国会質問

質問日:2021年 2月 8日 第204国会 予算委員会

高齢者施設 社会的検査拡充を/富裕層よびこみ固執

公立・公的病院の統合・削減やめよ

高橋議員 国に迫る 衆院予算委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は8日の衆院予算委員会で、新型コロナウイルス対策で高齢者施設での社会的検査の拡充を求めるとともに、医療体制が逼迫(ひっぱく)する中での公立・公的病院の統合・病床削減はやめるべきだと迫りました。

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=8日、衆院予算委

 高橋氏は、高齢者施設や医療機関でクラスター(感染者集団)が相次ぎ、死者が急増していると指摘。2日の政府のコロナ対策分科会が高齢者施設の職員への定期的検査の実施を提言したものの、緊急事態宣言下の自治体に限られると批判しました。「政府は宣言の解除も検討しているが、クラスターは全国で起こっている。対象地域をしぼるのではなく広げるべきだ」と迫りました。

 田村憲久厚生労働相は「検査能力と費用の問題もあるが各都道府県にお願いする」と答弁。高橋氏は「行政検査が1日14万件の能力といいながらその半分もできていない。今、キャパ(能力)を言うのか」と迫り、「必要なところに広げる立場が問われている」と述べました。

 田村厚労相は、政府が再編統合・病床削減の対象として名指しする公立・公的病院412施設のうち半数がコロナ患者の受け入れが可能で、146施設は実際に受け入れていると明らかにしました。高橋氏は、政府が消費税財源をあてて病床削減支援の基金を全額国費で補助する法案を今国会に提出しているとして、「自宅療養で亡くなる方が相次ぐ中、なぜ病床削減か。しかも消費税で」と追及。病床削減は中止し、余裕ある医療提供体制の確保に全力を尽くすよう求めました。

 田村厚労相は「人口構造が変わる中で統合や削減するものだ」と従来の説明を繰り返し、正当化しました。高橋氏は、地域医療構想が目指すものは医療を削減して、その受け皿を地域や介護に押し付けるものだと指摘。コロナ禍で医療機関や自宅で対応できず、高齢者施設で感染拡大が起こっており、「地域医療構想の行き着く先が見えているようなものだ」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2021年2月9日付より)

高橋議員「GoTo」追及 衆院予算委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は8日の衆院予算委員会で、新型コロナウイルス感染拡大防止に逆行する「Go To トラベル」事業や、新型コロナ前からの富裕層向けの超高級ホテル誘致支援に固執する菅政権の姿勢を追及しました。

 政府は新型コロナ収束後に実施するとしていた同事業を強行し、感染が拡大する中でも固執してきました。高橋氏は「見切り発車や(新規感染の)波が高くなった中でも、なかなか止めなかったことが結果として経済に影響を与えたのではないか」と追及。菅義偉首相は「地方経済を支えたのは事実だ」と述べるのみでした。

 高橋氏はトラベルの強行で混乱や観光そのものへの不信を招いたのは不幸だと指摘。菅首相が2030年に外国人旅行客を年間6000万人とする目標を掲げていることに触れ、「いったん立ち止まるべきではないか」と迫ると、赤羽一嘉国土交通相は「インバウンド目標は変えない」と強弁しました。

 政府は感染者が過去最多を日々更新していた昨年10月に「上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会」を立ち上げ、12月24日まで会合を開催。訪日富裕層の誘致拡大に向けた議論を進めています。

 高橋氏は同委委員のデービッド・アトキンソン氏が自著で富裕層向け超高級ホテルの誘致が必要だと強調する一方、日本人が大切にするおもてなしや地域を支えてきた旅館・ホテルは「生産性が低い」などと切り捨てる発言をしたと指摘。菅首相が世界水準の超高級ホテルを50カ所新設すると強調していることをあげ、「アトキンソン氏と同様に古くからの旅館やホテルは淘汰(とうた)されてもやむなしという考えか」とただしました。

 菅首相は「いろんな種類の旅館・ホテルがあっていいが、高級ホテルが日本に少ないことも事実だ」などと答弁。高橋氏は「コロナ禍で進めることか」と厳しく批判しました。
(「しんぶん赤旗」2021年2月10日付より)


ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 世界の新型コロナウイルス感染者数は一億五百万人を超え、死者も二百三十万人を超えております。日本でも、感染者は四十万人を超えました。お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、療養中の皆様にお見舞いを申し上げます。
 今日から緊急事態宣言は延長になりました。総理が本当に国民の命と暮らしを守りたいと思うのなら、感染拡大を抑え込むこと、そのためにはもっと早く決断するべきでした。
 昨年二月六日の本委員会で、私は、武漢が閉鎖されたのは一月二十三日、それまでは自由に往来していたこともあり、既に市中感染があるはずであること、いわゆる武漢縛りや、発熱があっても四日待てといった受診の目安により検査数が絞られていたことを指摘しました。受入れ可能な病床数を政府は把握しているのか、医療資器材の備えはあるのか、ただしました。
 仙台市で老人福祉施設をしている方が、こうおっしゃっていました。コロナ禍で一年、初めての出来事で戸惑いながらずっとやってきた、東日本大震災のときと似ている、正解のないまま頑張ってきたし、職員は、自分がウイルスの媒介とならないように、絶えず緊張とストレスの中で働いてきたというものです。
 総理、この言葉をどう受け止めますか。未知のウイルスであり、治療法もワクチンもありませんでした。最初から正解がないからこそ、当初の判断、対応が遅れ、感染拡大に歯止めをかけられなかったことを率直に認めたらよいのではありませんか。


○菅内閣総理大臣 新型コロナとの戦いが始まって約一年、私自身、官房長官として、そして内閣総理大臣として、最前線で戦ってきました。
 特に総理大臣になってからは、まさに国民の皆さんの命を、暮らしを守り抜く最高責任者として、連日、コロナ対策、感染拡大防止のために、いろいろな方からお話を伺い、そしてまた感染状況を把握し、対策による国民の皆さんの生活やなりわい、こうしたものに思いをはせながら、適切な判断を行い、必要な対策を講じてまいりました。
 そして、私自身、一月四日の日に、緊急事態宣言を発するということを表明をさせていただきました。状況を見るときに、十二月二十三日の段階では、まだ宣言を出す状況ではないという専門家の御意見でした。そして、一月四日に、私自身が緊急事態宣言を記者会見の中で発表をいたしました。そのときに、その翌日に、一月五日に、まさに今発出する時期だと専門家の皆さんからの提言もいただいております。
 結果的には、東京を始め全国の感染者数はそれ以後大きく減少し、緊急事態宣言を発出した週と先週を比較すると、新規感染者数は六割以上も減少しています。これは、飲食を中心にする今回の対策が効果を上げているものと考えます。
 私自身、この宣言をいつ出すかについて、悩みに悩み、苦しみに苦しむ中で、自分で判断をさせていただきました。後手後手という批判があることも十分承知をしています。
 ただ、これを宣言をすることによって、多くの国民の皆さんにいろいろな制約をお願いをせざるを得なくなるわけであります。この特措法が成立したときには、とにかく徹底をして、慎重な上にも慎重にしてこの緊急事態宣言をするようにという附帯決議もついています。また、専門家の皆さんに相談するようにという、そうした附帯決議もついています。そういう中で、私自身が判断をして、今日に至っております。
 とにかく、国民の皆さんの協力をいただいて、一日も早く感染拡大を防止、阻止したい、その思いであります。


○高橋(千)委員 私の質問を全然聞いていないんですよ、総理。
 緊急事態宣言のことを聞いているわけじゃありません。会見はもう十分聞きました。いろいろ悩みながらとおっしゃいました。それも会見でおっしゃいました。
 私は、そうじゃなくて、初めから正解はないんだとチャンスを与えましたよ、私、今。最初から正解がないんだから、一年たったら、いろいろなことはあるけれども、戸惑って判断を間違ったことや対応が遅れたことだってあるだろうと。何でそれを最初から適切だと言うんですか。専門家の意見を聞かないで学校を一斉休校しちゃったりとか、様々あったじゃないですか。その一つ一つを、全く適切だったと、そういう議論をしているんじゃないんですよ。そこから始まりましょう、誰がやったって最初は分からなかったですよねと、そこからスタートしたんです。だから、そこが伝わらないというのが問題なんですね。
 ちょっとこれはもう一回後で聞きますから、総理、よく考えを整理してくださいね。きちっと認めることが大事だということなんですよ。緊急事態宣言がいいか悪いかという話はしていません。そこはしっかりと聞いてください。
 進みますけれども、昨日の毎日新聞の一面でも、東京都の、昨年十二月から今月五日までに亡くなった方五百七人のうち、高齢者施設での感染、死亡が急増していると報じました。病院で感染して亡くなった方は百四十五人、それに対して高齢者施設は百三人、二〇・三%で病院に次ぐわけですけれども、一月中旬以降に一気に増えているといいます。この間、自宅療養中の死亡も大きく問題となってきましたが、まさに矛盾が一気に噴き出してきたと言えるのではないでしょうか。
 これまでも、社会的検査ということで、私たち、求めてまいりましたが、医療機関はもちろん、接触が避けられず、かつクラスターが多数起きている高齢者施設については国の責任で定期的に検査すべきと考えますが、厚労大臣に伺います。


○田村国務大臣 もう御承知のとおり、我々も同じ思いの中で、各都道府県にそれをお願いをしてまいりました。十一月、二百施設程度、そういう対象で対応いただいた、そういう報告を受けておりますが、更に感染拡大地域ではしっかりとやっていただきたいということで、今般、基本的対処方針の中におきましても、緊急事態措置をやっておられる、そういうエリア、県においては、しっかりと実施計画を作っていただいて三月中にやっていただきたい、こういうお願いをいたしております。
 それ以外の県に関しましても、感染拡大、大変これは気をつけていかなきゃなりませんので、介護施設等々で計画的にこういう検査をやっていただきたい。それに応じて、プール検査、集合検査ですね、これでありますとか、それから抗原検査キット、これを、前から言っておりますけれども、一千二百五十万キット、これはインフルエンザとの対応ということであったんですが、インフルエンザが予想よりも少ないものでありますから、これが大分供給、供給というか市場に残っております、生産しておるということでございますので、これも利用いただきながら、スクリーニング的に使っていただきたいということで再度お願いをいたしておるわけでございまして、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。


○高橋(千)委員 資料の一枚目と二枚目に、二日の分科会の提言、それから基本的対処方針をつけておきました。今大臣おっしゃった簡易キットの問題なども触れているわけで、ようやくここまで来たなとは思うんです。
 ただ、これは、御本人がおっしゃっているように、緊急事態宣言下の自治体なんですよね。つまり、一方では今日から延長だと言っているそばから、十二日頃からは次々解除する検討をしていますよね。そうしたら、集中的検査をしなくてもよくなっちゃうんでしょうか。クラスターは全国で起こっていることから考えれば、対象地域は、絞っていくのではなくて、まあ最初はしようがないけれども、そこから広げていく、そういう立場に立たなきゃいけないと思いますが、いかがですか。


○田村国務大臣 今申し上げたんですけれども、その他の都道府県に関しても、計画的にやっていただきたいというお願いをいたしております。
 まずはやはり感染の多い都道府県でありますけれども、言われるとおり、これが一定程度そういう検査能力が出てきた場合には、更にそれを広げていくというのは我々も検討していかなきゃならぬと思っております。
 取りあえず都道府県全体、全ての都道府県に関してそのような形を是非ともお願いをさせていただきたいというふうに考えております。


○高橋(千)委員 今申し上げたと言うのであれば、私が言ったように、広げていきますと言えばいいじゃないですか。取りあえず簡易キットはやるけれども、やはり行政検査を、定期的な検査、三月末までにやっと一回をとにかくやったとして、その後どうするんですかということもあるんです。そういうことを含めて、やはり、今、宣言から外れちゃって、それで当分ないよというのではなくて、広げていきますよと、その一言でいいでしょう。


○田村国務大臣 そう言ったつもりなんですが、一方で、検査能力の限界もありますので、ですから、そういう意味では、プール検査だとか検査キット等々でそれを一定程度広げていくということでございまして、できる限り、もちろん検査キャパと、あとは費用の問題もございますが、そこに関しても、今、プール検査でありますとか検査キット、以前よりかはある程度安くできるようになってきておりますので、そういうことも含めて各都道府県の方にお願いしていきたいというふうに考えております。


○高橋(千)委員 今、行政検査が一日十四万件の能力があるとおっしゃっている。だけれども、その半分もできていない実態なんですよね。それでいてまだキャパの話をしている。そうじゃないでしょう。もう必要なところはとにかく広げるんだ、その立場が問われると思っています。
 基本的対処方針には、高齢者施設で感染者が一人でも出た場合に、当然、その後どうするのか、どう体制を組むのかというのがみんなの悩みで、だから検査がためらわれるということも現実にあるわけですよね、それに対して都道府県がチームを派遣して、それを国が応援するということが書いてありますので、そこはちゃんと具体的なイメージを早く示していただきたい。このことは要望にとどめたいと思います。
 自費検査のことも通告しておりましたが、時間の関係で次に行きたいと思います。
 医療関係九団体が医療緊急事態宣言を発表したのは昨年の十二月二十一日、今も重症者は高止まり、危機的状況は続いています。政府は、先月十四日、更なる医療提供体制、要するに民間病院にも増床を求め、重症者受入れに対する財政支援も一床当たり最大一千九百五十万まで支給するとしています。
 先日、秋田県内の公立病院で相次ぎクラスターが起きました。そうなると、外来受診が全部ストップしてしまうわけですよね。緊急搬送も受け入れられない。それを受け入れてくれたのは民間の総合病院なわけです。そうして、公立、民間の連携こそが大事でありますけれども、しかし、どちらもパンクしてしまっては困るわけです。
 こうしたときに、厚労省は、公的病院の再編統合や病床削減を迫っています。地域医療構想という名の下に、病床稼働率が低い、若しくは似たような診療科を近隣の医療機関でもやっているといった理由で名指ししたのが四百二十四公的病院リストと呼ばれ、この問題、昨年二月十七日にここで取り上げました。
 まず、この対象病院の中で指定感染症病床はどのくらいあって、実際に患者を受け入れているのがどのくらいか、実数と割合でお答えください。


○田村国務大臣 令和二年の十一月三十日までにG―MISで、G―MISはもう御承知だと思いますので解説しませんが、報告のあった公立・公的医療機関等一千四百三十一医療機関のうち千百医療機関で受入れ可能であります。そのうち八七%に当たる九百五十九医療機関で受入れ実績があります。
 また、令和二年十一月三十日までにG―MISで報告のあった再検証対象医療機関四百十二医療機関のうち二百七医療機関で受入れ可能、そのうち七一%に当たる百四十六医療機関で受入れ実績がございます。


○高橋(千)委員 今お答えしていただいたのをパネルにしたんですが、お手元の資料三を見ていただきたいと思います。
 全国の公立・公的病院一千四百三十一施設中一千百も受入れ可能と答え、既に八七%で受け入れていること、これだけでも公的病院の役割が発揮されていると思いますよね。しかも、そのうち、リストに載っている医療機関、いわゆる統廃合などが迫られている医療機関でも半分は受入れ可能と答え、かつ百四十六施設、七一%で実際に受入れをしているんです。
 ところが、今国会提出の法案の中で、地域医療介護総合確保基金の中に全額と書き込んで、この再編統合、病床削減に関わる補助を消費税財源で進める、こういうことを今回の国会に提案しています。そのとおりですね。確認します。


○田村国務大臣 今国会に提出をさせていただいております。


○高橋(千)委員 この問題、病床削減に国が全額補助でやる、進めるということ、しかも、昨年の十一月の二十六日、これほど医療提供体制が大変だというときに補助金の募集を始めていることを先回藤野委員が指摘をしたわけでありますけれども、これは、私、昨年二月に既に質問をしておりまして、その予算は今年は八十四億円なんですが、来年度は百九十五億円に増額をされています。しかも、全額消費税。幾ら何でもおかしくないでしょうか。
 総理に聞きます。
 今これだけ医療提供体制が逼迫し、自宅療養で亡くなる方が相次ぐ中で、ベッドを削減するとはどういうことでしょうか、しかも消費税で。病床削減はストップすべきです。医療提供体制に余裕を持つ、そしてそれに見合う人材確保にこそ全力を尽くすべきではありませんか、総理。総理です。これは駄目です。前から言ってありますから。時間がないんです。


○田村国務大臣 これに関しては、もう御承知のとおり、病床の機能分化、連携という形で、今までもずっと、人口が減っていく、また人口構造が変わっていく中で、病床が空いてしまうと、当然、医療機関は、その病床を抱えながら収入が入ってこないということになってまいります。そういうような人口の異動や地域の特性、こういうものを踏まえて計画を作っていただいております。
 そういう意味で、なぜ今回このような形で予算を組み、又は法案を出すかというと、七割超の都道府県が、やはりこれは必要だということで要望をいただいております。更に申し上げれば、全国自治体病院開設者協議会等、ここからも要望をいただいておりまして。
 もちろん、こういう新型コロナウイルスのような感染症、これが大きく広がったときのためには、それに対してどうするのか、これはどちらかというと、医療のオペレーションを含めた本来は医療計画の方でありますけれども、そこで次回に向かって今検討を始めつつあるわけでありますが、そういう対応は必要でありますが、どうしたって人口構成が変わっていく中で、今の病床をそのままというわけにはいかないので、そういう意味では、統合するところもありますし、ダウンサイジングをするところもある。それは、それぞれ二次医療圏で、それぞれの医療機関、そして地域の関係者、都道府県が入ってお話をいただく中において、自主的に判断をいただくものに対しての補助金であるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。


○高橋(千)委員 大臣、自分でおっしゃっているように、分かって聞いているんですから、同じ説明はしなくてよろしいです。地域から手挙げしていること、七割が手挙げしていること、医療連携の分化を進めてきたこと、分かっています。自主的だということも何度もこの場で答弁をされたじゃないですか。でも、なぜ今なのかということなんです。全額国庫補助だから今手を挙げなきゃいけないなと思わせる、そのやり方が誘導だと指摘を、手を挙げないでくださいよ。聞いていません。
 コロナ禍を受けて、感染症病床の必要性、患者の受入れは一般病床にも影響を与えています。もうここでも何度も議論されていましたが、多人数の部屋を個室にするために一般病床を幾つも潰さなきゃいけない、あるいはワンフロア全部潰す、そういうことをやられてきたことを、先ほど大臣がおっしゃった医療計画の検討会の中で議論があって、感染症病床を次期医療計画の中にちゃんと位置づける、そうなったわけですよね。そこまでやっておきながら、なぜ今かと言っているんです。
 今コロナの中で起こっていることは、実は、地域医療構想が目指していたのは、病院を減らして地域で何とかしましょう、介護で何とかしましょう、地域包括ケアと叫んでいましたよね。だけれども、コロナの中で起こっていることは、医療機関で対応できない患者さんを、自宅でも大変、では介護施設ということで、ここでも元々人手が足りない中、大変なことになっている。最初に話したとおりです。
 つまり、既に先行して、地域医療構想の行き着く先が見えているようなものなんです。だから、今、病床をしっかり確保して、そこにお金をかけるんですよ。そのことを今やらなきゃいけないということを指摘をして、残念ですが時間が、次がありますので、次に行きたいと思います。
 パネルを見てください。この一年間の陽性者数の推移ですが、政府は波という言葉を絶対使いませんが、第一波、第二波、第三波と、確実に波の高さが高くなっています。
 GoToトラベル事業は、昨年四月に第一次補正で約一兆三千五百億円、コロナが収束後の事業とされていました。ところが、七月二十二日、第二波がこう上がってきたところで始まって、東京を追加したのは十月一日です。一旦下がったように見えますけれども、初の緊急事態宣言が出た三百七十七人のときに比べれば、六百二十三人と相当多いです。そして、第三波の大波の中でトラベル全体が停止されたのは十二月二十八日でした。大みそかの四千五百人超えと大きなショック、年明けからの緊急事態宣言に至ったわけであります。
 総理に伺います。
 GoToキャンペーンが需要喚起策として大事だと思うなら、なおのこと、この波が高くなっている中での見切り発車ではなく、なかなか止められなかった、そのことが結果として経済にも影響を与えた、そう言えませんか。


○菅内閣総理大臣 GoToトラベルについては、昨年七月の半ばに、地方において、ホテル、旅館などの稼働率が前年から二割を切るまで落ち込み、地方経済が深刻な影響を受ける中で、専門家の意見を伺いながら、感染対策をしっかり講じた上で始めることにいたしました。
 その後、延べ八千三百万人の方々に宿泊で御利用いただき、ホテル、旅館の稼働率は七割まで回復、経済効果は五兆円、雇用効果は四十六万人とも言われてきており、新型コロナに苦しむ地方経済を下支えしたことは事実だというふうに思います。その中で、コロナに感染した方は約四百人と言われています。
 その後、実は、昨年の十一月以来、分科会の提言を受けて、また各知事の意見も踏まえて、北海道や大阪などの事業を見直しをし、十二月十四日に私は全国での一時停止を決断をしました。その際、分科会の尾身会長は、専門家の提言よりも更に踏み込んだ内容だと説明をいただいています。
 GoToトラベルについて、様々な御指摘があることは承知をしています。地域の経済を考え、専門家の御意見を伺いながら、適切な判断を行っていきたいと思います。


○高橋(千)委員 様々な意見があることは承知していますという一言がございました。私、今エビデンスのことで争うつもりはないんです。だって、止めたということはそういうことじゃないですか。移動や接触を避けてくれ、会食を日中でも見直してくれ、そこまで言っているのに、トラベルの楽しみってそれなんですから、それはもっと早く止めるべきだったと言わなきゃいけないと思うんです。
 観光は裾野が広く、二十一兆円、二〇一九年ですが、の消費、経済効果は五十兆円と言われます。世界全体ではGDPの一割超、雇用効果も高いです。だから、トラベルを止めたくなかった、その気持ちはよく分かります。しかし、あえて言わせてもらうが、何だったんだ、GoToトラベルということなんですね。
 トラベルジャーナル十一月九日号、GoToトラベルの三か月と題した特集がありました。流れに乗れない宿の声や、需要の先取りではないかという指摘、様々ありました。その中で、旅行、宿泊、航空貨物の産別労組であるサービス連合情報総研の神田達哉氏は、当該キャンペーンが旅行業にもたらしたもの、第一に、社会からの不信を招いた点に尽きると言い切っています。社会からの不信、残念ながらそのとおりじゃないか……(発言する者あり)ちゃんと聞いてください。
 事務局の費用問題、ありました。見切り発車したために、セットのはずのクーポンが出遅れました。キャンセル料はそのたびに補助率が違います。そもそも、オンラインではない宿泊施設、格安な民宿などには縁がなかったなどなど。観光がこんなふうに取り沙汰されて、社会からの不信の標的にされたとすれば余りにも不幸じゃないか。私、それをいいと言っているんじゃないですよ。不幸じゃないかと思っているんです。
 三次補正で一兆円追加し、トラベルの六月までの延長も決めたのはおかしいです。それどころか、今年一月十八日の施政方針演説で、総理は、新型コロナを克服した上で、世界の観光大国を再び目指しますと述べました。
 つまり、二〇二〇年四千万人はコロナで諦めたけれども、二〇三〇年六千万人というインバウンド目標に向かってまた走るということですか。一旦立ち止まってもよいのではありませんか。


○赤羽国務大臣 まず、組合の方のその論評ですけれども、私も、何回も繰り返していますが、全国三十七か所の観光地で懇談されていて、そのような御意見は一人もございませんでした。それは申し上げておきたいと思います。
 また、インバウンド、二〇二〇年は厳しかったですけれども、二〇三〇年の六千万人というのは目標は変えないで、それは、世界各地からこの日本の各地のすばらしさを知っていただく、そこに交流が生まれる、私はまさに観光産業のすばらしさだと思いますし、このGoToトラベルを通じながら、マイクロツーリズムという全く逆の新しいビジネスモデルが育ちつつあるということもすばらしくて、地方創生に頑張ろうとする人が立ち上がっている。私は、観光産業というのは本当に国の主力産業とすべきだというふうに思っております。


○高橋(千)委員 ですから、大臣は何度も私の質問を受けているから分かっていると思うんです。
 私だって、観光産業の皆さんの声、いっぱい聞いてきましたよ。だけれども、例えば、医療従事者の人たちがこんな思いをして休みも取れないのに、何で政府が税金をかけてトラベルなんだとか、そういうふうに見られることが不幸だと言っているんです。本当にいい環境のときにやる。本当は、だってそうじゃないですか、収束したらやると言っていたんですから。
 組合の意見ではありません。たくさんの方が今、同じじゃないですよね、コロナの後は同じじゃないとおっしゃっているんです。そこに目を向けるべきです。
 総理の指示の下、上質なインバウンド観光サービス創出に向けた観光戦略検討委員会が立ち上がっています。驚くことに、感染者が過去最多を日々更新していた昨年の十月、十一月、第三回目は十二月二十四日ですよ。緊急事態宣言をもうやると分かっている頃。そこで議論されているのは、いかにして海外の富裕層を取り込むかです。
 資料の六枚目を見てください。保有資産百万USドル以上の富裕層は、世界全体で五千万人はいる。この巨大なインバウンド市場を取り込むことが重要だと。
 この検討委員会の委員でもあるデービッド・アトキンソン氏は、その著書「新・観光立国論」において、日本には目玉が飛び出るような超高級ホテルや老舗旅館、様々なアクティビティーの楽しめるリゾートホテルがないのですと述べ、一泊一万円のホテルに泊まる観光客を五百人呼ぶことも大切だが、一泊五百万円の超高級ホテルに泊まるセレブを二人呼べば、それだけで観光収入がぐんと上がると述べています。
 しかし、それで地域は潤いますか。同氏は、日本のおもてなしなどは生産性が低いと切って捨て、コロナ禍を受けて生産性の低い旅館やホテルは調整されるだろう、淘汰と同じ意味ですよね、そう言い切っています。
 総理は、官房長官時代、二〇一九年十二月に、世界の一流ホテル五十か所を新設すると強調しました。既に、コロナ禍の中で、旅館、ホテルの倒産、廃業は他業種に比べても多いですが、総理の目指すところは、アトキンソン氏と同じように、こうした世界の富裕層向けの超高級ホテル誘致に支援する一方、古くからの旅館、ホテルは淘汰されてもやむなしというお考えですか。


○菅内閣総理大臣 まず、安倍政権が発足してから一昨年までの間に、外国人の観光客が八百三十四万人から三千万人になり、そして二〇二〇年四千万を目指したんですけれども、二〇三〇年に六千万を目指すことにしました。その間の消費額は一兆円から約四兆円であります。地方の国民の皆さんの生活に、経済の発展に大きな下支えになったということは、これは事実ではないでしょうか。
 そういう中で、やはり、日本という国は、観光の要素とも言われています自然、気候、文化、食、こうしたものを備えており、多くの世界の観光客を日本に呼びたいという思いの中であります。当然、いろいろな種類の旅館が、あるいはホテルがあっていいというふうに思っています。
 その高級ホテルでありますけれども、そうしたものが日本に少ないと言われることも事実であります。政府としても、そうした整備の融資の一部について、民間資金の呼び水として日本政策投資銀行の融資、そういうことを行うなどして、そうした世界の観光客を日本に呼ぶことのできる様々な種類の、日本の古い、日本らしいホテル、旅館があってもおかしくないでしょうし、いろいろなものを兼ね備えておきたいということであります。


○高橋(千)委員 残念ながら時間切れになりましたので、最後のところに、今総理がおっしゃった、世界レベルの宿泊施設整備の促進ということで、政策投資銀行を使っての投資などで呼び込む話がされているんです。ただ、それを今、最中やっているということに非常に違和感を持つ。
 国内においても、資料の五番にあるように、富裕層トラベラーはコロナ禍の中でも旅行する割合が高いとして、富裕層から需要回復を見込んでいると。日銀のさくらレポートでも、GoToトラベルキャンペーンの効果でむしろ二極化が進んだ、高価な宿泊施設の方が人気がある、こうしたことを言っているんですよ。やはり、それが本来の姿かということを改めて考えようということを提起したかったと思います。
 また続きをやりたいと思います。終わります。

質問の映像へのリンク

https://youtu.be/hxSgBzDVlZ0

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