国会質問

質問日:2021年 5月 26日 第204国会 国土交通委員会

東京オリンピック・パラリンピック中止を要求

五輪中止を進言せよ

高橋氏、国交相に要求

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(写真)質問する高橋千鶴子議員=26日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は26日の衆院国土交通委員会で、東京五輪・パラリンピック中止を進言するよう求めました。

 米国務省は、日本への渡航警戒レベルを最も厳しい「渡航中止」に引き上げました。高橋氏は「このもとでの五輪開催は、アスリートから見ても選手生命にかかわる選択であり、参加可能な選手だけの大会はフェアでない。人流を止めるための緊急事態宣言と、東京五輪の実施は矛盾する」と指摘しました。

 高橋氏は、コロナ禍で大幅に縮小、行動制限された五輪開催が観光需要などV字回復への道と考えているのかと質問。赤羽一嘉国交相は、「デジタル技術を使えば世界にアピールできる」と楽観論を述べるだけでした。

 選手らの事前合宿を取りやめた78自治体のうち、57自治体では「遠方すぎる」「移動も一般客と動線を分けるなど制約が多すぎる」など外国選手団からの理由によるもの。高橋氏は、「大きな効果は見込めないばかりか、キャンセルは増える一方、強行開催で変異株の感染を世界に拡大することが万一でもあってはならない」と強調しました。
(「しんぶん赤旗」2021年5月28日付より)


ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 東京都と大阪府で、自衛隊が運営する新型コロナウイルスのワクチンの大規模接種センターが二十四日から開始されました。既に地方都市でも大規模接種センターを設置すると発表が次々とあり、今、四十都道府県が実施するということが分かっております。
 初日で七千五百人が利用したこと、その日のテレビニュースはどこも、接種会場に向かう高齢者を追跡をし、安心したという声などを拾っていたと思いますが、その中に、早くマスクを外したい、そういう声を拾っていたかなと思います。
 その気持ちは本当によく分かるんですけれども、ただ、ワクチンの接種を終えたからといって、マスクをすぐ外していいというふうにはならないと思うんですけれども、まず厚労省に伺います。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
 重要な御指摘、ありがとうございます。
 直近の感染状況につきましては、足下の感染拡大を何としても抑えるということで、緊急事態宣言を発出して短期的、集中的な対応を行っているところでございますけれども、その上で、委員御指摘のワクチン接種が進んだ後の対応ということにつきましては、現時点では、ワクチンを接種した方についても、マスクの着用を始めとした基本的な感染防止対策の徹底をお願いすることになるというふうに考えているところでございます。
 もちろん、こうした感染対策につきましては、最新の科学的知見やワクチンの接種状況などを踏まえて、専門家の意見を聞きながら必要な検討を行っていくというものではございますけれども、現時点では、基本的な感染防止対策徹底を引き続きお願いするというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 簡潔な御答弁、ありがとうございました。
 厚労省が出しているQアンドAの中にも、ワクチンを接種した方から他人への感染をどの程度予防できるかがまだ分かっていないということや、ワクチンを接種した方もいない方も、まだ大規模に進んでいるわけではないので、共に社会生活を営んでいくためにはこれまでどおりの対策が必要なんだということを呼びかけているかなと思っております。
 また、五月二十一日改定の基本的対処方針でも、英国型変異株の割合が全国で約八割、もう一部地域を除いてほぼ置き換わったと想定されていること、また、従来のものよりも重症化しやすいこと、特にインド型変異株については、英国型よりも感染しやすいことや、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されていることもあって、やはり、ワクチンを打てばもう安心なんだということはまだまだ言えない状況であること、このことは非常に大事なのではないか、しっかり周知していく必要があると思っております。
 それで、ワクチン接種を、リスクの高い高齢者が優先という考えは理解できるんです。しかし、本来、無意識あるいは無症状で感染させる可能性がある若い世代、ここがしっかりと対策が取れなきゃいけない。そういう意味では、一遍にということはやはり無理なんだし、ワクチン頼みで全てを解決するということではなくて、やはり検査との合わせ技しかないんじゃないか、この認識が一致できるかどうかというのが一点。
 やはりそのためには、学園や職場といった単位で思い切って簡易検査を行うこと。これは、簡易検査であっても、医療機関との連携を条件にすればしっかりとしたフォローができるということだし、自費検査を行っている医療機関にもメリットがあると思うんですね。
 こういう意味で、国は検査の拡充を後押しすべきだと思いますが、御意見を伺います。
○宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。
 新型コロナウイルスの検査につきましては、感染が疑われる方など、検査が必要な方がより迅速、スムーズに検査を受けられるように、そうした形になるように体制を引き続き整備をしていくということ、そして、濃厚接触者に加えまして、感染拡大防止の必要がある場合には広く検査を受けられるようにするということが大変重要だというふうに考えております。
 今委員御指摘のございました無症状の方への検査ということで、現在、高齢者施設等の従事者への定期的な検査というものをお願いをしているところでございますが、これは、先ほど御紹介ありましたように、高齢者の方々が重症化リスクが高くて、集団生活をしている施設でクラスターが発生した場合の影響も大きいという点を踏まえまして、地域の感染状況に応じて、四月から六月にかけての定期的な検査の実施をお願いをしているところでございます。
 これは高齢者が重症化しやすいというエビデンスに着目しての取組ではございますけれども、こうした定期的な検査とは別に、例えば内閣官房におきますモニタリング検査におきましては、事業所やあるいは大学等を対象にして検査を行うような取組も進めているところでございます。また、厚労省におきましては、最大八百万回分の抗原簡易キットを確保しまして、これは、従事者の方などで軽度であっても症状が表れた場合に早期に発見をして対策につなげていくという観点から、こうした抗原簡易キットの活用というものも今取組を進めているところでございます。
 いずれにしても、こうした様々な検査手法を活用いたしまして、厚労省のみならず関係省庁とも連携しながら、検査体制の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 検査の充実ということでおっしゃっていただいたと思います。
 ずっと前から、もっと抜本的な拡充をと呼びかけてまいりましたけれども、ようやくここまで来たのかなと思いますが、引き続き、簡易キットの活用もしながら広げていただきたいということを重ねて指摘をしたいと思います。
 それで、沖縄を入れて十都道府県で、緊急事態宣言、来月二十日まで延長するということがほぼ決まりであるみたいな報道がされております。
 それで、まず内閣府に単純な質問でございます。緊急事態宣言は、人の流れを止めることが一番の目的ではなかったんでしょうか。
○和田大臣政務官 お答え申し上げます。
 今回の緊急事態宣言におきまして、基本的対処方針にありますとおり、感染拡大の主な起因となっている飲食の場面に対する対策の強化を図るとともに、人と人との接触機会を減らすために、人の流れを抑制するための取組を行うなど、徹底した感染防止策に取り組むこととしております。
 したがいまして、委員御指摘のとおり、人の流れを止めること、これは最も重要な目的の一つとなっております。
 大型連休後は、イベントの開催に当たりましての人数上限規制や収容率の規制、また、大型商業施設については時短を設定し、テレワークの七割のお願いや飲食店の時短のお願いもしております。さらには、自治体の判断で上乗せ措置ができることにもなっている次第でございます。
 引き続き、宣言の実効性の担保を担っていただいております自治体とも連携をしながら、基本的対処方針に沿って実効性のある対策を講じていく所存でございます。
○高橋(千)委員 人の流れを止めることが最も重要であるとお答えいただきました。
 最初の緊急事態宣言は、昨年四月七日、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の七都県でしたが、十六日には全都道府県に広げました。そのときはまだ岩手県のようにゼロだった地域もあったわけですが、そういう中で全体に広げた理由について、都市部からの人の移動等によりクラスターが都市部以外の地域でも発生し、感染拡大の傾向が見られ、そのような地域においては、医療提供体制が十分に整っていない場合も多いことや、全都道府県が足並みをそろえた取組が行われる必要があったことから、全ての都道府県に感染拡大の防止に向けた対策を促してきたと書かれているわけであります。
 第一波、第一回の緊急事態宣言中のピークは七百二十人でした。それが百人台に落ちて解除していたことを思えば、効果を出したとその瞬間は言えるのではないでしょうか。しかし、その後の展開は、なぜ今解除なのか、なぜ今宣言なのか、なぜ今GoToなのかと、政府の対策は、対策といいましょうか、判断、ずらしまくっていたと指摘せざるを得ません。まして、こうしたときになぜオリパラだけは実施なんでしょうか。
 政府の基本的対処方針分科会の舘田一博東邦大学教授は、東京で緊急事態宣言が出されている状況で五輪ができるとは思わないし、それが分科会のコンセンサスだと述べました。
 ところが、IOCのコーツ副会長は、宣言があっても五輪はできると述べ、バッハ会長は、誰かが犠牲にならなければと発言したことに批判が集中しています。
 もう一度聞きますが、緊急事態宣言で人の流れを止めることとオリンピック・パラリンピックを実施することは、なぜ矛盾しないのでしょうか。
○植松政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、コロナ対策につきましては、安全、安心の確保ということで、まずは感染拡大を最小限に抑えるということで取り組んでいるところでございます。
 その上で、東京大会に向けましては、最大の課題であります感染症対策に対処するために、国、東京都、大会組織委員会、それから感染症の専門家等によりまして、コロナ対策調整会議による実効的な対策の検討を進め、先月の二十八日に変異株等を踏まえた追加的な対策について方針を取りまとめたところでございます。
 東京大会の在り方につきましては、主催者であるIOC、それからIPC、大会組織委員会、東京都において決定されるものでございますが、政府といたしましては、引き続き、安全、安心を最優先に、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組や専門的知見も踏まえ、東京都や大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して、大会に向けた準備を進めてまいります。
 以上でございます。
○高橋(千)委員 なぜ矛盾しないのかという答弁には全くならないと思います。
 大臣にも質問したいと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックを誘致した当初、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会は、経済波及効果を約二兆九千六百億円、雇用誘発約十五万二千人とはじきました。また、二〇一三年のみずほ総研では、二兆五千億円の経済波及効果、雇用誘発二十一万人、そして観光客消費二千七十四億円、海外八十万人を含む五百五万人の観光客と試算しました。
 宿泊施設が新たに建設をされたり、東京オリンピック・パラリンピックをインバウンドを始めとする観光業への貢献としても期待していたのが政府の思いだと思うんですね。しかし、コロナ禍で、大幅に大会自体が縮小、行動も制限され、せっかく日本に来た選手たちもどこへも行くなと言われている状態になっているわけです。
 率直に、大臣に、今の状況をどう受け止めていらっしゃるのか、そもそも、私がさっき内閣府に聞いた問いの答え、なぜ矛盾しないのかということも含めて、大臣の思いを伺いたいんですね。それとも、ともかく大会を実施すれば、今までおっしゃっていた、V字回復につながるんだというふうに思っていらっしゃるのか、そこも含めてお答えいただきたいと思います。
○赤羽国務大臣 何度も申し上げたことがありますけれども、私、これまで、五十の観光地の皆様と、関係者の方々、首長の皆さん、交通事業者の皆さんと意見交換をやってきておりますが、その中で、やはりインバウンドの再開ということを期待される事業者というのは大変多いというのは、これはもう事実でございます。しかしながら、こうした感染状況が続くと、なかなかそれは展望が開けないだろうなと。
 当初は、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけにインバウンドの観光の再開がされればいいな、こういうふうに言われていた声もあった、これも事実でございますが、他方で、現在、同大会につきましては、国内外における感染状況ですとか防疫措置等を勘案して、海外の観客の受入れの断念という、そうした制約の下で開催をするという決定があったということ、これは、早期の感染収束が最重要であるという観点からやむを得ない決定であったというふうに私は思っております。
 ただ、観光立国の責任者としての観点からいいますと、これは別に、残念ではありますが、全くこれからの観光立国政策としては悲観しているというわけではございませんで、本大会は、改めて言うまでもなく、世界中から日本にスポットライトが当たる一大イベントでありますし、世界中にアピールできるまたとない機会であるというのは間違いないわけでございます。
 ですから、このため、大会特設ウェブサイトを含め、あらゆる媒体、メディアを通じながら、最新のデジタル技術等も駆使しつつ、日本各地の観光情報とか魅力を発信するとか、あと、震災から復興された東北の姿を世界中に発信できる、こうしたことも観光立国の政策としてはしっかりプロモーションも行っていかなければいけないと考えております。
 そうしたことも、この近年、一連の中で進めてまいりました、WiFi環境の整備ですとか多言語対応といった訪日外国人旅行者の受入れ環境の整備、バリアフリー化なども、これも引き続き、観光地でそれぞれ準備をしていただいておりますし、そうした整備は進めていかなければいけない、こう考えておるところでございます。
 そういうことで、それ以上は私の所掌ではないので、観光政策を。
 私は、経済効果だけということではなくて、東京オリンピック・パラリンピックに対して、ちょっとこれは個人的な思いですけれども、小学校に上がる前に東京オリンピック大会を経験したというのは、私の人生、人格形成において大変影響が大きかったということがあります。ですから、経済的な云々とかということよりも、あの大イベントを日本でもう一度開催できるということ、世界の平和の祭典でもありますし、そうしたことというのは、やはり私は、個人としては、元アスリートということもありますけれども、アスリートにとってもかけがえのない四年に一度の大会でありますから、そこは本当に大事にしてあげたいなというのが個人の意見ということで、御質問であれば、そうした答弁でございます。
 ちょっと、国土交通大臣の所管でもありませんので正式には答弁すべきじゃないかもしれませんが、高橋さんはよく個人的な感想をと言われますので、あえて御質問でございますので答えさせていただきました。
○高橋(千)委員 思いがけず、大臣の個人の思いも聞かせていただきましたけれども。
 私は、アスリートから見ても、やはり今回参加するかしないかが選手生命に関わる選択でもある、そう思うんですね。ですから、参加可能な選手だけ集まっての大会では、そこを目指してきた、最高の峰を目指してきたアスリートにとってもフェアではなく、また残念でならないのではないか。そういうことも含めて、もしアスリートの気持ちから個人的にオリンピックを思うというのであれば、そういう判断もあるのではないか、このように指摘をしたいと思います。
 オリパラ担当局に質問します。
 選手、大会関係者、ボランティア、それぞれの人数と合計をお答えください。
 アメリカ国務省は、昨日、渡航勧告のレベルのうち、四段階で最も厳しい渡航の中止を求める勧告に日本を引き上げたわけです。しかし、一方、渡航中止勧告と東京オリンピック・パラリンピックは関係ないと言っているわけで、つまり、参加はできると言っているわけなんですが、なぜ、渡航中止なんだけれどもオリパラには参加できる、なぜ、さっきも聞いた、緊急事態宣言とオリンピック・パラリンピックが両立するのか。これは担当者に伺います。
○植松政府参考人 お答えいたします。
 まず、人数の関係でございますが、東京大会に参加するアスリートの人数につきましては、組織委員会によりますと、上限の数で、済みません、これは国内合わせての数字になってしまいますが、オリンピックで一万一千九十人、パラリンピックで四千四百人と承知しております。
 アスリート以外の大会関係者の来日者数につきましては、これも組織委員会によりますと、オリンピックで五万九千人、パラリンピックで一万九千人とされており、引き続き、東京大会に向けて来日する大会関係者の人数につきましては、更に削減するなど精査が進められていただいているところでございます。
 続きまして、渡航中止勧告との関係でございますが、米国疾病予防管理センター、CDC及び米国国務省による今般の措置について、この引上げは、日本における新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえ、疾病の予防管理のために決定、周知したものと承知しております。今回の引上げでは、日本への渡航回避は勧告されてはいるものの、必要な場合の渡航までは禁止されているものではないと承知しております。
 さらに、米国オリンピック・パラリンピック委員会により、米国選手団の出場には影響がないとの声明が出されており、また、ホワイトハウスのサキ報道官におかれましても、オリンピックに対するアメリカの立場は変わっていないと強調されていると承知しております。
 したがって、現時点においては特段の影響は見込まれていないと考えております。
 政府としては、こういった、先ほど述べました安心、安全対策をきっちりすることによりまして、内外の感染状況を注視しつつ、引き続きしっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 どうして特段の影響がないという議論になるのかがさっぱり分からないんです。
 事前合宿を取りやめた自治体が、済みません、自治体というのは受け入れる自治体の意味です、が幾つになるのか、それからその理由と、これを取りやめた国が実際に事前合宿でやろうと思っていた調整をどのように図ろうとしているのか、伺います。
○植松政府参考人 お答えいたします。
 ホストタウンや事前キャンプ地での事前合宿のうち、七十八自治体が受入れ中止になったと報道等で承知しております。主な理由といたしましては、相手国の選手団が直接選手村に入ることにするなど事前合宿を行わないことにした、これは五十七自治体ということで、大半を占めております。また、相手国が合宿地を一か所に集約したというのもございまして、それは五団体程度ございます。
 事前合宿を実施しなかった選手につきましての調整につきましては、直接選手村に入るとしたようなところは自国において調整をするというようなことが見込まれておりますし、あと、合宿地が一か所に集約したところはその集約されたところで対応されることになると思いますが、いずれにしても、各競技団体において判断されるべきものと考えております。
○高橋(千)委員 ちょっと時間がないので、幾つか分けて通告したんですが、まとめて今、もう一度伺います。
 選手の場合、入国前の陰性証明の提出や入国後の簡易抗原検査、十四日間の健康情報の履歴、リサーチですね、三日間は毎日検査を条件として、待機がありません。選手村までは組織委員会の責任で移動して、その後も選手村と競技場以外は出ちゃいけないよという話になるんですが、地方の場合は、事前合宿の場合は受入れ自治体が全て対応するということになるわけですよね。まずその確認。
 それで、具体的に、地方に行く場合も公共交通機関を使わないと言われています。なので、専用車を用意しなければなりません。ただ、遠方の場合は飛行機や新幹線を使わざるを得ない。そうすると、新幹線は一両丸ごと借り切らなければならないし、飛行機でいいますと、選手が一人乗っていると、その両脇、前後、最低でも二席以上、つまり、その席を全部買い占めてスペースをつくる、そういう苦労をしなきゃいけない。その経費は国が出すということで、確認します。
○植松政府参考人 お答えいたします。
 まず、事前合宿地あるいは地方会場におきましても、御指摘のとおり、滞在先の移動手段を限定するなどの行動管理、健康管理等々が求められます。これらの措置を実施するのは、受入れ責任者が管理することになっておりまして、地方会場を含めた大会関係施設におきましては、基本的には組織委員会が受入れ責任者を務める。一方、外国から入国した選手等がホストタウンや事前合宿地に滞在する場合はホストタウンの自治体が受入れ責任者を務める、そういう整理になっているところでございます。
 次は、移動の関係でございますが、原則として公共交通機関は利用しないで、貸切りバスや新幹線一両借りなどの専用車両により移動することとし、やむを得ない場合は距離を確保した上での飛行機の利用等が認められておりますが、新幹線や航空機において選手等と一般の方を分離するための空席確保等に要する経費につきましては、国の方で支援しているところでございます。
 以上でございます。
○高橋(千)委員 これは本当にすごく大変なことなんですよね。結局、スペースを物理的に空けるために全部席を買わなきゃいけない。
 それで、国が支援するのはそのかかり増し経費だけで、公共交通機関を普通に選手が利用してきて使った分は見込まないけれども、それ以上に、席を空けるために買わなきゃいけないシート代だけを出すということなわけですね。それが決まったのが昨年の十二月の三次補正なんですよ。余りにも遅い。
 だから、自治体は、交付税措置くらいはしてくれるのかな、そんな思いで、それでも受け入れたいということで準備をしてきたということで、本当に大変なことだなと思うんですね。そこはよく対応していただかなきゃならないんです。
 それで、二十三日の毎日新聞に、村内に医療機関がないので、もしものときはお隣の弘前市に行くしかないが、日程が決まらず調整できないというコメントが載っていたのが青森県の西目屋村でした。イタリアのカヌー選手団の事前合宿を受け入れる予定だったんですけれども、皮肉にも、この記事が載った翌日に、イタリアのカヌー選手団から、先方からの、事前合宿は中止という連絡があったわけです。
 ここは、西目屋村というのは、世界遺産白神山地の入口で、ダム湖を走る水陸両用バスが人気の村であります。教育課長がおっしゃっていますが、せっかく日本に来て、西目屋まで来て、何にも見ちゃいけないし、しちゃいけない、それじゃ本当に受け入れた意味があるんだろうかと。私、そのとおりだと思うんですね。本当に村の自然を見てもらって、村民とも交流して、いい環境の下でコンディションを整えてもらうのが本来の事前合宿を考えた狙いだと思うんですね。
 だけれども、長い距離の旅をして、しかも誰にも会わないで来て、途中、乗換えとかがあったとしても、売店にさえ寄っちゃいけない、トイレ以外は一切寄っちゃいけないというのが、このプレーブックに全部書いているわけなんですね。毎日、検査、検査で選手にとっては大変なストレスなんです。
 実は、そのお隣の弘前市もブラジルのパラの柔道を受け入れる予定だったんですが、断ってきた理由は、大会のプレーブックを見て、遠方に行くのは負担過ぎるということを判断したんだそうです。成田から羽田、羽田から青森空港、そして専用道、普通でも長い道のりだけれども、その間ずっと拘束される、一般客とは動線を分けてと書いてあるから。それで、もう遠方に行くのは無理だ、やめようと判断したという、本当に切ない話ですよね。
 今の事態を大臣に伺いたいんですけれども、昨年、誰がブレーキを踏むんですか、そもそもブレーキはあるんですかとGoToトラベルのことを随分議論しましたが、似たようなところがあると思うんですね。大きな経済波及効果や今紹介したような期待した効果は、既に見込めないです。むしろ、今後もキャンセルがあったり、そこによる経済損失があります。強引に進めたことで、万が一、起こり得る変異株の感染拡大を、世界に拡大なんてことがあったら、もっと取り返しがつかないことになるんです。
 そういう意味でも、オリパラは中止すべきと大臣からも進言することがあってもいい。そうじゃないでしょうか。
○赤羽国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック大会につきましては、開催に関する最終的な決定権を有するIOCは既に開催を決定しておりますし、各国にも確認済みと承知をしております。政府としては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加ができるようにするとともに、国民の皆様の命と健康を守っていくべく、現在、関係者が一丸となって準備を進めているというところだというふうに思っております。
 私から中止の提言をという御提言ですが、私の立場からはそうしたことは思っておりません。意に沿わなくて申し訳ありませんが、そういう立場でございます。
○高橋(千)委員 そうおっしゃるとは思いましたけれども、あえてお話しさせていただきました。
 昨夜飛び込んできたニュースでも、国連のグテーレス事務総長が、我々には戦時体制が必要だ、こういうふうに、戦時中に匹敵するということをおっしゃったそうです。つまり、一九四〇年に開催が決まった東京五輪が日中戦争のために返上するということを日本側から申し出たということがあって、もしかしてこれで違約金もないんじゃないかなんということがちょっと飛び交ったりもしているんですが、やはりそういう決断もしなくちゃいけないと思うんです。
 さっき自治体の話をしましたけれども、事前合宿、取りやめになったとしても、弘前市でいうと、三年前、パラ柔道の世界選手権で受け入れた実績もあって、一度できたきずなを本当に大切にして、今、結局来ることができなかった選手団に向けての応援動画を作っているということでした。
 本当に、受入れ自治体がどんな思いで取り組んできたかと思うと胸がいっぱいになるんですけれども、だからこそ、今中止したからといって無駄にはならない、必ず次につながる取組をしているんだということを指摘をして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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