうではなくて、最初からちゃんと教えてあげればいい、親身に相談に乗ってあげればいい、そういう立場で臨むべきと思いますが、国交省に伺います。

○倉野泰行政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の青森県八戸市の下水道事業に係る占用許可申請は、国が管理する直轄国道四十五号について行われたものでございます。直轄国道の場合、占用許可は各地方整備局長等が行うこととされており、実際の審査業務は各国道事務所や出張所の職員が実施しております。
 本件の場合、具体的には、令和三年五月七日に、八戸市長から東北地方整備局長宛てに申請がなされ、その後、所轄の事務所や出張所におきまして、道路法令に定められました占用許可基準に照らして審査が行われています。同年十月十四日に占用許可が行われていますが、その間、事務所等の職員から八戸市の職員に対しまして、委員御指摘のように二十回を超える回数にわたり申請書類の補正やその内容の確認を求めており、そのやり取りに約五か月を要したものと承知しております。
 今回の審査の進め方につきましては、申請者に対しまとめて指摘することが可能であった事項にもかかわらず、五月雨式に新たな補正を随時求めたということ、それから、申請者側に丁寧な説明を行わなかったことから、道路管理者側の求める補正内容が正確に伝わらず、意図した補正がなされなかったため、再度同一の補正を求めるということになったこと、申請者である八戸市との情報共有が不十分であったため、八戸市側の契約の工期について道路管理者側として当初から十分認識できていなかったことなどの問題点があったと認識しております。
 このように、道路管理者として申請者に寄り添った丁寧な対応を行わず、また、申請者との意思疎通が不十分であったことが、許可までの期間が不要に長期化することにつながり、今回の事態に至った原因の一つであるというふうに認識しております。
 今後は、同様の問題が再発することのないよう、申請者とのコミュニケーションを丁寧に行う等により、効率的かつ円滑に道路占用許可事務を進めるよう、各地方整備局等に対し、指導を徹底してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございました。
 大変誠実な答弁だったと思います。やはり、市に対して寄り添った丁寧な対応が求められているということを率直におっしゃってくださったのは、市の担当者にとっても大変ありがたいことではないかと。
 やはり国と地方の関係というのは、本当は上下関係じゃないんだけれども、こういう場面というのは結構あると思うんですね。それが、やはりこれからも、全体として、同じ仕事をやっていく立場として協力し合っていく、本当に親身になっていくということの教訓にしていただければいいなということで紹介させていただきました。ありがとうございました。
 次に、宮城県仙台市、名取市、亘理町など十市町において営業していた二つの障害福祉サービス事業者が、人員基準違反及び不正請求などが発覚して指定取消処分を受けました。これにより、事業者が不正に受給した自立支援給付額は総額五千五百万円に上ります。そのうち名取市では、二〇一四年から昨年までの合計七百八十三万五千九百三十六円を返還したわけです。補助金適正化法に基づいて、市町が事業者から回収できなければ代弁しなければならないんです。
 そこで、許認可権、監督権は県にあるわけです。市町村は、そこに事業者が営業していたというだけであって、だけれども、法のたてつけからいくと市町村が代弁しなければならないというのは余りにも理不尽ではないか、地方自治体財政を圧迫するじゃないかと思うわけですね。
 そこで、厚労省に伺います。
 こうした指定取消し事案というのが障害の分野ではどのくらいあるのか。こうした事案に対応するために、二〇二一年、地方からの提案に対する対応方針が示されていると思いますが、どのように措置をしたのか、説明いただきたい。

○堀内斉政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、御質問いただきました指定取消しの件数でございますが、指定障害福祉サービス事業者に対する指定取消しの件数、令和二年度では九十九件となっているところでございます。
 また、委員から御指摘ございました許認可権限等が都道府県にある一方で、不正などが事業者にあった場合に市町村が補助金適化法に基づいて返還等の事務を行うこと、こうしたことについて自治体の方から改善してほしいという要望の声は私どもにも届いておりましたし、また、地方分権改革のプロセスでもそうした御要望があったところでございます。具体的には、令和元年の地方分権改革に関する提案募集におきまして、自治体の方からこうしたことへの御要望がありました。
 それを受けまして、令和元年の十二月の閣議決定、令和元年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、指定障害福祉サービス事業者の指定等に係る事務、権限を市町村に移譲することの必要性等について、地方公共団体に調査を行い、その結果に基づき必要な対応を検討し、令和二年度中を目途に結論を得る、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされたところでございます。
 厚生労働省におきましては、この閣議決定に沿いまして、必要な調査を実施の上、関係審議会でも議論をしていただき、令和三年九月七日に事務連絡を発出いたしまして、都道府県が行う指定権限等の移譲について、地方自治法に基づく事務処理特例制度を利用して市町村にその事務、権限を移譲することが可能である、そうしたことを周知したものでございます。
 委員から言及いただきました令和三年の地方からの提案等に関する対応方針、これは昨年十二月に閣議決定していただいたものでございますが、その中では、今申し上げました厚労省の取組を盛り込んだ上で、令和元年の地方分権改革に関する提案について措置済みということで整理されたものでございます。

○高橋(千)委員 まず、前段の指定取消処分が令和二年度九十九件というお答えでありました。その前の三年間を遡って数字をいただいているんですが、二十九年九十八件、三十年百六件、令和元年八十二件ということで、何かコンスタントに百前後にこうした事案が続いているんだなと思います。
 ちょっと資料が飛んでしまうんですが、資料の五に、指定障害福祉サービス事業者の指定権限の移譲についてということで、厚労省の資料をつけてあります。
 その中のところに、今私が言ったように、指定権限は知事がやっているので、事業所が設置される市町村はどのような事業所が開設されるか分からない中で給付費の支払いを行っている、また、事業所が不正を行った場合、行政処分は都道府県が行い、その処分に伴う返還金の請求事務は市町村で行うことになっている、なので、一貫して市町村が行えないので、主体的に管理することができないと。
 それで、今お答えは、だから意見を聞きました、権限移譲しますと。そうすると、市町村にとっては物すごく負担が増えることにならないかということなんです。本当の解決になるでしょうか。
 だから、市町村が自ら事業所を追っていく場合もあると思うんですよ。例に出している大府みたいに大きなところはそうかもしれない。でも、一つ、ちっちゃな自治体に全部それをかぶせるんですかということもあるわけですよね。
 今言った宮城の場合は、十の市町で同じ事業者を受けているわけです。やはり県の責任はしっかりと持ってもらって、返還についても県も半分持ってもらうとか、救済策を何らか用意しないと、これはもたないんじゃないか、本当の解決にはならないんじゃないかと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

○堀内政府参考人 お答えいたします。
 先ほどお答えいたしました自治体等への本件調査におきましても、権限を必ず移譲するというようなことについては、やはり市町村の方でも、マンパワーの問題、専門知識の問題があるということで、必ずしも全面的にその権限を移譲していただくということについて賛成があるような御意見ではなかったというふうに承知しております。
 そうしたことから、やはり地方自治法に定める事務処理の特例制度につきまして、これは都道府県の方から権限を移譲することもできますし、また、市町村の方で、そうしたことについて議決をした上で都道府県に申し出るという制度になってございます。そうした制度を活用していただくということで厚労省の方としては対応したところでございます。

○高橋(千)委員 ですから、措置済みにしないで、更に検討していただきたい。実態を見ていただいて、やはりマンパワーもあるから、市町村もそのまま受けるというわけにいかないよという意見があったという答弁だったと思うので、そこをもう少し大事にして、引き続き検討していただきたい、このように思います。
 それで、今日もう一つ取り上げたいのは、民生委員の問題です。
 二〇一三年の分権改革で、定数については参酌基準となりましたが、その基準に照らして、現在何人いて、定数不足はどのくらいになるのか。また、二〇一六年の提案では、民生委員と児童委員の兼任というのは元々必須になっているわけなんですよね。それを、必ずにしなくても、できる規定にしていいんじゃないかという要望がありましたが、なぜ兼任が義務なんでしょうか。お願いします。

○本多則惠政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、民生委員の数でございますけれども、全国で活動されていらっしゃる民生委員の方々の総数は、令和三年三月末時点で二十三万六百九十人でございます。地方自治体が条例で定める定数は、同じく令和三年三月末時点で二十三万九千四百九十七人ですので、充足率は九六・三%、八千八百七人の不足となっております。
 民生委員と児童委員の兼任につきましては、児童の問題と保護者の問題が同時に起きることが多いことから、また、その際に複数人で家庭訪問等を行うようなことは支援対象者にとっても負担になると考えられますので、一人の委員が一体的に対応できるよう、児童福祉法では、民生委員は児童委員に充てられると規定しております。
 一方、平成二十八年の、先生の御指摘のありました分権提案におきましては、最終的には、民生委員、児童委員の兼務を前提とした上で、その業務に関する運用の改善が求められたものでございます。
 この提案に対しましては、従来から、民生委員と児童委員を兼任していただいている状態でも、そのどちらかに軸足を置いて活動するといったことは自治体の裁量で可能だったわけですけれども、それを更に明確化する通知を発出したところでございます。

○高橋(千)委員 この提案を行った資料を読みましたけれども、結構前向きな話なんですよね。やはり児童の相談というのは、これは広島市ですが、大体四分の一くらい児童の相談になっていて、引きこもりだとか不登校だとか虐待だとかいろいろある。だから、今お答えになったように、子供の問題は必ず保護者がいるんだ、そういうステレオタイプな議論では本当はないんですよ。それを前向きに取り組もうという中で、できる規定でもいいじゃないかという提案に対して、いやいや、必ず子供の問題は保護者だから一人の民生委員なんだという答え方というのは、これは違うんじゃないかと私は言いたいんですね。児童の問題にもっと取り組みたいということ、若い世代の対応をしなきゃいけないということもあっての話でありますから、少し前向きに考えた方がいいんじゃないかなと思います。
 この民生委員の活動状況については、資料の三枚目にあって、都市部と町村部で世帯に対する基準が違うよという話と、四枚目には、先ほど言った、定員が八千八百人も欠員しているということでありますが、グラフを出しておきました。
 その上で、質問は、民生委員、児童委員の仕事がどんどん増えて、かつなり手がいないというのは深刻に思うんです。私自身もたくさん話を聞いていますけれども、一度引き受けるとなかなか辞められないということや、隣の区域で民生委員がいなくなったら、自分がその分もやらなきゃいけなくなって、どんどん範囲が広くなって、もう忙しくて大変だ、そういう訴えを聞いています。
 高齢化の状況とか平均年齢という問題もあると思うし、現状認識、どう思っているのかというのと、その対策について伺います。

○本多政府参考人 民生委員の方々には、委員のおっしゃられましたとおり、地域における最も身近な相談相手として、様々な課題を抱える住民への相談支援や、訪問見守り活動など、住民ニーズを踏まえた非常に多様な活動に御尽力をいただいております。また、自然災害時の安否確認や支援団体へのつなぎなど、防災面からも重要な役割を担っていただいております。
 このように、期待される役割が増している一方で、民生委員の方々は高齢者が多くを占めているという状況もございまして、こういった状況を踏まえますと、日頃の民生委員活動の負担の軽減に取り組むことが重要であると考えております。
 このため、厚生労働省といたしましては、地域の実情に応じた自治体の創意工夫による民生委員活動の負担軽減のための取組、これを横展開していただくために、全国会議の場などを通じて周知をしているところでございます。
 具体的には、自治体での取組の例といたしまして、民生委員協力員というものを配置をして、民生委員の指示、指導の下で見守り等の活動に対する補佐、協力を行っていただくですとか、あるいは、行政のサポート体制を強化していただく、こういった取組がございます。
 厚生労働省といたしましては、地方公共団体や関係機関の協力も得ながら、より多くの方に民生委員の担い手となっていただけるように努めてまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 今お話があったように、仕事はどんどん増えていく、期待される仕事がどんどん増えていくわけなんですよね。それで、民生委員は無報酬なわけですよね。特別職の公務員。まさに、大事な役割を持っているわけなんだけれども、無報酬である。その代わり活動費が支給されているわけですが、今、さっきの資料にもあったように、単価は六万二百円。余りにも低く、これは年間ですからね、私は増やすべきだと思っています。
 活動費を支給しているその趣旨、やはり、何に対して必要だと思って出しているのか、それをお答えいただきたい。
 それから、ちょっと時間の関係で、もう一つ質問をしてしまいますが、資料の最後に、これは三月十三日付の河北新報なんですが、見ていただくと、宮城県の「最大五万九千円、ゼロも」という見出しなんです。民生委員に対して、今言ったように、活動費が出ているんだけれども、実際には自治体に物すごく格差があって、ゼロ円のところもあるということで、県議会でも大きな問題となりました。ほかにもこうしたことがあるんだろうかと。
 やはり、せめて、無報酬とはいえ、活動費だけはしっかりと支えて、報いるべきだと思います。これは、そういうことが、その趣旨でお金を出しているのであれば、それが届いていない、本人に届いていないということがあってはならないと思うんですね。その考え方について是非伺いたいと思います。

○本多政府参考人 お答え申し上げます。
 民生委員の報酬につきましては、民生委員法第十条において、民生委員には給与を支給しないとされておりまして、社会奉仕の精神をもって、住民の相談等に応じて、必要な援助を行うということとされております。
 そのように、報酬は支給されていないところでございますが、住民への相談支援や訪問見守り活動などの活動に必要となる交通費や通信費等の実費の弁償として活動費が支給されるよう、地方交付税措置を講じているところでございます。
 一方、各自治体の活動費の全体の予算措置状況というのは厚生労働省の方でも把握しているところでございますけれども、個々の民生委員への活動費の支給方法や支給額につきましては、それぞれの地域の実情に応じて様々であると承知をいたしております。
 この実態につきましては令和四年度から状況を確認をすることとしておりまして、既に、今年三月の全国会議におきまして、把握する、確認をする旨を関係者に周知をいたしました。
 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、民生委員活動が円滑に行われるように取り組んでまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 では、最後のお答えは周知を図るということですので、ちゃんと払われているのかどうか、自治体の実態を調べるというお答えですよね。だとしたら、やはり大事なことだと思う、調べていただいて、実態も公表していただいて、本当に届くように、是非生かしていただきたいということを強く求めて、時間になりましたので、終わります。
 ありがとうございました。

2022年5月12日 衆院地方創生に関する特別委員会 提出資料

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