福島県沖地震 高橋議員が迫る 衆院予算委
日本共産党の高橋千鶴子議員は22日の衆院予算委員会で、13日に発生した福島県沖地震の支援強化を求めるとともに、東日本大震災の被災者の心のケア対策を強化し、暮らしと生業(なりわい)の再建をはかるよう迫りました。
地震翌日に福島県二本松市の岳(だけ)温泉街を調査した高橋氏は、旅館の建物全体にひびが入り、張り替えたばかりの床が隆起するなど深刻な被害の状況を紹介。「コロナ禍など被害が重なっていることを考慮した支援を求める」と強調しました。菅義偉首相は「被害が重なっており、被災者に寄り添っていく。19日に支援策を速やかにまとめるよう指示を出した」と答弁。梶山弘志経済産業相は、コロナ禍で新規融資の活用など最大限配慮するよう政府系金融機関に要請しており、「今回の地震でもう一度対応するよう文書を発出したい」と語りました。
高橋氏は「東日本大震災は10年で区切りをつけられない」と指摘。災害公営住宅での孤独死者数が仮設住宅を上回るなど公営住宅のコミュニティーづくりが課題だとし、ケアが必要な人を見つけて対策につなげるため「実態調査を行うべきだ」と強調。平沢勝栄復興相は「(震災関連死は)大変深刻だ」と述べるも、実態調査には言及しませんでした。
高橋氏は、被災者が心を病む背景には経済的な不安が大きいと指摘。「私はいつも『被災者が主役の復興』と言っているが、ハードだけでなく暮らしや生業の再建がなければ本当の復興ではないからだ。同じ認識にたって10年目以降の復興を」と迫りました。菅首相は地域コミュニティー再生など「ソフト施策に注力したい」と答弁。高橋氏は「ソフトは目で見えない。国として実態調査を行った上で対策を」と改めて要望しました。
(「しんぶん赤旗」2021年2月23日付より)
論戦ハイライト
原発事故から10年 「廃炉」の定義さえあいまい
衆院予算委 高橋議員が追及
22日の衆院予算委員会で、東日本大震災・原発事故から10年となるのを前に、東京電力福島第1原発の廃炉についてただした日本共産党の高橋千鶴子議員。「廃炉」の定義さえ曖昧なまま、完了まで「30~40年」と区切る国の姿勢を批判しました。
未提出な計画案
高橋氏は、「国の定めた中長期ロードマップ(行程表)には『廃止措置終了』まで30~40年とあるが、1~4号機については廃止措置計画が未提出だ。何をもって廃止措置だと考えているのか」と追及。東電の小早川智明社長は「地元の関係者や国などと相談する」と述べるにとどまりました。
高橋氏は、ロードマップでは、デブリ(溶け落ちた核燃料)の取り出し開始時期を「2021年内」としていると指摘。取り出し作業の前には訓練施設など関連施設の整備が必要で、一つずつ原子力規制委員会の認可が求められるとして、計画の実効性を疑問視。「関連施設が少しでも建てば“開始”と言うのか。欺瞞(ぎまん)だ。できないことはできないと、国民にきちんと説明すべきだ」と主張しました。
高橋氏は、原子力規制委員会の調査(1月26日公表)で、原子炉格納容器の上ぶたに約2京~4京(京は兆の1万倍)もの放射性セシウムが付着していると判明したことについて、「途方もない線量だ。規制委の更田豊志委員長は『廃炉にとって極めてインパクトの強い情報だ』と述べた」と強調。「デブリは、その10倍以上の濃度があり、測ることも近づくこともできない」と指摘しました。
「期限変えない」
その上で、上ぶたや燃料デブリは高レベル放射性廃棄物であり、取り出し後の置き場や処分方法などは決まっていないにもかかわらず、「40年の期限は変えない」とした梶山弘志経済産業相の答弁(10日、立憲民主党の阿部知子議員の質疑)を批判しました。
高橋 答弁はおかしい。政府が期限を区切るから、東電ができないものを「できない」と言えない。
小早川 「30~40年」は大きな目標値として認識している。
高橋氏は最後に、原発事故で福島県から千葉県に避難した住民の集団訴訟で国の責任を認めた東京高裁判決を「国は重く受け止めるべきだ」と主張しました。各地の避難者訴訟で「全く反省のない国の姿勢が幾重にも原告を傷つけてきた」と批判。群馬訴訟に国が提出した準備書面は、「自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない」という驚くべき表現だと告発し、政府の共通認識かとただしました。
高橋 事故を防げず、廃炉の見通しも示せない国に、被災者を非難する権利があるのか。
菅首相 原発事故を原因に損害が発生したと法的に認められるか否かの観点から提出したものだ。
高橋氏は、自主避難者を傷つける言動への反省がない政府の態度を、「(書面の)言葉は原告だけでなく、帰れないと思っている全ての被災者に向けられたものだ」と重ねて批判しました。
(「しんぶん赤旗」2021年2月23日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
冒頭、委員長に要求します。
今回の総務省接待疑惑について、総務省が本日報告した会食の資料は、総務審議官を始め情報流通行政局の幹部職員が軒並み、利害関係者である衛星放送関連会社から接待を受けていたものが分かり、九〇年代の銀行による大蔵省接待汚職にも匹敵するものであります。
重大なのは、接待した側が菅総理を応援してきた企業であり、その子会社の取締役として、菅総理が総務大臣を務めていたときの大臣秘書官であった長男の正剛氏が関わっていることです。
接待攻勢によって放送行政がゆがめられていたのではないかという重大な疑惑を解明するため、接待した側の、東北新社の二宮、三上、木田、そして菅正剛氏の各氏の国会招致を求めたいと思います。
○金田委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をしてまいります。
○高橋(千)委員 今月十三日深夜、最大震度六強の福島沖地震が発生しました。
一週間たって、今分かっている分で、住家被害は二千八百八十五戸、負傷者百六十四名、被害額百五十四億円といいます。まだ途中だと思いますが、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
総理に、全容の把握に努めるとともに、被災地は大震災、原発事故からの復興途上であり、二年前の台風被害、コロナ禍、そして豪雪などと続いています。被害が重なっていることを考慮した国の支援策を求めたいと思いますが、どうでしょうか。
○菅内閣総理大臣 十三日に発生した福島県沖を震源とする地震に関し、被災された全ての皆さんにお見舞いを申し上げます。
今回の地震は、東日本大震災の発生から十年の節目を迎えようとしている被災地を襲いました。被災地では、令和元年東日本台風でも甚大な被害を受け、さらに現下の新型コロナウイルスの影響で経済状況が悪化するなど厳しい状況にあり、心が折れそうだという声も届いております。
今回の地震により、被災地の方々の復興に向けた希望が失われるようなことがあってはならないと思っています。一刻も早く、被災者に寄り添った支援を政府として行っていきたいと考えます。
十九日の閣僚懇談会では、小此木防災大臣を中心に、まずは早急に被害状況を把握するとともに、支援策を速やかに取りまとめるよう指示したところです。
被災地の皆様が希望を持って再建に取り組めるように、スピード感を持って行っていきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。言葉どおりの対応を是非お願いしたいと思います。
例えば、屋根瓦が落ちたとか天井が抜けたなどの住家被害は一部損壊と評価されることが多いです。しかし、被災者生活支援制度や住宅の応急修理の対象とならなくても、一昨年の山形県沖地震では自治体がつくる屋根瓦のリフォーム支援制度に国交省の防災・安全交付金で応援する、また翌年の千葉の台風被害でもこれが応用されました。こうした柔軟な対応で、救済されない方がないように知恵を出していただきたい、このように思います。
私は、十四日の日曜日、参議院の岩渕友議員とともに高速道路から福島入りをしました。二本松市の岳温泉、磐梯朝日国立公園、日本百名山の一つ安達太良山の麓にある温泉です。
最初にお話を聞いたおかみさんは、東日本大震災のときよりも大きかったとおっしゃいました。建物全体にひびが入り、大判の窓ガラスが割れ、コロナ休業中に張り替えたばかりの床も隆起しておりました。次に伺った旅館は、ジョイント部分がことごとく壊れ、厚い防火扉がばたんと倒れました。県内、市内のお客様が数十名どちらも宿泊しておったんですが、私たちが尋ねた翌日十五日からは県民割が始まるという中での被害に、悔しさは言葉にならないと思いました。
そこで、まず経産大臣に伺います。
コロナ対応による融資の返済が二か月後に迫っております。再建への思いをくじかないよう、返済猶予をすべきですが、伺います。
また、融資ではない新たなグループ補助金や、台風十九号のときに活用された自治体連携型補助金など、中小企業支援策をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○梶山国務大臣 先般の福島県沖を震源とする地震により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小・小規模事業者の資金繰りを支援するために、実質無利子無担保かつ最大五年間元本据置きの融資を実施しているところであります。
影響の長期化を踏まえて、政府系、民間金融機関等に対して、麻生大臣とともに、返済期間、据置期間が到来する既往債務の条件変更について最大限柔軟に対応すること、そして追加融資も含めた新規融資の積極的な実施、活用について最大限の配慮を行うこと等を累次にわたり要請をしているところであります。
各金融機関においてしっかりと対応をいただいていると認識をしておりまして、まずはお近くの支店に御相談をいただきたいと思いますし、今回の地震においても更にまた、もう一度そういう対応をできるようにということで文書を発出したいと思っております。
また、十九日に、先ほど総理からもお話ありましたけれども、防災大臣を中心に早急に被害状況を把握せよという指示がありました。そして、支援策を速やかに取りまとめるように指示がありました。この指示を踏まえて、被災地の方々の復興に向けた希望が失われることのないように、被害状況を把握するとともに、取り得る支援策について全力で検討してまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 今紹介したところだけではなく、被害に遭われた皆さんに届くようにと思って質問をさせていただきました。
もう一つ、旅館は、コロナ特例で雇用調整助成金を使ってきました。やはり雇用の維持、絶対必要なんです。今、再建に向けても、従業員の皆さんに活躍してもらいたいと思っている、その続きをやってもらいたいということでは、雇用調整助成金、コロナ特例と同じ水準のものが是非、あるいは延長かという形で対応していただきたい、雇用の維持のために使わせていただきたいと思いますが、厚労大臣に伺います。
○田村国務大臣 御承知のとおり、この雇用調整助成金、今特例という形で、一日上限一万五千円ということで、助成率十分の十でありますが、これは今現状ですと四月末まで、五月からは段階的に今の制度を本則に戻していくということで、いきなり戻しませんけれども、そういう中において、例えば非常に業績の悪い企業、これは、前年、前々年と比べて、三か月平均が三割以上売上げが下がっているような企業、それから、まだ感染が拡大している地域、こういうところには、特例を下げるというよりかは、今までのことを勘案しながらのもう少し手厚い特例という形になっています。
今回、今委員おっしゃられた、福島等々の災害を受けた地域ですが、コロナということであればこれが受けられる、今も受けられるわけでありますけれども、自然災害ということになりますと、自然災害特例という形になりまして、例えば激甚災害でありますとか、その他要件、この条件をクリアすれば、その自然災害の特例が受けられる。もちろん、コロナに関わっておればコロナ特例が受けられるということであります。
○高橋(千)委員 御承知のようにとおっしゃいましたが、御承知で聞きました。
といいますのは、激甚災が必ずしも対象にならないのではないかと、防災大臣のコメントもございましたし、そうでなくても、最初に総理に確認をしましたように、災害が続いているところの被災地の現状に合わせた特例をお願いしたいということをお話をしましたので、今日はこれ以上は申しませんので、是非お願いをしたいと思っております。
次に進みます。
十三日の地震で三・一一のことを思い出した方は多かったと思います。間もなく東日本大震災と原発事故から十年です。総理は復興の総仕上げとよく言いますが、被災者は十年で区切りをつけることはできないのです。
共同通信アンケートによれば、つらいと感じることが日常的にある人が三割に上ります。震災直後はやることがたくさんあって押し殺していたが、今になって感情があふれると、陸前高田の六十代の女性。この先どうなるのか、ふるさとに戻れるのかと思い、眠れないことがある、こうした、毎日新聞に記事がございました。
しかし、私自身も、昨年の秋に岩手県山田町の災害公営住宅でお目にかかった女性は、にこにこしながらお話をしてくれたんですが、独り暮らしでこの先どうなるか心配で、髪の毛が全部抜けてしまったと打ち明けられたことが忘れられません。
総理に伺いますが、心のケアをきめ細かくとおっしゃるわけですが、被災者の現状をどのように捉えていらっしゃるか、この十年間で震災関連死がどのくらいいたのか、そこにどんな特徴があると思うのか、御認識を伺います。
○平沢国務大臣 数字の方ですので、まず私の方から答弁させていただきたいと思います。
震災、この十年間の関連死の数ですけれども、お亡くなりになられた方は、令和二年九月三十日時点で三千七百六十七人でございます。被災三県別で見ますと、岩手県が四百六十九人、宮城県が九百二十九人、福島県が二千三百十三人でございます。それから、孤独死について被災三県で見てみますと、令和元年十二月末時点で、応急仮設住宅において孤独死でお亡くなりになられた方は二百四十三人、それから、災害公営住宅においてお亡くなりになられた方が二百五十五人でございます。また、震災関連の自殺につきましては二百四十人でございまして、そのうち福島県が約半数の百十八人を数えております。
いずれにしましても、大変深刻でございますので、今、生活の再建の後押し、それから自治会形成などのコミュニティーの再構築、それから人と人とのつながり、生きがいづくりや心の復興、それから生活支援相談員による見守り、心のケアセンターによる相談支援、こういったいろいろな施策を講じまして、何とかこういったことを防ごうということで取り組んでいるところでございます。
いずれにしましても、これからも被災者に寄り添ったきめ細やかな支援に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
○高橋(千)委員 特徴が何かということを伺ったわけです。深刻という言葉がありました、それは当然です。
これだけいらっしゃるということで、パネルを見ていただきたいんですが、突出しているのは福島の関連死が多いということです。長引く避難生活、しかも、何度も避難先を変えたことによる影響は明らかだと思います。
また、仮設住宅での三県の孤独死に比べて、災害公営住宅に移ればそれで終わりではない、むしろ多くなっている、このことの深刻さをやはり受け止めていただきたいと思うんです。仮設住宅のときは縁側に腰かけて声をかけ合ったりしていた、そういうときの方が独りではないと思えてよかったこともあったんだ、そういう中で今を迎えているということを分かっていただきたいと思います。
被災三県では飲酒量が増加し、飲酒相談が増えています。宮城では二・六倍、福島は一・七倍、ストレスからアルコール依存も増えているとの報道もありました。毎日の二月十一日付です。
昨年の春、仙台市のある公営住宅で、自治会の皆さんからお話を伺ったときに、無職になった青年がアルコール依存となり、当番に来ないと思って訪ねてみたらもう孤独死していたと自治会の方が述べていました。自治会の役員も被災者ですから、この現実に直面するのは本当に酷過ぎるということなんですね。
実は、宮城県が五年間続けてきた被災者の健康調査を今年度限りで終了するといいます。この調査の目的はこう書いています。仮設住宅から災害公営住宅に入居するに伴って様々な健康問題の発生が懸念されることから、入居者の健康状況を把握し、要フォロー者を必要な健康支援事業に結びつけるとともに、施策展開の基礎資料とすることとあります。項目を見ますと、病気だとか要介護状態、それは当然聞いていますが、そのほかに、災害を思い出して気持ちが動揺することがある、眠れない、朝又は昼から飲酒、お酒を飲むことがある、相談相手がいないなど、まさに兆候を捉えているんですよね。
今こそケアが必要な人を見つけ、今必要な対策につなげなければなりません。改めて、災害公営住宅の入居者や、あるいは高台移転を果たした人も、あるいは解除されて戻った方も、被災者の健康実態調査、国として行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○平沢国務大臣 被災者の心のケアにつきましては、当然これは大変大事なことでございまして、今、被災三県では、心のケアセンターというのを設置しておりまして、その運営について国としても全面的に支援しているところでございます。
その相談活動の中で、被災者一人一人の心の問題それから背景を把握しながら、被災者にきめ細かく助言や支援を行ってきているところでございますけれども、こうした活動により把握された被災者の心の問題の実態について、国においても集約、調査分析を進めているところでございます。
今後とも、居住環境の変化などに伴いまして、被災者がいろいろと抱える様々な心の問題の実態把握に取り組みながら、被災者に寄り添った支援を引き続きしっかり取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○高橋(千)委員 心のケアセンター、これを三県でやっているのはよく承知しています。頑張ってくださっているのも分かります。でも、待っているだけじゃ駄目なんですよ。相談件数でいうと、下がっているわけ、当然。だけれども、私が言っているのは、見つけてくださいということを言っているんです。福島では、十三市町村の避難区域に指定されたところに、国として、こころの健康度・生活習慣に関する調査をやっておって、県立医大と協力して、回答を見て電話をかける、こういうことをやっています。だから、待っているだけじゃ駄目なんだということを真剣に考えていただきたい。
私が重要と思うのは、これ以上最悪の事態を避けたいと思うからなんです。災害公営住宅の入居者のうち、特別家賃軽減対象になる、つまり月収八万円未満の方は約七割です。単身世帯は約三割です。高齢化とともに増えています。今後年金が増える見通しもないのに、家賃だけは補助がだんだん縮小されるので上がっていくんですね。災害公営住宅から出ていかなければならないのかと不安を抱えていることを御存じでしょうか。心を病む背景には経済的な不安も大きいんです。
私はいつも、被災者が主役の復興と言ってきました。それは、道路や住宅、防潮堤などハードが立派に整備されても、人々の暮らしやなりわいが再建できなければ本当の復興とは言えないと思うからです。
総理も同じ認識でしょうか。同じ認識に立って十年目以降の復興に取り組んでいただきたい。お答えをお願いします。
○菅内閣総理大臣 被災地の復興に当たっては、防災や産業、生活の基盤としてのハードを整備した上で、被災者支援や産業、なりわいの再生のためのソフト施策も同時に進めてきたところです。
今後は、特に地域コミュニティーの再生や事業者の販路開拓等の支援などソフト施策、こうしたものを注力して、きめ細かな対応を行っていきたいと思います。これにより、被災者の方々に安心して暮らしていただけるよう、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思います。
○高橋(千)委員 ハードと違ってソフトというのはなかなか目で見えない、結果がよく見えないですから、なので、私が何度もお話ししているように、調査を国として是非取り組んでいただいて、それに応えた施策を、やはり今経済支援が必要な人が多いんだよと見えてきますので、是非お願いしたい。時間的にもかなり厳しい状態になっていると思いますので、重ねてお願いをしたいと思います。
次に、今日は東電の小早川社長に御出席をいただいています。
東電福島第一原発事故からも十年であります。十三日の地震の影響で、原子炉格納容器の圧力低下ということが報じられています。長く続く廃炉のプロセスの中で、こうした災害時にも備えながら進めていくということは本当に厳しい環境だと思いますが、だからこそ、その都度きちんと説明してほしいということを求めたいと思うんです。
今日は、廃炉のプロセスについて伺います。
国が定めた中長期ロードマップには、廃止措置終了まで三十から四十年間とあります。もう十年過ぎているわけです。そもそも、一から四号機については廃止措置計画自体がまだ提出されておりません。それを確認したいのと、一体何をもって廃止措置だとおっしゃるのか、考えていらっしゃるのか。
それからもう一つ、ロードマップでは、今年中に、二〇二一年十二月と書いていますよね、今年中に燃料デブリの取り出しを開始とあるんですね。でも、取り出しするためには、この資機材を置く施設だとか訓練施設だとか様々な施設を造らなくちゃいけなくて、一つ一つ規制委員会の認可が必要なんですよ。これ、全部、今年中に、年内開始は無理ですよね。
○小早川参考人 東京電力ホールディングス社長の小早川でございます。
まず、当社福島第一原子力発電所の事故から間もなく十年が経過いたしますが、今なお福島県の皆様、広く社会の皆様には多大なる御負担と御心配をおかけしておりますことにつきまして、改めて深くおわびを申し上げます。
福島第一原子力発電所の廃炉作業は、世界でも前例のない取組だと認識しております。その上で、当社といたしましては、中長期ロードマップで示された三十年から四十年後の廃止措置終了というものを目指し、復興と廃炉の両立により福島の復興が進められるよう、廃炉作業を安全かつ着実に、計画的に進めてまいっているところでございます。
また、先生からの御質問にありました福島第一原子力発電所の廃止措置の終了時の状態につきましてですが、廃炉作業の進捗を踏まえながら、地元の方々を始めとする多くの関係者の皆様や国などの関係機関の方々としっかり相談させていただきながら検討を進めていくことになると考えております。
また、廃炉の工程につきまして御質問がございました。
当社は、中長期ロードマップを達成するため、今後十年間の廃炉全体の主要な作業プロセスにつきまして、二〇二〇年三月に、廃炉中長期実行プランとしてお示しをさせていただいております。これを着実に実行することが当社の責任だと考えております。
そうした中で、燃料デブリの取り出し等の進捗や、シールドプラグの高濃度汚染の状況の程度が判明するなど新たな情報も出てきておりますが、こうしたものもしっかりと反映し、今後、更なる調査研究を進めながら、ステップ・バイ・ステップで必要に応じて柔軟に見直していきながら、安全かつ着実に計画を進めてまいる所存でございます。
私からは以上でございます。
○高橋(千)委員 結局、最終的な姿がよく分からないのと、関係機関と着実に進めたいという今の答弁は、昨年五月に私が復興特で小早川社長に質問したときと同じ答弁なんですね。本当に残念に思います。
ロードマップが今注目されているきっかけは、今少しお話ありましたように、先月の二十六日、原子力規制委員会が調査報告書案をまとめた中に、原子炉格納容器の上蓋に高濃度の放射性セシウムが付着していることが判明したと書いたことなんですね。二号機の蓋の内側に約二京から四京ベクレル。この京というのは兆の一万倍ということです。途方もない線量で、毎時十シーベルト、一時間で亡くなってしまう、人が亡くなるレベルといいます。
しかし、燃料デブリというのは、その十倍以上の濃度があって、近づくことも測ることもできない、大変なものなわけですよね。なので、規制委員会の更田委員長は、そのデブリ、下にあると思っていたデブリが上に上がってきた、これは、五階のフロアで、人間があそこで、東電の人たちがいたんですからね、大変なことなんです、そのことを捉えて、廃炉にとって極めてインパクトの強い情報だと述べました。
上蓋もデブリも高レベル放射性廃棄物です。取り出すとしたら一体どこに置くのか。処分方法はもちろん決まっていません。
梶山大臣は、十日の本委員会で、立憲民主党の阿部知子委員に聞かれて、困難はあるが柔軟に取り組み、四十年の期限は変えないと繰り返し答弁しました。柔軟って何ですか。おかしくありませんか。
社長、政府が期限を区切ったから、東電はできないものはできないと言えないんでしょうか。これは本当に後で困りますよ。率直に、無理なら無理と国民に説明すべきではありませんか。
○小早川参考人 先ほどからの繰り返しになりますが、シールドプラグなど高濃度汚染の状況の程度が判明するなど新たな情報が出てきておりますが、こうした情報も含めて、今後、更なる調査研究を進めながら、ステップ・バイ・ステップでしっかりと対応してまいりたいと思います。
中長期ロードマップで示された三十年から四十年の廃止措置終了というのは、私どもとすれば、地域の復興と廃炉を両立するという大きな目標値として認識しております。こうした中で、東京電力グループ一丸となって、廃炉を安全かつ着実に計画的に進めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○高橋(千)委員 なぜ言えないんでしょうか。これまでも、本当に、誠実に言わないできたからこそ、大変な思いをみんながしているんじゃないでしょうか。
簡単なことを聞きますよ。
この燃料デブリの取り出し、今年中にと言っていますけれども、もしかして、これらの施設、さっき言ったように、規制委員会の認可が必要なんですよ。じゃ、訓練施設とありますけれども、訓練施設が建ってから訓練を始めるわけでしょう。一体何をもって開始と言うんですか。建物がちょっとでも建ち始めたら開始と言うつもりですか。
○小早川参考人 質問にお答えいたします。
先ほど御説明しましたとおり、廃炉中長期実行プランに基づきまして、燃料デブリの取り出しなどは、今年度、計画させていただいておりましたが、これは既に公表済みの情報ですが、コロナの影響で二号機の試験的取り出しは二〇二二年度、一年遅れというふうになっております。その他の本格取り出しに向けても現在準備作業を進めているところでございます。
○高橋(千)委員 コロナの影響でというのはイギリスのロボットアームの遅れのことを指しているんだと思いますが、それを含めてもあと一年でこれを全部やると。やはり私が聞いたことにはちゃんと答えていないと思いますよね。少しでも建ったら開始になるのかということになると思います。それをやはり私は欺瞞だと思うんです。できないこともちゃんと国民に話して、だから国民が、どうしていいかとみんなが悩んでいるわけでしょう。汚染水だけの問題じゃないんですよ。高レベルなんですよ。このことを重ねて指摘をしたいと思います。
こうした中で原発訴訟が続いているわけですが、十九日、東電福島第一原発事故避難者の集団訴訟、いわゆる千葉訴訟に対する東京高裁判決が出されて、国の責任を認めました。二〇〇二年に国の地震調査研究推進本部が公表した長期評価によれば、マグニチュード八クラスの大地震が起こり得ると予想ができたこと、国が事業者に対策を求めていれば津波による全電源喪失というこれほどの重大な事故を防ぐことができたと明言をされました。国はこの判決を重く受け止めるべきです。
問題は、どの訴訟においても国の姿勢が幾重にも原告を傷つけてきたということです。
このパネルを見てください。
これは群馬訴訟で国が出した準備書面の抜粋です。この枠で囲んでいる太字のところを読みます。自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない。これは言わんとすることは、避難する必要もないくせにその区域から避難した人たちによって、残った避難しない住民が心情を害した、それどころか国土に対する不当な評価だと言っているんですよね。驚く言いぐさではありませんか。これが政府の共通認識ですか。事故を防げなかっただけでなく廃炉の見通しも示せない国が、被災者を非難する権利がどこにありますか。総理に伺います。
○平沢国務大臣 この問題については訴訟の担当省庁から、御指摘の準備書面は、この賠償の在り方をめぐって国と東京電力に対して起こされた訴訟において、福島第一原発事故を原因として損害が発生したと法的に認められるかどうかという因果関係の観点から、国として提出したものであるというふうに聞いています。
いずれにしましても、帰還や生活再建の円滑な推進に関して、復興庁としても被災者に寄り添った対応をこれからもしっかり行っていきたいと考えております。
○高橋(千)委員 総理、お願いします。
○菅内閣総理大臣 今回の事故により生じる原子力損害に関しては、東京電力、適切な賠償が行われることとなっております。
御指摘の準備書面は、この賠償の在り方をめぐって国と東京電力に対して起こされた訴訟において、福島第一原発事故を原因として損害が発生したと法的に認められるかどうかという因果関係の観点から、国として提出をしたものであります。
一方、被災地から避難せざるを得なかった方々の生活が長期化する中で、そういった皆さんに寄り添った支援が重要であると考えます。公平かつ適正な賠償とともに、帰還や生活再建を円滑に進めることができるよう、関係機関が連携して引き続き必要な支援に取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 この言葉は原告だけに向けられた言葉じゃないんですよ。帰れないと思っている全ての被災者に向けられた言葉です。そのことを本当に受け止めてください。
終わります。