ちづ子へのエール住民とともに(質問のエピソードと会議録など)
お便り紹介

保育士試験についてーほいくん2号さん

前略 私は、首都圏の政令指定都市に勤務しており、長く、認可保育所の指導部門に籍を置いていたことがあり、日頃より、保育所や保育士についての事柄には関心を持っております。

先日は、大津市で保育所園児の列に自動車が突っ込むという、言葉にならないほどの痛ましい事故が起こり、保育士の充実や、保育所の安全確保には、一層の努力が必要と感じたところです。

さて、保育士につきましては、先月4月に国家資格試験である保育士試験が実施されました。この試験に合格することにより、保育士資格が付与されるものです。

しかし、試験問題の内容を拝見する中で、設問として不適切ではないかと思える部分があり、厚生労働省や、試験実施機関である全国保育士養成協議会に問い合わせをしましたが、厚生労働省からは何の返事もなく、全国保育士養成協議会からは、「筆記試験問題の内容に関するご質問の回答はしておりません。いただきましたご意見等につきましては、保育士試験委員会に提出させていただきます。ありがとうございました。保育士試験事務センター」と木を鼻で括ったような返事があるのみです。(ネットで検索すると、どんな質問投稿に対しても同じ返事のようです。)

問い合わせの内容としては、次のようなものです。

保育士試験の教育原理の問6を拝見いたしました。内容は、近年の教育運動に関する人物に関し、正しい内容の選択肢を選ぶものです。

冒頭、「次の文は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての新教育運動に関する記述である。」という記載で始まります。そして、Aの選択肢は、コメニウスについての内容となっています。コメニウスは、17世紀の人物ですから、問題文からして、誤った記載です。問題文で19世紀後半から20世紀初頭にかけてと断言してしまって、そのうえで正しい内容を選ばせるのは、設問として不適当と感じます。

Aの選択肢だけを読めば、誤った記載ではありません。しかし冒頭文と組み合わせれば、コメニウスは17世紀の人物ですから、不整合でもあります。この問題は各人物について正しい理解をしていても、1と解答すべきか、3と解答すべきか、分からないと考えます 。

これが単なる資格試験であれば、私はこのような意見を述べるつもりはありません。

しかし、私たち大都市における保育所の待機児童対策は、今も大変なものがあります。

保育所の建物を作るのはある意味簡単です。予算を組んで、土地を見つけて、工事を発注すれば良いことです。

しかし、子どもの保育を担う保育士の不足は、本当にどうしようもなく、苦労しています。

保育士養成校に対して、養成人数の増加(定員の増加)を要請しても、学生となるべき世代が減少(少子化)する中で、どの学校も設備の拡充には消極的です。

しかし、保育士配置基準をいたずらに緩和することは好ましくないのは、誰もが承知のことです。それであれば、最後の手段として、保育士試験での合格者が増えるしかないと考えていました。もちろん、それさえ、保育士の質を低下させることは本末転倒ですし、試験問題を簡単にしたほうが良いとは思いません。

しかし、この問6はひどいと思います。子どもの保育の質に関わる知識であればともかく、問題文の設問部分と矛盾する内容を選択肢に置くようでは、折角、保育士試験を受験しようと考えた方々が「こんな意地の悪い問題が出るくらいならもうこの試験はやめた」と思っても無理ありません。実際、そのような声を聞きます。

認可保育所の設置者は、保育士有資格者を募集するのに、大変な苦労をしています。

それどころか、有資格者を、高い給料でごっそり引き抜く例もあり、引き抜かれた保育所はやむなく、保育士を人材派遣会社から派遣してもらうような例もあります。大好きな先生が突然いなくなることに戸惑う子ども達のことを思うと、悲しくなります。

保育士になろうと思う方々が一層増えて欲しいと考えます。

折角、保育士になろうと思って試験を受験しようと思い立った方々の意思をつぶすような問題が今後出題されないよう、お願いしたく、保育士行政を所管する厚生労働省のお考えをお聞かせ願います。

(参考)平成31年保育士試験(前期)問題 教育原理 

問6 次の文は、19世紀後半から20世紀初頭にかけての新教育運動に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×として場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A コメニウス(Comenius,J.A)は、事物による教育を提唱し、絵入教科書「世界図絵」を作成した。

B デューイ(Dewey,J.)は、「為すことによって学ぶ(learning by doing)」ことの重要性を説き、子どもたちが経験を通して学習することを提唱した。

C ドルトン・プランは、パーカースト(Parkhurst,H.)によって開発されたプランである。

D キルパトリック(Kilpatrick,W.H.)は自主的な問題解決に取り組ませるプロジェクト・メソッドを確立した。

(組み合わせ)

  A B C D

1 ○ ○ ○ ○

2 ○ × × ○

3 × ○ ○ ○

4 × ○ × ○

厚生労働省や、全国保育士養成協議会へ質問した内容は以上ですが、この保育士試験は、受験料も高く13000円近くもします。そして全国保育士養成協議会は、資格試験実施を厚生労働省から受託したことで、多大な利益を得ていると思います。

もちろん、適正な実施をしているならともかく、上記のようないい加減な問題を国家試験として出題して、多くの受験生を惑わせているように思います。

聞けば、これまでも不適切出題ではないかとの声が上がったものが多くあったそうです。それにもかかわらず、厚生労働省は、この団体に試験実施を委託するのは、なぜなのでしょうか。

厚生労働省も全国保育士養成協議会にも、無視されていたたまれません。是非先生に問題提起をお願いしたいと思っています。

ツイッターでも声が上がっているのでご覧下されば幸いです。

よろしくお願いいたします。

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