○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、航空法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
新型コロナ感染拡大の下で航空業界は深刻な苦境に陥っており、航空ネットワークを維持、確保するため、国が支援に乗り出すことは必要なことです。しかし、最大の問題は、雇用の維持が明確でないことです。
昨年十二月に改定されたコロナ時代の航空・空港の経営基盤強化に向けた支援施策パッケージにおける雇用維持に対する支援策は、厚労省の、コロナ特例措置が一部を残して終了した雇用調整助成金や産業雇用安定助成金だけです。
これまでも政府は、経営難に陥った航空会社への支援の前提として、経営基盤強化の名による徹底した合理化、人件費等コスト削減を求めてきました。リーマン・ショック後の日本航空の経営破綻に際し、国の支援と引換えに、再生計画に基づき一万六千人の人員削減が実施され、二〇一〇年末には百六十五名の整理解雇が強行されました。ILOから四次にわたる勧告を受け、不当労働行為が最高裁で確定したにもかかわらず、解決に至っておりません。
本日は、雇用の維持について、国の方針に書くとの答弁がありました。新型コロナ感染拡大による苦境を、リストラ、人員削減の口実にすべきではないことを、改めて指摘をしておきます。
さらに、支援施策パッケージは、航空ネットワークの維持、確保といいながら、訪日旅行者二〇三〇年六千万人の政府目標に固執したポストコロナの成長戦略にほかなりません。国管理空港運営権者などに対する無利子貸付けも、その内容は成田空港の第二滑走路延伸、第三滑走路新設など、既存の開発計画を支援するにすぎず、ネットワークの維持とは無縁のものです。そもそも、コンセッション空港に対する国の財政支援は、民間の知恵と資金の活用等により空港経営の徹底的な効率化を図るなどといって推進した当初の目的の破綻と言わざるを得ません。
法案に反対する第二の理由は、ドローンのレベル4、有人地帯上空の補助者なし目視外飛行を解禁することは時期尚早であるからです。
ドローンの機体認証及び操縦ライセンスについては必要なことです。しかし、第三者上空の飛行については、国交省自身も安全確保の手法、技術を確立できていないとし、電波断絶による墜落の危険など、安全面で多くの課題が指摘されています。なお、機体認証と操縦ライセンスの取得によって、これまで毎回必要だった許可、承認が不要となることにも懸念があります。
また、第三者上空の合意なしの飛行は、民法に基づく土地所有権の侵害に当たることが指摘されながら、未解決のままの見切り発車になります。コロナ禍で遅れているレベル3の実証実験などを丁寧に積み上げていく中で、実現性について慎重に見極めるべきであります。
なお、保安検査を航空法上明確にし、国がハイジャック、テロ等を防止する危害行為防止基本方針を策定し、保安検査の受検義務づけなど、国の関与を強めることは必要なことです。
しかし、航空会社や警備会社など民間任せの仕組みは変わらず、保安検査員の処遇改善につながる踏み込んだ支援もなく、実効性が担保されていません。米国では、二〇〇一年の同時多発テロ以降、それまで民間が担っていた保安検査を国の機関である運輸保安庁、国家公務員が担うようになっています。日本でも、保安検査員の処遇改善、地位向上を図りながら、将来的に保安検査を国が責任を持って実施するよう検討するときだと思います。
以上述べて、討論とします。