政策と提案

核燃料サイクル問題に関する質問に対する答弁書

平成十六年六月二十九日受領

答弁第一五九号
内閣衆質一五九第一五九号 平成十六年六月二十九日

内閣総理大臣 小泉純一郎

衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員高橋千鶴子君提出核燃料サイクル問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
一の1について

 原子力委員会においては、新たな「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「新たな長計」という。)の策定の準備作業として、本年一月から「長計についてご意見を聴く会」を開催するとともに、広く国民を対象に意見募集を行うことなどにより、様々な立場の方々から核燃料サイクル政策を見直すべきである等の幅広い意見を聴取したところである。本年六月十五日に設置した原子力委員会新計画策定会議においては、これらの意見を踏まえ議論が行われると考えている。

 なお、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(平成十二年十一月二十四日原子力委員会決定。以下「現行の長計」という。)においては、使用済燃料の中間貯蔵は、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的な調整を行うことを可能にするので、核燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として重要であるとしている。また、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第四十三条の四第一項に規定する使用済燃料の貯蔵の事業を行おうとする者は、同条第二項の規定に基づき、「貯蔵の終了後における使用済燃料の搬出の方法」を記載した許可申請書を経済産業大臣に提出することとされており、原子炉等規制法は、当該事業において、御指摘の最終処分を行うことは認めていない。

一の2について

 本年六月十五日現在、政府において確認した限りでは、青森県以外での中間貯蔵施設の検討状況は、次のとおりである。

 (一) 福井県小浜市では、本年三月二十四日の市議会において中間貯蔵施設の誘致推進に関する決議案が可決された。

 (二) 福井県美浜町では、本年六月九日の町議会において町長が中間貯蔵施設の誘致を議会等の理解を得た上で推進したいとの意向を表明した。

 (三) 宮崎県南郷町では、南郷町長が九州電力株式会社に対し中間貯蔵施設の立地可能性調査を要請することを表明し、本年三月十一日に開催された全員協議会において賛成多数で同意されたが、同月十五日の町議会において調査要請を中止させる決議案が可決された。これを受けて、南郷町長は、同月十八日に調査要請を当分の間見送るとの意向を表明した。

 (四) 島根県西ノ島町では、中間貯蔵施設誘致の是非を判断するために、資料収集等の調査を西ノ島町長らが行っていたところ、本年六月十一日に西ノ島町長は同施設の誘致についての勉強、調査、検討等を今後一切行わないことを表明した。

二の1について

 現行の長計においては、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用していくことを国の基本的考え方としている。また、六ヶ所再処理工場に続く再処理工場の再処理能力や利用技術を含む建設計画については、六ヶ所再処理工場の建設、運転実績、今後の研究開発及び中間貯蔵の進展状況、高速増殖炉の実用化の見通し等を総合的に勘案して決定されることが重要であり、二千十年ころから検討が開始されることが適当であるとしている。

二の2について

 現行の長計においては、使用済燃料の中間貯蔵は、使用済燃料が再処理されるまでの間の時間的な調整を行うことを可能にするので、核燃料サイクル全体の運営に柔軟性を付与する手段として重要であるとしている。

二の3について

 現行の長計においては、六ヶ所再処理工場に続く再処理工場の再処理能力や利用技術を含む建設計画については、六ヶ所再処理工場の建設、運転実績、今後の研究開発及び中間貯蔵の進展状況、高速増殖炉の実用化の見通し等を総合的に勘案して決定されることが重要であり、二千十年ころから検討が開始されることが適当であるとしており、経済性についてもその検討に含まれるとしている。

三の1について

 お尋ねのウラン試験で想定されるトラブル事例の具体的内容及び対処方針については、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)が「再処理工場のウラン試験時に発生が予想されるトラブル等とその対応について」と題する資料において公表しているところである。

 日本原燃は、本年六月十日に青森県に対して、同月十一日に六ヶ所村議会に対して、同月二十三日に青森県議会に対して、ウラン試験の概要と試験時に発生が予想されるトラブル等への対応について説明を行ったとのことである。また、日本原燃は、同月十七日に、青森県在住者を対象として、再処理工場のウラン試験に関する説明会を六ヶ所村において開催し、この中で、ウラン試験時に発生が予想されるトラブル等とその対応についても説明を行ったとのことである。

 政府としては、御指摘の点に関して、日本原燃が県民の理解を得るために以上のような所要の対応を採っていると承知している。

三の2について

 原子力委員会においては、新たな長計の策定の準備作業として、本年一月から「長計についてご意見を聴く会」を開催するとともに、広く国民を対象に意見募集を行うことなどにより、様々な立場の方々から核燃料サイクル政策を見直すべきである等の幅広い意見を聴取したところである。本年六月十五日に設置した原子力委員会新計画策定会議においては、これらの意見を踏まえ議論が行われると考えている。

三の3について

 「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」は、原子力委員会が、昭和三十一年からこれまでおおむね五年ごとに合計九回策定してきている。現行の長計は、平成十二年十一月に策定されたものであり、来年十一月で五年を迎えることから、原子力委員会は新たな長計の策定作業に着手した。このような状況も踏まえ、個別の事業についてウラン試験の実施等の具体的な進め方は、実施者である事業者が安全確保を前提に地元の御理解を得つつ判断するものであると考える。

四について

 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会(以下「分科会」という。)コスト等検討小委員会(以下「小委員会」という。)における電気事業者によるバックエンド事業のコスト試算は、現行の長計等に沿って計画的に実施されるという基本的前提の下、各事業の費用見積りが行われている。当該見積りでは、再処理工場の廃止措置等実施が数十年後となるもの等については、先行事例や現在の知見を基に一定の技術的想定を置いて費用見積りが行われており、その想定の置き方によって費用見積りが変動し得ると考えられること、また、電気事業者等による合理化努力や技術開発によっても費用が低減できる可能性があると考えられることから、本年一月二十三日に小委員会から分科会へ報告された「バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等の分析・評価」の中でも、費用見積りに影響を与える主な変動要因として、安全規制・基準の動向による変動、技術開発の進展による費用の低減、事業内容の合理化、事業実施の不確実性等による費用の変動が指摘されているところである。

五について

 建設段階における品質保証制度の整備については政府としてもその重要性を認識している。再処理施設については、これまでも、原子炉等規制法第四十五条第一項に基づく設計及び工事の方法の認可の申請に当たり、品質保証に関する説明書の添付を求めてきたところである。また、日本原燃に対しては、日本原燃再処理施設の使用済燃料受入れ・貯蔵施設においてプール水漏えい等の問題が発覚して以降、品質保証体制の点検を指示し、当該点検結果について評価するとともに、その後の改善策の実施状況についてフォローアップを行う等の指導を行っている。これらに加え、建設段階における品質保証に係る更なる制度面での対応の必要性については、現在検討を行っているところである。

六について

 新たな長計の内容については、本年六月十五日に設置した原子力委員会新計画策定会議において今後議論するものである。

七について

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)に基づき設立された原子力発電環境整備機構(以下「機構」という。)は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画(平成十二年通商産業省告示第五百九十二号)において、文献調査を実施した後、概要調査を実施し、平成二十年代前半をめどに精密調査地区を選定し、平成三十年代後半をめどに最終処分施設建設地を選定するものとされている。機構は、文献調査を行うため、平成十四年十二月から、全国の市町村を対象に最終処分施設の設置可能性を調査する区域の公募を行っている。

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