合意なく進めるな 高橋氏
日本共産党の高橋千鶴子議員は2月26日の衆院予算委員会分科会で、北海道の寿都町と神恵内村で始まった高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定の「文献調査」に言及し、「文献調査」以降の調査や選定を行う前段階で知事や市町村長が反対した場合は選定を進めるべきではないと主張しました。
全国の原発を50年間稼働すると、国内のガラス固化体は約2500本となり、各発電所などで貯蔵する使用済み核燃料をガラス固化体に換算すると約2万6000本の貯蔵が必要となり、最終処分地では4万本までの埋設を計画しています。
高橋氏は「核のゴミを増やし続けながらの最終処分の議論は到底できない」として、全国の原発を止めることが前提だと強調。北海道後志管内での「核抜き条例」を制定する動きに触れ、「住民合意なしにすすめてはならない」と主張しました。
青森県六ケ所村などの4者が締結する協定書では、ガラス固化体の一時貯蔵管理期間を搬入日から「30~50年間」とし、期間終了後は電力会社へ搬出しますが、すでに25年が経過しています。高橋氏は、最初に期限を迎えるガラス固化体の量と搬出先の電力会社について質問。資源エネルギー庁の松山泰浩電気・ガス事業部長は東電や関電などの4社、計28本と答弁。また人間による管理なしに数万年単位で埋設すると述べながら、人間による見通しのきく範囲は「100年」にすぎないことを明らかにしました。
(「しんぶん赤旗」2021年3月4日付より)
核燃サイクルやめよ
高橋氏「矛盾から目そらすな」
日本共産党の高橋千鶴子議員は2月26日の衆院予算委員会分科会で、核燃料サイクルの問題点をただしました。
電気事業連合会は、青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設をめぐり、共同利用検討に着手したいと国に提案しています。高橋氏は、福井県が原発再稼働の前提条件として、県外で使用済み核燃料を中間貯蔵する候補地を示すよう関西電力に要請した経緯に触れ、電事連による関電救済だと指摘。40年を超える原発を稼働させるだけでなく、他県に核のゴミを押し付けてまで再稼働することは身勝手であり、「許されない」と批判しました。
梶山弘志経済産業相は共同利用案についてコメントを控えるとしつつ、「核燃料サイクルを推進することが重要」と述べました。
高橋氏は、政府が使用済み核燃料を再処理したMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を原発で使用するプルサーマルを推進してサイクルを回そうとしていることに対し、再処理しなければ使用済み核燃料プールが満杯になり、再処理だけなら(利用目的のない)プルトニウムがたまりすぎるため、「その場しのぎで『矛盾』に目をつぶっているにすぎない」と批判しました。
梶山経産相は「核燃料サイクルを引き続き推進することが重要」と繰り返し述べるだけでした。
(「しんぶん赤旗」2021年3月4日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)分科員 日本共産党の高橋千鶴子です。
梶山大臣、本日はよろしくお願いいたします。
大変重い課題ではありますが、今日は、高レベル放射性廃棄物の最終処分問題に絞って質問をいたします。
実は私、先週、北海道の寿都町に行ってまいりました。片岡町長ともお目にかかることができました。風力発電が黒字転化する見通しが出たことや、ふるさと納税が大変人気で、中には、いろいろあるんですけれども、納税に協力するから文献調査はやめてというお手紙がついてくるということもあるそうです。財政力の小さな町が、二年間で最大二十億円という交付金、これが欲しくて手を挙げたというイメージだけが報道では走っておりますが、そう単純な構図ではないと思います。
町のために町長が様々なことを考えていらっしゃるとは思いました。ただ、この問題が持ち上がったことで町民が分断され、例えば町漁協の役員全員が辞任する、こういう事態も起こっているんです。町長が思いがあるなら、町民と話し合って一緒に決めていくべきではないかと私申し上げました。それと、我が青森県は最終処分地にはしないという覚書を国と交わしているわけではありますけれども、だからといって、私は、手を挙げる町があってよかった、そういう気持ちにはならないということを申し上げました。一つの町で抱えられる問題ではないと思うからです。
それで、資料の一枚目にまず処分地選定までのプロセスを示しておりますけれども、文献調査が二年程度、概要調査四年程度、精密調査十四年程度、二十年間は少なくともかかる想定になっております。
昨年十一月に北海道寿都町と神恵内村で文献調査が始まりました。寿都町は町長が文献調査に応募という形、また一方の神恵内村では、村議会で誘致請願が採択され、国から申入れをして、村長が受諾という形になっています。
法律を見ても、自治体が応募するというプロセスなどは記載がありません。道としては賛成ではないと承知しています。なぜ町長単独の判断で調査が開始できるのでしょうか。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
原子力発電を進める上で、最終処分の確保というのは大変重要な課題だと認識してございます。
現在、最終処分場の選定プロセスは、二〇〇〇年に定められました最終処分法に基づきまして、文献や資料を基に地域の地質データを調査分析する文献調査、その上で、ボーリング調査等を行う概要調査、そして、地下施設での調査、試験等を行う精密調査と、地域の御理解を得ながら、段階的な形で調査ステップを踏みつつ取り組んでいくものだとしてございます。
この選定プロセスの中で、今御指摘ございました文献調査というのは、この中の最初の段階の調査でございます。概要調査地区を選定する前にあらかじめ行うものとして規定しているところでございまして、その後のボーリングなどの現地調査を含む概要調査に進むかどうかについて地域に御判断いただくため、地質データなどを調査分析して情報提供を行う、事前調査的な位置づけでございます。こうしたことから、先ほども御指摘ございましたけれども、市町村からNUMOへの応募、若しくは国からの申入れを市町村が受諾の、二通りの手続で開始するという手続としているところでございます。
なお、文献調査の後、次の概要調査に進もうとする場合には、最終処分法に定める手続に従いまして、知事と市町村長の意見を聞き、これを十分に尊重することとしており、この意見に反して先に進むことはないというふうに承知しております。
○高橋(千)分科員 今の御趣旨は、あらかじめ、調査を広くやるために、一々町の議会が了解したとかそういうことは必要ないんだ、後で次に進むときにきちんと了解を取るからいいんだ、そういう趣旨でしょうか。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたこの手続につきましては、市町村からNUMOへの応募、国からの申入れを市町村が受諾ということで、市町村、当該自治体の方で御判断されることになるかと認識してございます。
今回の寿都町、神恵内村、それぞれの御判断の中では、当然のことながら、この地域の方々との対話、意見交換、御説明会を通じてなされてきたものだと考えており、様々な議論もお聞きになりながら、それぞれの首長の判断の下、応募若しくは受諾がなされたというふうに認識してございます。
○高橋(千)分科員 極めて私はこれは乱暴なやり方だと思うんですね。次のプロセスでちゃんと聞くからという趣旨かもしれませんが、この後応募して、二十億円の交付金が出るわけですよね。その道筋において、やはり少しずつ抜き差しならない関係になっていくわけですよ。一つ一つ、文献調査をやるかどうかも含めて、ちゃんと自治体で議論する。これは寿都町のことだけ言っているんじゃないんです。一般論として、やはりそれはそうすべきだと厳しく言っておきたいと思います。
だって、今、自治体の説明会、住民説明会以外の自治体の説明会については、どこでやったかという自治体名を公表していませんよね。そういうやり方の中で、長が決めたらもう文献調査に入るんですというのは、これはもう住民置き去りです。出だしからして間違っている、こう言わなきゃいけません。
大臣に伺います。住民説明会のパンフレットには、今少し説明がありましたように、次の調査に行くときには市町村長及び都道府県知事の御意見を聞き、これを十分尊重することとしており、当該都道府県知事又は市町村長の意見に反して先へ進みませんとあります。この意味を確認したいんですね。
といいますのは、資料の二に最終処分法をつけておきましたが、アンダーラインを引いていますが、「十分に尊重」としかないんですよ。尊重したらいいんですかという話。どちらかが反対したら先へ進まないとは読めないんですよ、法律だけでは。これはどうですか。
○梶山国務大臣 最終処分場の選定プロセスは、長い年月をかけて、地域の理解を得ながら、丁寧に調査のステップを踏みつつ取り組んでいくものだと思っております。
最初の調査であります文献調査とは、処分事業に関心を示していただいた市町村に地質データなどを調査分析して情報提供することを通じ、市町村で議論を深めていただくための、いわば対話活動の一環でもあります。また、調査期間中は放射性廃棄物を持ち込むことは一切ございません。
文献調査の後、次の概要調査に進もうとする場合に関してですけれども、最終処分法上、知事と市町村長の意見を聞き、これを十分に尊重することが規定をされております。
御指摘の、その意見に反して先に進むことがないとは、都道府県知事又は当該市町村長から概要調査地区の選定につき反対の意見が示された状況においては、これらの反対意見を十分に尊重し、概要調査地区の選定は行わないことを意味するわけであります。
これは、最終処分法の法案審議以降、国会や質問主意書等において繰り返しお示ししてきているところでありますが、今回も、北海道、そして神恵内、寿都、それぞれに文書で示してくれということを言われましたので、明快に、反対があれば次に進むことはないということを、私名の、私の名前で文書で出しております。
○高橋(千)分科員 そこは確認いたしました。できれば法律に書くか、解釈通知をきちっと出すべきだと、このことは指摘をしていきたいと思います。つまり、ほかの町も同じことがこれから起こってくる可能性があるわけですから、指摘をします。
二〇一三年の十二月十七日、最終処分関係閣僚会議において、実施主体による公募方式、これまでは手を挙げてくださいと言っていたんですが、それを見直して、国がより適性が高いと考えられる地域を科学的有望地として重点的な理解活動を行っていくという方針を決定しました。
このときは、前の月に報道がすごく走りまして、国が最終処分場に適した地域を百か所以上示し、候補地選びを加速させる、こうあったわけですね。ただし、それがずっと時間がたったのは、もう御存じのように、約四年後、資料の三にあるように、二〇一七年の七月に科学的特性マップとして公表されました。
簡単な確認です。これは、科学的有望地とは違うということ。日本列島を緑でかたどった格好になっておりますが、海側が全部適地だ、大津波のあった三陸沿岸部までも入るのかと、正直怒りを禁じ得ません。しかし、これは単に火山と活断層を除いた、はっきり不適なところを除外しただけであって、適地と言っているわけではないということ。
それから、文献調査実施市町村は今後も増やしていくのか、お答えください。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一五年に最終処分法に基づく基本方針を改定いたしました。その中で、科学的により適性が高いと考えられる地域を示すこと等を通じ、国民及び関係住民の理解と協力を得ることに努めるとしていたところでございまして、これを受けて、二〇一七年に科学的特性マップを公表したという背景がございます。
このマップというものは、科学的な情報を客観的に提供し、地層処分という処分方法の仕組みや我が国の地下環境等に関する国民の皆様方の理解を深めていくことを目指して策定したものでございまして、客観的データに基づいて地層処分に関する地域の科学的特性を色分けで示したものでございます。
具体的には、火山や活断層の近傍や鉱物資源の存在など好ましくない特性があると推定される地域はオレンジやシルバーで、そして、先ほど委員御指摘ございましたように、安全な地層処分が成立すると確認できる可能性が相対的に高い地域はグリーン、その中でも特に輸送面で好ましい地域は濃いグリーンで示すというふうにしているところでございまして、このマップは科学的有望地を特定するものではございません。
なお、国といたしましては、このマップを活用しながら、引き続き前面に立って対話活動等を行い、全国でできるだけ多くの地域の方々に御安心を持っていただき、文献調査を実施いただけるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)分科員 時間がないものですから、聞いていることにだけ答えてください。
有望地ではないということを確認をいたしました。また、取り組んでいくという表現でしたけれども、文献調査は二つで終わりではなくて、今後も増やしていくという趣旨だったと思っております。
それで、青森県の話に行きますと、六ケ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵センター、現在、二千八百八十本の貯蔵容量に対して、海外に再処理を委託して返還されたガラス固化体、千八百三十本貯蔵されております。
資料の四は、これは青森県と六ケ所村、日本原燃と電事連の協定書であります。下線部を見ていただきたいんですが、それぞれのガラス固化体について、貯蔵管理センターに受け入れた日から三十年から五十年間とすると。だから、これは期限を区切っている。丙は、管理期間終了時点で、それぞれのガラス固化体を電力会社に搬出させるものとするとあります。現在二十五年経過して、あと五年で三十年たつわけです。
そこで、真っ先に三十年を迎えるガラス固化体の量と電力会社はどこか、伺います。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御質問を頂戴しましたものは、恐らく日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの貯蔵管理のことだと認識してございますけれども、一九九四年十二月に日本原燃が地元で締結している同センターの安全協定において定めたものだといたします。
その前提で申し上げますと、日本原燃によれば、初めて海外から受け入れましたガラス固化体というのは、一九九五年四月二十六日に受け入れております東京電力、関西電力、四国電力、九州電力の計二十八本分がございます。これらのガラス固化体が、受け入れた日から最初に三十年が経過するガラス固化体になるというふうに承知しているところでございます。
○高橋(千)分科員 最初、あと五年で三十年を迎えるのが東京電力、関西電力、四国電力、九州電力の二十八本だということになりました。
ですから、この後、一年ごとに、九五年、九七年、九八年ということで、もっとたくさんの電力会社からまたたくさんのガラス固化体が搬入されてくるわけですけれども、海外から戻ってくるわけですけれども、現実に、三十年というのはすぐそこなんだ、しかも、東電ですか、関電ですかということは非常に現実的な問題としてあると思うんですね。
電事連は、搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守するとサイクル協議会の場でもお話をされていますよね。このことを本当に受け止めていただきたい、こう思うんです。
その中で、今度はむつ市の話。
使用済み燃料中間貯蔵施設、RFSは、昨年十一月に国の安全審査に合格をしました。二〇二一年度の事業開始を目指しています。こっちの協定書もつけてありますが。むつ市の場合は、再処理工場が年間処理能力が八百トン。でも、全国からフルで、もう今は止まっている原発が多いですから現実ではないんですが、フルで稼働した場合は使用済み燃料一千トン、その差の二百トン、大体の計算でいうと、中間貯蔵が受け止めるというふうな発想で始まったものだと思っています。ただし、ここは、東電と日本原電が所有している、そこだけの使用済み燃料を受け入れるという約束なわけですよね。
ここに、電事連による共同利用が持ち上がりました。資料の六は河北新報の一月三十一日付ですが、むつ市の宮下市長は、「共同利用 考えられず」と拒否する考えを示したことを報じています。具体的に話が持ち上がったのは昨年十二月。
大臣、直接お話を受けていると思います。電事連が中間貯蔵施設を共同利用したい、この検討を打診した経過と、国はどのように対応したのか、伺います。
○梶山国務大臣 中間貯蔵施設の共同利用につきましては、委員御指摘のとおり、昨年の十二月十七日、電気事業連合会池辺会長から、むつ中間貯蔵施設の共同利用の検討に着手したい旨、御報告をいただきました。その後、十二月十八日に電事連とともに国も青森県、むつ市に事務方を派遣し、国の考え方を説明をさせたところであります。
県と市からは、国としても地元に対してしっかりとした説明を行うことの御要望や、核燃料サイクルに関連する懸念や今後の見通しについての指摘をいただき、これに対する回答の御要望をいただきました。
これらを踏まえて、これまで、県や市との間で事務的に進め方や論点の整理を現在行っているところであります。
中間貯蔵施設の共同利用については、核燃料サイクル政策を進める上で大きな意義があると国の方は考えております。引き続き、関係者の理解に向けて丁寧に説明を行ってまいりたいと思っております。今、提案をしたという段階であります。
○高橋(千)分科員 提案をしたという段階なので、大臣の感想というんでしょうか、認識がないということでよろしいんでしょうかね。
要するに、もう一度伺いますけれども、この問題の背景は、福井県が原発再稼働の前提条件として、関電に対し、使用済み燃料を県外で中間貯蔵する候補地を選んでくれ、それも昨年中にということを要請したわけですよね。だから、関電が困って、むつ市に白羽の矢を立てた。
これは三年前に同じ問題が起こっていまして、二〇一八年二月のこの場で私、質問をしています。そのときは新聞各紙が関電がというふうに書いたものですから、どちらも違いますと、当時、世耕大臣が、いやいや、どちらも、関電も言っていないし、むつ市の方も言っていないということで否定をされておりました。
ですが、私たちはずっとそのことを覚えているわけなんです。そうした経緯もあって、今回は電事連という形で関電救済を考えたのではないか、そう思うんですね。今月、運転四十年を超える関電の美浜原発三号機、高浜原発一、二号機について両町長が再稼働を同意し、関電がむつ市の中間貯蔵センターの共同利用案を示したことで、知事と県議会も議論に着手したと十七日付の日経新聞が報じています。
そもそも四十年を超える原発を延命すること自体、私はとんでもないと思います。だけれども、それ以上に、他県にごみだけを押しつけて再稼働するというのは身勝手過ぎます。許されないと思いますが、伺います。
○梶山国務大臣 二〇三〇年のエネルギーミックスの実現に向けて、関西電力美浜発電所三号機、高浜発電所一、二号機などの四十年超運転も含めて、安全最優先で地元の理解を得ながら再稼働を進めていくことが不可欠であると考えております。
そのため、政府としては、原子力発電の重要性や必要性について丁寧に説明を尽くすなど、地元の御理解を得られるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
なお、県外搬出に関する関係当事者間のやり取りについては、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。先ほど申したことが事実でありまして、共同利用という形での申入れをしたという時点であります。そのことに関しての私のコメントは差し控えたいと思いますが、政府として、使用済み燃料は再処理するという考えの下に、使用済み燃料対策を含む核燃料サイクルを推進することが重要と考えているところであります。
○高橋(千)分科員 エネ庁がむつ市に対して、電事連の副会長と一緒に訪問して説明をしているわけですよね。十二月十七日に電事連の池辺会長から大臣が面会をされたときに、翌日に清水副会長とエネ庁の小澤首席エネルギー・地域政策統括調整官が行っているわけですよ、その場に、むつ市と県庁に。そのときに、やはり、ごみではなくて、サイクル動かすんだから、必ず搬出するんだから、こういうことを言っているわけなんです。
これは、私、ずっと一つのことを言ってきたんです、寿都町から始まって一つのことを言ってきているんです。結局、大臣は、いやいや、ごみじゃないよ、サイクル動かすから大丈夫だよとおっしゃりたいんでしょう。それが物すごく矛盾することじゃないでしょうか。つまり、昨年の核燃サイクル協議会、青森県の知事が求めた中で、大臣は同じことをおっしゃっていますよね、サイクルは堅持すると。だけれども、それはちょっと責任がなさ過ぎるんじゃないでしょうか。つまり、その先が決まっていないのに、はっきりとした見通しがないのに。
つまり、プルサーマルを推進するということは、再処理しなければプールが満杯になる、でも、再処理するだけで終わっちゃうとプルトニウムがたまってしまう、この矛盾を取りあえず目の前からちょっと見えなくするだけの話である。矛盾は募っているんです。その認識、ございますか。
○梶山国務大臣 原子力発電所を半世紀以上利用してきた結果、全国には約一・九万トンの使用済み燃料が存在をしております。これは、原子力発電に対して賛成、反対、いろいろなお立場はあると思いますけれども、現実として発電所に一・九万トンの使用済み燃料が存在をしているということであります。こうした中、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用の観点から、核燃料サイクルを引き続き進めることが重要であると考えております。
また、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムについて、利用目的のないプルトニウムを持たないことの原則を堅持するとともに、プルトニウム保有量の削減に取り組む方針であります。
電気事業連合会は、昨年十二月、新たなプルサーマル計画を公表し、地元の御理解を前提に、稼働する全ての原子炉を対象に一基でも多くプルサーマル導入を検討し、二〇三〇年までに少なくとも十二基でのプルサーマル実施を目指す旨を表明したものと承知しております。
これに基づいて、計画的な形でプルサーマルを一層推進し、プルトニウムの利用拡大に取り組みながら核燃料サイクルを引き続き推進をしてまいりたいというのが政府の考え方であります。
○高橋(千)分科員 二月二日付の河北新報に、政府・与党内にも懐疑論がある、青森のためにサイクルを推進せざるを得ない袋小路に入っている、フィクションを続けるのは無理、そういう声も上がっているというんです。
結局、今、サイクルを回すのは、取りあえずごみをためるわけにはいかないという、見た目の、当座しのぎにしかすぎないんですよ。プルサーマルを動かせば、じゃ、その後のごみはどうしますかと、ずっと問題が続いていくんです。そこに正面から向かっていただきたい、こう思います。
高レベル放射性廃棄物処分場は、これまで全国の原発を五十年間稼働して、六ケ所村などで貯蔵しているガラス固化体約二千五百本、使用済み燃料をガラス固化体に換算すると約二万六千本相当が貯蔵されておって、これを四万本以上埋設することを計画しておりますよね。だから、まだ動かすんだということなんですよ、原発を。
それで、住民の気持ちからしても、住民の気持ちとは、済みません、寿都の住民の皆さんとも懇談してきたんですけれども、まず原発はこれ以上動かさないと言って初めて議論ができるんじゃないかと言われました。全く同じ気持ちなんです。今ある核のごみはいずれ何らかの処分が必要です。それはもうみんな分かっています。だけれども、だからこそ住民に対しても、ごみを増やし続ける、原発を動かし続ける、それで最終処分の議論はできない、そう思いませんか。
○梶山国務大臣 最終処分まで含めた核燃料サイクルというのをしっかりと考えていかなければならないと思っております。
一方で、電力の需要が増える中で、カーボンニュートラルを宣言した中で、今再稼働が可能である原子力発電につきましては、しっかりと動かしていかなければ安定供給というものもおぼつかないのも現実であります。
石炭開発又は原子力についていろいろな御批判があるのも承知をしておりますけれども、そういった中で、二〇五〇年のカーボンニュートラル、大気中に二酸化炭素を出さないためにどうしたらいいのかということを考えると、技術的な手段を一つ一つ減らしていって実現できるとも思わないわけであります。
○高橋(千)分科員 結局、カーボンニュートラルのためには原発を動かす、そういう議論ですかね。その瞬間、発電の瞬間だけCO2を出さないかもしれないけれども、それ以上のたくさんの問題がある。また、その過程の中で、建設の過程の中でCO2は出るんですよ。こうしたことを、やはり向き合わなきゃ駄目ですよ。それはごまかしていると思います。
それで、続けますけれども、最終処分は、自然のウラン原石と同じレベルになるまで十万年とも言われています。人類の進化のスパンから見ても、誰も人間が十万年先まで監視し続けるという発想はないと思います。どのくらいの期間なら人間が責任持てると考えているんですか。一言で言ってくださいね、時間がないですから。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体の放射能というものは、大体千年程度のうちに九九%以上減衰してまいります。その後、その減衰のスピードはゆっくりになりまして、先ほど御指摘がありましたように、自然のウラン原石と同じレベルになるまでは相当の時間がかかるわけでございまして、数万年にわたる人間の生活環境から適切に隔離していくということが必要だということを考えますと、それについては、地上における管理には限界があり、人間による直接の管理を必要としない処分方法としての地層処分というものの採用が国際的な共通認識となっている、このように考えてございます。
○高橋(千)分科員 ちゃんと聞いたことに答えてくださいよ。
NUMOの方に聞きました。人間が管理できるのはせいぜい百年でしょうと。それでいいですね。
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
百年、我々の目の見える、見通しの利く範囲では百年、これも一つの考え方かと思います。
将来のことを想定することはなかなか難しいわけですけれども、今できることについての技術的な対応はしっかりと進めたいと考えてございます。
○高橋(千)分科員 何万年もの管理の中で、人間が責任を持てるのは百年なんですよ。そこから先、人間が手をつけなくても大丈夫だというところを選ぶ、大変な問題なんです。そのことをちゃんと分かってもらわないと。
今、共同通信のアンケートでも、全国の市区町村の八割が反対だと言っています。また、今、寿都町を包囲する後志管内の町村の中では、核抜き条例、持ってこないでくださいという条例を制定した村もありますけれども、島牧にもあるけれども。実際にそういう運動が広がっています。そこをやはり無視しないで、周辺の住民が反対だと言っている、地域の中でも分かれている、これを住民合意なしに進めてはならない。
残念ながら時間が来てしまいましたので、もう少し質問したかったんですけれども、ここで、要望して、終わります。
ありがとうございました。