国会質問

質問日:2022年 2月 14日 第208国会 予算委員会

米軍への空域提供拡大

高橋議員追及 民間機への危険増す  衆院予算委

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=14日、衆院予算委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は14日、衆院予算委員会で、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属の空軍部隊が訓練のため使用する臨時訓練空域「マグナム」の存在を裏付ける資料を提示し、政府もその存在を認めました。高橋氏は「日本の空なのに日本政府の管制によらない空域が広がっており、国民の危険が増している」と批判しました。

 高橋氏は、米軍の臨時訓練空域(アルトラブ)の一つである「マグナム」についての20年10月18日付の毎日新聞の報道を引用し、19年6月から東京ドーム約4万6千個分に当たる約2160平方キロも拡大し、空域提供が増加したことを指摘。同米軍基地の第35戦闘航空団のホームページ掲載の「MAGNUM AIRSPACE(マグナム・エアースペース)」に記載される航空高度の数値が、毎日新聞の記事報道にある高度上限9145メートルと一致すると指摘しました。

 斉藤鉄夫国交相は「(マグナムは)米軍が使用している名前だ」と述べ、その存在を認めました。

 「アルトラブ」について政府は、米軍の訓練のために一時的に管制業務を行い「時間とともに終了する」との見解を繰り返していますが、「マグナム空域」を含め、実際は固定化している疑いがあります。高橋氏は、国交省の20年度の「一者応札分析調査票」の「事業内容」にある「アルトラブ」の申請数の「年々増加、19年約7000回、5年間で倍増」との記述を紹介。「臨時とは名ばかりで、米軍機飛来の拡大で国民にとっての危険性が増しているのが実態だ」と主張しました。

 高橋氏は、軍用機と民間機の航路を完全分離するきっかけは、1971年の雫石町上空での全日空と自衛隊機の衝突で乗客・乗員全員162人が死亡した事故だったと指摘。「『民間航空機の安全確保』の調整というなら米軍の空域を認めないことが一番だ」と迫りました。

米軍の訓練空域「マグナム空域」
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出典 第35戦闘航空団 空軍指令(2021年9月22日)より抜粋
(強調箇所は高橋千鶴子事務所による)

論戦ハイライト

原発施設真上でF16訓練

三沢基地 命脅かす地位協定見直せ  衆院予算委で高橋議員

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(写真)質問する高橋千鶴子議員(左)=14日、衆院予算委

 「基地との共存共栄をうたう自治体でも、何のために米軍基地があるのか。日本国民を守ってくれるどころか安全を脅かしていると疑問符が付く状態になっている」―。日本共産党の高橋千鶴子議員は14日の衆院予算委員会で、青森県米軍三沢基地所属のF16戦闘機問題を通して、不平等な日米地位協定やアメリカにものが言えない日本政府の姿勢をただしました。

楽観すぎる想定

 高橋氏は、三沢基地にF16戦闘機2個飛行隊50機の配備が開始されたのは1985年4月2日。一方、青森県が核燃料サイクル3施設(ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物、再処理)受け入れを正式に回答したのが同年同月の9日だったと指摘しました。

 そのうえで、青森県内の下北半島には六ケ所村の核燃料再処理工場や東通原発(東通村)、大間原発(大間町)、むつ市の中間貯蔵庫など原子力施設が集中し、三沢基地と六ケ所村の間には日米共有の天ケ森射爆場もあると紹介。直線距離で約30キロしかないと指摘し、原子力施設の立地審査など安全確保について、どのように立地審査が行われたのかを質問しました。

 原子力規制庁の市村知也規制部長は、当該施設が航空機落下に対する防護設計を前提に「直近20年間の航空機落下事故に関するデータをもとに確率評価を行った」とし、3・11の原発事故後の新規制基準に照らしても変える必要はないと強弁しました。

 高橋 楽観的すぎる想定だ。米軍三沢基地にF16戦闘機が配備されて以降、墜落や燃料タンクの投棄などの事故がどのくらいあったのか。そのうち三沢の特別管制区域内はどのくらいか。

 岡真臣防衛省地方協力局長 把握している2012年度以降のF16戦闘機の国内における墜落は、1回もない。燃料タンクの投棄は4回、模擬弾2回だ。このうち三沢の特別管制区域内では、燃料タンク1件、模擬弾は2件。

 高橋 (日本原燃が提出した資料では)訓練空域外を飛行中の落下事故は、自衛隊機10回、米軍機3回だ。

国内法の適用を

 高橋氏は、防衛省が12年度以降の事故件数しか把握できていないことを強く批判。これまでの事故を新聞報道でまとめた結果、「墜落が11回、模擬弾や燃料タンクの投下は30回に及ぶ。中には実弾も含まれていた」と告発しました。

 19年11月に六ケ所村でF16が模擬弾を落とした事故では、落下地点の付近に小中学校やこども園などもありました。この事故を受け、全国知事会は、航空機の安全航行を目的とした航空法をはじめ、日本の国内法を米軍にも原則適用することなどを求めました。

 高橋氏は「ここまで住民の命・安全が脅かされている以上、日米地位協定の見直しにふみきるべきではないか」と追及。米軍機の飛行の安全確保について「在日米軍に地元への影響に最大限配慮した安全な運用を求めた」と述べるにとどまる林芳正外相に対し、高橋氏は「配慮を求めたのであれば、日米合同委員会の記録をちゃんと公開するべきだ」とただしました。

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いずれの記事も、「しんぶん赤旗」2022年2月15日付より

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 オミクロン株が猛威を振るい、国民の命と暮らしが脅かされる中で、日本に駐留する米軍だけが検疫などでも特別扱いだとして、日米地位協定の存在が改めて注目をされています。
 今日は、青森県米軍三沢基地とF16戦闘機問題を通して、不平等な日米地位協定や日本政府の姿勢をただしたいと思います。
 昨年十一月三十日に、F16戦闘機が青森空港に緊急着陸をし、燃料タンク二個を深浦町に投棄しました。
 当初、米軍は、岩木山付近の非居住区域に投棄したとの情報を出したものの、実際には深浦町の市街地、連絡が町にあったのは四時間後でした。現場は役場が目と鼻の先、隣は民家や歴史資料館。そのタンクの二個目も、学校がすぐ近くにありました。人的被害がなかったのは奇跡と言わなければなりません。
 深浦町は、二〇〇二年にもF16戦闘機が日本海に墜落し、漁船に救出されています。今回は、海も目の前ですが、あえて人家の間に分け入るように二百十キロもの燃料タンクを落としました。我々は人ではないのかと、町民の怒りの声が上がったのも当然だと思います。
 政府は、安全が確保されるまで飛行の中止を米軍に申し入れたものの、その翌日には飛行が再開されました。私が深浦町に伺ったのはまさにその日であって、吉田満町長も、もう飛んでいるじゃないか、日本国民と米軍では安全に対する意識が違うと、記者団の前で怒りを吐露していました。
 大臣は、この深浦町の声にどう応えますか。そして、岩木山も深浦町も通常の訓練ルートの中なのでしょうか。だからいいと思っているんでしょうか。伺います。

○岸信夫大臣 昨年十一月三十日の事故につきましては、今、委員の御指摘のとおりでございますが、当該戦闘機は、訓練のため三沢飛行場を離陸して、西へ飛行していたと承知をしております。
 個々の訓練内容や飛行ルート等については、米軍の運用に関する事項でありますので、その詳細については明らかにされておりません。具体的にどのような経路を飛行しているか、承知しておりません。
 いずれにいたしましても、引き続き米側に対しまして飛行の安全の徹底を求めていくとともに、飛行の安全に係る取組が進むように、米側と緊密に連携をして取り組んでいきたいと考えております。

○高橋(千)委員 町民の安全をどうやって確保するんでしょうか。訓練の詳細も明らかにできないと。翌日飛行を再開しても、それでいいと言うのですか。
 もう一度、町民の声にどう応えるのか、お答えください。

○岸大臣 繰り返しになりますけれども、具体的にどのような経路を飛行しているかということについては、承知をしておりません。
 その上で、一般に、日米地位協定は、実弾射撃を伴わない訓練飛行については、在日米軍の使用に供している施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではございません。在日米軍は、施設・区域でない場所の上空において訓練飛行を行うことが認められています。
 ただし、米軍は全く自由に飛行してよいというわけではなくて、米軍の運用に関しては、公共の安全に妥当な配慮を払い、安全性が最大限確保されるべきことは、言うまでもないことであります。

○高橋(千)委員 全く自由に飛んでいるわけではないとおっしゃっておりました。それはそうかもしれませんが、その運用が全く国民が置き去りにされているということが今問題になっているわけです。
 昨年六月三十日から七月一日に、米軍横田基地所属のオスプレイCV22が、青森県東北町の小川原湖で水面すれすれの超低空飛行訓練をしていたことが判明しました。小川原湖は、二〇一八年二月にも、F16がエンジン火災で燃料タンク二個を投棄した事件があった場所であります。地図に小川原湖をつけてありますが。
 もちろん、小川原湖は米軍施設ではありません。シジミやワカサギ漁でにぎわう宝の湖です。六十三・二平方キロメートルの広い湖の中に、ほんの一部、米軍への提供水域があります。〇・〇六平方キロメートルです。この提供水域というのは何のためにあるのか。訓練のためなのか。
 そして、今回のオスプレイもそうなんですが、実際には提供水域ではないところで訓練を行っているのはなぜなのか、お答えください。

○岸大臣 この小川原湖の施設・区域のところですけれども、一部の水域については、これは救難艇の施設として米軍に提供しているものであります。
 その上で、一般に、日米地位協定は、実弾射撃を伴わない飛行訓練について、在日米軍の使用に供している施設・区域の上空に限って行うことを想定しているわけではなく、在日米軍は、施設・区域でない場所の上空において飛行訓練を行うことは認められています。
 ただし、米軍は全く自由に、先ほども申しましたけれども、自由に飛行していいというわけではございません。公共の安全に妥当な考慮を払い、安全性が最大限確保されるようにすべきことは、言うまでもないことであります。
 以上です。

○高橋(千)委員 認めちゃっているわけなんですよね、要するに、提供水域ではないところで訓練するということを。
 これは、救難艇と一言だけお話しされました。米軍三沢基地のホームページには、ウォーターサバイバルコースという研修の記事と、小川原湖での訓練動画がアップされています。いつでも、どこかの国で、海の上、九時間、十時間と飛んでいるんだから、何かあれば最後は海の中だと強調して、小川原湖で訓練をしているわけなんですよね。
 だけれども、これを理解してしまえば、もっと広がるということなんです。三沢飛行場は、空自と米空軍と民間空港が共用している全国唯一の基地なんです。だから、これ以上一つ一つ理解していけば、どこまでも広がるということになりかねないということを言っている。
 昨年の十月二十二日、東北防衛局の職員が県、東北町、三沢市、六ケ所村、小川原湖漁協を訪れて、米軍の認識を口頭で伝えました。米軍は訓練場所として小川原湖をなぜ選んだか。訓練は一定程度の範囲を有する穏やかな水面上で行うことが不可欠とした上で、地位協定に基づく米軍への施設・区域内には適した場所がないとおっしゃったそうです。
 つまり、この米軍から、提供された施設だけでは訓練にならないと言っている。これを政府は理解するという意味ですね。さっきから答えているのはそういう意味ですね。一言、イエスかノーか。

○岡真臣政府参考人 お答え申し上げます。
 小川原湖におきますCV22オスプレイによる救難訓練についての御質問でございますけれども、これについては、現在、日米間で議論をしているところでございます。
 先ほどの質問で、六月の訓練についてお話がございましたけれども、この訓練について、地元への影響を十分に考慮して、日米間で議論を重ねる中で、十月については米軍から事前の情報提供がございました。これを防衛省から関係自治体等にもお伝えをさせていただいたところでございます。
 引き続き、米側に対して安全面に最大限の配慮を求めるとともに、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう、日米間で連携して対応してまいりたいと考えているところでございます。

○高橋(千)委員 十月には事前に報告があったと今お話がありました。その報告は、提供水域では足りないという報告なんですよ。それを認めているのかということを指摘しました。
 長久保耕治東北町長は、事故や通告なしの訓練が続き反省が見えない、国民のために駐留している米軍が住民に不安と恐怖を与え、本末転倒ではないかとおっしゃいました。深浦町の町長もそうですが、たとえ基地との共存共栄をうたう自治体であっても、何のために米軍基地があるのか、日本国民を守ってくれるどころか、安全を脅かしているじゃないかと疑問符がつく状態になっているんだ、このことを指摘をしたいと思うんです。
 三沢基地にF16戦闘機の配備が開始されたのは、一九八五年の四月二日です。一方、青森県の当時北村知事が、核燃料サイクル三施設、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物、再処理工場、この受入れを正式に回答したのも同年同月の四月九日です。
 もう一度地図を見てください。まさかりの形をした下北半島には、六ケ所村のほかにも、東通原発、大間原発、むつ市の中間貯蔵など、予定も含め、原子力施設が集中しているのが分かります。三沢基地と六ケ所村は直線で三十キロしかなく、その間に十キロ、日米共有の天ケ森射爆場があります。
 この一九八五年の二月、本委員会で、我が党の工藤晃議員が質問しています。サイクル施設の立地審査に当たっては、これほど近くに米軍基地や自衛隊基地があり、F16が配備され、対地射爆場がある、これも考慮されるのかと聞いたときに、当時の竹内黎一科技庁長官は、当然のこととして周辺の状況も考慮すると答え、具体的には安全審査等の段階で十分慎重な判断を行い、安全確保上支障のないことを確認すると答えたのです。
 そこで、原子力規制庁に確認します。
 当時、再処理工場を始め原子力三施設の立地審査というのは、何をもって安全だと認められたんでしょうか。そして、その条件は今も成り立つとお考えなのか、伺います。

○市村知也政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘の青森県六ケ所村に存在をする日本原燃の原子力施設でございますけれども、御指摘のように、審査を経て、昭和六十三年以降、順次、事業指定あるいは事業許可というものがなされてございます。
 とりわけ再処理施設については、平成四年に事業指定というものがなされておりまして、当時の審査において、航空機が施設に墜落する可能性は極めて小さいものの、仮に訓練飛行中のF16戦闘機が施設に墜落することを想定をしても、安全確保上支障がないようにするため、主要な建屋に対して防護設計を講じることを確認をしているということで、指定、許可等なされております。
 その上で、その後、規制委員会の下で制定をされました新規制基準でございますけれども、その中では、航空機落下確率評価基準に基づいて航空機落下に対する防護設計の要否を判断をするということとされてございます。
 この審査に当たっては、当該施設が既にF16戦闘機に対する防護設計がされているということを前提に、直近二十年間の航空機落下事故に関するデータというものを基に確率評価を行ったものでございまして、その結果、追加の防護設計は不要であるということを確認をしたものでございます。

○高橋(千)委員 追加の新規制基準、あの福島の原発事故が起こって、全国で新規制基準、見直しをしたわけですが、それでも見直す必要がないと判断したというお答えでした。
 細かい論争に入るつもりはありませんが、そもそも、放射性物質を扱う施設がF16が落ちても大丈夫という設計になっていると答えています。しかし、速度が秒速百五十メートル、これは、ほとんど、重い燃料タンクなどを全部、落ちる前に投下して軽くなって、かつ減速しているという設計なんですよね。これ自体、楽観的過ぎる想定だと思いますが、決め手は確率論なんだと。ほとんど飛ばないし、落ちないと言っている。本当にそれでいいのかということを聞きたいんです。
 それで、時間の関係でちょっと飛ばします。
 資料の二を見てください。
 このとき、八五年の当時、佐々防衛施設庁長官は次のように述べています。射爆場の訓練パターンは高度六千フィート、西から東に直進する、海の方向に向かって訓練を行う。その正面には安全水域四十六平方キロメートルを提供して、地図でいうと、海に向かって扇形の印がついています。これがそうです。左旋回をする。この旋回の範囲が幅で四・五キロ、長さで十二キロ、こういうことで、一番近づいても予定地とは六キロの安全距離がございます、こう言ったんですね。どんなに近くても六キロ離れているからよい。しかし、六キロといったら、マッハで飛ぶF16にとっては十秒もないんです。
 聞きますが、米軍三沢基地にF16戦闘機が配備されて以降、墜落や燃料タンク、模擬弾の投棄などの事故がどのくらいあったのか、そのうち、三沢の特別管制区域内ではどのくらいあったのか、伺います。

○岡真臣政府参考人 お答え申し上げます。
 三沢で発生をいたしました墜落、燃料タンク、模擬弾の投下といった事故の関係でございますけれども、防衛省が網羅的に把握してお答えできるものということで、平成二十四年度、二〇一二年度以降の米軍F16戦闘機の日本国内における事故の件数について申し上げますと、墜落については該当はございません。燃料タンクの投棄については四件、模擬弾の落下、これは二件でございます。
 このうち、三沢の特別管制区内において発生した件数でございますが、燃料タンクの投棄は一件、模擬弾の落下は二件となっております。

○高橋(千)委員 今、最後のところが、タンクが一件、模擬弾が二件、特別管制区域内であったんですが、評価の対象とする空域外の飛行中の落下事故というのは、F16以外では自衛隊機十回、米軍機三回というのが、日本原燃が提出をしていることを言っておきたいと思います。
 二〇一二年以降しか資料がない、これは非常に問題だと思うんですね。
 これは、資料の三につけておきました。新聞報道などで私の事務所でまとめたものですので全部ではないかもしれませんが、これだけを足しても、墜落は十一回です。そして、模擬弾や燃料タンクの投下は三十回に及びます。
 一たび事故を起こせば取り返しのつかない大災害になることがもう分かっている原子力施設と米軍基地、自衛隊基地、射爆場ではオスプレイの訓練移転もありました。このような立地環境は日本にも世界にもないと思うが、どうでしょう。また、大臣は、この危険性をどう認識していますか。防衛大臣に伺います。

○岸信夫大臣 他国におきます米軍施設と原子力施設の位置関係については、防衛省として把握をしておりません。
 その上で、三沢の対地射爆撃場の周辺においては、米軍は、原子力施設付近の上空の飛行について、公共の安全に妥当な配慮を払っているものと承知をしております。
 いずれにいたしましても、防衛省として、訓練実施に際しまして、米側に安全面の配慮を求めていくこととしており、安全の確保のために日米間で連携して対応してまいります。

○高橋(千)委員 非常に残念な答弁ですよね。少しの思いもないなというふうに言わなければならないと思います。
 ないと思いますよ、そもそも航空機防護の考え方が、原発事故の前まではここの地域にしかなかったわけですから。また、東海村の再処理工場、これは規模が商業用ではないので小さいですが、水戸射爆場の訓練移転ということがあったということも承知をしています。そういうことから見ても、特殊な地域なんだと言わなければなりません。
 六ケ所村は、実はサイクル施設もあって、射爆場もあるんです。ここに、二〇一九年十一月、F16戦闘機が模擬弾を落としました。いまだに発見できておりません。付近には小中学校やこども園などもある民有地です。これを本当に問題視して、同年十二月に村議会として意見書を決議しました。
 資料の一番最後につけてあります。全国知事会は、航空機の安全航行を目的とした航空法を始め日本の国内法を米軍にも原則適用することや、事件、事故などの自治体職員の迅速、円滑な立入りの保障などを明記するよう求めている、このことを重く受け止め、日米地位協定の抜本的改定に取り組むように求めているわけです。
 外務大臣に伺います。ここまで住民の命や安全が脅かされている以上、知事会や自治体が訴えているように、日米地位協定の見直しに踏み切るべきではないでしょうか。

○林芳正大臣 米軍機の飛行の安全確保、これは、米軍が我が国に駐留する上での大前提でございまして、地元に不安を与えるようなことがあってはならないと考えております。
 私も、先月の日米2プラス2におきまして、岸防衛大臣とともに、在日米軍による地元への影響に最大限配慮いたしました安全な運用について求めたところでございますが、引き続き米側に強く求めてまいりたいと思っております。
 その上で、日米地位協定については、大きな法的枠組みでございまして、政府としては、事案に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じて、一つ一つの具体的な問題に対応してきております。
 今後とも、目に見える取組を積み上げることで、日米地位協定のあるべき姿を不断に追求してまいりたいと考えております。

○高橋(千)委員 配慮を求めたということでありますが、だとすれば、日米合同委員会の記録をちゃんと公開するとか、そういうことを求めていくべきだと思いますよ。
 日本の空なのに、日本政府の管制によらずに米軍機が飛んでいます。その範囲がどんどん拡大し、国民にとっての危険性が拡大してきたのではないかという問題です。
 米軍三沢基地所属の空軍部隊が使う臨時訓練空域について、近年、マグナムと呼ぶ臨時訓練空域の拡大があったとされています。
 資料の四に、二〇二〇年十月十八日付の毎日新聞の記事から、ちょっとそこだけ拡大して申し訳ないんですが、マグナムの解説部分を借用しました。二〇一九年六月から、従来の面積に比べ、東京ドーム約四万六千個分に当たる約二千百六十平方キロも広がったと言っています。
 国交大臣に伺います。このマグナムは、いつの日米合同委員会で合意され、いつから運用されているのか。また、これにより、民間機のルート変更など、影響はどの程度あったんでしょうか。

○斉藤鉄夫大臣 一般に、米軍が訓練等のため一時的に空域を使用する場合には、昭和五十年の日米合同委員会合意に基づき、一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないよう、管制上の措置を取ることがございます。この措置は、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものです。
 このような管制上の措置が、いつ、どこで取られているかといった詳細については、米軍の運用に関することであるためお答えは差し控えますが、米軍による空域の使用に関する調整に際しては、民間航空交通の安全確保に支障がないよう対応しております。
 なお、民間航空機の飛行ルートについては、気象状況、近くを飛行するほかの航空機の状況、出発、到着空港の混雑状況や滑走路の使用方向など、様々な要素の影響を受けることから、一概に申し上げることはできません。
 以上です。

○高橋(千)委員 全然答えてはいないんですけれども。
 いつ合意され、いつから運用されているのかということ。そもそも、マグナムという言葉についてお認めになりますか。

○斉藤大臣 まず、いつからということでございますが、先ほど申し上げましたように、昭和五十年の日米合同委員会合意に基づくものでございます。
 それから、マグナムという名前については、米軍で使われている名前ということで、そのように承知をしております。

○高橋(千)委員 米軍で使われている名前ということだそうです。
 ちょっと、今整理しないと。
 昭和五十年と言ったのは、昭和五十年からマグナムがあるわけじゃなくて、アルトラブのことだと思います。臨時訓練空域のことを国交省はいつもそう答えているということで、臨時のものですよと答えているので、アルトラブのことを言っているんだと思います。
 資料の五を見てください。こちらは、三沢米軍基地第三五戦闘航空団のホームページから取りました。米軍が公表しているものであります。
 空軍司令、アタッチメント7、マグナム・エアスペースとありますね。M1が五〇〇―FL三〇〇、これはフライトレベル三万フィート、毎日の記事と同じ、高度の上限が九千百四十五メートルに相当すると思います。
 改めて、米軍が書いていると認めていただけますでしょうか。

○久保田雅晴政府参考人 お答えを申し上げます。
 まず、名称等につきましては、これは米軍の運用に係ることの管理の部分であると考えてございますので、私としましては、済みません、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、アルトラブというものにつきましては、その都度調整を行うものでありまして、時間の経過とともに終了する、そういう性格のものでございます。
 以上でございます。

○高橋(千)委員 米軍が公表しているものについても認めない、管理の部分であるというお答えでありました。
 ただ、通告の時点では、承知していない、そもそもマグナムの存在を承知していないという答弁でありましたので、それはさすがに認めているということだと思うんですね。
 問題は、アルトラブ、臨時訓練空域のことを、その都度その都度認めるものなので、終われば終了するんですというお答えでした。そこで、アルトラブと呼ばれる臨時訓練空域は現在日本全土にあるために、これまで、国会質問や質問主意書などでも繰り返し取り上げられてきました。しかし、国交省も防衛省も、今のように、臨時だから、固定的なものではないからという答弁を繰り返してきたのであります。
 そこで、私の手元に、国交省の一者応札分析調査票という資料が一枚あります。これは、令和二年度、件名、航空交通管理処理システム性能向上及び調整となっているので、ヒューマンエラーを防止して、米軍からの申請内容から空域・経路図を自動的に作成する機能を付加するシステム改修事業だということなんですね。これはNTTデータしか応札がなかったものですから、その理由をるる書いているんです。
 問題は、私が着目したのは、この事業内容の説明の部分なんですね。読みます。現在、米軍のアルトラブの実施に当たっては、米軍からの申請内容を基に航空交通管理センターが手作業で空域・経路図を作成し、米軍との調整や関係管制機関への情報提供を行っている。しかし、申請数は年々増加(二〇一九年約七千回、五年間で倍増)し、この作図作業が現場で多大な負担となっている。
 年間七千回、しかも五年間で倍増、これは何のためにやるんですか。さっき言った一時的な調整というのを七千回も、忙し過ぎるでしょう。忙し過ぎるからこれを書いているんでしょう、こういう状態だと。何も影響ないなんということは言えないですよね。
 もう一回お答えください。

○久保田政府参考人 お答えを申し上げます。
 仕様書の内容について、今手元にありませんので詳細なものを確認できませんが、いずれにしても、アルトラブにつきましては、その回数を含めたものについては、米軍の運用に関することでございますので、私としては、大変恐縮でございますけれども、お答えは差し控えをさせていただきたいというふうに思ってございます。是非、御理解を賜ればと思います。

○高橋(千)委員 米軍の運用以前の問題ですよね。
 これは、一者応札分析調査票、総務省に出す資料でしょうが。その中で正直に書いているわけですよ、業務が多忙過ぎると。年間七千回で、当たり前じゃないですか。それを毎回毎回調整をして、民間機に御連絡をしなくちゃいけないわけですから、やっていられないというのが事実じゃありませんか。こんなのが実態なわけですよ。それでも、臨時だといって、AIPと呼ばれる航空路誌にさえも載せない。こういう実態が異常じゃないかと言わなければならないと思うんです。
 そもそも、民間機の航空路と軍用機の訓練空域を完全分離させるきっかけになったのは、一九七一年七月三十日、岩手県雫石町上空で全日空機と自衛隊機が空中衝突した事故がきっかけでした。当時の記録を見ますと、自衛隊機の乗員は脱出に成功したものの、民間旅客機の方は空中分解して、乗客百五十五名と乗員七名、計百六十二名全員が死亡したという大惨事でした。しかし、今、同じようなことが絶対に起きないとは言えないのではないでしょうか。
 国交省は、民間航空交通の安全確保のため必要な調整を行っていると繰り返し言います。逆さまじゃないでしょうか。民間航空の安全確保のためだったら、米軍の空域を広げない、認めないのが一番じゃありませんか。
 国交大臣と防衛大臣、両方に伺います。

○久保田政府参考人 米軍の空域の使用に関する調整につきましては、その必要性や目的、そして範囲等について、従来から関係機関と協議を重ねて、十分に協議を重ねた対応をしておるところであります。その対応につきましては、民間航空の安全確保に万全を期す、これが大前提でございます。その上で、それぞれの空域ごとに、空域の形状や使用方法などを判断の上、調整しているものでございます。是非、御理解賜ればと思います。

○斉藤鉄夫大臣 民間航空機、民間航空交通の安全確保、これが、先ほど局長が答えましたように、第一でございまして、その安全確保に支障がないよう万全の体制を取っていっております。

○岸信夫大臣 米軍は、我が国と我が国の地域と安全のために必要な訓練を行っているところですが、その上で、安全に関する措置もまた確実に実施されておると認識をしております。
 いずれにいたしましても、政府としても、米側に航空安全についてはしっかりと申入れをしてまいりたいと思います。

○高橋(千)委員 たくさん問いを残してしまったんですけれども、本当に、先ほど私が言った、逆さまじゃないかということが、やはりちゃんと考えてもらいたいと思うんですね。
 配慮をしているとか協議をしていると何度も御答弁になりました。だけれども、そもそも、マグナムという訓練空域さえもちゃんと認めることができない。七千回も調整をして、臨時に空の道を空けているわけですよ。それで同じような事故が起きないなんて保証は絶対ない。まして、原発との複合災害がないということは絶対言えない。そのことをやはり本当に考えなければならない。
 そういう意味で、サイクルも、私は、まだこれは動いていないので、再処理工場自体は、見直しを、撤回をするべきだと思いますが、本当の意味で空の安全、空の主権を取り戻すために、日米地位協定の見直し、国内法の遵守、これを求めて、終わりたいと思います。

2022年2月14日 衆院予算委員会提出資料

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