国会質問

質問日:2022年 3月 16日 第208国会 東日本大震災復興特別委員会

原発避難 実態を知れ

高橋氏、仮設退去問題で

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(写真)質問する高橋千鶴子議=16日、衆院復興特委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は16日の衆院復興特別委員会で、東電福島第1原発事故に伴い、東京都の国家公務員宿舎等に避難した被災者への国の姿勢を批判し、支援を求めました。

 国家公務員宿舎は、みなし仮設住宅として2017年3月末まで無償提供されてきましたが、現在、財務省から退去を求められ、日割り単位での損害金を請求されています。

 高橋氏は、被災者は経済的にも精神的にも追い詰められ、賃料の支払いも転居も難しく、国による宿舎の返還要求をうけ、東京都が対応に苦慮していると指摘。「娘が1人で家にいるときに訪問され、すごく恐怖だったようだ」などの声を示し、被災者の実態を知るべきだと迫りました。

 「東京都で退去に向けた調整が行われている」と答えた財務省の嶋田俊之理財局次長に対し、高橋氏は「国が向きあうべきだ」と批判。復興庁に相談体制の確保や家賃低廉化などの支援を求めました。

(「しんぶん赤旗」2022年3月28日付)

―議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 西銘大臣に初めて質問いたしますので、よろしくお願いします。
 ロシアによるウクライナ侵略についてです。
 UNHCR、国連難民高等弁務官事務所によると、三百万人を超えるウクライナの方々が既に国外に避難されて、そのうち百万人以上の子供さんが避難をされていると聞いております。まだ国内で、避難にも行けない、大変な思いをされている方がたくさんいらっしゃいます。妊婦らがいた小児病院を攻撃するなど、怒りを表現する言葉も浮かびません。
 キエフの市民らがシェルターとして身を寄せる地下鉄で生まれた赤ちゃんがいたという報道を見たときに、私は、原爆詩人、栗原貞子さんの「生ましめんかな」を思い出しました。また、沖縄の地上戦でのガマの犠牲も浮かびました。子供は希望であり、その希望を奪うプーチン大統領の残虐非道な行いを絶対に許してはなりません。
 今日は、五日付の琉球新報も配付をさせていただいておりますが、「ロシアの原発攻撃 人類を危険にさらす暴挙」と社説を書いていること、本当にそのとおりだと思います。ロシアの蛮行が、文字どおり、ウクライナのみならず人類の危機をもたらしているんだと思います。また、十四日、国連のグテーレス事務総長は、今や核戦争の可能性もあり得る、こういうことを言っているわけです。
 そこで、伺います。大臣、原発は、たとえ運転を停止していても、攻撃されれば重大な被害を及ぼす、この認識はどうでしょうか。

○西銘恒三郎大臣 所管外の問題で、大臣としての答弁は、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げますが、私も、毎日の報道を見ながら、沖縄の地上戦を思い起こしたり、私自身は戦後の昭和二十九年の生まれですから戦争体験はないんですけれども、思い起こしたりすることはあります。今この瞬間でもウクライナにおいては罪のない市民や将来のある子供たちが命を落としていることを、しっかり受け止めなければいけないと感じております。また、ロシアによる原発への攻撃について、東京電力福島第一原子力発電所事故を経験した日本として、このような蛮行は断じて認められず、最も強い言葉で非難をしたいと思っております。

○高橋(千)委員 大臣、所管外と言っちゃ駄目なんですよ。私の質問は、たとえ運転を停止していてもと言いました。私たちは福島の事故を経験して、国会議員やかなりの方たちと一緒にチェルノブイリの原発も見てきたんですね。そして、ずっと、あのときだって、四半世紀たっているけれどもまだ続いているよということを私たちは実感しました。そして、目の前にある、原発事故から廃炉の作業をしている、そこだって攻撃されたら大変なことになるんだよねということを私たちは今突きつけられたんじゃないでしょうか。所管外というのはおかしいです。訂正していただきたい。
 昨年三月に沖縄タイムスが、「何度も浮上してきた沖縄での原発計画」として連載を報じました。実は、沖縄電力は国内で唯一原発を持たない電力会社ですが、一九五六年、アメリカ・プライス下院議員らのプライス勧告の中に、実質的に戦争状態にある沖縄のような地域で核の平和利用が実現すれば劇的なインパクトがあると、原発導入を進めていたと報じています。この認識には本当に驚くんですけれども。ただ、沖縄電力も一応まだ諦めていないと聞いています。
 今、原発再稼働や核共有などという議論が国内で起こっています。ウクライナの現実を前に、唯一の被爆国であり、かつ、原発事故を経験した、つい十一年前のことです、日本が決してしてはならない議論だと思いますが、大臣の認識を伺います。

○西銘大臣 高橋委員の望まない答弁かもしれませんが、所管外であり、大臣としてのお答えは差し控えたいと思います。
 その上で、原発の再稼働につきましては、エネルギー基本計画において、いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進めると記載されております。これが政府の基本的な立場と承知をしております。
 以上です。

○高橋(千)委員 本当にちょっと、残念過ぎて、何と言っていいか。いかなる事情より安全性を重視するという立場に立つのであれば、再稼働はできないんですね。その立場に立っていただきたいと思います。
 大臣の沖縄に次ぐ米軍基地があるのは、私の地元の三沢基地でございまして、まさに核兵器の問題は常に私たちと隣り合わせにあったわけであって、核共有という言葉が出てくると、まさにそこに巻き込まれるのは私たちだと、本当に。だからこそ、被爆国である日本が、原発事故を経験した私たちが声を上げていかなきゃいけないということを重ねて指摘させていただきます。心の中ではどう思っていらっしゃるかはね、立場上はそういうふうにお答えをいただいたと思います。
 では、次の質問に移ります。
 東京都が、東日本大震災と東電福島第一原発事故の当時、二千人を超える避難者を災害救助法に基づき受け入れました。昨年十一月の数字では、現在七十一世帯が残っていると承知しています。そのうち、いわゆる自主避難者として、福島県からの要請も切れているけれども今残っている方たちが、九段、東雲、都営住宅、合計三十一世帯が残っています。県からはもう提供しなくてよいと言われ、国からは早急に返還せよと迫られ、間に入った東京都が大変苦慮しているんです。
 まず、財務省に伺いますが、国は、提供期限の過ぎた宿舎の居住者に対して、東京都に対しどのような対応を求めてきたんでしょうか。

○嶋田俊之政府参考人 お答え申し上げます。
 みなし応急仮設住宅として提供されてきた国家公務員宿舎について、国は都に対してどのような対応を求めてきたのか、そういった御質問であったと思います。
 応急仮設住宅につきましては、災害救助法にのっとり、被災県がその必要性を判断し、提供あるいはその終了を行うものでございます。被災県外で設置されているものにつきましては、被災県からの要請を受けて各都道府県が提供することとなっております。
 東日本大震災では、国は、福島県など被災県からの要請を受けた東京都などからの求めに応じまして、都などに対して国家公務員宿舎の使用許可を行い、応急仮設住宅として活用していただいてまいりました。その後、平成二十九年三月末に自主避難者に対する応急仮設住宅の供与終了という福島県、被災県の方針が示され、同年四月以降、国家公務員宿舎の使用許可についても終了したところでございます。
 国といたしましては、使用許可が終了した国家公務員宿舎につきましては、東京都を含む自治体に対してその返還などを求めているということでございます。

○高橋(千)委員 返還を求めているということをはっきりおっしゃったと思います。
 ここに財務省と東京都の確認書の写しがあります。これを配るわけにはいきませんので、どこの住宅とは言いませんが、国有財産使用許可書、平成二十八年三月二十五日。一旦切れて、それから使用を許可する期間は二十八年四月一日から平成二十九年三月三十一日まで、これが今おっしゃった期限。これまでは、一年一年期限が来て、そして東京都がまた期間延長を申し出ていたという形になっておりました。私は、本当に、東京都がまさに被災者に寄り添って頑張ってくれたと思っているんです。ただ、今はその期限が切れてしまって、損害金を求めている形、あるいは退去をしろという形になっているんですね。
 実は、この確認書の中には、一つ一つの世帯に対して損害金の計算が書いてあります。何号室はいつからいつまで要するに期間をはみ出ているのか、だから金額は幾らなのかと。端数が一円単位になっているのは、必ずしも一か月単位ではなくて、十六日だったり、厳格に日割りしているからなんですね。正直、驚きました。
 もう一度財務省に伺います。東京都に対しても、退去に応じないならば裁判を行えと求めているんですか。

○嶋田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、私どもの使用許可の相手方というのは東京都でございますので、東京都との関係において様々な使用許可等々の手続が発生しておるということでございます。
 その上で、いまだ退去されていない避難者の方々に対しては、現在、東京都において退去に向けた調整が行われているものと承知しておりますが、東京都と避難者の方々との関係につきましては私ども国として申し上げる立場にはございませんで、御指摘の裁判についても、当事者である東京都と避難者との関係において行われているものと承知しております。

○高橋(千)委員 もう一回聞きますが、私、やはり、追い出すなと、それは言いたいですよ。だけれども、避難者の方は何で東京都にやらせるんだと言っているんです、そうじゃないですか。財務省の持ち物なんでしょう。自分たちの持ち物を返せと言うんだったら、自分たちが表に出たらいいんじゃないですか。東京都の責任じゃないでしょう。善意でここまで、間に立って事務をやってくれたんですよ。そう思いませんか。

○嶋田政府参考人 お答え申し上げます。
 冒頭申し上げましたとおり、応急仮設住宅は、災害救助法にのっとり、被災県がその必要性を判断し、提供あるいはその終了を行うものでございます。被災県外で設置されるものについては、被災県からの要請を受けた各都道府県が提供するということになっております。これは法令上のたてつけにのっとった手続でございます。
 その上で、東京都の方から、国家公務員住宅について応急仮設住宅として活用できないかということで使用許可の申請をいただいて、それに対して我々はお応えしているという立場ですので、使用許可の相手方というのはあくまでも東京都であるということでございます。

○高橋(千)委員 だとしたら、福島県が東京都がお世話していた国家公務員住宅の方たちに退去せよと裁判を打ったのはおかしくないですか。福島県に何の権利があるんですか。

○嶋田政府参考人 福島県が応急仮設住宅の提供あるいはその終了の判断を行われている、その上で、私どもは、被災県外で設置されているものについて、被災県からの要請を受けた、各都道府県が提供されることになっている応急仮設住宅の一つとして国家公務員宿舎の使用許可をさせていただいている、使用許可の相手方は東京都であるということでございます。

○高橋(千)委員 ですから、今聞いていておかしいと思ったと思うんですがね、相手方は東京都なんですよ、貸しているのは国のものなんですよ、それなのに福島県に肩代わりさせて裁判をやらせている、そういう態度が問題だと言っているんです。被災者はそこに怒っているんですよ。だったら自分たちがきちんと説明しろよということを言っています。
 どんな事情があって残っているのか。今回、地元の都議さんを通して事情を聞いてもらいました。
 娘が一人で家にいるときに訪問された。娘はすごい恐怖だったようだ。都が家に来たということで、一週間くらい、どうしようどうしようと言っていた。三歳だった子供が突然倒れたりするようになった。強迫性障害とのことで、ドアも開けられないし、水道の蛇口も開けられない。かゆくてもかくことができない。そんなときにピンポンを鳴らされても何もできない。食事も取れずに痩せてきた。また、住宅の供与を打ち切られて自死した方もいる。生活が壊れていく。十代の子も二人自死したことを知っているという訴えもありました。帰る家もない、お金もない、学費で精いっぱい、インターホンで話すと周りに全部聞こえてしまうなどなど。
 何か、原発反対だから居座っているだけだみたいに見られていると思うんですね。だけれども、やはり、ちゃんと話を聞いてもらうと、そういう事情があるんです。そして、何を望みますかということを聞いたときに、どうしても事情があるんだったら、そこをきちんと聞いていただいて、代わりの住宅の、東京ではなかなか家賃も高いし、セーフティーネット住宅という形でちゃんと位置づけて何とかしてくださる、そういうことが必要だと思うんですね。
 まず、復興庁に伺います。家族と別れて母子避難も多いです。この方たちがどんな状況に追い込まれているのか、今紹介したのはほんの一部です、承知していますか。知るべきではないでしょうか。

○林俊行政府参考人 お答えをいたします。
 国家公務員宿舎から未退去の状態になっております避難者の方々の状況につきましては、復興庁においては、まず、福島県等からこの間の状況等をお伺いしておるところでございます。また、復興庁職員も機会を捉えてお話を伺っているところでございます。
 また、先ほど来話題になっております、全国に設けております二十六か所の生活再建支援拠点、これが様々な相談対応にも当たっておりますので、こうしたところとも情報共有を図っているところでございます。

○高橋(千)委員 先ほど少しお話をしましたけれども、やはり、居座ることを望んでいるわけではなくて、本当に、どうしていいか分からないと正直言っているんです。車もない、引っ越し費用もない。帰る家がないんです、福島にはもうおうちがないと。そういうことまで言っていらっしゃる方にどう対応していくのかということを言っています。
 復興庁は、被災者に心のケアが大事だとずっと言ってきました。予算を減らしていますけれども。それでも、一応そう言ってきたんだから、やはり、相談体制を確保することや、二十六か所の拠点は大事です、だけれども、どこにいらっしゃるのか分かっているんですから、そこに特別な手だてを取って、相談をしていただいて、住宅のあっせんや家賃の減免などを考えていただきたい。もう一言、お願いします。

○林政府参考人 お答えをいたします。
 住宅の確保につきましては、私どもが福島県から聴取をしておりますところでは、国家公務員宿舎については、無償供与を終了した後も二年間特例的な貸付けを行う期間を設けて、この間に、住まいの確保に向けた相談体制、これを福島県が設けてあっせん等に取り組まれてきたというふうに承知しております。
 また、重ねてになりますけれども、被災者支援総合交付金を通じて、福島県が全国に二十六か所、生活再建支援拠点を設置しておりますけれども、相談対応のところにつきましては、避難者が指示に基づく避難者かあるいは自主避難者であるかということを問わず様々な相談体制、相談対応を行っておりまして、住宅に困窮するような方々に、住宅に関する相談等も行ってきているところでございます。

○高橋(千)委員 国家公務員宿舎の空いている、さっきの階議員の発言じゃありませんが、空いているところもあり、一般の方にも家賃を取っていない、そういう状況のところもあるわけです。そこもよく考えて、支援にうまくつなげていってくださったらいいんじゃないでしょうか。
 さっき紹介した去年の沖縄タイムスに載っていましたけれども、沖縄県は、今年三月末まで自主避難者に対しても無償提供されていますよね。その上で、期限が切れても一時金を支援するという形でやっていらっしゃる。大臣のお地元でそういうことをやっていらっしゃるんですから、是非、支援を続けていただきたい、やっていただきたいということを要望して、終わります。

2022年3月16日 衆院東日本大震災復興特別委員会提出資料

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