高橋氏 有害物質撤去せよ
(写真)質問する高橋千鶴子議員=9日、衆院国交委 |
日本共産党の高橋千鶴子議員は9日の衆院国土交通委員会で、2027年に横浜市で開かれる国際園芸博覧会の関連法案について質問しました。
園芸博会場となる旧上瀬谷通信施設は、2015年に米軍から返還されましたが、敷地内の国有地部分66カ所から基準値を超える特定有害物質が発見されています。
高橋氏は、横浜市の資料では、民有地でも20カ所で基準値を超える土壌汚染があるが、公表されていないと指摘。植栽する花卉(かき)などへの影響は避けられないとして、国が有害物質を撤去すべきだとただしました。斉藤鉄夫国交相は、「土壌汚染の問題は横浜市で対応していると聞く。国も安全性が保たれるように頑張りたい」と答えるだけでした。
高橋氏は「開発が抑制されてきた土地だからこそ里山の自然が残っている。集客にこだわって開発に重点がいけば、負の遺産になりかねない」として、参加者数1500万人の集客目標は「過大であって見直すべきだ」と迫りました。
斉藤国交相は「海外と比較しても妥当だ」と強弁。高橋氏は「広大な土地の周辺は狭く、道路も渋滞する。この土地の返還の利益が、周辺の市民にも還元されることが大事だ」と主張しました。
(「しんぶん赤旗」2022年3月16日付)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
持ち時間が十一分しかありませんので、答弁も簡潔にお願いします。
国際園芸博の会場となる旧上瀬谷通信施設は、二〇一五年に米軍から返還されました。その後、防衛省は、敷地内から基準値を超える鉛などの有害物質が発見されたとして、昨年十月四日付で六十六か所の調査結果を公表しています。その概要と対処方法について伺います。
○田中利則政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の旧上瀬谷通信施設でございますが、平成二十七年六月に返還をされております。その後、防衛省において原状回復作業を実施しているところでございます。
これまで実施をいたしました土壌調査の結果、国有地の中の計六十六か所におきまして、土壌汚染対策法の特定有害物質でございます鉛などの基準値超過が確認をされております。
この土壌でございますけれども、横浜市さんと調整の上、土壌汚染対策法のガイドラインに沿いまして、立入り防止柵を設置する措置を進めております。
防衛省といたしましては、引き続き、横浜市や関係機関と連携しながら、原状回復作業を適切に進めてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 まず、六十六か所、鉛及びその化合物、例えば二十二調査区画でいいますと、最大検出値が〇・〇六九ミリグラム・リッター当たり。基準値は〇・〇一ですから、かなりの大きな量だと。こうしたものが発見されているわけなんですね。
今、土壌汚染対策法に基づいて、ガイドラインに基づいて立入り防止柵などをやっていますと答弁がありました。でも、せっかく米軍から返還された土地が、まだその中に立入り防止、立入禁止の地域があるということなんですよ。人が触らなきゃいいでしょうって、そのまま園芸博やるんですかということが問われているわけなんですね。
今、国有地六十六か所と答えました。横浜市の環境影響評価に関する補足資料においては、民有地についても三千五百三十二地点の土壌採取を行い、フッ素及びその化合物において、二十区画で土壌溶出量基準値超過が見られたと書いております。
そこで、横浜市の計画案によれば、二〇二三年から計画生産、いわゆる植物のですね、に入るということで、開催地の内外で試験植栽を始めるとしています。国内外の多種多様な花卉など、植物をいかに質を保って集めるか、それは土壌との関係性は非常に大きいと思うんですね。
土壌汚染と花卉などへの影響をどう考えるのか。きちんと国が撤去して開催すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○宇野善昌政府参考人 お答え申し上げます。
先生がおっしゃられた試験栽培は、横浜市が博覧会で植栽する草花の開花時期や、暑さや寒さといった環境への適応、適切な管理方法を把握することを目的として行うものでございます。予定地内などで二〇二三年秋から実施する予定と伺っております。
この試験栽培は、土壌汚染が判明している場所では行われないと聞いております。
なお、土壌汚染対策につきましては、防衛省、横浜市などにおいて対策の検討が進められていると承知しており、国土交通省としても、環境面での安全性の確保を含め、博覧会開催に向け万全の準備が行われるよう、横浜市等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 今のお答えは、私は、撤去して開催すべきじゃないかと聞きました。それに対して、土壌汚染の場所に植栽するわけじゃないからとおっしゃったわけです。そうすると、今いろいろなクエスチョンが出てくるわけですよ。
まず、汚染されていないところを、今、試験植栽はそうだけれども、では、これから先、そういうこと、植えることはないんですかということ。
それから、土壌汚染の区域がそこだけですと確定できますかということです。防衛省は、二十か所の民有地のポイントを公表していません、当事者に遠慮していますから。そういうことも全部ひっくるめて、そこには、土壌汚染されたところには影響ないですと言い切れますか。
○宇野政府参考人 横浜市におきまして土地区画整理事業を行っておりますが、その関係で環境アセスメントを行っております。
防衛省の方でも土壌汚染対策法に基づく調査をやっておりますが、それと併せまして、環境アセスメントの結果も踏まえて、防衛省、横浜市などにおいて土壌汚染対策については対策の検討が進められていると考えております。
こういったものの国土交通省としての環境面での安全性の確保、しっかり努めていく必要があると考えておりますので、博覧会開催に向け万全の準備が行われるよう、横浜市等と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 大臣、済みません、この点、一言感想を聞いてよろしいでしょうか。
やはりグリーンインフラとさっきから言っているわけじゃないですか。自然、残された里山を生かして開催するんだよと言っているのに、この問題は、いやいや、近づかないから大丈夫という形で進めていいのか。できるだけのことをするんだとやはり言ってくれなければ困ると思うんです。どうでしょうか。
144 斉藤鉄夫
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○斉藤国務大臣 その土壌汚染の問題はしっかり市で対応されている、このように聞いておりますけれども、我々国もそこをしっかり見ながら、安全性が保たれるように頑張っていきたいと思います。
145 高橋千鶴子
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○高橋(千)委員 もう少し元気よく言っていただきたかったんですが。
防衛省にもう一度確認します。
市がしっかりと言いましたけれども、必要な対策は、管理者である市の、土壌汚染対策法に基づきますと、市の指示に従って対処をするということでよろしいでしょうか。
146 田中利則
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○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘ございましたとおりでございまして、土壌汚染対策法に基づきまして、横浜市の方が当局として責任を有しているわけですが、そちらの方ときちんと調整をした上で、私ども防衛省といたしましては、原状回復作業というものを適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
147 高橋千鶴子
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○高橋(千)委員 確認をさせていただきました。
最初から、そこは立ち入らないからいいんだよなんて言っちゃったら、もう本当に、何のための花博なのという話になってしまいますので、改めての指摘をさせていただきました。
それで、ちょっと時間があれですが、上瀬谷土地利用計画の問題など、言いたいことはたくさんあるんです。先ほど、アクセスの問題や道路拡幅の問題は多くの方が御指摘をされたのでいいと思うんですけれども、やはり、今、汚染土壌の問題をお話ししましたが、開発が抑制されてきた地域だからこそ、里山の自然も残っているわけなんですよね。だけれども、その中の一部の農地が、駐車場にされたりとか、さっきお話があったように、川が暗渠になっちゃうとか。やはり自然をそのまま生かした博覧会じゃなければ、本当の意味のグリーンインフラとか花博という価値が薄れるんじゃないのかなと思うんですね。集客にこだわってやはり開発に重点が行けば、これは逆に負の遺産となりかねないと思うんです。
今年開催のオランダ・アルメーレでは、目標二百万人と聞いています。もちろん、二〇二七年にはコロナが収束しているだろうと期待していることは分かります。だけれども、やはり千五百万人、これは一千万人とさっきから言っているけれども、それは有料部分であって、ICTも入れて千五百万人と言っています。これは過大であって、やはり身の丈に合ったということで見直していいんじゃないでしょうか。大臣、お願いします。
○斉藤鉄夫大臣 二〇二七年のこの園芸博覧会の参加者数千五百万人は、過去の博覧会の実績を参考として、本博覧会の圏域人口を基に、横浜市において算出された数値と認識しております。
具体的には、過去の国際博覧会や国際園芸博覧会では、多くが開催地の周辺圏域からの来場者であり、来場者数は圏域人口の影響を受けることから、圏域人口に対する来場者の割合が小規模な国際園芸博覧会でも約三割又は四割となっていることを踏まえ、横浜市の現在の圏域人口約四千百二十万人に基づき、来場者数を算出されたものと承知しております。
現在の参加者数は、新型コロナウイルス感染症拡大等の状況を踏まえ、オンライン参加等を含む千五百万人、有料入場者数は一千万人と設定されております。
オランダ王国アルメーレ市で開催される二〇二二年アルメーレ国際園芸博覧会の入場者見込み数二百万人の根拠は承知しておりませんが、オランダ王国の総人口が約千七百万人、アルメーレ市人口約二十万人を含むアムステルダム都市圏人口が約二百五十万人であることを踏まえますと、本博覧会の参加者数については、アルメーレ国際園芸博覧会と比較しても妥当である、このように認識しております。
○高橋(千)委員 妥当であるというお話がありました。
先ほど大阪万博との関係なども山崎委員が指摘をされていましたが、逆に、くっつき過ぎているからこそ経済団体も大変なんだなんという話もこれありなわけですよね。
私は、違いがあっていいし、特徴があっていいと思うんです。そこに、無理やり過去の実績にこだわって、大きな集客をしなきゃいけないというふうにする必要は全然ないと思うんです。園芸博は呼び水になるか、私は、むしろ横浜市にとって抜き差しならないことになるんじゃないか、このように思っています。
横浜市は、土地は一〇%未満しか持っていないわけですよね。あとは民有地四五%、残り国有地と。それを一体的に進めるために構造改革特区を申請して、二〇二〇年に認定された経緯があります。先ほど来議論されている土地利用計画だって、そもそもまちづくり協議会で住民が考えましたよと言っているけれども、それは、住民の中にやはり民間企業が入ってもらって描いてもらった経過もあるわけですよね。
描いたテーマパークは頓挫して、まだやろうと思っていると思いますけれども、花博で期待していた新交通システムも間に合うものではないと。ディベロッパー頼みの開発でよいのか、私は政府の姿勢が問われると思います。この際、政府が、あれだこれだと、ソサエティー五・〇だとかいろいろ言っていることが、やはりどんどん過大になっていくのではないか、このように思うんです。
最後に、一言だけ指摘をして終わります。
瀬谷区で保育士をしていたという私の福島の友達が、あの広い空でたこ揚げをしたいねと同僚の保育士たちと話していたそうです、上瀬谷のあの土地を。
○中根委員長 高橋君、申合せ時間が経過しておりますので、御協力願います。
○高橋(千)委員 はい、終わります。
確かに広大な土地ですが、その周辺は余りにも狭くて、道路も渋滞しています。ですから、本当にこの土地が返還されたことが、その地主さんたちだけじゃなくて、周辺の市民にも還元される、そういう形でなければならないということを指摘して、終わります。