高橋氏「調査・説明を」 衆院国交委
(写真)質問する高橋千鶴子議員=12日、衆院国交委 |
国土交通省の新入職員が昨年5月、パワハラのような扱いを受けていると周囲に伝えるなか自殺していたことが12日、明らかになりました。日本共産党の高橋千鶴子議員が衆院国土交通委員会で取り上げたものです。
この職員は出先機関に配属され昨年5月11日、遺体で発見。スマホに「22年の短い人生でした」などと書かれた遺書めいたものがみつかりました。遺族側の調査依頼を受けて地方整備局が調査したもののパワハラなどはなかったと回答。第三者委員会も追認する報告書を出しました。
高橋氏は、スマホに残された言葉を紹介し、「これで何もなかったといわれても遺族は納得できない。人事院の聴取記録を開示するなどできることがないのか考えるべきだ」と指摘。赤羽一嘉国交相は「入省1カ月で命を落とすことは痛ましく軽く見ることはできない。遺族が納得できることを知りたいというのは当然。誠意を持って対応したい」と答えました。
同省管理職ユニオンのアンケートでは、1362人のうちパワハラを受けたのが607人、今も受けているのが26人、見たのが336人。「職員が少ない。増員してほしい」が73%に上ります。
高橋氏は、国家公務員一般職が20年間で45%減の一方、精神疾患など長期病休は4倍に増えていると指摘。「国交省の出先機関で『1人事務所』が45カ所もあり、一刻も早く解消をとの声が上がっている。犠牲者を何としても防いでほしい」と強調しました。
赤羽氏は「激甚災害が頻発し人員を純増してきたが、『1人事務所』はいろいろな面で心配している。重層的な体制をつくれるよう人員要求を続けていきたい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2021年5月13日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日から、福岡、愛知を加えた六都府県に緊急事態宣言が拡大、延長されました。コロナ禍によってリストラや営業自粛、閉店など生活苦が広がるとともに、先の見えない閉塞感によるコロナうつや自殺なども増えています。重症者でもベッドがないなど逼迫する医療現場、多忙化の続く保健所、ワクチン接種をめぐる混乱も各地で起こっています。
こうした中、国家公務員も多忙を極め、心と体を病む人も増えているのではないでしょうか。
資料の1を見てください。この間進めてきた定員合理化の下、一般職の国家公務員は、約五十万人だった一九九六年度から、二〇一九年度には二十七万七千人と、四五%も減っています。一方、精神行動障害による長期病休者数は、九六年度千五十人から、二〇一九年度四千百八十六人と、四倍にも増えています。
国交省でいえばこの職員数と長期病休の関係、どうなるのか、お答えください。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省における精神行動障害による長期病休者数につきましては、国土交通省発足直後の平成十三年度は二百四十二人、令和元年度は六百九十七人でございました。
○高橋(千)委員 ちゃんと質問に答えていただきたいんですけれども、私が質問したのは、職員が四五%も減っているのに病休者が四倍にもなっている、要するに逆転現象なわけですよね。母数が減っているのに何でこんなに増えているのよという点で、国交省も同様の傾向があるのかないか、それを聞いております。
○瓦林政府参考人 失礼いたしました。お答え申し上げます。
年度末の定員で申しますと、外局を除きます国土交通省の定員は、平成十三年度末で四万七千三百八十九人、そして令和元年度末は三万八千八百九十五人でございました。
○高橋(千)委員 関係性でと言えば、数字だけを答えられる。ぱっと聞いて皆さんも分からなかったかと思うんですが、今ざくっと聞きますと、定員が一万人減ったのに対して、長期病休者は、二百四十二人から今六百四十二人ですから、三倍近くなっている。ですから、全体の減り方、増え方に比べれば若干少ないかもしれないけれども、逆転現象が起こっていることは間違いないということが指摘されるかなと思います。
じゃ、同時に、直近五年間で、国交省における公務災害の発生件数及び認定件数、そのうち死亡事故、自殺の発生件数を年ごとにお答えください。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
令和元年度までの五年間の国土交通省における公務又は通勤災害の発生件数及び認定件数につきましては、順次年度別に申し上げますと、平成二十七年度は発生件数が百八十六件、認定件数が百八十四件、二十八年度は発生件数が二百五十一件、認定件数が二百四十七件、二十九年度は発生件数が二百十七件、認定件数が二百十四件、三十年度は発生件数が二百十一件、認定件数が二百七件、令和元年度は発生件数が二百十二件、認定件数が二百三件。五年間の合計で申しますと、発生件数が一千七十七件、認定件数が一千五十五件でございました。
認定された件数のうち、死亡事案の件数及びそのうちの自殺の件数につきましては、平成二十七年度は死亡事案、自殺共にゼロ件、二十八年度は死亡事案が一件、自殺がゼロ件、二十九年度は死亡事案が二件、自殺が二件、三十年度は死亡事案が二件、自殺が二件、令和元年度は死亡事案、自殺共にゼロ件となってございます。
○高橋(千)委員 きちんと通告していますので、通告したとおりに答えてください。発生と認定は、全部しゃべっていれば時間がかかるからトータルでいいと言ったんです。これは資料をつけております。資料の二番目を見てください。それから、死亡事故と自殺の発生件数を聞いています。認定じゃありません。認定は今争っているし、タイムラグもあるんです。発生件数でお答えくださいと述べました。
自殺件数については、七件のうち五件が自殺なわけですよね。そうすると、毎年一人ないしは二人、ゼロの年も一年だけありますけれども、そういうことだということですよね。これは確認をさせていただきます。ちょっと時間がもったいないので、どうして丁寧に通告したのにそういう答弁になるのか、指摘をしておきたいと思います。
それを踏まえて、もう一回資料を見てくださいね、七件死亡事故が発生していて、そのうち五件は、五年間で五件は、実際は自殺であるということなんです。
それで、大臣に伺いますけれども、国交省の中でも、やはり、最初に言ったように、職員数が減っている中で長期病休が増えているということ、そして、公務災害の発生及び認定が多く、毎年のように自殺もある、こうした現状をどのように見てどのように改善を図っていくお考えか、伺います。
○赤羽国務大臣 職員の数が減っているというのは、もうこれは行政改革という大きな流れの中で減っている。ですから、その中で過剰な労働があったりとか、あってはいけないので、残業時間等々の管理はしなければいけないし、休暇をちゃんと取っているかということも、それはやっていかなければいけないというふうに思っております。それはしっかりやっているというふうに承知をしております。
他方で、こうした事故の件数が出て、余り、ちょっと、プライベートのことでありますので、私も承知している範囲の中では、公務とは全く関係のないプライベートなところで命を絶たれたという大変残念な事例もあったりとかしておりまして、今この答弁で、総括的にどんな関係性があるのかというのは、そこは、そうしたやや乱暴な結論は言えないので、まず、職員が減っていることによってこうしたことが起こらないようにしなければいけない、そうした懸念を持って、もう一度労働の在り方について確認しなければいけないですし、世代も随分違うので、若い世代の人たちがどう思われているのか。職場環境等々についてもしっかりと働きやすい職場をつくっていく、健康なことが維持できるようなというのは当たり前だと思いますが、そうしたことにも細心の心配りをもって改善をしていかなければいけないというふうに私は思っております。
○高橋(千)委員 中にはプライベートの問題でというのもあるかもしれないけれども、正直、ちょっと残念な答弁かなと思います。
行革の中で、母数が少なくなっているけれども長期病休者が起こっているというのは、ある意味、大臣がお認めになったように、その分労働が過重になっているということで、いろいろなしわ寄せが来ているという中でやはり起こっていることだと思いますので、そこ自体を率直に、深刻なんだ、変えていかなきゃという思いがもう少し出てくるのかなという気がいたしました、申し訳ないですが。そのことをまた、次の答弁の機会もありますので、お聞きしたいなと思います。
今日は、具体の案件を大臣に直接聞いていただきたいと思っています。
昨年の五月十日、西日本の国交省の出先機関、これは出先ですので、地方整備局の更に出先、それも新設された事務所です。そこに四月に入職したばかりの男性職員が、わずか一か月で自殺をしました。
五月の連休には自宅に帰省し、友人とバイクでツーリングに行ったりしましたが、友人や両親に職場でパワハラのような扱いを受けていると打ち明けていました。連休が明けて、五月六日から三日間勤務した後で、十一日の月曜日には出勤せず、連絡がつかないと両親に連絡があり、遺体が見つかったのはその日の十七時でした。ダムの上から飛び込んだのです。絶対に助からない方法を選んだのだということ、それほどまでに固い決意をさせたのは何だったのか、勤め始めてわずか一か月しかない中で何があったのかと思いました。
複数の友人とLINEトークで悩みを打ち明け、辞めたいとも話しておるし、また、友人からは、パワハラ相談窓口もあるんだろうから話してみればと説得してくれた、そういう方もいます。スマホの中に遺書らしきものが残されていたこと、実行する場所も書かれていたこと、その前数日間は、スマホの閲覧履歴を見ると、いじめ、自殺、転職などという言葉が繰り返し残っておりました。
私は、昨年十月にこの件について本省の人事課からヒアリングをしておりますが、大臣はこの件について報告を受けていたでしょうか。
○赤羽国務大臣 その時点では受けておりません。
○高橋(千)委員 受けてはおらないということでありました。ただ、もう既に資料は御覧になっていただいていると思います。
代理人弁護士から調査依頼を受けて、担当する地方整備局は、昨年七月、御連絡と題するそっけない返事を出しました。調査結果に該当する部分は、A4用紙で四ページのうちわずか一ページです。そこには、全職員から事情聴取を行い、関係資料を確認したとあり、あとは丸めて、事実はないし、本人からの相談もなかったと書かれています。
八月二十七日に再度の要請書を、要するに再調査を求める要望を代理人として提出をしました。これには、遺書と、三人の友人による陳述書と、一人のメモを添付をしています。五月の時点で遺書の存在を実は事務所は知っておりましたが、代理人が八月に提出して初めてその遺書を確認をしています。ところが、これをもって、つまり、遺書があるからといって、既に当局が実施した調査に追加して調査すべき内容はないと考えますと結論づけています。二週間以内の回答を求めたにもかかわらず、回答が来たのは一月半後の十月九日、しかも、A4一枚のみでありました。血の気が引くような冷たい回答だと思いました。
こうした経過を本省とやり取りする中で、人事課として、弁護士を立てた第三者委員会を立ち上げて調査を行っていただきました。そこまで持ってくることができたことは、人事課の御尽力に大変感謝をしております。
しかし、今年三月にいただいた調査結果は、地方整備局の最初の調査を問題ない、パワハラ、嫌がらせなどの事実はなかったと追認するだけでありました。じゃ、なぜ自ら命を絶ったのか、しかも絶対助からない方法でと叫びたくなるわけです。お父様は、このままじゃ息子は浮かばれません、残された家族はどん底のままですと悲痛な訴えをしています。これで終わりにはどうしてもできません。
まず、人事院に確認します。国交省にはまた後で聞きますけれども。
国家公務員災害補償事務のフローでいいますと、災害が発生した場合、当事者若しくは遺族の申出があった場合、補償事務主任者から実施機関、人事課に当たると思いますが、報告を行いますが、申出がなくても補償事務主任者は探知をしなければなりません。まずは公務災害を疑って、本人や遺族からの申出がなくても調査をするという意味だと思いますが、いかがでしょうか。
○練合政府参考人 お答えいたします。
国家公務員災害補償制度におきましては、御指摘の職権探知主義を取っているのは、国が使用者責任に基づいて補償を行うものであることに鑑み、被災職員や遺族の請求を待つことなく、実施機関が自ら災害の発生を職権で探知し、公務災害であるかどうかの認定を行い、公務災害と認定した場合には、被災職員等に対して速やかに通知する義務を負うという考え方に基づくものであります。
○高橋(千)委員 国の使用者責任に基づいて、遺族からの請求を待つことなく職権で探知をするということがお話があったと思うんです。
やはり、調査の中身が、遺族がこう言っている、こう言っている、どうか、どうか、聞いていない、聞いていない、知らない、知らない、そういう調査では本来おかしいと思うんですね。だから、あえてこれを聞かせていただきました。
昨年五月十一日、先ほど言いましたけれども、まず本省に行方不明との一報がありました。そして、本件の場合、国交省としてはそのような調査がやられたのかなと思うんですけれども、一報があったその日のうちに遺体が発見されて、再度、本省に連絡がありまして、これは地方整備局を通してですけれども、自殺の可能性が高い案件、公務災害か否かは調査中と述べています。
発見された状況から見て自殺を疑うのは当然だと思いますし、公務災害かどうかを調査するのは、今人事院からも報告があったとおりです。しかし、長い連休明けの朝、出勤してこないだけで、事務所では警察に捜索願を出しているんですね、その日のうちに。心当たりがなければ、いきなり出すものかな、出さないんじゃないかな、そう思うんですね。
やはり、その点についても含めて、国交省にお答えいただきたいと思います。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
職員の死亡事案につきましては、各任命権者において、事実関係の確認を始め、適切に対応することが必要でございます。
本件につきましても、任命権者である中国地方整備局長においてそのように対応してきたというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 じゃ、済みません、はっきり聞きますけれども、出勤してこなかったら、その日のうちに捜索願を出すことになっているんですか。
○瓦林政府参考人 今回のケースにつきまして、そのような捜索願を出したということにつきましては、当時の状況に即して対応して、まだ寮に入ったばかりであるとかといった状況も含めて判断した結果だというふうに認識しております。
○高橋(千)委員 そういう解釈もできますよね。入ったばかりであって、いろいろな不安もあるだろうということで心配される、当然だと思うんです。
ただ、それと同時に、やはり何か、相談も誰一人受けていなかったと言っているんですよ。それが逆に言うと不自然だと思うから、別にそれが何か物すごく悪いことだと言っているわけじゃなくて、捜索願をすぐ出そうと思うほどの状況が何かしらあったんじゃないのか、そういう視点での調査があってもよいのではないか、このことを指摘をしたかったわけであります。
それで、資料の3を見ていただきたいんですけれども、一昨年成立して、昨年六月から施行されたパワハラ防止法に基づいて、厚労省は昨年の五月二十九日に、心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正を行い、心理的負荷の出来事の類型にパワーハラスメントを追加しました。この趣旨と期待される効果について伺います。
○小林政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、改正労働施策総合推進法が施行され、パワーハラスメントの定義が規定されたことから、昨年五月に精神障害の労災認定基準の改正を行ったところでございます。
この中で、従来、業務による心理的負荷評価表の中の嫌がらせ、いじめに類するものとして評価していたものを、パワーハラスメントとして別途明記したものでございます。
これにより、パワーハラスメントによる精神障害について労災請求がしやすくなるとともに、企業においては、精神障害を発生させないよう、職場におけるパワーハラスメントの防止に実効ある取組がなされることを期待したものでございます。
○高橋(千)委員 簡単な確認をさせていただきたいんですけれども、今まではパワーハラスメントの類型がありませんでした。なので、今のお答えにあったように、労災請求はしやすくなるとおっしゃったんですけれども、やはり、じゃ、何に当てはまるかな、身体的な暴行がはっきりしたときは暴行だというのでなるんだけれども、いじめかな、嫌がらせかな、でも、ちょっと違うよねと。要するに、言葉だけの問題もあるわけだし、ここの資料に書いているように、ちょうど真ん中ら辺なんですよね、相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合、こういうものも入るわけなんですよね。
そういう意味では、やはり、明確な規定がないがためにばらばらに出していたので全体像が見えなかった、あるいは、結局認めてもらえなかった、そういう弊害があったのかなという意味で請求がしやすくなるというふうな理解でよろしいでしょうか。簡単な確認です。
○小林政府参考人 お答えいたします。
具体的にどういう場合がこれに該当するかというのは、個別の判断が必要になるわけでございますが、この評価表の中で、心理的負荷が強、中、弱というような類型化をいたしまして、できるだけ具体的な記述に努めているところでございます。具体的な判断につきましては、現場における協議といいますか調査に十分な力を注いでまいりたいと思います。
以上でございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。何か、一回目の答弁の方がよかったような気がいたしますけれども。
そういう、要するに、今まではばらばらに、これがちょっと近いかなというふうな形であったものが明確になって、もちろん、実際それが認められるかどうかは個別の審査によるわけですけれども、最初の御答弁にあったように、しやすくなるというのは間違いないのかなと思っております。
また、同時に、優位性という関係に着目しているのがパワハラなわけですけれども、とはいえ、同僚などからも受けた場合も、きちっとこれは別な意味で評価するということがこの資料の中には明記されているというのも大事なことかなと思っています。
同じことを人事院に伺いますけれども、人事院も、パワハラ防止法に基づくパワハラ指針並びに精神疾患の労災認定基準の見直しを受けて、どのように周知徹底をしてきたでしょうか。
○練合政府参考人 お答えいたします。
人事院では、パワーハラスメントの防止等の措置を講ずるため、人事院規則一〇―一六を令和二年四月一日に制定し、同年六月一日から施行しました。
この規則では、パワーハラスメントの防止等のための各省各庁の長の責務、パワーハラスメントの禁止、研修の実施、苦情相談への対応等を規定しています。さらに、規則に基づいて、職員に対する指針と苦情相談に関する指針を含めた通達を発出しております。
これらに基づき、パワーハラスメントの防止等が各府省において円滑かつ効果的に実施されるよう、職員向け周知用リーフレットや研修教材を作成し、各府省に提供しております。
公務災害につきましては、精神疾患等の公務上災害の認定指針を定めた人事院職員福祉局長通知を改正し、別表の公務に関する負荷の分析表の業務負荷の類型にパワーハラスメントを掲げ、これに該当する出来事例や、過重な負荷となる可能性のある業務例、認定において着眼する要素を追加しました。この内容について各府省に周知を行ったところでございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
資料の2にちょっと戻っていただきたいんですけれども、この中の米印のところに「人事院協議による件数」という表現があるんですよね。これについてちょっと簡単に説明していただきたいんですね。
公務災害において、精神疾患や自殺などの場合、所属省庁が、公務上外、公務上のものかどうかというのを認定する前に、必ず人事院と協議をすることになっております。その理由をお答えください。
○練合政府参考人 お答えいたします。
精神疾患等の事案に係る公務上外の認定など、実施機関限りでは判断が難しいものについては、処理の統一性を担保する観点等から、実施機関が人事行政の専門機関である人事院に事前協議を行うこととなっております。
○高橋(千)委員 それだけの重みがあるということを踏まえた上で、もう一度議論をしたいと思うんですが、先ほどの西日本の件について質問したいと思います。
先ほど紹介した第三者調査報告では、元職員のスマホの中に残されていた遺書について、当委員会は、元職員がこの遺書を作成したこと自体は事実であると考えると述べております。ただ、その内容は、当委員会の調査の結果明らかとなった事実とは乖離しているというのが結論なんですね。
何でそうなったかといいますと、書いているのは、遺書だったらすぐ見つけてもらうようにしておくのが常識じゃないか、誰にも見つけられないままスマホを廃棄される可能性だってある、手書きなりプリントするとか、メールやSNSで発信するなり、ほかの方法を取るのが通常だということをるる述べているわけなんです。
しかし、自殺にルールがあるわけではありません。すぐ見つけてほしい方、誰かにだけ読んでもらいたい場合、時間がたってから見つかればいい、そう思う場合、様々だと思うんです。まして、今や、事件であればスマホの履歴を調べるのは常識です。
遺書はとても短い文章ですが、その中でも職場へ向けた言葉だけが、同じ人とは思えないくらい、大変荒々しい言葉になっています。そこはあえて言いません。
もちろん御遺族の許可を受けて今日はお話をしてきましたけれども、最後の部分だけを紹介します。「二十二年の短い人生でしたが色々なことを経験させていただき、楽しく充実した一生でした。ありがとうございました。それでは先に行ってバイクでも乗り回すことにします。皆さんはすぐには来ないでください。すぐに来ても追い返すし、入店拒否します。それではさようなら」という言葉で締めくくっているんです。
つまり、残された人への思いやり、優しさがにじみ出ていると思うんですね。これを本人が書いたものだということを認めながらも、何もなかったとなぜ決めつけることができるんでしょうか。
第三者調査報告は、昨年七月の当該地方整備局による内部調査についても、客観的資料として遺漏がなく、かつ中立的な調査であり、信用できると結論づけています。しかし、調査の詳細を代理人弁護士が求めても、存否すら明らかにされません。結局、いじめやパワハラをした者はいないし、見た者はいないし、相談を受けた者もいなかったと。それで納得できるはずがありません。
人事院規則には、特にパワハラの場合、行為者、第三者からのヒアリングに人事当局とともに対応し、聴取記録の作成及び確認を行うことを定めています。少なくともその記録を開示するべきです。
丸めて、いろいろ聞いたけれども認めた人はなかったという答弁ではなくて、答弁というのはここじゃなくて報告書のことですが、いついつ、Aさん、Bさんでいいから、こういう話があった、そういう答え方をするべきなんです。できることはもう何もないんでしょうか。再度、大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 済みません、ちょっと、事の一つ一つ、まず、六月二十三日、御遺族から委託をされた弁護士さんから国交省の地方整備局に、中国整備局に、第三者によって行われる再調査について御要請をいただいて、全く第三者の弁護士さんお二人から成る委員会を立ち上げていただいて、調査をし、それを返事をさせていただいたということでございます。
そのことについてなんですが、私は、他方で、入省一か月で命を落とされるというのは、大変、本当に痛ましい話でありますし、広く言えば私の部下でもあるというか、直接はもちろん存じ上げませんけれども、そうしたことが起こったということはやはり軽く見ることはとてもできませんし、御遺族、御両親の立場に立てば、納得できる説明を知りたいというのは、それは本当に当然だと思いますし、そうしたことは寄り添ってやっていかなければいけないというふうに思っております。
ただ、ちょっと、こういうことを言うとあれなんですけれども、情報公開法という法律もありますので、できること、できないことというふうにあると思いますが、やはり、満足がいかない、納得がいかない点については寄り添って、できる範囲のことで誠意を持って対応させていただく、それが今後同じようなことが起きないことにもつながるんだというふうに思っておりますので、昨日の通告で、ばたばたと私も夜に資料を読んだところでありますし、当事者には話を聞いておりませんが、しっかりと国交省としても誠意を持って対応したい、こう考えています。
○瓦林政府参考人 情報公開請求への対応につきまして、私からお答え申し上げます。
ハラスメントの有無に関する行政文書につきましては、その存否自体が個人情報に該当するため、その存否を明らかにすることができなかったという事情がございます。これは情報公開審査会の御判断に基づいて、そのような運用となっております。
○高橋(千)委員 昨日の通告の話合いの中で、その答えは要らないよということだったつもりですけれども、存否を否定する、答えられないというのは、それによって、請求した遺族以外の一般の人も見たりするときに個人情報に触れる場合があるからというお話だったと思うんですね。
だけれども、別にそれは特定できないんですよ、全員に聞いているわけですから。だからAさん、Bさんでいいという話をしているわけで、それはやり方はいっぱいあります。私も、情報公開、個人が行った請求で出てきた資料を見たことがあります。例えばカルテですとか、個人のカルテだって個人情報だからといって出してくれない、そういう中を乗り越えて様々な裁判とかやられてきたわけなんですよね。だから、それをもう絶対できないものなんだと決めることはやはり違う、これは指摘をしておきたいと思います。
それで、最後になりますが、国土交通省の管理職ユニオンが二年に一回行っているアンケートでは、コロナ禍の中で千三百六十二名から回答がありました。通院とか、今にも壊れそうなど、心身の健康に問題を抱えている人は二四%にもなります。また、パワハラを過去に受けた、六百七名。今も受けている、二十六名。管理職だけでですよ。周りでパワハラを見たという方が三百三十六名、答えているんです。職場実態で最大の問題は、職員が少ない、増員してほしい、七三%にもなっています。
赤羽大臣が就任して以降、台風十九号など甚大な災害もあって、地方整備局の純増など、定員を増やしてきてくれたことは承知をしております。だけれども、一方では、河川や道路事務所など、出先機関によっては一人出張所もまだまだ多数残されているんじゃないか。これは一刻も早く解消してと現場から声が上がっています。このことを答弁の中で一言触れていただきたい。
今日話してきた元職員は、コロナ禍の中で研修期間もなくて、いきなり四月一日からの職場勤務で用地係になったわけですね。勉強しなければと専門書も頼んでいました。仕事に慣れる機会も奪われ、同期の者がいない小さな出張所で、研修機会を通して同期で励まし合うことや相談することもできていたかもしれない、通常であればそうだったかもしれないという思いもありました。第二、第三の犠牲者が出るのを何としても防いでほしい。
そういう意味でも、やはり人員増、ハラスメントを未然に防ぐ環境づくりについて、大臣、一言お願いします。
○赤羽国務大臣 まず、コロナ禍で新人の研修ができないというのは大変大きな問題だというふうに認識をしております。であればこそ、そうした現場に派遣というか赴任するケース、これは避けられないので、そうしたことをどう対応していくのか、フォローアップをしていくのかというのはしっかりと省を挙げて考えていかなければいけない、こう思っております。
人員ですけれども、これはやはり、相当行革でずっと純減していました。平成十三年、国交省の発足当時から令和元年で二三%、七千名減少しましたが、近年、大変な激甚災害の頻発で、現場から、国交省の現場はよくやっていただいているということを首長さんからも随分応援をいただいて、令和二年度では五十七名の純増、そして令和三年度で百三十四名の純増でございます。これは厳しい中でしっかりと純増していただいているので、そこをしっかり効果的に配置をしながら、できるだけ、一人事務所というのはいろいろな面で問題があるというのを心配もしておりますので、そうしたことを避けられるような重層的な体制をつくれるように、しっかり政府部内でも人員要求は続けていきたい、こう考えています。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
一人事務所、まだ四十五もあるということですので、一刻も早く解消していただきたいなと思っています。
今日は、個別事案という中で、非常に条件があったと思いますが、その中で誠意ある答弁をいただいたと思います。是非、何かできることがあるんじゃないかという問題意識で質問させていただきました。まだ終わりにはできないということもありますので、誠意ある対応ということを重ねてお願いをして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。