政策と提案

諫早湾干拓事業の開門調査と調整池の水質改善対策に関する質問に対する答弁書

平成十七年七月十五日受領

答弁第九四号

 

内閣衆質一六二第九四号

  平成十七年七月十五日

内閣総理大臣 小泉純一郎 

 

 衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君外二名提出諫早湾干拓事業の開門調査と調整池の水質改善対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 

衆議院議員赤嶺政賢君外二名提出諫早湾干拓事業の開門調査と調整池の水質改善対策に関する質問に対する答弁書

 

(一)について

 有明海におけるノリの生産は、海水温や栄養塩の濃度等のノリの生育条件から、通常十月頃から翌年三月中旬頃まで行われているが、同月中旬以降もノリの生育条件に恵まれる年もあり、このような年においては、同月中旬以降もノリの生産が行われることがあると認識している。

(二)について

 全国漁業協同組合連合会が取りまとめた「乾のり共販漁連別実績表」によれば、国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)における潮受堤防の締切り後の平成九年度から平成十五年度までの各年度における柳川大川漁業協同組合連合会、大和高田漁業協同組合連合会、大牟田漁業協同組合連合会、佐賀県有明海漁業協同組合連合会、長崎県漁業協同組合連合会及び熊本県漁業協同組合連合会(以下「有明海沿岸漁連」という。)のノリの共販枚数の合計は、平成十二年度以外のすべての年度が過去二十五年間の上位十位以内であり、各年度とも四十億枚前後で推移している。また、ノリの共販単価は、平成九年度以前から全国的に低下傾向にあるが、有明海沿岸漁連のノリの共販単価は、全国平均よりも高い水準を維持し、かつ、全国平均と同様の傾向で推移しているものと承知している。御指摘の農林水産大臣の発言は、このような事情を踏まえて行われたものである。

 有明海における漁業の健全な発展を確保するため、有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律(平成十四年法律第百二十号)に基づく基本方針に即して、有明海の環境の保全及び改善並びに有明海における水産資源の回復等による漁業の振興を図ることとしており、これにより今後とも漁業経営の安定及び発展に努めてまいりたい。

(三)について

 中・長期開門調査については、農林水産省に設置された中・長期開門調査検討会議において、排水門を常時全開する方法と排水門により調整池水位を管理しつつ海水を導入する方法の二ケースについて、期待される成果や海域の環境に及ぼす影響等が検討されたところである。御指摘の排水門とその周辺で洗掘を生じさせない排水の方法では、潮位や潮流等に与える変化が小さいため、短期開門調査で得られた成果以上の知見は得られないと考えられ、また、排水門を全開した場合には、排水門周辺で極めて早い流れが生じ、予期せぬ被害が生じるおそれがあると考えている。

(四)について

 農林水産省としては、中・長期開門調査が漁業環境に影響を及ぼす可能性があること等を考慮し、平成十六年五月に、中・長期開門調査を実施するのではなく、これに代わる方策として、新たに潮流、水質等の調査に取り組み、有明海の環境変化の仕組みの更なる解明等を行うことを決定したところである。これらの調査等を進めることにより、中・長期開門調査の目的とされていた本事業が有明海の環境に影響を与えているかどうかの検証を含め、有明海の環境変化の仕組みを解明するための重要な知見が得られるものと考えている。

(五)について

 本事業の総事業費は、調整池の水質保全対策を追加すること等により、現時点で二千五百三十三億円となる見込みである。

(六)について

 干拓を事業内容とする国営土地改良事業について都道府県に負担させる場合の負担金の額(都道府県が条例を定めて農家等から徴収する額を含む。)の算定方法については、土地改良法施行令(昭和二十四年政令第二百九十五号)第五十二条第四項等に規定されているが、本事業に要する費用のうち、長崎県に負担させる額は、土地改良事業計画の変更に伴い新たに造成される農地面積が当初予定のほぼ半分となった経緯を踏まえ、配分造成地の造成に要する費用が確定する工事完了後速やかに決定することとしている。

(七)について

 本事業の工事の完了は、平成十九年度中を予定しており、平成二十年度を目途に営農を開始できるよう、農家等に農地を配分する予定である。

(八)について

 長崎県が平成十五年三月に策定した諫早湾干拓調整池水質保全計画(第二期)においては、計画期間中に達成すべき水質保全目標値が設定されているが、現時点では、同計画に盛り込まれた水質保全対策が完了していないことから、調整池の水質は、水質保全目標値を上回る水準となっている。

 御指摘の事業完了時とは、本事業の工事が完了する平成十九年度を想定しており、今後とも、環境保全目標を達成できるよう水質保全対策に努めてまいりたい。

(九)について

 衆議院議員小沢和秋君外一名提出諫早湾干拓事業の進行に伴う漁業被害と環境破壊拡大への対応に関する質問に対する答弁書(平成十五年八月二十九日内閣衆質一五六第一二五号。以下「内閣衆質一五六第一二五号答弁書」という。)(十)について及び衆議院議員小沢和秋君外一名提出諫早湾干拓事業の進行に伴う環境破壊拡大と短期開門調査結果の評価に関する質問に対する答弁書(平成十五年十月七日内閣衆質一五七第九号)(四)及び(五)についてで述べたとおり、調整池の水質は、基本的には流入河川の水質を反映しているが、調整池の浅水域で生じる風による底泥の巻上げ等により、流入河川の水質と比較して化学的酸素要求量(以下「COD」という。)がやや高くなっているものと考えている。このため、関係自治体と連携した生活排水対策を進めるとともに、潜堤の設置による巻上げの抑制を図ること等により、今後とも調整池の水質改善に努めてまいりたい。

(十)について

 農林水産省九州農政局(以下「九州農政局」という。)の環境モニタリングによる観測地点であるB1地点及びB2地点におけるCOD、全窒素及び全リンの濃度が、平成九年度以降に高くなったことについては、これらの地点が、平成八年度までは海域に位置する地点であったのに対し、潮受堤防を締め切った平成九年度以降には調整池内に位置する地点となったことにより、陸域から流入する河川水の水質の影響が強くなったことが主な原因と考えている。

(十一)について

 潜堤は、調整池の浅水域で生じる風による底泥の巻上げと、これに伴うCOD、リン等の濃度上昇の抑制を目的とするものであり、平成十四年六月の土地改良事業計画の変更に先立って、九州農政局に設置された諫早湾干拓調整池等水質委員会の助言を得て、調整池の水質予測を実施した結果、潜堤の設置を含む水質保全対策の実施により、本事業の工事完了年度には環境保全目標を達成できるとの予測結果を得ている。

(十二)について

 海域環境施設は、事業実施に伴う環境の変化をできる限り小さくする観点から、調整池からの排水を潮受堤防設置前のミオ筋(流路)の方向に近づけることを目的としたものであり、これにより、浅海域への浮泥等の沈降を抑制することができることから、平成十五年六月十六日の公有土地(水面)使用許可申請書及び同月二十四日の河川協議書に記載した目的は、内閣衆質一五六第一二五号答弁書(十九)についてで述べた目的を変更するものではない。

(十三)について

 排水門の操作は、周辺漁業の操業にも配慮する観点から、その周辺の漁業協同組合との調整を図りながら行われているところであり、御指摘の期間の排水門の操作については、平成十六年六月の集中豪雨時に諫早湾外から同湾内沿岸の北部に流れ着いた大量のゴミ等が調整池から流れ出たものではないかとの漁業者からの指摘があり、事実関係について周辺の漁業者の理解を得るまでの当分の間、北部排水門からの排水を控えたものである。

(十四)について

 御指摘のとおり、両工事について平成十七年六月二十三日にそれぞれ二回の入札を行ったが不調に終わったため、入札後、各工事について入札参加者全員に対し随意契約のための協議への参加の意向を確認したところ、北部潜堤工事については最低価格の入札者である株式会社熊谷組を含む二社、南部潜堤工事については最低価格の入札者である株式会社奥村組を含む二社から協議参加の意向が表明され、同月二十七日に各社と随意契約のための協議を行い、同月二十九日に見積り合わせを行ったものである。

 この協議は、協議に参加した者から工事の積算内容を聞き取り、工事費の積算の考え方等を相互に確認するために行ったものである。

(十五)について

 農林水産省においては、再度入札を繰り返すことは可能な限り避け、落札者がいない場合には履行期の適切な確保等を考慮した上で、できる限り改めて入札手続を執ることにより、入札・契約手続における透明性の確保に努めているところである。

 御指摘の工事については、入札が不調に終わったため、改めて公募型指名競争入札の手続を執ることを検討したが、台船を用いて水上で行う特殊な工事であり新たな施工業者からの応募が望めないことや、改めて公募型指名競争入札の手続を執った場合必要な工事期間が確保できないことから、予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第九十九条の二の規定により随意契約を行ったものである。


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