国会質問

質問日:2022年 4月 1日 第208国会 国土交通委員会

危険盛り土公表せよ

衆院国交委 高橋議員が迫る

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=1日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は1日の衆院国土交通委員会で、盛り土の点検結果の公表と、危険性の高い盛り土について住民に周知徹底するよう求めました。

 高橋氏は、昨年7月の静岡県熱海市の土石流災害を受けて全国知事会などが法整備を求めてきたものの、盛り土崩落被害はそれ以前から発生していたと指摘。「立法化してこなかった国の責任をどう思うか」とただしました。斉藤鉄夫国交相は「これまでに十分でなかったところがある」と責任を認めました。

 高橋氏は「第4回盛り土による災害防止のための関係府省連絡会議幹事会」がまとめた資料に触れ、全国の総点検対象約3万6千カ所のうち危険な盛り土の箇所数や該当都道府県数を質問。国交省の和田信貴総合政策局長は、災害防止策などが取られていない盛り土は約1100カ所だとしつつ「詳細調査をこれから行う」としか答えませんでした。

 高橋氏は「該当する都道府県の数すら答えないのはおかしい」と批判。土地利用が規制されている区域の他に、住民の通報で発見された盛り土などがどのくらいあるかを示し、住民と情報を共有することは土砂災害から命を守るためにも必要だと強調しました。

(「しんぶん赤旗」2022年4月3日付)

―議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 二十九日の本会議で審議され、本委員会に付託される予定の盛土規制法案は、昨年七月の熱海市での土石流災害が契機になり、全国知事会、市長会、町村会などが相次いで、国が主体となって全国一律の基準、実効ある法整備を求めてきました。国の有識者による検討会が立ち上がり、国会、本法案提出へと動いたものと思っております。
 しかし、盛土の崩落による被害は以前から発生しており、国会でも議論となり、だからこそ、地方自治体でも条例によって一定の規制をかけてきたものと思っております。
 私は、本会議で冒頭、大臣に対して、これまで立法化を避けてきた責任を認めるべきだと質問しました。それに対するお答えがなかったと思いますので、改めて、これまで立法化してこなかった国の責任をどう思うか、大臣に伺います。

○斉藤鉄夫国務大臣 建設発生土による盛土の崩落防止策については、過去の崩落事案等を踏まえ、平成二十七年以降、国土交通省のほか、農林水産省や環境省を構成メンバーとし、警察庁もオブザーバーとして参加する関係省庁連絡会議において検討を進めてまいりました。
 この連絡会議における議論を踏まえ、平成二十九年には地方公共団体の実務担当者向けのガイドラインを作成し、既存の法令や条例の下で崩落を防止するための取組等について地方公共団体に周知し、取組を進めてまいりました。
 このような中、昨年、熱海で大規模な土石流災害が発生したことを踏まえ、今般、法案を提出し、宅地や森林など土地の利用区分にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制するとともに、罰則の厳格化等の措置を講じ、盛土等に伴う災害を防止することとしております。

○高橋(千)委員 聞いたことに答えていないと思いますが。国の責任をどう思っておりますか。

○斉藤国務大臣 それまでのいろいろな法令、法制度、宅地規制法、また森林法等にのっとりまして、また、関係省庁連絡会議を設けて、これらの盛土に関しての災害をどう防止していくか、議論を進めてきたところでございます。

○高橋(千)委員 私の聞いている趣旨は分かりますよね。もちろん、熱海の土石流の被害を受けて、様々な検討会、されてきたことは承知をしておりますが、それ以前からずっと議論はされてきているわけですよね。平成十三年度から発生した崩落事故は二十一件という国会の答弁もございます。そうしたことが重ねてきた中での今回の、ようやっと法規制の、法案が提出になったということなんですから、率直にお認めになったらよろしいんじゃないでしょうか。

○斉藤国務大臣 今回、ある意味で対象範囲を大幅に広げて規制対象にするという法案を提案させていただきますけれども、これまでに十分でなかったところがある、そのことは認めたいと思います。

○高橋(千)委員 その十分でなかったところがあるという言葉に精いっぱいの大臣の思いが込められているというふうに、まず受け取りたいと思います。
 それで、二十八日の関係府省連絡会議で、約三万六千か所の対象箇所、盛土の総点検の取りまとめ、これがほぼ最終になると思いますが、出されました。このうち、放置すれば災害や崩落を引き起こす危険な盛土は何か所であって、それは、該当する都道府県でいうと、また自治体数でいうとどのくらいか、お答えください。

○和田信貴政府参考人 盛土の総点検につきましては、本年の三月十六日時点におきまして、全国で約三万六千か所の盛土が抽出され、それらのほぼ全ての盛土について、目視等による点検を終了しております。
 このうち、必要な災害防止措置が確認できない、許可、届出等の手続が取られていないなど、点検項目のいずれかに該当する盛土が約千百か所ございます。
 このような必要な災害防止措置が確認できなかった盛土等につきましては、明らかに崩落の危険が確認された場合は都道府県等において応急対策を行うとともに、それ以外の場合についても必要に応じて詳細調査をこれから行いまして、こういう詳細調査等により崩落の危険性等を確認し、危険性が確認されましたら、盛土の撤去、擁壁の設置などの抜本的な安全対策を講じていくこととなります。
 このようにして、応急対策や抜本的な安全対策が必要な盛土の箇所数が決まってまいりますが、これらの箇所が、委員御指摘の、放置すれば災害や崩落を引き起こす危険な盛土に相当するものと考えております。
 国土交通省としましては、農林水産省と連携して、これらの調査等に必要な経費を地方公共団体に助成し、進めてまいりたいと考えてございます。

○高橋(千)委員 ということは、今資料を配っておりますけれども、必要な災害防止対策ができなかった盛土が五百十六か所という数字もございます。それを合わせて千百か所ということがあったんですけれども、今のお答えは、詳細調査を行ってからじゃないと内訳は答えられない、調査を行ったら答えてくださるという意味ですか。


○和田政府参考人 まずは詳細調査等をしっかりして、委員言われるような、放置すれば災害や崩落を引き起こす危険な盛土、すなわち擁壁設置等の安全対策が必要な箇所数を詰めていくということがまずは先行することになるかと思います。
 その上で、該当する都道府県、点検しておりますので、そこの御意思も確認した上で、どう公表するかということを考えていかなきゃいけないものと考えております。

○高橋(千)委員 どう公表するか考えていくというお答えでありました。私は数だけ聞いたんですよ。かなり控えめですよ。最初の質問は、該当する都道府県の数、それすらも答えられないというのは、やはりそれはおかしいでしょう。最初の総点検の時点で、まずどれだけカバーできているかということが分からなければ、本当に正確な対策というのはできないですよ。
 これは下の方も見ていただきたいんですが、まず、何らかの指定、つまり土地利用規制の指定があるところ、土砂災害警戒区域など、そういう区域を分けていって、そこで条例に、例えば宅地造成等規制法とか都市計画法とか、そういうのとクロスしていって、そこのところに盛土があるかというのを調べてもらったというふうなのが分かる表なんですね。
 それで、その中に「その他の法令等」とあります。その「その他の法令等」というのが、都道府県や自治体の土砂条例のかかる区域という意味でよいのか、一点。それから、やはり指定された区域だけを見ているんじゃ駄目だと思うんですよね。当然、住民からの通報とか、不法投棄などでもう既に発見されちゃった盛土とか、そういうのもあると思うんですね。それがこの中にどう入っているのか、教えてください。

○和田政府参考人 ただいま御質問のありました総点検の対象箇所数の土地利用規制等別の整理、ここの最後の欄の「その他の法令等」というところにつきましては、上の方にない法律、例えば砂防法とか、あるいは条例、あるいはそのどれもがかかっていないもの、こういったものが入ってくるものでございます。
152 高橋千鶴子
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○高橋(千)委員 ですから、住民からの通報などがちゃんと盛り込まれているのかと聞きました。

○和田政府参考人 お答えいたします。
 総点検をするに当たっては、都道府県の方に我々は、盛土の箇所、こういったものをいろいろな方法で、例えば画像で押さえていく、あるいは市町村とか地域の方々からのいろいろな声があれば、それも踏まえて点検箇所を定めていく、こういったようなことで点検をお願いしておりますので、住民の通報かどうかという細かい分類は分からないところがございますが、そういった地域の声も含めて、点検した箇所というのはこの中に入ってございます。

○高橋(千)委員 そういうことを指示するべきだし、分かるべきだと思います。そうでなければ、実効ある対策にはならないと思うんですね。
 改めて、大臣に伺います。
 点検結果の総数だけではなくて、都道府県ごとにどうなのか。今言った、やはり、明らかに土地利用規制がかかっている区域だけではなく、当然、住民の通報などとかもちゃんと盛り込んでいく、そういうのが分かる必要があると思うんですね。その内訳の情報を公開するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○斉藤鉄夫国務大臣 答えさせていただきます。
 今回の盛土の総点検は、国から都道府県に点検の実施を依頼し、都道府県が点検主体となって実施しております。
 現在、二十二府県において、点検項目のいずれかに該当する盛土などについて公表しています。国土交通省としては、まだ公表していない県などに対し、これらの箇所の公表を促してまいりたいと思っております。
 なお、市町村ごとの公表については、都道府県と市町村が相談し、公表の必要性を検討すべきものと考えております。

○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 検討会の提言には、各都道府県において速やかにその内容を公表し、住民に周知を図ることが望ましいと書いているわけなんですよね。それは、これから災害が来たときに、あるいは来そうなときに、ちゃんと住民の情報と共有して避難を早めにやる、そういう理由があるんだということを書いているわけ。そのことをいったら、調べたけれども住民には何にも知らされないということはあってはならないということで、重ねて指摘をして、終わりたいと思います。

2022年4月1日 衆院国土交通委員会提出資料

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