国会質問

質問日:2021年 3月 9日 第204国会 東日本大震災復興特別委員会

原発事故など賠償請求の時効問題

衆院委 援護資金返済などで高橋氏

 日本共産党の高橋千鶴子議員は9日の衆院復興特別委員会で、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から10年を迎えるもと、被災者支援の課題は多いとして国の対応をただしました。

 高橋氏は、国の災害援護資金の貸し付けを受け、返済期間が始まった被災者約2万5千件のうち、4割にあたる1万件が滞納に陥っていることを確認しました。東日本大震災の特例は償還期間が13年で、資力が乏しいなどでその間返済猶予となった人はさらに10年で計23年間たってから免除の可否を決めます。高橋氏は「債務を23年間抱えることになり、重荷になっている。支払い免除を積極的に周知し、対応すべきだ」と強調。平沢勝栄復興相は、被災者の状況は異なっており「市町村がきめ細かく対応できるようにしたい」と答弁しました。

 高橋氏は、原発事故の賠償請求の時効期限が3月末に迫っている問題を追及。東電の文挟(ふばさみ)誠一副社長は、一律に時効を適用せず最後の一人まで支払いを行うと答えました。

 一方で、東電が原子力損害賠償紛争解決(ADR)センターによる和解案を計138件も拒否していたことを文部科学省の堀内義規審議官に確認。時効を適用しないかどうかは東電にゆだねられているため、「原賠時効特例法を延長すべきだ」と求めました。

 ADRに初めて申し立てする被災者がいまも36%となっている背景には、“ようやく生活・事業再建にめどがつき、賠償を考えられるようになった”人が多いとして、「やっと踏ん切りがついた人たちが『賠償を求めたい』という声に応えられるよう機能を果たすべきだ」と迫りました。
(「しんぶん赤旗」2021年3月10日付より)

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 あさって十一日、東日本大震災と原発事故から十年になります。死者・行方不明者、関連死を合わせると二万二千名を超えます。改めて、犠牲になられた方々への哀悼の意を表するとともに、被災された皆様へ心からお見舞いを申し上げます。
 三月六日付の岩手日報には東日本大震災遺族アンケートが掲載され、とりわけ行方不明者の家族について特集していました。
 消息が知れない家族らを思い、感情が込み上げる人、六三・九%、相続などの必要に迫られたり、親族に促されたりして死亡届を提出し、葬儀を出したけれども、心ならずも死者として扱ったこと、遺骨もなく通常どおり弔えずにいることで自分を責め、心の傷を抱える人は多いと報じています。
 行方不明者の家族が一番必要な支援と感じているのは継続的な捜索、三八%であって、月命日のたびに捜索を続けているという報道に救われているのだということに改めて思いをしました。両親が行方不明だという岩手県山田町、五十四歳の会社員が、もう十年、まだ十年と思う、まだ見つからない、見つけてあげられないと自問自答する日々、警察の行方不明者捜索の報道を見るたび感謝しているとの声を紹介しています。
 被災者の心のケアは、むしろこれから更に重要になる課題であるかもしれません。是非、大臣にはそうした思いで後の質問に答えていただきたい、このように思います。
 今日は様々な期限問題について具体的に質問をします。
 東日本大震災で災害救助法の適用があった一都九県では、災害援護資金の貸付けの対象となり、財特法によって、据置期間が通常三年のところが六年、償還期間が通常十年のところを十三年と、特例扱いになっています。また、災害援護資金の申請については、今年度末までのところを来年度末まで延長する予定であると聞いています。
 この東日本大震災での災害援護資金の支払い期日が到来した総件数と滞納件数が幾らか、お答えください。そのうち、資力がない又はこれに近い状態にあるため支払いの猶予をされている方がいると思いますが、猶予ではなく免除とすべきではないか、この点について伺います。


○村手政府参考人 お答え申し上げます。
 東日本大震災に係る災害援護資金の償還状況につきましては、令和元年九月三十日時点で、貸付総件数二万九千六百六十二件のうち、支払い期日が到来した件数は二万四千七百四十四件でございます。滞納件数は九千九百九十七件でございます。
 貸付けを受けた方が、疾病、負傷、その他やむを得ない理由によって支払い期日に償還金を支払うことが著しく困難になったと認められるときは、市町村は償還金の支払いを猶予することができることとなっております。
 一方で、東日本財特法におきましては、償還期間や利率等について被災者支援の観点からの特例を設けた上で、借受人が、無資力又はこれに近い状態にあるため支払いの猶予を受け、最終支払い期日から十年を経過した後において、なお無資力又はこれに近い状態にあり、償還金を支払うことができることとなる見込みがない場合について、償還免除の特例が設けられているところでございます。
 この特例によることなく一律に支払い猶予者を全て免除することについては、国民に御負担いただいた税等での資金で貸し付けた債権を保全する観点とか、また、苦しくても期限どおり償還している方々とのバランスですとか、据置期間の特例もあり、償還を開始してからまだ時期がたっていないという点などを勘案すると、適当ではないのではないかと考えてございます。
 以上でございます。


○高橋(千)委員 まず、今お答えいただいた償還状況については、資料の一枚目につけておりますけれども、右から二番目に、貸付総件数二万九千六百六十二件中、支払い期日が到来しているのが二万四千七百四十四件、四割の滞納件数が既に生じているということだと思います。
 それで、ちょっと今の答弁、分かりにくかったと思うんですけれども、東日本大震災の被災者に対して特例を設けている、その上で、資力がない、これに近い方に対して猶予ができるんだけれども、支払い期日が来てから十年たってからそれを見極めるという話なんですね。つまり、償還期間は十三年ですので、プラス十年、二十三年間債務を抱えることになるんです。私、このことを問題にしています。
 つまり、一律に免除してしまえということを言っているんじゃなくて、現実に今資力がない方、状況がこれから改善するとは思えない方、もう決着がついているんですよね。その方に対して、あと十年待てよ、十三年足して二十三年待てよと。その間ずっと、自分は借金を抱えているという気持ちを持ち続けるんです。そのことをどう思うかということを聞いています。これは、阪神・淡路大震災の被災者が四半世紀たっても毎月毎月千円でも返し続けている、そのことが本当に重荷になっているということを目の当たりに見て、感じていることなんです。
 復興の基本方針には、「災害弔慰金、災害援護資金については、対象者に対する周知等を適切に行った上で、対象者への支援が終了するまで継続する。」とあります。
 支払い免除についても、積極的に周知、対応すべきではないでしょうか。今言ったように、二十三年待たなくても、必要であれば免除するということを決める。大臣に是非リーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○平沢国務大臣 災害援護資金の償還については、猶予とか免除というのが当然できることになっているわけですけれども、それで、債権回収するのは市町村がやるわけですけれども、個人によってばらつきがいろいろありますから、一人一人の皆さん方の状況に応じてきめ細かく市町村は対応しておられることと思います。
 いずれにしましても、被災地の市町村が適切に運用できるよう、そこはしっかり被災地、自治体の方の御意見も聞いてみたいと思います。そして、適切に、個別にしっかり対応していくように、これはしっかりと取り組んでいきたいと思います。


○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 本当に、年金収入しかないとか資産もないとか、明らかにあと十年待たなくても分かるよという方はいらっしゃるわけですよね。自治体はそれは十分分かっているんです。それをずっと債務者のままでいなくたっていいじゃないかということを言っています。今、個別にきめ細かく見ていきたいということをおっしゃってくださいましたので、是非、その大臣のお気持ちを自治体とも通わせながら取り計らっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それで、資料の2は、被災者生活再建支援金の支給世帯数と被災三県の申請期限について、これは、全部ではなくて申請期限がまだあるところ、今年四月十日以降の自治体のみをピックアップして、うちの事務所でまとめたものであります。
 これは見るとすぐ分かるんですが、福島県は、基礎支援金の百万円もまだ申請を締め切っていない自治体が多くあります。避難指示があった市町村は、来年四月にしていることも分かります。
 例えば宮城県でいいますと、これは右と左を見ると、まだ加算支援金が払われていないなというのがすぐ分かると思うんですが、大体対象として、仙台市が約二千世帯、石巻市千三百七十世帯、南三陸町二百五十世帯、その他九自治体を合わせると四千世帯くらいが、加算支援金の受給資格があるんだけれども未受給だと聞いています。
 資格があるけれども、土地利用や避難などの様々な事情によって支援金を申請していない方がいらっしゃいます。そうした方に支給できるように申請期限の延長が必要と思いますが、政府としての認識を伺います。


○村手政府参考人 お答え申し上げます。
 被災者生活再建支援金の申請期限につきましては、できるだけ早期に被災者の方に生活再建を図っていただく観点から設けられているものでございまして、被災地の状況など、地域のやむを得ない事情により期限内の申請をすることができないと県が認める場合には、期間延長できるとされてございます。
 このため、その延長については、今後の地域の実情を踏まえながら、被災者の生活再建が早期に実行されるよう、各県において適切に判断されるべきものと考えております。
 それぞれの県において、未申請の世帯に対して周知を行うなどの取組を進めているとも伺ってございます。
 内閣府といたしましても、各県において、被災者の早期の生活再建を図るため、被災者に対して、申請期限についてもしっかりと周知を図り、丁寧に対応していただくことが重要であると考えてございます。
 以上でございます。


○高橋(千)委員 今お答えくださったことを是非徹底していただければと思います。やはり、十年たったということで、そろそろというのがどうしても出ちゃうわけですよね。だけれども、早いにこしたことはないんだけれども、そうできない事情があるわけですから、その個別の対応を、是非、自治体が判断できるように促していただければと思います。
 それから、復興の基本方針では、医療、介護の減免について、非常に回りくどい表現を使っております。地方公共団体において住民税減免などの見直しが行われてきていることや、被災地方公共団体の保険財政の状況等も勘案しながら、被災者間の公平性等の観点から、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行うと。どれだけ回りくどいのかと思うわけですが。
 これは福島のことを言っているわけなんですけれども、結局、要するに、やめたいのかしらというふうなことが伝わってくるんですよね。だけれども、本当に、今でさえも、帰りたいけれども、医療機関が身近にないとおっしゃる方がたくさんいるんですよね、足がないと。そういうときに医療費までも自己負担が発生してしまえば、ますます帰れなくなるんですよ。
 そういうことを考えても、これは、そうじゃないんだ、続けていくんだとお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。


○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、今回、この震災に対応しまして、医療、介護の減免ということで、東京電力福島の原子力発電所事故に伴います帰還困難区域の被災者の方、それから、上位所得層を除いた旧避難指示区域などの被災者の方々につきましては、被災地の状況や国による避難指示などが引き続き行われているということを踏まえまして、医療保険の窓口負担などの免除を行った保険者に対して国が特別の財政支援を行っているところでございます。
 この特別の財政支援につきましては、今委員からも御紹介ございましたけれども、本日閣議決定されております「第二期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針におきまして、国による特別な減免措置とした上で、委員御紹介のとおり、避難指示解除の状況も踏まえ、適切な周知期間を設けつつ、激変緩和措置を講じながら、適切な見直しを行うというふうにされているところでございます。この記述自体は、令和元年十二月に閣議決定されております基本方針において既に記載されたものを踏まえたものでございます。
 令和三年度におきましては、引き続き同様に財政支援を行うということとしておりますけれども、令和四年度以降の財政支援の在り方については、本日閣議決定されましたこの基本方針を踏まえながら、復興庁や被災自治体などと連携しながら、引き続き丁寧に議論をして対応を検討していきたいというふうに思っているところでございます。


○高橋(千)委員 令和三年度は同様だけれども、それ以降は、今言ったように回りくどい表現で、適切に見直しを行うと言っているわけですよね。でも、それじゃ本当に戻らないよということを言っています。
 自治体の中で要望が一回出てきているというのは承知しています。でも、それは自治体の負担もあるから、それは分かるんです。だけれども、今本当に、戻ってもらいたい、戻りたいと思う人がいることを分かっているなら、これはまだ継続すべきだということで前向きに検討していただきたいと思います。もう一言お願いできますか。


○榎本政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員の方からもいろいろと御意見を頂戴したところでございます。そういった御意見なども踏まえつつ、具体的な令和四年度以降の財政支援の在り方につきましては、復興庁や被災自治体とよく連携しながら、これは丁寧によく私ども議論させていただいて、検討してまいりたいというふうに考えております。


○高橋(千)委員 お願いします。
 次に、原発事故の賠償請求の時効期限について、東電は、時効の完成をもって一律に賠償請求をお断りすることは考えていない、最後のお一人まで賠償を貫徹するべく、消滅時効については柔軟な対応を行わせていただくと発言をされております。
 資料の3に、これは二月八日の第五十三回原子力損害賠償紛争審査会に出された資料なんですけれども、その冒頭に、東電がこんなことをおっしゃっています。事故発生時に避難等対象区域に居住していた方々約十六万五千名のうち、精神的損害の御請求をいただいていない方は、昨年十二月末時点で七百六十五名となり、九九・五%の方々にお支払い済みと。
 これは、アンダーライン、私が引いたのではございません、東電がわざわざ引いて、あと七百六十五名、ここまで来たぞと言っているのかもしれませんけれども、そもそも、最後のお一人までの意味は、事故発生時に避難指示等対象区域に居住していた方のみを念頭に置いているんでしょうか。


○文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。
 今先生が御指摘いただきましたように、時効の考え方についてはそこに記載のとおりでございます。
 当社といたしましては、事故発生時に避難指示等対象区域に居住された方のみを念頭に置いているのではなくて、当該区域にかかわらず、当社事故により被害を受けられた方々から御請求をいただいた場合には、丁寧に対応して、最後のお一人まで賠償を貫徹してまいる所存でございます。
 以上でございます。


○高橋(千)委員 確認をいたしました。残り七百六十五名のみではない、最後のお一人までというのはそこだけではないということを確認をさせていただきました。
 これは、東電がそういうふうにお答えしていただいているんですけれども、ただ、時効が成立するかどうかは東電が決めるということに変わりはないわけですよね。なので、やはり原発時効特例法を延長すべきだと私は思います。
 資料の4は、文科省が、「事故後十年が経過したからといって、賠償請求ができなくなるとは限りません。」として、請求漏れがないかを呼びかけた広報であります。これは大変分かりやすいと思います。
 もう一つ、この時効特例法のほかに、原賠ADR時効中断特例法というものがございますが、原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRセンターに和解仲介手続をしている間は時効が中断しているとみなされます。
 そこで伺いますが、ADRセンターが和解をあっせんした後、東電が拒否した案件は何件あるでしょうか。


○堀内政府参考人 お答えいたします。
 ADRセンターは、原子力事故により被害を受けた方の原子力事業者に対する損害賠償請求について円滑、迅速かつ公正に紛争を解決することを目的として設置された公的な紛争機関であります。具体的には、中立かつ公正な立場の仲介委員が、当事者双方の意見を丁寧に伺い、和解案を提示するなどして、当事者の合意による紛争解決を図っております。
 ADRセンターが和解の仲介をし、東京電力が和解案の受諾を拒否したために打切りとなったものは、令和元年十二月末までの累計で、東京電力の社員又はその家族からの申立てについて八十五件、それ以外のものが五十三件、合計百三十八件になっております。


○高橋(千)委員 中立公正な立場の委員が双方の意見を聞きながら和解案を出しているのに、百三十八件もの拒否した案件が出ているということ、三つの誓いは、和解案を尊重するということも入っていたと思いますが、非常に残念な実態である、このように思います。
 原子力損害賠償指針の第四次追補には、本審査会の指針において示されなかったものが直ちに賠償の対象にならないというものではなくて、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められるものは、指針で示されていないものも対象となると書かれています。この部分が、ある意味、賠償請求をする側にとっては指針では不十分であるとして訴える根拠でもあり、逆に、東電の側にとっては相当程度因果関係がないとして賠償を拒否する口実にされてきました。しかし、その間を埋めるものとしてADRセンターの役割があると私は思っています。
 ADRセンターの活動報告書には、「中立的な立場にある仲介委員が提出された主張及び証拠を法的に検討した結果を踏まえて適正・妥当と考える和解案を提示し、これを受諾するよう当事者に対して説得を行い、紛争の迅速かつ適正な解決を図ることをその目的とする組織である。したがって、パネルが和解案を提示したにもかかわらず、東京電力が和解案の受諾を拒否したとしても、まずは和解による紛争の解決を目指すべきことは当然である。」と述べております。
 この立場に立って、東電にもう一言伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。


○文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。
 先生今御指摘のとおり、ADRにつきましては、和解仲介案の尊重ということで、最大限尊重してまいるという所存でございます。
 ただ他方で、一部の案件につきましては、申立人全員に、中間指針とは異なる内容で一律に追加での賠償を求めているということなどがございまして、和解案に基づく賠償を行うことは難しいという場合もございます。
 一方で、ADRで打切りになったものに関しましても、申立人より個別の御請求がある場合には、個別の御事情を丁寧にお伺いしながら、引き続き手続を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。


○高橋(千)委員 もう一度、文科省に伺います。
 時間の節約で資料を私、出しておりますが、最後のページに、ADRセンターの活動報告書の中で、初回申立ての推移というので、令和元年は四百三十八件、三六・二%。若干減ってはいるんですが、これだけの数、十年たっても初回申立てがこれだけある。その理由をどのように見ていらっしゃるのか、伺います。


○堀内政府参考人 お答えいたします。
 今委員からもお話がありましたとおり、平成二十六年の約三千八百件をピークに年々減少の傾向になっております。パーセンテージにつきましても、初回申立ての件数の割合は三六・二%と、二十六年度の七三%に比較して低くなってございます。
 これについては、私どもの方、現在、初回申立てが行われている理由としては、これまで東京電力に直接請求等を行ったものの、賠償金額等に納得がいかず申立てを行ったものや、関係機関による広報や相談活動等を通じてこのADRセンターに関する理解が進み、初回申立てにつながったものなどがあると考えております。
 今後とも、被災者の方々に対して適切な賠償が行われるよう和解仲介を適切に実施するとともに、こういった広報活動やきめ細かな相談活動に注力していきたいと考えております。


○高橋(千)委員 ちょっと今のは残念な答弁でしたよね。
 第五十回の損害賠償紛争審査会で佐々木室長が答えたその一番目は、直接請求が一段落してということだった、その後に、ようやく自分の心の中で生活再建とか事業再建にめどがついた、賠償のことをやっと考えられるようになった、それで、もう時間が経過しているけれども申し込んだ方がいるんだと。それがやはり、初回申立てが、減ってはいるとはいえ、あり続けることの意味だというふうにおっしゃっているのはとても大事なことだと思うんですよね。
 この会の中で、やはり、審査委員の皆さんが被災地を視察をして、富岡町や双葉町や浪江町の声を聞きながら、東電が和解案を拒否する、本当にしっかりとした指導をしてほしいとか、せっかく積み上げたADRセンターの結果を中間指針に反映してほしいという声を出している。これはきちんと、せっかく聞いてきたんだから尊重すべきだと思っているんです。
 十年で区切りをつけない、一律に終わらせないと東電もおっしゃってくださいました。だとすれば、本当に、今やっと踏ん切りがついたという人たちが改めて賠償を求めたい、その声にちゃんと応えられるように機能を果たしていただきたい。このことを求めて、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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