国会質問

質問日:2021年 5月 14日 第204国会 国土交通委員会

航空法改定案 雇用維持、ドローン安全性

雇用維持明確でない

高橋氏が航空法等改定案反対

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=14日、衆院国交委

 航空法等改定案が18日の衆院本会議で賛成多数で可決しました。日本共産党は反対。高橋千鶴子議員が14日の衆院国土交通委員会で質疑と反対討論を行いました。

 高橋氏は質疑で、新型コロナ感染症の拡大で苦境にある航空ネットワークの維持・確保のため国の支援が必要だが、法案では雇用維持が明確でないと指摘。赤羽一嘉国交相は、条文にはないと認めつつ、「安全運航を支える人材の雇用維持は重要だ。雇用を守り、支援するよう基盤強化方針に記載したい」と答えました。

 高橋氏は、無人航空機(ドローン)の有人地帯での目視外飛行(レベル4)の解禁は電波断絶による墜落の危険など安全面での不安が残され、土地所有権侵害の問題も未解決で時期尚早だと指摘。国交省の和田浩一航空局長は「土地所有者をはじめ地域の理解と協力を得ることは重要」「ドローン運航者に対し、事故が発生した場合の賠償資力の確保などの対策を、地域の関係者に説明し、理解と協力を得るよう促す」と答えました。

 法案は、空港保安検査については国が方針を決めるとし、旅客の受検を義務化します。高橋氏は、警備会社まかせの現状を指摘し、検査員の処遇改善と、国の責任で検査するよう検討を求めました。
(「しんぶん赤旗」2021年5月26日付より)


ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 航空法等の一部改正案ですが、三つのテーマ、それぞれ大事でもあり、時間との勝負ですので、答弁も簡潔にお願いいたします。
 まず、空港保安検査についてです。
 昨年五月十三日の質問で、現在航空会社が警備会社などに委託して行っている保安検査、昨今のナイフ見逃し事件などが相次ぐ背景にあるのは、保安検査員の処遇改善、これがあるのではないかということで求めたわけであります。このとき紹介したワーキンググループの取りまとめ、また、その後の有識者会議を経て本法案が出されたことは、一定の評価ができると考えています。
 そこで、最初の質問は、百三十一条の二の三第一項、空港等の設置者等は、危害行為防止基本方針に基づき、危害行為を防止するために必要な施策を講じなければならないとあります。この設置者等とは具体的に誰を指すでしょうか。


○和田政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘の、空港等の設置者等につきましては、法の第百三十一条の二の二第二項第六号に規定をされてございます。空港会社などの空港等の設置者のほか、航空会社、旅客ターミナルビル事業者、保安検査業務を受託する検査会社などが含まれているところでございます。


○高橋(千)委員 余り省略しないで、ここは全部言っていただいてもよかったと思うんですよね。つまり、前回は、八十六条の、何人も持ち込んではならない、これを措置するのは航空会社が主語だったと思うんです。今回、航空会社も空港会社も、そして検査業務受託者も全部対象になるんだ、この設置者等はということで、みんなが責任あるんだよということは、逆の意味で、先ほど辻元委員の指摘もあったと思うんですが、責任が曖昧にならないのか、その心配があって指摘をさせていただきました。
 ナイフなどの持込みを認めないとしても、客が従わない場合、搭乗拒否する権限は航空会社の約款によって定められております。これが今回はどうなるんでしょうか。


○和田政府参考人 お答え申し上げます。
 旅客を航空機に搭乗させるか否かの判断は、当該旅客と運送契約を結んでいる航空会社が行うものであり、その運送約款において、旅客が保安検査に応じないなどの一定の場合には、航空会社が旅客の搭乗を拒否することができるとされているところでございます。
 一方で、今般の航空法改正におきましては、保安検査に協力的でない旅客などに対しまして、保安検査員等が毅然とした対応が取れるように措置をしております。
 具体的に申し上げますと、保安検査の受検の義務づけでありますとか、保安検査を受けずにクリーンエリアに立ち入った場合には、航空法違反となり、罰則の対象となる。
 また、保安検査の的確な実施のため、保安検査員等が旅客に対し必要な指示を出す権限を法律上明確化するとともに、旅客は正当な理由がない限り、その指示に従うことを義務づけております。
 さらに、それでもなお必要な場合には、保安検査員は、旅客に対し、保安検査場にとどまるよう指示をし、航空会社の職員や警察官とともに対処することも想定されるところでございます。
 これらの制度の下で、航空機の搭乗前の段階でしっかりと旅客に対処できることとなり、事実上、搭乗拒否と同様の効果が得られることとなると考えております。


○高橋(千)委員 毅然とした対応ができる、旅客が従わなければならない、これは法律に書きました。ですので、確かに今までよりは強化かもしれません。だけれども、約款によって定められている、航空会社を呼んできて対応します、最悪の場合は、待機してもらってと、結局、同じことなんです。航空会社を呼ばなければ、保安検査員の資格ではできないという仕組みは変わらないということなんです。本当にそういう従わないお客がいた場合ですよ。実際いるから指摘をしています。
 昨年、私の質問をネットで見たという方からメールをいただきました。空港保安検査員として五年勤めたそうです。賃金の低さ、長時間労働、権限のなさ。まさに心折れて、転職を検討していますと書き出していて、現場の扱いがどれだけひどいか、大臣にも聞いていただきたいと思います。
 旅客からは罵られ、旅客へ検査協力を丁寧に依頼しても拒否され、対応を航空会社に交代してもらえば、所詮は警備員の接客だと見下され、再度丁寧に検査への協力を依頼しても納得されず、時には暴力も振るわれる。カッターナイフを投げつけられ、パソコンの取り出しを依頼しただけで、おまえはばかなのかとどなられ、おまえみたいなのは俺のステータスが分からないのかと見下され、接触検査では、きれいな白い手袋をはめていても、菌が来る、コロナに感染したらおまえのせいだと言われている。
 これはほんの一部だとおっしゃっています。絶対にあってはならないことですよね。この方は、それでも空の安全を守るという仕事だと誇りを持って頑張っているのです。
 結局、法改正によっても、これまで課題となっていた保安検査を行う方たちの処遇改善には結びつかないのでしょうか。どうですか。


○和田政府参考人 お答えを申し上げます。
 コロナ禍収束後において航空需要の回復、増加が見込まれる中、航空保安対策を確実に実施するためには、離職率が高い保安検査員の労働環境を改善し、人材を確保していくことが極めて重要だと考えております。
 これまでも、保安検査の実務者で構成をする保安検査員の人材確保・育成検討ワーキンググループを開催をいたしまして、先進機器の導入推進、また検査員の労働環境の改善等に向けた取組を進めており、可能なものから順次実行に移しているところでございます。
 それらの取組に加えまして、今般の航空法改正におきまして、保安検査の受検義務化、また検査員の指示権限の明確化により、旅客等へのクレーム対応、これが改善されると見込めます。また、国土交通大臣が策定をする危害行為防止基本方針に、先進的な検査機器の導入や検査員の教育訓練等への支援、また検査員の処遇改善に必要となる費用負担の在り方の検討などについて、国が主導して検討することを明記をいたします。また、国から検査会社への指導監督権限の創設によりまして、検査会社の声を直接しっかり聞き、連携を強化する。これによりまして、国土交通省といたしましても、しっかりと保安検査員の処遇改善を含めた労働環境の改善に取り組んでまいります。


○高橋(千)委員 最後の一言でよかったと思うんですけれどもね。
 結局、委託費がマルメですので、一人一人の労働環境を守るために出しているわけではないわけですよね。そこにも切り込んでいかなかったら、本当の意味での処遇改善にはなりません。このことを、大臣、もしよかったら、後で答弁で触れていただきたいんですけれども、時間の関係で次に行きますけれども、是非、押さえていただきたい、お願いしたいと思います。
 次に行きますけれども、昨年十二月二十一日に、コロナ時代の航空・空港の経営基盤強化に向けた支援施策パッケージが発表されました。過去に例を見ない規模での航空需要の大幅な減少が長期化し、約二十四万人の雇用を支える航空、空港関連産業は、二〇一八年度の売上高五兆円から、昨年度は六、七割程度の減収が見込まれるとして、短期、長期の支援策が盛り込まれました。
 法案は、航空運送事業基盤強化方針に書き込む、国が作る方針に書き込む基盤強化の意義、目標というのはどのようなものか、伺います。
 もう一つ、昨年十二月に改定、公表されたパッケージの中には雇用の維持ということが書いてあるんですけれども、基盤強化計画が何を書くのかというところの条文の中にはそうした雇用の維持ということが書かれていないんですけれども、それはなぜでしょうか。


○和田政府参考人 お答えいたします。
 航空ネットワークは、公共交通として国民の社会経済活動を支えるとともに、ポストコロナの成長戦略の実現に不可欠な空のインフラであると考えております。
 こうした基本認識の下、航空運送事業基盤強化方針には、航空運送事業の基盤強化の意義、目標といたしまして、航空会社の自助努力や国の支援措置等によって経営体力を維持することで、今後も必要な航空ネットワークを維持、確保できるようにしていく必要があること、具体的には、今後の需要回復に速やかに対応するとともに、ポストコロナの需要増加に対応するために必要な体制を確保すること等を記載することを想定しております。
 本法案においては、基盤強化方針に記載すべき事項を大くくりにして規定をしており、雇用の維持を含め具体的な内容は規定しておりませんけれども、航空の安全運航を支える人材の雇用維持は極めて重要な課題であると認識をしており、雇用を守りつつ支援していく方針を実際の基盤強化方針に記載したいと考えております。
 また、これを踏まえて、航空会社の計画においても雇用に関する記載をいただくことを想定しており、航空会社の実情をよく聞いて、雇用の維持に最大限努力をしてまいりたいと考えております。


○高橋(千)委員 国の方針に記載したいという明確な答弁があったかと思います。
 大臣に伺いますが、過去に同時多発テロやリーマン・ショックなどに際して、航空事業経営基盤強化の名目で、プログラムとか様々な名前で取り組まれておりますけれども、支援策が行われた際は、徹底した合理化、コスト、人件費削減というものが書き込まれ、またそれが行われ、あの日航の不当解雇問題もいまだ解決をしておりません。こうした問題はもう起きない、起こさないという立場でよろしいでしょうか。


○赤羽国務大臣 一般論になりますけれども、過去のある時代に、経営改善を努力して、そのときに、適正な人員配置にするというふうなことは手段としてあったと思いますが、現状は、どの業界も非常に人手が不足している中で、今、こうしたコロナ禍においても雇用の維持に航空会社各社とも精いっぱい努力をされておりますし、我々も雇用調整助成金の拡充の延長等々で精いっぱいそれを支えているということでございます。
 基本的な考え方は今局長が申し上げたとおりでございまして、航空の安全運航を支える人材の雇用維持は極めて重要な課題であるというふうに国としても認識をしておりますので、雇用を守りつつ支援していくという方針は、基盤方針に記載したとおりでありますし、航空会社の計画においても雇用に関する記載をいただくことを想定しているところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど答弁を別の方にもしましたが、航空ネットワークの維持、確保の観点からも、人材の雇用維持は極めて重要な課題であるというふうに認識をしております。


○高橋(千)委員 例えば全日空などは、希望退職募集、あるいは新卒採用中止二千五百名、実際は予定していたものが中止とか、派遣外国人の契約解除とか、いろいろな形で表れております。
 また、世界を見てもコロナ破綻というのはかなり多いわけですけれども、そういう中で、例えば、やはり雇用そのものを守るために、アメリカでいうと六百十億米ドル、シンガポールでいうと百四十七億米ドル、ドイツでいうと百十三億米ドル、フランスだと八十三億米ドルなどと、やはりちょっと桁が違うわけですよね。やはり国として本当に取り組む姿勢という点では若干小さいのかなと。
 つまり、いつ終わる、厚労省の制度を頼っているということと、産業雇用安定助成金も、これは出向で雇用を維持するという点では大事なことだと思いますけれども、今維持されている、例えば乗務員などの基本給が、基本給プラス飛んだときの歩合給でやっと暮らしていたという実態があるわけですよ。それがないものですから、基本給だけでは本当に暮らしていけないと。これは実際の人の話ですけれども、毎日もやしを食べている、そうやってやっとの思いで暮らしているという声があるんですね。
 そこを見て、結局、この雇用の問題は、航空協会だって、いずれ必ず戦線復帰したときに必要な人材なんだ、長い経験を持った人たちなんだと位置づけているわけですから、そこは本当に大切にしていただきたいと指摘をしたいと思います。
 それで、資料の二枚目にある支援パッケージの中にあるんですけれども、部品等領収検査にリモートを取り入れて簡素化を行うと。どうしてこのようなことをやるのか、どのようなものなのか、簡潔にお願いします。


○和田政府参考人 お答えを申し上げます。
 航空会社が機体の整備に使用する部品等をメーカーから受領する際には、不具合の有無を確認する領収検査を行う必要がございます。機体の整備を海外の整備事業者に委託する場合には、航空会社の検査員が海外の整備事業者に出向いて領収検査を行うこととなります。
 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして、海外での領収検査が困難なケースが生じています。このため、航空会社の検査員が海外の整備事業者にいる補助者に指示をして動画や写真等を送信させることにより、現地での検査と同等の効果がある場合に限ってリモートでの領収検査を認めることといたしました。したがって、安全上の問題は生じません。


○高橋(千)委員 安全上の問題は生じませんとおっしゃいましたけれども、今この瞬間だからそう言えるんだと思うんです。
 例えば、四月末、コロナ禍における緊急要望として、重整備の領収検査の条件緩和も行いました。これを恒久的なものにというふうに言っているんですよね。そのときは同程度のものだとおっしゃっているんだけれども、それをずっと続けていったときに何が起きるのかということをやはりちゃんと見ていく必要があるんじゃないか。
 航空局は、コロナ禍を踏まえた安全規制の集中的見直しを発表して、昨年六月で十八件、九月で二十八件、これだけの見直しをやっているし、これまでもずっとやってきたということがあるわけですよね。
 そういう点で、もちろん国際基準とか合理的な改革もあるとは思いますけれども、一方で、この間も部品の落下事件などが様々あり、二〇一九年でいうと、部品の欠落は九百二十八個、うち駐機中の機体チェックで発見された欠落が八十四個というふうな事態が起こって、国交省としても対策を取るということを進めてきたわけなんですよね。
 こういうことが、緩和によって経験を積めず事故対応ができないなど、技術の継承という点でも譲ってはいけない部分があるんじゃないかとか、安全性の担保という点でどうなのかとかやはり問われると思うんですけれども、大臣の考えを伺います。


○赤羽国務大臣 今回の航空会社支援パッケージに含まれている安全規制の見直しにおける大前提は、当然のことながら、安全性を損なわないということが大前提になるというふうに思っています。
 今、私の了解は、こうした物理的な制約、コロナ禍という制約のある中での緩和措置に限っているというふうに考えていかなければいけませんし、整備の問題が出ていますが、整備士につきましては、航空法に基づき認可された整備規程に従って、整備作業の内容や難易度に応じた資格要件を適切に定めることが求められておりますので、今般、その要件を緩和するというものではございません。
 いずれにいたしましても、安全は大前提だということは、これは当然のことだというふうに認識をしております。


○高橋(千)委員 大前提ということで、今後もちょっと注視をしていきたいなと思っております。
 時間の関係で、質問を一つ、これは指摘をするだけにします。
 資料の一枚目にあったコンセッション空港の無利子貸付けというのがあるんだけれども、結果としてこれは、ターミナルの改修事業とか、成田空港の滑走路の延長事業とか、あるもの、今までやってきたものにやるだけだよねということを質問したかったのですが、時間の関係で指摘にとどめます。
 それで、一方で、地方空港も国と並びで着陸料の四五%減免を行っておりました。昨年度までは、地元の負担についてコロナ対応の地方創生臨時交付金で補ってきたわけですが、今年度以降はどのようになるんでしょうか。


○和田政府参考人 お答え申し上げます。
 航空ネットワークの維持を図るため、国内線の国管理空港への着陸料と停留料につきまして、令和二年度は四五%、金額にして約五十五億円規模の軽減を実施をいたしました。地方公共団体にもその趣旨を御理解いただき、地方公共団体の判断の下に着陸料等の減免を実施していただいたところであり、その中には地方創生臨時交付金が活用されたものもあると承知をしております。
 令和三年度におきましては、支援を継続している地方自治体もあるというふうに承知はしておりますけれども、国の方で、着陸料、停留料に限らず、航行援助施設利用料でありますとか航空機燃料税まで踏み込んで減免を拡大し、千二百億円規模の支援を実施することといたしました。まずは、こうした措置をしっかりと実施していくことが重要であると考えております。


○高橋(千)委員 結局、今までの仕組みではないわけですよね。強制ではないけれども、義務でもないけれども、一律に四五%、やってきたわけですよ。それに対応する交付金がないわけだと。国は、国の空港だから五五%、減免しますよという話ではなくて、本当の意味で、ネットワークと言っているんですから、やはりそこはしっかりと担保できるように検討していただきたい、ここは重ねて指摘をしたいと思います。
 ドローンも一言やらないといけないので、次に行きたいと思います。
 資料の3なんですけれども、これは結局、無人航空機が第三者上空を補助者なしで目視外飛行ができるということに今度なるわけなんだけれども、そのときに、機体認証とか操縦ライセンスの取得によって、飛行ごとの許可、承認が要らなくなる。そうすると、今までは、もう既に実施をしている、真ん中より下のところですが、人口集中地区とか人や物件から三十メートル未満のところもこれは毎回許可を得ていたんだけれども、機体認証とライセンスの二等資格があれば、これは今度必要なくなる、そういう緩和でもあるわけですよね。レベル4だけの話ではない。
 それで、これは資料の最後のところを見ていただくと、月五千件くらいの許可が既に今も起きているし、増えている。その中で、どんなときに許可を求めていますかという中身を見ると、今読み上げた三十メートル以内が一番多くて、三万一千三百六十九件である。次に多いのが、DID、人口集中地区が二万九千九百九十五件である。そうすると、今一番許可が集中している地区が要らなくなっちゃうんですよ、ライセンスを取れば。一遍にそこまで行くのかいということを、ちょっと慎重であるべきじゃないかと。安全対策としてどうなのか。
 それで、一遍に質問しますよ、第三者上空を飛行する際に、地権者の合意取付け、これは民法との関係があるわけですけれども、どのように整理をして、飛んでもいいということにするんでしょうか。


○和田政府参考人 お答え申し上げます。
 民法において、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」と規定されておりますけれども、その範囲は一般に、当該土地を所有する者の利益の存する限度とされております。
 このため、昨年三月に官民協議会で取りまとめられた基本方針では、第三者の土地の上空を無人航空機が飛行することが直ちに所有権の侵害に当たるわけではないという整理がなされているところであります。
 この場合の土地所有者の利益の存する限度がいかなる範囲であるかにつきましては、一律の高さとして設定することは困難であり、周辺の土地の建築物の設置状況、また事業活動の状況など、具体的な使用態様に照らして判断することになります。


○高橋(千)委員 結論が出ないままに、直ちに侵害するわけではないというふうに結論を出したんだと思うんですよ、今の答弁は。だけれども、住民は全然知らないわけですよ。それは、飛行機はいつも飛んでいるねと分かっているかもしれないけれども、何でこんなにドローンが飛んでいるのかなということになるわけですね。
 本来であれば、一軒一軒合意を取り付けなきゃいけない。今、離島ではそれをやっています。それを、現実的には無理だから、じゃ、直ちに侵害しないからいいよねと、そう整理するんですか。それはやはり、住民の中にもっと理解が醸成されてからじゃなければできないんじゃないですか。
 安全対策のこともちょっと答弁なかったんですけれども、それも含めて慎重であるべきだと思いますが、もう一言お願いします。


○和田政府参考人 お答えを申し上げます。
 今後ドローンが様々な用途で用いられ、その飛行エリアや頻度が増加することが予想される中、土地の所有者を始めとする地域の理解と協力を得ることは極めて重要だと考えております。
 このため、政府といたしましても、ドローンの運航者に対し、適切な機体の使用、安全なルートの設定、また万が一事故が発生した場合の賠償資力の確保などの対策を講じた上で、地域の関係者に丁寧に説明し、理解と協力を得るよう促してまいりたいと考えております。


○高橋(千)委員 推進ありきではいけないと思います。
 終わります。

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