国会質問

質問日:2021年 4月 7日 第204国会 国土交通委員会

流域治水関連法案 治水対策

ダム頼みを転換せよ

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=7日、衆院国交委


 衆院国土交通委員会は7日、流域治水関連法案を全会一致で可決しました。日本共産党の高橋千鶴子議員は、ダムや堤防頼みの治水対策からの転換について政府の姿勢をただしました。

 高橋氏は、社会資本整備審議会の答申「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について」(昨年7月)で、流域治水への「転換」との文言が用いられていると指摘。「『転換』との認識はあるか、何を『転換』するのか」と質問しました。

 赤羽一嘉国交相は「治山、森林整備も含め流域全体の安全を確保するため、総合的に変えていかなければならない」「かつてはダムが絶対だったかもしれないが、環境問題を重視すべきことなどを理解しているつもりだ」と述べました。

 ダムの事前放流について高橋氏は、もともと河川法52条で実施が可能だったにもかかわらず、やれてこなかったと指摘。国交省の井上智夫水管理・国土保全局長は「気象予測が使えるようになり、台風が来る前などに水位を下げておくことで運用を始めている」と答え、今後は52条を活用して実施すると述べました。

 高橋氏は、用途や管理責任が各省庁で分かれているダムを一つの流域の中でみるよう、省庁間の調整が必要ではないかと質問。赤羽国交相は「調整のイニシアチブを取るのはわれわれの責任だ」と述べました。

 また、高橋氏が住民参加によって流域治水を進める重要性を強調したのに対し、赤羽国交相は「協議会に地域住民の方が加わって知見を発揮していただけるようにしたい」と応じました。
(「しんぶん赤旗」2021年4月14日付より)


ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、いわゆる流域治水法案の審議ですが、先週の参考人質疑も大変勉強になりました。とても印象に残ったのが、秋田典子参考人が、利根川の流域のうち、川だけ地形地図というものを示して、山から海まで、川が毛細血管のように大地に張り巡らされているのが分かりますとおっしゃったことです。私たちが川の恵みの中で暮らしていることを改めて認識し、川とともに暮らしていく知恵を紡いでいく場づくり、そういう表現をされました。
 私も、秋田県能代市の生まれですが、子供ながらに、一級河川米代川というのが身近にありまして、特別な誇りのように思っておったものでありました。時には暴れ、大きな犠牲を出してしまうけれども、それでも人々は川を見ながら暮らしたいと思うのではないでしょうか。
 質問の第一は、気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について、社会資本整備審議会答申、昨年の七月ですが、提唱した、「「流域治水」への転換」という言葉を使っておりますが、大臣に、転換という認識はあるのか、もしそうなら、なぜ、何を転換するのか、伺います。


○赤羽国務大臣 転換ということが何を指すのかというと、なかなか難しいんですけれども、何回も答弁させていただいておりますが、河川管理者が主体となって治水対策をしてきたというこれまでの治水対策、また加えて、災害の大きさ、雨の降り方等々が、全然、以前とは比較にならないぐらい大規模になっている、こうしたことを踏まえて、上流と下流が、それぞれ管理者が別なところが多いわけでありますが、それはやはり一体的に対応する。上流から下流、本川、支川、流域全体を俯瞰しながら、また、河川整備だけではなくて、周辺の土地の開発ですとか、先ほど午前中も質問に出ていましたが、山の治山とか森林整備、そうしたことまでも俯瞰して流域全体の地域住民の安全、安心を確保する、そうしたことで抜本的な、総合的な対策に変えていかなければいけない。これを称して流域治水として、その想定も、過去最大というようなことからではなくて、これは科学的な分析に基づいて、今後、降雨量が一・一倍になった場合に、その地域地域で起こる流量がどのぐらい増えるのかとか、洪水の確率がどうなのかといったことで、その地域に合ったしっかりとした流域治水プロジェクトを実現していく。
 そういう意味では、これまでに比べると転換、転換というと、がらっと変わるというわけではありませんけれども、何というか、抜本的な対策を取らなければいけない、そうした思いで今回この法案を提出させていただいたところでございます。


○高橋(千)委員 資料の一枚目にその答申の概要をつけておりますが、本文にもありますし、この概要ペーパーのタイトルも「「流域治水」への転換」となっているわけですよね。ところが、大臣がなかなか、今も、難しいとおっしゃったし、その言葉を使いたくないのかな、それがなぜなのかなということを逆に思うものですから、さっきちらっとおっしゃいましたけれども、改めて聞かせていただきました。
 二〇〇四年の新潟・福井豪雨の際、私も現地に参りまして、福井市では、足羽川ダムを早くと市長がおっしゃっておりました。当時の話です。一方、三条市では、二つの県管理ダムがありまして、放流もしましたし、堤防は決壊しました。この堤防が河川改修してから六十七年もたっておりまして、ダムができたからと安心して、堤防の改修が手をつけてこられなかったのでは、こう指摘をしたわけなんです。その際、国交省の答弁は、ダムを設置した目的は十分果たしているという答弁でありました。ダムの堆砂も完成から三十九年目で八十六年分もため込んでいますよと指摘したのに対し、いや、洪水の調節効果には影響なかったと答弁をされました。
 もう、やはり国交省って、絶対認めないのかなと思ったわけであります。ダムありき、あるいは、当初の計画は絶対間違っていないという姿勢を持ち続けているのか。見直しするとすれば、それは気候変動のせいだからだ、今までの見直しではないということなんでしょうかというのが非常に気になったからであります。
 これまでの災害を振り返って、個々に検証してきたわけでありますが、率直に、足りないところは足りない、反省すべきところはする、そういう立場に立ってほしいわけです。そういう意味でも転換であってほしいと思います。次の質問への答弁の中で、もし追加があればお願いします。
 改めて、この三つの柱、資料の一枚目にある三つの柱を見ながら、流域治水とは何か。それから、新法ではないために、条文にも流域治水という定義がございません。それはなぜなんでしょうか。


○赤羽国務大臣 私が申し上げた、ちょっと言葉足らずだったと思いますが、別にそう何かこだわっていることというのは私は全くありません。
 ただ、荒井先生の質問は、実際質問されたかどうか、ちょっとよく覚えていないんですけれども、通告では、かつて鶴見川、先生が言われていましたように、かつてからそういう流域治水の概念というのはあったんだ、鶴見川も上流から下流まで遊水地も造ってきたし、そうしたことと何が違うのかというと、それにプラスアルファだという意味で、がらっと全く違うことをやるわけじゃないという意味でやったわけです。ただ、役所の答弁は、これは別に国土交通省だけじゃなくて、これはちょっと私見から入りますけれども、何か霞が関無謬論みたいな答弁をしたがるので、そういうことは、私は全くそういうこだわりはございません。
 やはり時代が違うし、これだけ災害の規模も全く違うし、頻発もしているし、それはこれまでの何か概念に拘泥するようなことはございませんし、ダムについても、かつてはダムが絶対だみたいな時代もあったかもしれませんが、いっときの、前政権ではダムなき治水というような時代もあったし、そのときそのときの判断とか、環境問題を重視しなければいけないとか、それはそれなりの私は理解をしているつもりでございますが、事ここに至ってはということで、何がベターなのかということだということで、全く私は、ちょっと重ねてなんですが、こだわりはない。
 ただ、この流域治水の定義というのは、ここにも、この資料、高橋さんが作っていただいた資料そのものなんですが、三本の柱ということで、氾濫をできるだけ防ぐための対策、もう一つの柱は被害対象を減少させるための対策、三つ目は、ちょっとこれは分かりにくいんですが、被害の軽減、早期復旧復興のためのソフトの対策。ハード、ソフトだということで、まさに新法であれば流域治水とはという定義があったと思いますが、それぞれの法案の改正で束ねたものなので、あえて流域治水とはということに、どこかの法案で、法律に書き込むのは少しなじまないということでこうさせていただきましたが、こうした三つの柱をもって、上流から下流、本川、支川、地域の関わる人が協働でしっかりとやっていくというのが流域治水だというふうに考えております。


○高橋(千)委員 霞が関や無謬論ではないとおっしゃったので、そこは大事かなと思っております。
 もちろん、流域治水の考え方とか実践というのは、かなり前からやられてきているというのは、実際にそうだと思います。鶴見にも行きましたし、去年質問した佐賀も、そういうかなり実践を進めていたかなと思います。
 ただ、全体としては、河川は河川管理者がやはり治水をするものというのが、上流から下流、流域全体でというふうに、逃がしたりためたり、いろんなことを含めてやっていくんだという考え方に転換したんだろうと思うんですが、やはりダムと堤防で河川の中に閉じ込めるという考え方ではもうなじまなくなったんだ、そういう意味での大きな変化があったのではないか、このように思っているんです。
 特に、今、1で示されたものを絵にしたものが、これも財政審で出された資料ですが、2にありますが、やはりこれは、治水ダムは国交省だけれども、利水ダムとなると厚労もあり、農水もあり、経産もありという形で、本当にいろいろな省庁がこの流域には関わっているんだという図だと思うんですね。そういう意味で、もちろん、この流域治水の関係閣僚会議とか、進めてきたということも承知をしておりますけれども、この連携が本当に決め手になるんじゃないか、このように思っております。
 そこで、次の質問は、ちょっと資料を間違えまして、飛んでいただいて、4番なんですけれども、緊急浚渫推進事業、これは総務省の地財計画に載った事業ですが、五年期限で、昨年から始まりました。この事業の内容と意義について伺いたいと思います。
 ダムの堆砂の問題は、実は私自身が、二〇一四年の十月二十三日、災害対策委員会ですけれども、会計検査院が国交省所管の国直轄と補助ダム、二十三道県百六か所を調査したところ、堆砂が計画容量を大きく上回って、六十年で既にオーバーしているところが二十か所以上もあると。それで、防災ダム、治水低下と書かれたわけですね。実は指摘されたことはほかにもいっぱいあって、計測がされていないとか、いっぱいあるんだけれども、この問題に焦点を当てて前に聞いたわけです。
 あれから六年以上もたっているけれども、例えば、この事業だって昨年始まったというわけですから、どのようにこの堆砂の問題、取り組んできたんでしょうか。


○井上政府参考人 ダムの堆砂につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十六年度に会計検査院から、ダムの洪水調節容量内に堆砂しており、その対策を検討するべきなどの改善措置が要求されました。
 これを受け、これまでに、道府県管理ダムも含めた国土交通省所管ダムの堆砂対策の検討状況の把握、公開、ダム管理者自らが堆砂状況を踏まえて堆砂対策の実施判断を適正に行えるようにするためのダム貯水池の土砂管理の手引案の作成などの取組を進めてきたところです。
 さらに、令和元年台風十九号による河川氾濫等の大規模な浸水被害等が相次いだことを踏まえ、道府県等が単独事業として緊急的に行う河川等のしゅんせつを支援するため、令和二年度に緊急浚渫推進事業が創設されたところです。
 同事業の実施期間は令和六年度までの五年間とされており、道府県が管理する治水ダムにおいては、同事業を有効に活用していただけるよう、総務省と連携して、道府県に対し、堆砂対策の重要性や同事業の目的、役割等について継続的に周知してまいります。


○高橋(千)委員 会計検査院から指摘を受けたことを踏まえて、手引や検討状況、見える化してきたというお話だったと思いますが、とはいえ、事業がついたのは昨年からであるということであります。
 また、資料の5には、災害復旧事業としての堆砂除去がついておりますけれども、これも、やはり災害でたまった分だけ、しかも洪水調節容量の部分まで、今年からは事前放流も入るわけですけれども、そこにとどまっていたという点では、非常にまだまだこれからであるということで、本会議では、大臣、延長も検討しますと答弁をいただいておりますので、引き続き、是非お願いしたい、このように思います。
 それで、答申の話を最初にしましたけれども、この気候変動により、今後、パリ協定に基づき気温上昇を二度以内に抑えたとしても、約一・一倍の洪水量や約二倍の頻度の水害が起こるだろうと指摘をされたわけですが、その一・一倍をどのように河川整備基本方針で具体化していくのか。
 これはやはり、否定してくださればいいし、説明してくださればいいだけの話ですが、一・一倍と言ったからといって一・一倍ダムを大きくするんだとか、そういう単純な話では決してない、だからこそ流域治水だと思うんですけれども、そこについてお願いいたします。


○赤羽国務大臣 ちょっと専門的なことが足りなければ、局長から補足してもらった方がいいかもしれませんが。
 もちろん、まず、降雨量が一・一倍のときの洪水量というか流量は一・二倍で、洪水が起こる確率は約二倍とされております。ただ、それはガイドラインで、おっしゃるように、私は、地域地域で雨の量が増えたから、その地域の河川がどのように増水するのかとかということは、一概に決めるというのは、非常に、余り賢くないと思います。その地域の特性に合わせた柔軟な対応で対応していく。
 基本的には、上流で既存のダムですとか遊水地でなるべく雨量をためて、下流の方からはしっかりと河道掘削ですとか樹木の伐採とか堤防強化とかというのを計画的にやっていく。この堤防強化、言わずもがなですが、ちょっと途中で変な形でやると、その周辺が総体的に弱くなって洪水するというようなことも反省の中に入っていると思います。
 これに加えて、河川整備だけじゃなくて、今言っていただきましたダムの事前放流ですとか雨水貯留の対策、これは民間も入れてとか、加えて、浸水リスクが高いところについては法改正もさせていただきましたし、これからも進めていきますが、開発とか建築規制の導入、また、中小河川も含めたハザードマップ、分かりやすいハザードマップを作りながら、これはやはり避難の在り方とかソフトの面についてもやっていく。ですから、ハード、ソフト、総合的に取り組んでいく。
 例えば、一級河川も、一級水系も百九ありますけれども、それを一概にじゃなくて、おっしゃるように、その地域の特性とか、これまでの災害の、これまでの何というか歴史なんかも踏まえながらきめ細かく対策を取る。それがやはり、地元の人たちが一緒になって協議会を立ち上げて科学的な手法で対策を取るということが、我々が想定している流域治水だというふうに認識をしています。


○高橋(千)委員 大臣、余りどんどん先へ行かないで、住民のことも改めて後で伺いますので。
 答申を受けたときに、一回、私、ここで質問していますけれども、やはり洪水量が増えるんだということをきちんと河川整備基本方針に盛り込む、書いたというのはすごく大事だなと思ったんです。でも同時に、何か、さあ、ではダムをかさ上げしなきゃという声も結構あったんですよね、あのとき、災害を受けて。だから、そう単純じゃないんだ、しかし明確にするんだ、この両方をうまくバランスを取らなきゃいけないと思いますので、では局長、少し。


○井上政府参考人 今大臣が答えた点ですけれども、今、まず委員から御指摘ありましたように、気候変動を考慮した治水対策、これを具体化していくということ、これはハード、ソフト、いろんな対策を絡めていくわけですけれども、その中で、ハードの基本となっているものが河川整備の基本方針になっております。これをしっかり検討を進めてやっていくということです。
 まずは、最近非常に大きかった雨、例えば十年前に紀伊半島であった、大洪水をもたらした紀伊半島大水害のときの熊野川、そういうところでは非常に実際に大きな流量が出ましたので、これの基本方針の改正ということを、まず検討に着手していきます。
 ただ、いろんな各流域ごとに検討していかなくちゃいけないので、今後、順次それを進めていくことといたします。


○高橋(千)委員 お願いいたします。三月三十一日に小委員会が始まって、検討が始まっていると承知をしています。
 それで、資料の3がダムの事前放流についての資料なんですけれども、昨年度、全国百二十二のダム、うち六十三は利水ダムで、事前放流を実施しました。これには、二〇一八年、西日本豪雨で、中国電力の発電用の利水ダム、新成羽川ダムが緊急放流を行う中で、下流の高梁、総社、倉敷等で水害が発生、特に倉敷市の真備町では五十一名の方が亡くなったという事案が発生したことが大きな契機になったのではないかと思います。
 先週の参考人質疑でも、磯部作参考人が、この問題を検証してきた立場から、法案に事前放流の実施が明記されたことを評価するとおっしゃっていただきました。
 今回、事前放流の協議会を法定するわけですけれども、そのメンバーをどう位置づけるのかということと、最大放流量はどのように決めていくのか、伺います。


○井上政府参考人 事前放流の取組に当たっては、令和元年十二月に策定した政府の既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針に基づき、水系ごとに河川管理者と全てのダム管理者及び関係利水者から成る協議の場を設けて、事前放流の実施に関する治水協定を締結してきています。
 今回、法案に位置づけられる協議会の構成員については、河川管理者、ダム管理者及び関係利水者に加え、流域の関係市町村長は、ダムから放流された場合の影響について大変関心を高くお持ちなので、必要に応じて構成員に加えることとしております。
 御指摘のあった事前放流時の放流量については、令和二年四月に策定した事前放流ガイドラインにおいて、ダムの放流設備の能力、下流の河川における流下能力、ダムの堤体及び貯水池ののり面の安定を確保できる水位低下速度を考慮して、その最大量を設定することとしております。


○高橋(千)委員 先ほど二〇〇四年の新潟・福井豪雨の話をしましたが、福島も同時に豪雨がありまして、あのときの水害というのは、今回の流域治水にも通じる様々な課題に直面した最初の、私自身としては最初の災害だったなと思っています。
 福島の只見川に行ったわけですが、只見川は細長く、かつ水が大変豊富だということで、電源開発のダムなどがたくさんある地域です。その分、いろいろな、ダムの放流と護岸の決壊といった災害も起きたり、訴訟などもあったわけです。利水ダムが洪水時に治水機能を果たさなくてよいのかという問題意識をあの当時から持ち続けてきました。
 今回のルール作りが本当に有効に働くことを期待するわけですが、元々、河川法五十二条、「河川管理者は、洪水による災害が発生し、又は発生するおそれが大きいと認められる場合において、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するため緊急の必要があると認められるときは、ダムを設置する者に対し、当該ダムの操作について、その水系に係る河川の状況を総合的に考慮して、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置をとるべきことを指示することができる。」とあります。
 そもそも、この河川法五十二条が発動されてこなかった。これはずっと前から、五十二条があるじゃないかということは、この事前放流がされるずっと前から議論されてきた問題ではあるんですが、今後はこれが生かされると考えてよいでしょうか。お願いします。


○井上政府参考人 委員御指摘のとおり、河川法第五十二条に、河川管理者の方からダム管理者の方に、事前放流のようなものを緊急にやるときの措置ということが定められているところでございます。
 ただ、実態、急に河川管理者が放流をしてほしいと言っても、そのとき突然言われて、何をしたらいいのか、どれだけやったらいいのかということ、何もルールが定められていないということでしたので、実質使われてきたことはなかったということです。
 ただ、先ほどお話がございました高梁川水系の話であるとか、いろいろな実績も出てきましたし、何より大きいのは気象予測が使えるようになったということで、これであれば、台風とかが来る前に事前に水位を下げておく。これは、この河川法の第五十二条というものを背景として、こういうふうな措置ができるんじゃないかということで、昨年から運用を始めているところです。今後もその趣旨に従って進めていきたいと考えております。


○高橋(千)委員 ガイドラインも作られ、法適用もでき、気象予測も早く出るようになった、三日前から動き出すよということで、段取りは整ったと。だけれども、やはりためらうということがないように、やはりこの精神が、本当の意味で使うことができるんだよということで確認をさせていただきたいなと思います。
 それで、先週の参考人質疑のときに山田正参考人は、利根川流域が六都県、百五十二市区町村にまたがる流域である、流域人口は千三百九万人という非常に広い地図を示しまして、上流から下流で一つの運命共同体なんだ、難しいけれども、やはり合意形成をやらなきゃいけないと強調されました。
 資料の6は、これも十月十九日の財政審の歳出改革部会の資料なんですけれども、やはり、一つの流域の中に治水ダムあり、利水ダムあり、ただし、利水ダムといっても、かんがいだったら農水省だし、水道だったら厚労省だし、発電だったら経産省というように、様々ある。ここに書いているように、これまでは個々のダムごとに、降雨予測とか流入量予測とかというのでダム操作をしてきた。でも、今度はやはり、流域治水の具体化に基づいて一元的に把握して、水系全体で効果的、効率的な運用を行うべきだというふうに書いているわけですよね。これは私、非常に重要と思って、参考人の皆さんも同じことをおっしゃっていたと思うんですね。
 流域の中に複数の目的や管理者の違うダムがあると思うんですが、それを含めた流域全体で治水計画、あるいは流域水害対策計画と呼ぶのかもしれませんが、これを作っていくんだと思うんですけれども、大臣に伺います。


○赤羽国務大臣 利水ダムの治水への利用というのは、河川法の五十二条にもそういうものが書かれていてもなかなか実現できなかったというのは、率直に申し上げて、やはり省庁間の壁というのがすごく厚かったんだと思います。やはり、国交省の立場から電力のところに、そこまではちょっと言えないとか、そういったことがあったというのは私の個人的な感想でありますが、びっくりしたのは、ダムのうち三分の一しか治水には使えなかった。
 私、ここは当時の官房長官の菅総理が本当に政治決断をされたというふうに、これは本当に率直に思っております。この省庁間の壁を越えて、せっかくあるんだから、今、ダムをこれから造るなんていう、なかなかそういうことは難しい時代の中で、利水ダムが治水ダムの二倍の容量があるんだから、そこで、可能なものは協定を結ぼうと。そして、電力に迷惑をかけたり農業用水に迷惑をかけた場合にはそこをコンペンセートするような制度もつくろうというのは、私は、すばらしいアイデアだなというふうに思いましたし、その号令の下で協定が結構短期間に結べたというのはよかったのではないかと。
 ですから、こういったことの潜在的な治水能力を発現できるようになったというのは、このことは大変よかったのではないかと思いますし、これをしっかりとオペレーションできるようにしていくことが大事だというふうに認識をしております。(高橋(千)委員「質問に答えていないよね」と呼ぶ)


○あかま委員長 じゃ、高橋委員、もう一個の方を、もう一度。


○高橋(千)委員 今の前段のところは分かっているんです、五十二条の問題はね。
 それで、聞いたのは、複数の目的や管理者の違うダムが流域の中にあるよね、個々のダムだけの予測に基づく計画ではなくて、全体として見ていかなきゃいけないですよねという、まあ当たり前のことだと思うんですが、お願いします。


○赤羽国務大臣 済みません、ちょっと力が入って、肝腎なことが。
 国土交通省の立場としては、こうした複数の利水ダムを更に効率的かつ効果的に活用することができるように、大規模降雨時のダム放流量等のデータを踏まえた操作方法の検証、見直しですとか、放流量を増大させるための放流設備の改造ですとか、こうしたことを踏まえながら、複数の利水ダムが同じ領域にある場合は、それをしっかりと効率的に、また効果的に洪水調節できるようにしていきたい。これは、しっかりそのイニシアチブを取るのはやはり我々の責任だというふうに考えております。


○高橋(千)委員 確認をしました。国交省がちゃんとイニシアを取るということでありました。
 それで、流域治水は、ハードとソフト、治水とまちづくりの両方でという考え方だと思います。これまでも、一昨年の東日本台風を受けての質問などで、私は、ずっとそこに住み、対策を訴え続けてきた地域住民の意見を聞いてほしいと求めてまいりました。流域水害対策計画を作る協議会など、住民参加の仕組みを入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。


○赤羽国務大臣 これは、もうそもそも流域治水の中から、最初の概念から入っておりますし、具体的には、この協議会のメンバーでも、地域住民の代表、まあ、地域住民の代表というより、もう少し言えば、地域で防災活動を一生懸命やられていただいている方ですとか、先ほどのお話にもありました、その地域のこれまでの洪水の歴史とかをよく分かっていらっしゃるような方、たくさんいらっしゃると思いますので、そうした方々にも協議会に入っていただいて、その知見を発揮していただけるような場にするべきだというふうに考えております。


○高橋(千)委員 確認をさせていただきました。ありがとうございます。
 本会議の答弁は、河川法に基づきということで、ちょっと私の趣旨よりは後退していたかなと思うわけですから、今の答弁がよかったなと思っています。
 私が住民参加にこだわるのは、やはり住民の中には、この間の参考人でも議論したんですが、上流と下流で理解し合う、あるいは助け合うという認識の共有が必要だと思うんです。水門を開ける閉めるで下流は守られるけれども上流は被害を受けるとか、復旧工事は下流から始まるとか、こうした調整を、やはりお互いが話し合う場があって納得できるというのが大事だと思うし、住まい方についても今後選択を迫られていくわけですよね。区域全体でかさ上げをやりましょうか、あるいは移転が必要かと。東日本台風のときも、甚大な被害を受けた丸森町では、住民が移転先まで見つけて集団移転をすると決めたのに、県が砂防ダムを造るから大丈夫といって移転を断念したんですね。こういうことがあるわけです。
 ハザードマップが精緻にでき上がっても、百年に一度、千年に一度の大水害なら取りあえず自分には関係ないと思うか否か、そういう様々な選択が迫られたときに、判断がしやすい、合意が得られやすい、そういう意味でも、計画の段階、日常的に住民参加の仕組みをつくることが鍵だと思っておりますので、ここは重ねて要望をしたいと思います。
 次に、雨水貯留浸透施設についてなんですが、何か、一番最近では、渋谷駅の東口、東急とURによる雨水貯留施設が完成して、一時間当たり五十ミリを超える雨が降った場合に、地下二十五メートルで約四千立米の雨水を一時貯蔵できる施設が仕上がっているということでありました。
 今後もこうした民間企業、大手が設置するという印象があるんですけれども、特定都市河川浸水被害対策法案の十九条は、地方公共団体自ら管理する必要があると認めるときはとあります。これはどのような場合を想定しているのか。そもそも、この雨水貯留浸透施設というのは、民間が手を挙げるのを待っているというのもおかしいと思うし、どのくらい設置しようとしているのか、伺います。


○井上政府参考人 雨水貯留浸透施設の整備については、これまで地方公共団体が中心に行ってきましたが、民間企業などにも実施主体を広げることで、河川への流出がより抑制されることを期待しております。
 委員御指摘の、今度の特定都市河川法の改正案の十九条で、地方公共団体が自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等との間において管理協定を締結して、雨水貯留浸透施設の管理を行うことができるという規定がございます。
 この「必要があると認めるとき」というのは、おおむね二つございまして、一つは、雨水貯留浸透施設の適地であるにもかかわらず、公共用地の確保が難しいため、民間企業に設置を促すことで初期の建設コストの削減に資する場合、もう一つは、民間企業に雨水貯留浸透施設を設置する意向があるものの、適切な維持管理のノウハウがない場合などを想定しております。
 一方、民間企業にとっては、維持管理コストを負担せずに、雨水貯留浸透施設に雨水が引き込まれることによって、自らの建築部分の被害軽減にもつながるというメリットもあります。
 このように、管理協定の規定を設けることで、民間企業による雨水貯留浸透施設の整備が促進されるものと考えております。
 また、お尋ねがございました施設の設置目標、規模とかでございますが、これは流域ごとで異なりますが、できる限り河川への雨水の流出を抑制することが望ましく、本法案の施行により、財政支援の強化や固定資産税の軽減措置を行い、費用負担を軽減して、整備を促進してまいります。


○高橋(千)委員 どのくらいというのはなかったわけですが、今の答弁を聞いていて、むしろ地方公共団体がかむのが普通なのかなと。では、いろいろなところが、私も私もといって、ためますよといって、それはためてくれるのはありがたいけれども、ちゃんと流さなきゃいけないわけなので、そこがうまくつながっていかなきゃいけないということもあって、やはり公共団体の関与というのが重要なのかなと思って聞いていたんですが、それは、ちょっと時間もないので、次の質問と併せて答えていただければいいと思います。
 都市安全確保拠点施設というのは、どのような機能を持ち、流域の中にどのくらいつくろうとしているのか、これと併せてお答えください。


○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 一団地の都市安全確保拠点施設は、浸水等の災害リスクがある地域において、災害発生時に地域の居住者等が避難し、安全を確保するための拠点となる施設です。具体的には、災害時の避難路や避難場所、避難された方の診療の場となる医療施設、生活関連物資を供給する店舗などを一体に備えた施設を都市計画に位置づけることとしております。
 施設の数でございますが、この施設は、浸水想定区域の広がり方など想定される災害の規模や範囲、災害のおそれのある地域に居住又は滞在する人口の規模、ほかの避難所、避難場所の配置状況など、地域の実情を踏まえ、災害時の安全を確保する上で地方公共団体が必要と認めた場合に整備されるものと考えております。
 このため、流域ごとに幾つの施設を整備するか、国として、特段決めているわけではございません。


○井上政府参考人 先ほどの委員からの御質問の件でございますが、自治体の関与というようなことは非常に重要だと私ども考えております。
 一つは、今回の法案の中の流域水害対策計画、ここに自治体が入っていて、雨水貯留施設の整備も含めた全体の計画作りのところに自治体が関与していただきますし、それぞれの雨水貯留浸透施設をつくるのに、今回、認定制度というのをつくっております。どこにどのようにつくるのか、それから管理をどういうふうにしていくのかというのを、この申請者の方から提出していただきます。そういうふうな面から見て、ただ単に、突然、民間企業がつくったから管理をとか、そういうものではなくて、しっかり自治体にも関与していただいて、適切な流域治水を進めていきたいと考えております。


○高橋(千)委員 分かりました。
 都市安全確保拠点施設の場合は、必要と認めた場合というふうなお話だったんですけれども、やはり、特定公益施設と一体的に確保する必要のある公共施設ということで、逆に言うと、何か余計なものがくっついてきたり、わざわざ建てる必要のないものが建つってことは、やはりあってはならないかなって思います。
 例えば、空きビルなども含めて、利用できるものは大いに利用していけばいいし、一点豪華な施設ができて、だけれども、住民がそこに行くのはとても大変よというのでは、やはり避難拠点施設としてはどうなのかと思いますので、そこはちょっと指摘しておきたい、このように思います。
 それで、今の水局長の答弁を受けて、次のところに行くんですが、一方で、貯留機能保全区域、こっちはビルとかではなくて、むしろ空き地みたいなところに水をためるという考え方かなと思うんですが、これは地権者の合意のみで、特段の財政措置がない。私、これはすごい大事だと思うんです。思うんだけれども、一切、合意のみでというのはどうなのかなと。必要性を分かりつつも、やはり何らかの、例えば固定資産税の減免とか、あってもいいんじゃないかと。
 あえて、これは遊水地とは違うんだ、田んぼであれば補償もしながら整備していく遊水地とは違うという意味で、どのように考えていらっしゃるのか。


○井上政府参考人 遊水地は、計画的に河川の洪水を流入させ、洪水流量を調節するものであり、河川法に基づく河川区域の指定を行うとともに、河川管理者が整備、管理を行うものです。
 具体的には、遊水地については、用地買収を行うことによって、盛土、掘削、工作物の設置等に河川管理者の許可が必要になるなど、土地利用上の制約が強くかかることになります。
 一方、貯留機能保全区域は、土地利用上の制約を最小限に抑え、現状の土地利用を維持しながら、過去より有していた貯留機能を可能な限り保全するため、土地所有者の同意を得た上で指定し、盛土行為等を行う場合に届出していただくものです。
 このように、貯留機能保全区域は、目的や規制内容が遊水地とは異なるものであるため、その指定促進に当たっては土地所有者の御理解が不可欠であり、制度の意義等を丁寧に説明するとともに、土地所有者への支援策についても、今後、関係省庁と連携しながら検討してまいります。


○高橋(千)委員 青森であれば、空き地を持っている方に、雪捨場を確保して、そこに固定資産税の減免、そういう制度をしています。やはりそういう考え方が必要じゃないかなと思います。
 今日は下水道の話もする予定でしたけれども、時間がなくなりましたので、これで終わります。また次にしたいと思います。

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