国会質問

質問日:2021年 3月 18日 第204国会 本会議

医療・介護・保育労働者等への慰労金支給法案で本会議答弁

 病床削減を促進し医師の長時間労働を容認する病床削減推進法案(医療法等改定案)と、日本共産党など野党4党が共同提出した医療・介護・保育労働者等への慰労金支給法案が18日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の宮本徹議員が質疑し、高橋千鶴子議員が法案提出者として答弁に立ちました。

 宮本氏は、病床削減推進法案には、「地域医療構想」に基づき、削減した病院に給付金を配る事業を全額国費で行うことが盛り込まれ、財源は全額消費税増税分とされていると批判。コロナ患者受け入れで大きな役割を担ってきた公立・公的病院の奮闘に触れ、「名指しで再編・統合の検討を迫る436病院のリストは撤回を」と迫りました。

 田村憲久厚生労働相は「質の高い医療体制を維持するためのものだ」と強弁しました。

 宮本氏は、医師の長時間労働“規制”をうたいながら、過労死ラインの2倍、年1860時間の時間外労働を容認する点も問題だとして、長時間労働是正のためには「医師・看護師を増やす必要がある」と主張しました。

 高橋氏は宮本氏への答弁で、「医療体制に余裕をもち、それに見合う人材を確保すべきだ」と指摘。政府の慰労金は昨年7月までにコロナ対応した人が対象だが、「同月以降、感染は増加し、新たに対応を迫られた病床、従事者等も増えた。働く環境は過酷さを増し、心身の疲労は限界に達している」として、慰労金再支給の意義を強調しました。
(「しんぶん赤旗」2021年3月19日付より)


ー議事録ー

○議長(大島理森君) 宮本徹君。
    〔宮本徹君登壇〕
○宮本徹君 私は、日本共産党を代表して、医療法等改正案及び医療従事者等慰労金支給法案について質問します。(拍手)
 新型コロナパンデミックは、医療提供体制の脆弱さを浮き彫りにしました。多くの方が入院できず、自宅で亡くなる方も相次ぎました。この原因がどこにあったとお考えか。
 対策の肝である飲食店の営業時間短縮等について、菅首相と小池都知事の判断の遅れは重大でした。同時に、欧米より桁の少ない感染者数で日本が医療崩壊に直面したのは、専門医の少なさ、人工呼吸器の扱いに熟達した看護師を始め、医師、看護師の少なさも大きな要因だったのではありませんか。
 政府法案の最大の問題は、病床機能再編支援事業を地域医療介護総合確保基金に位置づけ、全額国庫負担で病床削減を加速化する点にあります。
 政府の検討会の中でも、急性期の大きな病院でかなりコロナの患者を受け入れてもらった、余力がないと患者を受けることができない、余力をできるだけそごうというのが地域医療構想の議論との指摘がありました。
 政府は、感染拡大時の短期的な医療需要には機動的に対応するといいますが、これ以上医療体制の余力をそいで、いざというときに機動的に対応できるのですか。
 病床削減ありきの姿勢は改め、感染症に強い日本をどうつくるのか、ここから議論を起こすべきであります。地域医療構想は撤回し、新型コロナで医療崩壊に直面したことを教訓に、関係者、国民とよく議論し、医療提供体制を構築すべきであります。
 今、コロナ病床確保が最大の課題です。
 こんなさなかに病院の皆様に再編整理の話を持ちかけるということは全くナンセンスと、知事会からも厳しい批判の声が出ています。
 今政府がやるべきは、病床削減ではなく、医療機関への支援であり、医療従事者らへの二度目の慰労金ではありませんか。厚労大臣及び野党法案提出者の見解を伺います。
 政府が、四百三十六の公的・公立病院を名指しで再編統合の検討を迫っているのは極めて重大です。
 今回のパンデミックとの戦いは、率先して患者を受けた公的・公立病院の頑張り抜きにはあり得ませんでした。
 政府は、病床削減について、自主的に判断していただくといいます。ならば、名指しで検討を迫る公的・公立病院のリストは撤回すべきではありませんか。
 さらに、政府法案は、病床削減の財源は消費税増税分を充てます。
 消費税増税の際、そんな説明がどこにあったのか。増税分の使途変更を問うた選挙で、与党の選挙公約にありましたか。社会保障充実のためと増税しながら、増税分で病床削減を進めるなど許されません。
 政府法案は、医師の長時間労働の規制をするといいます。
 しかし、時間外労働の上限は、過労死ラインの二倍、年一千八百六十時間です。過労死ラインを超えて働いて、健康が守れるのでしょうか。
 日本外科学会の調査では、医療事故、インシデントの原因について、過労、多忙と答えた方が八割にも上っています。長時間の連続勤務では、医療の安全は確保できません。医師の長時間の連続労働をなくし、交代制勤務の導入を進めるべきであります。
 医師の長時間労働を是正するためにも、地域医療を守るためにも、医師、看護師を増やすことが必要です。医師数は、OECD平均並みにするためには十三万人不足しています。
 ところが、政府は、医師の需給推計なるものに基づき、二〇二三年度からの医学部定員削減を示しました。この医師の需給推計は、前提が何重にもおかしい。男女比について、過去九年の中央値を固定して用い、医師試験受験者は女性三二%で固定化しています。ジェンダー平等を進める気はないのですか。医学部入試での女性差別の是正前の数値を固定して使うなど論外であります。
 また、年九百六十時間や七百二十時間の時間外労働を前提とせず、週四十時間労働を前提とすべきではありませんか。
 二〇二三年度からの医学部定員削減はやめ、医師、看護師を増やし、医療体制を強化することを求め、質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)


    〔国務大臣田村憲久君登壇〕
○国務大臣(田村憲久君) 宮本徹議員にお答え申し上げます。
 医療崩壊の原因についてお尋ねがありました。
 国として、医療崩壊について明確な定義を示しているものではありませんが、医療提供体制については、年明け以降の急激な感染拡大を受けて、大変逼迫した状況が続いていたと認識いたしております。
 新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制については、刻一刻と状況が変化し、予想を超えるスピードで感染が拡大する中で、局所的な病床数不足の発生、感染症対応も含めた医療機関間の役割分担、連携体制の構築といった課題が浮き彫りになったと考えております。
 こうしたことを踏まえ、今回の感染拡大局面で認識された課題をしっかりと点検し、次の感染拡大に備え、病床を改めて確保するとともに、病床だけではなく、宿泊、自宅療養も含めて十分な療養体制を確保することに加え、患者の症状に応じて療養先を決定し、退院等へとつなげていく調整を円滑に行えるようにすることが重要であると考えています。
 また、国としても、新型コロナ患者を受け入れた病院に対して強力な財政支援を用意するとともに、医療人材の確保の観点から、感染拡大地域の要請を受け、医療スタッフの広域派遣や自衛隊の災害派遣等の都道府県域を超えた支援、コロナに対応する医療機関へ派遣される医師、看護師への支援額の倍増、重症者の治療を行うための人材養成として、人工呼吸器やECMOを扱うための講習の実施等に取り組んでいるところであります。
 引き続き、国と地方で緊密に連携しながら、地域の医療資源を総動員して、医療提供体制の確保に努めてまいります。
 感染拡大時の医療体制についてお尋ねがありました。
 今般の新型コロナウイルス感染症の対応では、重症者に対応する高度な医療機関、中等症患者に対応する地域の中核的な医療機関、回復後の患者に対応する後方支援医療機関など、各病院がその機能に応じた役割を果たしていただいており、地域における病床機能の分化、連携の重要性を改めて認識したところであります。
 御指摘の病床機能再編支援事業は、病床機能の分化、連携を進め、人口構造の変化を見据えて、質の高い医療提供体制を維持するためのものと考えております。
 さらに、今回の改正法案においては、医療計画の記載事項に新興感染症等の感染拡大時の医療を追加することで、感染拡大時の準備を地域ごとに進めることとしており、これらにより機動的に対応可能な体制を構築してまいります。
 医療提供体制の構築についてお尋ねがありました。
 今後とも続く人口構造の変化を見据え、質の高い医療を効率的に提供できる体制を構築するとともに、将来の新興感染症等の発生にあらかじめ備える観点から、地域の医療機関における役割分担、連携の強化、弾力的な対応を可能とする医療資源の配置など、医療提供体制の更なる改革が必要と認識しております。
 具体的には、今回の改正法案において、新興感染症等の感染拡大時に、必要な対策が機動的に講じられるよう、医療計画の記載事項に新興感染症等の対応を追加するとともに、中長期的な視点に立った地域医療構想について、将来の医療需要に見合った体制の構築を目指し、基本的な枠組みを維持しつつ、議論が進められている医療機関や地域に対し積極的な支援を進めていくこととしております。
 今後とも、平時と新興感染症発生時のいずれにも弾力的に対応可能な医療提供体制の確保に向けた取組を進めてまいります。
 医療機関への支援等についてお尋ねがありました。
 御指摘の慰労金については、今年度第二次補正予算において、当初、全く未体験であった新型コロナウイルスとの戦いの最前線で様々な御苦労をされた医療従事者等に対し、一時金として給付したものであり、新型コロナウイルスの対処の仕方について判明してきた七月以降に関し、再支給を行う予定はございません。
 他方、医療従事者の支援も含め、これまで医療機関支援として総額四・六兆円の予算を措置しております。
 厚生労働省としては、足下の新型コロナウイルス感染症対応に引き続き全力を注ぎつつ、この対応を通じて得た知見を踏まえ、また、自治体等の御意見も丁寧に伺いながら、将来の医療需要に見合った医療提供体制の構築に向け、医療機能の分化、連携の取組も着実に進めてまいります。
 公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証についてお尋ねがありました。
 今回の新型コロナウイルス感染症対応では、公立・公的医療機関を始め多くの医療機関において、コロナ患者の受入れや地域の医療提供体制の確保に重要な役割を果たしていただいております。
 公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証に当たり、国からお示しした診療実績の分析結果は、それぞれの地域において、今後の医療機能の在り方を考えていただく際の材料としてお示ししたものであります。
 病院が将来担うべき役割等については、国による分析結果だけでは判断できない診療領域、地域の実情に関する知見や、今般の新型コロナウイルス感染症対応の状況なども踏まえつつ、それぞれの地域でしっかり御議論をいただきたいと考えております。
 病床機能再編支援事業についてお尋ねがありました。
 与党の選挙公約について申し上げる立場にはありませんが、二〇一七年十月の第四十八回衆議院議員総選挙に当たり、自民党政策バンクにおいては、病床の機能分化、連携の推進等を通じて、誰もが安心して受けられる医療の確保を図ることとされていると承知しております。
 病床機能再編支援事業は、病床機能の分化、連携を進め、質の高い医療提供体制を構築するための地域における協議と合意に基づいた取組を支援するために、必要な病床のダウンサイズや医療機関の統合に対する支援として措置したものであります。
 厚生労働省としては、関係団体から本事業の継続に関する御要望もいただいている中で、病床機能の分化、連携に向けた取組が進められている医療機関等に対し、しっかりと支援を進めていきたいと考えております。
 医師の長時間労働の是正と交代勤務制の導入についてお尋ねがありました。
 今回の改正法案では、やむを得ず長時間労働を認める医師の対象範囲を、都道府県知事が指定した医療機関に勤務する医師に限定した上で、指定を受けた医療機関に対し、連続勤務時間の制限や勤務間インターバル規制、面接指導の実施といった健康確保措置の実施を義務づけることとしております。
 厚生労働省としては、医師の労働時間の短縮が着実に進むよう、御指摘の交代制勤務の導入も含め、医師の働き方改革を進めるための方策について医療機関に丁寧に周知、助言するとともに、診療報酬上の評価や地域医療介護総合確保基金を通じ、医療機関の取組を支援してまいります。
 医師の養成と需給推計についてお尋ねがありました。
 医師の養成には、医学部と臨床研修の期間を合わせて八年もの期間を要することから、将来人口の変化を見据えた中長期的な観点で考える必要があります。
 現在、平成二十年度から、いわゆる地域枠を中心に段階的に医学部定員を臨時に増員してきたことにより、全国レベルで医師数は毎年約四千人ずつ増加している状況にあります。
 一方、直近の需給推計を全国ベースで見れば、今後の人口減少に伴い、将来的には医師需要が減少局面になり、二〇二九年頃以降は供給過剰となると見込まれています。このような見通しも踏まえて、今後の医師養成数の方針について、自治体等の御意見も丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。
 なお、御指摘の医師の需給推計の算出に当たっては、厚生労働省の検討会において、有識者により、医師の男女比や労働時間に関する妥当性等を議論した上で決定された方法に基づき実施しております。
 以上です。(拍手)


    〔高橋千鶴子君登壇〕
○高橋千鶴子君 宮本徹議員にお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、厚労省が名指しして病床削減を図ろうとする公立・公的病院の多くが、新型コロナウイルス患者を受け入れてきました。また、今般の教訓から、感染患者を受け入れることは一般病床にも大きく影響することが認識され、新興感染症等を医療計画に位置づけることが政府案に盛り込まれたものであります。その一方で、消費税財源かつ全額国庫補助で病床削減支援を行うことは相矛盾しており、看過できません。
 今やるべきは、医療提供体制に余裕を持ち、それに見合う人材を確保することです。
 二〇二〇年度第二次補正予算では、医療機関、介護、障害福祉サービス事業所等に勤務して、患者、利用者と接する者を対象に、慰労金が支給されました。しかし、昨年七月以降に新たに対応した場合には二十万円の慰労金支給の対象とはならず、昨年七月以降に働き始めた方は五万円の慰労金支給すらありません。
 実際には、昨年七月以降感染者は増加し、新たに対応を迫られた病床、医療従事者等も増えました。働く環境は過酷さを増し、医療従事者等の方々は、家族に会えない、外出も自粛するなど、ストレスは長期化し、先の見えない中で心身の疲労は限界に達しています。
 こうした状況を踏まえ、一刻も早く、新型コロナウイルス感染症の患者等に対応している医療従事者等に再び二十万円の慰労金を支給するとともに、昨年七月以降に働き始めた医療従事者等に五万円又は十万円の慰労金を支給すべきであると考えております。(拍手)

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