国会質問

質問日:2016年 12月 2日 第192国会 厚生労働委員会

長時間労働問題

裁量労働さらに悪化
残業代ゼロ法案 高橋氏が追及

 日本共産党の高橋千鶴子議員は2日の衆院厚生労働委員会で、大手広告代理店・電通の女性社員の過労自死事件を取り上げ、長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ法案」(労働基準法改悪案)の撤回を求めました。
 高橋氏は、電通女性社員が担当していたインターネット広告の仕事は、法案で裁量労働制を拡大する「課題解決型提案営業」に該当すると指摘。労働時間の把握も難しく、労災も証明しにくい裁量労働制を拡大するべきではないと求めました。
 高橋氏は、みずほ情報総研の調査をもとに、長時間労働の大きな原因は、人員の割に業務量が多いことだと指摘。「『消灯を早めればよい』といった精神論では解決しない」と強調しました。塩崎恭久厚労相も「さまざまな要因にきちんと対応することが必要だ。精神論ではない」と応じました。
 その上で高橋氏は、現行の「企画業務型裁量労働制」に対する厚労省の調査で、1日の実労働時間が10時間を超える人が、最長の人の場合で75%となるなど、長時間労働の傾向が出ていることを紹介。「長時間労働になることが分かっているのなら、対象を拡大する必要などない」と批判しました。
 高橋氏は、厚労省の検討会が、長時間労働を「法的に上限規制をしても効果がない」などの議論をしていることを告発。「何のための『働き方改革』か」と迫りました。
 塩崎氏は「規制をするという方向だけで議論をお願いしているわけではない」と強弁しました。

(しんぶん赤旗2016年12月3日付)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 十月十二日の予算委員会で、電通の過労自死事件を初め、長時間労働について取り上げました。そのとき半分近く問いを残しまして、きょうは、パネルも使えなかったものを使って続きをやりたい、このように思っております。
 私は、その予算委員会のときに、同じ電通の二十四歳の青年の過労自死が認められた二〇〇〇年三月の最高裁判決から十六年たっても変わっていないではないか、厚労省は電通に対しどんな指導をしてきましたかと聞きました。そのときの大臣の答弁は、十月十一日、つまり質問の前の日、東京労働局長が企業の幹部を呼び出して指導を行ったと答えました。また、翌日、一斉に臨検に入り、さらに、その後は強制捜査にまで異例の早さで踏み切ったことは承知のとおりかと思います。
 しかし、本来答えるべきは、これから何をやるではなくて、何をやってきたのかと聞いたわけなんです。ですから、これまで、きょうの議論で何度も出されているように、二〇一〇年、中部支社、二〇一四年、関西支社、そして二〇一五年には本社が是正勧告を受けている。会社ぐるみで違法な労働をさせている、このことが指摘をされてきたのにそれが防げなかったということではないかと思います。まつりさんの自殺は、長時間労働について本社に是正勧告がされて四カ月後だったといいます。まさに全く効き目がなかったということになるわけです。
 そこで、昨年五月から、社会的に影響の大きい企業が違法な長時間労働を複数の事業場で行っている場合に公表するとしたわけですが、たった一社であるということ。私は、予算委員会でも指摘をしましたけれども、現実に亡くなってしまってから、あるいは長い時間をかけて裁判の勝訴をしてから、それでやっと企業名が公表されるでは全く遅いと思うんです。もっと早い段階、例えば、同じ企業が、たとえ支社が違ったとしても、二度目の勧告を受けた、こうしたときにはすぐ公表する、こういうふうに踏み切るべきではないでしょうか。
○塩崎国務大臣 今御指摘の電通の高橋さんの案件を契機に、長時間労働に対しての監督の有効性についての御指摘が多く寄せられてきているわけであります。
 私どもの考え方は、先ほど申し上げたとおり、対応の強化をしてきたにもかかわらずこういうことが起きてしまっているということを重く受けとめて、そしてまた、電通の、今お取り上げをいただいている、かねてから同じような事案が出てきていたにもかかわらずまた起きたということについて、監督をする側として、監督の手だてが十分なのかどうかということ、そして体制が十分なのかどうか、あるいは考え方が十分かどうかということについて、先ほどの、事業場単位であったり労働局単位であったり、今までのやり方というものを含めて、やはり洗いざらい考え直して点検し直さなければいけないんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
 いろいろな御意見があると思いますので、ぜひ、そういう御指摘には耳をしっかり傾けて、働き方改革実現会議でも取り上げて、答えを出していきたいというふうに思っております。
○高橋(千)委員 この点は速やかな決断をお願いしたいと思います。
 先ほども紹介があったわけですが、十一月九日の厚労省主催の過労死シンポで、高橋まつりさんのお母様が挨拶をされました。
 娘は、日本のトップの企業で、国を動かすようなさまざまなコンテンツの作成にかかわっていきたい、自分の能力を発揮して社会に貢献したいと夢を語っていました、こう切り出して、希望を持って生き生きと働き始めたことが紹介されました。
 それなのに、十一月には、今紹介した最高裁の事案ですが、二十五年前の過労自殺の記事を持ってきて、こうなりそうと言ったこと、先輩に、死ぬのにちょうどよい歩道橋を探している自分に気がつきますとメールを送っていたことを紹介されました。自分の命よりも大切な愛する娘を突然亡くしてしまった悲しみと絶望は、失った者にしかわかりません、だから、同じことが繰り返されるのです、今この瞬間にも同じことが起きているかもしれません、娘のように苦しんでいる人がいるかもしれません、こう指摘をして、最後に、政府に対して、国民の命を犠牲にした経済成長第一主義ではなく、国民の大切な命を守る日本に変えてくれることを望みます、こう結んだ言葉を私たち国会も政府もしっかりと受けとめるべきだと思います。
 電通の捜査に全力を挙げ、働き方改革を行うと言っているのに、現在提出されている労基法改正案をなぜ取り上げないんでしょうか。この法案では、労働時間の把握が難しく、労災も証明しにくいと指摘されている裁量労働制の対象が課題解決型提案営業ということで拡大もされるわけです。
 インターネット広告を担当していた高橋まつりさんは、データの分析、報告書の作成、論文、企画書の作成も行っていたといいます。今回の法案で拡大される対象となるんでしょうか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、一般論で申し上げれば、企画業務型の裁量労働制の適用でございますけれども、これは大臣告示で三年ないし五年程度の職務経験を経る必要があると定められておりますので、新入社員の方などは一般的には対象にならないというふうに考えております。
 また、御指摘の業務内容につきましても、これが企画業務型の裁量労働制の対象になり得るかどうかは、個別の事案でございますので個々にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、御指摘のありました改正案の課題解決型提案営業の業務でございますけれども、これは法律と指針で要件を厳格に定めることとしておりますし、制度の導入に当たりましては、事業場において、労使同数の委員会におきまして、対象業務、それから対象労働者などを五分の四以上の多数で決議することが必要でございますので、一般には、対象となる方は極めて限られたものになるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 労使の合意があるから限られるだろうという答弁は、この間の、例えば派遣法の議論などを振り返ってみても、ちょっと説得力がないのではないかと思っております。
 三年から五年といっても、もう一年過ぎているわけですから、当然こうした働き方が対象になるであろう。
 電通の人事部長は、二〇〇二年の段階で、産総研の定期雑誌である「労務事情」の中に、企画業務型裁量労働制は当社の営業に直ちに適用することが難しいとして、法制度の改正が求められると訴えていたことももう知られている事実です。こうした、変えてくれ、対象にしてくれという側に立っていた電通である。そうした中でこのような働き方がされていたということを考えれば、やはりこれは対象を拡大するべきではないというふうに指摘をしたいと思っております。
 そこで、長時間労働が起こる原因は何かということなんですね。(パネルを示す)
 厚労省の委託研究で、みずほ情報総研がまとめた報告書の中にありますけれども、これは上の段は企業に聞いています。下の段はフルタイムの正社員である労働者に聞いているんですが、共通しているものがあるんですね。トップは、顧客からの不規則な要望、四四・五%。業務量が多い、四三・三%。仕事の繁閑の差、三九・六%。そして、人員不足が三〇・六%です。
 さっきペナルティーの話が出ましたけれども、電通と政府は契約する関係にあるわけですから、契約方の政府がこんな無理な要望をしていないのか、このことも当然問われなければならない。このことはみずからのこととして考えていただきたいと思います。
 それから、下の方は労働者の方なんですが、トップは、人員が足りない、これは括弧して、仕事量が多い、四一・三%、これは合わせているんですね。予定外の仕事、三二・二%。これはやはり共通していますよね。人員の割に業務量が多いということが明確なんです。
 安倍総理が、当初、自身のサラリーマン時代の経験に照らして、自分は八時に帰りたいけれども、なかなか周りの雰囲気がそう許さないということを述べていましたけれども、周りに遠慮して早く帰れないというのは、これは、この下の方にあるんですよ、五・四%。そんなのが理由ではないんです。消灯時間を早めればよいといった精神論では解決しない、このことは言えると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎国務大臣 長時間労働の背景というのはさまざまなものがあるんだろうと思います。御指摘のように、業務量とか人員不足の問題とか、あるいは発注者とか取引先からの、今もお話が少し出ましたが、アンケートの中にも若干ありますけれども、急な要請とか納期への対応をしないといけないとか、長時間労働をよしとするような企業の業務プロセスあるいは人事評価、まあ人事評価というのは大きいと思いますね、さまざまな要因があるんだろうというふうに思います。
 こういうことでありますので、長時間労働の是正については、直接的には、三六協定の実効性をどう確保するのかということが大事でありますので、先ほども申し上げましたけれども、時間外労働規制のあり方、これを含めて総合的な見直しを行っていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 やはり、先ほど来出ているように、文化のようなものの要因というのをしっかりと分析した上でそこにアドレスをちゃんとしないとなかなか変わらないのかなというふうに思っておりますので、しっかりやっていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 いろいろなことを言いましたが、精神論だけでは解決しないという点では一致していただけるでしょうか。
○塩崎国務大臣 今申し上げたように、さまざまな要因にさまざまにきちっと対応していくということですから、それは精神論ではないということだと思います。
○高橋(千)委員 よろしいです。
 電通ショックで、いろいろな企業が消灯時間を早めたりとか、あるいは、社内メールを一定の時間の後はやめてくださいというふうなことをやっている。それも大事なことかもしれませんが、結局残業隠しになっている。これでは全然意味がないわけですから、なので、精神論ではないということを確認させていただきました。
 次に、連合総研の二〇一二年の調査で、残業手当が支給されない者の割合、つまり、支給される立場でない者、三三・一%、例えば管理職ですとか、あるいは、今の裁量労働制のような働き方というのがあると思うんですが、三分の一というのはとても多いと思いますよね。これをどう思いますかということと、今回の法案によって、そういう残業代が支給される立場、あるいは働き方ではない人がどのくらいになるとお考えでしょうか。
○山越政府参考人 御指摘の連合総研の調査でございますけれども、これは労働者のアンケートで、残業手当が支給される立場か否か、そういう設問で、正社員につきましては支給される立場であるという者が六九・九%となっていることは承知をしております。
 このアンケートでございますけれども、これは、労働基準法上の割り増し賃金の規制が適用除外されております管理監督者が対象に含まれておりますし、また、残業が発生しない可能性のある方の取り扱いもはっきりしないということもございます。こういう点からすれば、数字だけを見て評価することは難しいのではないかというふうに考えております。
 それから、御質問のございました法案についてでございますけれども、現在提出をしております労働基準法改正案で創設する高度プロフェッショナル制度でございますけれども、これは、対象業務につきまして、まず高度の専門的知識等を要する、あるいは、従事した時間と成果との関連性が通常高くないといった考え方を定めますとともに、年収要件を定めることにしております。支払われることが確実に見込まれる賃金の額が平均給与額の三倍を相当程度上回ることを法律に規定いたしまして、具体的な年収額として一千七十五万円を参考に省令で規定することとしております。
 それから、裁量労働制の追加業務でございますけれども、これも法律と指針で要件を厳格に定めますとともに、制度の導入に当たりまして、労使同数の委員会で対象業務、対象労働者を決議するということにしておりますので、先ほど申しましたように、対象となる方々は極めて限られた者になるというふうに考えているところでございます。
○高橋(千)委員 資料の二枚目を見ていただきたいと思うんですね。
 数字が定かではないというような答弁をされました。これは、正社員の部分の今の内訳を書いたものであります。残業手当の受給資格の有無、これは、支給される立場である、六九・九%、立場である人の話ですよ、今度は。それで、実際に残業手当を申告しているかどうか。それが、申告しなかった時間があると答えた人が四一・五%いらっしゃいます。では、それがなぜなのかというときに、一番多い青の部分は七六・五%、申告する際、自分自身で調整したから、これがこんなに多いんですね。
 それは、さっき議論した高橋まつりさんのことも同じなんですね。過少申告していたのは、結局、三六協定の特別条項の上限七十時間に合わせてぎりぎりの時間を申告していた。だけれども、入退館ゲートのデータを調べたら、百三時間とか百時間を超える残業がいっぱいあったということがわかって認められたわけですけれども、結局、そういうことが自主申告という形で実際は抑制されているということも既に起こっているし、実際にこんなにあるわけですよね。
 だったら、このことにやはりきちんとメスを入れなければ、なぜこういうことが起こっているのか、メスを入れなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○山越政府参考人 使用者が今御指摘のありました労働時間を適切に把握、管理することは非常に重要であるというふうに考えておりまして、こうした観点から、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準を定めているところでございます。
 これに基づきまして、労働基準監督署が行います監督指導におきましては、この基準に従いまして労働時間が適正に把握されているかの確認を行っておりまして、その際に、自己申告により把握された労働時間が実際の労働時間と合致しないのではないかと疑われるような場合には、使用者に対し実態調査を行うように指導しているところでございます。
○高橋(千)委員 その具体的な要因をしっかりと調査していただきたい。
 先ほど、大西委員が数字の表を出されたんですが、それをグラフにしたものがこれなんですね。企画業務型裁量労働制の一日のみなし労働時間と実労働時間なわけです。
 これは、上がみなし労働時間で、平均時間は八時間十九分で、みなし時間というのは大体一日八時間の枠におさめるわけなんですけれども、実労働時間で見ると、平均すれば九時間十六分ですが、十時間超えが三一・七%、最長の者は、平均十一時間四十二分で、十時間超えが七五%にもなっている。
 だから、これが必ずしも裁量がきいている働き方なんだと言えない、労働時間が長く出ている、このことをしっかりと踏まえることが必要だと思います。
 時間の関係で次の問いを、続けて言いますけれども、大臣に伺います。
 例えば、外資系の企業で企画業務型裁量労働制で働く男性は、労働時間は自己申告なので少なく申請すると言っていました。なぜかと聞いたら、自分がプロジェクトマネジャーだからチームの成果に責任を持たされる、長く働くやつは仕事ができないやつ、そういうイメージになっちゃうから、自分で自分を管理する仕組みがつくられているんですね。先ほどのグラフの証明になると思うんです。また、同じ社で別の部署で働く男性は、裁量労働制ではないが、今度対象になるかもしれません、クレーム処理や外国との交渉など、二十四時間のべつ幕なし仕事をしている、まさに医師のオンコールに似ている状態なんですね。
 そういう仕事だとわかっているからこそ、労政審の建議でも、「労働基準法第三十八条の四第三項に基づく指針において、「当該事業場における所定労働時間をみなし時間として決議する一方、所定労働時間相当働いたとしても明らかに処理できない分量の業務を与えながら相応の処遇の担保策を講じない」」、つまり、労働時間におさまっているけれどもとても処理できない、だからサービス残業しなきゃいけない、そういうことはしないということですよね、指摘しているのは。「「制度の趣旨を没却するものであり、不適当であることに留意することが必要である」」と明記している。
 私は、長時間労働になり得るということがわかっているなら、担保云々の前に、広げる必要はないと思います。大臣、いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 裁量労働制の件でお尋ねでございますけれども、自律的で創造的に働くことを可能とするための制度ということで組み立てられているわけで、業務の遂行手段あるいは時間配分をみずからの裁量で決定するというのが本来の姿であるわけでございます。
 一方で、厚生労働省が実施をした実態調査、これは、企画業務型の裁量労働制で働く方の労働時間を見ますと、今お話がありましたけれども、平均的な方につきましては、みなし労働時間で働く方と大きく異ならない一方で、一部にみなし労働時間で働く方よりも長い傾向が見られるということは事実だと思います。
 みなし労働時間の設定につきましては、現在でも、業務の内容や裁量労働制の制度趣旨等を踏まえながら、労使同数の委員会でよく話し合った上で、五分の四以上の多数で決議をしていただくということになっておりますし、また、労使委員会が決議をしたみなし労働時間と実労働時間との間に乖離がある場合には、これは監督署が労使委員会に再考を促す指導を行っているという形になっております。
 さらに、現在提出している労働基準法改正案に合わせて、労働時間に関する働く方の裁量を損ねるような過大な業務が課されることのないように、法に基づく指針で措置をすることとしておりまして、これらによって、労使同数の労使委員会でみなし労働時間が適切に決定されるように周知、指導に努めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 みずからの裁量がほとんどないという実態だからこそ、今こういう議論を進めてきたと思っております。
 政府が年内にもまとめを出そうとしている働き方改革実現会議に資するためという厚労省の時間外労働規制に関する検討会、これは、実は議事録もないので中身がわからないんですね。その中で、十一月十五日に出された主な意見を見るだけでも、裁量労働制拡大の方向だというのが見てとれます。
 例えば、現場のマネジャーについては、仕事の進め方についてどう組み立てていくのかというマネジメントの訓練が必要だ、現場のマネジャーが現場を仕切れるかで組織全体の労働時間が変わる、今私が指摘したことと同じことじゃないですか。それをよくわかっていて、この有識者たちは言っているんですよ、マネジメントの訓練さえすればということを言っている。
 それとか、緊急事態等に対応する必要もあって、一カ月単位の規制が難しいのであれば、より長い期間での規制もあり得るということを言っている。先ほど言ったように、繁閑があると言っているわけですよね。繁閑に合わせて長いスパンで労働時間を守れと言ったら幾らでも守れちゃうんですよ。仕事が余りないときに、それを十分ならしていけばいいことだ、それでは解決にならないだろうということを議論してきました。
 長時間労働が常態化している職種にはそれぞれの課題があり、個々の課題を解決していかない限り、法的な上限規制をしても思うような効果を上げられないのではないか、こんなことを言っているんですね。有識者ばかりが集まって、あれこれ議論して、結局、法的規制をしない方がよいという結論になるのでは、何のための働き方改革かわかりません。大臣、そうではないと一言言ってください。
○塩崎国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、長時間労働の規制のあり方について議論をしていくことが大事であるということを申し上げて、規制をしていくという方向だけで、直接規制をしていくということで、あるいは一律規制をしていくということだけで話をまとめてくださいということをお願いしているわけではなく、長時間労働の規制がどう実効性を持って、それぞれの働く人たちの意思に基づいて働けるようになるのか、つまり、働く意欲を持っていない人が長時間働かされるということがあってはならないわけでありますので、そういう意に反する長時間労働が行われてしまわないようにするための規制のあり方について議論を賜るということが、いずれの場でも大事だというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今言ったことをしっかりと踏まえていただきたい。
 これは途中の経過だから、まだそういう議論、答えしかないと思うんですけれども、現実に起こっていることをしっかり踏まえて、せっかく、これまでにない調査を、この検討会をやることによっていろいろな調査ができました。裁量労働制の調査だって、今までなかったわけなんです。それをしっかりと生かしていかないと、結局規制は要らないよという話になったら意味がないわけですから、そこはしっかりとお願いしたい、このように思っております。もちろん、今の労基法ではなくという意味で言っております。
 そこで、残りの時間で、労災の問題でぜひ質問したいと思っています。
 最後の資料に過労死等の時間外労働時間数というのがあって、これは五年分をまとめたものなんですけれども、精神障害が八十時間以上の合計で八百七十五件あるんですね。その下の方には、八十時間未満というのが八百八十八件もあるということなんです。私、問題にしたいのは、これでもまだ実態の一部にすぎない。つまり、支給決定されない人、争っている人、入り口で断念した人など、さまざまいると思います。
 そこで、まず大臣に認識を伺います。
 長時間労働とパワハラ、セクハラなどの複合的な要因が労災申請の原因になっていると思うが、どうか。また、心を病んだ人が労災を申請し認定されるまでの道のりは、傷ついた要因を振り返ることでもあり、困難な道のりであります。それを理解した十分な対応ができていると思いますか、伺います。
○塩崎国務大臣 御指摘のように、精神障害につきましては、長時間労働による心理的な負荷だけではなくて、仕事の失敗とか、あるいは過重な責任の発生とか、職場における役割や地位の変化、嫌がらせ、いじめ、セクハラなど心理的な負荷によって発病するものであって、これらを総合的に評価して労災認定を行っているところでございます。
 業務により精神障害を発病された方が労災請求をしやすくすること、また、審査を迅速にスピーディーに行っていくことは大変大事だというふうに思っております。
 こういうことで、平成二十三年十二月に心理的負荷による精神障害の認定基準というのを策定しておりまして、認定要件を明確にすることで、それまでより労災請求をしやすい、また、迅速に審査ができるようにということを、この基準の設定によってできるようになったのではないかというふうに思っております。
 引き続き、迅速かつ適正な労災認定を行っていかなければならないというふうに考えております。
○高橋(千)委員 二〇〇九年、NTT西日本兵庫営業部課長代理の四十六歳の男性が強制わいせつ致傷と監禁容疑で逮捕、送検された事件がありました。取引先の営業担当だった二十歳代の女性をホテルに連れ込み、俺は仕事上で神様やなどとおどして、体をさわり、右足に軽傷を負わせた上、八時半ころまで監禁した疑い。これは新聞でも報道された事件なんですが、問題となったのは、会社側が、社員のプライベートのこととはいえとコメントしたこと、これは、社員の内々の話だというふうな意識を披瀝してしまったことで批判が集中したわけなんです。
 私は今、そっくりな案件で、NTT東日本に対して労災の再審査請求をしている女性の話を聞きました。
 電通以上に誰もが知っている大企業で、こうした案件を社員のプライベートの問題と片づけて自浄能力を果たせない、あの手この手で労災認定を阻止するようなことがあってはならないと思います。
 この当該女性が労働基準監督署長名で八月に受け取った不支給の決定通知書には、本請求にかかわる精神障害の発症については、精神障害の認定基準である発症前おおむね六カ月の間に発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷があったとは認められず、業務起因性が認められないためとありました。
 厚労省のパンフレットにも、これは必ず機械的に六カ月前ではなくて、その出来事がその前から起こっているけれども繰り返されている、そうしたことを評価するとちゃんと書いているわけなんです。
 大臣が言った基準が決められてから、昨年の十月にはもっと詳細な要綱が出されております。そうした被災者に寄り添ったことをやれと言っていながら現場ではこんな機械的な対応がされている、これは本当に直ちに是正をしていただきたいと思いますが、どのように対応していただけますか。
○山越政府参考人 お答え申し上げます。
 心理的負荷による精神障害の認定基準におきましては、今御指摘のありましたように、発症前おおむね六カ月間に業務による強い心理的負荷が認められることを認定要件の一つとしているわけでございますが、いじめやセクハラのように行為が繰り返されるものにつきましては、発病の六カ月よりも前にそれが始まり、発病まで継続していることもあるわけでございまして、このような場合は、いじめなどが始まった時点から心理的負荷を評価することとしておりますので、引き続き適正な労災認定に努めるようにしてまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 また続きをやりたいと思います。これで終わります。

 

――資料――

【資料1】残業が発生する理由

【資料2】残業手当:受給資格の有無、申告状況、未申告の理由

【資料3】企画業務型裁量労働制の1日のみなし労働時間・実労働時間

【資料4】過労死等の時間外労働時間数別支給決定件数

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