国会質問

質問日:2021年 3月 31日 第204国会 国土交通委員会

流域治水関連法案 参考人質疑

調整には仲介役必要

 衆院国土交通委員会で3月31日、流域治水関連法案の参考人質疑が行われ、日本共産党の高橋千鶴子議員が質問しました。

 「上流と下流の調整など流域治水が本当にうまくいくかどうか、鍵は住民参加ではないか」との高橋氏の質問に、中央大学の山田正教授は「上流は下流を守り、下流は上流のありがたさをかみしめる。ベストな選択のために情報を透明化し、かつ調整には仲介役が必要」と答えました。

 千葉大学の秋田典子教授は、今回の流域治水について「毛細血管のように大地に張り巡らされている川の恵みの中で暮らしていることを改めて認識し、川とともに暮らす知恵を紡ぐ場づくり」と評価しました。

 高梁川の新成羽川ダムの緊急放流を検証した国土問題研究会の磯部作(つくる)副理事長は「電力や農水関係など多くの利水ダムをどう調整していくかが課題。中電は下流まで一気に宣伝車を走らせており、伝達も制度化すべきだ」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2021年4月14日付より)


ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 今日は四人の参考人の先生、お忙しい中御出席いただき、また貴重な御提言をいただき、ありがとうございました。今回の法案、束ね法案で、大変中身が多いんですけれども、皆さんがいろいろな角度からお話ししていただいたことで、流域治水のイメージが少し分かってきたかなというふうに思っております。
 早速質問したいと思います。
 まず山田参考人に伺いたいんですけれども、私は、この流域治水法案が本当にうまくいくかどうかというのは、鍵はやはり住民参加ということではないかなと思っているんです。最初の質問に対して先生が御指摘いただいた、やはりこれはもう利害の対立そのものなんだとおっしゃっていること、本当にそれを常に感じるわけですね。
 例えば、上流と下流の関係、水門を開ける閉めるの判断で、でもやはりそれは下流を守るためにはやむを得なかったんだと言っても上流の人が納得できないとか、そういうことを、いかにお互いにリスクを理解し合いながら、こうする判断が必要だよねということをやはりたどっていかなければ駄目だと思いますし、また、先生、利根川の地図、流域を示していただいたように、極めて広域で、都道府県もまたがる。そうした中で、実際に、じゃ、合意を図っていくのはやはり首長レベルなのかなとか、そういうことを思ってしまうわけですね。
 ここを何としても乗り越えていくためにどんなアイデアがあるか、伺いたいと思います。


○山田参考人 今まさに言われた、流域治水をやると、地域地域のベネフィットの闘いになる、闘いになると言うと何か厳しい言い方ですが、なると思います。歴史的にもそうですよね。
 利根川には中条堤というのが、土地がありまして、上から来た水はここで止める。だから、下流は助けるけれども、その上はもう水浸しになる。昭和の半ばぐらいまではむしろ旗を立てた大闘争がありましたけれども、それはやはり情報の共有が少ない時代だったからじゃないかと思うんですよね。それから、下流の人は、上流の、例えば、苦労して村が立ち退いてくれてダムができたおかげで東京に飲み水をもらっているんだ、そういうありがたいなという気持ちの教育がちょっと足りなさ過ぎますよね。
 そういう、お互いが理解し合う、だけれども、そのためには、いいインタープリターかファシリテーターが今後必要になってくるんじゃないかと思っています。つまり、どういう意見でも一応受け入れて、分かりやすく説明できるインタープリターというかファシリテーターという、そういう人の養成というのが絶対必要なのかと思っております。これはなかなか、一朝一夕ではそういう人の養成というのは無理ですけれども、行政の深い経験者とか、大学の先生なんかで幅広く研究をやっている方とか、そういう方なんかが間に入ってくれるような仕組みづくりも必要かなと思っております。
 以上です。


○高橋(千)委員 ありがとうございます。簡潔に、とても分かりやすくおっしゃっていただいたと思います。
 いつもそれを、私、国交省に何度も聞くんですが、なかなかお答えをいただけなくて、協議をよくやっていきますとしかおっしゃってくださらないので、やはりそれだけでは進まないだろうと思うので、伺わせていただきました。ありがとうございます。
 次に秋田参考人に伺いたいんですが、ハザードマップの問題、精緻化されていけばいくほど住民にとって分かりにくいんだ、種類もいっぱいあるんだということをお話しされたこと、とてもよく分かります。
 私も、例えば、地震の避難所に行けば水の真ん中に避難所があって、公民館に避難をしていたら、そこにハザードマップがあって、ぴたり賞だった、ぴたり賞だけれども、何の役にも立たなかったという、これは西日本の話なんですが、そういう経験をいたしました。やはり、そのハザードマップがどんなによくできていたとしても、それが住民にとって使えるものでなければ意味がないのであろうと思います。
 また、今日聞いてなるほどなと思ったのは、リスクの高さ、要するに、百年、千年に一度のハザードマップをいつも見ているのかどうか、頻繁に起こるリスクをいつも見ているのかどうかという問題もあると思うんですよね。
 岩手の沿岸部の自治体では、本当に、今、津波の最大のに向けてハザードマップを作ったけれども、今度は日本海溝が起きればもっとそれを乗り越える津波が来るんだぞと言われて、もう逃げ場がないじゃんといって困り果てているわけなんですね。
 そういった点で、ハザードマップを、マイ避難カードなどというのを取り上げたことがありますが、やはり個人に引き寄せる努力と情報の出し方というのが決め手かなと思うんですが、もう一言いただければ。


○秋田参考人 御質問ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、先ほど山田参考人もおっしゃったことなんですけれども、やはり、翻訳者、インタープリター、専門家が間に入って、リスクの程度の違いとかについても住民は全然、十分理解しているとは言えない状況だと思うので、まずそれを伝えていくような組織みたいなものですかね、そういうものをつくっていくということが非常に重要だと思います。
 また、特に、上流に守っていただいている下流域ですね、私は特に都市のことをやっていますので、都市の中心部というのはなかなか上流で守っていただいているということが理解しづらいので、それに関しては、都市の中でも、水防の施設、先ほど申し上げたような、水をためるような公園だとかあるいは緑地だとか、そういうものを保全して、都市の中でも水防を見える化して、人々の意識を高めていくということが非常に重要だと思っております。
 以上です。


○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 次に、橋本参考人に伺いたいんですけれども、先ほど土砂災害と皆伐についての御指摘がございました。その示された地図が岩泉の災害、水害についての地図だったので、私も視察に行ったことがありますので、大変衝撃を受けました。
 一方では、今農水省では、CO2を吸収しやすい林を植えるんだということで、皆伐を逆にやっている。これもまた、どうもちぐはぐだなという気がしております。
 むしろ、皆伐ではなく、間伐の後の始末がよくできていないことが土石流を発生させて被害を大きくしたりとか、そういうことはもうかなり前から議論をされてきたと思いますし、ある意味、そういう意味では人災でもあるのかな、そういうふうに思うんですね。
 今回、土砂災害警戒区域というのは、開発規制の対象となる浸水被害防止区域に、元々指定されているところはそのまま指定しますという、新たに指定しなくても、そういうふうなスキームになりました。
 ただ、問題は、それじゃ危険な区域がいっぱいだわ、ちゃんと開発規制するんだわと思う一方で、でも、既得のものは、つまり元々あるものは規制の対象外であるとか、それがどれだけ必要なことなのかということの理解が進むのかということでのバランスというんでしょうかね、有効性があるのかなというのはちょっと心配しているところなんですけれども、御意見をいただければと思います。


○橋本参考人 御質問ありがとうございます。
 やはり、まず命を守るということは非常に重要なことなんだろうというふうに思います。その上で、既得の事業といったものの施業であるとか土砂災害への影響というものは、十分にまだ解明されているとは言えません。
 先ほども、皆伐が進んでいると。皆伐地で災害の箇所が重なっているというデータはあるんですけれども、そこを更に細かく見ると、どういう施業をしたからこれがまずかったんじゃないか、じゃ、施業の方法を変えれば林業があっても大丈夫ということになりますので、やや、もうちょっと細かく、どういった林業施業したことがこの土砂災害につながり、それが河床を上げてしまったのかであるとか、あとは、間伐をした後も、単純に切り倒し間伐をしてそれが流れてきてしまうというケースはあるんですけれども、等高線と平行に置いた場合、土砂を食い止める働きもあるというようなこともあります。
 ですから、ちょっと細かい話をしておりますけれども、具体的に見ていくと、施業といったことまで踏み込んで見ていく必要があるだろうと思います。
 以上です。


○高橋(千)委員 要するに、検証といいますか、それぞれの、大きく言うと、それは山が荒れていたからだよねというような表現になるかもしれないんだけれども、ただ、それぞれに原因がやはりあって、きちっと検証をしていくということがあって今の政策に生きていくということなんじゃないかなというふうに聞いていて思いました。ありがとうございました。
 かつて、やはり私も、災害対策、全国歩いていますので、十何年も前から、これは異常気象じゃないかと指摘する質問はよくあったんですね。ただ、そのせいだけにしてしまうと、じゃ、もうどうしようもないことなのかみたいなことになってしまって、どうしようもないことではなく、今できること、あるいは今までやってきたこととの関係で、どう私たちは対策を打っていくのかということがやはり問われているんじゃないのかなということを思って質問させていただきました。
 さっき秋田参考人に一言、質問のときに論点を一つ足すのを忘れていまして、ハザードマップは移転するほどのものなのかということ、つまり、リスクの高さと、やはり危険だから移転しなきゃいけないものなのかという踏ん切りをどうつけるかということを、やはり難しいよなということでちょっと考えていたので、後でお時間があればもう一回伺います。済みません。
 磯部参考人に伺いたいと思います。
 二〇一八年の七月の西日本豪雨で、岡山の真備町では五十一名が犠牲になる大きな被害がございました。先生は、高梁川や愛媛の肱川などの検証に関わってきたわけでありますけれども、この事案を通してダムの事前放流についてのルールづくりが進んで、今回の法案にも法定協議会のような形で大きく盛り込まれたということは、私はよかったなと思っております。
 先生自身が災害を通して見てきたことと、今回の事前放流のルールをつくったからうまくいくよというだけではなくて、課題として、じゃ、どううまくやっていくのかということで問題意識がございましたら伺いたいと思います。


○磯部参考人 ありがとうございます。
 今御質問いただいた件につきましては、やはりダムが非常に今多くなっております。高梁川水系でも、今、新成羽川ダムと申しましたけれども、あと県営の河本ダムとか農水関係の小阪部ダムとか、もうたくさんのダムがございまして、それをどう調整していくかというようなことも必要になってくると思います。
 そこが、先ほど流域管理とまで申しましたけれども、かなり一元化しておかないと、いつどこでどのダムが出すかというのがかなり重要になってまいりますので、その辺りをこれから調整していく必要があるだろう。ただ、気象予報が、まだ完全にとは言いませんけれども、非常に正確になってきておりますので、それを運用していく。洪水が起こらない放流量というのがございますので、それを計算して出していけば十分対応できるとは思っております。ただ、横の連携をどうするかということになっていくのではないかと思っております。
 それからもう一件だけ申しますと、河川の整備を今まで十分してなかったところもありまして、堤防高等が低いところがございますので、その辺りをかさ上げしながらやっていくということが必要かと。
 それから、伝達につきましては、今、かなり、中国電力なんかも下流まで一気に宣伝車を走らせるようなこともやっておりますので、その辺りをこれから制度化していく必要があると思います。
 以上でございます。


○高橋(千)委員 ダムもやはり流域の中に、先生がおっしゃったように、幾つもある、一つだけで議論はできないよねということだと思いますよね。ですから、今回の住民参加が、そのことも含めて、ダムの在り方も含めて議論になっていくというのが一番いいのかなと思っておりますけれども、もしありましたら、もう一言。


○磯部参考人 住民参加といいますか、住民あるいは専門家を入れて、その辺りをこれから計算して、あるいはそれぞれの対応を緻密な形でやっていく必要があるとは思っております。
 以上でございます。


○高橋(千)委員 ありがとうございました。終わります。

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