政策と提案

航空自衛隊車力分屯基地へのXバンド・レーダー配備に関する質問主意書にたいする答弁書

内閣総理大臣 小泉純一郎

 

一の1及び2について

 平成十七年十月二十九日に開催された日米安全保障協議員会で発表された文書(以下「発表文書」という。)におけるXバンド・レーダー・システムは、弾道ミサイルを探知し追尾するための機能を備えた移動式地上設置型レーダー・システムである。このシステムは、移動式であること、ユニット構成であること、レーダーが機械的に回転せず前方の特定の範囲に電波を放射することといった特性を有しているものと承知している。

警戒官制レーダーであるFPS-XXは、航空機等の警戒監視を行うとともに、弾道ミサイルを探知し追尾するための機能を備えた固定式地上設置型レーダーである。

 

一の3について

 Xバンド・レーダー・システムは、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)、同盟国、友好国や海外に展開する合衆国軍隊を弾道ミサイルから防護するために開発されたものであり、ターミナル段階高高度地域防衛の射撃用レーダーを監視用レーダーに改修したものであると承知している。御指摘のブックレットに御指摘のような記載があることは承知している。いずれにしても、我が国における最適な展開地が検討されているXバンド・レーダー・システムは、発表文書に記載されているように、我が国に向かう弾道ミサイルを迎撃する能力及び我が国の国民の保護や被害対処のための能力を支援することを目的とするものである。また、合衆国がXバンド・レーダー・システムの展開のために我が国において施設及び区域を使用する場合には、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために使用することとなる。

 

二の1について

 我が国に駐留する合衆国軍隊(以下「在日米軍」という。)の兵力態勢の再編に関する協議等の中で、我が国におけるXバンド・レーダー・システムの展開について、議論がされてきたものである。

 

二の2について

 現在、合衆国内において試験運用が行われていることを除けば、現時点で、合衆国が、我が国以外にXバンド・レーダー・システムを既に展開し又は展開を予定している具体的な事例は承知していない。

 

二の3から5までについて

 これまで日米間においては、我が国の防衛に資するとの観点から、Xバンド・レーダー・システムの能力が十分に発揮できる展開地につき検討をしてきたところ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に規定する既存の施設及び区域において適当な展開地が見あたらなかったことから、自衛隊の基地を対象として検討をしてきたところである。

 また、日米間において、我が国に飛来する弾道ミサイルを探知し追尾することに最適な展開地の検討をし、航空自衛隊車力分屯基地を有力な候補地とした上で合衆国による現地調査等の結果を踏まえて具体的な検討を実施した結果、同分屯基地を最適な展開地と判断したものである。

なお、一般に、在日米軍は、その防護を自ら行ってきていると承知している。

 

二の6について

 移動式地上設置型レーダー・システムが予定されており、他の型への変更は、現在、予定されていない。

 

二の7について

 Xバンド・レーダー・システムの管理及び運用のための人員については、通常数十人規模であると承知している。その他お尋ねの点については、現在、合衆国と協議中であり、お答えすることは困難である。

 

二の8について

 Xバンド・レーダー・システムの我が国における展開により、FPS-XXの配備が完了する予定の平成二十三年度までの間における我が国の弾道ミサイルを探知し追尾する能力を補うとともに、平成二十四年度以降においても、FPS-XXとは仕様の異なるレーダーで弾道ミサイルを探知し追尾することにより、我が国に飛来する弾道ミサイル情報の確度及び同時追尾能力が向上するものと考えている。また、現在、合衆国において航空自衛隊車力分屯基地以外に我が国国内でXバンド・レーダー・システムを展開する計画はないと承知している。

 

二の9について

 御指摘の「補完的な能力」については、発表文書において記載されているように、合衆国軍隊の「パトリオットPAC-3やスタンダード・ミサイル(SM-3)といった積極防御能力」を念頭に置いている。

また、いかなる場合が御指摘の「適切な場合」に該当するかについては、個別具体の状況に即して判断する必要があり、あらかじめ一概に論じることは困難である。

 

二の10について

 御指摘の現地調査は、Xバンド・レーダー・システムの最適な展開地に関する日米間の検討に資するため、航空自衛隊車力分屯基地における電波、通信設備及び施設の状況について、在日米軍、合衆国国防省ミサイル防衛庁等が実施し、防衛庁がこれに協力したものである。その調査結果については、自衛隊及び合衆国軍隊の運用にかかわる事柄であるため、お答えすることは差し控えたい。

 

三の1について

 電磁波の影響としては、一般的には、電波干渉や発熱効果が考えられる。Xバンド・レーダー・システムが我が国において展開される場合には、政府としては、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するとともに、人体に危害を及ぼすことのないよう、必要な措置をとる考えである。

 

三の2について

 お尋ねの現地調査の目的は、二の10についてで述べたとおりである。また、Xバンド・レーダー・システムの航空自衛隊車力分屯基地への展開に当たっては、合衆国軍隊において、合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならない旨定めている日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第三条3の規定に従った対応がとられると考えている。

 

四の1について

 Xバンド・レーダー・システムについては、在日米軍が運用することとなるが、お尋ねのように在日米軍の「専用施設」になるのかどうかを含め、その運用については、日米間で適切に調整を行うこととなる。

 

四の2について

 発表文書においては、お尋ねの「適時」の情報共有については、我が国に向かう弾道ミサイルを迎撃する能力及び我が国の国民の保護や被害対処のための能力を支援するために必要な際に情報共有を行うことを意味する。

また、発表文書においては、こうした「適時」の情報共有を含め、弾道ミサイルの脅威に対応するための時間が限りなく短いことにかんがみ、弾道ミサイル防衛システムを支援するために必要な情報に関して「不断の情報収集及び共有」を行うこととしているところである。

 

四の3及び4について

 Xバンド・レーダー・システムにより得られた情報を含め、我が国に向かう弾道ミサイルを迎撃する能力及び我が国の国民の保護や被害対処のための能力を支援するための弾道ミサイル防衛に関する日米間の情報共有に関するぐ具体的な内容については、自衛隊及び合衆国軍隊の運用にかかわる事柄であるため、お答えすることは差し控えたい。

 

五について

 政府としては、Xバンド・レーダー・システムの我が国における展開については、平成十八年三月六日までに、青森県及びつがる市並びに関係する住民に対し、その理解と協力が得られるよう、その内容等を説明してきたところであり、今後とも、関係する地方公共団体等の理解と協力が得られるように努めていく考えである。

 

 


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