医薬承認規制を緩和/衆院厚労委で法案可決 高橋氏反対
医薬品や医療機器などに関わる規制を緩和する薬事法改定案が1日、衆院厚生労働委員会で日本共産党を除く各党の賛成多数で可決されました。
採決に先立つ質疑で日本共産党の高橋ちづ子議員は、薬害肝炎の「肝炎検証・検討委員会」が独立性のある第三者組織の設置を提言しているにもかかわらず、改定案では盛り込まれなかったことを指摘。改定案で医療品などの添付文書を「届け出」にとどめていることについて、「承認制をとる欧米と比べても不十分だ。国の責任をより明確化という改定の趣旨からも、国の是正権限を強めるべきだ」とただしました。
田村憲久厚労相は「(第三者の設置は)再びチャレンジする」と答えました。
高橋氏は、「再生医療のハイウェイ構想」で文科、経産、厚労各省の連携で2030年に1兆5500億円の市場をつくるとして、再生医療等製品の承認プロセスを緩和していることについても「成果をあせって、安全性・有効性の確認のプロセスを省略してはならない」と指摘しました。
一方、再生医療等安全確保法案が同日、同委員会で全会一致で可決されました。
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
大臣、きょう一日、御苦労さまでございました。
最初に、薬事法の関連で、何といっても一番期待をされていた問題でありますけれども、薬害肝炎検証再発防止委員会最終提言により、独立性のある第三者監視・評価組織が本法案に盛り込まれることが期待をされていたわけですけれども、なぜ盛り込まれなかったのか。
また、議員連盟の一員としても積極的に発言をされてきた大臣でありますから、質問をしたこともありますけれども、改めて、その必要性について、大臣の認識を伺いたいと思います。
○田村国務大臣 午前中にも質問のあった案件でございます。
今も委員からお話がありましたとおり、この第三者組織というものをつくった上で、薬事行政をやはりしっかりと評価、監視するということが必要ではないか。
一方で、今回、薬事法改正、また、再生医療安全性確保法案、これを出すに当たって、どちらかというと、もちろん安全性をしっかり確保する法律にもなっているんですが、一方で、実用化を進めていこうというような分野の法改正も入っております。また法律でもございます。
ですから、一方で、今までの薬害等々を反省する中において、第三者組織をつくって、薬事行政に対する一定のチェックを果たしていただく、そういうような意味合いは大きいのではないか、そんな思いを持って、私も議員連盟の一員として、閣法でこれを実現する。
途中は議員立法という話もありましたけれども、やはり原告団の皆様方が、これは政府が出してもらいたいんだという、そのような強い思いを我々も受けて、実現に向かって動いてきたわけでありますが、立場が変わりまして、我々が与党になり、私がこうやって大臣を担当するに当たって、本年の早々にC型肝炎の原告団の皆様方がお越しをいただいたときに、これを何とか閣法で実現したい、大臣、協力をというお話の中で、問題点も幾つか挙げました。
しかし、それを何とか乗り越える方法をお互いに考えていきましょうということで、その後、また議員連盟にお力をおかしいただいて、話し合いをしておったわけでありますけれども、残念ながら、幾つかの点で折り合いがつかずということで、閣法を断念せざるを得ない。
大きな問題点は、やはり独立性という問題でありまして、厚生労働省からの独立性という話になりますと、厚生労働省内にはつくれないという話になれば、これは厚生労働省担当で、外れるわけでございますから、また違ったいろいろな議論をしなければならない、こういう苦しい思いもあったわけであります。
それで、断念ということであって、非常に残念であったわけでありまして、先般の通常国会、皆様方、議員連盟の方々にも大変御迷惑もおかけをしたわけでありますが、その後、大臣協議で、C型肝炎の原告団、弁護団の皆様方とお話をする中において、幾つか今回断念をせざるを得なかった理由を述べさせていただきましたら、それはそれとして、幾つかの誤解点、お互いにあったねというようなお話の中で、さらにまた、再び閣法に向かってチャレンジをする、そんな努力をしようということに至ったわけでございます。
そのような意味からいたしますと、確かに、まだ乗り越えなければいけないハードルはあろうと思いますけれども、私もできる限りの努力はしてまいりたい、このような思いでございます。
○高橋(千)委員 ちょっと答弁が長過ぎです、最終的には、チャレンジするということだったと思うんですが。
今回の薬事法で、そもそも名前も変わるわけですけれども、その中で、国や都道府県や、あるいは医薬品関連業者、国民というところもあるんですけれども、それぞれの責務が新設された、その趣旨を改めてお話しいただきたい。
○赤石大臣政務官 質問、ありがとうございました。同じふるさとの人間として、いつも頼もしく思っております。
私も、肝炎については、最初にオーストラリア抗原という検査だったんですね。まだHBとかHCとかHEとか、そういうことがない時代から検査をしていまして、本当に、そういう意味では大変な思いがあるわけでありまして、こういうことが起こったということも大変残念なことだと思っています。
その上で、今質問ありました、関係者の責務の問題については、国、地方自治体、事業者の責務というものを現在明らかにしてあるわけですけれども、国の役割としては、保健衛生上の危害の発生及び防止等に関する施策の策定、実施。地方自治体としては、地域の状況に応じた施策を策定、実施する。それから、関連事業者においては、相互間の情報交換その他の必要な措置を講ずる。また、医療関係者は、特に医薬品等の適正な使用に関する知識と理解を深めるとともに、患者等に対して正確かつ適切な情報提供に努める。国民の役割としては、医薬品の適正な使用、有効性及び安全性に関する知識と理解を求めるように努力をする。このような責務になっております。
以上です。
○高橋(千)委員 政務官、ありがとうございます。
ただ、今おっしゃったのは読めばわかることで、責務が新設された趣旨を聞いております。そういうことなんです。
なぜ、わざわざあえてこういう責務を書いたのか。長い長い薬事法の歴史の中で、あえて今回、国の責務に踏み込んだんだ、そういう立場で、今回変わるべきものがあったんじゃないかということで、確認をさせていただきました。
ちょっと時間がないので、次のところでもう一回このことで触れたいと思うんです。
スモン、サリドマイド、肝炎、HIVなど、それぞれ私も質問してきたことがあるんですけれども、薬害の発生が薬事法の改正につながり、まさに闘いの中で規制が強化される、そういう歴史をずっと歩んできたわけですよね。だけれども、今回は、ある意味、規制緩和のものを持っている。医療機器の外部委託ですとか、再生医療加工品の外部委託ですとか、そういう規制緩和に踏み切るものなわけです。
だからこそ、一層、第三者機関、単に薬害肝炎の報告があったからという、それ自体が大きなものですけれども、改めて、歴史をまた前に戻して、規制緩和に踏み切るという点でも、第三者の監視・評価組織の必要性が増すと思うんですね。
その認識はよろしいですよね。大臣、もう一回。簡潔に。
○田村国務大臣 第三者機関というものを何とか実現したいという思いも、先ほど委員がおっしゃったとおり、今般の薬事法改正、また再生医療新法は実用化という部分で内容的に盛り込んでいる部分もございますから、そういう意味では、やはりしっかりと、我々が今まで薬害というものをいろいろと引き起こしてきたことの反省に立って、バランスをしっかりとるためにも、そのような方向というものが必要であるのではないのかということで議論をしてきたという流れがあるわけでございます。
○高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。
そこで、本法案では、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の添付文書案の届け出を求めております。
これも、実は、先ほど紹介した薬害肝炎の検証再発防止委員会の最終提言にもありますし、これを踏まえて取りまとめた、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会の薬事法等制度改正についてのとりまとめの中で、添付文書の中身についてまとめているわけですよね。
だけれども、そこからいうと、大分足りない。欧米並みに承認制度にしてもよかったのではないか。また、そこで期待をされていた国の是正権限、これが強化されるのか。いかがでしょうか。
○今別府政府参考人 今先生御紹介をされました審議会の議論の中で、添付文書を承認制度の対象にしてはどうかという議論がございました。
ただ、その中では、承認審査の対象にしてしまいますと、やはり承認審査に一定の時間がかかりますので、リスクに柔軟かつ臨機応変に対応ができないおそれがあるのではないかとか、あるいは、現場の医師は使用上の注意以外の使用方法では使用しないというような萎縮が起こってしまうのではないかというような議論が出たというふうに聞いております。
一方、届け出制であっても、今御紹介のありました、国が改善命令を出す権限が明確であれば、国の責任という意味では承認と大きな違いがないのではないかという観点から、届け出制ということにさせていただいております。
今申しましたように、国の改善命令、これは、実は今でも改善命令はかけられるわけであります。したがって、現行の規定で必要な改善命令はかけられるということで、今回、特にこの規定について強化というような措置はとっておりません。
○高橋(千)委員 やはり、これを聞いた趣旨が、さっき聞いたように、薬事法の中にあえて国や関連業者の責務を書いた、そこの立場に立って、もっと踏み込むべきではなかったかなということを指摘させていただいたわけです。
この問題は、もう多分ずっと議論をされてきた問題であって、一九七九年五月九日、当時は社会労働委員会の質疑の中で、こんなやりとりがございました。添付文書の記載事項の承認についてなんですが、当時社会党の川本敏美委員の質問なんですけれども、中野薬務局長がこう言っているんですね。
添付文書の記載事項が非常に重大なものであることは、そのとおり、認めると言っている。だけれども、記載事項が、極めて時々刻々に変化するものだ、だから、承認によって固定化しては、むしろ適さないというふうに言っているんですね。
だから、それで済む話じゃなくて、続けて、このとおり刻々変化する情勢に応じて、国が迅速にモニタリングをして、記載事項の変更を求めるのだということを言っているわけですよ。つまり、一旦固定化しちゃったら、実際にはそぐわないことが出てくるから、それを国が追っかけていくんだと言っている。
追っかけていくんだったら、とてもいいことなんですよ。そういう立場にもなっていないからこそ、いろいろな事件があったじゃないかということを言いたいんですよね。
だから、さっき言うように、時間がかかるんだとか萎縮するんだということで終わるわけにはいかないんですね。政府のこれまでの歴史的な答弁から見ても、きちんと認めるべきだと思いますが、もう一度お願いします。
○今別府政府参考人 今回の改正も、もちろん、添付文書を改定するたびに、実質的にはPMDAを通じてでありますけれども、把握をするということになっておりますので、当時の、時々刻々変化する状況をきちんと把握をしていくという姿勢には変わりはございません。
○高橋(千)委員 変わりがありませんという答弁でありました。
しかし、この一九七九年から、もうずっと長い間いろいろなことがあって、ソリブジンとかイレッサとか薬害肝炎とか、やはり添付文書の評価が問われる事件が続いたわけです。そうしたことの教訓に立って指摘をしておりますので、だったら臨機応変にやってよ、モニタリングをきちっとやってよということを重ねて指摘したいと思います。
次に、再生医療安全確保法案並びに薬事法の再生医療製品等に関する規定について質問していきたいと思うんです。
再生医療については、通常国会で議員立法により基本法が成立した。その際に、私たちは、患者や関係者の熱い期待があるということ、また同時に、理念を明確にして、現在、自由診療で特に法規制がない状態、これを早く改善すべきだ、そういう立場から、賛成をいたしました。言ってみれば、本法案はその具体化でもありますから、必要な法案だと認識をしております。
そこで、伺いますけれども、まず、きょうの午前最初の大串委員の質問で、資料も出されていたわけですけれども、ただ、この再生医療が、日本再興戦略の中に位置づけられて、再生医療の実現化ハイウェイ構想に位置づけられているわけですよね。この中身について、まず、その狙いとかスキームですね、端的に御報告をお願いします。
○原政府参考人 再生医療の実現化ハイウェイ構想についてお答えいたします。
先ほど委員御指摘のように、再生医療の実現を待ち望んでおられる患者さんもたくさんおられる。このために、再生医療の迅速な実現をしていく必要があると考えております。そのためには、基礎から臨床段階まで、切れ目なく、一貫した支援を行うことが重要であると認識しております。
このため、厚生労働省初め文部科学省、経済産業省と連携いたしまして、この再生医療の実現化ハイウェイ構想を打ち出しております。
具体的には、文部科学省では、再生医療のいち早い実現を目指した強力な基礎研究の推進、厚生労働省では、その基礎研究の成果を受けて臨床研究に移行するための支援、また、経済産業省では、再生医療の実用化や幹細胞による創薬支援の実用化を支える産業基盤の構築を担当することとしておりまして、それぞれの取り組みを進めているところでございます。
○高橋(千)委員 それぞれの取り組みといっても、それぞれの思惑でやるわけにはいかないですよね。当たり前じゃないですか。
このハイウェイ構想には、概算要求額、来年度百六十四億円なんですけれども、指標として、二〇二〇年、ちょうどオリンピックの年でありますけれども、一千九百億円。これは、医療の世界では九百五十億円、そして、培養装置ですとかいろいろな周辺産業が九百五十億円、合わせて一千九百億円の市場を見込んでいらっしゃいます。そして、二〇三〇年には一兆五千五百億円の市場を目指す。まさしくハイウェイというか、リニアの世界に近いのかなと思うわけです。
経産省は、国内外の再生医療の将来市場規模予測を、二〇二〇年は九百五十億円なんですが、二〇三〇年は一兆円、二〇五〇年は二兆五千億円と描いております。細胞シートなどやインキュベーターなどの、培養、解析にかかわる周辺機器での成長を期待している。
そして、当然のことながら、こういう環境が整ってくることによって、例えば、三十日の日経、大日本住友製薬が再生医療の実用化研究に乗り出すというふうな報道がありました。つまり、今まではベンチャー企業の細々とした市場があったのが、本法案の成立、あるいは政府が位置づけたということで、一気に大手企業の参入が進むという環境がある、それは国内だけではないという状況が生まれているわけです。
そこで、大臣の認識を伺いたいなと思うんですが、再生医療はまだ未知の分野であります。私も、この八月に、委員会の視察の一員としてデンマーク、イギリス、フランスを訪問して、セルバンクなども見せていただいたわけですけれども、ここでの主役はまだES細胞だったわけですよね。
ですから、臨床の症例などというのはまだまだ世界でもわずかであります。そこを一気に日本が躍り出よう、そういう計画になっているわけですから、そこにひずみがないはずはないと思うんですが、率直に大臣に認識を伺いたいということ。
それと、それぞれが一番重点化したいところは別なのよというわけにはいかないわけですよ。ですから、重点化をして一点突破、例えば、山中教授がおっしゃっている脊損、頑張りたい、そういう、実用化に一番近いところにうんと重点化をしていくのか、あるいは、それぞれの病院でいろいろ認定委員会を設けます、広く浅く、うんとあちこちから可能性を目指すようなふうになっていくのか、そこの狙いですか、進め方、どのように考えていらっしゃいますか。
○赤石大臣政務官 今委員の御指摘のように、再生医療については、iPS細胞だけではなくて、さまざまな、多様な細胞が用いられているわけであります。
したがいまして、厚生労働省としては、文部科学省や経済産業省としっかり連携して、個別の技術の有用性やリスクに応じて、今ある基礎研究のシーズを適時適切に臨床研究へ円滑に移行させ、再生医療の実用化を図ることが重要と考えております。
まだまだ、その意味では、今回の薬事法の改正によって、それが一歩進むということになるだろうというふうに思っております。
以上です。
○高橋(千)委員 これは大臣に通告をしていたんですけれども、今政務官がおっしゃったように、再生医療と一口に言っても非常に広い分野である。その中で、こんな目標を決めて、一兆五千五百億円とか、市場を決めてやるのにそぐわないのではないかという立場で私は質問しているんです。
そういう中で、それぞれが、経産省はとにかくシードをつくるよとか、文科省は基礎研究ですよと、自然発生的ではないでしょう。どこに力を入れるんですか。当然ながら、基礎研究の分野は大事ですよねということもあるわけですよね。それは、厚労省としては出てきたものを粛々とやりますというだけでは済まないと思うんです。どういうふうにお考えになっていますか。
○田村国務大臣 再生医療に対して非常に期待がかかっている。それは、特にiPSですよね。
今までのヒト胚性幹細胞というものは、なかなか倫理面でクリアできない問題がいろいろある。体性幹細胞に関しては、全てのものに変化でき得るとはなかなかいかない。そこで、iPS細胞であれば、倫理性もクリアできて、いろいろなものに再生といいますか変われるということでありますから、いろいろなものに対してiPS細胞というものは、言うなれば、きくといいますか、そういうような可能性があるわけであって、ニーズの方としても、難病の方々、脊損の方々、いろいろな方々を含めていろいろなニーズもある。
ですから、今委員は、何か狙い撃ちしてどうだというようなことを答えろというような話でありますけれども、厚生労働省としては、やはり臨床研究のところを中心に進んでいく。それは、まさに治療だとか診断だとか、そういうところに近いところを我が省は受け持つわけであります。そこに対するニーズはいろいろとあります。
そして、シーズはシーズで、またいろいろなものをシーズとして見つけてこなければならないわけでありまして、そこをうまく融合させていくということ自体が重要であるわけでございまして、そのための、このハイウェイ構想であるというふうに認識いたしております。
○高橋(千)委員 スピードアップの圧力がかかると、当然、承認も早く、そういう話になってくるわけですよね。審査、確認、いろいろな手続を早くしてくれと。
しかし、それでは、安全の問題や、単純な話ではないんだよという立場に当然厚労省としては立たなくちゃいけないわけですから、それで一兆幾らというお金が、まず目標が先にあって、そこに一路進むんだというわけにはいかないでしょうという立場で指摘をしているわけなんです。そこがちょっと、なかなかお答えづらいことかもしれませんけれども。
薬事法に位置づけるのに、再生医療等製品のみ、承認のプロセスが違う。これも、ですから、言ってみれば、そのスピードアップの圧力の中で起きてきたことではないかと思いますけれども、それはやはりおかしくないでしょうか。
○赤石大臣政務官 再生医療というのは、今委員がおっしゃるように、非常に難しいテクノロジーだと思います。そのために非常に慎重にならざるを得ないというところがあって、今まで、とにかく薬事法の中ではこの再生医療という治療が、あるいは研究がなかなかできにくい環境だったわけであります。
そういう意味では、今回新しい薬事法をつくることによって、この再生医療というのは一歩前進するのではないか。そういう意味でも、安全性を担保しながら有効性を獲得していく、そういうことが必要だろうということで、今回、この薬事法の中に条件、期限つきの承認の仕組みを導入したということでございます。
○高橋(千)委員 ちょっと答えにはなっていないんですよね。
結局、諸外国でもやっていないことを日本はやる。だから、日本にアメリカの企業も来て、進めたいという。それで、さっきの成長戦略になっていくわけですよね。でも、それでいいんですか。確かに難しい、不均一です。でも、それをほかの国はやっているわけじゃないですか。EUも規制をしている。そういう中で、日本だけがそこまで進むんですかということを指摘しているんです。
「再生・細胞医療に関する臨床研究から実用化への切れ目ない移行を可能とする制度的枠組みについて」、これは平成二十三年三月に検討会の報告が出ていますけれども、その中でも、やはり、他の薬事法の枠内とは独立した新たなカテゴリーを創設して、第一相臨床試験において数例で安全性確認ができたら速やかに製造販売承認を行うべきだというふうな意見があったと書いているんですよね。
だから、さっき、九十日なのかとか何カ月なのかという議論がありましたけれども、数例でいいんだよ、それはもともと少ないんだから仕方ないんだよという、そう単純な話ではないでしょうということを重ねて言っているんですけれども、何か、そうじゃないんだというお答えがありますか。
○田村国務大臣 今回、薬事法の中で期限つき、条件つきで承認するということに関しては、確かに、先ほど来もいろいろと御質問いただいている中において、その有効性というものは、なかなか、長期的な評価において確認するということが非常に難しい。それは、特性上、製品の均一性というものがなかなか担保できないわけであります。
しかし一方で、安全性に関しては、これはちゃんと確認をした上で、その上で条件つき、期限つきの承認をするということでございますから、この安全性というものに関しては、やはり我々はしっかり確認をしていかなければならないというスキームの中で、今般の法律を出させていただいておるということであります。
○高橋(千)委員 これも、ですから、数例でいいんですかというのに対して答えていないんですよね。
それこそ、欧米の中で、ああ、なるほどなと思ったんですけれども、病院の中で自己完結の治療の場合は、ホスピタルエグゼンプションということで、薬事法とは切り離した規定になっているので、それが一番わかりやすいなと思ったんです。
だから、そういうふうにきちんと切り分けていけば、短くしても市場に出すしかないんだというふうな議論にはならないので、やはりそこは、薬事法の世界は、きちんと、ほかの薬事と同じ、そして、病院の現場ではちゃんとやるというふうに整理をしていけばいいだけの話ではないかということを指摘していきたいと思います。
それで、もう一つ、細胞加工の外部委託についてなんですけれども、これもやはり産業界からの期待もあると思うんですが、これについての安全確保はどのように担保するのでしょうか。
○田村国務大臣 委員、数例と言われましたけれども、疾病に応じて、数十例のものもあるわけでございまして、全てが数例というわけではないということは御理解いただいておるというふうに思います。
今のお話の方は、安全性確保法の話であったというふうに思うわけでありますけれども、細胞培養加工に関しまして、これはどうやって安全性を確保するんだ、その上で外部委託をするのかというお話であったというふうに思います。
もちろん、今まで、医療機関の中で、専門的な技術を持った方、また、いろいろな意味で専門的な安全性の知識のある方々がやってきたわけであります。これを外部、民間に委託するわけでありますから、そこは、施設基準等々、しっかりと厳格なものをクリアしていただかなければならないわけでございまして、そのようなところでしっかり安全性を担保しながら、一方で、これはどうも不適切だな、基準を満たさなくなったなという場合には許可を取り消すということをしてまいる中において、安全性を確保していきたい、このように考えております。
○高橋(千)委員 その施設基準、再生医療提供基準を作成することになっているわけですけれども、それの中身について、やはり、さっきから言っている有効性についてということが書かれていないんですよね。
ヒト幹指針においては、基本原則の中に、「適切な実験により得られた科学的知見に基づき、安全性及び有効性が予測されるものに限る。」ということが書かれていて、まさか、今の指針を下回るということはないですよね。確認です。
○原政府参考人 今のは安全確保法の方の話だと思いますけれども、提供基準について、現在の指針等を参考にしながら決めてまいりますので、現在の安全基準を下回るということはないと考えております。
○高橋(千)委員 安全基準という言い方に変えてしまっているのが、ちょっと違うんですよね。
そこは、何か、私があえて二つのことを指針に書いているじゃないのと言っているのに、安全基準、安全基準と言いかえているということを、あえて指摘をしたい。でも、下回らないと言っているんですから、ここは確認していきたいと思います。
やはり、成果を焦って、安全性、有効性確認のプロセスを省略してはならないということを重ねて言いたいと思うんですね。先端を走る研究者や学会などが繰り返し発言しているのは、やはり国民の過度の期待ということであります。この過度の期待があり過ぎて、一度の失敗がせっかく積み上げてきた成果を台なしにしてはならないという立場であるからこそ言っているわけであって、何もかもだめだと言っているわけではないんですよね。
さっき大臣が言った倫理の問題も、山中教授自身が言っています、発表した一週間後にネイチャーに書いています、たった一人でも子供を産めるのよと。そういう世界に本当に踏み込むことがどうなのかということなども問われていて、まだまだ課題が多い問題ですので、引き続き議論していきたいと思います。
ありがとうございました。