国会質問

質問日:2004年 3月 4日 第159国会 予算委員会

鳥インフルエンザ 補償の制度化を

 日本共産党の高橋ちづ子議員は四日の衆院予算委員会で、鳥インフルエンザ感染拡大をくい止めるため、家畜伝染病予防法(家伝法)を改正し、搬出制限を余儀なくされた業者への損失補償の制度化や家畜所有者の通報の義務化を求めました。

 亀井善之農水相は「当該地域の関係業者が大きな損失をこうむらないよう、補償を制度化する面で検討したい」と答弁。農水省の中川坦消費・安全局長は、同日付で各都道府県に対し、家伝法にもとづく養鶏業者の報告を義務付けるよう通知したとのべました。

 高橋氏は、京都府丹波町の事例の最大の問題は「封じ込めに失敗したこと」で、同府で二例目の発生も「初動の防疫措置が決定的に遅れたものだ」と指摘。農水省が昨年九月に作成した「防疫マニュアル」も行政指導にとどめ、通報義務を業者に課さないなど、「BSEの教訓でもある、最悪の事態を想定するという危機管理の考え方が甘かったのではないか」と迫りました。

 亀井農水相は「都道府県への徹底のほか、『マニュアル』の補足も周知させてしっかり対応したい」とのべ、「マニュアル」を改訂する考えを明らかにしました。

 高橋氏はまた、「自治体が独自にとりくむ補償に財政措置を講じるべきだ」と追及。麻生太郎総務相は「財政運営に支障が生じないように対応したい」と答えました。

 高橋議員は同日夕の農水委員会でも、鳥インフルエンザ感染拡大は「観光産業や加工業者をふくめ地域経済に与える影響は大きい」と強調。経済産業省の福下雄二審議官は、鶏肉卸小売業者や飲食店など関連中小業者への対策として、特別相談窓口の設置と運転資金の特例貸し付けを決めたことを明らかにしました。

(2004年3月5日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 二月二十六日深夜、京都府丹波町の浅田農産船井農場で発生が判明した鳥インフルエンザが、一週間も通報しなかったことや、その間、鶏や卵をそのまま出荷し続けたことで、搬出先の兵庫での発生、羽毛からのウイルス検出など、二十三府県に影響を及ぼし、全国的な課題となっております。しかも、昨夜の京都府での二例目の発生は、船井農場からわずか五キロ、町中心部に近く、役場や中学校が近くにあるということで、大変な動揺を広げています。次は自分のところかもしれないという不安に駆られる養鶏業者の皆さん、周辺住民の皆さんの不安はいかばかりかと思われます。

 日本共産党の国会議員団は、これまでも山口、大分と現地調査を行い、対策を国に求めてきましたが、改めて、京都府を初め、兵庫、愛知、大阪を初めとする各地域の国会議員団が現場に飛び、関係者の要望も聞き、きのう農水大臣に申し入れも行ったところであります。

 そこで、まず、今回の事件の最大の問題は、封じ込めに失敗したということであります。獣医に診せたら腸炎を疑ったという発言、これが虚偽だったということが判明しましたが、まさに今回は極めて悪質なケースだと言わなければなりません。

 浅田農産は、一社で百七十五万羽を扱っているそうです。これは、九七年の香港で発生した鳥インフルエンザの発生時に殺処分した数が百二十万羽といいますから、たった一社でこの香港の殺処分の数を上回る大変な規模であり、同時に、浅田農産の会長は日本養鶏協会の副会長として指導的立場にもあった人物であります。当然、鳥インフルエンザの感染を警戒すること、通報義務など、全く知らないはずがありません。しかも、昨夜の京都二例目の発生は、初動の防疫措置が決定的におくれたものと言えるのではないでしょうか。

 そこで、農水省は、この間、昨年九月に高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルをつくって対応してきたと言っておりますが、このマニュアルはあくまでも行政指導であり、業者が法的に従う義務がないものであります。通報義務が業者に課されていなかったことなど、非常に不備が指摘されております。そもそも最悪の事態を想定するという危機管理の考え方が甘かったと思われますが、見解を伺います。

○亀井国務大臣 マニュアルを九月につくり、そして、いろいろ都道府県にも指導をし、韓国での発生、そういう時点でも指導もしてきたわけであります。

 しかし、今回のケース、養鶏業者が通報をせずに、鶏が大量に死亡した後も生きた鶏等の出荷をする。先ほど御指摘の、養鶏協会の役員もしております。そしてさらに、大型な経営をしております。そういう面での社会的責任、これはもう本当に大きなものがある、こう思っております。

 農水省としても、今回の問題を契機に、私も昨日現地に参りまして、そしてさらに、本日は、今もやっていると思いますが、都道府県の部長を招集いたしまして、マニュアルの徹底、さらにはマニュアルにおきますいろいろの補足の点等々も十分周知をさせまして、しっかりした対応をするため引き続きさらに努力してまいりたい、こう思っております。

○高橋委員 今お話があったマニュアルの改定などの検討が始まっていると。やはりそれは、これまでも指摘したことでありますが、今までの不備を、国としても責任があったということを認めたということではないかと思います。

 業者の方が社会的責任がある、これは明確にして、刑事告訴も検討されているということでありますから、これはきちんとやっていただきたい。しかし、同時に国の責任も問われると思うんです。

 BSEが国内で発生したことを受けて設置されたBSE問題に関する調査検討委員会は、WHOが九六年の四月に肉骨粉禁止勧告をしていたのに行政指導に日本がとどめていたことを「重大な失政」と断じ、あるいは、二〇〇一年のEUのステータス評価を途中で、中断を要請したことも「政策判断の間違い」だったと指摘をして、日本は行政の危機意識が欠如し、最悪のケースを想定して防疫体制を強化しておく危機管理の考え方が欠落していたと厳しい指摘をしています。

 こうした教訓を学んでいたとは言えません。大分でいえば、チャボ一羽、これを本当に、農家ではない個人の方が通報してくれた、まさに善意の通報によって初動の対応が封じ込めに成功したわけですよ。そのことを考えれば、改めて、今までは幸運だったと言わざるを得ないんです。重ねて、国の責任、認識を伺います。

○亀井国務大臣 今いろいろ御指摘がございましたけれども、私ども、精いっぱい努力を積み重ねてきておりまして、山口県のケースにつきましても、大変な努力をしていただきましてあの地域での終息を迎えることができたわけでありますし、大分につきましても、通報と。これは、今日、鳥インフルエンザがアジアを中心として発生をしている、そういう中で、国民の皆さん方のそれに対する御理解、こういうところとあわせて、やはり私ども行政におきましてもきめ細かく努力をしておるわけであります。

 しかし、残念ながら、京都のケースにつきましては、早期の通報、こういうことが、またさらには、そういう大量死が発生しておるにもかかわらず出荷等々の問題、本当にそういう点、まことに残念でならないわけでありまして、これをまた一つの、京都の例をさらに私ども肝に銘じて努力をしてまいりたい、こう思っております。

○高橋委員 国の責任についてはちょっと言及されなかったのかなと思います。

 改めて伺いたいんですが、そういう現地の精いっぱいの努力にこたえて、一つは、今の不十分だった通報義務について家伝法の改正を検討しているのかどうか、確認をいたします。

 それから、損失補償の問題です。感染拡大を食いとめる上で、どうしても防疫によって被害を受ける業者に対して損失補てんは重要であります。移動制限の規定によらない搬出制限を、家伝法に基づく制限の規定によらない搬出制限を余儀なくされて損害があった鶏卵業者、ブロイラー業者に対する補償について、法改正を検討しているのか、明確にお答えをお願いします。

○中川政府参考人 私の方から、まず冒頭の、通報をきちっと担保するための措置について、今考えていることをお話し申し上げたいというふうに思います。

 今回、きょう付で各都道府県に通知を発出いたしますけれども、現行の家畜伝染病予防法の第五十二条におきまして、報告を徴求することができることになっております。具体的には、毎週一回、各養鶏業者の方々から県の方に、自分のところでは何羽飼っていて、そのうち、この一週間で何羽死んだということをきちっと報告をしていただく。そういうことによりまして、変化があればすぐ察知もできますし、また、そういった報告をきちっと義務としてやっていただくということによりまして、それぞれの養鶏業者の方々も自分のところの鶏の健康状態等について注意を払い、しかもまた、虚偽の報告をしたり、あるいは報告をしなかった場合には一定の罰則もつくという形で、きちっとした報告を担保したいというふうに思っているところでございます。

○亀井国務大臣 補償の問題等々につきましては、やはりこの京都の三例目、養鶏場から京都府への通報がなかったこと、これが重大な問題になっておるわけであります。そういう面で、蔓延防止、これに万全を期すためには、養鶏業者が迅速に通報することが極めて重要である。そのためには、通報しても当該地域の関係業者が大きな損失をこうむらない、こういうふうにすることが必要であるわけであります。

 この点からも、蔓延防止の徹底を図る観点から、補償の問題等々につきましては制度化する、こういう面で十分検討してまいりたい、このように思っています。

○高橋委員 関連して、総務大臣に伺います。

 党として、山口県の発生以来、申し入れあるいは質疑などで繰り返し求めてきたことでありますが、自治体が独自に取り組む補償などに対し特別交付税などの財政措置をするべきと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○麻生国務大臣 基本的には、この鳥インフルエンザというものは、これは家畜の法定伝染病ということになろうと思いますので、農林水産省において総合的に対策されるべきというのがまず第一だと思うんですね。そこのところは、いきなり最初に交付税だなんて言われると、その前にやるべきことをしておいていただかないといかぬところなので、それをした上での話ですから。

 その上で、例えば、今こういった事態になって、防護服やら何やらには補正がつかなかったり、いろいろ予算がつかなかったりしているのも事実なので、こういった事態に合わせていろいろ対策をされるんだと思いますが、そういったところで、どうしても足りないというようなところが出てくるということになった場合は、その段階において考えるべきものは出てくるであろうと思いますが、まだ何もしていない段階から、今のうちから、保証いたしますと簡単にはちょっとなかなか言えないところだと思いますけれども、迷惑をこうむっているという事実は間違いないと思っておりますので、こういった分には、財政運営に支障が生じないように対応はきちんといたしたいと思っております。

○高橋委員 この特別交付税の問題については、新聞各紙がかなり詳しく、額まで含めて報道しているんですね。そうすると、現地は、もう来るものかなと期待をしておる。しかし、今の答弁では、まだまだはっきりしないということでありますね。

 ただ、大臣が今お話ししたように、防護服やら何やら、自治体は、足らないと、かかるものが大変だと、本当にそうなんですね。二十四時間態勢でやっているから人件費も何とかしてくれよという声さえ上がっている。やはり最先端の現場はそれほど大変だし、しかし、だれの責任かということをいったら、間違いなく自治体のせいではないし、今回の確信犯的なのとは別に、周辺農家の人たちは何の罪もないわけですね。ですから、やはりそこに対して自治体が基本的に最低限補償しようというのに対しては積極的にこたえていくというお答えを、もう一度お願いしたいと思います。

○麻生国務大臣 積極的におこたえするというほどのことはないんですが、余り積極的にこたえたくないというぐらいなところなんですが。

 ただ、現実問題としては、この種の話というのは、今まで余り想定をされていなかった前提での話になっておりますので、期待してたとか予想していたという範疇を超えている部分でもあろうと思いますので、その意味では、地方自治体というのが、いきなり、なぜおれのところにとか、おれの町でとかいうことになっておられるというのは事実ですし、事実、その点が行政運営上支障を来すということに、三十キロ範囲というのは結構広いことになりますので、そういった点において支障が出るということは、これは断固避けにゃいかぬところだと思いますので、そういったところにつきましては対処をいたしたいと思っております。

 それが直ちに特別交付税を意味するというぐあいに、余り早とちりだけはなさらぬようにお願い申し上げます。

○高橋委員 強く要望して、お願いをしておきたいと思います。

 次に、風評被害の問題なんですけれども、これは実は、大分で具体的に業者の方から出された問題なんです。

 大手のスーパーが、卵は毎週幾ら幾らという最初から契約をしているものだから、その契約どおりの卵の数を出せない業者に対しては、いわゆる対価補償、その分のお金を補償するということを求められて、自粛はさせられるわスーパーからは補償を求められるで、踏んだりけったりだというお話がありました。あるいは、九重町でしたけれども、その九重町から出荷するものは何でもだめだと言わんばかりに、トルコキキョウ、お花ですね、お花でさえも拒否する、そういう極端な被害が出ておりました。

 大手のスーパーが、こうした弱みにつけ込んで業者に不当な要求をすることはあってはならないと思います。調査と指導をするべきだと思いますが、この点での見解を伺います。

○白須政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、風評被害、あってはならないというふうに私どもも考えております。

 そこで、山口県での発生以来、地方農政局あるいは農政事務所を通じまして、鶏肉あるいは鶏卵の取扱店舗、これを巡回いたしまして、まず一つには、不適切な表示を行わないように個別指導、これを実施しているわけでございます。例えば、大分県での発生に対しましては、九州農政局管内で約三千の店舗を巡回いたしまして、個別指導を実施したところでございます。

 また、今委員御指摘のとおり、これまでの大手の量販店、これを巡回しておりました際に、当該発生した県産の鶏肉あるいは鶏卵というものを取り扱わないというふうな、そういう事例がございまして、それを他県産に切りかえるとか、そういうふうないわば取引拒否でありますとか、そういった不当な取り扱いといったようなことも散見がされたわけでございます。

 したがいまして、私どもとしましても、インフルエンザが発生をした県産であるということを理由といたしまして、鶏肉あるいは鶏卵の取引拒否といったような、そういう不当な取り扱いを行わないように関係団体に対しまして文書で要請もしておりますし、あるいはまた、農政局に対しましては、こういった事業者に対して不当な取引拒否を行わないように、そういうふうな形で協力要請をするように指示をいたしておるところでございます。

○高橋委員 大手のスーパーに指導すると同時に、業者からのそういう生の声なども聞いて、厳しい対応をしてくださるよう要望して、終わります。

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