国会質問

質問日:2020年 11月 17日 第203国会 国土交通委員会

感染拡大の中 GoToトラベル見直しを

実態を見て地域重視へ

高橋氏 GoTo見直し必要

 日本共産党の高橋千鶴子議員は17日、衆院国土交通委員会で、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が感染拡大に与える影響や、利用者や宿泊施設の間で「格差」を生んでいる実態を指摘し、事業の見直しを迫りました。

 高橋氏は、新型コロナウイルス感染拡大が緊急事態宣言時を大きく超える第3波が押し寄せていることをあげ、「Go To トラベルの見直しはしないのか」と追及。国交省、経済産業省、農林水産省の3省連名の企画競争募集要領(5月26日)にあった「新たな事態が生じた場合、事業の実施中においても見直しを図る」とのただし書きが、観光庁が6月16日に公示した企画競争入札説明書には書かれていないとして、「なぜ、もしもの時のブレーキを外したのか」とただしました。

 赤羽一嘉国交相は、感染拡大状況によっては見直しを図るとの認識を示しました。

 さらに高橋氏は、小さな町の観光協会は、小規模宿泊施設の参加を助けているが、トラベル事務局が「予算の追加配分はしない。執行状況が悪ければ、予算を戻してもらう」とさえ通知していると指摘。Go To トラベルの予算が実績に応じて配分されるため、大手の一人勝ちになっていると批判しました。

 また、来年5月ごろまでなど、延長の話が出たことをとらえ、延長するならいったん中断して検証するよう主張。未配分の予算は「都道府県に委ねた地域重視の企画へ見直していくべきだ」と強調しました。
(しんぶん赤旗 2020年11月18日付より)

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 四カ月ぶりの委員会ですのでたくさん課題があるんですけれども、目下最大の問題である新型コロナとGoToトラベルについて質問します。
 コロナの感染が拡大しており、特に北海道では、ここ一週間で十万人対比二十八人でトップ、クラスターも多発をしております。資料の1は十二日付の朝日新聞でありますけれども、この中であるように、日本医師会の中川俊男会長は十一日の定例会見で、第三波と考えてもよいのではないか、このように見解を示しました。また、翌日の分科会では、出席した複数の専門家や知事らから、第三波だと認めてリスクの高さを国民と共有すべきとの意見が出たということですが、西村担当大臣は、四月、五月の大きな流行、七月、八月の大きな流行、夏の流行に匹敵する大きな流行、波を言いたくないみたいで、来つつあるということは言いましたけれども、第三波という使い方は避けているということなんですね。
 それで、改めて伺いたいんですけれども、政府は第三波と考えているのか、そうでないというならばその理由についてお答えください。


○赤澤副大臣 何を第一波、第二波と呼ぶのかは政府として具体的な定義があるわけではございませんが、新型コロナウイルス感染症の感染状況については、新規陽性者数は、四月、五月と、それから七月、八月の感染拡大を経験し、発症日ベースでは、七月末をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいでありましたが、十月以降増加傾向となり、十一月に入りその傾向が強まっているということでございます。これから寒くなる中で、乾燥し密閉した空間で生活するようになると感染しやすくなり、更に感染が拡大して大きな流行となるおそれがあり、強い危機感を持っているということでございます。
 昨日の新型コロナウイルス感染症対策本部では、今般の感染拡大に対応したクラスター対策のさらなる強化などを取りまとめたところでございます。今後、これに基づき、感染対策と呼びかけの強化に取り組んでまいります。


○高橋(千)委員 定義がないことによって使っちゃいけないんでしょうか。流行とまで言っていて使わないということ、専門家や医師会が、皆さんがお話しされていること、またメディアも使っているわけですけれども、そこに何かひっかかるものがあるんでしょうか。


○赤澤副大臣 先ほど申し上げましたとおりでございまして、政府としては第何波ということについての定義を持っておりませんので、それについて発信することがないことについては御理解を賜りたいというふうに思います。


○高橋(千)委員 そこにこだわる必要はむしろないと思うんですね。定義がなくても明らかにそうである。
 きょうは、資料二枚目を見ていただければわかると思いますけれども、波と言いたくないんだったら山と言ってもいいかと思うんです。PCRの陽性者数のグラフです。四月十日に第一波のピークが来ておりますが、このときは七百八人。第二波は八月七日で千五百九十五人。そして第三波は、まだふえるかもしれませんが、過去最大、千七百二十三人でありました。
 五月二十五日、緊急事態宣言を解除したとき、世界の感染者数は五百三十万人、死者三十四万人でした。半年たって、世界は今、五千四百三十七万人を超える、まさに十倍以上の感染が広がり、死亡者は百三十一万人を超えています。
 第二波、第三波は必ず来ると言われていたこと、緊急事態宣言のときの山をはるかに超えているのが今の実態であります。それでもGoToキャンペーン、トラベルだけではありません、推進でよいのでしょうか。大臣には後で聞きますので、内閣府の考えをもう一度伺います。


○赤澤副大臣 済みません、今の問いについて御通告があったというふうには承知はしておらないんですが、御指名でございますのでお答え申し上げれば、やはりGoToキャンペーンについても、私どものもとには観光関係者を中心に大変これに助けられているという声も届いておりますし、経済の混乱を避けるという意味では大変大きな意義を有するものだというふうに思っております。
 私どもは、全力で感染防止策を講じていく、それとあわせて、経済活動についてもGoToキャンペーンで両立を図ってまいりたいというふうに考えてございます。


○高橋(千)委員 経済活動の両立、やはりそのことが波という言葉を避けているのかな、逆にそう思わざるを得ないんですね。そうすることによって、別に経済を全部閉じてしまえと言っているわけじゃないんです。だけれども、感染の拡大を防げなかったら、もっと大きな打撃を経済界でも受けるわけですから、その点についてもっと議論をしていきたいなと思っています。
 きょうは厚労省にも質問をいたします。
 副大臣、もしあれでしたら、退席されても結構です。
 今、全国で百件以上のクラスター班が動いていると聞きます。
 資料の3を見てください。これは私の地元の青森県の健康福祉部がつくった資料ですけれども、十月十八日現在の青森県の飲食店クラスターです。弘前市のたった一つの飲食店で、たった一人の感染者から始まって、全県の保健師を集中し、積極的疫学調査を行って、お店の関係者、その家族、その利用者と広がって、これは全部見ていただけばわかるように、何例目が何十代で男性か女性か、ここまで追いかけているわけです。一月後、4の資料も見てください、これがかなり広がっていて、三次感染までつかまえているんです。十四日の時点で、飲食店クラスター関連は百八十六人に上りました。残念ながら、学校の一時休校とか営業の自粛なども判断をしたわけであります。
 ですが、私が思うには、厚労省のクラスター班やDMATの援助によって、徹底した追跡調査、医療機関への搬送などの判断もスムーズに行われ、現在、弘前は収束に向かっています。
 ここまでわかっているということは、逆に、ルートの解明と行政検査を徹底して行った結果だということなんですね。差別につながる犯人捜しをするという意味ではなくて、感染のルーツや発生の状況を把握することで、またなるべく情報を公開することによって、徹底した検査とあわせて対策、封じ込めも可能だと思いますが、厚労省に伺います。


○佐原政府参考人 お答えいたします。
 感染拡大防止のためには、早期にクラスターの発生を把握し、封じ込めていくことが重要であります。
 このため、厚生労働省においては、国内の感染症の専門家の方々で構成されるクラスター対策班を設置し、自治体からの要請に応じまして専門家チームを派遣し、感染源や感染経路の検討、感染拡大防止策の提案等の支援を実施しております。今後も引き続き、感染拡大を防止するための対策を進めてまいりたいというふうに考えております。


○高橋(千)委員 ちゃんと通告していますけれども、今のお答えはどういう意味なんでしょうかね。今おっしゃったのは、クラスター班が、早期に封じ込めは大事ですから、今後もやっていきますというお話だったんですけれども。
 今、弘前の事例は既に事前にお見せをしております。こうした形で感染のルーツや発生の状況を把握することによって、徹底した検査と封じ込め、できるんじゃないかと思いますが、いかがですかと聞きました。


○佐原政府参考人 お答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症に係る検査につきましては、検査が必要な方が迅速、スムーズに検査が受けられるようにするとともに、感染拡大を防止する必要がある場合に広く検査が受けられるようにすることが重要と考えております。
 このため、地域における感染状況を踏まえて、感染拡大を防止する必要がある場合、現に感染が発生した施設に限らず、地域の関係者を幅広く行政検査として公費で検査することが可能であることを明確化し、都道府県に対して積極的な検査の実施を要請しているところでございます。


○高橋(千)委員 積極的な検査には全部国が支援をするということでよろしいですか。今私がお話ししたのは、ここはクラスターを全部つかんでいて、三次感染までつかんでいて、行政検査をやっているんですよね。そういうことをやっていくということでよろしいですね。


○佐原政府参考人 はい。引き続き、地域の関係者を幅広く、行政検査として公費で検査することが非常に重要なことと考えております。


○高橋(千)委員 確認しました。
 積極的にと言いながら、それは自治体で判断してくださいと言われては困るわけです。今回のは、厚労省がかかわったからここまでできたと私は大変評価しているんですよ。だけれども、それがほかでもできるようにしていただきたい。これから、さっきお話しした経済活動との兼ね合いの問題もありますからね、ここが徹底されることが条件だと私は思っているからであります。
 そこで、先ほどの資料の2に戻っていただきたい。山をもう一度見ていただきたいと思うんですが、七月二十二日、第二波の兆候が出てきたところで、GoToトラベルを前倒しのスタートをしました。東京は別格だから除外することに賛成したと、この委員会で尾身会長が強調されました。
 その東京の解禁は十月一日であります。実際、これは減ってきているわけですよね。だけれども、第一波と比べるとほとんど同じ兆候、第一波並みの感染はあるわけですよ。そこからまた上がってきている、こういうことは言えると思うんです。
 そこで、大臣に伺います。GoToトラベルの見直しはしないのか。三千九百七十六万人泊という実績があるといいますけれども、これだけ人が移動して、感染拡大に影響していないと言い切れるんでしょうか。


○赤羽国務大臣 GoToトラベル事業の継続、継続というか事業の展開の大前提というのは、もう何度も御答弁させていただいておりますが、感染拡大の防止、その上での経済社会活動の活性化ということでございます。
 まず最初の質問は、見直しをしないのかということは、これはもうルールで決まっていますので、分科会の御提言にあるように、ある都道府県がステージ3と判断した場合には、GoToトラベル事業に係る感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい、そして、いずれのステージにあるかについては各都道府県が判断する必要があり、それを踏まえて政府が当該都道府県と調整する必要があるということで、そのルールにのっとって対応していきたい、こう思っております。
 北海道が感染者数が急激に拡大しているというのは、当然のことながら注視をしながら、緊張感を持って、また北海道知事とも連携をとりながら対応を、もうしているところでございますが、それは引き続き継続をしていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 ルールで決まっているとおっしゃいましたが、北海道については、注視していくという答えであって、検討もまだ始まっていないということだと思うんですね。ですから、前から言っているように、一体いつ決めるのか、そしてどうやったらとまるのか。とまるときがある、全部とまれと言っているんじゃないですよ、とめる仕掛けがないということを問題にしています。
 NHKがデータに引用しているアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の調査によると、ことしの一月の二十二日にはまだほぼ中国でしか感染者がいなかった、でも今や世界二百十六カ国に広がっています。人の移動で新型コロナウイルスが国境を越えてきたように、国内でも県境を越えた移動が感染を全国に広げてきたと考えるのは自然ではないでしょうか。
 当初、GoToキャンペーンは、イート、商店街とあわせて、三省所管の事業を経産省が一括して事務局に委ねると考えられていました。ただ、持続化給付金の再委託問題があったので、赤羽大臣自身がトラベルは単独でこちらが所管するということを決断したと思うんですね。
 だけれども、不思議なのは、最初のキャンペーン、三省あわせてのキャンペーンの企画競争募集要項、これは五月二十六日ですが、新型コロナ感染症の再流行などによる緊急事態宣言の再度の発出など新たな事態が生じた場合、事業の実施中においても見直しを図ることがあり得ると、三カ所もただし書きがあります。三カ所です。それが、観光庁が六月十六日に公示した企画競争入札説明書では一カ所も書かれておりません。つまり、もしものときのブレーキを外してしまったことになる。なぜでしょうか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 GoToトラベル事業の運営事務局の公募に当たりましては、本年六月十六日より観光庁において実施した企画競争の説明書におきまして、まず、「業務の目的」のところで、「今後の感染状況や、感染症の専門家のご意見、政府の全体方針等を踏まえつつ、実施時期、実施方法、実施範囲等について観光庁と相談しながら、段階的かつ柔軟に実施することとする。」と記載するとともに、「企画競争実施に際しての留意事項」といたしまして、「本事業は、実施途中段階においても、感染症の状況等を踏まえて、柔軟かつ臨機応変に対応することが求められるものであることを踏まえた上で、企画提案書の提出をすること。」と記載されておりまして、五月二十六日より経済産業省において実施した企画競争の募集要領における表現とは異なりますが、事業の途中段階におきまして感染状況等を踏まえた対応が必要になる可能性があるとの趣旨につきましては、変更がないものと認識しているところでございます。
 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、引き続き、感染拡大防止に向けた取組を徹底するとともに、感染状況を見きわめつつ、政府全体の方針に基づきまして、分科会の提言に沿って各都道府県ともしっかりと連携をとりながら、適切に対応したいと考えております。よろしくお願いいたします。


○高橋(千)委員 今、長官がお話しされましたけれども、事業の途中においても見直しを図ることがあり得ると書いていたものが、段階的、柔軟に実施する、これが同じ意味なんでしょうか。大臣、これで本当にブレーキは持っているとおっしゃいますか。


○赤羽国務大臣 ちょっと細かい文言は、済みません、観光庁の長官のとおりだと思いますが。しかし、実際、七月二十二日に全国一斉にスタートするという当初の予定を、あのときの状況を踏まえて、現実には東京都の発着を外したわけですから、これはもう最初からそうしたことが現実にあり得たわけですので、そうしたことは、今参加している事業者の中の共通の認識として、極めて厳しい状況、ステージ3になって、地元の自治体と政府の検討の中で、ある地域が対象から除外される可能性があるということは、全て皆さん承知しているものというふうに私は理解をしております。


○高橋(千)委員 わかりました。では、そこは、厳しい状況であると大臣が認識されているということですので、きちんとした判断をされていただきたい、このように思います。これは、後でもう一度、要望でお話ししますけれども。 それで、一方で、段階的、柔軟にと呼ぶべきなのか、事務局を通しての事業者に対するいろいろな指示、これは現場を大変混乱をさせています。
 GoToトラベルの割引対象は観光を主たる目的とするということを基準にしますということが、十一月六日から決められました。この事務連絡は十月二十九日に発出されています。会社宛ての領収書には補助を出さないとされました。その理由はなぜか。ネット予約がふえ過ぎて割引率を勝手に絞った案件がありましたけれども、予算の枯渇を恐れてなのか、これをまずお答えください。
 あわせて、ビジネス関係はだめといってもスポーツ合宿が主力の地域もあるんですね。これは大丈夫なのか。それから、いわゆる会議、研修、学会、展示会などのMICEなどは、受入れ側にとっては大きな地域振興のチャンスということもあって、需要喚起策という趣旨にも合致すると思うわけですね。ここら辺が大変曖昧になっています。はっきり答えてください。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 GoToトラベル事業におきましては、旅行商品ごとに本事業の支援の対象である旨の認定自体はしておりませんが、本事業の開始以降、旅行商品の販売実績や内容の実情も明らかになっていく中で、本事業本来の趣旨にそぐわないと判断されるものにつきましては、本事業の支援の対象から外す措置をとらせていただいているところでございます。
 具体的には、個別具体に支援の対象外とするか否かを判断することとしておりますが、一部の参加事業者におきまして本事業の趣旨にそぐわない旅行商品等の販売が確認されていることを踏まえ、この基準、考え方につきまして明確化し、十月二十九日に本事業の公式サイトに、旅行者及び事業者の皆様に周知させていただいたところでございます。
 具体的な判断の基準、考え方につきましては、観光を主たる目的としていること、感染拡大防止の観点から問題がないこと、旅行商品に含まれる商品やサービスの価額が通常の宿泊料金の水準を超えないこと、旅行者自身が旅行期間中に購入又は利用するものであること等を社会通念上の観点も含めまして、総合的に判断することとしております。
 また、あわせまして、ビジネス出張に関しましては、企業の業務の必要性に基づいて行われ、企業において経費として支払われることが一般的であるところ、本事業は企業の負担軽減を目的としたものではないとともに、より多くの旅行者に御利用いただく観点から、本事業の支援の対象外とさせていただいているところでございます。
 御指摘のスポーツ合宿やMICEにつきましては、地域振興に一定の効果があるものと承知しております。ただ、ビジネス出張と同様に、企業の業務の必要性に基づき行われ、企業において経費として支払われる場合につきましては支援の対象外とさせていただいております。ただ、個人の負担によります場合は、支援の対象とさせていただいているところでございます。


○高橋(千)委員 本来の趣旨にそぐわないものが出てきたとおっしゃいました。でも、それは、七月二十二日に見切り発車をして、準備が整っていない中で、しかも、説明が最初からちゃんとできていなきゃいけないんですよ。今になってそんなことを言っている。これはもう明らかに事務局のミスです。それを認めていただきたいと思います。
 大臣に本当に知っていただきたいんですけれども、十月二十九日にこの通達が出されました。そしてその後、本当にちっちゃな町の観光協会などに、夜中の、朝の二時ですよ、メールが来るんです、次から次と。十月末までの予算の執行状況を一円単位まで出しなさい、それを五日までに出しなさい、そうしなければ予算の状況がわからないと。ここまで現場は混乱をさせられているんです。
 それは経済がどうのとおっしゃるけれども、そのしわ寄せが本当に現場に来ている。最初は、地域の観光産業全体に広く裨益して、地域経済全体に効果的に資する事業だとおっしゃっていました。でも、それを本当に担うべき人たち、第三者機関と呼ばれる人たちが苦しい思いをしている、そのことを本当に知っていただきたい、このように思います。
 ちょっと、短く答えてください。予算の配分はどこまで行われていますか。執行状況を見て配分の中止や返還もあると聞きますが、いかがですか。


○蒲生政府参考人 予算に関しましては、GoToトラベル事業において、全ての参加登録事業者に販売可能な予算枠をあらかじめお知らせする必要があるため、各社から御提出いただいた販売計画をもとに予算枠を配分、いわゆる通知したところでございます。
 九月から十月にかけて予約が好調に伸び、一部の事業者において、当初配分した予算枠が不足する状況となったため、現在、大手事業者のみならず、中小事業者を含む全ての事業者に対しまして、販売計画を丁寧に聞きながら、随時、必要な予算枠を追加配分しているところでございます。
 このように、個別に聞き取りを行う中で、既に十分な予算枠の配分がなされているために予算枠の配分の追加を見送らせていただくことや、今後の予算枠の消化に進捗が見られない場合には既に通知した予算枠をお戻しいただく場合もある旨の連絡がなされた事業者もいると承知しているところでございますが、仮に、予算枠が不足する場合につきましては、事務局に御連絡いただければ、機動的かつ柔軟に配分を行ってまいる、そういう方針で対応しているところでございます。


○高橋(千)委員 資料の最後を見てください。これが実際に事業者に通知されたメールの中身です。
 真ん中の赤い線を引いてあるところを読ませていただきます。「予算の配分について」。「ご登録いただいた販売実績見込み、および配分予算の執行状況を考慮し、予算配分の追加は見送らせていただきます。引き続き販売を継続していただきますようお願いいたします。」と言った後に、「今後の予算の消化に進捗が見られない場合には、すでに通知した予算をお戻しいただく場合もありますので、あらかじめご了承ください。」
 これはもう恫喝されたと現場は思っているわけなんです。
 もともと精算払いですから、予算を余しちゃったら返すことができるわけなんですよね。だけれども、今、いろいろな現場の混乱があって、そして、ビジネスに全部付随して合宿もだめなのかしらとか、イートがホテルのレストランを使えないのかしらと、この間ずっといろいろなことがあったんです。それで、なかなか伸びなかったということがあったんですよね。
 でも、その最初にもらった予算というのは実績の半分なんですよね。その後追加をするということで、実績を見てやっていくということは、何が起きるかといいますと、結局、実績に応じての配分、これは大手のひとり勝ちになってしまう、そういう仕組みになりませんか。大臣に伺います。


○赤羽国務大臣 当初、配分の仕方として、私が承知しているのは、仮の、これまでの実績で出しました。ところが、中小の皆様の中でも相当予算が足りなくなってビジネスができなくなっているという声を、私のところにも随分いろいろな声が届きましたので、そうしたことについても柔軟に発動して、当面の引き合いというかがあることを、しっかりと御商売していただくように追加措置をしていくということで、そうしたことで現場は回っているというふうに承知をしております。


○高橋(千)委員 せっかくさっき大臣に聞いてくださいとお話ししたのに、現場の混乱の実態をどう見ているのか、それをお答えいただきたいと思います。
 それから、こういうちっちゃな、何人もいない事務局で運営している観光協会などにとって、毎日来るころころ変わるメール、その対応だけでも大変なんですよ。それが、実績に結びつかなかったらもう予算を引き揚げると言われている。
 これは本当に、最初言った、中小も含めてやりますよということとは全く違うじゃないですか。そして、大手の予約サイトを使っているところはばんばん、今、前よりも高いところを使おうということで、格差はぐんぐん広がってくるんですよ。そういう実態になっているということをお認めになりますか。


○赤羽国務大臣 小規模の旅行業者の皆様からもそういう現実の声を、僕も全国で二十二カ所、現時点で懇談会をさせていただいておりますので、聞くことがございますので、なるべく整理をしようとしております。
 ただ、その過程の中で、スタートしたときにはそういう商品がなかったんだけれども、例えば車の免許の合宿なんかもGoToトラベル事業に利用するとか、これはすぐとめなければいけないだろうと。先ほど長官が申し上げたように、そうした本来の趣旨を逸脱しているだろうというのが散見してきて、それでちょっとモグラたたきみたいな形になるわけです。そこをとめる。そのときには、やはりGoToトラベル事業のQアンドAとか、また、全参加者に対してメールを全部送って徹底をする。事務局への問合せで対応が違うというような御批判も随分ありまして、そうしたこともあってはならないということでやっておる。ただ、そのメールを送ることによって、多分、中小の、少人数でやられているところにとっては負荷が大きいという話もありましたので、なるべくそれは改善していかなければいけないと思っております。
 基本的には機会平等で、あとは相当、結果まではなかなかフォローはし切れないわけでありますが、今後、延長とかという話があったときには、それも、裨益がなるべく数多くの方ができるような工夫は当然しなければいけない、こう考えております。


○高橋(千)委員 その延長について伺いたいんですね。いつまで、どのくらいの予算規模で考えているのか、お答えください。
 そして、私は、今、延長したいというのであれば、まず、今のこの状態をどう見るのかということをきちっと検証して、残りの配分、さっき長官はちゃんとおっしゃらなかったけれども、一兆一千億円の予算を全部配分しちゃったわけじゃないわけですよね、実際には。その残りの配分を、今までの延長線上ではなくて、やはり都道府県に委ねた、本当に地域重視の企画に見直しをしていくべきだ、そこはやはり大臣に決断してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。


○赤羽国務大臣 ちょっと技術的なことは長官に確認していただきたいんですけれども、都道府県に委ねるというのは、なかなか、今の仕組みの中では多分できないでしょう。多分できないです。別に、都道府県に窓口があるわけじゃありませんから。GoToトラベル事務局のもとに、今回参加を、感染拡大防止策を講じるということで承認をいただいた参加者に直接契約をされているわけでありますから、当然、マクロとして、地域の使われ方の偏在がどうなのかといった、そうしたことは見ておりますけれども、恐らく高橋さんの質問はそういうことなんじゃないかと。余り地域の格差が出ないようにとか、そうしたことは配慮しなければいけないと思います。
 ただ、あと、延長がいつまでかというのは、まだこれは全然具体的なことは財務当局とも折衝をしておりませんので、どう言うかわかりませんが、でき得れば、ことしを振り返ると、春休みとかゴールデンウイークはほとんど営業はされなかったところが大半でありますので、そうしたところまで何とかカバーできればと思っておりますが、これは全然具体的な話ではなくて、だからあえて言わない方がよかったかもしれませんが、私はかねがねそういうふうに思っているということでございます。


○高橋(千)委員 そうであれば一旦中止するということもできると思いますよ。別に、この先もやっていくんだという気持ちがあるのであれば、少し見直しをする、立ちどまるということが必要なんじゃないでしょうか。
 観光協会などの第三者機関がほとんどない県もあります。青森県ではたった一つ、登録がですよ、観光協会はいっぱいありますけれども、たった一つ。宮城、茨城、埼玉、神奈川、三つというように、極端に少ない県もあり、自分がわかる、私自身がわかる東北で見ても、広い県内を網羅する規模ではないことは一目でわかります。そういうところで、身近で相談するところがない宿泊業者などは結局予約サイトを使うしかないわけなんです。
 そういう形でやはり大手のひとり勝ちというのが進んできたんだということ、格差が、利用するお客さんは同じ人が何度でも使えますけれども、どんどん格差が利用する側にも受け入れる側にも起きている、この現実をしっかりと見て、格差が拡大すると同時に感染も拡大しているということもちゃんと見て見直しをするべきだ、このことを重ねて指摘をして、終わります。

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